さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

これ以上、何を証明する必要があるのだろう 不変の天才メイウェザー、俊才カネロに完勝

2013-09-15 22:48:18 | フロイド・メイウェザー


この相手に、これだけの差を見せて勝つとなると、彼は次の試合で誰と闘えばいいのだろうか。
今日の感想は、こういうところから始まってしまいます。

試合展開はもう、ご覧のとおりとしか言いようがありません。
36歳になり、5階級に渡り、いくつか数えるのも面倒なくらい多くのベルトを手にし、
逃れられない疲弊と、さまざまな負傷も抱えているはずの身でありながら、
23歳の若さと、少年時代から天才を謳われた才能と、大柄な体格を持つ挑戦者の攻撃を
立体的というより異次元の動きで無力化しての完全勝利。
またしてもメイウェザーの天才と、ボクシングの科学が華麗に融合した12ラウンズでした。


今回は、心技体ともにかなり締めてきた、という印象ではありました。
ロバート・ゲレロ戦と比べても、攻防の密度が高く、動きの切れも上だったと思います。
若き天才、カネロ・アルバレスとの対戦は、ゲレロ戦がビジネス面で「大」成功とはいかなかった
現実を踏まえて組まれたものだと報じられましたが、メイウェザーはそういう実利面から決まった
この若き、脅威のはずの相手との対戦をむしろ、心から楽しんでいるようにも見えました。
顔つきも試合前から明るく、良い意味で前向きな態度が見えました。
このレベルのお方が、気持ちから「乗る」と、これだけのものを見せるのか、と、
今日はただただ、感嘆し、脱帽するしかない、という気持ちです。まいったね、という感じです。


カネロ・アルバレスの闘い方については、あれで駄目なら何をやっても駄目だったと見ています。
素人目には、もっと手を出せとか、思い切り打っていけとか思うところなんですが、
過去にメイウェザーの試合をさんざん見て、さすがにその辺は私も学習しています。

強引に、打たれてもいいから捨て身で攻めろ、といっても、本来のジャブからの崩しといった
普通の攻防で勝てないから捨て身で攻めようという相手に対する対応、或いは封殺こそが
メイウェザーの得意分野、日常業務であり、立体的というより異次元のレベルにあるボディーワーク、
スタンスの微妙な調整によるバランスの移動、距離や角度の細かい変動によるディフェンス、
そしてアングルを変えた上体を小さく回転させて打つ多彩なカウンターパンチは、
相手が通常の、正攻法の攻防展開を諦めたら、さらに光彩を放って試合を支配してしまうのですから。

以前、プレビューめいたことを書いた際、まともにジャブを当て、外し、という攻防で
メイウェザーを速さや巧さで抑えられるボクサーこそが、メイウェザーに勝てる選手なのだ、と書きました。
そして、カネロは今日、そのように闘って敗れましたが、これで敵わないなら仕方がない、と見ます。
あれで自分の型を崩して出たところで、見た目の盛り上がりが多少得られはしても、
結局は、ほんのわずかの片鱗すら見えなかった「勝機」を、自分から投げ出すようなものだったろう、と。


それにしても、今、カネロ・アルバレスにこんな勝ち方をして、一体、メイウェザーは次に誰と闘えばいいんですかね。
セミで勝ったダニー・ガルシアが候補だと聞きますが、正直言って闘う意味が見出せるのかどうか。
さすがにゲンナジー・ゴロフキンと闘うことはないでしょうが、そんな名前でも引っ張り出さない限り、
誰とやっても試合にならない、という感じさえします。

かつてカルロス・モンソンは、ロドリゴ・バルデスとの再戦に勝利したあと
「もうリングの上で証明することは何もない」という名セリフを吐いてリングを去りました。
まあ、時代やな、という感じがする言葉ですが、いかにも「当世風」なメイウェザーとて、
契約した試合がすべて終わったあとには、同じようなことを彼なりの情緒で言うのかも知れません。

しかし、彼は今日、すでにこの言葉の状態にあるのではないか、と強く感じさせられました。
カネロでさえこうなのだから、他にいったい、誰がメイウェザーの築いた牙城に迫れるというのか。
いや、それ以前にもう、彼と相対する誰かに、対戦相手として、見る者にその試合を見る「意味」を
提示出来る者が存在するのだろうか、とさえ思うのです。

例えば再起するマニー・パッキャオが、目覚ましい復調を示して、そうしたカテゴリーに
自分の名前を書き記し、挑戦者として対戦相手に選ばれる、ということでもない限り、
メイウェザーの試合には、闘われる意味が見出せない、というところにまで来てしまっているのではないでしょうか。
それも、もっと早くに実現していてほしかった幻の名勝負の影を追う、という意味でしかないのかも知れませんが。


真の天才は無人の野を行く、ということならば、フロイド・メイウェザーは今日、
その天才ぶりを改めて全世界に示しました。
その特殊な才能は、煌びやかに映る反面、対戦相手の心技体というよりは、存在価値を打ち砕くもの、と感じます。
そのような彼の才能、その方向性を、手放しで称賛し、英雄視する気持ちを持っているわけではありませんが、
ボクシングというものが生み出す、美しくも残酷なひとつの「天才」の形として、他では見ることの出来ない、
稀有なるものをフロイド・メイウェザーは表現している。そのことには多大なる敬意を払わねばならない...と
私のようなものにも心底から思わせる、今日の試合はそのような試合でありました。



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「最強挑戦者」の証明ではあるが 井岡一翔、転級三戦目もKO勝ち

2013-09-12 18:16:52 | 井岡一翔

井岡一翔の試合ですが、内容と結果は見事なものだったと思います。
「堅実」というものを極めれば、これほどまでの「強さ」に到達する。
ベストの108ポンドに戻して三戦目、なかなかの充実ぶりでした。

防衛ゼロとはいえ元WBA王者、実際の試合ぶりも、世界ランクの数字は
ふたつみっつ過大かな、という感じではありましたが、一定の水準にはある
クワンタイ・シスモーゼンを初回立ち上がりから打ち込める距離で抑え込み、
丁寧な攻防でヒットを重ね、最後は左ボディで止まったところを即座に上。
左ダブルでの強烈なフィニッシュで、ライトフライ級三連勝を飾りました。

ただ、試合後のインタビューに関しては、正直、真意を測りかねました。
どこまで本気なのかね、というに尽きます。
ライトフライ級復帰後、WBAランキングに入っている相手に三連勝ですから、
普通なら、さあ満を持して王者ローマン・ゴンサレスに挑戦だ!と言って
盛り上がるというのが本来の話なんですけど、やはりというか、
自分を「王者」だとして、モノ言っちゃってますからね。

結局、宮崎亮のミニマム級転向と同じく、こちらもボクシングの実像よりも
ごまかしの商売が勝っちゃってるんで、どうも白けた感じになってしまいます。

実際、試合自体を見れば、あの最強王者ロマゴンを打倒しうる日本人ボクサーがいるとしたら
それは井岡一翔だけだ!というファンの期待を一身に集める「最強挑戦者」としての
晴れがましい世界挑戦が、この先にあって然るべきだとさえ思います。

しかし、陣営が、TV局が、先に「世界タイトルマッチ」として商売してしまっているから、
そういうきれいな話になりようがない。
また、選手自身もインタビューで変なこと言うて、あれこれ突っ込まれてしまう。
もし、次の試合でロマゴンへの「挑戦」が実現するならまだしも、
けっしてそういう話にはならないのでしょうし。

もったいないな、不毛やな、という感情が、普通に見れば好試合だったものに
拭いがたい影を落とす。こういうことがいつまで続くんでしょう。

と思っていたら、今日の報道だと、年末にもフライ級挑戦とかいう話があるみたいですね。
やっぱり...。

まあ、さすがに今回は、既存の王者を棚上げするまでには至らないことでしょうが、
とりあえず誰かに勝っても、私の頭ん中じゃ「二階級制覇」ですね。
井岡一翔にこんなマイナスの感情を持ってしまうのは、本当に残念なことなのですが。


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こうして才能が削られていく 宮崎亮、苦闘の105ポンド最終戦

2013-09-11 23:12:55 | 関西ボクシング

今日はテレビ観戦でした。

宮崎亮の試合は、判定云々ということは抜きにして、こういう試合をする宮崎は
もう見たくない、ということに尽きます。

やはりこの階級、どう考えても無理でした。
とにかく、一発当てるごとに一息ぶんだけ動きが止まり、次の手がなく、足がない。

打ったあと、当てたあとに止まるものだから、当然、ビクトル・ラバナレス風に、
スタンスがずれても体を回してパワーを乗せ、色んな角度から打てる
ヘスス・シルベストレのパンチをかなりもらっていました。
宮崎はワンツー、右ストレート、左フックの好打が目を引きましたが、追撃の手が止まり、
お返しをもらってポイントを相殺されるという繰り返しに見えましたが、判定は2-0で宮崎でした。

しかし上記したように、判定どうこうとはもう言いたくありません。
この内容で負けたシルベストレの立場を含めた、公平な目線でないことは承知の上です。

もうこれ以上、そもそも最初から無理のあった105ポンド級での疲弊、消耗を抱え、
打たれずともいいパンチを打たれ、打てるはずのパンチが打てず、
それでも懸命に、天与のセンス、タイミングを披露してカウンターを決めても
僅かに本来の力感がなく、キレが足りず、倒せずに反撃をもらうという、
宮崎亮のボクサーとしての存在を摩耗させるような試合は見たくもない、というだけです。

思えばミニマム級での世界戦という企図は、井岡一翔がローマン・ゴンサレス戦を回避したのと同じく、
極めてビジネス色の濃い「経営判断」によるものだったと思えます。
仮にも「世界」タイトルマッチを開催、興行し、それに所属選手を出すようなジムが、
まともに、普通に、世界王者を招聘して挑戦させるために追わねばならぬ負担を回避するために、
あれやこれやと理屈をつけ、ご都合を押し通し、そのしわ寄せを、本来ならフライ級に上げていても
不思議のないような体格の選手に押し付ける。

その挙句に、好不調の波こそあれ、好調時にはそれこそ井岡一翔の堅実を打ち消すほどに
強烈なインパクトを残してきた異形の天才が、今日のような試合を闘っていることを、
普通の気持ちで見ていられるほど、図太くはなれないのです。

さすがに今日の試合で、ミニマムは最後なんだそうですが、昨年末から三試合に渡って
105ポンド級への減量と試合を重ねた宮崎亮の心技体、全てにおいて今後が心配です。
慌てて大きな試合など組まず、調整試合を挟むなどして、慎重にキャリアを構築していってもらいたいものです。

才能ある選手というものは、ファンにとってはかけがえのない、貴重な存在であり、
それと比べれば、所属ジムなどは、あえて言うなら、どこであっても関係ないものなのですから。

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少年ボクサーたちにも新たなる夢 東京五輪開催決定

2013-09-08 11:00:03 | その他

今朝方決まったそうですね。

正直言って、ダークな部分も含めて、IOC委員というものの存在には
あまりいい印象がありませんでした。
欧州の貴族やその末裔みたいな人間も好きにはなれませんけど、それ以外にも
得体の知れん素性の者がざらにいて、こんな「連中」に札入れてもらわんと
五輪を開催できんとなると、まともに行っても無理なんちゃうかなと。

しかし時代が変わって、IOC委員の構成も多少変わってきたんでしょうかね。
まともに考えれば、東京の治安と財政、施設やインフラは魅力のはずですものね。

ただ、マドリードに五輪が来れば、欧州挙げての景気対策になるとか、
やはりイスラム初開催のイスタンブールには、世界的なインパクトがあるとか、
そういうのに比べると、やはり東京、弱くないかと思ってましたが。
今回の決定は、そういう意味で、望外の喜びでした。


ひとつ気になるのは、福島の件について「250キロ離れているから大丈夫」という
「処理」の仕方をしたことですね。
東京五輪は福島の復興をも旗印にしていたはずですが、これでは切り離しやんか、と。

「東京と福島は250キロ離れているが、心の距離はゼロだ」
「東京五輪は福島の復興と共にある。それが理解されぬなら、投票してもらえなくてもいい」
「広島、長崎が甦ったように、福島も五輪と共に立ち直る。その姿を見てほしい」

ちょっと勇ましすぎるかもですが、このくらいの啖呵、切って欲しかったですね。
まあ、現実に東京が選ばれることはないだろう、と決めてかかっていた事前の妄想ではありますが。
結果、開催を勝ち取ったんですから、戦略としては正しかったのでしょう...けど。


とにもかくにも、7年後、東京に五輪が来るわけです。
これは川内将嗣の世界選手権銅メダルに始まり、村田の五輪金、清水の五輪銅に至るまで
ただいま絶好調の日本(アマチュア)ボクシングにとっても、さらなる追い風でしょう。

山根明新会長就任以降、プロアマ交流、国際大会への積極参加、AIBAとの関係強化など
さまざまな方針転換を実現し、村田の金メダル獲得によってそれらの施策が結実したところに
こういう大きな、新たな目標ができた。
選手の強化もますます進むでしょうし、五輪を目指す若年層のボクサーたちが増え、
自国開催の五輪を目指して、さらに成長することでしょう。

そして、希望としてはこの目標に向かって、アマとプロが一致協力してもらい
ボクシングというスポーツの発展に寄与してもらいたいということですね。
その過程で、プロアマの交流、関係強化がさらに促され、双方が矛盾なく存在し、
互いに強化の助けとなって支えあう、そんなボクシング界の理想的な姿に、
一歩でも近づいてもらいたいものです。

東京五輪は、プロアマ問わぬ「ボクシング界」にとって、大きな夢となる大会でしょう。
第二の村田を目指す、若きボクサーたちの健闘に、めちゃくちゃ気が早いですが、期待します(^^)




※新聞に載っていたんですが、ボクシングの会場は両国国技館になるそうですね。
あそこなら見やすいし、アクセスは良いし、最高ですねー。
全日程通しのチケットとかあるのかなぁ...とか、今から妄想ちゅう...(^^)


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どの秤を使ったのか?/仕事しましょう/アホな企画/新たなる一歩/王者対決、ひっそり?決定/小國再起戦

2013-09-06 13:00:49 | 話題あれこれ

IBF戦の当日計量がJBCの立ち合いなしに行われた件ですが、
何が問題か、或いは問題でないのか...どうも不思議な点があります。

この再計量ですが、規定体重をパス出来なければタイトル剥奪という事例があるわけですから、
試合成立に関わる、公式の計量なんですよね。
別に、単に度を越したリバウンド、オーバーウェイトは控えましょうね、という申し合わせ程度の話じゃなく。

では、そういう公式の計量を、いったいどの秤を使って行ったんですかね。
JBCを立ち会わせずに、JBCの用意した公式の秤だけ拝借したんでしょうか。
だとしたら、これこそええ面の皮ですが(笑)。
それとも、他の秤を使ったのですかね。JBC管轄下における、公式試合の成立に関わる計量に?

どちらにせよ、これで試合を認可するって、JBCってホントに駄目過ぎませんか。
役員には抗議する者もいれば、うやむやで容認してしまう森田健のような者もいて、
意思統一もされていないのが実情のようですが、こんな間抜けな人たちの存在もまた、
あの御一家や関連業者の跋扈を許してきた元凶やな、と改めて思い知らされた感じです。

この件に関しては、私見としては、試合成立を認めず、役員全員引き揚げというのが
正しい対応だったと思いますが、まあそんなことやる信念も度胸もないでしょうし、
森田健のような人間が「長」を務めるような組織に、そんなことを期待するだけ時間の無駄なのでしょう。

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あともう一つ、IBF会長はJBCへの連絡をしなかったことを謝罪しましたが、
同時に、当日再計量にはローカルコミッションの立ち合いがないのが慣習だ、とも表明しましたね。

私はこういうの詳しくないんで、実際そうなのか、誰かご教示いただけないでしょうか。
ネバダ、カリフォルニア、他の国や地域でも「そういうもん」なんでしょうかね。

ま、スポーツ新聞にそんな取材を期待するほど暇な頭は持っていませんが、例えば専門誌。
マガジンなら福田直樹さん、ビートなら三浦勝夫さん、他にも米国をベースに活動する記者諸氏に、
実際どうなのかという疑問に対するコメントを載せてもらえないでしょうか。

その上で、実際どこでもそういう慣習ですよ、というなら、まあしょうがないのか、となりますし、
そんな慣習ではない、というなら、やはり問題ですよ、ということになります。

そこんとこ、一体どうなってんのよ、と、多くのファンが疑問に思っているんですから、
専門誌には、その疑問に答えるという仕事を、最低限こなしてもらいたいものです。

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で、つまらん話の締めくくり。こんな企画の話。

...いっぺん、投票したろか、と、ふと思ったりもしましたね。
もっとも「三人ともダメ」という投票は、受け付けてもらえんのでしょうが。

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さて、めでたい話題。西岡利晃ジム開設とのこと。
もうちょっと詳しいニュースないのかと探しましたが、見当たりませんでした。

当面、プロ加盟はしない、とのことですけど、
彼が現役時代に切り拓いた道を征きたいと思う若者が、このジムの門を叩くということは
早晩ありそうな気がしますし、案外早く、方向転換の日が来そうに思いますね。

早熟の天才にして大器晩成、西岡利晃の再来が、そう簡単に現れるとも思いませんが、
いつの日か、そのような若者の背中を支えて闘いに赴く、西岡会長の姿を見たいものです(^^)

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ちょっと先ですが、10月14日のホール、和氣慎吾vsラモナルのOPBF戦興行に、
フェザー級の王座対決というカードが追加されていますね。
元世界王者の李冽理に、現日本王者の天笠尚が挑むようです。
こちらもOPBFタイトルマッチとして行われるようですね。

日時が10月第二月曜日...CSフジにて生中継、でしょうか。これまた楽しみです(^^)

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生中継といえばこれより少し前、10月5日には、角海老に移籍した小國以載の再起戦がありますね。
加藤、高山のタイトルマッチの興行ですが、これもG+の月間番組表によりますと、
野球のレギュラーシーズンとプレイオフの間隙を縫って、生中継されるようです。

ということで、10月はCSの国内放送が充実してますね。
スカイAでも、録画ながら先日行われた西日本新人王決勝戦が放送されますし。
この、分割された放送スケジュールには、いろんな意味で苦心の跡が見えますが...(^^;)


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勝つための「希釈」に変わりなし 大凡戦の末、空しい「快挙」達成

2013-09-04 13:33:23 | その他

試合前からあれこれ揉め事があったそうですが、まあJBCなんてそんなもの、という話でしょう。
本当はそれで済ましていいわけもないのですが、もうこうなると、アホらしいというのが先に立ち、
あれこれ書くのも面倒くさいんで、とりあえず今回は端折ります。
あまり期待もできませんが、各メディアの続報を待ちましょう。


そういうことで昨日の試合、名城の試合をネットで見たあと、ぼんやりと見ていました。
簡単に感想ですが、まず、あの対戦相手はいったい何なんでしょうね。

一応、元IBF王者らしいですが、どの団体、階級にも、レベルの低い王者が続く時期というのは
否応なくあるもので、この選手、多分IBFの115ポンド級のレベルがどん底に落ちていた時期の王者なのでしょう。
WOWOWエキサイトマッチでは、スタッフや本田会長などの関係者が放送カードの選別をするらしいですが、
この選手やその前後の王者の試合が一切流れなかった理由がよくわかりました。

この選手、とにかく、どこから見ても理に適っていない。
打つ前から上体が前に折れていて、身体の回転で打てないし、それを補う腕っぷしがない。
膝から下を、上下に跳ねさせてリズムを取るが、前後左右どちらの動きにも繋がらない。
左構えにスイッチしたまま、のそのそ前に出るが、力がそこそこ入っているのは右のみ。左は全部恰好だけ。
そしてその力感のないパンチを同じ距離でスカスカ空振りし、軽いリターンをもらう、の繰り返し。

いったいこいつ、何しに来たんや、と普通なら不思議に思うところですけど、
つまりは亀田兄弟の対戦相手によくいる、緊張感に欠け、意図の見えない選手というか「手合い」でしたね。
馬力もなければ巧さもない。試合前の表情からして異様な気の抜け具合で、いかにも、という感じでした。


で、そういう相手に亀田大毅が何をしたかというと、パンチの交換を回避するため、ひたすら距離をとる。
そして数少ないパンチの交換で先手を取ると、クリンチか、また離れ、の繰り返し。

マービン・ハグラーと闘っているレナードに「打ち合え」なんて、口が裂けても言えませんが、
いっちゃなんですがこんな、心技体ともに腑抜けた状態ありありの相手に、何もそこまで、という。
もはやこうなると、相手がどう、勝ちたいからどう、という次元の話ではなくて、
そこまで「ボクシング」が怖いなら、無理して人前に出て来なさんな、と言いたくなるほどでした。

結局、彼は内藤大助との試合あたりでは、「ボクシング」から離れるために、
揉み合い、組打ち、反則打を繰り返したわけですが、現在はそれが逃げ足とクリンチに変わっている。
メディアが安易に語る「成長」の正体は、つまりそういうことなんでしょう。
「ボクシング」の密度を薄めるために使う、希釈剤の種類が変わっただけで、本質は何も変わっていない。

それでも10回には右のヒットから攻めて、唯一のボクシングらしい攻防がありましたが、
相手が少し打ち返して来たら、また元通り。
判定云々はよくわかりませんが(あほらしくて採点する気になれませんでした)、
その昔、ホールのリングサイドクラブのおじさんたちが時に口にしたという
「どっちも負けー」なる言葉がぴったりな、中身の薄い試合でした。


それにしてもこの三兄弟、揃ってタイトルを手にする過程において、
それぞれに多少雰囲気の違いはあれど、共通するのは、ボクシングの技量力量で勝とう、
というのではなく、出来るだけボクシングの攻防の密度が低い展開を作って勝とう、という姿勢ですね。
次男の試合ぶりは、上下二人よりもまし、という評価も一部にあるようですが、
昨日の試合を見る限り、それはいったいどういう理屈から出てくる話なのか、と不思議でした。
本質的にはびた一文変わらないように見えましたね。


それにしても、スポーツ新聞などのメディアが、上っ面だけをなぞって
三兄弟同時王者、と報じても、ネットに配信された記事についたコメントの厳しいこと(笑)
目論見通りに三人とも勝ったけど、ぼんやり見ている人や、見ていないけど「話題」として知る人以外、
試合をきちんと見た人たちのほとんど全てが、その価値を認めていない「快挙」とは、何とも空しいものです。
いろいろやりにくいご時世で、ご愁傷様ですな、というしかないですね。



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かくももどかしき「終戦」 名城信男、デンカオセーンの粘りを崩せず

2013-09-03 19:26:01 | 名城信男

ネットで生中継を見終えました。

途中、回線が切れたので、5回を半分くらい見られませんでしたが、他のサイトに乗り換えて、
それ以外はほぼ完全に試合を見ることができました。
不完全ながら、例の採点方式を用いて、採点もやってみました。限界はありますが、参考までに。

簡単に展開。
1回、デンカオセーンが左で先制、名城は少し重く見える。ボディブロー出す。デ10-9.5。
2回、デンカオセーン右クロス、ワンツー。名城は右クロスカウンターも単発、精度が低い。デ10-9。
3回、デンカオセーンが連打、しかし名城中盤から手数が出る。距離が少し近くなる。デ10-9.5。

4回、名城の右がヒット、デンカオセーンの顔が上がる。名城攻めるが終盤、デンカオセーンの右ヒット。
終わってみればこの試合のベストラウンドか。名10-9.5。

5回、半分見られず。名城攻めているが右ミス。デンカオセーンの右が、よりインサイドに入る。デ10-9.5。
6回、デンカオセーンがアウトボクシング。名城左ボディ単発、右アッパーはミス。デ10-9.5。
7回、展開同じ。名城上体が立っていて、これではいい的。無策。デ10-9。

8回、デンカオセーン疲れたか、お休みの回?
距離が詰まる。名城左右ヒット。左ボディ再三決まるが、接近戦でデンカオセーンのクリンチに悩まされる。
せっかく打ち合える距離なのに、サイドに出ないものだから体格で押し負け、打ち込めない。名城10-9。
9回、デンカオセーンはごまかしの手を出してはクリンチ。名城攻める、しかし右クロス精度悪い。ジャブを食う。
名城、振りの小さい右ストレートが出ない。カスティーヨをカットさせたあれが欲しい。名城10-9.5。
10回、名城左右、ワンツー。デンカオセーンはジャブ。いかにも苦しいが、名城よりも小さく、内側に打てている。
名城前進も、追撃はクリンチにより断たれる。名城10-9.5。
11回、名城右ヒットもクリンチ、上体の動きがないからワンツーを食う。デンカオセーンはもたれかかってくるばかり。
クリンチが増える。名城10-9.5。

12回、名城出るが、デンカオセーンは二発ごまかし打ち→クリンチ、の繰り返し。
名城は見栄えの悪いもらい方をし、見ている場合ではないのに相手を見てしまう。デンカオセーン10-9.5。

あくまでネットで見た限り、ですが、この方式で採点すると117-115.5でデンカオセーンとなりました。
もし普通に10-9をつける方式でいくと、115-113でデンカオセーンとなります。
結果的には、あまり変わりないといえばそうなのかもですね。

公式採点ですが、116-113.5、116.5-114.5と、二者がデンカオセーン、113-115.5で一者が名城、
2-1でデンカオセーンだったそうです。
判定や、レフェリングにおいては、敵地の不利というのは感じられない試合でした。
レフェリーは終盤、デンカオセーンのクリンチをほとんど放置せず、こまめにブレイクをかけていましたし。


ざっと見て、以上のような内容と結果でした。名城信男、またしても無念の敗戦でした。

やはり敵地で、以前のスリヤン戦と違って、より暑い時期だった影響か、思った以上に動きが重かったです。
ただ、全体としては、やはり上体が立ったまま、ガード、ブロック依存の構えにならざるをえず、
攻めが正直で単調なこともあり、好打してもリターンをもらい、いい流れをすぐ切られる、という
「もどかしい」という言葉の意味を数十倍に膨らませてもまだ足りない、と思うほどに、
いかにも効率の悪い繰り返しだった、過去の世界戦敗北のパターンと似たものに見えました。

このあたりの不具合を、ただでさえ厳しい敵地での試合でいかに改善してくるか、という
淡い期待をしていたんですが、その辺がやはりというか、非常に残念な内容でした。
そこに変化を見せられないようであれば、厳しいようですが何故再起してきたのか、という意味付けも見えません。


そして対するデンカオセーンが、思いのほか好調というか、そこそこのレベルに戻っていました。
元々、敵地アメリカで、全盛期のエリック・モレル相手に大健闘した好選手でしたが、
近年見せた数試合では、もうボクサーとして黄昏というか、糸の切れたような姿をさらしていました。

しかし今日は、モレル戦や、坂田健史戦の頃と比べ、序盤に限れば7割くらいの状態にはあったように見えました。
名城のボディ攻撃や、非効率ながら執拗な前進に終盤は疲れ、地元でないと通用しないような
露骨な時間稼ぎのごまかしボクシングになりましたが、それでも想像以上の粘りでした。
やはりタイの選手、地元じゃ別人、という感じでしたね。


ただ、そうはいっても、試合全体のレベルとしては、暫定ということを含めて考えても、
とても世界云々というレベルには見えない、内容の乏しいものでした。
結果以前の、このくらいの相手にこの内容しか見せられないのであれば、
世界王座を目指して闘うレベルのボクサーとして、名城信男は「終戦」を迎えたのだと言わざるを得ないでしょう。

ラストファイトとして喧伝され、見る者の心情に訴えるものを強く残して敗れた、
昨夏のテーパリット戦の内容が、その懸命さにより我々の胸を打ったとしても、
その反面、決して「賢明」に闘えた試合ではなかった、という冷静な分析が本人及び陣営になかった、
あるいはあったとしても、今回の「世界」戦にそれがほとんど反映され、表現されることがなかった。

この一点において、仮にこの試合が日本で挙行されていたとしても、名城信男が勝っていた、とは
私は断言する自信がありません。今日の試合はそういう試合でした。非常に残念です。


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