ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

ラベルの変遷

2018年01月19日 02時19分07秒 | ワインの事
ワインのラベルは見ていて楽しいものです。


いわゆる「法定記載事項」を除いては自由な部分はドンドン変わっていきます。


古いメーカー=老舗は冒険を出来ない伝統がありますし、新進のメーカーは冒険して目立たないと売れません。

手書きの絵がかかれていたり、解読に手間を要するデザインもあったり、です。

しかし、その中に哲学が見えてくると「うん、頑張ってるな」となりますし、老舗が伝統に胡坐をかいてラベル同様に進歩がなければ落ちていきます。

では老舗のラベルは変わらないか?といえば実は結構変わっていきます。


例えばシャトームートンロートシルトが所有のシャトーダルマイヤックなどは数十年の間に沢山名前を変えていますし、シャネルの所有するシャトーローザンセグラは「ローザン」の「ザ」の部分のスペルがSA→ZAに変わっています。
また長すぎる名前で有名なシャトーピション ロングヴィル コンテス ド ラランドはシャトーピションラランドと名前を端折っていたラベルもあるのです。

シャンパーニュでも有名なところは数年単位でマイナーチェンジをすることが多いですね。

ブルゴーニュのロマネコンティ社も気づかれにくいマイナーチェンジを繰り返しています。


それらは幾つかの理由があります。

1:オーナーが代わった

2:単純にデザイン変更したかった

3:紙の質や印刷技術の変化

4:アップデートして訴求力を増したい

5:コストの問題

6:他社から「似ている」と訴えられた

7:どうせ毎年デザインを変えている

8:偽造防止


数えればキリがありません。

私が思うに8の「偽造防止」は有名なメーカーには大事なことなんだろうし、それが一番の理由だろうな、と思ったりします。


ロマネコンティ社などは間違いなくソレです。



しかし、しかしです。

ボルドーのワインはごく最近=1970年代初頭まで自社でボトリングしていないシャトーが多く(シャトームートンが早く1920年代)、ネゴシャンラベル=まちまちのデザインだったのですから「ま、ええやん」てなもんでしょうね。


食事の場でワインの蘊蓄はめんどくさいものですが、たまに「サラッと」ラベルの話なども楽しいかもしれません。


               樋口誠