さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

残念ながら映像はなし

2019-11-09 12:04:44 | 井上尚弥


本日放送の「せやねん」、当然この試合を取り上げていましたので、ご紹介。
しかし、大人の事情(予算の限界とも言う)で、映像はなし。





今日は女子ゴルフなど中心の構成が決まっていたようで、もうちょっと枠とってほしかったところですが、残念。

しかし、それこそJリーグや英プレミアリーグの映像を使えないところを、コメンタリーの話術で乗りきろうと奮戦中のJスポーツやスカパーの如く、我らがトミーズ雅こと北村雅英氏が「語り」で頑張っておられます。
その熱意に敬意を表したいと思います(^^)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

写真提供していただきましたので、ご紹介

2019-11-09 04:33:51 | 井上尚弥


今回、同道した友人から、写真の提供をいただきましたので、ちょっとだけご紹介。

さいたまスーパーアリーナは、もう15、6年前になるんですね、一度だけ観戦に来たことがあります。
当時の会場周辺は実に殺風景で、お店の数も少なくて、なんだろなという感じだったんですが、当然それだけ月日が経てば変わるもので、あれこれ開発されて、えらく賑やかな大都市の駅前、という感じに変わっておりました。

で、今回の大試合、お客さんの数もえらいことになっていました。

まずは会場前。
これは当時から変わらず、ドえらい大箱です。






で、こちらが「Aゲート」。当日、18時10分ごろ。
開場が18時で、第一試合開始が18時30分とのことで、まあ普通の時間に向かったつもりが、この有様。






最初、厳重に手荷物チェックでもしてるんかな、と思ったんですが、思ったよりはすいすい進む。
普通にチケットもぎってるだけでした。
それでもやはり、内部通路の混雑も凄くて、物販やトイレの行列などもあって、席に辿り着くまでけっこうかかり、結局第一試合開始には間に合わず。

開場時間と第一試合開始の間、30分というのは、後楽園ホールの興行なら別に問題ないですが、世界戦、ましてこんな大箱、チケット完売の興行では、設定自体が間違いだった、と言わざるを得ません。
まあ普段、こんな規模のイベントを、興行的に成功させた経験が乏しいわけで、無理もないですが...って、書いてて悲しくなってきますね。






さて、場内の様子。
上の方の席まで、隙間無く観客の姿が。
人が居ないところがありますが、これは大型モニターや国旗の裏側で、席を設定していない部分です。






ちょっとだけ試合の様子も。セミです。




ウーバーリ、拓真に判定勝ち。





メイン前、お馴染みWBSSの豪華照明。
無事、使用されました。やっぱりこれがないとねー(^^)






ドネアさん、お立ち台に立つ。
場内、ホンマのホンマに満員。






メインはもう、語り尽くされていますね。一枚だけ。






そんなことで、さいたまスーパーアリーナ、大盛況でありました。

写真提供は「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんでした。
ありがとうございました。




コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新旧の王者が、共に打ち立てた「証」の輝き 井上尚弥、ドネアに判定勝ち

2019-11-09 00:29:52 | 井上尚弥



ということで、さいたまスーパーアリーナで観戦してきました。
試合については、当然皆様、しかとご覧でしょうから、今頃私なぞがあれこれ書いてもしょうがないんですが、とりあえず経過から。
出来るだけ簡潔に...出来るだけ...無理ですが。



初回は、互いにちょっと見るのか、と思ったら、本当にちょっとだけ。
体格ではまさるノニト・ドネアに対し、井上尚弥が鋭く斬り付けていく。
左フックの相打ちを際どく決め、右ボディ、クロスも飛ぶ。
ドネアのパンチもフォロースルーが深く、威力を感じるが、微妙に浅く、外されている。

初回を見終えて、確かにスリルを感じる攻防だったが、少なくとも現状における両者の「差」が、はっきり見えたような気がしました。
「仕掛け」の主導権がどちらにあるか。パンチ自体の速さ、鋭さは。相手の身体の軸に向けて、拳が軌を描いているのはどちらなのか。
それははっきり井上尚弥の方でした。

この時点で、ドネアのタフネス、耐久力を最大限に見積もっても、この試合は中盤までには終わるだろうと思いました。
ドネア自身がどれだけ耐え、闘志を示そうとも、レフェリーが続行を許容出来なくなるだろう、と。

そして、そこまで言わずとも、リング上の井上尚弥もまた、少しずつ、確信を得ていたように見えました。
2回前半の攻防にもそれは出ていたように思います。


しかし、ここで井上がどういう理由か、作戦だったのかわかりませんが、ロープ際に下がり、ガードを締めて止まり、受け身になる。
自らのボクシングを、攻めに偏り過ぎていると見た故、バランスを取りなおそうとしたものか?
見ていて、これは要らん、今やることじゃない...と思ったところ、ドネアがそこに踏み込んで攻めてきました。

その流れで、ボディへの軌道を上に切り返す、フェイントつきの左フック一発、被弾。
先日、カネロ・アルバレスがセルゲイ・コバレフを倒す決め手となったパンチと同じ技でした。

確かにダメージもあったでしょうが、食ったところで一発で伸びてしまうようなパンチではありませんでした。
普通なら、あー、これはいかんぞ、気つけんと...と、それで終わるはずが、遠目にもはっきり見える出血。最悪...。


序盤の攻防で後手を踏み、改めて井上尚弥の技量力量を「体験」したばかりのドネアは、しかしほんの一瞬の隙を逃さず、刃を仕込んだ拳で斬り付けてきました。
かつてかのジョー小泉氏が「ことによると、ジョフレよりも、サラテよりも...」とさえ評した、バンタム級史上、軽量級史上屈指のリング・グレートは、おそらくこの試合に向けて、この瞬間を掴むために闘っていたのでしょう。

その願いがまずは一度、かなった場面でした。そして、そのたった一撃で、井上に深手を負わせてしまった。
やはり、畏るべしノニト・ドネア。私は改めて、このボクサーに恐怖しました。



そして、せっかくの好スタートを、半ば自らの手で無にしてしまった井上尚弥は、3回早々、フォームを乱した空振りを数回。
当然、出血で視界に影響もあろうし、クリーンヒット自体のダメージも心身に残っているだろう。無理もない...と。

ところが、程なく井上は、少なくともこちらの目には、その乱れをいとも簡単に収め、構え直し、自らの攻防を整え直してしまったように見えました。
場内は心配込みの声援で囂々、という状況でしたが、ジャブを突き、足で捌いて、右アッパーで目先を変える。
4回も、本来得意な右ボディ、アッパー、左フックの組み合わせが決まる。井上、鼻血も見えるが、展開自体は優勢。

5回、右クロスのクリーンヒットでドネアが前に崩れそうになる。あのパンチ食って倒れないのか!と驚愕の場面。
6回、井上は速いコンビ、右クロス、左フックで着実にヒットを重ねる。
7回は少し見て、ドネアが攻めてくるが、中盤からジャブで叩いて動く流れに。


ひとつひとつの局面は非常にスリル溢れるものが続いていて、互いに食えば効きそうなパンチを応酬していましたが、井上のスピード、正確さが上回る回が積み重なっていました。
井上は3回以降、ガードを立てるかと思えば、時に手を下げ、スウェイで外したり、場面毎に出方、外し方を変える、非常に頭脳的な闘い方を見せていました。
攻撃に関しても、フルパワーで打ち込めるバランスではなくとも、考え得る中ではベターに近い修正が出来ていて、5回のような好機も作れている。

ここで思ったのが、ここまで立て直せたのだから、そろそろ休みの回が欲しいなあ、ということでした。
序盤、何の傷もダメージもないときに「見」に回ったことは、無用なことであり、失策だったと思いましたが、試合が中盤以降に進み、疲れも傷もある状況では、その前提は変わっている。
ドネアのタフネスを突き崩し得るような、質量のある攻勢を取るリスクは、おそらく犯せないだろう。
ならば終盤に向けて、体力、集中力の温存を計れないものか。引いて「見」て、あわよくばドネアのバランスを前に崩すことも期待出来るかも、と。


そう思っていた8回、ドネアが右クロス二発ヒット、さらにコンパクトな左右のヒットを重ねる。井上再び出血が目に見える。
9回はさらにドネアが出て、ジャブで叩いて追い、右で井上をぐらつかせる。
ドネアにしたらフルショットというわけでもない右だが、それでも威力は充分、という一発。井上、出血がまた見える。

正直、この2回をどう見たものか...単にドネアの反転攻勢なのか、井上がどこか引いた、緩めた、という部分があったものか。
会場で見た限りでは、判断がつきませんでしたが、いずれにせよ試合の流れはまた、ドネアの方に傾き始めていました。


しかし10回、普通なら「いかに乗りきるか」と見える展開から、井上が逆襲の狼煙。
ドネアの右を被せられないよう、正対してのワンツーをよりコンパクトに締め直して打つ。また、ジャブもアッパー気味の軌道に変えてみたり。
ドネアの重いジャブを一発もらうが、上下のコンビをまとめて、終了間際には打ち合いから身を翻し、振りの小さい右をカウンターで二発。
ドネア一瞬、井上を見失う。ゴング後、コーナーで井上が両手を上げて、場内を煽るのが見えました。

11回、井上がワンツー、右クロス、左ボディを組み込んだコンビ。井上が過去に何度も見せてきた「仕留め」への流れ。
そして右アッパー上、左ボディ返し、という「殺しのパターン」が出て、ドネアが横を向き、リングを半周ばかり、そして膝をつく。

場内総立ち、囂々たる声が渦巻く中、カウントが進む。終わったか、と思ったが、レフェリーのカウントが長いような?
騒然たる状況、ドネアが続行に応じる。井上左ダブルで攻め、ドネアは顔を上げて井上を見ることすら苦しそう。
しかしなんとか顔を上げると、左フックを振って、これが浅くヒット。まだ打てるパンチが残っている!驚愕の光景。

井上さらに、左右上下と打ちまくる。しかしドネア倒れない。
耐えられるパンチなら耐えられる。だから、読みを外したパンチを当てないと、倒せない。
それはレベルの高い試合では常識ですが、しかしこの状況でなお...。


最終回、正直言って、どういう攻防だったのか、あまり覚えていません。頭ん中、ほぼ真っ白でした。
ドネアさん、もう充分ですよ。堪忍したってくださいよ。もう座ってマイッタしても、誰にも文句なんか無いですよ。
そんなことを思いつつ、震えるような思いで、攻める井上、耐えて返すドネアの姿を見ていました。



判定は3-0。えらく僅差のもあったようですが、まあそういうのもあるから、ジャッジがひとりじゃなく3人おるのや、というだけの話です。
私の採点は、井ド井井、井井井ド、ド井井?、というところです。
最終回はよくわかりませんでしたので...ボクシングのブログをやっている者としては、失格の烙印を押されてしまうような話ですが。



===================



もし、この試合に井上尚弥の圧勝を期待していた気持ちだけで感想を言えば、若干?無念の思いを持つ方もいる、と思います。
会場からの帰り道、そんな声が聞こえてきましたし、同道した友人も、そのような思いを語っていました。
よくわかる話です。私も心の一方に、そのような思いがあることは否定しません。


しかし井上尚弥は、序盤の失策(と、私は見ますが)から招いた危機を乗り越え、立て直す心身の強靱さを見せ、出血による「被害」を最小限に食い止める防御の手立てが数々あることも見せ、ベストフォームを失ってもなお、フェザー級でも世界上位に通じたノニト・ドネアをKO寸前まで打ち込んで、クリアな勝利を収めたのです。

本人が過去に何度も語ったとおり、苦戦を知らないことが、井上というボクサーへの、数少ない疑念としてありました。
しかし今回の試合は、それを完全に吹き飛ばす内容だったと思います。

全世界注目の軽量級スターとして、大会場でのメインイベンターとして、これまでの全キャリアの集大成、或いはさらなる飛躍への分岐点としての一戦を闘い、もちろん本人が望んだ形ではなかったのでしょうが、ある意味ではさまざまなものを証明した形で、勝利した。
私はまず、その事実を称え、そしてファンとして、彼の存在そのものに、改めて感謝したいと思います。



そして対するノニト・ドネアにもまた。

彼の試合を直に見るのは、当然今回が初めてでした。
フライ級のランカー時代に、今はなきJスポーツのボクシング番組で見たのが最初で、ドえらい感覚の選手がいるものやな、と驚いたのを覚えています。
びっくりするほど敏捷で、目に見えて変則的というでもないフォームなのに、え、そこから狙う?というタイミングで、左右を「合わせ」る感覚が並外れていました。

それは初戴冠のビック・ダルチニアンとの初戦で、世界に披露され、その後も数々の試合で、何度も繰り返されました。
ラウル・マルチネス戦の初回、側頭部に僅かな隙間を縫って「命中」した右フック。
ウラジミール・シドレンコを血まみれにする過程で繰り出し、フェルナンド・モンティエルをも沈めた、有名な「後出しカウンター」の左フック。
ホルヘ・アルセを密着した位置から斬った、振り幅数センチの右ショート。

他にも上げたら切りが無いほど、衝撃的な「ショット」の数々と、その勇壮な闘いぶりで全世界を魅了した軽量級のスーパースターは、36歳になって、かつての彼をさらに正統的に進化させたような若者と、日本のリングで相まみえ、敗れました。

しかし、その闘いぶりは、当然ながら往時のものからすれば「目減り」していた部分もあったものの、それを補う勝負強さ、勘所を押さえるしたたかさ、常に鋭く迫り続けた闘志、倒されてもなお立ち上がり、全てを出し尽くして闘い終えた姿は、まさしく「勇姿」そのものでした。


===================


この試合を見終えて、井上を評し「これでは全盛期のドネアと対戦していたら、勝てなかっただろう」という声がありました。
それもまた、わかる気がする話ではあります。

しかし私は、同時に、あまり意味の無い話だな、とも思います。
今この時に相まみえ、闘った内容と結果は、見た通りのものでしたが、井上尚弥が今後、この闘いを経てどのように変わるか、さらに成長し、より盤石な王者となり得るか、ということを見た上でないと、そもそも語り得ない話でもあろう、と。

実際に実現していない対戦の時期を「全盛期」としてドネアにのみ当てはめることは、よく考えたら井上尚弥に対して公正ではない。
井上尚弥には、語るべき「これから」の未来があり、彼はそれを、この日の勝利をもって手にしたのですから。


===================


壮大な物語をかつて描いた「旧」の王者と、これからそれと同じか、それ以上に壮大な物語を描くかもしれない「新」王者が相まみえた闘いは、井上尚弥の勝利で終わりました。
その闘いはひたすら激しく、その激しさが双方を苦しめ、傷つけたと同時に、光り輝かせてもいました。

力と技、知略と闘志、危機に瀕した際に見えた、心身の構え。
そして互いが心中に秘めた敬意。
それらが織りなす光景の数々は、見ていて目に眩しく、神々しくさえ...。



以前、井上とエマヌエル・ロドリゲスとの対戦を「(WBSS)事実上の決勝戦」と書いたことがありますが、とんでもない間違いでした。
今はただ、不明を恥じています。
この試合こそが、正しく真の決勝戦でした。

全ての「スポーツ」を超え「ドラマ」と言い表すにも神々し過ぎる。
適切な例えなどあり得ず、適切かどうかも知らず、それでも敢えて言うなら「神話」でしょうか。

確かに言えることは、まさしくこれこそがボクシングなのだ、ということだけかもしれません。
見る者の心を振るわせる、至高の「世界バンタム級タイトルマッチ」を、この目で見ることが出来ました。
井上尚弥、ノニト・ドネアの、偉大なる闘いに拍手を。そして感謝を。
素晴らしい試合でした!



コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日さいたま決戦 プレビュー記事あれこれ

2019-11-06 10:30:26 | 井上尚弥




そんなことで、遠足前日です(笑)

まあ、一介のファンである我々とて、当然あれこれと思うところはありますが、プロとして取材し記事を書く記者諸氏もまた、なんかもう、普通の試合とは違う勢い、思い入れで前のめり、という風情です。
それぞれに個性的な記事の数々がネット上に溢れております。

当然、皆様もあれこれ読まれているでしょうが、目に付いたものを紹介しておきたいと思います。
単に予想が当たるの外れるの、結果がどうのこうの、という次元の話ではない、この闘いがどれだけ偉大で、壮大なものであるかが伝わってきますね。


===============


次の号がボクシング特集になる、という文藝春秋ナンバーのwebから。
渋谷淳氏の展望。ドネアが待機戦法に出る可能性についても言及。


こちらはスポルティーバのweb。杉浦大介氏による、米国の識者の声の紹介
三浦勝夫氏によるこの記事も同様ながら、「ラテンの」有識者、という括り。


ベテラン宮崎正博記者による、辰吉丈一郎と何が通じ、何が違うのかを語る形での、井上尚弥論。
その1その2


スポーツナビ、船橋真二郎氏による、赤穂亮のドネア、井上評。その1その2
アプリ限定とのことで、スマホでスポーツナビのアプリを入れれば読めます。

これとは別に、A-signにはインタビュー動画も。「ざっくばらん」に語っています。赤穂らしさ全開。
しかし内容は、非常に興味深いものあり。









===============


ということで、明日は観戦してきます。
翌日早朝、仕事でトンボ帰りというスケジュールなもので、観戦した感想文などは、少し遅くなります。
もし何かコメントいただけるようでしたらば、この記事のコメント欄にお願いしますm(_ _)m

いやしかし、とうとう来ました。
長かったような、あっという間だったような...。


===============


そんなことで、一曲。
Imagine Dragons “It's Time” です。









コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

65秒、それも「勝負」した結果

2019-11-05 12:56:56 | 海外ボクシング



岡田博喜のアメリカでの3試合目は、初回65秒TKO負けとなりました。


DailyMotionで動画を見ましたが、初回早々、ジャブで探っていたところ、相手のハビエル・モリナが、下がると見せて、その場に巧く重心を残したバランスを作り、そこから放った右クロスをまともに食って、効いてしまったのが致命傷になりました。
岡田にしたら、来ない、届かない、と感覚で判断したパンチが来て、打たれてしまったのでしょう。
追撃されてダウンし、立ったがコーナーに追われて、最後は右カウンター、狙い打ち、でした。

本人のコメントは、敗北を実感していないというものでしたが、初回ノックアウトというのは、往々にしてそういう場合がありますね。
身体が温まらないうちに打たれた一打が、致命的なものとなり、あっという間に...という。

この結果ほど、両者に大きな実力差があったというわけでもないでしょうが、厳しい結果となりました。
しかし、国内なら大抵の試合で「勝つだろう」と思われた試合を、その通りに勝ってきた岡田が、米国のリングで一戦たりとも楽が出来ず、一瞬の隙が命取りになる試合を3つ続けて闘ったことは、かつての日本の中量級上位選手のキャリアと比べれば、本当の「勝負」をする機会を得たこと自体、恵まれていたのだ、とも言えます。

その「勝負」をした結果を見た。見ることが出来た。
そして、岡田博喜はそれを見せてくれた。
そのことについて、彼に対し、まず抱くのは何よりも先に敬意です。
かなうなら、結果にも恵まれてほしかったところですが...。


今後は厳しい道のりになるでしょうし、ことによるとこのまま、ということもあり得るのかもしれません。
再戦といっても難しいでしょう。条件さえ落とせば、試合の機会はあるのかもしれませんが。
国内シーンへの復帰、ということも含め、安易に期待を語れる状況ではなさそうですね。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「算段」を超えた、好機での強打炸裂 カネロ、コバレフに11回KO勝ち

2019-11-03 21:54:59 | 海外ボクシング




ということで今日はDAZNの生中継を見ておりました。
気持ちはすでに木曜日に飛んでしまっていますが、とりあえず簡単に経過と感想。


王者セルゲイ・コバレフは、やはりここ数試合と同じく、強打よりも軽打、大きく振らず、こつこつと左から、という闘い方でスタート。
上からの映像だと、やはり身体が一回り小さく見えるカネロ・アルバレスは、その左はガードで防ぎ、時折来る右を外しては、右ショートと左フックのカウンターをボディに返す。

コバレフは身長、リーチでまさるはずが、しっかり突き放す、というほど距離を作れない。
しかし手数は出て、ジャブのヒット数自体はまずまずか。
カネロは手数では劣るが、左フック、右クロスの単発は印象的なものがある。

競った回、採点上どちらにでもつけられそうな回が続く。
初回はカネロが見て、コバレフが左から手数。
2回はカネロが右ストレートを上下に当てる。

3回、コバレフの右をミスさせたカネロが左リターン。右ボディ。コバレフ後半ジャブ増やす。右アッパーと左フック交錯。迷うが、ややカネロか。
4回、コバレフのスリーパンチ、トリプルジャブに対し、カネロが外してボディへカウンター。左をとってコバレフ。

5回、コバレフこつこつ左、ボディへのジャブ。カネロ変わらず外してカウンター、単発。コバレフ。
6回、コバレフ右を控えた方が、と思うが、ワンツーをミスしてカネロに右、左と打たれる。カネロ圧してヒットとる。カネロ。

試合展開、構図があまり変わらないまま、7回はカネロ。
8回はカネロがドローイングか、自分から下がる。コバレフ。
9回、コバレフのクリンチに、カネロが急に苛立った様子を見せる。左フックヒットも、コバレフすぐジャブで相殺。
カネロ、右アッパーの合わせを見せる。カネロ。
10回、さすがに両者少し疲れ見える。カネロ、コーナーにコバレフを追うが、追撃ならず息をつく。攻勢のぶんカネロ。


コバレフ、しっかり突き放すとはいかないが、ジャブは出ているし、スリーパンチも時折当たる。右のミスを狙われているのも変わらない。
カネロはラストふたつ次第ながら、僅差勝利を勝ち取る、という「算段」通り、と言えば言えるか。

そんな風に思っていた終盤、11回にカネロがガード上げて出る。コバレフ圧されつつ応じ、左相打ち。
カネロが右ボディを打ち、コバレフがジャブを返す、変わらぬ攻防のあと、カネロの右フックがクリーンヒット。

止まったコバレフにカネロが左フック。これはボディへのフェイントが入っていた?ようにも見えた。まともにヒット。
さらに続いたのが、しっかり狙い澄まし、肘から肩まで回った右ストレート。コバレフ倒れ、即座にKO宣告、でした。



二階級上で強打を謳われる王者、コバレフを終盤に捉えてのKO勝ち、まずはカネロの実力を認めるべきかと思います。
コバレフの左はうるさかったですが、突き放されることなく迫り、右のパンチは大半を外して、リターン、カウンターの端緒に変えていた。
苦しい闘いでもあったでしょうが、やっぱり巧いもんやなあ、と感心するばかりでした。

そして終盤、競った回をいかに抑えるか、と見ていたこちらの想像を超える好機を作り、巧みで、かつ強烈な追撃をもって倒しきってしまうあたりも、流石としか。
この辺はやはり、スターボクサーならではの「役者」なところですね。


とはいえ...と、あまり言い募るのも良い趣味ではないですが、試合間隔の短さ、当日計量の縛り?に加え、歴戦の疲弊も垣間見えたコバレフ相手だったからこその、ライトヘビー級「制覇」だったなぁ、という印象も残りました。
そもそも「制覇」ではなく「タイトル獲得」という言葉以上の意味はない、それが昨今の、大半の王座獲得劇の内実であり、それはこの試合に限った話ではないのですが。

コバレフに、持ち前の強打や体格を思うさまに生かせない闘い方を強いたものは、カネロの技量力量あればこそ、でしたが、同時にそれ「のみ」ではない。
それはコバレフの、ここ最近の衰えによるものであり、ボディの耐久力という弱点と共に、実際の試合ぶりによって「解答」として示されていたものです。
この試合は、カネロが当然それを見た上での挑戦であり、ヒスパニック系を中心に絶大な人気を誇るスターボクサーとして、全ての主導権を握っている者の闘い、でした。

この際ですから、さらに嫌なことを言ってしまえば、コバレフの手によって、そういう「算段」が打ち崩されるところを見たいなぁ、と、心中密かに思ってもいたんですが...。
なんだかんだ言って、その「算段」通りに試合を運ぶのみならず、それ以上の結果を形に出来るカネロは、改めて流石だなぁ、と言わざるを得ません。


しかし、それを認めはしても、心から称える、という気持ちには、やはりならないわけですが。
試合前から、三階級同時制覇と散々言ってましたけど...へー、そうですか、そう言われたらそうでんな、という以上のことを思っている人が、世界中にどれだけいるものなんですかね。

だいたい当の本人が、腹ん中で一番よく分かってることでしょうに。
まあ、そもそもそんなことよりも、より大事なものは他にあり、それはしっかり押さえている以上、どうでもいいんでしょうけどね。



===================



しかし、何と言っても今日のトピックは、セミとメインの間の、約一時間半に渡る、恐怖の休憩地獄(笑)だったのではないでしょうか。

いやほんとに、最初は何がどうなっているのか、さっぱりわからなかったのです。
カネロはグローブ付けてシャドーして、いつでもリングに向かって控え室を出ようという様子なのに、いつまで経ってもお声がかからない。
場内の様子を遠景で映していて、何事か音声や歓声が聞こえるのみ。
煽り映像やプレビュー番組、または過去の試合でも流しているのかな...と。

ここで、ふと気づいて、WOWOWを見てみたら、同時刻にNYで行われていたUFCの生中継でした。
まさかこれが終わるまで、こちらのメインは始まらないのか、と思ったら、驚いたことにその通りになりました。

あちらでのUFCの人気は相当なものだと、ちらほら見聞きはしますが、こんなに気を遣うくらいなら、最初から日程を調整したらええものを...と思うところです。
そもそも、DAZNはUFCではなく、ベラトールという別の総合格闘技を配信しているので、何も気遣い無用だろう、と思うのですが、そういう単純な考えでは収まらないほど、UFCの人気は高く、その視聴者層に対して、無碍な対応も出来ない、ということなのでしょうか。


しかし...と改めて思います。会場で一時間半待ちぼうけ、なかなかに厳しい試練やないかなー、と。
フジ放送の有明興行やなんかで、セミセミからセミ、セミとメインの間、という分割された形で、これくらいの時間を空けられた経験はありますが、一括でとなると...さすがに記憶にありません。

まあ、こちらは昼飯食って、コーヒー淹れて、飲み終えてもまだなんで、これまた折良く生中継されていたマレーシアGPを見たりしていたので、特に困りはしませんでしたが。
会場には当然、カネロ応援のメキシコ系の皆さんが大挙して駆けつけていたでしょうに、怒って暴れたりする人は全然おらんかったんですかね。
まあ、高いチケット買って、ベガスに見に行ける層は、そんなに気が荒くもないんでしょうけど。



===================


そんなことで、一曲。
Elliott Yamin “Wait For You” です。

佐野元春「君を待っている」を貼ろうと思ったんですが、YouTubeになかったんで、これで妥協しました(笑)。







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

勝利という名の、輝かしくも冷酷な「真実」をその手に 井上尚弥、ノニト・ドネア戦迫る

2019-11-02 02:25:29 | 井上尚弥




さて、言うとる間に11月です。大変です。
ということで来週木曜、7日の井上尚弥、ノニト・ドネア戦について、ちょろっとだけ、事前に書いておこうと思います。
細かい戦力分析とかは、改めてやることもないくらい、両者の闘いぶりは、多くの目に、つぶさに見られてきたものですので、簡単に。
あとは無責任に「思うところ」を。



公開練習の様子、複数見ましたが、試合一週間前の段階で、何もこんなに動きが切れていなくても...というくらい、井上尚弥の速さ、鋭さは、改めて驚異的に映りました。
ワンツーパンチがまるで、ミットを切り裂かんばかりです。







井上が少年時代から仰ぎ見ていた強豪、ノニト・ドネアとの闘いに、どれほどの思いで臨まんとしているのかが、ほんの短い映像だけで、瞬時に伝わってきます。
敵意ではなく、敬意を抱いているからこそ、他の誰でもなく、この手にかけて、かつての王者を仕留めて見せる。
言葉にすれば、そのような意志、決意なのではないか、と。


しかしその反面、アタマは涼しいというか、当然のことながら、ドネアの強打に対しても、冷静に警戒をしています。
さらに前の記事によれば、本人は判定勝ちを視野に、前提に、というコメントをしたようです。
ここ数試合の速戦即決と同様の決着を、安易に求めはしない、と「表明」をしたわけです。

フェザー級でもタイトルホルダーを破り、また敗れた試合でも一度は相手をKO寸前に追い詰めているドネアの「一撃」は、その破壊力において、井上尚弥の耐久力を凌駕するものを秘めています。
その現実が、試合の結果に反映されたとしたら、そのとき、井上尚弥はプロ転向後、初の黒星を喫しているでしょう。


ノニト・ドネアが、今回の試合にどのような戦略をもって臨むのか...安易に想像すれば、やはり左右ともに一打必倒と言える強打を決めるべく、井上にプレッシャーをかけて出る、ということになるのでしょう。

ライアン・バーネット戦のように、正面から圧して上下に強打を散らし、ボディを叩きに来るか。
或いは、捨てパンチを決めて、サイドに回っての攻撃を狙うか。
左リード一本に絞って、力を込めて打ち、井上を止めにかかるか。

パターン自体はいくつかあり得るかもしれませんが、往時のスピード、機動力、カウンターの精度や「合わせ」の敏捷さが、どの程度生きているか...カール・フランプトン戦や、バーネット戦の感じだと、井上相手では苦しいかもしれません。

確かに、フランプトン戦でも終盤、一発好打していますし、バーネット戦では、ボディ攻撃の威力によって?相手を負傷させてもいます。
また、ベテランらしく、さらに他の出方を模索する可能性もあります。

しかし、井上の戦力充実を一旦、脇に置くとしても、そもそもドネアというボクサーは、計算より本能、分別より稚気が勝つタイプの天才型パンチャーであり、ここ最近の試合ぶりも、その流れから逸れたものではありませんでした。

となれば、結局のところ、全ては、一撃の破壊力をもって、井上を打倒するための「手」です。
その機会を創出し、掴み取るために、攻めて出る。
それがドネアの答えなのだと思います。
たった一瞬、強打を決める刹那に辿り着けさえすれば。たった一瞬でいいから。



井上尚弥は、その「打倒」の機会を、ドネアに与えずに闘い終えねばなりません。
ドネアが心中に秘め、左右の拳に込めた思いを、遂げさせないまま、試合を終わらせること。
それが何よりもまず、大事です。

さすれば、若き王者の思いが遂げられ、かつての王者は「打倒」の意志をかなえられることなく、リングを降りることになります。
かつてノニト・ドネアが、多くの相手を従わせてきた、優勝劣敗の掟に、彼もまた、従わされて。

その上で、さらなる期待を言えば、やはり試合の度に、こちらの期待や想像を上回る衝撃的な勝ち方を繰り返してきた井上尚弥の手による「打倒」があってほしい、とも思います。
それもまた、きっと、井上尚弥の思いでもあるはずです。
輝かしくも冷酷、残忍な若き勝者として、井上尚弥がその思いを遂げる姿を見たい。それが正直な気持ちです。


=====================


「ボクシングにドラマはないんですわ」とは、かの渡辺二郎の言です。
ならばボクシングとは何か。

現実、なのだと思います。詩的に言えば「真実」なのだと。

リングの上で、ふたつの意志が、闘志が激突し、瞬きする間もない刹那に、優勝劣敗が切り分けられる。
酷薄無情の冷厳さと共に、遂げられた思いと、かなわぬままに終わった思い、その両方を、目の当たりにする。

つまりはそれが、ボクシングを見ることです。


これから、多くを成し、遂げていくであろう若き王者と、かつて同様だった王者とが、11月7日という「今日」に、世界の眼前で、どちらが「勝利」という名の、冷酷な真実を手にするのか。

その闘いが、いよいよ迫って来ました。
震えるような思いで、当日までを過ごすことになりそうです。


=====================



ということで、一曲。
Kyosuke Himuro feat. Gerard Way “Safe and Sound” です。







コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルイス、ジョシュア再戦、WOWOWで生中継

2019-11-01 12:47:39 | 海外ボクシング




先日、こちらの記事に、DAZNでライブ配信されます、と書いた12月のルイス、ジョシュア再戦ですが、月曜日のエキサイトマッチを見ていると、番組中に生中継の告知がありました。
たぶん、DAZNでも配信されるでしょう。独占というわけではなさそうです。

考えて見ればJリーグや英プレミアリーグのように、独占「的」にDAZNが配信するものでも、一部、他で放送されたりしているわけですし、スペインやイタリアリーグの試合も、WOWOWやスカパーとの間で、共に放送したり、カードを振り分けたりしているのですから、ボクシングでも同じ事が起こって不思議はないですね。
WOWOW側、業者側が、どういう立ち位置で動いているのか、その辺がわかりませんが...バランスを取ろうとしたのか、それとも「巻き返し」に出たのか。
その辺は、野次馬的にちょっと興味ありますが、詳らかな事情など知る由もありません。


両者を比較すると、録画するには便利だし、番組の進行や、実況解説などが親切なのは断然、WOWOWの方です。
DAZNは、素材そのままをお届け、という感じで、良く言えば無駄がない、悪く言えば「手」を惜しむ、という面があります。

例えば、DAZNでは明後日のコバレフ、カネロ戦のプレビュー番組が順次、配信されていますが、今のところ、日本語字幕がついていません。
試合自体なら別に良いですが、さすがにそれは...と思います。
まあ、低価格での提供なのだから、という、無言の意志を強く感じるところです(笑)。


共に一長一短ありますが、ボクシングを見る際の間口が広がること自体は、歓迎すべきですね。
当日はどちらで見ようかなぁ...解説陣の顔ぶれで決めますかね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする