さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

過去の自分を乗り越えて 久高寛之、井上拓真に惜敗

2017-08-31 22:16:25 | 久高寛之



ということで昨夜は遅い遅い夏休みを利用して、久しぶりにホールにお邪魔。
井上拓真復帰初戦の、久高寛之戦を見てきました。



4度世界戦に敗れた久高の、その後の試合については、会場で見たり、映像で見たりしてきました。
その中のひとつについては、以前あれこれつべこべと書いたりもしました。

昨年の村中優戦などを筆頭に、結果以前にその試合内容を再評価に繋げている今の久高を見れば、
そのときの思いは、愚にも付かない感傷でしかなかったのだ、と思ったりもします。

しかし、彼をそこまで闘いに駆り立てるもの、奮い立たせるものは何なのだろうか。
その答えが、いち観客として試合を見ることで知れるものだとも思いませんが、
今の久高の姿を、是非もう一度、直に見れば、何かを感じることはきっとあるだろう。
そんな思いで、ホールに足を運んだ次第でした。



試合としては、両者ともに、終始、密度の濃い攻防を繰り広げた好ファイトでした。

初回は井上が厳しく構えを立てて、圧す。久高怯むか、と見えたが、反撃。井上。
2回、久高がボディ攻撃から攻め込む。久高。

3回、井上右アッパーから左返す。久高すぐボディ、井上左フック合わす。やや井上か。
4回、両者ボディ好打、互いにカウンター合わせる。攻防の密度上がってくる。競っているが久高。

5回、久高はボディを再三攻めるが、井上の左もレバーに決まる。
最後、両者意地を見せての打ち合い。場内沸く。やや井上。

6回、久高ボディ、右を被せる。井上カウンター鋭いが久高が攻める。久高か。
攻防が激しく入れ替わる展開。

7回、流れは井上に行って不思議はないが、久高の奮闘続く。
井上は攻め込んで押し切りたいのだろうが、久高がそれを許さない。
井上ボディを攻められながら、左フック、右クロス当てる。攻勢で久高か。

8回、井上右ヒット、攻め込む。久高左瞼カット、出血かなり。
ドクターチェック入り、再開後久高が反撃。
井上カウンター取るが、久高怯まず出る。凄い闘志。井上。

9回、井上右、久高しかしなおも出る。右パンチはまだ切れている。
井上当てて捌く。両者もつれてスリップ。井上か。

最終回、両者意地の打ち合い、久高笑みも見せつつ打ち合う。
井上三連打、右。久高も右返し、きわどいパンチの応酬続く。井上。


判定は公式よりは競っていたと見ましたが、それでも6対4で井上かな、というところ。
残念ながら、久高が勝っていた!とまでは言えないように思いますが、
それにしても久高の闘いぶりは、勝敗を越えて感動的でした。


試合を見ながら、彼の過去の試合ぶりをあれやこれやと思い返していました。

高度な狙いを持って放つ、一撃必殺のカウンターパンチに固執し、
「それ以外」の部分に心を配れなかった故に敗れた、いくつかの大切な試合。
才能あるが故に、と簡単に言って良いのかはわかりませんが、
それ故に欠落したものが、彼の大成を阻んだのか、という思いに囚われた、
そんなやるせない気持ちを抱いた、かつての彼の姿。

しかし、天性の輝き、鋭さ、切れ味が失われたかに見え、黒星を重ねても、
彼は今なお、若き強敵、井上拓真相手に、こんな凄い試合を闘っている。


井上拓真の強い「陣立て」を押し返し、鋭い反撃を際どく外し、
カウンターを取られてもなお、間を詰めて反撃し、攻勢を譲らない。
試合の流れに緩みが無く、無駄な間がなく、休み無く入れ替わる攻防から逃げない。
むしろ進んで、試合自体の「急流」を作り上げ、そこに自ら身を投じるかのような...。

まるでかつての「ヒサタカ ヒロユキ」が、もっとも苦手にしたようなボクサー、
「クダカ ヒロユキ」が、そこにはいました。


一体彼は、何故に今なお闘っているのだろうか、と思います。
むろん、眼前の敵、井上拓真を倒し、その先にさらなる未来を切り拓くため、なのでしょう。

しかし、本人に直接問う立場にもなく、その術も無く、勝手に試合を見て、勝手にあれこれと思い、
それを勝手に書き連ねているだけにすぎない、ひとりの観客として、勝手ながらに思います。

きっとそれは、かつての自分自身を乗り越えるため、それを闘うことで証したい、という決意なのではないのか、と。


久高寛之の闘う意志は、その熱は、確かにホールの客席にまで届いていました。
過去がどうあれ、今後がどうあれ、嘘偽りの無い闘志を持って、彼は闘って、生きている。

その姿を直に見て、その熱に、直に触れることが出来て、本当に良かった、と思っています。
素晴らしい時間でした。



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健闘でもあり、完敗でもあり 4冠王者コット復帰、亀海に大差の勝利

2017-08-27 14:31:47 | 海外ボクシング



ということでWOWOW生中継、さきほど見終えました。


初回早々、ミゲル・コットは動きが若干鈍く、ボディから上への連打もいまいち切れない。
そこに亀海喜寛がぐいぐい間を詰めて、ボディから打ち込んで行く。

軽く当てられてはいたが、ボディ中心に有効打で上回る、望外の好スタートを見て、
コットの調子が上がる前にもっと叩けたら、これはKO勝ちもあり得るか?と
思わず色めき立ってしまいました。

2回、コットがスリーパンチやワンツー当てて動き、捌く流れを掴んだかと思ったら
最後の方はまた、亀海がボディから攻め込んで、場内を沸かせる打ち合いに。
試合の流れのみならず、場内の雰囲気も、亀海に幸いするかな、と思うくらい。


しかし3回以降は、コットが当てて捌いて、スイッチして足使って、クリンチ、
時に頭突き出してまで、亀海の前身を食い止め、突き放す。
亀海はボディブローのヒット、ことに左ボディが出ていたが、手数、ヒットともに
多彩なコンビを当ててくるコットに大きく劣りました。

それでも序盤は、コットがポイント取るものの、亀海の前進にも力があり、押せてはいました。
しかし5回あたりから、コットが右クロスにも力を入れて打ち始め、
亀海は首振って芯を外してはいたものの、6回にはけっこう良いのをもらう。

7回あたりから亀海の前進に力強さがなくなり始める。
こうなると攻め口の単調さが目立ち、同時にコットの多彩さ、巧さが引き立つ。
場内は若干静まり加減で、これまた、亀海の思うような試合展開になっていないことの証。

10回終盤、少し亀海が誘い?コットが出て打ち合いになった場面以外は、
コットが捌き、亀海は出るが打たれる展開続きでした。

全体的に、コットが楽に捌いたわけではなく、亀海の執拗なアタックに苦しんではいました。
しかし攻防共に、はっきりとレベルの差というか、出来ることの数、当たるパンチの「品数」の差が
相当違うことが、試合展開に全部出てもいました。


いかにキャリア終盤とは言え、カリブの生んだスターボクサーの一人に数えられる強豪コットを、
あれだけポイントアウトに徹する試合展開を作ったのは、亀海の執拗なアタックでした。
その闘いぶりは、健闘として称えられて良いと思います。

しかし同時に、中量級の世界的選手との対戦など、スパーリングなら出来ても、
試合とはとても無理だろう、と思っていた80年代ならばともかくも、
竹原慎二、石田順裕らを始め、世界の水準でも勝者となり、
強豪選手と伍して闘った選手も生まれている現代、まして海外のリングで何年も闘い続け、
ついに今日、このリングに辿り着いた亀海喜寛ならばこそ、この試合内容と結果を、健闘と称えるのは
却って失礼にあたるのではないかな、とも思います。


内容も結果も悔しいものでしたし、厳しいものでもありましたが、
長い目で見れば、少しずつではあっても、世界との差は詰まっているとも感じます。
スーパーウェルターに限って言えば、石田順裕は言うに及ばず、チャーリー太田も
チャーロ兄弟の弟の方でしたか、大差で敗れたもののダウンを奪っていたりします。

ライト級以上の日本のボクサーが、果敢に世界のリングに挑む例も、ここ最近、増えていますし。
今回、強豪コットとの差が、違いが何だったのかを、亀海自身なり、次世代のボクサーたちが
課題として引き継いで、ひとつずつ克服していってほしいものですね。


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と、結局、ブログの下書きをしている間に、メイウェザーが10回TKO勝ちしたと、ネットで知りました。
見ていないからなんとも言えませんが、マクレガーって凄いですね。
内容がどうであれ、そこまで立ってられるだけでも大したものじゃないでしょうか。ちょっと驚きました。



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明日から5週連続生中継/一番有名/鉄のハート

2017-08-26 08:25:33 | 話題あれこれ


ということで明日から、5週連続でボクシングの生中継及び配信が続くことになります。
まさしくTVボクシング黄金月間の始まりですね。

明日、27日はコット、亀海戦。WOWOWで生中継。
メイウェザー、マクレガー戦はDAZNで生配信。
ちなみに30日、AbemaTVでも配信あり。
これはホールの観戦予定と被り、私は見られそうありませんが...。

9月に入って2日土曜日、G+で伊藤雅雪の試合が生中継あり。

翌3日、日曜は久保隼vsダニエル・ローマン戦。関西テレビで生中継。
前回同様、ディレイかも知れませんがBSフジでも放送されるようです。
無料で見られる民放BSでの放送は、真正ジムの営業努力に拍手したいです。
何よりもまず、何らかの形で多くに試合が見られないことには始まらないですから。
他のプロモーター諸氏にも、一層の努力を望みたいですね。

続いて10日、井上尚弥米国初登場ほか3試合。WOWOWで生中継。

17日はゴロフキン、カネロ戦。WOWOW生中継。現代の中量級で、ひとまず「決勝戦」とも言える試合。

24日、リナレスvsルーク・キャンベル戦。意外?にも米国開催。これもWOWOW生中継。


ということで、WOWOWさんの大盤振る舞いに関テレがひとつ挟まっただけですが(笑)
一応、関西では5週連続の生中継、事実としてそういうことになっております。
なんだかだ言って楽しみですね。良い試合も、そうでない試合もありましょうが、それなりに楽しもうと思います、ハイ。


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で、明日には熊本でも世界戦あり。
福原辰弥vs山中竜介のWBOミニマム級タイトルマッチです。
地元のローカル局で放送されるような話ですが、G+でも放送が決まりました

それはいいんですが、放送日が来月10日です。
なんじゃいそれは、と思わずツッコミたくもなろうというものですね。
三菱ダイヤモンドサッカーやあるまいし...いや、あれはもっと遅かったのか。
80年代のTV東京海外ボクシングよりは、確実に今回の方が遅いですが。

何にせよ、放送するならもっと早く出来ないものなんですかねぇ。
そんなに「需要」がない、のだとしたら...まあ、確かに仕方ない面も多少、
いや、多々あるのやもしれませんが。

そういうことで記者会見など。
「ゆるキャラ」界のスーパースター、くまモンも登場
しかし、両選手よりも明らかに、こっちが一番有名なんでしょうなあ。
両者には良い試合をして、少しでも有名になってもらいたいものですが。


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さて、その生中継ラッシュ、明日はコットに亀海が挑みます

率直に言って、あちらではコットの復調ぶりを見るための試合、という感じではあるんでしょうが、
番狂わせというのは、そういうときにこそ起きるものでもあります。
苦しい展開が長いかもしれませんが「鉄の心」で闘い抜いてほしいものですね。




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処分はあるか/すり寄るものは金/日仏対抗/純度高し

2017-08-25 09:11:42 | 話題あれこれ



実は30日、こっそり後楽園にお邪魔したりなんかしますが、
その前にちょこちょこ、話題あれこれ。


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ルイス・ネリー、ドーピング検査で陽性
ヤフーのトップニュースにも出てたくらいで、いかに山中陥落が衝撃的だったか、
その証でもあろうかと思いますが、驚きのニュースでした。

この薬物は、フランシスコ・バルガスからも検出されたことがあり、
しかし結局は、お咎め無しで終わった前例があります。
WBO系では、粟生隆寛を破ったレイ・ベルトランなどが処分されていますが、
これも実質、粟生が救済される処置があったかというと、そういうことでもないですね。

実際、ボクシングという、直截的にダメージを与え合う闘いで、後から結果を覆してみたところで、
選手のコンディションが完全に「再現」されるわけでもない。
その現実の厳しさは、かの増田茂氏が「我々は、厳密には同じボクサーを二度見ることは無い」と
看破されたとおりだと思います。


しかし、山中の王座防衛記録がかかった試合で、ストップが論議の対象になったとはいえ
ひとまずの決着はクリーンについた、と思っていたらこんな話です。
例によって「意図的では無い」とかいう話で、アミーゴ同士のなあなあで片付く気配濃厚、
と見ますが、本質的にそんなことはどうでもいいはずです。
違反薬物が検出された、その事実だけがすべてでしょうに。

まあ、昔ならこんな検査自体が厳密に行われておらず(試合後の尿採取くらい?)、
従ってこういう話が表に出ることさえなかったわけですから、それを思えば進歩ではあるのでしょうが。

別のサンプルを検査してどうこう、という話も、どうにも得心いきません。
とりあえず今は事態の推移を見守るしかありませんが、ことの是非通りの、
筋の通った処分が下されることを期待します。


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本当にこんな試合が実現するのか、と呆れていたら実現して、
しかも相当なビッグマネーファイトになってしまうようですね。

しかし、この試合をネバダのコミッションが認可したのも驚きなら、
WBCが「笑わすつもりか」という名称のベルト持って馳せ参じるというのも...(^^;)

また、この試合のPPVがえらく売れる、それこそパッキャオ戦並に売れる、というのも驚きです。
アメリカでの「売れ筋」って、そういうもんなんですねえ。理解不能ですが。

まあ、アリをだまくらかしてリングに上げた日本の「不逞の輩」と違い、
マクレガーという人は、ボクシングの試合でメイウェザーに挑むといいますから、
そこは大したものだと思います。どう考えても不利でしょうし。

この人、数年前からSNS上で、メイウェザーを挑発したり(或いは、されたり)してて、
それだけでフォロワーの数が桁違いに増え、それだけで充分、元は取っている、とかいう話でしたが、
実際に対戦して、報酬も桁違いなものを得て、となれば、それは立派に「プロ」の仕事、と言えるんでしょう。

ただ、どう考えても「良い試合」にはならんでしょうね。
マクレガーという人の実力はさっぱりわからないですが、勝ち目は無いでしょうし。
さりとてメイウェザーが鮮やかに斬り捨てるようなこともないかなと。
素人、と言っては悪いですが、デビュー戦の相手だろうと、あのお方のこっちゃから、
どうせ、いつもの感じ、例の調子でしょ...と。


当日、DAZNで配信とのことですが、ライブではコットvs亀海を見るので、
どのみち見ることはありません。
なんでも3日後、録画というかディレイで、AbemaTVで配信されるそうで、
暇があればそっちで見るかな、と思っています。
見逃してしまう可能性も大ですが...。


そういえばこのDAZNというのが出来た当初、HPのコンテンツ一覧には
「HBOボクシング」って表記があったんですよね。
おお、とうとう帝拳=WOWOW独占体制の海外ボクシング放送に風穴が空くのかいな、と
一瞬色めき立ったんですが、後日見たらすぐに表記が消えていました。

残念ながら、サッカーの試合をあれこれ見まくる、という心身の頑健さを持ち合わせていない、
「充分に老いた」身としては、現状では加入しておりませんが、
もし毎週のように海外ボクシングの生中継があったり、国内試合が一括して見られるようなことがあれば、
喜んで加入すると思います。

放映権獲得の問題か、WOWOWでも時々ですが、見たい試合、当然やるだろうと思った試合が、
放送されなかったりすることもありますので(最近ならブルックvsスペンス戦とか)、
その辺をカバーする、という役割から、とりあえず初めてもらえたら嬉しいですけどね。
まあ、たぶん無い話ではありましょうが...。


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比嘉大吾の初防衛戦は、6位の欧州王者と
10月22日の両国興行に組み込まれることになりました。
まあ、大方の予想どおりではありますね。

これまた当日、秋の遠足でお出かけすることになりますので、楽しみです。
おそらくメインのエンダム陣営の絡みから、フランス人が選ばれたのでしょうが、
うまいことランカーがいてくれたものです。

セミとメインが揃ってですから、当日は日仏対抗の趣ですね。
ピストン堀口とエミール・プラドネルの昔から(昔過ぎる...)、
日仏戦では分が悪い日本勢ですが、今回は良い結果を期待したいところです。


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実は今週、ことによったらホール行ったろか!と思っていた試合がありました。
二日にわたって行われた、日本ユース王座決定戦興行です。

名古屋のボディパンチャー水野拓哉や、バンタムの長身サウスポー武田航、
Sライトの平岡アンディvs吉開右京戦、それ以外にも書き切れないほどに、
各階級注目の若手選手が大勢見られる二日間だったんですが、
BoxingRaiseで動画配信が見られることもあり、断念しました。

要注目のカードばかりでしたが、その中でも一番はフライ級。
ホールで連続初回KO勝ち、岡山の倒し屋、ユーリ阿久井政悟と、
昨年の新人王でも白眉のセンスを見せたサウスポー、中谷潤人の対戦でした。


阿久井のパワーか、中谷の柔軟性か、というカードでしたが、
実際にやってみると、離れて捌きにかかるかと思っていた中谷の方が、
接近してのインファイトに応じ、しかもそこで完全に打ち勝ってしまいました。

阿久井は正対して右強打から入るが、後続のパンチが続かない。
中谷が右のアッパーとフックを内外から当て、適時、左の上下を決めていく。
パンチの正確さと、防御意識の差が少しずつ、しかし確実に積み上がって、大差になっていく。

6回、中谷が詰めにかかってTKOとなりましたが、その過程において、
長くインファイトの展開が続き、しかもクリンチがほとんど無い。
レベル云々とは別に、これほど純度の高いインファイトが見られた試合は、
最近余り見ていないような気がします。
明暗くっきりの両者でしたが、大いに称えたい試合ぶりでした。


普通ならこの段階で交わることがあったかどうか、ジムの所在も東京と岡山だし、
日本ユースというタイトルがなければおそらく...という組み合わせ。
このタイトルの是非は色々論議を呼ぶところでしょうが、
この一点においては意義がある、と思うのも確かです。

以前も少し書きましたが、試合枯れの可能性もある地域の選手であっても、
こういうカードに出て、勝ち上がれば、大きなチャンスでもありましょう。
今回は残念だった阿久井ですが、この経験を経て、大きく成長してほしいものです。

しかし中谷潤人、新人王翌年でこのカードは厳しいかな、と思いましたが、
思っていたとおりに巧く、柔軟で、思った以上に冷静、さらに言うなら剛胆なところが見えました。
もう少し全体的に、柔軟さを失わずに、力強さを加えて行けたら、これからが楽しみですね。


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王者を捉えた、挑戦者の「懸命」 山中慎介TKO負け、V13ならず

2017-08-15 22:14:03 | 関西ボクシング




ご多分に漏れず、TVの前でしばし呆然としておりましたが、
なんとか簡単に感想などを。



立ち上がりは、以前プレビューめいたことを書いた際に思い描いた理想に近い、
右のジャブを丁寧に、鋭く突いていく、山中慎介の姿が見られました。

厳しく距離を維持し、ルイス・ネリーの前進を止め、連打の端緒を与えない。
これをベースに試合を展開すれば、自ずから優勢に立てるだろうと見ました。

ネリーは初回、右ダブルから左ダブルという4連打を繰り出してきて、
ちょっとビックリしましたが、山中は冷静に対処していました。
ただ、早々に首振り防御、スリッピング・アウェーというんですか、
あの避け方をしないといけなかったことは、後から思えば、危機の始まりだったかもしれません。


2回、ネリーの左、山中すぐ左返す。山中は芯は外したかに見えたが、ヒットを喫する。
最後、ゴング間際に2発食ったあと、左を打ち返し、これが好打。

3回、ジャブから左ストレート、コンパクトなワンツー。ボディにも好打。
コーナーから「左はショートで当てて行け」という指示が出た、とのこと。


この指示については「序盤のうちは右一本くらいで良い」と思ったのが、正直なところでした。
序盤やりすごせば、力使って打つネリーの体力は必ず落ちてくるから、
勝負は中盤以降に...という風に思っていました。

しかし、山中は表情からして自信満々。そもそも指示通り当てているのだから、当然か。
ネリーの接近を怖れず、当てて止めてやる、という風にも見えました。


ネリーは打たれながらも連打を出し、4、5、6発と続けて振ってくる。
巻き込まれると怖い、必殺の攻撃パターン。これが二度ばかり見られる。
この攻撃は、出すきっかけを与えないでほしい、と思ったら、4回にそれが出ました。

左のフックが端緒。ストレートの距離から届く、ロングの一打。
すぐ右が返り、バランスを崩した山中の急所に、また右が当たる。
この辺の追撃の速さ、動く標的を強く捉える正確さは、ネリーの天性、真骨頂というべき部分。


しかし山中、ここで正対して打ち返す体勢。
ジャブ突いて、足で捌くとか、クリンチするとかいう「冷まし」には出ない。
ダメージはあったでしょうが、完全にどうしようもないという効き方ではなかったか。

この選択が、結果として悪かった、甘かった、と言わざるを得ませんでした。
山中が絶好調に仕上げた故、そして序盤から手応えがあったが故の陥穽だったのでしょう。

ネリーが伸び上がってフックから攻め、ヒットを重ねる。
山中は体勢が崩れ、ガードも開き、構えが緩んでいくが、意識自体ははっきりしているからか、
逃げに出ず、打ち返そうとする悪い選択を重ねて、さらに打たれる。

ネリーの左が肩越しに決まり、なおも追撃。そのさなか、タオルが入り、試合終了でした。

悔し涙の山中、死地を抜けた茫然から歓喜へと転じたネリー。
試合後のふたりの表情は、試合同様に、目を引きつけられるものがありました。



山中慎介は、年齢やキャリア、防衛記録への注目からくる重圧などが懸念されましたが、
立ち上がりから、闘いぶり自体は、非常に好調に見えました。
右リードの威力、精度とも、ここ最近では出色で、左も勝手に付いてくる、という風。

ただ、だからこそ、序盤から「熱い」試合をする必要はなかった、と思います。
長いラウンドを闘う経験に乏しい、強打の挑戦者を相手に、勝負所を中盤以降に設定する、
そういう作戦があって良かったはずだ、と。


しかし、山中の左を好打されながら、思い詰めたような表情のまま、懸命に打ちかかってくる
ルイス・ネリーの鬼気迫る姿を見ると、あのリング上の空間は、傍目の賢しらな考えが通じるような、
生易しいところではなかったのだろう、とも思います。

試合前のインタビューで、自分の全てが試される、厳しい試練の一戦だ、という趣旨のことを
語っていたとおり、序盤から思うに任せぬ展開であっても、全てを「当然」として受け容れ、
自分の攻撃パターンを信じて攻め続けた。
その闘いぶりは「評」の言葉をひとまず置いて、敵ながら、心惹かれるものがありました。




短いながらも濃密な、あっという間の4ラウンズでした。
こんな凄い試合は、滅多に見られるものではないでしょう。
硬く鋭い拳を斬り結ぶ、運命の闘いが終わり、名王者が陥落し、ニューヒーローが誕生しました。

これぞボクシング、優勝劣敗の真実を見たのだ、と思います。
人は、ボクシングに様々なものを求めるでしょうが、突き詰めれば、
この酷薄無情な真実こそがすべてであり、それ故に我々はまた、ボクシングを見るのだ、と。


勝ち負けや、タイ記録ならず、という事よりも先に、体重118ポンドのボクサー二人が見せた、
身震いするほどに迫力ある闘いそのものに、何よりもまず拍手を送りたい。
そんな風に思った試合でした。




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然るべく収まるところに/話が早い所以は/王国の雄、引退/笑顔とKOとベルトが似合う

2017-08-07 18:29:56 | 関東ボクシング



ということで、また夏から秋、そして暮れにかけてあれこれと賑やかになってきますが、
話題あれこれ、少しずつ。


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アッサン・エンダムvs村田諒太、再戦決定

本田会長がWBAの指示した入札を拒否したと報じられたりもしましたが、
あくまで、入札の金額に基づいた興行はしない、
報酬3対1の条件で村田を出せるかボケ、ということだったのでしょう。
まあ、その他の条件を考え合わせると、然るべきところに収まった、ということですね。

予想については、前回同様、村田が圧力をかけていき、なおかつ手数も出そうとする...のでしょうか。
圧しはするが手控える、という型だったからこそ、相手を抑え込めた(判定はそうは出ませんでしたが)、
それが前回の試合だとしたら、手を出すことによって、却って攻勢を失ったり、
防御の質を落としたり、ということがあるのか否か、そこに注目します。

村田の過去の試合ぶりを思い返すに、この選手は一試合で、目に見えて大きな変化や
進境を見せるというよりは、徐々に細かいところを改善し、整えていくタイプと見えます。
基本的には前回の型を踏襲しつつ、不足(と判定された)だった部分を、
何らかの形で改善し、勝利に繋げることが出来るのかどうか、ですね。


この試合、有明ではなく両国開催ということもあり、観戦しようと予定を立てております。
アンダーにも色々、良いカードが入ってくれると良いんですが。
比嘉とか、拳四朗vsゲバラなんかも見られたら嬉しいところですね。


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山中慎介V13戦も間近なバンタム級戦線において、WBAとIBFの統一戦が決まりました

どっちも王座獲得後初戦、つまりは初防衛戦がいきなり、統一戦となりました。
話の早いことで、と驚きましたが、つまるところ、選手の周辺に、プロモートとマネジメントの権益を
同時に主張するような人間がいないから、こういう成り行きもあり得るわけ、ですね。

ろくに防衛もしてないうちから...と思う気持ちもないではないですが、
選手にとって、勝てば大きなものが得られる試合が、すんなり組まれることは
「冥利」に尽きる、というものでもありましょう。

翻って日本における、好選手の周辺事情はというと、傍目には「余計」が多すぎる、というに尽きます。
山中がネリーに勝つと仮定して、その後の道行きにも関わりのある(無いかもしれませんが)、
また、井上尚弥がバンタムに転じるとしたら、ターゲットだったはずのザキヤノフの命運を
大きく変えるかもしれない試合です。要注目ですね。


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ウラディミール・クリチコは、アンソニー・ジョシュアと再戦せず、引退とのこと。
そして王国メキシコの雄、ファン・マヌエル・マルケスも、ついに引退を表明しました。

記事にもあるとおり、キャリア序盤、というか中盤までは、その実力に見合わぬ不遇ぶりでしたが、
フェザーやライト止まりと見えた体格で、最後はウェルター級に「突入」して闘い、
宿敵パッキャオを、右カウンターの一撃で地獄に突き落とすに至った、その「拳譜」は、
王国メキシコでも歴代上位に上げるべき、素晴らしいものでした。

全てにおいてレベルが高く、しかしそれだけではない。
同時にその試合ぶりは、見ている者の心を揺さぶる熱量の高さが圧倒的で、心惹かれる選手でした。

技巧的でありながら、打倒の意志が漲っている、姑息さや卑怯さとは無縁の「王」としての闘い。
彼の試合を見ていると、これこそが、自分がボクシングに求めているものだ、と、再確認させられる、
そんな数少ない選手のひとりでした。


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最後に、内山高志の引退に寄せて、良い記事を見つけましたので、ご紹介。

長谷川穂積の再起を描いた「211」の著者、水野光博氏の記事です

「誰よりも笑顔と、KOと、チャンピオンベルトが似合う男」とは、まさしくその通り、ですね。




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中国リングで衝撃の番狂わせ 木村翔、ゾウ・シミンを上海に沈める

2017-08-02 05:08:05 | 海外ボクシング



今頃なんですが、先週の上海における衝撃の番狂わせについて、雑感。


木村翔の試合は、拙ブログでも一度取り上げたことがあります。
昨年11月、住吉スポーツセンターにて行われた、坂本真宏との試合について書きました。

予備知識は何もなく、一見した印象だけですが、スピードがあり、手数が出て、
果敢に攻めるものの、その反面、防御が甘く、よく打たれもする。
一発のパンチでは坂本だが、それをスピードと攻めのリズムで抑えた、という試合に見えました。

しかし、その後タイ遠征などを経て、ゾウ・シミンに挑戦すると知ったときは、
思わず声ならぬ声が出てしまうほど驚いた、というのが正直なところでした。

驚き、というのにはいくつかありますが、まずあの試合ぶり...
攻めは良い反面、甘い防御が、8回以降さらに崩れ、無防備に近い状態にさえ見えた、
いかにもキャリア不足の選手が、仮にも世界戦に出るのか、ということ。

そして、中国市場向けの作られたチャンピオンとはいえ、五輪連覇の経歴を持つスター選手に、
こんな甘いカードを組むことを、トップランク社が許したのか、というのがもうひとつ、でした。
思えばWBO王座獲得戦も酷いマッチメイクではありましたが、またしても...という。


試合当日は仕事で忙しく、久田哲也戦の観戦もならず、この試合のことは忘れていました。
翌朝、ネットで結果を知って、またしても声ならぬ声を出してしまった次第です。


動画をチェックすると、最初から木村が果敢に出て、ゾウが捌く展開でした。

木村は左フックや右ストレートをボディに送り、上にも思い切り良くフックを飛ばす。
ゾウは左右に身体を翻しながら、左右をカウンターして捌く、という流れでしたが、
動きにもパンチにも切れがなく、木村の攻勢を食い止められず、徐々に後退一方に。

ゾウは当てる巧さは見せ、楽な構えでアッパーを含め、あれこれ当てはするものの、
右目周辺の出血をものともせず、前進を続ける木村に押されっぱなし。

攻めに回ると手数が良く出て、ボディも打てる木村は、少々打たれても構わず、
空振りしても手数を出すことを厭わず、間を詰め続け、ゾウに全く楽をさせませんでした。

11回、右ヒットから猛攻し、最後はラッシュしてゾウを倒し、KO勝ち。
上海の大会場が静まりかえる結果となりましたが、試合自体はファイタータイプによる
ボクサータイプ攻略、攻め落としの流れで、ほぼ完勝と言えるものに見えました。

右瞼の出血、ゾウの当て勘の良さも、木村を苦しめはしたでしょうが、食い止めるに至らず、
木村は終始、果敢に出て攻める流れを手放しませんでした。
その勢いを終盤になっても落とさず、それどころがさらにペースアップして倒しきった。
おそらく相当な練習を積んでいたでしょうし、この一戦に賭ける気迫が、ひしひしと伝わってきました。

この試合は当日、ライブ映像がネットで見られたらしく、見逃したことはまさしく不覚でした。
新チャンピオン、木村翔の見事な勝利に拍手、そして脱帽です。


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敗れてしまった、中国の国家的スポーツ・ヒーローたるゾウ・シミンについては、
試合後、知らなかったことも含め、あれこれと聞こえてきました。

トップランクとの契約が知らない間に切れていて、中国の「業者」とも離反していて、
今回の試合は自分がプロモーターも兼ねていた、などなど。
ああ、そういうことだったのか...と思ってしまう話でした。

ゾウはプロ入り後、はっきりスタイルを変えていて、短いラウンドをスピードと手数で埋める、
という感じから、パワーアップを計った面があり、それが充分に出来ているか否かはともかく、
トップランクが用意したトレーナー陣、またはフレディ・ローチにフィジカルを鍛えられたのか、
フライ級にしては、がっちりした厚みのある身体を作っているな、と試合の度に思っていました。

もし井岡一翔が対戦したら、全体的な巧さでは井岡も負けないとしても、あの体格に押され、
打ち負け、押し負けるのではないか、と思ったりもしたものです。

ところがこの日のゾウは、その体つきに締まりがなく、見るからに調整不足でした。
体重を作ることを優先した、急ごしらえのボクサーの身体だな、と一目見て思いました。
おそらく上記した周辺事情も、その一因だったのだろう、と思います。

今回の木村、そして指名挑戦者の五十嵐俊幸と、日本人挑戦者に連勝すれば、
さらに自身の人気が高まる、という目論見もあったのでしょうが、結果は無残なことになりました。

試合後、スポーツマンライクな態度で、木村の健闘を称えていたゾウは、
再起して木村との再戦を目指す、と表明したそうです。
おそらく、万全に仕上げたら自分が勝つ、勝てると思っているのでしょう。
実際、巧さでいえばゾウの方が上でしょうし、それを支える体力面を整えられれば、という。

その見立て自体は、正直に言って、その通りなのだろうなぁ、と思ったりもします。
しかし、一度結果として出た勝敗というものは、理屈を越えた影響をもって、
再度相まみえたときに、両者の命運を分けるものでもありましょう。

正しいと見えることが、必ずしもその通りの結果になるとは限らない。
それもまた、ボクシングの真実です。今回の試合がそうだったように。


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それにしても上海の会場、相当大きくて、良く入ってました。
雰囲気も華やかでしたし(お客さんはゾウに対する心配モード一色ではありましたが)、
相手が日本人だからといって、試合運営やレフェリングにも、特に妙なことはない。

加えてゾウの試合ぶりが、苦しい展開続きなのに概ねクリーンだったこともあり、
見終えて、すっきりした印象だけが残りました。

もし今回ゾウが勝っていたら、次は五十嵐が遠征していたのかもしれませんが、
日本のボクサーにとり、アマチュアで世界王者を擁する中国のリングもまた、
これから魅力的な舞台になっていくのかもしれない、と思ったりもしました。




※皆さん、当然あれこれご覧になっていることでしょうが、一応見た動画を。





コメント (4)
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両者低調/防御の差歴然/名残惜しさが見えました

2017-08-01 12:29:47 | 関西ボクシング



日曜日、住吉の他の試合など、感想を。

OPBFタイトルマッチはバンタムの他、ミドルとSウェルターの試合がありました。
ミドル級は太尊康輝が、森岡ジムのロックハート・ブランドンシェーンと対戦でした。

ロックハートは新人王で西軍代表まで行きましたが、全日本決勝で長濱陸に敗れた選手。
その後全勝で来ているのかというとそうではなく、4戦2勝1敗1分。
1敗は淵上誠相手にダウン応酬の健闘をした試合ながら、勝ちは二つともタイ人。
小柄ながら一発強打を持つが、単発でパワー頼み、スタミナにも不安あり、という印象で、
正直、なんであれタイトルマッチとなると厳しいだろう、と思っていました。

試合自体は長身のサウスポー、太尊が長いリーチの右ジャブを突きつつ、じりじり前に。
ロックハートは足使って回り、下がる。手数少ない。

太尊はロックハートの強打を警戒し、こちらも慎重。単発の左が時折出る。
4回、太尊が左を当て、ロックハートが空振りした後、ダウン。
ヒットかどうか微妙な印象だったが。

ロックハートは体力的にきつくなってきたか、元々単発傾向だったものがさらに手数減少。
7回は右を何度か当てたが、足がよれる。きついのが表情に全部出ている。
8回、太尊が左ボディを再三決め、二度目のダウンを奪う。

しかし終盤、太尊は詰める意志を見せず、慎重なまま。
ロックはたまにヒットを取るが、身体の力が落ちていて、ほとんど効かない。
結局、両者共に、スピードや切れ、迫力に欠け、低調なまま試合は終わりました。
判定は3-0で太尊でした。


正直、酷評したい気持ちにもなる試合ではありましたが、
この直前にヤップvs益田を見てしまったせいで、そういう風に感じるのだろう、と
自分に言い聞かせることとします。

太尊の体つきは、非常に引き締まり、良いコンディションを感じさせるものでした。
今後は、その体格を、積極的、能動的な試合展開で生かしてもらいたいと思います。


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Sウェルターは、大石豊をKOして王者になったラーチャシー・シットサイトーンが再び来阪。
日本一長いリングネームで話題になった、ジャンボおだ信長本屋ペタジーニと対戦しました。

新人の頃はSライトだったおだ、その抜群の体格ゆえ、Sウェルターでも見た目に無理は感じませんでした。
というか、小柄なラーチャシーを、体格で完全に上回っていました。

しかし試合が始まると、ゆったりとしたリズムの省エネボクシングをする、
小柄なラーチャシーが右ダイレクトで先手。おだは遠くから打てずに近寄って打つ展開。
ラーチャシーは絞れば下の階級でも出来そうな体つきで、無理はまったくしない。

おだは防御勘が乏しいのか、技術に欠けるのか、ラーチャシーのパンチをほとんどガード出来ず、
ブロックに引っ掛けることも出来ない。おだのシャープな右が飛ぶ場面もあったが、
スローテンポのラーチャシーがすぐに打ち返し、好きにヒットを重ねていく。

中盤、展開変わらず、おだはダメージを溜めていく。手数を出すも外され、お返しをもらう。
ラーチャシーは少し疲れたか、クリンチ増やし休み休み。
8回、ラーチャシーが右から左を返し、おだが前にのめる。見ていて、この辺で止めていいと思ったが。

9回以降、完全にワンサイド。おだ右返すがラーチャシーがまた当ててはクリンチ、という繰り返し。
鋭く詰めようという風ではまったくない、それが却って悪い。

11回開始前、レフェリーがコーナー前で何事かおだ陣営と話す。
ラウンド開始後、それまで持ってもいなかったタオルを、セコンド陣が手にしているのが見える。
結局、この回ラーチャシーが右当てたところでタオルが入り、TKOとなりました。

ラーチャシーはそれなりに巧いが、体力に欠け、見ていて良いボクサーだとは到底言えず。
おだは残念ながら防御の面で大きく劣り、敗れてしまいましたが、日本の王者や上位クラスが
しっかり仕上げてぶつかれば、充分攻略出来るでしょう。
パンフによるとIBFで13位に入っているらしいですから、どこからかお声がかかり、
三度目の来日があるかもしれませんね。
もっとも、彼の試合をまた見たいとは、ファンとしては全然思いませんが...。


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この日はタイトルマッチ三つ以外に、8回戦がふたつ。

谷口将隆は日本タイトルマッチでの惜敗から再起戦。
タイのナーヨレックを初回から厳しく攻め立て、左のレバーブローで沈めました。
相手がどうという以前に、再起への決意と見える鋭さ、厳しさが印象的でした。

向井寛史は香港でのレックス・ツォー戦からの、こちらも再起戦。
タイのサトーペットを3回に二度倒し、5回ボディで沈めました。
打った後止まる場面が散見され、こちらはやや不調ではありました。


細川貴之引退セレモニーでは、元日本ミドル級王者の鈴木哲也とのスパーが行われました。
サウスポー同士の激突では、両者お約束のダウン応酬があり、激しい打ち合いもあり、
なかなか盛り上がっていました。
ことに細川の方は随分と張り切っていて、その姿をみていると、
やはりリングが名残惜しいのだろうなぁ、という風にも見えました。

数々の強敵相手に闘い、いつも好試合を繰り広げ...とはちょっと言いにくい部分もありますが(笑)
長い間お疲れ様でした、と改めて思った次第です、ハイ。





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