さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

建人の大健闘/「視力」の違い、歴然/時は過ぎた

2019-08-29 07:37:14 | 中部ボクシング



週末毎の生中継、ライブ配信のみならず、後日に録画配信されるものも含めると、
最近、本当に見られる試合の数が増えている気がします。
先週から今週にかけて、あれこれ見た試合について、覚え書きを兼ねての感想など。


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まずは土曜日、名古屋のセミ、畑中建人がWBCライトフライ級11位、ジェイセバー・アプシードに挑んだ一戦
CBCがYouTubeにフルラウンド動画をアップしてくれまして、見ることが出来ました。






序盤から右リードで畑中が先制。3回、畑中がボディブローから上に右を返すと、アプシードがダウン。
最後のパンチはかすった程度か、当たっていないか、とスロー映像では見えるが、その前の攻撃で、ダメージがあったか、バランスを乱していたか。
何にせよ畑中のポイントリードで序盤が終わる。

しかし4回、アプシードが連打で逆襲。
畑中、ここで動いて外すとか、クリンチするとかではなく、打ち返す選択をするが、アプシードは右フックカウンターを含め、10発ほど続けて打ちまくる。
今度は逆に畑中がダウン。

地力の差が形になってしまった、という印象でしたが、この後、畑中が予想以上の奮戦。
一発の威力では劣るが、右から入り、左フックを返し、食らいつくように連打する場面も。
アプシードの強打を浴びても、すぐに返して相殺し、ポイントも五分五分という印象。

8回、振りの小さい右ショートでダメージを与える。9回は攻められたが、最終回を乗りきって終了。
判定は3-0で畑中。ドローか、僅差でどちらか、という風に見えましたが、畑中が格上相手に成長を見せた試合でした。

ただ、微妙なところで、一階級ぶんの差が見えたかな、という印象でもありました。
4回のダウンシーンでも、同じ階級なら、アプシードが5、6発打ったところで畑中が倒れていただろう、再開後、「残り」の3、4発でフィニッシュしていたのではないか、という風に思ったりもします。

この試合は、中部のボクシング史上、田中恒成が現れるまでは、史上最高の逸材であった畑中清詞の子息が、その成長ぶりを最も明確に示した、という点で、ファンにとっては喜ばしい一戦でした。
しかし、諸手を挙げて大絶賛、というわけにはいかない、と、辛いようですが思います。
この試合の相手が、例えば、後述するジェイアール・ラクイネルであったら、話は別なのですが。

とはいえ、本当に良い試合でしたし、畑中の善戦健闘は見事なものでした。
CBCの実況も「建人の大健闘!」とホンマに言うてましたし(笑)。
今後の試合ぶりに注目したい、そんな気持ちになれましたね。


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日曜日はDAZNにて、ファン・フランシスコ・エストラーダの防衛戦をライブ配信で。

挑戦者ドウェイン・ビーモンは、15位という割には、ガタイが良くて威圧感のある風貌。
しかし、いざ動き出して様子を見ると、要するに力で打つ選手で、やったことの分だけ疲れる、という類いやな、と。
まあそれはある程度まで仕方ないにせよ、防御の際の「視力」で、エストラーダとはだいぶ差がありました。

初回、エストラーダに左を合わされたのは仕方ないにしても、2回以降、エストラーダのカウンターやコンビに目がついて行かない様子。
この回、合わせのパンチで倒され、追撃もあり。二度のダウンを喫する。
それ以外にも、ガードの下を通るボディブローが見えず、読めず。打たれた瞬間、驚いている。

こうなるとビーモン、行く道ひとつ。攻撃は最大の防御なり、とばかりに強振して、時にヒットもあるが続かず。
対するエストラーダは地元のファンを前に、余裕の試合運び。
5回はロープに右腕をかけてくつろぐポースを繰り返す。

7回、詰めに出たエストラーダに、ビーモンが懸命の反撃。
しかし9回、エストラーダの右が決まり、二度のダウンでストップとなりました。

「井岡一翔の標的」という表現も散見される、この階級トップの王者、今回は地元でめでたし、という試合でした。
記事によると次戦はサウジアラビアで、統一戦かロマゴンとの再戦か、という観測の模様。

井岡一翔がエストラーダ「挑戦」を目指すなら、次の指名試合をこの興行に組み込んでもらう、という形になれば一番良いのでしょうが、果たしてそんな「運び」があり得るのかどうか。
本人が最近発している言葉は、以前のそれより、真に受けたい気持ちになるものですが...。


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先週金曜、ジェイアール・ラクイネルのOPBF王座に挑んだ粉川拓也は、残念ながら8回TKO負け。
これはBoxingRaiseにて見ました。

ジム移籍後、再浮上を期した大一番で、初回にダウンを奪ったものの、それ以外は終始劣勢。
思い切り踏み込んで振ってくるラクイネルに圧され、強く打ち返せるバランスを作れないまま回を重ねる。
最後は攻め込まれて追われ、左を振ったが外れて、直後に左を食ってダウン。
レフェリーが即座にストップする、強烈なTKOでした。

この日の闘いぶりは、動きの量こそ落ちていないものの、「質」の面、ことに攻撃面においては、相手の圧力に負け、力を入れて打てる位置に足を置くことすら難しい、という様子でした。

かつて、タイでWBA暫定戦とはいえ、実質勝っていたような試合をしたこともあり、その実力は世界上位と言って差し支えなかった選手ですが、これも、長年に渡りフライ級で戦い続けていた疲弊なのか。
残念ながら、粉川拓也の「時」は過ぎたのだ、と言わざるを得ませんでした。
試合後の様子など、こちらの記事にありますが、長きに渡り闘い続けて、追い求めた夢が遂に終わった、そういう試合だったのでしょう。



もちろん、見るたびに自信を付けて、強くなっているラクイネルの力あればこそ、の内容と結果でもありました。
日本フライ級王座を返上した中谷潤人は、10月にミラン・メリンドと対戦しますが、世界どうと言うならば、世界戦までにこのラクイネルあたりと、闘って見せてほしいと思います。
メリンドは確かに強敵でしょうが、上でも少し触れたとおり、やはり、階級が違うカードというのは、どこか引っかかりがあるものですから。


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ということで、一曲。
中村一義「ピーナッツ」。







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「井上ダブル世界戦」正式発表 ウーバーリvs井上拓真戦も決まる

2019-08-27 02:06:48 | 井上尚弥



ということで、今日、11月7日の試合、正式発表があって、会見も行われました
ノニト・ドネアも来日、会見に登場。
対戦相手の来日というのは、村田関連の試合では何度かありますが、普段はそうそう無いことです。
これも、普通の試合とは一段違うグレードの試合ならでは、と言えましょうか。

記事は色々出ていますが、目を引いたのはこの記事
井上が自分に憧れていた、という話に対するドネアのコメントは、ひとこと、知性を感じます。
長年に渡り闘い続け、心身ともに疲弊し、悪い意味で色々と「切り捨て」てしまっている、そんな風情のベテラン選手もいますが...。
この人、頭涼しいな、ボケてへんな、冴えとるな、という。

ノニト・ドネアの、ボクサーとしての感性は、少なくともまだ若々しいものがある。
それでいて、良い意味で、ベテランとしての含蓄もある。
それが端的に見えたように思います。
この辺、改めてですが、ちょっと怖い、畏るべし、という印象ですね。


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セミではWBCバンタム級王座統一戦、ノルディ・ウーバーリvs井上拓真戦も決まり、こちらも発表。
当日は「井上ダブル世界戦」になります。考えたら凄い兄弟ですわ。いやホンマに。

自分の「型」を持っていて、それをフルラウンド貫き通す頑健さ、揺るぎなさがある。
見ていて魅力的かどうかというと別ですが、敵に回すとなると、非常に手強い。
それがノルディ・ウーバーリへの変わらぬ印象です。

井上拓真の実力は、兄との比較は厳しいにせよ、単品として見て、世界上位を伺うに十分なものがある、とは、今まで試合ぶりを見て、何度も書いてきたことですが、いよいよその真価が問われるときが来た、と思います。
現在、日本のバンタム級では、兄を除けば間違いなくナンバーワンの選手ですし、その選手がタイトルホルダーに挑む一戦として、こちらも要注目ですね。


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この日は平日ということもあり、これ以上のタイトルマッチは組まれないと見るべきなのでしょうね。
土日ならまだしも、平日に3つ以上並べたら、観戦に間に合わない人も出てくるでしょうし、そもそもTVの枠が厳しいですし。

そういえば日曜日、DAZNのライブ配信を見ていたら、全試合終了後「あちら」のDAZNにおける、今後の配信予定の告知がありました。
9月のデビン・ヘイニーやら、ハイメ・ムンギアやらの試合に続いて、10月5日(日本時間6日ですね)はゴロフキンvsデレビヤンチェンコ。
で、その次が11月7日の、ナオヤ・イノウエvsノニト・ドネアでした。


この試合について言及するや否や、コメンタリーの声のトーンが上がりました。
実況の方が “monster naoya inoue,perhaps pound for pound king” と言えば、解説のセルジ・モーラさんですかね、“inoue scary,he scary ”と、感嘆するような声色で応じていました。

“perhaps”は余計や、と思うものの(笑)まあ、PFPキングたりうるかもしれない、と目されているだけでも凄いことです。
実際、言葉の意味、ニュアンスとは別に、ご両人の声は、それまでの試合を語るときよりも、明らかに弾んだものに聞こえました。

まあ、中量級やそれ以上の選手が、良い試合を続けたら、多少順位の変動があったり、媒体によっては大幅に落としたりする、PFPたってそのくらいのものかもなあ、なんて思ってたりもしたんですが...少なくとも放送関係者や、識者の間では、その認知は思う以上に確固たるものがあるらしい、と感じることが出来ました。ちょっと嬉しかったです。

当日、「あちら」のDAZNでも、けっこう広くに見てもらえる感じではあるんでしょうかね。曜日や時間の条件は厳しいものがあるにせよ。
もちろんこちらは、クラシカルに地上波テレビの放送を録画して見るわけですが、なんなら後日配信でいいので、英語実況放送がどんな感じだったか、DAZNで配信してもらえんかなぁ、なんて思った次第です。
まあ、これはそのうち、YouTubeに出回ったりするんでしょうが...。



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ということで、一曲。
BUMP OF CHICKEN「流れ星の正体」。






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難敵を着実に攻略、しかし本人不満げ 田中恒成、1位にボディでKO勝ち

2019-08-24 18:08:50 | 中部ボクシング



ということで本日はTV観戦でした。
アンダーも良い試合が多かったようで、出来たら行きたかったんですが...簡単に感想。



小柄なサウスポー、ジョナサン・ゴンサレスは、立ち上がり持ち前のスピードを見せる。
手も足も速く、それを「見た」田中恒成が、ちょっと硬い構えになってしまった?印象。

初回は恒成、様子見か。2回は右から左の返しが一度出る。
しかしポイントはいずれも、速いコンビを見せたゴンサレスと見ました。

田中の出鼻に来る左ストレートは、威力も無いわけではなく、多彩な返しの右、連打の速さもなかなか。
これ、今日はなかなか大変そうやなあ、と。
ただ、もっと軽打のみに限定し、ちょこまか系の闘い方に徹してきた方が嫌かなあ、と思っていたので、その辺はちょっと安心したところもありました。

そして、田中恒成もまた、焦って無闇に出るでない、体力を浪費せず、ボディをしっかり狙って圧している。
中盤以降、崩す端緒を掴めるか?と思っていた3回。
田中の右ストレートが上に二回決まり、続いて三発目の右がボディへ。ゴンサレスがダウン。

早々のダウン奪取、しかもボディが効いてのもの。
これはゴンサレスの注意が一瞬「上」に行っていたからこそ、あれほど効いたのでしょう。
この辺の攻め口は見事なもので、さすが田中恒成というところ。


この相手を早々に倒せるとは、と見ていて安堵しましたが、4回はゴンサレスが奮起。
当然、世界戦ですから、きっちりネジ巻いてきた感はありましたが、時に踏ん張って打ち返し、時に頑張って動く。
そして、コーナーに追い詰められたところから、苦し紛れに打った左が、田中の首に引っかかって、田中が尻餅。
微妙なところでしたが、ダウンの裁定。しかし田中、ダメージはない模様だが、取れたかもしれない回を落とす。


続く5回、ゴンサレスさらに奮戦。手数、ヒットいずれもゴンサレス。
6回は田中がガード上げて距離を詰め、手数を出せる時間帯もあり。しかしゴンサレスも巻き返す。

ポイント的には、ゴンサレスがリードしているだろう、と見え、中盤以降、膠着するようだと...と不安も。
しかし7回、それまで単発では良く入っていた田中のボディがまた効いて、ゴンサレス止まり、ダウンを重ねる。

この回、二度目のダウンで止めて充分だったでしょうが、それまでの展開、1位挑戦者であることなど、レフェリーにしても、簡単には切れない感じだったか。
田中は上への「ストップ用連打」を出すも、そこはゴンサレスが抵抗。
最後は「観念せい」とばかりにボディ連打。ゴンサレスがまた倒れ、今度はストップでした。



木村翔、田口良一とはあらゆる面で真逆、しかし手強い、高い水準にあった挑戦者を、誰もが思う通り、ボディで止めて、中盤に仕留めた。
夏場の調整にも関わらず、体力的にも不安は見えず、また体力を浪費するような愚も犯さず。
見ていて、何も不満などない、この手の相手に手こずったとて不思議の無いところ「多少は」手こずった、という程度に収めて、倒して勝った。


さすがは田中恒成...と、全部ひっくるめて、そうまとめた感想を持つ試合でしたが、試合後は何だか、えらく不満そうな表情と語り口でした。
「上で倒したかった」という言葉が出ましたが、全体的に、思うようにいかなかった部分があり、また攻防のバランスも、後ろに重心を残して芯を外した「防」の部分はともかく、「攻」の際に、そのバランスを維持するか、調整するかのところに、不満の原因があったのかもしれません。

しかし「今後」への質問に対する「何も見えない」「やりたいことも特にない」というコメントは、単に試合のみならず、それ以外の部分について、いろいろと思うところがあるのだろうか、と感じさせるものでした。
この辺、あれこれ詮索すると切りが無いですが、年末に向けて、彼が追い求める「誇り」を満たすような、特別な試合が組まれてもらいたい、と思わずにはいられません。
それがどういう試合になるのか、なり得るのか、については、今のところ、まったく見えてきませんが。




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マンテキーヤ死す/世界は凄い/枠が変わる/鉢合わせ/野球終わってないけど生中継

2019-08-20 05:01:54 | 話題あれこれ



ということで、田中恒成の防衛戦が土曜日に控えておりますが、これは会場で観戦するのは、ちと厳しい情勢。
アンダーに、寝屋川石田ジムの福井貫太と、仲里繁の子息、周磨の試合がこそっと組まれていて、見たいなー、とは思うのですが...。

まあ、それはおいて、話題あれこれ。



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いつもなら最後に書く訃報の話題ですが、何と言っても超ビッグネームですから、先頭に。
ラテン・アメリカのボクシング史上、屈指の名王者と言える、ホセ「マンテキーヤ」ナポレス死去

社会主義革命のキューバを逃れ、妻子を残しメキシコに亡命。
体格面の不利を感じさせない、圧倒的な技巧で世界ウェルター級王座に君臨。
晩年はミドル級で、これまた史上屈指の強豪王者、カルロス・モンソンと真っ向から渡り合う。
一度見たら、誰もが衝撃を受ける巧さ、強さの持ち主でした。

ジョー小泉氏の著書に、若い人にナポレスの映像を見せたら驚かれた、というエピソードがあります。
「これは凄い。レナードより強い」と。
私もリング・ジャパンの、画質がいまいちよろしくないビデオで初めて見たとき、びっくりした記憶があります。

低い構えなのに、けっこう打ち合いも好き、というか、打ち合いにお付き合いする頻度がけっこう高い。それでもあまり打たれない。
目が良いのか、勘が良いのか、説明がつかないですが、これだけ打ち合うのに、これだけ打たれる頻度が低い選手は、後にも先にも見たことがないです。

そして、打つパンチのタイミングが、逐一見事。
相手の重心が一瞬、出たところを片っ端から捉える。
それも全部、相手の「軸」をしっかり狙って、その通りに当てている。

革命が起こる前の、キューバのボクシング指導体制が、革命後の、国の全土に張り巡らされた「国技」としてのものだったのかどうか、不勉強なもので知らないのですが、キューバで培ったスタイルに、メキシコをホームに闘い出してからの「倒し屋」たれ、という要求に応えるための変容が重なって、このような攻撃的技巧派ファイター、とでもいうべき選手が生まれた。
その存在は、希なる天才が、激動の社会情勢を生きたことにより生まれた、ひとつの奇跡だったのかもしれません。

「バターのように滑らかな」名王者、ホセ・ナポレスのご冥福を。


YouTube上には、数限りなく動画がありますが、とりあえず、サクッと見られる短めのやつを二つばかり。

アルフレド・ウルビナとの第二戦。
ライト級時代の映像は貴重なのではないか、と思います。







こちらも第二戦ですが、日本では龍反町を一蹴した強打、アドルフ・プリット戦。
プリットも、相手が違えば相当強いはずですが...よう倒れんものやな、と思ったりもします。

生前の大場政夫がナポレスを評して「打つパンチが全部、カウンターになっている」と言った、というのを知ったときは「そんなわけあるかいな」と思ったりもしたんですが、この試合なんか、本当にそんな感じです。畏るべし。






以前、メキシコのテレビサが放送したものか、主要試合をほぼ全て網羅した、70分弱のハイライト集があったんですが、今は消されているようです。
残っていれば、是非紹介したかったんですが。残念。



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先週、WBSSクルーザー級の2試合をWOWOWで見ましたが、ブリーディスvsグロワッキ戦には唖然としました。
もちろん、何が起こったかは記事では見ていましたが、いざ映像見ると、もう無茶苦茶です。

確かに、先にグロワッキがラビットパンチを打ちましたが、直後にヒジでお返し。
それもパンチを打つ動作の流れでなく、バックハンド、じゃなくてバックエルボー。明らかに「そのため」の肘打ち。

ゴング後の攻撃も、レフェリーが無茶苦茶。最初、聞き落としていた間のはしょうがないにしても、ラウンド終了に気づいて、自分が声かけて分けようとしたあとにまだ打ったブリーディスに対し、何の咎めもないとは。
眼球と脳が繋がってないんか、としか言えません。
挙げ句、ダメージ深いグロワッキが、そのまま闘って、次の回で早々に倒されて終わり。

ブリーディスの地元、ラトビアでの開催だったわけですが、言っちゃ悪いですがラトビアの皆さん、あれで大喜び出来るとは、はっきり言って呆れてしまいますね。
いくらなんでも限度がありましょうに、と。

これ見たら、先日の竹迫、加藤戦にも通底する、嫌な構図があれこれ透けて見えるような気がしますが...しかし同時に、ちょっとレベルが違いますな、と呆れるやら感心するやら、というところでもあります。
何しろ、やっぱり世界ってのは凄いですね。感心しとる場合か、って話ですが。



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11月7日、さいたま決戦の曜日が、何で木曜になったんやろう、フジの枠は金曜夜二時間やのに、と思っていたら、こういう話
金曜の枠がなくなり、あれこれと変わるんですね。

結局、この都合と会場の予定が合うとしたら、ここしかなかった、ということみたいですね。
せめて週末にしてくれたら、こちらも見に行きやすいし、あちらの放送、配信も、少しでも多くに見てもらえたかな、と思いますが。
この辺は、興行を支える主体が「あちら」より「こちら」に比重が移った、という証でもあるのでしょう。

まあ、なんだかんだ言うてみても、もう行くと決めた以上、何曜日だろうと同じですが(笑)。


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王者と挑戦者、キャンプ先で鉢合わせ

珍しいこともあるんですね。
まあ、この辺でキャンプ、合宿というのは良く聞く話ですし、あり得ることなんでしょうが。

フィリピンには軽量級の選手、ごまんといますから、スパーリングひとつとっても、充実したものになるでしょうね。
ついでに、っていうのもナニですが、10月1日、この試合も会場行って見よう、と思っております。

アンダー云々は、どうなるんでしょうね。今のところ、何も情報がないですが。
世界じゃなくても、何か良いカード組んでもらえたらありがたいですけどね。


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ホルヘ・リナレス、久しぶりに日本で試合、再起戦を闘う
前売りチケットは完売、当日券の販売は午後4時より、とのこと。
ついでにG+でも生中継!(^^)!
まだ野球終わってないのに、どうしたことでしょうか。嬉しい驚きです。

対戦相手が、スーパーフェザーの試合で来日している選手、というのが、ちょっと残念ですが...。
出来れば、もうちょっと「なるほど」と思える相手、階級の揃った相手にしてくれませんかね、と。
ノンタイトルマッチだと、一階級下のにしとこか、みたいなマッチメイクが、ホントに多いですが、正直言って興ざめです。
まあ、豪快にふたつみっつ違ったりするようなのよりは、まだ良心的...とか言っちゃいかんですね、「マシ」なのかもしれませんが。



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ということで、一曲。
吉田拓郎が、中村雅俊に提供した曲のセルフカバー「いつか街で会ったなら」。








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毎度の海外報道先行/こちらは離脱?/サウジ開催/理屈に合わん

2019-08-10 22:53:19 | 話題あれこれ



ということで、盆休み前に馬鹿をやったしわ寄せで、すっかりバテが来ている今日この頃ですが、この先の話題などもありますので、あれこれと。


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井上尚弥vsノニト・ドネア戦、国内の正式発表より先に海外報道が出る、最近お馴染みのパターンで、情報が出ました。
11月7日木曜日、さいたまスーパーアリーナで開催とのことです。

この会場は一度だけ行ったことがあります。
戸高陥落、仲里、西岡奪取ならず、あの佐竹政一も負け、という、思い出そうにも忘れられない「惨敗」な興行でした。
とてもじゃないですが、良い思い出とは言えず。験の良し悪しを言えば、良くはないですね、そりゃ。

場所に関しては、とにかく遠かったと。しかしまあ、都内から一時間程度なら、私にとっては誤差の範囲内です。
それは良いんですが、最近の井上、或いは村田の試合では、夜の9時半くらいにゴング、という進行をするので、試合後はちょっと飲み会、というのも難しく、自宅や宿へ直帰、という感じになるのが、何とも味気ないところです。
国内での視聴率の都合のみならず、米大陸で、何らかの形で生中継する場合、あちらの早朝なので、少しでも遅くしたいらしい、と聞きましたが...。

試合自体についてはまたいずれ、としますが、何にせよ年内に決まってくれて良かったです。
もし他の階級の試合と抱き合わせだったら、そちらの都合でまた先延ばしされたり、ということがあったかもしれませんし。
どういう実情かわかりませんが、井上ドネアを切り取って、日本に持ってこれたのは幸いなことだったのかもしれませんね。

さて、アンダーに何が入るかも気になりますね。ノルディ・ウーバーリvs井上拓真は、ここに入る可能性が高いでしょう。
後は拳四朗でしょうか?とはいえ、京口紘人が10月1日に久田哲也とやるので、京口戦は組めません。
指名試合でもないし、下位から選ぶんでしょうが...どうせなら堀川謙一とか、エドワード・ヘノとか、知ってる中から選んでもらえたらなあ、と思います。
中南米から、上位どころならともかく、何コレ、みたいなの引っ張ってこられても困りますしね。


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で、WBSSのスーパーライトの方は、レジス・プログレイスが離脱とのこと。
どうせ条件闘争やろう、と半分くらい思っていましたが、記事読むと、そういう話では収まらない感じです。

なんか、思う以上に脆弱な体制でやってるみたいですね。資金提供者たちにとっても、米大陸のトップ選手が集う階級を扱えるわけでもないなら、湯水の如く...という勢いにもならないのでしょうね。
夢の大会と喧伝された大会ですが、現実は厳しいものです。井上が、間延びした日程ではあっても、一応決勝まで闘えたことは、僥倖だったと言えるでしょうね。


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ルイスvsジョシュア再戦、なんとサウジアラビアで開催が決定
井上vsドネア戦も、一時噂になっていた国ですが、こういうことが本当に起こるんですね。

その昔、税金の関係などで、ヘビー級タイトルマッチが米国以外で続けて開催された時期がありました。
フレイジャーvsフォアマンはジャマイカ、フォアマンvsローマンは日本、フォアマンvsノートンはベネズエラ、
そしてフォアマンvsアリはザイール、等々。
しかし、中東で、というのは、ヘビー級で前例があったでしょうか。たぶん初めてだと思うのですが。

アンディ・ルイスとアンソニー・ジョシュア、双方ともに現状、米大陸で大スターとは言えないから、なのかもしれません。
ルイスがヒスパニック系に支持されているとはいえ、まだ強固なものではないでしょうし。

サッカーじゃ、ブラジルvsアルゼンチンみたいな試合を、中立地、ということで開催したりしてますが(サウジかUAE、どっちだったか忘れました)、中東のオイルマネーが、こうしてボクシングに投じられる流れが出来てくるとしたら、今後もこういう事例は増えてくるのかもしれませんね。

ついでに、これは当然、DAZNでライブ配信されるのだと思います。
先日のラミレス、フッカー戦を見たときも思いましたが、このレベルのカードがWOWOWの放送から外れるというのも、時代の流れなのかもしれません。
かつて地上波から海外ボクシングが完全に消え、WOWOWに移行したのと同じように。


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先日、G+で録画放送された、8月3日の日本ミドル級タイトルマッチ、竹迫司登vs加藤収二の再戦は、一進一退の熱戦でした。
結果は知って見たわけですが、竹迫の先制攻撃、加藤の反撃、ともに見応えあり。
ただ、終わり方だけは非常に問題あり、でした。

8回終了間際、竹迫がチャンスに猛攻。連打で攻め立てたところでゴング。
その後、竹迫の右、左フックがまともに入り、加藤がダウン。

レフェリーはゴング後のヒットで加藤が倒れたので、ダウンでは無い、と裁定して、インターバルへ。
しかし加藤のダメージ深く、9回開始に応じられない。竹迫のTKO勝ち、となりました。

しかし、ゴング後の打撃だからダウンでは無い、と裁定しているのに、その反則行為については、何も咎めていない。
ひとこと、理屈に合いません。
また、加藤に5分以内の休憩を与えるという打診もしていない。
そもそも、試合続行不可能であるなら、この試合は加藤の反則勝ちになるべきではないのでしょうか。

ところが、そんな裁定は下されず、当然のように竹迫のTKO勝ちになりました。
正直言って、異様なものを感じます。これが通るなら、ゴング後であろうが打った方が得、ということになってしまいます。
いかにも適当、雑、いい加減...つまりは、厳密に、公正に試合を裁かねばならないという意志の欠落を見た、という印象でした。

両選手は死力を尽くして、力と技の攻防を見せてくれていたのに、こういうエエ加減なことをされると、本当に冷めます。
また、この裁定を問題視して、取り扱う報道が、知る限りひとつもないことも、大きな疑問です。

この手の裁定を見るたびに、冗談のようですが、統括管理団体たるJBCを監視する団体を、もう一つ別に作らないといかんのでは、と思ってしまいますね。
JBCの実務は、現行の人員でやらねばならんとしても、それを監視する立場の役職を、例えばスポーツ庁あたりに置いてもらえんかな、などど。

本当に、大勢が見てるわけじゃないからと思って(情けない...)あまりにもやることが適当過ぎます。
何らかの形で、監視し、歯止めをかける力の存在が必要だ、と改めて思った次第です。


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そういうことで、本日の一曲。
佐野元春「シェイム」。





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「闘い」は品評会とは違う 勅使河原弘晶、懸命の大森将平攻略なる

2019-08-09 17:05:32 | 関東ボクシング




ということで猛暑のさなか、お盆前に無茶をやって、平日ホール観戦を敢行しました。
結果は残念でしたが、熱いファイトを見ることが出来ました。
勅使河原弘晶vs大森将平戦、明日関東ローカルで放送あるそうですが、簡単に経過から。


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試合前、自分の顔をコピーしたマスク?に、派手な衣装、ダンス?パフォーマンスなど、
賑々しい入場の勅使河原弘晶に対し、大森将平はコーナーで佇んで待つ。
動と静のコントラスト。


初回、やや離れて見合う感じ。勅使河原はもっと急いて近づこうとするかと思ったら、よく見ている。
良く動いて、大森の射程から外れようと意識している。
勅使河原が軽いが速い右からリード。大森は少し打ち合った際、右リターンするが、一発だけ。

2回、3回、勅使河原はスピード重視、当て際が甘いが数が出る右でペースを掴む。
大森右ジャブが出るが、後続に繋がらず。左ボディ、右フック当てる。
4回、派手なパンチから一転、勅使河原の右ショートも。大森は左で釣って右フック。


序盤負えて途中採点は、40-36×2、39-37の3-0で勅使河原。
大森に与える回があったかどうか、ですが、この辺はいかにもタコにもOPBFというか。


5回、大森出て右フック、右アッパー。勅使河原、飛ばした影響が少し見えるが、手数は出す。
6回、この回も前半、大森がワンツー決め、勅使河原をロープへ追う。
しかし勅使河原が逆襲、右アッパー、右フックで大森を下がらせ、さらに追撃、打ちまくる。
大森足使って躱そうとする。ここではクリンチはせず。出来なかった?大ピンチ。

7回、大森踏ん張ってワンツー、ボディ。勅使河原少し疲れ?この試合、初めて大森の回か。
8回、大森ヒットあるが少ない。勅使河原、右ショートから左フックの返しで脅かす。

途中採点は79-73×2、78-74の3-0m、勅使河原。

9回、勅使河原、連打のあとロングの左アッパー。軽いが角度良く当たり、大森の顔を跳ね上げる。
大森左ヒット、右フック、左ボディで反撃。しかし好打のあと一拍止まる。攻めているがダメージも見える。ポイントは大森か。
勅使河原にも疲れが見える。

10回、勅使河原は右ダイレクトを再三決めるが、動きが落ちてきて、大森の左ストレート、レバーパンチを受ける。
数は勅使河原、効果は大森という内容。
11回、勅使河原は前半を動いて外すことに徹し、後半ラッシュ。ストップか、タオル投入か?と思ったが、大森しのいで左返す。

最終回、大森が棄権してもいいと思ったくらいですが、やはり出てくる。
立っているのがやっと、という感じながら、単発の左ヒット。勅使河原きつく、止まるが右リード返す。
残り30秒くらい?のところで、勅使河原が攻めたところで、レフェリーストップでした。


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試合を見終えて思ったのは、闘いは品評会とは違う、という、当たり前過ぎる現実でした。
ボクサーとしての素質だけを、別個に比較すれば、勝者たる勅使河原弘晶には誠に失礼ながら、大森将平の方がまさっていた、と思います。

長身、柔軟な下肢、長いリーチを生かして長い右リード、後続の左はストレート、フック、クロスを打ち分けられる。ボディへも手を伸ばせる。
そしてスピード、パンチ力があり、攻めておいて相手の出す手にカウンターも取れる。
好調時の大森将平の強さを、何度も見てきた者の目には、今回の試合は大森がその良さを封じられ、殺された試合だ、と映りました。

勅使河原弘晶は、序盤から良く考えて闘っているな、と見えました。
早いが軽く、打ったあと動けることを重視した右リード、ダイレクトを大森にしっかり見せ、大森が気持ちよくワンツーを打てない展開のまま、序盤を乗りきりました。

大森は右ジャブ、或いは左ストレートを単発で決めることはあっても、そのたびに速い右が来るので、どうしても追撃する流れに乗れない。
軽いといえども数をもらい、ダメージも徐々に蓄積して、反応も悪くなっていったところに、勅使河原がラッシュしたり、強打を織り込んできたりと、戦局は悪化する一方。
このあたりはもう、見ていて辛いものがありました。

中盤以降、それでも見せた数度の反撃は、勅使河原にもダメージを与えたものがありましたが、上記のとおり、自らもきつい状態に追い込まれた後で、追撃はならず。
最後のストップは、その場面だけを切り取れば「絵」として、すんなり入ってはこないものでしたが、それまでの経過を見れば、仕方ありませんでした。



ありきたりですが、序盤の攻防が試合の趨勢を決めた、ということでしょう。
勅使河原は、大森との彼我の比較をして、序盤は数を見せて、強打はせずとも外し、大森とまともにやり合わない、という方針を立てていたのでしょう。
そうして、徐々に鈍ってくるであろう大森を攻略する、という。

それに対して大森の方は、思ったより接近を図らず、当ててくる勅使河原に対し、ではこちらから踏み込んで捉えにかかる、という手に出るほど、体力面などに自信がなかったのか、或いは...とにかく、気持ちよく手を出せる流れに乗れず、というより作れず。結果、そのまま敗れました。


勅使河原が試合の前後に残したコメントの中には、大森将平の実力を、潜在能力を誰よりも高く評価していた節が見えます。
だからこそ、その攻略法をしっかりと練り、苦しい場面も乗り越えてそれを実現し、勝った。
対する大森は、相手の出方に合わせてしまい、序盤、自ら何かを仕掛け、切り込むという意志を見せなかったように思います。
それを「油断」と断じていいとも思いませんが、やはり「闘い」というものは、より切実に自らを省み、敵を畏れて闘える者が勝つのでしょう。



改めて、ボクシングが持つ苛烈さ、ボクサーが生きる時間の過酷さ、闘うということの本質、そういったものをさまざまに思い、考えさせられる、濃密な試合を見たように思います。
勅使河原弘晶、大森将平のふたりに感謝します。大森応援の身にとり、結果は残念でしたが、見応え十分の試合でした。



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技巧と闘志の王者、歴戦の貫禄見せた 奥本貴之KO防衛、強打ダイナミックを沈める

2019-08-04 21:13:55 | 関西ボクシング




そんなことで猛暑のさなか、府立の地下に行ってきました。
府立の周辺はえらい人出で、何事かと思ったら、第一競技場でプロレスやってたみたいです。
人気の団体のようで、ボクシングで言えば辰吉、山中長谷川ダブル(先日の村田も?)並の賑わいでした。
プロレスって、やっぱり人気あるんやなー、と感心した次第です。


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メインイベントは、グリーンツダの日本スーパーフライ級王者、奥本貴之が登場。
大鵬ジムの若き強打、ダイナミック健次を迎え撃つ関西対決。

王座獲得試合から、競った試合が続き、それを時に闘志で、時に技巧で制してきた、歴戦のサウスポー奥本ですが、上昇中の強打、ダイナミックを相手に、王者の貫禄を見せた試合でした。


立ち上がり、ダイナミックが強打を振るうが、奥本が速い左を当て、右回りしてサイド攻撃。
ダイナミックは右を狙うが、奥本は足使い、サイドに出、ダック、スリップして外す。

奥本スピード上げて攻め、3回は左ストレート、右アッパーを組み合わせての4連打。
この回、奥本の左ボディが突き刺さり、果敢に出ていたダイナミックが失速。
追撃するかと思ったが、奥本ここは敢えて見たか。

4回、奥本がボディ狙いで追撃。ダイナミック懸命に打ち返し、相打ち気味に右を当てる。
しかし奥本が速い左ストレートを再三ヒット。ダブルで決まる場面も。
ただ、ここでちょっと硬いとこ打ったか、左拳傷めたかも、と見えたのですが。
また、奥本バッティングで右瞼をカット。終わってみれば、大事なかったようですが。

5回、奥本本来ならもっと攻めるところでしょうが、手数減り気味、右のパンチに力入れて打っているような気も。
ダイナミックが果敢に攻めて、左ボディ、右ストレートを決める場面も。

しかし6回、奥本がボディを攻める。この後バッティングでダイナミックが切り、30秒休憩。
これが影響したかどうかですが、奥本がまた攻め、打ち合いから左2発。
ダイナミック後退したところに、追い打ちの左ヒット、ダウン奪い、TKOの宣告でした。


ということで、上位陣相手、或いは下位でも好選手(橋詰)相手に、厳しい闘いが続き、それを接戦ながら勝ち抜いてきた奥本が、王者として初めて「快勝」したと言える試合で勝ちました。
ダイナミック健次の果敢な攻め、繰り出す強打の迫力は、確かなものを感じましたが、それを巧みに躱し、封じた奥本が、一枚上手だったということでしょう。
日本タイトルマッチとして、終わってみれば若干、実力差ありか、と言えば言えるでしょうが、奥本の充実した闘いぶりこそが、まずは見事なものでした。
次は上位との対戦になるでしょうが、また少しだけとはいえ切ったので、しっかり治してもらいたいですね。



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セミとセミセミは、前ウエルター級王者矢田良太と、日本バンタム級上位ランカーの田中一樹が、それぞれインドネシア人をKO。

矢田の相手は、以前フェザー級で大沢宏晋に挑戦した、ロバート・コパ・パルエ。
ひと目見て、胴体はウエルターだが、腕はフェザーのまんま、という体型。
当てる巧さはそこそこあり、右を強振する矢田に、相打ちのタイミングで右を合わせる。
しかし4回、矢田の右がまともに入って、パルエがダウン。ダメージ深く、KOでした。

再起戦の矢田は、足使ってロープに下がり、右アッパーで迎え撃ったりと、狙いも部分的に見えましたが、やはり基本は右強振。
ジャブも出そうと心がけていたようですが、他のパンチと連携しない「単品」が多かったか。
自分の良さを生かしつつ、改善せねばならないところも、本人が考えて闘っていけるなら、と思います。
簡単なことではないでしょうが...。


田中一樹はインドネシアのバンタム級ランカーという、ブラダティヤ・アルファレスを2回KO。
露骨に体格差のあるアルファレスを左で追い詰め、上→下の左ダブルで倒しました。
まあそれは当然として、試合後、10月にホールで、日本1位澤田京介と対戦する、と発表。
この試合が、日本タイトル挑戦者決定戦になる、とのことです。

田中にとっては、昨年、地元で栗原慶太に敗れて以来の、日本上位へのチャレンジマッチです。
澤田も、6回戦デビューで敗れた相手、鈴木悠介が日本王者になっているので、勝てばリベンジマッチ実現ということになります。
相当な意気込みで来ることでしょうね。これは楽しみな一戦です。



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この日はスーパーバンタム級8回戦、下町俊貴vs野村健太の試合があり、会場に着いてから知ったのですが、これが日本ユース王者決定戦でした。
若手好カードの実現を強力に後押しする日本ユース王座ですが、今日もまた、なかなか見どころアリな試合となりました。

長身対決、左の下町と、右の野村。牽制しあうスタートだったが、野村が出たところ、綺麗に外した下町がロープ際から左カウンター。
野村がダウン。ダメージはさほどないが、痛い失点。

ところが野村、早々に立て直し、2回は右ダイレクトをびしびし決める。ダブルもあり。
3回は下町が左決め、4回は若干、膠着。

5回から野村が接近戦を挑む。互いにクリンチ無し、ショートの打ち合いだが、この攻防では野村がまさる。
ショートの3連打、左ボディが決まる。
6回、野村の右ショートが下町のガードの真ん中に通る。野村引き続き優勢。

ただ、後から振り返って、この回終盤、それまでの接近戦と比べ、若干、下町がより多く打てる分の間合いが開いていたか。
7回、また接近しての打ち合い。野村が連打し、右ボディアッパーを打つが、下町が右フックのカウンターを合わせる。
これがズバリ決まって、野村二度目のダウン。

場内、歓声と悲鳴が交錯する中、下町が追撃、野村も返すが、下町が連打。攻め込まれた野村が身体を押されたところで、レフェリーストップ。
昔の常識で言えば早い、とも言えますが、こればかりは...という気も。勝負はついていた、と言われればその通り、でしょうし。

下町俊貴、若手の好カードを制して、初のタイトルも手にしました。
試合後のインタビューは、異様に声が小さくて、何言ってるのか、全然わかりませんでしたが(笑)
特徴あるスタイルに加え、今回見せた勝負強さも魅力です。もちろん、不足もある段階ですが、将来、転級の時期を間違えず、順調に伸びていってほしいですね。



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その他アンダーカード。こちらも、充実した試合内容が多かったです。


バンタム級4回戦
●塚本直大(寝屋川石田) 1回TKO ○山下陸(六島)

小柄な山下が、長身の塚本を右クロスで捉え、二度ダウン奪ってTKO勝ち。


60キロ契約4回戦
○平野泰我(大星森垣) 3-0判定 ●湯浅響仁(六島)

サウスポーの平野、鋭い左から右の返しを決める。
湯浅も左手を前に出して平野を牽制し、右ダイレクト上下で対抗。
しかし平野のスピードとキレが徐々にまさり、粘る湯浅を振り切って勝利。好ファイトでした。



スーパーフェザー級6回戦 
●木村テミン(グリーンツダ) 1-2判定 ○高島裕樹(宮田)


パワーで攻め込む木村に、負け越しレコードの高島が遠くから、軽いが速いスリーパンチを決めて対抗。
木村はボディこそ好打するが、上に強打は決められない。
競った展開だったが、ラストふたつ、高島が打ち合いに応じ、ヒットの数でまさる。

判定は高島か、木村に甘ければドロー?まさか逆やる気やないやろな...と、いつもの感じで不安いっぱいでした。
しかし公式採点は59-55(高島)、58-57(木村)、58-56(高島)、2-1高島、と出る。
もちろん、好ファイトを見せてくれた両者に拍手するところですが、私としては、この採点にも、同じくらいの拍手を送りたい気持ちでした。
四の五の言わず、この調子で今後とも是非...と、心からお願いします。いやホンマに。




ライトフライ級8回戦 
○タノンサック・シムシー(タイ/グリーンツダ) 3回KO ●マクティソン・マルガンティ(インドネシア)


インドネシアのマクティソン、鋭い右を振るって迫るも、タノンサックが巧みに外して鋭いパンチで切り崩していく。
初回早々、鋭い右アッパーを迎え撃ちで決め、マクティソンを後退させ、左フックも決め、連打。マクティソン早々に顔が赤い。
2回も右アッパー、ワンツー決めたタノンサック、3回さらに攻め、ワンツー、ボディも効いたか、マクティソンうずくまり、立てず。

タノンサック、前回の試合も相当強かったですが、今回もまた、なかなかの攻撃力を見せました。
相手も弱い選手じゃないように見えましたが、それでも圧勝でした。

今後、どういうマッチメイクで育てていくものか不明ですが、もしキャリアを積んで、体力的に出来上がってきたら、楽しみです。
しかし、何でまたこんな好素材が日本に来たんですかねえ。どういう経緯だったものか。
まあ、このまま勝ち進めば、そのうち専門誌が記事にしてくれることでしょうが。



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