さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

光を当てる方法は、他にもっとあるはずだ 住吉5大タイトル戦雑感 その2

2016-11-25 05:27:17 | 関西ボクシング


住吉観戦記、続きます。その1はこちら


四つ目のタイトルマッチはWBCユース、バンタム級。19歳同士。
デビュー4戦目の丸田陽七太が、フィリピンの若手ジョー・テホネスと対戦。
テホネスは小柄なサウスポー、7戦6勝(2KO)1敗。

初めて直に見る丸田陽七太、まずはバンタムでは抜きん出た体格にびっくり。
サウスポー相手に正対して、左ジャブをボディへ、右ストレートを上へ打つワンツー、これが当たる。
「クロンクの選手やあるまいし、ほんまかこれ」と、思わず驚きが口をついて出ました。

序盤はよく左ジャブが出て、相手が詰めてきたら右ダイレクト、と冷静に対処していた丸田ですが、
少し攻めが間延びし始め、テホネスに接近される。4回には連打で攻め込まれ、ヒットを許す場面も。

しかしここから徐々に立て直す。左ボディから上にダブル、トリプルと連打。
ジャブや右による突き放しは物足りないが、要所で左のレバーパンチが決まる。
これは狙っていたようだが、乱発はしない。少し悪い展開だったが、冷静さも見える。

7回、テホネスが攻めるが、ここでワンツーから左ボディへとつなげる。
綺麗に決まってテホネス、ダウン。丸田のKO勝ちとなりました。

ちょっと攻め込まれ、苦しい部分も見えた試合でしたが、19歳、4戦目の選手としては
終始冷静で、狙いもしっかり持って闘っているように見えました。そこは感心させられました。
遠い距離からでも、いろいろと当てられるパンチがあり、攻めのパターンもある。魅力的な選手でした。

今後は抜群の体格を生かした、厳しい距離構築をベースにしたボクシングを実現してほしいところです。
その課題は、やはり体力強化と、それにまつわる転級のタイミングでしょうか。
将来、上を目指す際に、今と同じ階級のままというのは、非現実的でしょうしね。


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さて、五試合目はOPBFスーパーウェルター級。
IBFアジア王座獲得歴もあり、IBF世界上位に位置するサウスポー、細川貴之が、
OPBF11位、日本12位の大柄な強打者、大石豊を迎える防衛戦です。

両者向かい合うと、体格差がありあり。大石は元々、新人王戦の頃はミドル級。
その中でも大柄な部類でしたから、元々小柄な細川と比較すると、かなり大きく見えました。

序盤は細川が動いては外し、捌く展開。大石は「左は飾り物」という感じ。
今時こんな選手珍しい、と思うほど、序盤は見事に右一本。右ロングを振って追う。

しかし細川、動いて外すのはいいが、大柄な大石が身体ごと飛び込んでくる迫力に押され気味で、
肝心の攻め手が見つからない。右ジャブがいまいち決まらない。
左アッパーを覗かせるがヒットせず、威嚇の効果も薄い。元々攻めは及び腰の選手だから仕方ないのか。

大石は果敢に右で攻め、時折ヒットも。打ち終わり、露骨に前にのめるが、迫力で乗り切る。
4回終了後の採点は三者三様。正直、採点しようもない、と見える回もあり。

中盤も細川が外して軽打、大石がボディにも右を散らして攻勢、少し左も、という具合で一進一退。
8回終了後、採点は微妙。僅差でどちらか、或いはイーブンか?と思っていました。
その途中採点が、2-1で大石リード、と出る。

9回以降、ここでやっと細川が奮起。前戦で斉藤幸進丸の攻勢を止めた最大の武器、
左アッパーのレバーパンチを繰り出して攻める。加えて、懐に無理矢理入ってボディ連打。

追い詰められてからやっとこれか、いかにも「ほっそん」の試合やなー、と思って見ていたら、
10回にバッティングで細川カット、ドクターチェック。事情が変わってくる。
結局、11回、二度目のドクターチェックで負傷判定に。

判定は2-1で大石の攻勢、右のヒットを支持。新王者誕生となりました。
スーパーウェルター級は日本王者が野中悠樹、そしてOPBFがこの大石豊と、
日本、東洋の王者が共に井岡弘樹ジム所属ということになりました。珍しいでしょうね、こういうのは。

しかし、厳しいようですが、今日の大石豊の試合ぶりもまた、非常に今後が心配なものでした。
とにかく左は格好だけ、右を強振して前に、という闘いぶり。
体格を利した、果敢な、という形容もありましょうが、今回は体格差ゆえに細川貴之をある程度
抑え込めたとしても、相手が変われば、とてもこのボクシングでは...と言わざるを得ません。

王者として、攻略しにくいという点では、かなりのレベルにある細川を、この選手が陥落させるとは
ちょっと想像していませんでした。そういう意味では拍手したいと思いますが。


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ということで、タイトルマッチと称した試合を立て続けに見終えた感想としては、
残念ながら、その看板に見合わぬ試合がほとんどだった、というところです。

アジア地域に乱立する地域タイトルは、昔日の矢尾板貞雄、関光徳、村田英次郎らが保持した、
「アジア最強」のグレードを、とうに失っている。その現実はボクシングファンなら皆、知っています。

では、そこまでの知識、というのが不適当なら、「ボクシングそのものに、そこまでの関心を持たない」
個々の選手の応援団や後援者にとっては、どうなのでしょう。

普段、六島ジム主催で興行が行われる小規模会場、住吉区民センターより一回り以上広い、
住吉スポーツセンターは、二階席はさておき、一階のアリーナ部分はまずまずの入りに見えました。

しかし、閑散とした二階席から眺めていると、ボクシングとしてどう、というよりは、近しい存在の選手が、
いかに頑張るか、勝つか負けるか、というところにのみ、観客の意識が集中している印象でした。
そして「お目当て」の選手の試合が終わると、会場を去るか、移動して会場内で談笑するか、
或いは試合後挨拶回りをする選手と、記念撮影をする、というような光景が見られました。
リング上では他の選手が、オリエントやらアジアパシフィックの頂点を争っている、そのさなかに...。


まあ、皮肉はほどほどにして、WBOアジアパシフィック王座が「導入」されることは、
選手や関係者諸氏にとって、どういう意義があるのでしょう。
チケット販売に多少のプラスがあるのかもしれませんが、あまり大きな違いでもないように感じます。
そして、いざ実際に、今回見たような内容の試合を、タイトルマッチとして見た観客が、どのような感想を持つものか。
それはボクシング「業界」にとって、プラスの影響ばかりではないように思います。

加えて、国内上位対決を経ない「裏ルート」によるWBO王座挑戦が増える、という批判もあります。
国内上位での厳しい試合を経て、或いはそこに参戦するために、このタイトルを「活用」するのでなく、
そういう意志がまったく感じられない陣営による「利用」は、出来ることなら見たくありません。

しかし現状は、大晦日の世界戦興行に組み込まれた、伊藤vs渡邊戦のような上位対決が実現する程度です。
これもまた、普通に見れば、単に上位ランカー対決に過ぎない、とも言えますが。


ボクシングを会場で観戦するたびに、選手の応援、後援といった、近しい観客の比率が、
ボクシング全体に関心を持つファンと反比例して増えている、と強く感じます。
その傾向の上に、新タイトルが導入されることは、ある一定の枠の中では、興行事情にかなうことかもしれません。
チケット販売の難しさ、その現状は、想像以上のものなのだと思います。

しかしこれは、結局のところ、究極のその場しのぎ、というしかありません。
他に業界全体で考えないといけないことが、いくらでもありそうなものですが、
そういう方向へのまとまりは見られず、個々の事情を満たすものがあれば、それに飛びつく、
という流れへと収斂されていくのみ、と見えます。まあ、いかにもという感じではありますが。


試合内容については、酷評したものもありますが、選手個々はそれぞれに、
持てる力を振り絞って闘っていました。その事実を否定するものではありません。
しかし、彼らの健闘に対し、光を当てる方法は、もう少し違ったものであるべきではないのか。
そんなことを思った、長丁場の観戦でした。


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余計なものは見過ごせば済む、と思っていたが 住吉5大タイトル戦雑感 その1

2016-11-24 09:27:54 | 関西ボクシング




ということで昨日は住吉スポーツセンターで観戦してきました。
OPBF2試合に加え、WBOアジア2試合に、WBCユースがひとつ、
パンフレットには「五大タイトルマッチ」と謳われていた興行です。

先日の神戸、OPBF4試合を越える数のタイトル戦が見られる、わーい、という気持ちで
会場に足を運んだわけではありません。
タイトルというかお題目はさておいて、ランカー同士の試合や、重量級の強い豪州勢への挑戦や、
世界挑戦経験者同士の対戦など、カードとしてそれなりに見所はある試合が多い、という
あくまで「中身重視」での選択をしたつもりでした。

で、見終えて思うのは、見過ごせることと、そうでないことがあるな、ということです。
各試合の経過と雑感、とりとめもないですが、毎度の通り。


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第一試合、日本ライトフライ級11位、木村翔と、日本フライ級12位、坂本真宏の対戦。
これがWBOアジアパシフィックのフライ級タイトルマッチ、12回戦として行われました。

両者、初回から正対して打ち合い続ける。積極果敢、しかし共に甘い防御。
展開を変えたり、ペースを上げ下げしたり、という変化はほとんど見られず。

木村は序盤からハンドスピードでまさり、ヒットを重ねるが、パンチの威力に欠ける。
対する坂本は、ここ数試合と同じく、試合開始の時点で動きが重い。
ひとしきり打たれたあと、重いパンチで反撃する、いつものパターンに。
パンチは重いが切れが無い。防御に回ると、動きがなく、ガードを絞って凌ぐ以外、手立てがない。

場内は坂本のヒットのたびに、その威力を見て歓声を上げましたが、
残念ながら木村が目に見えて効いたり、止まったりせずに、連打で攻め続けている以上、
目に見えてもいないダメージを過大に評価するわけにはいかず、
そうなると単にヒット数の比較が基準になる。それは明白に木村の方が上でした。


しかしこの両者、日本ランクの数字通り、闘い方に幅がなく、相手の良さを全部引き受け合う闘いぶりで、
これは到底、タイトルを冠するレベルには遠い段階の選手だ、と言わざるを得ませんでした。
ことに終盤。常に先手を取られて打たれ続ける坂本。そこそこ速いが単調なせいで、手が途切れると打たれる木村。
双方が疲労した状態で振り回したパンチが、まともにヒットして、それぞれにぐらついた場面などは、
ボクシングのスリルではなく、キャリアの浅いボクサー同士が、分不相応なラウンド数を闘わされることが
どれほど危険か、ということを、より如実に表現し、露呈していました。

タイトルやお題目関係なく、若手同士の好カードだから良い、という「見過ごし」方は、
少なくともこの若手対決には当てはまらないと、否応無しに思い知らされた一戦でした。
双方共に、終始果敢に、闘志に満ちた闘いを貫いただけに、余計にそれを痛感させられたというか。

判定は2-0で木村を支持。この2者の木村支持のスコアは私のそれと一致していました。
116-112、ラウンド数では8対4です。まずは妥当な印象で、そこは安堵しました。


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第2試合は、向井寛史vsインタノン・シスチャモアン。世界挑戦者同士の対戦。
体格面で厳しいという判断か、スーパーフライ級に戻した向井。興味深いカードでした。
これもまた、WBOアジアパシフィックのタイトルマッチでした。

インタノンは後のIBF王者アンカハス、前WBA王者河野に敗れている選手ですが、
アンカハスを一度はぐらつかせたり、河野戦では粘り強いところを見せたこともあり、
簡単にはいかないかも、と思っていましたが、試合が始まると、向井が圧倒しました。

初回から向井の右リード、ジャブが冴える。力みなく飛ぶ後続の左も鋭い。
インタノンを寄せ付けない勢い。
2回も右のヒットが重なる。向井の左アッパーがレバーに入り、インタノン倒れる。
立ったが向井、即座に詰め、右フックを叩くと二度目のダウン。インタノン立てず、KO。

向井は最近の好調ぶりを、115ポンドに落としても維持していました。
インタノンの調子がどう、闘志がどう、という話以前の問題で、相手がどうであったとて、
この向井寛史の好調ぶりからすれば、いずれ同じような結果になっていたことでしょう。

向井は浅いキャリアで厳しい成り立ちのタイトルマッチを数多く闘い、敗れてきたことで
本来持っているセンスや技術を過小評価されているきらいがありますが、
私は「この子は、本当はもっと、出来る子や」とずっと思っておりました(^^)

論議を呼んでいる最中のものではありますが、やっとタイトルマッチと呼ばれる試合で、
良い内容と結果を示したと思います。
出来れば、この勝利をきっかけに、国内にも強豪の多い上位陣との対戦を実現し、
さらに評価を高めるようなキャリア構築を臨みたいものです。


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4回戦と6回戦が挟まったあと、三つ目のタイトルマッチはOPBFミドル級。
王者ドワイト・リッチーと、挑戦者の太尊康輝の対戦。

西田光をポイントアウトしたリッチー、巧いがパンチが無いという話でしたが、
その試合ぶりはまさしく、ポイント収集に専念する、という風。

長身のサウスポー、太尊は強引に攻め込まれるのが嫌なはずだが、
突き放すための右ジャブが少なく、左狙いばかりで単調。

これならリッチーは、右リードで入って、左返して、左サイドに回ればいいようなものだが、
最後の段階で左に回らず、まっすぐ下がるものだから、太尊の左が飛んでくる。
どうもサイドステップが苦手というか下手で、前後の動きが中心。
巧いというより、やれることの限界の中でポイントを拾う、という選手のようでした。

序盤から両者、攻防共に手立てに乏しい。
リッチーは右から入るが腰高で、踏み込みも弱い。
攻めには迫力が無く、精度にも欠け、ミスしてはクリンチ、の繰り返し。
太尊も左狙うあまり、手数が出ない。

5回、途中採点で2-0太尊リードと聞いたからか、リッチー少し出る。太尊左合わせる。
6回、攻め込むのでなく足を使い始めたリッチーが、遠くから右を伸ばす。太尊手数減る。

正直、経過らしい経過もない、内容の薄いラウンドもあったが、8回太尊の左ヒット、リッチーがダウン。
左周りのサイドステップがないところを追われて打たれたリッチー。ダメージはさほどではない?

さらにリードを広げられた9回以降、リッチーはこつこつ右当ててはクリンチ、という感じ。
これはこれで、彼なりに挽回を図っていると見るべきなのか。
11回、太尊は疲れからか、徐々にスローダウン。最終回、身体が伸びたところにリッチーの右。
やっとそれなりに迫力のある攻めを見せたリッチーだが、もう遅かった。

採点はダウンもあって3-0で太尊。しかし内容的に、充実した試合とは言い難い。
リッチーの「貧打」「拙攻」にも救われた、という印象。
何より手数をさほど出したでもなく、全体的に省エネボクシングと見えたにもかかわらず、
終盤の失速、最終回の劣勢は反省材料。決め手のある相手なら、どうなっていたかわからない試合と見えました。


以下、その2へ続きます。
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採点基準は必ずしも強者を支持しない コバレフ僅差で敗れる ウォード苦闘の勝利

2016-11-20 15:47:47 | 海外ボクシング



ということで、WOWOWオンデマンドをお昼前から見ておりました。
せっかくの生中継ですが、前座3試合がいずれも長く、さすがに疲れてくるパターン。
もったいないことですが、あれこれあって中座もしつつ。メインの際はそういうわけにいかないですので。


ということで今年最高の好カードと言われた一戦でしたが、私はコバレフが勝つんだろうなあと思っていました。

単に当てる巧さ、外す巧さでいえば、天性のアンドレ・ウォードに対し、丁寧さのセルゲイ・コバレフという対比。
その巧さはそれぞれに趣が違えど、ほぼ互角であろうと。
ならば、パワーでまさる方、6~7割の力で探り打ちをしてもなお、強打といえる力があるコバレフが有利だろうと。
試合が長いときの雑さ、心身の構えの「強度」に少し波があるところが不安なれど、
ウォードがそれを乗り越えて、過半数のポイントを集めることは難しい。
そんな予想をしていました。


私の見た経過と採点は以下の通り。簡単に。



初回 コバレフ、ジャブ相打ちで下がらせる。またジャブ、ウォードの目のあたりに。最後もう一発。
当てる巧さは互角だが威力が違う。コバレフ。

2回 ウォードは力を込めて打たないと止められない。動いて外したいが難しそう。
右打ちに行ってコバレフの右カウンターでダウン。コバレフ10-8。

3回 ウォード足掴んで押し込む。こんなことでもしてコバレフを乱そうとしている。
ジャブ一発だけ、懐に入るが手は出さない。攪乱か。コバレフワンツーで脅かす。コバレフ。

4回 ウォードクリンチ、ホールドしてボディ叩く。コバレフ右アッパーや右ショートで迎え打ち。
ウォード左フック強振。依然として苦しいが。ややコバレフ。

5回 ウォードジャブ、右ダイレクト。コバレフも左ジャブ、右合わせる。ウォード外して動く。
コバレフ手を止め、見てしまうとウォードに余裕が出る。手を出しながら見たい。ややウォードか。

6回 ウォード足抱えて揉み合いに持ち込む。相撲か。みっともないことこの上ない。
コバレフ鋭い右カウンターを数回覗かせる。ボディへジャブ、前進。コバレフがペース支配したと見る。

7回 ウォード左ジャブ。もう一発。ジャブのヒットで歓声。苦戦、苦境の証明でもあるが。
コバレフ最後、スイッチして右サイドへ出ながら左ジャブ。ウォード。

8回 ウォード揉み合いからボディ攻める。コバレフ少しペースダウン、クリンチの際も抑えきれない。ややウォード。

9回 ウォードが上手くボディへジャブ当てる。揉み合い増える。両者構え崩して誘い合う。
コバレフワンツー見せるがヒットせず。ウォード。

10回 ジャブの応酬、右相打ち。ウォード、アピールのため右手回すがそこにコバレフの左。ややコバレフ。

11回 ウォード左フック。コバレフ右、前に出て追う。もつれてスリップダウン。コバレフ疲れている。
ウォード左ヒット、ウォードの回。

12回 ジャブ、ボディの応酬。ボディの効果でウォードか。コバレフも同じだけお返しはしていたが。


ということで、私の採点は、ココココ ウコウウ ウコウウ で6対6。2回のダウンの分だけコバレフ。
114-113、という数字になりました。


試合内容自体は、コバレフの強さによって緊張感が保たれてはいた、と思います。
コバレフは、緻密さやペース維持の部分で若干粗を見せましたが、あの体格と強打を持つ選手としては、
かなり丁寧に闘えている方だと思いますし、今回もその良さは見られました。

ウォードについては、それ単品では悪いけど見てられない、というくらい、魅力に乏しいボクサーです。
ただ、技術レベルは抜きん出ているので、強いのと当たったときだけは見てみよう、という位置づけでした。
しかし今回、序盤から倒され、その打開策にも「何をしてるんや、みっともない」と思うような場面もあり、
しかもそれが奏功したとは思えなかった。にも関わらず勝者は彼でした。



では「こんな判定、おかしいやないか!」と思っているのかというと、実はそうでもなかったりします。
これがまた実にややこしいところなんですが、競った回が逆になれば、あり得る採点なんだろう、と
同時に思っていたりもするわけなんですね。

試合後、採点発表までの間、自分の採点を見て、えらくウォードに甘いな、と思いました。
印象としてははっきりとコバレフだったので、自分としては、かなりの「オマケ採点」でした。
しかし実際は、さらに競った回がウォードへと流れた採点だったようです。
正直、結果聞いてびっくりしました。
多分、4回や10回あたりも、ウォードに振ったジャッジがいたんでしょうね。最終回は当然ながら、でしょうか。


その昔、ハグラー対レナード戦を見て以降、何度もこういう採点を見てきたような気がします。
結局、現行の採点基準というものは、勝者の可能性、多様性を確保しようとするあまりに、
競った試合展開における「強者」の強さを、必ずしも支持しない傾向にあるのだと。

あのハグラー、レナード戦を、ボクシング界全体が、ハグラー的なものに背を向け、
レナード的なものに靡いていった分岐点なのだとすれば、今回のウォードもまた、その極地にいる一人なのでしょう。
もっとも、今日のウォードのボクシングは、その内容において、昔日のレナードのそれとは、比較にもなりませんが。


採点自体は、そういうことで、アタマではなんとなく「こういうこともあるのかな」くらいに思ってはいます。
しかし、せっかくの大試合、好カードが、なんともつまらんことになってしまったなあ、という残念な気持ちもあります。

細かいことは全部うっちゃって、これはやっぱり、コバレフの勝ちにしたほうが、色々と収まりが良いというか、
気分としても良いように思うんですよね。どないなもんですかねえ。



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己を信じて「勝負」をした結果 山本隆寛、強敵ヤップの強打に沈む

2016-11-12 12:59:23 | 関西ボクシング



ということで昨夜は神戸にて観戦してきました。
OPBFタイトル4試合同時開催、とメディアにも割と大きく取り上げられた興行、
まずはそれぞれ、簡単な感想から。


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この日、事実上のメインイベントは、試合順で言えば4つのOPBFタイトル戦のうち、ふたつめでした。
バンタム級王者の山本隆寛が、強敵マーク・ジョン・ヤップを迎え撃つ一戦。
関西を中心に、上位選手を悉く破ってきたMJヤップ、昨年末には大森将平挑戦が立ち消えになる
不運に見舞われましたが、やっと掴んだタイトルマッチのチャンス。
調子も意気込みも十分の強敵ですが、山本は敢然と挑戦を受けました。

初回、両者気合い充分、距離を外さず、踏み込みひとつで当たる位置取りから、
シャープなパンチを繰り出す。山本ちょっと前にのめったところにヤップの右。
しかし山本怯まず出る。左右ボディを狙っていく。


山本はあまり動かず、出入りするというよりは攻め込む型。
最近の好調ぶりは、そのうち関西リングの枠を越えても通用するのではないかと
思わせるほどのもので、この強敵相手との闘いでも、意欲満々、という風。
しかし、この闘い方だと、ハンドスピードは生きても、足や身体捌きの速さは出ないなぁ、
それを承知で「勝負」しているのだろうけど...と期待半分、心配半分でした。


2回、山本出て、ヤップが迎え撃つ。山本は自分から出てなお、左を下げるときがある。
ジャブが出ているうちはいいが、止まるとヤップの右が来る。右アッパーものぞかせるヤップ。
山本はぎりぎりで外しては打って出る。ヤップ左フック好打。

3回、リスキーながら意欲的な闘いぶりの山本。打ち合いの中、左ボディが好打。
ヤップ目に見えて後退の足とジャブ、という型に変わる。ここは山本、少し追撃が甘かったか。
4回もヤップはジャブと足中心。両者右のヒット応酬。ヤップのカウンター、山本ボディ。

5回、ヤップの右がクリーンヒット。山本効いてふらつく。追撃でダウン。ダメージ甚大。
立った山本、ふらつきながら反撃、凄い闘志。しかしヤップも必死の形相で詰め、右で棒立ちにさせ、さらに追撃。
二度目のダウン、もう止めるべきだったが、続行。左でぐらついてやっとストップ、TKOとなりました。


それぞれに「評」する言葉はさまざまにあるのでしょうが、まず何よりも、両者は持てる力を惜しまず出し切り、
純度の高い「勝負」を見せてくれました。そのことを何より先に書き記し、両者に拍手を送りたいと思います。
これぞプロのボクシング、暇割いて身銭切って見に来るに値する試合というものだと。


試合後、キャンバスにうずくまって号泣のヤップ、壮絶に散った山本、そのコントラストは強烈なものでした。
試合運び自体は、もう少し動いて出入りして、という発想であるべきだったかな、と見えた山本隆寛ですが、
自分の評価をさらに高めようという意欲の元、強敵相手に勝負した姿は、堂々たるものでした。

そして異国で闘い続け、ついにタイトルマッチで勝利したMJヤップの歓喜と涙も、感動的でした。
好調の山本に攻め立てられながらも、正確で強烈なカウンターを繰り出し、見事に打ち勝った。
素晴らしいチャンピオンの誕生でした。今後の防衛戦も大いに楽しみです。
日本の上位陣は、是非、逃げたり避けたりせず、どしどし挑戦していってほしいですね。
この選手に勝てば、ファンの間でぐっと評価が上がりますよ。いや本当に。


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ライト級は中谷正義が、一階級下ながら元王者のアラン・タナダを7回TKOで下しました。

長身の中谷が、短躯のタナダを遠い距離からジャブで突き放し、右を狙う展開。
中谷はちょっとだけ入られてるかな、と思った序盤を経て3回、右ストレート、左フックなどを再三好打。
上下左右、全種類のパンチをヒットさせてペースアップ。
4回また右。5回右がまたインサイドに入り、タナダ後退。6回は赤青コーナーで一度ずつ詰め、打ちまくる。
7回、驚異的な闘志のタナダだが、中谷の右ストレートが右の顔面(普通は左側ですが)を捉えると、後退。
中谷連打で攻めたところでストップでした。タナダはあれだけ打たれてまだやる気で、不満そうでしたが...。

心身共に驚異的なタフネスを持つ挑戦者相手でしたが、中谷は出すべき手をほぼ全て出して、
しっかり打ち込み、仕留めました。
若干「突き放し」の部分は、完璧とはいかなかったかもしれませんが、相手の頑張りも凄かったです。

中谷は国内や東洋のライト級では、まず盤石の実力を示し続けています。
そろそろ、今より一段上の試合、いきなり世界とかじゃなくて、それに繋がるレベルの相手との試合に
臨むべき時期に来ていると思いますが...そういう話が、彼の周辺にあるのかどうか。そこが心配です。


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最初に行われたミニマム級の王座決定戦は、真正ジムの山中竜也が、元WBO王者メルリト・サビージョに判定勝ち。
元WBO王者に勝って東洋獲得、という試合でしたが、サビージョは元王者の肩書きが泣くような覇気のなさ。
動きも最軽量級とは思えぬほどスローな印象で、切れが無い。
山中はサウスポーに対し、正面の位置から遠回りのはずの右リードで入るのですが、これをサビージョが外せない。
正直、見ていて「何やろ、コレ」と思う序盤戦でした。

中盤から少しジャブが出始めた山中、左から入ると良い流れが増え、打っては動いて、リードを広げる。
しかし、好打は軽打で、しかも大半が単発。いいの当てても、追撃なし。
セコンドも打ち込ませるつもりはさらさらないようで「狙うな」「無理するな」という指示ばかり。
というか、それこそワンツーすらなく、本当に一発のみ、という感じの回もあり。
8回後の途中採点を聞いたサビージョが少し奮起するも、最後はまた山中の単発ヒットが目につく。

正直、場内の寒々とした雰囲気にマッチした、物足りないところだらけの凡戦でした。
間違っても、タイトルマッチとして、及第点とは到底言えないでしょう。
選手や陣営、後援会にとっては大勝負だったのでしょうが、第三者というか部外者にとっては...という。

試合後、この勝者が、高山勝成負傷により設けられたWBO暫定王座決定戦に出る運びだ、と知りました。
なるほど、話としては何も変なことではない。そういう風に整えられている試合だったのでしょう。
しかし、しかし...ですね。何とも言い難い気持ちです。


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順番としては一番最後だった久保隼は、韓国の林ジヌクに4回TKO勝ち。
王座獲得の見事なKO、初防衛戦の凡戦と来て、今回はまた、ワンサイドのKOでした。

しかし、KOになるか判定になるかは知らず、試合が始まると、勝ち負けだけはすぐに予測がつきました。
林は久保と同じくらいの長身で、リーチも長いボクサータイプ。
見るからにパンチ力に欠け、何よりも久保の懐を取りに来る意志がない。
苦手なインファイトをせずに済み、長い距離で闘えて、自分よりスピードが劣り、パワーも無い相手。
久保にとり、世に言う「手が合う」相手なのだ、ということが一目見て明らかでした。

久保は要所で長い左ストレートを決め、左アッパーとの組み合わせも出る。
林が来ると、下がりながら左を当てる。長い距離での当て勘は非常に良い。
4回、左で倒し、追撃でストップ。完勝でした。

しかし、こういう相手なら、こうなるだろう、という以外、あまり思うところの無い試合ではありました。
まあ、肩書きや世界ランクを抜きにして見れば、まだ、こういう段階の選手なのだ、と見るべきなのでしょう。
良いところを生かしつつ、徐々に成長していくことを期待、ですね。


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普段は真正ジムの主催興行が行われる、神戸中央体育館において、4つのタイトルマッチのうち、
井岡ジム勢のふたりは、結果だけなら明暗を分けた、となるのでしょうが、それぞれに内容のある試合を見せてくれました。

しかし、それと比べて真正ジムから出た二人の試合は、内容的に薄く、相手も物足りないものでした。
会場で直に見ていると、その差は観客の反応の違いに、如実に出ていました。

この日の会場の入りは、4大タイトルマッチということで、選手の後援や応援の人たちが、
普段よりは大勢やってきて、普通の興行のときよりも盛況なのではないか、という事前の想像とは違いました。
まあ、普段の入りよりは、あれでも多少は良いのかな、というところでしょうか。

そこへ持ってきて、まさか対フィリピン選手対策でもないでしょうが、場内は暖房が入っておらず、
二階席で見ていると、冷えたコンクリートの寒々しさが身に応え、鞄の底に眠っていた使い捨てカイロを取り出しました。
ラグビー観戦かい!という感じです。

最初の山中の試合を見終えたころは、そういう感じで非常に辛いものがありました。
それを忘れさせてくれたのが、山本隆寛とヤップの一戦でした。中谷の試合でも、それは継続していました。
しかし、最後の久保の試合になると、また場内クールダウン、という風でした。

そういうわけで、主催者の方には、次回は是非、暖房入れてくださいませ、とだけお願いしたいところです。


ところで来週、関西ローカルで一時間枠の放送があるとのころです。
こういう実際の雰囲気と試合内容から来る印象が、どのように巧みに編集されているものか、ちょっと興味があったりもしますね。
あと、割とぶっちゃけ気味?なところも含めて好評な、長谷川穂積の解説も楽しみです(^^)


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国内事情の縛りを断つ、復調と快勝に期待するが 井上尚弥、河野公平と新旧対決

2016-11-09 19:11:39 | 井上尚弥



一部で、すでにWBO総会で承認された、という話が出ていたカード、
井上尚弥vs河野公平戦が正式発表されました

年末の世界戦ラッシュ、主にTV局の要望から、普段は出ないような予算が出て?
色々豪華なカードが実現してきたものですが、井上尚弥の場合は色々難しい側面もあるようです。

強豪選手、対立王者たちから断られてばかり、という話は、実際はどうかわかりませんが、
年末という特殊な時期に、井上のホームで対戦となれば、先方がより良い条件を求めたりもするでしょう。
あれこれあった?末、可能性あり、とされる名前が挙がっては消え、WBA王座を失ったばかりの
同国人と対戦することになりました。

出来ればもう少し前に、WBOとWBAの統一戦として実現していて欲しかったとは思いますが、
国内の新旧対決としては充分、今でも興味を引くカードではあります。
記事にもあるとおり、非常に対照的なキャリアを持つという意味でも。


予想となると、井上がベストならスピードとパワーで圧倒すると思います。
しかし仮にベストでも、河野を簡単に倒しきれるかどうかはわかりません。
もしそうなったら、やはり井上はその桁外れの実力を、改めて示したということになるでしょう。

で、もし前の試合のような状態だったら、となると、それは大変なことになる...かもしれません。
あまり想像したくないことではありますが。


予想はおいて、ファンとしての希望、願望でいけば、国内の興行事情、TV局との誼に縛られた話は、
この河野戦において快勝することで打ち止めにし、米国進出へのステップにしてほしい、というに尽きます。

河野を軽視するわけではないですが、世界の115ポンド級が、ロマゴンとクアドラス再戦や、
エストラーダの転級や、果てはゾウ・シミンさんまでがロマゴン戦希望を謳い上げ...と
あちらの西海岸では、あれこれ賑々しくトピックスが出ているのに対し、こちらはいつまでも...です。
試合を観戦しに行って、写真撮ってきて、それだけですからね。

仮にロマゴン戦が実現して、それが日本での開催になるとしても、それまでにあちらのリングで
一度くらいは、実際に試合をして見せないことには、前向きな展望など持てるはずがないと思います。
日本のプロモーター諸氏も、井上尚弥の実力を信ずるなら、一試合くらい興行面の権益を「捨て」て、
その代わり、その後に大きな実入りを狙って勝負する、くらいの決断をしてもらいたいものですね。
まあ、ひょっとしたらそこに不安を抱いているのかもしれませんが。


改めて、そういう後ろ向きな想像を蹴散らすような復調ぶりで、容易ならざる粘り強さを持つ
前王者の河野公平を破ってくれたら、本当に嬉しいことです。
前の調子で、いきなり現在の他団体王者とぶつかるのは不安でしたが、
さりとて河野とやるというのも、また違った困難ではあるでしょう。
だからこそ是非に...という気持ちです。

しかし、河野公平もある意味、挑戦者の立場で、吹っ切れた気持ちで、果敢にぶつかってくることでしょうね。
正直、難儀なことやな...と、井上ファンとしての立場で思います。
井上の状態次第で、容易ならざる試合になるであろう、と想像していますが、はてさて。


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八重樫東の相手は、ひょっとしたら日本人から選ばれるかな、と思っていたら違って、
11月29日に決まる暫定王者と対戦とのこと。

IBFが指示したって話になってますが、またえらい無理言うものですね。
ホンマかいな...とまず最初に思いましたが。
メインが日本人対決になったしわ寄せが、こっちに来たんかな、とか。

メリンドとファーラン、東洋上位の対決ですが、どうなりますか。
ファーランが来てくれた方が、八重樫にとっちゃ楽でしょうが、はてさて。


この日はタパレスvs井上拓真もあって、まずまず豪華なトリプルになりました。
またも有明ですが、頑張って観戦しに行く予定です。
前座にはまたあれこれとあるのか、ないのか。
井上浩樹がそろそろ、ひと山作るような試合に出るかどうか、でしょうかね。


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で、大晦日京都は島津アリーナで、と噂だったTBS興行、おそらくメインカードが発表されました
当ブログではずいぶん前から待望久しかった、夢の対決が実現です。

しかし、凄いコメントするもんですね。ツッコミ待ちですか、と言いたくもなろうというものです。

試合自体にはさほど興味はありません。正月三が日のうちに、録画したやつを見ることになるでしょう。
正直、同時に開催されるであろう、あとひとつ(或いはふたつ)の方に、気を取られてしまっていることでしょうが。


そういえば、岐阜のフェンテスvs田中戦は、また関西では放送無しでしょうか。
そろそろなんとかしてもらえませんかねぇ。
毎日放送に要望メールでもしようかな。





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「復帰戦」としては上々、されど今後は? パッキャオ、まずは破綻なく勝利

2016-11-06 15:20:21 | マニー・パッキャオ



ということでWOWOWの生中継を見終えました。
タイトルマッチ三試合、ひょっとしたら飛ばされるのかな?と「邪推」していた
大沢の試合含め生中継、ありがたいことです。

今後もオンデマンド含め、生中継があるようですので、楽しく拝見したいと思います。
まずはとりとめも無く今日の感想文を。


マニー・パッキャオは、7ヶ月ぶりの「復帰戦」でした。
計量の映像を見ると、ちょっと身体に張りが無い、筋肉量が少し減ったか?という感じ。
実際、試合始まってしばらくは、動きが切れないなあと見えました。

ジェシー・バルガスは、セミセミでノニト・ドネアに勝ったジェシー・マグダレノ同様、
広めのスタンスで踏ん張って迎え打ち、後ろの足をこまめに動かして後退、
困ったらクリンチ、という流れを作ろうとしていました。
しかし2回、パッキャオの右足の上に、自分の左足が乗ってしまった瞬間に打たれ、
実質片足でしか踏ん張れない、不運な状況で喫したダウンがあり、
そこから少しずつリズムを失い、目論見が狂った感がありました。

4、5回あたりは、待ちの展開で、リズムやテンポを落とす試合運びが出来ていましたが
6回くらいになると、見るからにスタンスが狭まり、踏ん張りが利かず、迎え打ちの威力を落としてしまう。
このあたりから、パッキャオがそれまでよりも踏み込んで打つ頻度が高まり、
終盤は再三にわたって攻め込まれてしまいました。

パッキャオは若干幸運な?感じもありましたが、序盤のダウン奪取から、
徐々に調子を上げ、中盤以降もペースを落とさず、終盤はさらに好打を重ねる「復調」ぶり。
爆発的な追い上げはなかったものの、左ストレートの速さと右回り、右リードジャブの切れなど
往年の片鱗をちりばめつつ、きっちり差を付けて勝ちました。
中に一つ、何ソレ採点が混じっていたのには驚きましたが。

もし、練習不足の影響が出るようなら、途中まで好調でも、突然の失速というような事態が
いつ起こっても不思議は無いと思って見ていましたが、そのような心配は無用でした。
パッキャオはやはり、このあたりの相手なら、順当に勝つ力を普通に持っている、
その事実を改めて見た、復帰戦としてはまずまず、上々の試合だったと思います。

しかし、今後の試合について、名前の挙がっているテレンス・クロフォードや、
ウェルターの他団体王者との対戦などがあるのだとすると、この試合の出来では不安でもあります。
まずまず良かった、破綻は無かった、というレベルでは、これらの相手に勝てはしないでしょう。

かつて当たり前のように、試合の度に見せていた「驚異」のマニー・パッキャオを取り戻せるか否か。
そこが成否を分けることでしょうね。

もっとも、彼がそのような彼自身を取り戻して闘い続けることを、本当に心底から希求しているのか、
それが若干、疑問だったりもするのですが...。
もしそこまでの覚悟があるのなら、議員との両立状態のまま再起することはないんじゃないかなぁ、という。
まあ凡百の身に、これほどの巨大な「星」の心情など、計り知れようはずもないですが。



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セミファイナルのオスカル・バルデスvs大沢宏晋戦は、ワンサイドの展開で進み、終わりました。
内容は、事前の想像通りだった部分と、そうでなかった部分とがありましたが。

まず、王者バルデスの様子が、開始早々から奇異に見えました。
動き自体は前見た通りかな、と見えたのですが、顔色が何だか悪く見える。
スピードの差でリードしている展開なのに、気づけば2回にはもう口が開きっぱなし。
動きも、コンビを打つ動作は滑らかなのに、全体的にはブツ切り、細切れの印象。
その止まっている間に、大沢のジャブを出させてしまい、攻勢を切られる場面も。

対する大沢は、序盤から勝負を、と言っていたそうですが、スピードの差、
それも手足や身体の運びというより、いつどこ打つか、の「判断のスピード」で大きく劣り、
打つ決意をする間が見つからず、後手に回っては打たれ、の悪い回りに追いやられてしまいました。

元々はライト級でキャリアをスタートさせた大沢が、体格の利を生かせる場面は
残念ながらほとんどなし。優勢なのに苦しそうな表情をさらして闘うバルデスに、
何とか押し込んで攻められないか、と思って見ていましたが...。

4回にダウンを奪われ、7回に左フックで効かされて詰められ、ストップ。
心情的な部分で、地方の小さなジムからベガスの大舞台に立った事実を称えたい気持ちもありますが、
試合自体は善戦健闘とはいえない、厳しい評がなされて然るべきものでした。残念です。


試合後の報道などを見ていないのでわかりませんが、バルデスは何か重篤な負傷か、
体調不良の状態にあったのではないか、と見えました。
もしこの状態のバルデスに、細野や下田、天笠あたりが挑んでいたら...と
言うても詮無いことを思ってしまうほどでした。


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ノニト・ドネアの敗戦は、いよいよ彼の身体的限界が来てしまったのかな、という印象でした。
ドネアよりも分厚い上体のサウスポー、マグダレノは、広いスタンスで踏ん張り、
左(アッパー含む)と右フックの迎え打ちに専念し、クリンチやホールドで接近戦を抑えて、
後ろ足から小さく後退のステップを刻み、懐を深く使う、迎撃ボクシングでドネアの切れ味を封じました。

メインのバルガスは、体力不足とダウンの影響から、早々にこの構えを崩してしまいましたが、
マグダレノはバッティングによる出血にも動じず、終盤まで持ちこたえました。
10回くらいになって、すこしスタンスが狭くなり、迎え打ちの威力が落ちたところを攻められましたが、
最後まで踏ん張って、中差の勝利を収めました。

以前なら、相手が来れば鋭い「合わせ」のカウンターがあり、相手が引けば旋回してサイドから崩す、
自在な攻撃ボクシングを見せてきたドネアですが、相手の体格や懐の深さに苦しんだせいもあり、
どうにも攻め口が直線的で単純でした。これではいくら個々のパンチが切れても勝てん、という感じでした。


軽量級の歴史において、これだけ攻撃指向が強く、なおかつ技巧の冴えを見せ、
多くの強敵と闘い、勝ちまくってきたチャンピオンは、そうそういるものではありません。
ジョフレやゴメスに匹敵する戦慄的な強打を持ち、原田同様に大幅な階級間移動をこなし、
過去に類例なきほど、数多くのスペクタクルな勝利を重ねてきたノニト・ドネアの
偉大なキャリアにも、とうとう終焉の時が来たということなのかもしれません。
敗れた相手がリゴンドーのような驚異的な強豪でも何でも無い選手だったこともまた、
そのような思いを強くする一因ではあるのでしょうが。



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岐阜も大晦日/タイトルはともかく/メキシコで健闘/延長戦/長谷川の進退は

2016-11-01 04:51:01 | 長谷川穂積



年末、大晦日開催のタイトルマッチがまたひとつ発表になりました。
WBOライトフライ級、ドニー・ニエテスがフライ級に転じたため、
空位の王座決定戦が、モイセス・フェンテスと田中恒成の間で行われます

フェンテスは強豪王者ニエテスと過去、1分1敗の選手。
まずは充分、決定戦としてはレベルの高い相手ではないかと思います。
少なくとも「何ソレ」としか思うことの無いようなタイトルマッチとはちょっと違うと。

期日は当初29日、名古屋と出てたのが、大晦日岐阜、で愛ドームになりました。
田中恒成にとっては地元ですね。
過去にはジムの大先輩である杉田竜平や、恩師の石原英康がこの会場で世界戦を闘っています。

「石原先生」の試合は私も会場で見ました。勝ってた試合だったのに、あれは惜しかった...。
田中恒成には、恩師の無念を晴らす勝利を期待します。


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当初はこんなにいろいろと、タイトルマッチが連なるという話では無かったはずですが、
再度発表し直された11月23日、大阪は住吉の興行が、なんだかえらいことになっています。

業者、業界が認めたが、コミッションはまだごにょごにょ、みたいな感じの
WBOアジアパシフィック戦がふたつ、そこに丸田陽七太のユース戦も加わり、
5大タイトルマッチが実現と相成りました。

正直、昔日の東洋王座のように、世界への有力挑戦者たりうるレベルの選手が争奪する
価値の高いタイトルではないことは、誰もが百も承知でしょう。
もっとも、それはOPBFにしてからが同様なわけですが。

ただ、タイトル云々というのを抜きにして見れば、若手、中堅、ベテランがそれぞれに、
見所のあるカードに出る、という意味では、悪く無い興行ではあります。

細川vs大石は国内ランカー対決。リッチーvs太尊は、豪州勢へのチャレンジマッチ。
若い丸田の試合ぶりは、直に見たことないので楽しみです。
向井は世界戦経験のあるインタノンと。坂本は日本4位、木村翔とのランカー対決です。

まあ、厳しく言えばこのくらいのカードを組むのに、大層にタイトルを付けないといかんのか、
という気もしますが、それはこの際、大人の態度で見過ごすとしましょう。
住吉「区民センター」ではなく、住吉「スポーツセンター」にて、当日は観戦しようと思っています。
間違えちゃいかんので、覚え書きとして書いてみました。


個人的にちょっと心配なのは太尊ですね。前戦の韓国人との試合は、非常に不出来...
というか、この内容で負けにならんのか、と思うようなものでした。
それが次にタイトルマッチとは...復調に期待はしますが、なかなか厳しいような気がします。
長身、そしてサウスポーの利点を生かして、突き放して、上手く闘ってほしいですが。


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真正ジムの川島翔平、メキシコであのクリスチャン・ミハレスに惜敗
ていうか、動画見たら、これで負けとはなかなかえぐい、という感じがしました。





全体的に、無理に出ず、さりとて引かず、自分のペースやバランスを崩さないで闘った
川島の確かさが光った試合でした。
ミハレスが再三、わざと横向いて誘い、来たとこを打とうとしているのを、
きっちり無視(笑)しているあたりは、敵地なのに冷静沈着で、感心させられました。
もっとも、その冷静さゆえに、敵地で若干きつめの判定を食らってしまったわけでもありますが。
この辺は難しいところですね。


川島は、真正ジム勢の中にあって、長谷川は別枠として、全体的な完成度でいえば、
ジム随一の存在だと思います。
遠い距離で闘えるときの久保隼のような切れ味には欠けますが、
攻防のバランスが良く、見ていて「据わりの良い」選手ですね。
今回は敵地メキシコで惜敗も、名を上げた一戦でした。

見ていて、久保隼あたりに、こういう形で試練の試合を組むというのも、
悪く無いかなあ、とか思ったりもしました。
懐に入られたら出来ることがほとんどない現状では、当然厳しいでしょうが、
そのような課題を克服するための試練こそ、彼には必要なのかな、と。

ちなみに現地のTV解説の採点は、12ラウンズ中、ほとんど川島優勢になっていました。
肝心の公式採点が、ちとアレでしたが。この内容でミハレスが7つ取っている、とは...。


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まだ現役だったのか、と驚いたプエルトリコの強打、ファンマ・ロペスと
ウィルフレド・バスケスJr.の一戦は、ファンマ11回TKO勝ち

...は、いいのですが、試合後「延長戦」が闘われた、という話です。
その様子がこちら

いかんですな。これはいけません。
まあ、肝心の試合を見ていないのに、これを先に取り上げる自分の行いも、
充分いかんなぁ、と自省はしつつ、紹介してみました。


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最後に長谷川穂積TV出演。関西ローカルの「マルコポロリ」という番組。
以前も長谷川を取り上げたことのある番組で、再現VTRとスタジオでのトークで構成されています。

東野幸治が、意外と言っては失礼ながら、笑いを取りつつも、肝心なところでは
長谷川にしっかり話をさせていることに、ちょっと感心しました。
進退は今月中、と言っていますが、まあそのうちに、ということなのでしょうね。

※公式動画ありましたので張り替えます。これはありがたい。


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