どんなに財産をため込んでも、結局無くなってしまう。
ため込めばため込むほど苦しむことになる。あの世には一銭たりとも持っていくことはできない。寧ろ、相続争いが起こり、骨肉の争いとなる。そのような話に暇はなく聞いたものである。この世の性とは醜いものである。
人間必然死ぬ者である。それも何も持たずに。僅か100年にも満たない人がほとんどの人生。「花の命は短くて苦しき事のみ多かりき」と謳われ、まさに的を射ている。花開く時ほど短すぎて、あっと言う間に醜く枯れる。誰彼なく一様である。執着とは、斯くも無意味な事である。