blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

あっさり敗退

2016-06-03 22:52:15 | 日記
男子バレーボールの日本代表チームは、五輪最終予選のあと2試合を残して早々に敗退が決まった。
世界ランキングから言っても挑戦者の立場、滑り出しのベネズエラと中国に連勝してようやく望みも出ると予想したが、中国に完敗したことからこの時点でかなり五輪が遠くなったと感じ、果たして結果はその通りになった。
アジア4チーム中の1位もしくは出場8チーム中の4位以内が条件というところで、アジアのチームに全敗したのだからどうしようもない。

高さでかなわないのは前から分かっていることで、そこを克服するには強いサーブの精度が重要だったが機能しなかった。
逆にサーブで崩され、リードをあっという間に吐き出す場面を何度見たか。
体格差は永遠に埋まらないわけで、今大会で米山裕太選手が見せたようなテクニカルなプレーがいわゆる「日本らしいバレー」の一つの方向性とは言えないか。
テニスの錦織選手を出すまでもなく、強い日本人選手が必ずしも体格に恵まれているわけではない。

イラン戦の放送中に、アナウンサー氏が「イランは日本戦にコンディションを合わせてきている」とサラリと言っていたがこれは大ウソで、イランはエースを次の中国戦に備えて温存した。
大会の流れの中で、アジアの1位は中国との争いになるだろうと考えるのは当然で、イランは日本戦ではなく中国戦に全力投球だったことは間違いない。
そのかいあってか、イランはフルセットの激戦を制してアジアの1位をグッと手元に引き寄せることになった。
近年アジアナンバーワンの実力がありながら五輪出場がなかったイランが悲願に一歩近づいた。

相も変わらず我が国のテレビ局は、日本チームをやみくもに応援するばかりで他国の戦力分析や試合経過などには目もくれなかった。
どう分析しても相当厳しい戦いになるという都合の悪い事実は「言わないでおく」ほうがリアルタイムの視聴率にとっては都合がいい。
さすがに近年批判されたニセ生中継(18時開始の試合を19時から放送し、巧妙な編集により生中継のように見せる)はなくなったが、テレビ局にとっては単に数字が取れるコンテンツの一つであればそれでよしということであろう。

もちろん、テレビのこんな雑な扱いを長年許している協会の責任は重い。
毎回批判は受けているはずだが、またしても部外者(アイドルグループ)を真剣勝負の場(コート上)に立たせてしまったことは国際的にも恥ずかしい。
代表チームが勝とうが負けようが、日本戦だけでも東京体育館がいっぱいになって興行として成立すればそれでいいという考えでは予選免除でイヤでも出場できる東京五輪では赤っ恥をかくことになる。
今回の結果を受け南部監督は退任の方向、また協会の強化委員長も辞任するという。
その委員長は、40年前のモントリオール五輪に出た人物というから驚きだ。
今こそ組織を一度まっさらにして、育成や選考方法を見直したい。
運動能力の高い若者が他競技に流れているという傾向もあるようだから、バレー界をより魅力あるものにしていくことも必要だろう。

見る側も、石川選手や柳田選手だけがお目当てというのは必要悪の範疇、ただ会場全体として、完敗続きのチームにブーイングひとつない異常なまでに優しい観客というのではいつまで経ってもチームのためにならない。
ふがいない試合の後には応援グッズを投げつけたいくらいに思う、あるいは本当に何かがコートに向かって飛んでくるくらいの緊迫した雰囲気を見る側が作れたらいい。

好きなバレーボールのことを思い、通常より冗長な内容になったことをご容赦願いたい。
土日のあと2試合、モチベーション的には酷な状況かもしれないが、全国のファンのためにもいいプレーを見せてほしいと心から願っている。