さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

初戦は左の荒馬/即、強豪と/関西では先んじて放送/出るわ出るわ

2018-07-30 11:49:08 | 井上尚弥



先の週末、観戦や生中継があり、書きそびれた話題あれこれを、軽めに。


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旧聞もいいところですが、井上尚弥のWBSS初戦は、ファンカルロス・パヤノに決定しました
昔のK1と似た?方式で、相手を指名する形で決まったと。
ノニト・ドネアがライアン・バーネットに指名されたので、残るはパヤノと、
少し前の記事で紹介したミハエル・アロイヤンだったので、パヤノの方にした、とのことです。

パナマの大師匠アンセルモ・モレノに負傷判定勝ち、超速ラウシー・ウォーレンと一勝一敗。
荒くてタフで変則のサウスポー、と簡単に言えばそんな感じの選手ですが、
考え得る初戦の相手の中で、一番やりにくそうなスタイルの相手だと思います。
試合展開、技術がどうという以外の部分でも、危険性がある、というか。

試合日時については、10月頃、日本でという話らしいですね。
出来れば「大箱」でやってもらいたいものです。
世界中が見ることになりましょうからね。何これ、と思う向きもおられましょうし。
あと、放送形態はどういうところに落ち着くんでしょう。色々楽しみですね。


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しかし、井上の「大会初戦」が、国内で「落ち着いた」後に、井岡一翔の再起初戦が、
ロスのSuperfly3興行に決まり、相手がマックウィリアムス・アローヨとなりました
金曜日、試合後に同道した友人から聞いて「え、正式に決まったの?」と聞き返してしまいました。

フロイラン・サルダールをKOし、アムナット・ルエンロンを敵地タイでダウンさせ、事実上勝っていた。
フライ級時代のローマン・ゴンサレスには判定負けも、堂々と渡り合い、
スーパーフライ級に転じて、元WBC王者クアドラスに判定勝ち。
世界王座獲得歴こそないものの、実質、元IBFフライ級王者と見るべきでしょうし、
知名度、人気ともに、アメリカのリングで一定以上の水準にある、トップクラスのボクサーでしょう。

再起、というか復帰、そしてさらにいうなら「脱出」初戦、とも言える試合で、
いきなりこんな試合が実現することには、色々思うこともあります。
井岡一翔にとっては厳しい試練なれど「これ」を望んでの一連の行動だった、と見るなら、
あとはもう、やるしかないでしょう。勝ち負けどう以前に、しっかり見せてもらうで、という気持ちです。


それにしても、日本のトップボクサーから「ジム」「会長」を取っ払うと、
すぐにこういうカードが実現してしまうものなんですね。
日本のボクサーにとって、ジムや会長って、いったい何なんだろう...と
改めて思ってしまう、そんな一例ですね。


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久我、和氣戦に限らず、国内の地上波TV放送は、フジやTBSの関東ローカル、
深夜録画放送が大半ですが、数少ない関西限定のコンテンツが、辰吉寿以輝の試合です。
G+でも来週日曜に放送らしいですが、先んじて関西では、よみうりTVで、当日深夜放送でした。

相手はインドネシア・フェザー級チャンピオン、ノルディ・マナカネ。
以前は、あの一家が「使った」選手を、他のジムの選手が狙うと、邪魔やら横槍やらが入ることが
実際にあったらしいですが、ある時期から「解禁」され、その頃に、続けて来日を重ねた経歴の持ち主です。

とはいえ、アマ経験なし、プロ9戦目の辰吉寿以輝にとっては、やりにくさのある相手で、
実際に、試合でもなかなか思うように捉えられず、逆襲を続けて受け、打たれる場面もありました。

辰吉は左を突いて崩そうとしますが、世界戦でもシャッチョさんを怯ませた右スイングは、
けっこう思い切り振るので、辰吉の攻めを食い止める効果あり。
しかし5回、辰吉のパワーを込めた左ボディブローが決まり、強烈なフィニッシュ。
そこまでの試合展開は、とても見目鮮やかとは行きませんでしたが、KOシーンだけは、
そこだけを切り取って見たとしたら、なかなか強烈なものでした。

エンドレスファイター六車卓也さんの指導も受けている、という寿以輝ですが、
試合がTVで放送されるA級ボクサー、メインイベンター、という位置づけは、
まだ少々荷が重いかな、と見えてしまいます。
それでも随所に見せるパワーショットは、目を引くものがありはしますが。

今後はユース王座狙い、という記事もちらっと見ましたが、Sバンタムだと、水野拓哉ですが。
先日は初回KO勝ちしたようですが、若手の強いところと、続けて闘っている選手ですし、
さて、勝算となると...実現すれば、注目を集める一戦となりそうですけど。

※そういえば、WBCユースとなれば、清瀬天太ですね。
関西同士、組むならこっちかも?よくわかりませんが。


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東京五輪におけるボクシング競技の開催が危ぶまれる、なんてニュースも出ている中、
日本ボクシング連盟、及び終身?会長の山根明氏を巡り、
まあ、あれやこれやと出るわ出るわ。

ざっと見ただけでも数があり、しょうがないのでリンク貼っていきます。

1.ボクシング連盟、JSC助成金不正流用か
2.アマボクシング連盟を告発…審判に不正指示、JOCに調査要求
3.ボクシング連盟 代表コーチ日当“ピンハネ”、助成金不正に続き
4.今度はアマボクシングで発覚した不祥事…東京五輪を前に監督官庁は厳しい態度を


堰を切ったがごとし、ですね。
今までも高山勝成の選手登録の問題とか、その他諸々、常識の通じない組織であり、長であるとは
様々に知られ、語られてきましたが、他競技でも起こった様々な問題同様、
いや、それ以上に悪質というか「異様」が、世間にもっと知られ、問題視されるべき、だと思っていました。
こうして次々に報じられることで、五輪を目前に膿を出し切って欲しい、と願います。


...と思っていたところ、村田諒太が敢然と批判の声を上げました
金メダリストとして、という以上に「他ならぬ」村田の発言は、非常に重いものでしょう。よく言ってくれましたね。



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勝ちながら強くなる王者 木村翔、中国でまたKO勝ち

2018-07-30 05:04:14 | 海外ボクシング



金曜日、ホールのメインとほぼ同時刻、中国では木村翔が闘っていました。
試合後、ボディを攻めて6回KO勝ち、という報を聞きました。

動画はけっこう画質の良いのがYouTubeにありまして、ありがたく拝見。
ただ、実況(と解説?)の音声が大きく、場内音声があまり聞こえない。
ちょっと雰囲気わかりにくいな、という感じではありましたが。


挑戦者フロイラン・サルダールについては、以前、井上拓真との対戦前に、
動画貼ってあれこれと紹介したことがあります
元々、マガジンの海外コーナーでも紹介されていた強打者で、
今度、井岡一翔と闘うというマックウィリアムス・アローヨに負けるまで、
アジアを飛び越えて世界へ飛躍するかと期待された選手でした。

ただ、その後井上戦なども、フライ級より上の体重で試合をしていたので、
その辺はちょっと不安。しかし、良いコンディションなら、天性の強打は
木村にとっても脅威たり得るだろうと見ていました。

初回、木村は当然、警戒してガードを高く上げて前進。
しかしサルダールの右を防ぎきれない。2回も同様。
ただ、木村は打たれても前に出て、左ボディをしっかりヒットしていました。

3回、木村が早々に出る。ひとつギアを上げた?感じ。
サルダールをロープに追い、上に連打。と思ったら左ボディフック。
また上を打ちまくり、下へ。サルダール早くも失速。
木村、右クロスを飛ばし、返しの左フック(上)もヒット。

4回、サルダールはジャブ、ストレートで突き放したいが数が出ない。
逆に木村のジャブをもらう。木村は左右フックをボディへ集める。
5回、サルダール捌こうとするが、木村ボディへワンツー、上に連打。
木村さらに左ダブル(上→下)を繰り返し、サルダール膝をつくダウン。
6回、木村出て、コーナーに詰め、打ちまくる。
サルダールも最後の力を振り絞って反撃、しかしすぐ木村がまた攻める。
左ダブル(上下の順番が違うやつ)を繰り返し、サルダール倒れ、KOとなりました。


序盤はサルダールの力が出ていましたが、3回からは完全に木村の圧勝ペースでした。
ボディ攻撃はもちろん、上下左右と、打ち出したら止まらない木村の攻撃は、
サルダールを早々に痛めつけ、消耗させていました。

そして、昨年のゾウ・シミン戦と比べれば一目瞭然、というと大げさかもですが、
木村翔が、世界王者として勝利を重ねるごとに、着実に強くなっている、
それもはっきりと見える試合でした。

果敢に攻める姿勢を貫く闘いぶりは変わりませんが、以前よりも確実に、
上体が前にのめる頻度が減っています。
同じ前進して攻めるにも、足の運びで身体の軸を前に運んで、そこで身体を回して
打っているので、左ボディフックの威力などは、格段に上がっています。
サルダールが3回早々に失速したのも、木村のボディ攻撃の威力と精度故、と見えました。


地位は人を作るとか、安易に言って良いのかどうかわかりませんが、
木村翔は、攻撃を軸に試合を回していくファイターとして、着実に進歩しています.
距離の取り方に繊細さが欠けるとはいえ、ストレートパンチに威力を秘めるサルダールは、
木村にとり、相性的なことも含めて、脅威たりうる相手かと思ってもいたのですが、
実際見てみると、ほぼ「ものともしない」感じで、普通に倒して勝つ、という試合ぶりでした。


次は9月24日、名古屋で田中恒成と、という報道が、果たしてそのまま実現するのかしないのか。
その辺はよくわかりませんが、もし田中が、木村のファイタースタイルによる試合展開を許し、
その力を躱し、封じることが出来なかったら、厳しい結果もあり得るか、と思わざるを得ません。

もちろん、田中恒成のスピード、センスは相当なものがあり、激戦を勝ち抜くタフネスも同様です。
しかし、つい一年ばかり前までは、比較対象にすらならなかったはずの両者の対決が、
要注目の一戦となったこと自体、木村翔の、驚異の飛躍を示すものです。
そのことには、多大なる敬意を払わねばならない。率直にそう思います。
伊藤雅雪の快挙に先立って、これまた、お見事な勝利でした。



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最後に、動画貼っておこうと思ったら、画質の良かったやつが消されてしまっていました。
他にも複数ありまして、その中で一番良いのを貼っておきます。

それにしても、音声の加減もあるんでしょうが、場内の雰囲気は、かなり静かなように感じます。
まあ、日本で、中国人とフィリピン人の世界戦を、誰かの興行のセミでやったとしたら、
同じような雰囲気なんでしょうか...いや、こういう試合だったら、やっぱりもっと、
歓声というか、感嘆、称賛の声が上がるような気がしますが...。






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待って狙わず、攻めて狙った 伊藤雅雪に脱帽 敵地で強打ディアスに快勝!

2018-07-29 20:22:12 | 海外ボクシング



ということで、今日もまた生中継で、素晴らしい試合を見せてもらえました(^^)


伊藤雅雪については、一昨年の大晦日に直に見たとき、思うところをざっと書きました
この頃までは、凄く良いところもあるが、あまりにも偏りが過ぎるスタイルへの疑問が、
良さを上回っている、という見方でした。
その前に直に見たのは仲村正男戦でしたが、こちらもまあ、似たような感想だったと思います。

しかしここ一年ほど、G+で見た数試合では、フィリピンのランカークラス、
それもけっこう骨のある相手に対して、自ら先手を取って攻め、好機には右を狙い、
効かせたり倒したりしたあと、さらに積極的に詰めて倒す、という試合ぶりが見られました。
あれ、ちょっと様子変わってきたな、これはええ感じやなぁ...という。


今日の試合ぶりは、その延長線上にあるもので、強打クリストファー・ディアス相手に、
ひとつの集大成を見せた、といえる闘いぶりでした。

序盤から意外なほど「詰めた」間合い。ジャブ、右ストレートで叩き、前に。
左ボディも決める。くっついて押し合いになっても、右アッパーを連打。
ディアスの左フックが来ないように、相手の右肩の方に、常に頭を置くクレバーさ。
結局この試合全般を通じ、インファイトではほぼ完全に打ち勝つ。以前の姿からは考えられない。

身体が離れればディアスの強打も飛ぶが、伊藤はたまに食うものの、けっこう巧く外す。
この辺は以前から変わらない、抜群のセンス。

4回、右右左右の四連打が炸裂し、ディアスを倒す。
インサイドへ真っ直ぐ、外からフック、クロス気味のを交えた右連打。お見事。
しかし立ったディアスが反撃し、怖いところも見せて、まだ油断ならんという感じ。

5回はディアスが押し返す。序盤から飛ばした伊藤、6回にやや疲れも見せるが、
7、8回は伊藤がまた優勢。ディアスは右まぶたを切り、左目周辺も腫れてくる。

地元の声援もあって、終盤ディアスが奮戦。伊藤は右カウンター狙い?の様子もちらほら。
この辺、少し無理があり、リスキー。僅かにだが、悪い面が出たか。疲れもあってのことでしょうが。
9、11回は一度ずつ、バランスを崩す場面もあり、見映えもいまいち。

しかし最終回、右ストレートを中心に五連打し、右アッパーで追撃。
その後また連打を決めて、クリアに取り、試合終了。文句なし。

これで負けとか引き分けとか出たら、本気で怒るで、と思っていましたが、
さすがにやりようもない...というより、こちらの見方以上に大差で伊藤の勝利となりました。


試合後、ティモシー・ブラドリーに絶賛されていたとおり、本当に素晴らしい闘いぶりでした。
目の良さ、手足と身のこなしの速さ、カウンターを取るセンスといった天分に恵まれているが、
それ故に、必要な「部品」を揃えるには至らず、大成ならず...というような選手も、
過去に数多見てきましたが、伊藤雅雪は、そういう前例とは違いました。

速く、なおかつ正確で強いジャブで先制し、右ストレートの後続打、
さらには右を前に探り左を返すなど、積極的に、能動的に試合を作っていく。
相手の強打、左フックを警戒し、ガードで防ぎ、外す防御も概ね、間違いなし。
その上で、好打したらさらに追撃し、ポイントを明確に抑えていく。

この闘いぶりは、単にセンスに恵まれ、それにかまけた「ひよわな花」には不可能なものです。
海外でのトレーニング経験、陣営のバックアップなどもあって、
彼は自分の能力を最大限に発揮し、この強敵に打ち勝つための、心身の強さを備えていた。
ここ数試合の「改善」傾向を見てはいても、敵地ど真ん中のロケーションで、
この強打者を相手に、この闘いぶりは、目を見張るものがありました。

以前見たときの、悪しき「受け身」は影もなし。
好機を待って狙うのでなく、攻めながら好機を作りだし、それを逃さず打ち、厳しく追撃する。
伊藤雅雪の心中には、この上に終盤、右カウンターの一撃で仕留める、という
さらに一段上の理想が思い描かれているのかもしれませんが、
その是非、良し悪しはひとまず置いといて、これだけでも充分「理想」的やなぁ、と
見ていてただただ、感心させらっぱなしの12ラウンズでした。


この闘いぶりなら、世界中、どこのリングに上げても堂々と闘えるでしょう。
今日はもう、伊藤雅雪に脱帽です。お見事でした。参りました(^^)




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防衛ラインから鋭い急襲 激戦制したのは和氣慎吾、久我勇作を最終回ストップ

2018-07-28 18:28:36 | 関東ボクシング



ということで昨夜は後楽園ホールにて観戦してきました(^^)←冒頭から笑顔


これぞ日本の頂点を争奪する試合、組まれた時点で両者(と陣営)に拍手、
という類いのカードは、時折組まれるものですが、この試合こそその最たるものでした。

石本康隆を再戦でTKOし日本王者になり、三度目の防衛戦となる久我勇作。
対するはOPBF5度防衛の長身サウスポー、和氣慎吾。
国内に有力選手ひしめく122ポンド級において、ついに実現した「直接対決」のひとつでした。

試合前の予想としては、両者ともに未完成な部分もあるので断じにくいところもありました。
ただ、過去の試合を見る限りでは、リーチに勝る和氣だが、相手を突き放す右リード、
距離を取るフットワークに厳しさが足りない。入ってくる相手に「合わせ」をしたいがために、
どうしても相手を引き込む傾向がある。
距離を詰めて強打したい久我が入ってきたとき、そこで何が起きるか、どちらが勝るか。
結局はそのあたりが、今回の試合の勝敗を分けるのだろう、と見ていました。


初回、久我が出る。距離詰めて厳しいプレス。思ったより両者近い。
しかし和氣は際どく外して右フック、サイドへ。目にも止まらぬ、というくらい。
久我右ヒットも単発。久我も気合い十分だが、和氣の好調さにびっくり。

2回、久我の右が飛ぶも、和氣が外して鋭く左。久我ダウン。
和氣、防御から攻撃への切り替えが異様に鋭い。
3回、久我が出る。両者鋭いパンチの応酬。久我が右から左を返す。
和氣の左も当たるが、久我の右で和氣のけぞる。この回久我。

4回、またもビッグラウンド。和氣の左が「命中」し、久我がぐらつく。
和氣の追撃鋭く、ラスト50秒くらいか、久我打たれっぱなし。
いつストップか、タオルかと思ったが、どちらもなし。久我の粘りにも感嘆。
和氣の10-8もあり、という内容。

5回、和氣が左ヒット重ねる。ここでこの試合、唯一の?バッティング。
けっこうきつく、和氣の方にダメージあり。ここでカットも。眉間のあたり?
ドクターチェックは入ったが、休憩はなく再開。ちょっと疑問。

6回、和氣はまだバッティングの影響ありか、スリップダウン。
ドクターチェック二度目。和氣、足使って右ジャブで捌く。やや和氣。
7回、久我が右から攻める。和氣は少し足が止まり加減な印象。
それでも右フック、左ショートの合わせを見せる。良し悪しだと思うが。

8回、和氣が左カウンターを決める。ドクターチェック三度目。
久我左ダブルで攻める。和氣ワンツー。
9回、久我果敢に出て、左で煽り、右から左。顔は腫れ気味だが、闘志は萎えず。
和氣左をカウンター。
10回、和氣の左が決まり、追撃。タオルが入ってTKOでした。


試合の流れを決めたのは、やはり2回の左によるダウンシーンだったでしょう。
しかしそこに至るまでの序盤から、和氣慎吾の闘いぶりは、
高い集中故か、従来のそれよりも良くなっていた、と思える部分がありました。

右のリードジャブが、今までより高い頻度で出ていましたし(世界戦ではもっと欲しいですが)、
フットワークやサイドステップの切れも、追う久我にとって、厄介なものでした。
そして一番目を引いたのが、相手のパンチを外す防御から、主に左カウンターを決める、
攻防の切り替えが、異様に鋭かったことです。

今までは、どうしても相手を懐に引き込んでしまうので、好機が同時に危機でもある、
という風に見えましたが、今回は厳しく距離を維持する心がけが見え、その上で、
久我が攻めてきたところを外してカウンターが取れた。
しかもその鋭さが、以前よりも増していた印象でした。

試合後に語った、故郷岡山の被災についての思いも含め、注目の大一番たるこの試合に、
和氣慎吾が並々ならぬ決意で臨んだことは、全て試合の中に出ていました。
高い集中が切れずに続き、バッティングの事故も、ものともせずに闘い抜いた。お見事でした。


敗れた久我勇作は、王者としてはまだ若い部類ではあっても、
好調の和氣に対して、最後まで楽をさせない、こちらも天晴れな奮闘ぶりでした。
和氣の右ジャブ、左ストレート、フットワークに苦しみ、強打爆発はなりませんでしたが、
最後まで勝負を捨てず、緩むことなく攻め続けました。
内容を評すれば完敗、となりましょうが、試合を見た者の目には、紛れもなく彼もまた、
「激闘」「名勝負」というべき闘いの、もう一方の主役でした。こちらもお見事でした。


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ホールのチケット販売所は夕方の時点でクローズされ、チケット完売、
当日券の販売もなし、とポスターに張り紙。
会場内も、空席はほぼ皆無に見える大盛況でした。

場内は双方の応援団は当然のこと、「中立」の観客も含め、
終始緊迫し、激しく展開される攻防の「熱」に煽られるように、
終始歓声と悲鳴と拍手が繰り返して沸き起こっていました。

試合前の期待どおり、いや、それ以上の試合内容だったと思います。
やはり「日本一」を争奪する試合とは、こうでなければ、と。


そして、この試合の熱狂が、2000人にも満たない会場で完結し、それ以外に伝わらない。
TVはともかく、オンデマンド勃興の時代に、どこにもライブ配信されない。
関東ローカル翌日深夜放送でおしまい。改めて言いますが、本当に異常です。

試合後、会場を去る観客の皆さんは、一様に笑顔で、高揚しているように見えました。
双方の応援の方々も、勝ち負けはともかく、得心いった、と言えるものだったでしょう。

良いカードというのは、組むものです。優勝劣敗の掟は厳しいものですが、それでも。
これが、特別なことではなく、恒常的に実現するようなボクシング界であったら。
そして、その熱狂が、世にあまねく...とは言わずとも、もう少し広く伝えられる道があったら。

素晴らしい試合を見て、とても良い気持ちになると同時に、
やはり、そんなことも思ってしまう観戦後、でした。



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未熟なれど果敢、老練の元王者を逆転 清瀬天太、オーレドンをTKO

2018-07-22 09:18:12 | 関西ボクシング



ということで、昨日は猛暑の中、果敢にも姫路にて観戦してきました。
会場は姫路のウィンク体育館。以前は「姫路市立中央体育館」といっていた会場です。
前に一度、江口啓二vs氏家福太郎戦の逆転KOをここで見たことがあります。
もう11年前ですが、会場周辺の様子はあまり変わっていませんでした。

運動公園の中の施設で、野球場やら武道館やらがあれこれと並んでいるんですが、
会場の真向かいが野球場で、場内の声援やら応援歌やらが漏れ聞こえてきました。
考えたらこの炎天下、というより灼熱のさなか、全国津々浦々で高校野球やってんですよねえ。
もうすぐ始まる高校総体なんかじゃ、サッカーとか陸上とかも。
大丈夫かいな、という感じです。ボクシングが屋内で出来る競技で良かった...。
ボクサーの皆さん、練習や調整、ホントに大変だろうなあと。頭が下がる思いであります。

会場には午後2時半くらいに辿り着きました。冷房が効いてて涼しく、ほっとひと息。
しかし、メインイベントの頃になると、当然観客も増え、場内の熱気も少し感じるくらいに。


そんなことでメインイベントですが、WBCユースSバンタム級王者、清瀬天太が、
元WBCミニマム級王者で、今はWBAバンタム級9位、井岡一翔戦以外は無敗のサウスポー、
オーレドン・シッサマーチャイに挑むチャレンジマッチ、でした。

井岡に負けたあとの映像は、YouTubeでちらほらと見た程度ですが、
Sフライでも身体負けはせず、よく動いて、当てて動いて、という、変わらぬ感じでした。
ただ、今回はバンタム級の試合、しかも長身、大柄な部類の清瀬相手。
実際見てどうかと思っていましたが、リングに上がると、清瀬との対比で、やっぱり小柄。

初回、清瀬が仕掛け、右を飛ばす。連打の最後に左のレバーブロー。正確にヒット。
対するオーレドンは、足を使わず、やや前傾し、圧力をかけて出る。ちょっと意外。
そして、清瀬が来ると、振りの小さい左のクロス、右フックを、力込めて狙う。
パワーのオーレドン、速い連打の清瀬、という構図。

清瀬はスピードにまさり、距離も遠くから打てるはずが、右ストレートは目で外される。
左ボディは時折入るが、上に返すと、ほぼ全部芯を外されている。
そして、左へ回るステップがなく、打った後身体を左へ逃せず、正面から打っていくので、
左ジャブだけで止まれば良いが、右ストレートを打つと、身体が前に残ってしまう。
序盤、そこをオーレドンに打たれる繰り返し。

3回、左クロスから、返しの右フックで、清瀬ぐらつく。
待てば踏み込まれて打たれ、攻めれば「合わせ」を食う繰り返し。
序盤は、元王者の老練が、未熟な若手を圧倒、という展開でした。


しかし、劣勢の序盤、悪い回りの中でも、清瀬は果敢に動き、手を出し、
上へのヒットは少ないが、左右のボディブローを見せ、連打する場面もあり。
4回、サイドへの動きこそないものの、距離の取り方に慎重さが見える。
そこから右のボディストレート、連打でオーレドンをロープに下がらせる。

ここはオーレドンが「休憩」したのかと見えましたが、5回もさらに清瀬が出る。
オーレドン、攻め返そうとするがかなわず、また後退。試合の流れがはっきり変わる。
6回、清瀬は遠目から右ストレート。ボディのみならず、上にもヒット。

7回、清瀬が右ヒットして、ロープ際で追撃。
正面から来る清瀬に、オーレドンも左を合わせるが単発、清瀬強引に連打。
上への連打は、オーレドンが巧さを見せて、芯は食わないが、ボディにはヒットする。
清瀬も反撃を受けつつ、果敢に攻め続ける。
オーレドンは中立コーナーに詰められ、動けず、反撃も僅か、攻められっぱなし。
もはや決壊寸前か、と見えたところでゴング。
インターバル中、オーレドンが棄権し、TKOとなりました。


序盤は小柄ながら、目で外し、じりじり攻め込んで来るオーレドンの巧さとパワーに
若い清瀬が圧倒されているように見えましたが、けっして弱気にならず、
4回から距離の取り方をより遠目に変え、当たるボディブローを軸に、
じりじりと攻め返して、逆転につなげた清瀬の闘いぶりには、大いに感心させられました。

目に鮮やかな才能、抜きん出た強打というような、派手なものはそんなにはないが、
地に足の着いた果敢さとでもいうか、ありがちな表現ですが「地力」がある。
階級を上げてきた相手とはいえ、70戦して68勝の元王者を下した、
それも、やる気ゼロの張りぼてではなく、技巧と強打が生きていた相手ですから、
貴重な経験を積み、ステップアップした、と見て良いでしょう。


ただ、対サウスポーの闘い方としては、よく言えば果敢、頑張りで勝った、となりますが、
悪く言えば、色々と無理を感じたのも確かです。

序盤のみならず、4回以降の反転攻勢においても、オーレドンをロープに詰め、連打する際に、
身体半分、軸を左にずらして打てば、より深いところに足を置いて打てるし、
お返しの左も外せるのに、正面に位置を取って打つので、右が遠く、当たらず、お返しが来る。
非常に効率の悪い闘い方に見えました。体力差で、その部分を埋めた勝ち、でもありました。
相手の左右にかかわらず、この辺りは今後の課題かと思います。


しかし、地元の期待に応え、元王者を押し切った闘いぶりは立派なものでした。
日本上位とのマッチメイクは、色々難しいところもあったらしいですが、
今後はさらに期待したいものですね。


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姫路木下ジムの興行では恒例の、キッズスパーリング大会なども含め、
前座もけっこう見所がありました。結果など簡単に。
もし間違っていたら、ご指摘くださいませm(_ _)m

Sフェザー級4回戦
●戸川叡二(姫路木下) 2回TKO ○片山奎志(結花)
2回、片山の右スイング?で戸川ダウン。追撃でストップ。
迫力ある強打の応酬でした。

ウェルター級4回戦
○樫村公治(姫路木下) 判定2-0 ●新山十士(広島三栄)
ややラフな展開。新山は頭が前に出る癖あり。
4回に樫村がダウンを奪う。

女子ミニマム級4回戦
○成田佑美(姫路木下) 判定3-0 ●下岡由美子(厚木ワタナベ)
シャープな攻防で見応えあり。成田のヒットがまさるも、下岡も健闘。

ライト級6回戦
○竹中関汰(姫路木下) 判定3-0 ●中村洸介(結花)
初回、竹中の右で中村前にのめる。ダウンの裁定も、グローブがフロアについたか、視認できず。
微妙な印象。
サウスポー中村、右フック決めるも、3回、竹中の左レバーパンチを食う。
両者果敢に攻めるも、果敢すぎて距離が潰れ、クリンチの数も多い。
最終回中村がホールドで減点される。どっちがどう、とも思えなかったが。



キッズスパー大会では、5番目の高原剛政(姫路木下)と宮下惊至(竜一屋)という
16歳同士の対戦が目を引きました。
共にレベルが高く、ちょっとしたプロの好カードぽい、好打の応酬が見られ、
見終えて「どっちも勝ち」な印象。「判定」も三者揃ってドロー。
ええもん見たな、名前覚えとこ、という感じでした(^^)



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9月8日復帰/日本では?/名古屋の星、苦闘/立場故の苦しみ

2018-07-20 18:40:58 | 井岡一翔



明日は猛暑のさなか、姫路まで観戦のため、日帰り小旅行となりますが、
その前に話題や見た試合についてあれこれ。


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井岡一翔、現役復帰を発表。本人による会見。
「所属」はSANKYO、パチンコ機器メーカーがスポンサーにつく形ですかね。
日本のジム所属、という形には、ならなかったようです。
9月8日のSuperfly3に出場予定。今後の活動は米国ベースとのこと。

引退からの復帰というよりは、実質、契約解除のための活動停止期間だったということでしょう。
元所属ジム会長がそれを容認するために必要なものを、誰が用立ててくれるものか、
その上で上手く顔を立ててやらないといけない、という二重のハードルがあったんでしょうが、
どうやらその辺の折り合いがつけられたようです。
9月に試合というのも、思うより早めに目処が立っていたのでしょう。
ブランクの時期が、思ったより短くて済んだ(試合間隔で言えば1年半くらい)のも、幸いでした。

米国での活動に関しては、日本の有力者が橋渡しに力を貸すらしい、という噂を
早々に聞いていましたので、実務面はまず、問題ないと見ていいんじゃないでしょうか。

そうなれば後は、本人の実力が問われます。
今までとは違う「平場」に出ての闘いに挑むことになるわけです。
しかし、ジムとの離別を望んだ動機が、そういう闘いを求めるが故に、であるとするなら、
目先の勝ち負けの有利不利をとやかく言うよりも、井岡一翔の挑戦を、その闘う様を、
しかと見届けたい、まずはそういう気持ちですね。


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ジョシュアvsポベトキン締結、そのプレゼンが行われた...のですが、
試合の配信はDAZNが行うとのこと、です。

他にも徐々に王者級が契約、ということですが、記事に出ている顔ぶれは、
ジョシュアをも含め?アメリカのトップシーンで大スターになっているわけではない選手、
という言い方が出来るかもしれません。若干辛い見方ですが。

しかし、安価で高いレベルの試合が安定供給されるのなら、今後はDAZN配信試合が増え、
ボクシングがオンデマンド配信の世界でも、重要なコンテンツに成長していくかもしれません。
映画やドラマでは、そういう流れが出来ているはずですし、スポーツも同様でしょう。

で、問題は、我が国の方はどうなっとるんだ、ということなんですが、
今のところ7月1日のマイケル・コンランの8回戦メイン興行を最後に、なしのつぶてです。
記事にある10月の第一弾興行から、米国と同様に、日本でもライブ配信が続くのか。
それとも、それを阻む、或いは良しとしない存在が、何らかの関与をするのか。

誰か、その辺を取材して、記事にしてくれへんかなあと思っています。
まあ、誰も何もしないでしょうが。


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で、国内ボクシングのオンデマンド配信といえば、我らがBoxingRaiseですが、
先の終末の試合が、後日配信という形ではありますが、見られましたので、二試合ばかり。

15日、刈谷の試合。
名古屋期待のサウスポー、薬師寺ジムの森武蔵は、比国Sフェザー級王者アラン・バレスピンと8回戦。
新人王獲得後2試合目で、けっこう上の相手を当てるなあ、という感じ。
バレスピンは、日本タイトルを獲る前の末吉大との試合で、初回に打ち込んで
末吉をピンチに追い込むなど、攻撃力はなかなかだった記憶あり。

初回から、森は若手としては秀でたスピード、センスを見せるが、距離を詰めすぎる印象。
左ボディアッパー狙いで、外して打ち込む自信があるのでしょうが、
バレスピンの抵抗と耐久力は、これまでの相手とは違う。
大きく動いて外し、攻めて、離れて、とやるべきだったでしょうが、若干、自信過剰気味。

それでも4回までは、少しずつリードしている感じでしたが、5回から外しきれず、打たれ始め、
6回は詰めた距離でバレスピンの右フックを続けて食う。
4発打たれた最後のが、腰を落として肩の入った重みのある一撃で、森、完全に効いていました。

倒されて不思議ないようにも見えたが、これを耐え抜いたのは若さと練習量か。
7、8回と苦しい展開ながら粘って終了。

採点は77-76×2、77-77の2-0で森。さうぽん採点は76-76。
7戦目(7勝5KO無敗)にして、試練の一戦というところでしょう。
今までは自分の良さを振りかざしていれば勝てた、倒せた、という試合が多かったでしょうが、
これからはそれでは済まない。それを知って、今後に生かせたら、これも良い経験と言える時が来るでしょう。

階級から見ても、少ない試合数で穴を狙って、記録がどうこう、とやるのは不可能でしょうし、
じっくりと伸びていくところを見たいものです。苦闘の中でも、センスの良さ、鋭さは光っていました。
数試合重ねて、バレスピンと再戦して、その上で国内や地域タイトル、というのが、
ファンの勝手として思いつくところですが、どうなりますか。今後の舵取り、注目ですね。


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16日、大阪の日本ライトフライ級タイトルマッチは、久田哲也が小野晃昴に判定勝ち

立ち上がり、がっちりした久田と、やや痩身の小野が、意外に詰めた間合いでパンチを交換。
小野のコンビネーションが目を引く。久田はヒットもあるが「ワンツー止まり」が多いか。

3回、小野の右が飛び、左フックがすぐ返り、久田がダウン。
ダメージ自体はさほどでもないが、パワーの差をスピードで埋められる展開での失点。

4、5回は、久田が重いボディブローで攻めるも、小野を押さえ込めたかというと微妙。
途中採点が1-0で久田と出たのは、疑問でした。特に、48-47で久田、という採点。
3回以外、小野が取った回は無い?それはちょっと...と。

後半は小野がボディブローのダメージ、疲れもあってやや失速気味。それでも最後まで踏ん張り、健闘。
久田はけっこう打たれながらも、重いパンチを生かして攻めきって、僅差ながら逆転勝利、と見えました。

しかし、小野がややパワーに欠ける面に救われた、とも見える試合。
WBA王者カニサレスに挑戦するとなると、やはり厳しい想像をしてしまいます。

長いキャリアで、挫折を乗り越えて連続KOで勝ち上がり、二度敗れた強敵、堀川謙一にも勝って、
勢いを感じさせていた久田ですが、日本王者として試合を重ねる内、挑戦を受ける立場で、
研究もされ、果敢な相手に苦しむ、今はそういう時期なのでしょう。
その上WBA1位という地位にもあるわけで、上昇期とは違う苦しみを、実感しているのかもしれません。

試合自体は熱戦で、挑戦者の健闘も光る、好ファイトでした。
出来れば、同じ関西の小西伶弥との対戦などを経て、世界戦へと進めたら、と思います。



まあしかし、会場へ行けなくとも、こうして試合の動画が見られるのは、ありがたいことです。
もっとも、久我ー和氣戦のような試合が、地上波TVの関東ローカル、録画放送の枠に収まってしまい、
それを、誰もどうすることも出来ない現状には、変わらぬ歯がゆさを感じますが。

やっぱり、何とかして、ライブ配信なり、するべきだと思います。
DAZNに限らず、あれこれと道はあるはずですし、そもそもBoxingRaiseは、
この試合の主催者が立ち上げたものなのに。
そりゃ、TVが全国ネットで生放送でもするというなら、話は別ですが...。


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驚異の復調、されど「復活」なのか否か パッキャオ、9年ぶりのKO勝ち

2018-07-15 17:05:25 | マニー・パッキャオ



ということでWOWOWの生中継を昼前から見ておりました。

ほぼ一年ぶりの再起戦、即WBA王座挑戦のマニー・パッキャオは、
前回の不調から一転、快調な試合ぶりで、強打ルーカス・マティセを一蹴しました。


パッキャオ、初回から右リードが良く出る。真っ直ぐなジャブ、フック気味のショート。
左右ボディを叩き、ジャブが上に返る。肩振って左ストレートも。

マティセは先制され、前に出たいが出られず。
下がって受けて強い選手ではないだけに、この展開はきつい。
3回、外からの右を警戒していたところ、インサイドに左アッパーを食ってダウン。

4回以降、パッキャオ変わらず好調、多彩な右、当てて遠ざかる左が決まる。
5回、僅かにマティセが右当て、さらに出られるかと見えたが、右フックで膝をつかせる。
6、7回もワンサイド、最後は左アッパーでKO勝ちでした。


試合前は、ジェフ・ホーン戦のパッキャオの不出来を思えば、さらに一年経って、
39歳になって闘う試合に、何を期待出来るのだろう、と思っていました。
稀代の英雄、アジアのボクシング史上最高のボクサーが、ついに終幕を迎える試合、
それも、しばし目を背けたくなるような展開を見せられるのではないか。そんな風にさえ。

しかし、実際はというと、考え得る中で、もっとも好調なパッキャオの姿が見られた一戦でした。
よくぞ、これほどの復調を示せるものだなあ、と驚かされました。
単に体調が良いだけでなく、右リードを多彩に出し、そこから次の攻め手を適切に選び、
相手の裏を取る狙いで、長短、内外を打ち分けて崩していく闘いぶりは、
今回陣営から離れたという、フレディ・ローチの教えが生かされた、質の高いものでした。

もちろん、ルーカス・マティセの、強打者としての天分に隠されてきた、
技術面での不足、展開構築力の乏しさがあり、パッキャオからすれば、
思う以上に「手が合った」面もあるのでしょう。
しかしこの試合は何よりも、パッキャオが今だに、普通の常識では計れないボクサーである、
その事実が改めて見えた試合でした。


そして、同時に、この試合の勝利が、真の「復活」を祝う「祝祭」ではない、
そのように喜ぶには、あと一歩、届かないところでの闘いだった、とも思いました。

かつて、ロベルト・デュランはレナード第二戦の「ノーマス」事件で王座を失い、
さらにベニテスにも敗れ、その評価、名声を失った状態から、
ピピノ・クエバスに勝って浮上し、デビー・ムーアを倒して「復活」を果たしました。
会場であるニューヨークのMSGは、パナマのフィエスタ、英雄復活を祝う、祝祭の場と化したものです。

今日、クアラルンプールの大会場は、パッキャオがマティセを倒すたび、大歓声に包まれました。
勝利の瞬間は、デュランがムーアを下したMSGの光景に、重なって見えもしました。


しかし、試合後、今後の試合について、何一つインタビュアーに言質を与えなかったように、
往時のデュランのように、飽くなき頂点への渇望を抱えて闘っているわけでもない、
現状のパッキャオがゆく「路線」の延長線上にある試合だった。それもまた事実です。

デュランがムーア戦の後、帝王マービン・ハグラーや、強打トミー・ハーンズ戦へと突き進んだように、
パッキャオがエロール・スペンスやテレンス・クロフォードとの闘いに、
自らの栄光の全てを賭けて挑むようなことになれば、それはもう、結果や内容以前に、
ボクシングの歴史上、繰り返されてきた「王位」の継承劇となるのか否か、という観点から、
誰もが勝敗を超越した、崇高なる闘いとして、その試合を見つめることでしょう。

しかし、昨今のボクシング界は、そのような「宿命」の「然るべき闘い」から、
チャンピオンやスター選手を遠ざける理屈や事情、手管には事欠かない世界でもあります。
ここ最近のパッキャオとて、その世界の中において、自身が設定した「枠」の中で闘っている、
そう言わざるを得ない面がありました。

今日の試合内容と結果が、パッキャオの今後を、そのような現状とは違うものに変えるのか。
もしそうなるなら、今日の試合を後に振り返ったときに、違う心境を抱くこともあることでしょう。


しかし、彼の現状、国会議員としての責任、39歳という年齢、英雄として護らねばならぬ名声、
その他諸々を考えれば、単にひとりのボクサーとして彼を見て、思うことだけで、
全てを語りきるには無理があるのも確かです。それは重々、わかってはいるのですが...。


改めて、今日の試合は、予想以上に良い内容での勝利でした。
それだからこそ、試合前には思っていなかったことを、あれこれと思いもしました。
今後がどうであれ、マニー・パッキャオは、稀代の英雄であるが故に、
その存在そのものが、さまざまな思いを抱かせます。それだけは変わりない事実、ですね。



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威力と精度の差、技巧と戦術で埋められず 山中竜也、ダウン喫し判定負け

2018-07-14 06:54:55 | 関西ボクシング


昨夜は会場へは行けず、CSフジの生中継を、数分遅れで見ておりました。
残念な結果でしたが、取り急ぎ感想を。


ビック・サルダールは、田中恒成戦でも披露した強打と、ボディ攻撃で沈み、逆転負けを喫した脆さ、
長所短所を全部見せて帰った、あの一戦が誰の記憶にも鮮明な選手でした。
しかし、離れた位置から打つパンチの威力...サッカー風に言えば「決定力」は、
最軽量級の水準を超えたものがあり、山中がいかにそれを外し、封じるか、に注目しておりました。


初回、長い距離で見合い。ここではサルダールのパンチ力が映える。
2回から山中竜也が上手く身体を寄せ、左ボディを中心に攻める。狙いはやはり...という感じ。
3回も同様。しかし、もうひとつ正確に、強く当てたいところ。4回はサルダールが意識して突き放す。

5回、サルダールは右、左フック、アッパー合わせる。
接近した距離で、山中の左ダブル上下を、左側へ旋回する動きで外す。

ありゃ、こんな対応ができるのか。こらまずい...と、不安になった場面でした。

6回、山中がさらに攻めるが、7回、上手く迎撃していたサルダールのワンツー直撃、山中ダウン。
内容も、ポイントも一進一退の感ありでしたが、ここで流れが決まったか。

8、9回は山中が回復に努め、サルダールは追い足のなさ、詰めの甘さを露呈。
10回、山中はパワーの差に直面しながらも、右を再三当てる。
11回、山中思うように入れない。この回、カットした左まぶたの出血が酷く、
最終回は果敢に出るも、クリアに取られ、試合終了。


採点は3-0。
さうぽん採点は、サ山山サ サ山ササ サ山ササ、というところでした。
少し山中に辛い?かもしれません。しかし迷った回(1回、11回)を
逆にしても、ダウンの分だけ負けかな、と。


サルダールはミニマム級ではかなり強い部類のパンチ力と、長いリーチを生かし、
離れた距離でしっかりと狙い撃ってきました。
これまたミニマム級としては抜群の体格を持つ山中が、この距離ではパワー負けすること、
なおかつサルダールの弱点がボディである、というふたつの理由で、
身体全体をリズミカルに動かした上で懐を取り、身体を寄せてボディを攻めたのは、
作戦としては間違っていなかったと思います。

しかし、サルダールは田中恒成戦の敗北を経て、その教訓をしっかり生かして闘いました。
確かにボディを打たれ、疲弊したでしょうが、ガードを締め、左に回って、
かなう限りその威力を削いでいましたし、中盤からは山中をしっかり突き放して迎撃していました。

結果として、元々あったパンチの威力、精度の差を、山中の技巧と戦術で埋めることは出来なかった。
しかしこれはもう、サルダールの成長、頑張りを称えるしかないと思います。
山中は現状の力、自分の良さをしっかり出して闘いました。結果はともかく、見応え十分の試合でした。
その上で敵わぬところがあり、敗れたとて、仕方のないことです。

見ていて、感情的に不満なことは何もない。堂々たる闘いぶりでした。
言うても詮無いことながら、これなら会場に見に行ったら良かった、と思ったりもするくらいに。
まあ、予定が立たず、仮に行けても終電が相当シビアでしたが...田舎暮らしの辛いとこ、です。


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TV放送では11回開始のときでしたか、情報として「足が痙攣している」という話がありました。
報道では7回のダウンの時から、という話でしたが、ダウンのダメージももちろんあるにせよ、
一時は体重が60キロに達したというから、もうミニマム級では限界に来ているのかもしれません。
言われて見れば、足の動きが序盤とは全然違っていました。


あと、セミの小西の試合でも思いましたが、この試合の最終回、相当酷い出血でしたけど、
一度もドクターチェックが入らないのは何故なんでしょうかね。
試合展開、優勢劣勢の想定が、その判断に影響しているのか否かは、こちらの邪な想像でしかないのでしょうか。
小西の出血は、真正ジム陣営がかなう限りの処置で食い止めていたように見えたものの、
山中の最終回は、正直、正視に耐えないものでした。今時、こんな光景を見ることになろうとは...という感じでした。




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正式発表/腰低し/次は米国で/良くないです/中央集権化?

2018-07-12 13:24:03 | 話題あれこれ




ついに、正式発表されました。
井上尚弥、WBSS参戦が決定です。

出場者は現時点で7名、決まっていると記事にありますが、
ここから誰かが抜け、追加があり、という動きもあるのでしょうかね。
肝心なところがごそっと抜けられたら困りますが、テテとロドリゲスが残ってくれれば、
あとはまあ...という感じもありますね。

正直、ノニト・ドネアの参戦は驚きでした。
一度はフェザーに上げた選手が、そうおいそれと...と思いましたし。
もしバンタムで往年の切れが甦ったら、それこそ脅威ですが、どうなりますか。

あとは、開催地がどこなのか、そのうち何試合、日本に持ってくるのか。
放送形態はどうなるのか、などなど、気になるところもありますが、
とりあえずは、ボクシング界に新たなムーブメントを巻き起こすこの大会に、
日本から参加者が出て、しかも目玉扱いを受けている、この状況を大いに喜びたいです。

それと、あとひとりは誰なんですかね。
前記事の人だったら、まあそれも仕方ないか、という感じではありますが...
「アレ」だったら嫌だなぁ、とも思いますね。無いと信じたいところではありますが。


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明日は神戸で山中竜也vsビック・サルダール戦です。
残念ながら観戦予定が立たず、CSフジの放送を、追っかけ再生か録画で見ることになります。

王者、腰が低いとのことですが、充実期にある者の余裕、なんでしょうね。
前回の充実ぶりは、正直言って驚き、目を見張るものがありましたが、
サルダールは安定感には欠ける面もありますが、一打の威力、スピードで、
カジェロスを上回るものがあり、今回も盤石な感じで勝てるものかどうか。

もしそうなったら、山中竜也の、タイトルホルダーとしての評価は、またひとつ高まるでしょう。
大いに期待したいものですが、はてさて。


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村田諒太の次戦は、かねてからの計画通り?米国で、という話で進んでいるようです。

ゴロフキンvsカネロ再戦のあと、その勝者、仮にゴロフキンだと仮定して、
どういう話の運びで挑戦するところまで持って行けるものか。
その答えが、この挑戦者候補ロバート・ブラントに勝つことで、見えてくるのかどうか。
正直言ってよくわかりません。

帝拳、トップランクが、ミドル級戦線において保持する、数少ない有力選手としての村田にとり、
現状、組まれうる中では、このくらいのカードが上限、なのでしょうか。
少なくともエスキバ・ファルカンよりは、手強いのを選んだ、という。

ハイライト動画ですが、ぱっと見た感じ、このくらいのところを触って通る、という感じ、ですね。
もちろん、村田諒太にとり、楽な相手などではないのでしょうし、
挑戦者としての村田諒太が、その評価を高める過程で、クリアせねばならない試合、ではありましょうが。





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火曜日、G+で中谷潤人の試合が録画放送されていて、何の気なしに見ていました。
当然結果は知っていて、3回KO勝ちの過程で、遠い距離から強いジャブを打て、
ボディブローも打て、距離の長短の切り替えも正確。
中谷の非凡な素質は、短い試合で充分に出ていました。

ただ、3回のKOシーン、かなり問題ありと見えました。
ボディから左が上に返り、デクスター・アリメンタがロープ際にダウンした後、
中谷がさらに追撃。左右を4発打ち込んで、全部当たっていました。

レフェリーは何事もなくカウントアウトし「やられた」はずのアリメンタも、
抗議などせず、笑顔で中谷と健闘を称え合っていましたが、
傍目には「えー、何これ」という印象が強く残りました。

悪くすれば反則負け、そうでなくても減点し、アリメンタに休憩を与えて再開、
とするべき場面に見えましたが、レフェリーのみならず、両陣営も「別にええがな」という感じ。
被害を被ったはずのアリメンタまでが、その空気感に沿った行動を取っていました。
おそらく、今後もこの手の試合に呼ばれるために、必要な身の処し方だったんでしょう。

ホープ対噛ませ(元IBFランカーとはいえ、二階級下の話)、
何も目くじら立てるほどのことやないがな、という感じなんでしょうが、
この試合を報じるどの記事にも、KOシーンの際に何が起こったか、一切言及が無いのは、
正直言って異様なことだと思います。

放送席で浜さんが一言、良くないですよと発言しましたが、
そりゃ、良くないですよね。良いわけない。

試合の展開、優勢劣勢、試合自体の価値、位置づけがどうであれ、
純然たる「公式試合」の運営として、こんなに適当で、いい加減なものは、
どこの世間に出しても通用しないでしょう。

ボクシングファンとして、こういうものを見せられると、とても気分が悪いです。
ちゃんと仕事しましょうよ、と、関係者の皆さんにはお願いしたいものですね。


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JBC関西事務局長の後任人事を巡って、西日本協会が抗議声明、とのこと。

詳しい事情など何も知らないですが、西日本協会が出したという「現状維持を求める声明」、
記事をざっと読むだけでも、ツッコミどころだらけですね。
管理される側の協会が、管理する側のコミッション事務局と「タッグを組んでやってきた」って、
もはや、時空が歪んどるな、という感じです。
「関西から育った人でないと困る」というのも、堂々とまぁ...という。


以前書いたこともありますが、私は、安河内剛氏が事務局長時代、地方の事務局に対し、
非常に強硬な態度で、判定の正常化に取り組んだ時期の、関西におけるクリーンな判定の実現を、
観客として何度も「体験」したことがあります。
その後、ことの是非、善悪は知らず、安河内氏の「一時退場」以降、徐々に従来の方向性に戻ってきていることも、
観客として実感し、残念に思っています。

関係者諸氏には、私などには計り知れぬ、深遠なる事情もおありなんでしょうが、
ファンとして、いち観客として、傍目に思うことは、地方の独立性などをいくら護ってみたところで、
我々には、良いことなんか何も無いわ、ということだけです。
別にJBC中央が、何事にも公正で、常に正しいとは、露ほども思いませんが、さりとて...というところですね。



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一足先に発表/幻のメダリスト参戦?/ネルソン二世に挑む/早くも出立

2018-07-03 07:52:51 | 海外ボクシング



ということで、ワールドカップは変わらず盛り上がっている模様です。
しかし、尚弥様の試合も、もっと世間的に盛り上がってもらいたいものです。
これからは、ホンマに「世界」の頂点を目指す闘いですよってにね。

そういうことで、海外ボクシングの話題あれこれ。


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そのWBSSバンタム級トーナメントですが、一足先に、
IBFバンタム級王者エマヌエル・ロドリゲスの試合が発表されました
挑戦者は先日、河野公平を破ったジェイソン・マロニー。日時は不明です。

こういうの、小出しに発表していくものなんですね。
まあ、一回戦(=準々決勝)4試合を、一気に興行も出来ないでしょうし、
準決勝とて別々にやるんでしょうけど、日程を上手く揃えられるものかどうか、とか
気になる点はいくらでもありますね。
問題は、その辺で一番、波風立てる要因となりそうなのが、日本独自の「内輪の事情」やないのか、
というところなんですが。

6月中にも詳細が、と言われていましたが、そろそろ、まとまった話が聞きたいものですね。


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で、先日、トレーニングキャンプ取材の際、井上尚弥が「ちょっと残念な話を聞いた」と
気になるコメントをした
件ですが、それに関連する話として、前記事のコメント欄にて、
この選手に出場の打診があったらしい、と教えていただきました。

ミハエル・アロイヤン、ロシア。WBAバンタム級5位。
プロ戦績は4戦4勝。対戦相手は全部ニカラグア人。何故?
アマチュア260勝以上、4敗。
世界選手権優勝2回。リオ五輪フライ級銀メダル獲得も、ドーピングで剥奪
動画は探すと三試合あり。ざっとですが見ました。


2017年7月22日、WBCスーパーフライ級シルバー王座決定戦。これがデビュー2戦目。
マルビン・ソラノ(この時点で19勝7KO1敗)に12回3-0判定勝ち。
長身のソラノにやや苦しむも、8回、巧く引きつけ左カウンターでダウンさせる。




2017年12月9日、WBAインターナショナル、バンタム級王座決定戦。デビュー3戦目。
エルモヘネス・カスティーヨ(この時点で12勝4KO無敗)に10回2-1判定勝ち。
長身のサウスポーに対し、苦戦するが競り勝つ、といった内容。




こちらは最新試合、2018年2月3日、WBAインターナショナル、バンタム級タイトルマッチ。
アレクサンデル・エスピノサ(この時点で15勝7KO無敗2分)に10回2-1判定勝ち。
この試合は全体を通じ、右構え、ファイタースタイルで前に出る。被弾も多く、これまた苦戦。





2、3戦目ではサウスポー、4戦目はオーソドックスで闘っています。
見た感じ、サウスポーの方が、バランス自体は良いようですが。

顔から手が離れ気味の構えで、試合が進むにつれ「両手ぶらり」の時間帯もある。
基本、動きと目で外す自信がある模様。
トップアマならではの?良し悪しですが、2、3戦目は「上手」な風情のボクシングながら、
4戦目はガードを締めて前に出る型。しかし上手くいかず、ことに終盤は被弾の連続。
全体的に、まだ、闘い方が定まっていない感じ。

プロではゼロKOながら、これは短いキャリアで強い相手と闘っていることを割り引くべきか。
パンチの威力はまずまずも、意外に精度は低いな、とも見えますが、それも同様でしょう。
上位進出を焦っているのか、試合数に見合わない相手と闘わされていて、
それ故に苦しいところも散見され、苦しんでいる印象。

確かに、アマチュアでは相当な実力者だったのでしょうし、良さも散見されますが、
それにしたってプロ4戦の選手、しかも五輪をドーピングで失格している前科持ちが、
後から割り込んで来るのかぁ...と、最初は思ったんですが、
4戦目はWBSSのクルーザー級試合の前座で闘っていまして、
この辺りからピックアップされたのかもしれませんね。
だとしたら、唐突に持ち上がった話ではない、ということにもなるんでしょう。
この辺、どうも情報が足りない、というか、私の不勉強なところではあるんですが。

で、問題は、この選手が入る?のだとしたら、当初言われていたうちの誰かが外れるってことですよね。
井上が言う「残念」の度合いは、誰が外れるかによるわけですが...はてさて。


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7月27日の久我勇作、和氣慎吾戦とは別に、大竹秀典の世界挑戦が決まったようです。
WBO新王者、アイザック・ドグボーに挑戦。8月25日、場所は「States」とのこと。
どこかわからんけど米国らしいです。えらいまた、大まかな話やなぁ、とは思いますが(笑)

スコット・クイッグ戦以降、OPBF王座獲得、丸田陽七太戦勝利など、連勝を続けた大竹ですが、
久我や和氣との対戦は実現せず、多分ですけど「先方」からのオファー受諾、という形になったのでしょうね。

このあたりは、早々に国内における「日本代表」決定戦のような試合が、
相次いで行われているべきだ、とも思いますが、その辺は言うだけ空しいところでもあります。
そりゃ、久我にせよ和氣にせよ誰にせよ、大竹のようなタイプは敬遠したくもなりましょうが、
国内で相手の選り好みをしているような選手が、世界どうと言うのはなぁ、と、これまた誰もが思うことでしょうにね。

ドグボーは果敢かつ頑丈で、相当な馬力の持ち主と見えますが、巧さで捌くタイプでは全然なく、
大竹にしたら、腹括ってぶつかれる相手だ、とも言えるでしょう。
やっと巡ってきた再挑戦のチャンスで、とことん自分の力を出し切ってもらいたいですね。


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伊藤雅雪、早くも渡米。帰国せずトレーニングを経てフロリダ入りとのこと。

内山、三浦に粟生と、このクラスで王者を輩出してきた日本ですが、
尾川堅一の件もあり、伊藤には大いに期待したいものです。

この人の試合ぶりは、8回戦時代の物凄いカウンターパンチによるKOが
評判を呼んだときに初めてきちんと見ましたが、なるほどこれは凄いわ、と
一発で目を引かれたものです。
しかしその後、あれこれTVで、会場で試合ぶりを見て、割と波あるな、とも思いました。

相手を引き込んで決めるカウンターパンチは、思う通りに決まれば凄いですが、
それに固執して、試合全体の展開作りをおろそかにしてしまう面もあり、
相手の実力が一定以上の場合、悪い回りの凡戦になることもありました。

反面、最近の試合では、自分から出て、能動的に試合を作り、その上で好機にカウンターを決め、
効いた相手をさらに厳しく詰める、という、理想的な勝ち方も見ました。

相手のクリストファー・ディアスは、トップランクのホープで、
WOWOWでも試合が放送されていました。
トップランクの公式動画ですが、これがWOWOWで流れた試合です。
喜んでますねー(笑)




冗談はさておき、この展開で弱く見えるはずもないですが、相当な強敵ではあるでしょう。
ただ、パンチは相当ながら、それ故に、真っ向勝負で「来る」タイプにも見え、
もし、伊藤のカウンターが決まれば、それはもう大変なことになるかもしれません。
しかし、現実はそう甘くもないでしょう。やはり、自分から試合を「作って」いけるかどうか、でしょうね。

今までの伊藤の相手とは、一段違う実力者でしょうが、興味深いチャレンジです。
ありがたいことに、WOWOWで生中継があるとのこと、楽しみに見たいですね。



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