さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

7回にもなって決まった「初弾」が決め手 ワイルダー、難敵を返り討ち

2019-11-24 15:26:19 | 海外ボクシング



今日は朝から英国、昼前からアメリカの二試合がDAZNとWOWOWで生中継。
加えて全日本選手権も、NHKーBSで二枠に分けての放送と、どないせえちゅうねん、という日曜日でした。


とりあえず感想書いていきますが、やっぱりヘビー級から。
デオンテイ・ワイルダーとルイス・オルティスの再戦は、前回の内容を受けて、互いにどう出るか、という試合でしたが、思った以上に極端な展開でした。

ワイルダーが引いて見て、ほとんど自分から打たない。オルティスはそれに乗じて、というほどには攻めない。
この展開が続き、気づいたら試合が半分終わっていました。

初回、オルティスが左ダイレクトでヒット、その直後のバッティングで右のこめかみあたりを切る。
この出血はほとんど展開に影響なく、さいわいでした。

2回はオルティスが僅かに手を出すのみ。3回はオルティスがワイルダーのジャブを外して左を返す。
この回は上下のヒットあり。
4回もオルティスが散発的に左。ガードされたものも多い。
5回はオルティスが右上、左下のワンツー。ワイルダー右をのぞかせ始めるが、2度くらい。
6回、ワイルダーの左ジャブを外したオルティスの小さい右リターン。

互いの攻防を書き出しても、せいぜいこのくらいで、互いに警戒が勝つ、見合い、探り合いの前半戦。
手控え、間合いが伸び、見合えば見合うほど、オルティスの巧さがまさるばかりで、ワイルダーにいくら一発があると言っても...と思わずにいられませんでした。


7回も、流れが変わるような立ち上がりではなかったように思ったのですが、ここで少し様子が変わる。
ワイルダーが右ミス、オルティスが左カウンター、という攻防が二度あった後、ワイルダーが右ストレート、右フック、アッパー気味、と三発、違う右を打つ。
ああ、これは何考えてるのかわからない(失礼)ワイルダーが、実は彼なりに(これまた失礼)探りを入れ、照準を合わせようとしているのか、と見えたのですが、その後にオルティスの好打があり、一瞬それを忘れたところでした。

急にその「照準」が合ったものか、らくしもない力みのないフォームで、振りも大きからず、しかし縮こまらずに伸びのある右ストレートが、最短距離を通って、オルティスの顔の真ん中あたりを打ち抜き、オルティスダウン。
あー、さっきの三発のうち、一番最初のヤツや...と思っている間に、カウントが進み、試合が終わりました。


終わってみれば、右のミスを狙われたくないワイルダーが、前回の轍を踏まずに、難敵オルティスを仕留めた、という風に語らざるを得ない試合でした。
しかし、今時、試合の半分を「見て」過ごし、ほぼ全ラウンドで失点していた(と見えましたが)展開のあと、7回にもなって、やっと決まった、ほぼ最初のクリーンヒット「初弾」といっていいパンチを決め手にして倒す、という勝ち方は、あまりにも常識外れというか...。

まあ、これこそデオンテイ・ワイルダー、というしかないんでしょうが、感心するやら呆れるやら。
ある意味、これぞヘビー級、バケモノの世界なのでしょうね。普通の考えでは通じないものを見られる世界である、と。


試合後は、互いにリスペクトし合う間柄らしく、友好的なところも見せていた両者ですが、その闘いは静かながらも激しく、そして壮絶なものでした。
PFPランキングというようなもので、上位には出て来ないこともあるヘビー級王者たちですが、そういう「評」の世界には収まらないものを見ることが出来ました。


さて、来月のサウジアラビア決戦を経て、ヘビー級戦線はいよいよ面白くなりそうです。
この階級で、誰もが思い描くようなカードが組まれ、ヘビー級統一が実現すれば、さらなる興奮が味わえることでしょう。
大いに期待です。



コメント (3)
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