さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

残念ながら映像はなし

2019-11-09 12:04:44 | 井上尚弥


本日放送の「せやねん」、当然この試合を取り上げていましたので、ご紹介。
しかし、大人の事情(予算の限界とも言う)で、映像はなし。





今日は女子ゴルフなど中心の構成が決まっていたようで、もうちょっと枠とってほしかったところですが、残念。

しかし、それこそJリーグや英プレミアリーグの映像を使えないところを、コメンタリーの話術で乗りきろうと奮戦中のJスポーツやスカパーの如く、我らがトミーズ雅こと北村雅英氏が「語り」で頑張っておられます。
その熱意に敬意を表したいと思います(^^)


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写真提供していただきましたので、ご紹介

2019-11-09 04:33:51 | 井上尚弥


今回、同道した友人から、写真の提供をいただきましたので、ちょっとだけご紹介。

さいたまスーパーアリーナは、もう15、6年前になるんですね、一度だけ観戦に来たことがあります。
当時の会場周辺は実に殺風景で、お店の数も少なくて、なんだろなという感じだったんですが、当然それだけ月日が経てば変わるもので、あれこれ開発されて、えらく賑やかな大都市の駅前、という感じに変わっておりました。

で、今回の大試合、お客さんの数もえらいことになっていました。

まずは会場前。
これは当時から変わらず、ドえらい大箱です。






で、こちらが「Aゲート」。当日、18時10分ごろ。
開場が18時で、第一試合開始が18時30分とのことで、まあ普通の時間に向かったつもりが、この有様。






最初、厳重に手荷物チェックでもしてるんかな、と思ったんですが、思ったよりはすいすい進む。
普通にチケットもぎってるだけでした。
それでもやはり、内部通路の混雑も凄くて、物販やトイレの行列などもあって、席に辿り着くまでけっこうかかり、結局第一試合開始には間に合わず。

開場時間と第一試合開始の間、30分というのは、後楽園ホールの興行なら別に問題ないですが、世界戦、ましてこんな大箱、チケット完売の興行では、設定自体が間違いだった、と言わざるを得ません。
まあ普段、こんな規模のイベントを、興行的に成功させた経験が乏しいわけで、無理もないですが...って、書いてて悲しくなってきますね。






さて、場内の様子。
上の方の席まで、隙間無く観客の姿が。
人が居ないところがありますが、これは大型モニターや国旗の裏側で、席を設定していない部分です。






ちょっとだけ試合の様子も。セミです。




ウーバーリ、拓真に判定勝ち。





メイン前、お馴染みWBSSの豪華照明。
無事、使用されました。やっぱりこれがないとねー(^^)






ドネアさん、お立ち台に立つ。
場内、ホンマのホンマに満員。






メインはもう、語り尽くされていますね。一枚だけ。






そんなことで、さいたまスーパーアリーナ、大盛況でありました。

写真提供は「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんでした。
ありがとうございました。




コメント (4)
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新旧の王者が、共に打ち立てた「証」の輝き 井上尚弥、ドネアに判定勝ち

2019-11-09 00:29:52 | 井上尚弥



ということで、さいたまスーパーアリーナで観戦してきました。
試合については、当然皆様、しかとご覧でしょうから、今頃私なぞがあれこれ書いてもしょうがないんですが、とりあえず経過から。
出来るだけ簡潔に...出来るだけ...無理ですが。



初回は、互いにちょっと見るのか、と思ったら、本当にちょっとだけ。
体格ではまさるノニト・ドネアに対し、井上尚弥が鋭く斬り付けていく。
左フックの相打ちを際どく決め、右ボディ、クロスも飛ぶ。
ドネアのパンチもフォロースルーが深く、威力を感じるが、微妙に浅く、外されている。

初回を見終えて、確かにスリルを感じる攻防だったが、少なくとも現状における両者の「差」が、はっきり見えたような気がしました。
「仕掛け」の主導権がどちらにあるか。パンチ自体の速さ、鋭さは。相手の身体の軸に向けて、拳が軌を描いているのはどちらなのか。
それははっきり井上尚弥の方でした。

この時点で、ドネアのタフネス、耐久力を最大限に見積もっても、この試合は中盤までには終わるだろうと思いました。
ドネア自身がどれだけ耐え、闘志を示そうとも、レフェリーが続行を許容出来なくなるだろう、と。

そして、そこまで言わずとも、リング上の井上尚弥もまた、少しずつ、確信を得ていたように見えました。
2回前半の攻防にもそれは出ていたように思います。


しかし、ここで井上がどういう理由か、作戦だったのかわかりませんが、ロープ際に下がり、ガードを締めて止まり、受け身になる。
自らのボクシングを、攻めに偏り過ぎていると見た故、バランスを取りなおそうとしたものか?
見ていて、これは要らん、今やることじゃない...と思ったところ、ドネアがそこに踏み込んで攻めてきました。

その流れで、ボディへの軌道を上に切り返す、フェイントつきの左フック一発、被弾。
先日、カネロ・アルバレスがセルゲイ・コバレフを倒す決め手となったパンチと同じ技でした。

確かにダメージもあったでしょうが、食ったところで一発で伸びてしまうようなパンチではありませんでした。
普通なら、あー、これはいかんぞ、気つけんと...と、それで終わるはずが、遠目にもはっきり見える出血。最悪...。


序盤の攻防で後手を踏み、改めて井上尚弥の技量力量を「体験」したばかりのドネアは、しかしほんの一瞬の隙を逃さず、刃を仕込んだ拳で斬り付けてきました。
かつてかのジョー小泉氏が「ことによると、ジョフレよりも、サラテよりも...」とさえ評した、バンタム級史上、軽量級史上屈指のリング・グレートは、おそらくこの試合に向けて、この瞬間を掴むために闘っていたのでしょう。

その願いがまずは一度、かなった場面でした。そして、そのたった一撃で、井上に深手を負わせてしまった。
やはり、畏るべしノニト・ドネア。私は改めて、このボクサーに恐怖しました。



そして、せっかくの好スタートを、半ば自らの手で無にしてしまった井上尚弥は、3回早々、フォームを乱した空振りを数回。
当然、出血で視界に影響もあろうし、クリーンヒット自体のダメージも心身に残っているだろう。無理もない...と。

ところが、程なく井上は、少なくともこちらの目には、その乱れをいとも簡単に収め、構え直し、自らの攻防を整え直してしまったように見えました。
場内は心配込みの声援で囂々、という状況でしたが、ジャブを突き、足で捌いて、右アッパーで目先を変える。
4回も、本来得意な右ボディ、アッパー、左フックの組み合わせが決まる。井上、鼻血も見えるが、展開自体は優勢。

5回、右クロスのクリーンヒットでドネアが前に崩れそうになる。あのパンチ食って倒れないのか!と驚愕の場面。
6回、井上は速いコンビ、右クロス、左フックで着実にヒットを重ねる。
7回は少し見て、ドネアが攻めてくるが、中盤からジャブで叩いて動く流れに。


ひとつひとつの局面は非常にスリル溢れるものが続いていて、互いに食えば効きそうなパンチを応酬していましたが、井上のスピード、正確さが上回る回が積み重なっていました。
井上は3回以降、ガードを立てるかと思えば、時に手を下げ、スウェイで外したり、場面毎に出方、外し方を変える、非常に頭脳的な闘い方を見せていました。
攻撃に関しても、フルパワーで打ち込めるバランスではなくとも、考え得る中ではベターに近い修正が出来ていて、5回のような好機も作れている。

ここで思ったのが、ここまで立て直せたのだから、そろそろ休みの回が欲しいなあ、ということでした。
序盤、何の傷もダメージもないときに「見」に回ったことは、無用なことであり、失策だったと思いましたが、試合が中盤以降に進み、疲れも傷もある状況では、その前提は変わっている。
ドネアのタフネスを突き崩し得るような、質量のある攻勢を取るリスクは、おそらく犯せないだろう。
ならば終盤に向けて、体力、集中力の温存を計れないものか。引いて「見」て、あわよくばドネアのバランスを前に崩すことも期待出来るかも、と。


そう思っていた8回、ドネアが右クロス二発ヒット、さらにコンパクトな左右のヒットを重ねる。井上再び出血が目に見える。
9回はさらにドネアが出て、ジャブで叩いて追い、右で井上をぐらつかせる。
ドネアにしたらフルショットというわけでもない右だが、それでも威力は充分、という一発。井上、出血がまた見える。

正直、この2回をどう見たものか...単にドネアの反転攻勢なのか、井上がどこか引いた、緩めた、という部分があったものか。
会場で見た限りでは、判断がつきませんでしたが、いずれにせよ試合の流れはまた、ドネアの方に傾き始めていました。


しかし10回、普通なら「いかに乗りきるか」と見える展開から、井上が逆襲の狼煙。
ドネアの右を被せられないよう、正対してのワンツーをよりコンパクトに締め直して打つ。また、ジャブもアッパー気味の軌道に変えてみたり。
ドネアの重いジャブを一発もらうが、上下のコンビをまとめて、終了間際には打ち合いから身を翻し、振りの小さい右をカウンターで二発。
ドネア一瞬、井上を見失う。ゴング後、コーナーで井上が両手を上げて、場内を煽るのが見えました。

11回、井上がワンツー、右クロス、左ボディを組み込んだコンビ。井上が過去に何度も見せてきた「仕留め」への流れ。
そして右アッパー上、左ボディ返し、という「殺しのパターン」が出て、ドネアが横を向き、リングを半周ばかり、そして膝をつく。

場内総立ち、囂々たる声が渦巻く中、カウントが進む。終わったか、と思ったが、レフェリーのカウントが長いような?
騒然たる状況、ドネアが続行に応じる。井上左ダブルで攻め、ドネアは顔を上げて井上を見ることすら苦しそう。
しかしなんとか顔を上げると、左フックを振って、これが浅くヒット。まだ打てるパンチが残っている!驚愕の光景。

井上さらに、左右上下と打ちまくる。しかしドネア倒れない。
耐えられるパンチなら耐えられる。だから、読みを外したパンチを当てないと、倒せない。
それはレベルの高い試合では常識ですが、しかしこの状況でなお...。


最終回、正直言って、どういう攻防だったのか、あまり覚えていません。頭ん中、ほぼ真っ白でした。
ドネアさん、もう充分ですよ。堪忍したってくださいよ。もう座ってマイッタしても、誰にも文句なんか無いですよ。
そんなことを思いつつ、震えるような思いで、攻める井上、耐えて返すドネアの姿を見ていました。



判定は3-0。えらく僅差のもあったようですが、まあそういうのもあるから、ジャッジがひとりじゃなく3人おるのや、というだけの話です。
私の採点は、井ド井井、井井井ド、ド井井?、というところです。
最終回はよくわかりませんでしたので...ボクシングのブログをやっている者としては、失格の烙印を押されてしまうような話ですが。



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もし、この試合に井上尚弥の圧勝を期待していた気持ちだけで感想を言えば、若干?無念の思いを持つ方もいる、と思います。
会場からの帰り道、そんな声が聞こえてきましたし、同道した友人も、そのような思いを語っていました。
よくわかる話です。私も心の一方に、そのような思いがあることは否定しません。


しかし井上尚弥は、序盤の失策(と、私は見ますが)から招いた危機を乗り越え、立て直す心身の強靱さを見せ、出血による「被害」を最小限に食い止める防御の手立てが数々あることも見せ、ベストフォームを失ってもなお、フェザー級でも世界上位に通じたノニト・ドネアをKO寸前まで打ち込んで、クリアな勝利を収めたのです。

本人が過去に何度も語ったとおり、苦戦を知らないことが、井上というボクサーへの、数少ない疑念としてありました。
しかし今回の試合は、それを完全に吹き飛ばす内容だったと思います。

全世界注目の軽量級スターとして、大会場でのメインイベンターとして、これまでの全キャリアの集大成、或いはさらなる飛躍への分岐点としての一戦を闘い、もちろん本人が望んだ形ではなかったのでしょうが、ある意味ではさまざまなものを証明した形で、勝利した。
私はまず、その事実を称え、そしてファンとして、彼の存在そのものに、改めて感謝したいと思います。



そして対するノニト・ドネアにもまた。

彼の試合を直に見るのは、当然今回が初めてでした。
フライ級のランカー時代に、今はなきJスポーツのボクシング番組で見たのが最初で、ドえらい感覚の選手がいるものやな、と驚いたのを覚えています。
びっくりするほど敏捷で、目に見えて変則的というでもないフォームなのに、え、そこから狙う?というタイミングで、左右を「合わせ」る感覚が並外れていました。

それは初戴冠のビック・ダルチニアンとの初戦で、世界に披露され、その後も数々の試合で、何度も繰り返されました。
ラウル・マルチネス戦の初回、側頭部に僅かな隙間を縫って「命中」した右フック。
ウラジミール・シドレンコを血まみれにする過程で繰り出し、フェルナンド・モンティエルをも沈めた、有名な「後出しカウンター」の左フック。
ホルヘ・アルセを密着した位置から斬った、振り幅数センチの右ショート。

他にも上げたら切りが無いほど、衝撃的な「ショット」の数々と、その勇壮な闘いぶりで全世界を魅了した軽量級のスーパースターは、36歳になって、かつての彼をさらに正統的に進化させたような若者と、日本のリングで相まみえ、敗れました。

しかし、その闘いぶりは、当然ながら往時のものからすれば「目減り」していた部分もあったものの、それを補う勝負強さ、勘所を押さえるしたたかさ、常に鋭く迫り続けた闘志、倒されてもなお立ち上がり、全てを出し尽くして闘い終えた姿は、まさしく「勇姿」そのものでした。


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この試合を見終えて、井上を評し「これでは全盛期のドネアと対戦していたら、勝てなかっただろう」という声がありました。
それもまた、わかる気がする話ではあります。

しかし私は、同時に、あまり意味の無い話だな、とも思います。
今この時に相まみえ、闘った内容と結果は、見た通りのものでしたが、井上尚弥が今後、この闘いを経てどのように変わるか、さらに成長し、より盤石な王者となり得るか、ということを見た上でないと、そもそも語り得ない話でもあろう、と。

実際に実現していない対戦の時期を「全盛期」としてドネアにのみ当てはめることは、よく考えたら井上尚弥に対して公正ではない。
井上尚弥には、語るべき「これから」の未来があり、彼はそれを、この日の勝利をもって手にしたのですから。


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壮大な物語をかつて描いた「旧」の王者と、これからそれと同じか、それ以上に壮大な物語を描くかもしれない「新」王者が相まみえた闘いは、井上尚弥の勝利で終わりました。
その闘いはひたすら激しく、その激しさが双方を苦しめ、傷つけたと同時に、光り輝かせてもいました。

力と技、知略と闘志、危機に瀕した際に見えた、心身の構え。
そして互いが心中に秘めた敬意。
それらが織りなす光景の数々は、見ていて目に眩しく、神々しくさえ...。



以前、井上とエマヌエル・ロドリゲスとの対戦を「(WBSS)事実上の決勝戦」と書いたことがありますが、とんでもない間違いでした。
今はただ、不明を恥じています。
この試合こそが、正しく真の決勝戦でした。

全ての「スポーツ」を超え「ドラマ」と言い表すにも神々し過ぎる。
適切な例えなどあり得ず、適切かどうかも知らず、それでも敢えて言うなら「神話」でしょうか。

確かに言えることは、まさしくこれこそがボクシングなのだ、ということだけかもしれません。
見る者の心を振るわせる、至高の「世界バンタム級タイトルマッチ」を、この目で見ることが出来ました。
井上尚弥、ノニト・ドネアの、偉大なる闘いに拍手を。そして感謝を。
素晴らしい試合でした!



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