さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

とりとめもなく二戦目の雑感

2013-01-15 06:36:40 | 井上尚弥

遅ればせながら、井上尚弥2戦目の感想です。


対戦相手のガオフラチャーンは、確か大阪で、高山勝成と闘ったのを
直に見たような記憶があります。
小柄だけど思い切り振ってくる、タフな選手、という印象がおぼろげにあって、
普通ならちょっと長引くような試合に...と思うところなんですが、
実際は、井上尚弥にとって、練習台にすらならない感じでした。

「あ、空いた」と思うと同時か、それより先か?
何せガオフラチャーンの右が下がっているところに、打ち抜かれた左フック一発。
角度やタイミングの良さ、そして相手から見えにくい振りの小ささなどが相まって、
パンチ自体の強さを大きく上回る効果を生み出している、まさに理想の一打。
このKOパンチのみならず、二分足らずの試合中に数回あったアクションの全てが、
優れた才能とボクシングの科学が、見事に融合したものばかりでした。

相手が肩書き以下の力しかない、物足りない相手だということを割引いても、
やはり井上尚弥は驚異の新人である、と言わざるを得ません。


しかし、いろいろ考えさせられたのは、試合後の井上のコメントです。
あの「早く終わってしまって申し訳ない」という主旨のやつです。

基本的には、何も申し訳ないことなどありません。
倒せる相手を、倒せるときに、殺意を持って、確実に倒す。
真の強者たる者の条件です。
それを若いうちから、しっかりと実践して、己の慣習としておくこと、
そしてそれを、多くの眼前で実行しておくことは、大切なことです。

少なくとも「色々試したかった」的な生ぬるい発想で、
格下相手に、無駄に試合を長引かせたところで、このレベルのボクサーにとっては、
何の意味もないでしょう。
デビューして2戦で、アジアの中堅クラス(と、いうことにしておきます)では
もはや試合らしい試合にもならない、というのが、井上尚弥の現在地です。

初回、二分足らずで試合を終わらせたあの左フックは、
そんな相手にラウンドを重ねることの無意味を、冷酷に斬り捨てたかのようにさえ見えました。
そこにあったのは、もっと長いラウンドを闘い、そこから何かを学ぶとしても、
こんな相手では無理だ、という、冷酷な真実のみ、でした。

ならば、もっとレベルの高い相手に、多くの試合数、ラウンド数を闘い、多くのことを学んで欲しい、と思うのです。
井上尚弥というボクサーには、多くのことを学び得るだけの、大きな才能があると感じるからこそ。


しかし、現実には、これほど才能に満ちたボクサーに、まだ「6戦目で世界」というような
薄っぺらい話がまとわりついています。
この試合を経て「ほら、こんなに強いんだから、少ない試合数で世界戦をやっていいのだ」
と考えるのか。それとも「たった2戦目でこんなに強いんだから、
将来、もっと強いボクサーになるために、多くの試合数を重ねていくべき」なのか?

普通に考えたら、答えは決まっているはずです。


どう見ても、この選手が目指すべきは、一過性の記録などではない。
彼は少なくとも日本、東洋の枠を越えた、壮大なスケールの舞台を目指すべきボクサーであり、
そのために必要なものは、目先の肩書きではなく、真の強者たりえるために必要な、
数多くの勝利の経験であり、それを経た上での、強敵相手の試練であるはずです。

この選手に、そこそこの相手との10戦、そこから試練というべき難敵との試合をさらに5戦、
その間にベストウェイトを定めて、全勝とはいかずとも、20戦前後のキャリアを与え、
22~23歳あたりで、満を持しての世界挑戦、という運びになったとしたら。
それは日本ボクシングの歴史を書き換える、エポックメイキングな試合になることでしょう。

そして、その試合に勝利したとき、井上尚弥は、U-15大会に代表される、
業界全体の取り組みによって行われた、ボクシングの低年齢層強化策成功の象徴として、
日本ボクシングの底辺拡大が生んだ、新時代の旗手として、歴史に大書されるはずです。


しかし、現実には、そんな壮大な夢を見て、それを心から楽しめるような展開にはならないのでしょう。
ほぼ間違いなく、6戦目あたりで世界戦が組まれるでしょうし、
そうなると、強豪王者への挑戦とは当然ならないでしょう。
俗に言う「穴王者」挑戦か、決定戦出場を狙ってのマッチメイキングが行われ、
この脅威の才能を持つボクサーが、TV局主導の商業優先タイトルマッチに出て、
我々ファンはその姿を応援しつつ、心の片隅で、もやもやを抱え続けるんでしょう。


次に目指すのは、OPBF王者への挑戦とかいう話でしたが、土曜日に見た新王者・小野心の試合は
判定の是非以前に、これに勝って王者になったところで、世界挑戦資格といってもなぁ...という感じでした。

それはともかくとして、世界挑戦資格のための試合など、先送りでも全然良い、と思います。
先を急がず、じっくりと色んなタイプの、時に噛ませと見えるような相手でもいいから、
試合の数を多く闘うのが一番なんですけどね...と、また話が元に戻ります。


たった二試合見ただけですが、この選手は本当に、得難い逸材だと言えます。
デビュー戦を見た印象は「超一級の佳作」でしたが、二戦目を見終えて、
さらにその可能性は大きなものだと感じました。

だからこそ、将来、彼のキャリアを振り返ったときに「もったいなかった」とは
思いたくないな、というのが、今の率直な気持ちです。
まあ、最高と最悪の想像の間に、現実が落ち着くと考えれば、悲観し過ぎかもしれませんが...。


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完全に予想外でした・大晦日5大世界戦 5/5

2013-01-06 22:50:46 | 関東ボクシング

けっこう多くの方々が、同様の感想を持っておられると思います。
この結果は、まったく想像していませんでした。
ごめんなさい&おめでとう、という試合でしたね。


ディレイ放送のTV中継が始まるなりゴングがなったこの一戦、
王者テーパリットの闘いぶりに、まず驚きました。
初回から要所で好打を決めている反面、ガードの緩さ、安易に決める立ち位置のまずさが
あまりにも露骨に目について、9月の名城戦の苦戦を反省材料にするどころか、
さらに緩く、悪くなっていました。正直、理解に苦しみました。

河野公平についての映像資料から受けた、或いは実際にリング上で相対してみた印象が
河野与し易し、というものだったのかもしれません。
けっして、河野の勝利を貶めるのではありませんが、
テーパリットには油断という言葉では追いつかない慢心が見えたように思います。


対する河野公平は、苦しくなったら下向いて頭から突進、という悪い癖が一切見られず、
多少不格好ながら足を使って回り、常に打てる距離に迫っては左右フックで攻め込みました。
動き自体は単調で、ガードも時に緩み、そこをテーパリットに好打され、
打たれたあとしばらくは目線を下げたまま動く場面もあり、テーパリットから見れば、
これは大した選手じゃない、もっと打ち込もう、という風になったように見えました。

これが結果として大きな間違いだったように思います。
やはり、河野の体力、リズムが少し落ちてくるまでは、河野のアタックに
まともに付き合う必要はなかった、と。

河野が足を使いだしてから、それを無理に追おうとしたテーパリットが、
防御に隙を見せた4回、左側に出た河野の鋭い左フックが決まって最初のダウン。
後は河野のクッキングタイムでした。
倒した過程、詰めの厳しさ、いずれもケチのつけようがない見事なものでした。


年暮れになって、こんな驚愕の勝利を見られるとは、恥ずかしながら思ってはいませんでした。
短躯の名城、長身のロハス、いずれもやりにくい相手に敗れた河野でしたが、
三度目の挑戦は、王者との相性も悪くはなさそうで、チャンス自体はある、とは
ぼんやりと思っていましたが、それでも勝てるか、と言われると...でしたね。

32歳、ロハス戦後も負けが込み、今回の挑戦自体も、支持する声は少なかったように思います。
しかしこの一戦に臨む河野には、そうしたマイナス材料を覆してやるという強い意欲が感じられ、
それがあればこそ、王者の隙を見事に突いて、勝利を得られたのでしょう。
もし彼の心にわずかにでも、自分の現状に甘んじてしまう気持ちがあれば、
この勝利はあり得なかったことでしょう。
ラストチャンスと言われた試合で、持ち前の果敢さを良い方向で生かして勝った
河野公平に脱帽ですね。


さて、昨日TV東京系のスポーツニュースで、河野が内山高志と共に出演していました。
次の対戦相手はという話題では、1年くらい先まで防衛出来ていれば、という条件付きで
佐藤洋太との統一戦をやりたいと語っていましたが、その後に名前の出た亀田大毅については
決まればやります、という程度のニュアンスでした。
実際には暫定王者リボリオ・ソリスとの指名試合もありそうです。

正直、あの連中との関わりには、前向きな気持ちは持っていなさそうな様子に見えました。
とはいえ、周囲はそういう思惑なのでしょう。いかにもありそうな話です。

まあ、やるならワタナベジムの興行に出させる形で、普通にやれば良い、という気がします。
筋論を言えばソリス戦が一番なんでしょうけど。ジムメイトの内山同様に。
多くのファンの歓喜と「勝つとは思ってなかった、ごめん」という嬉しい謝罪の言葉に包まれた、
祝福と共にある王座奪取を果たした河野公平に、余計な寄り道も、売名を見込んだ譲歩も不要です。
彼には、王者として然るべき道を、まっすぐに進んでほしいものですね。



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永遠なる闘い・大晦日5大世界戦 4/5 

2013-01-04 20:59:39 | 関東ボクシング

距離で防御する「ボクサー」と、腕を使う、または頭の動きで防御する「ファイター」。
両者の攻防、せめぎ合いは、ボクシングの歴史において、永遠に続く闘いです。
佐藤洋太と赤穂亮の一戦もまた、その延長線上にある、熾烈なものでした。

初回から佐藤が鋭いジャブで距離を支配し、赤穂はその防壁を破ろうとするが
ジャブ、右ストレートで止められ、時折左フックの好打があるものの、
アウトサイドからの攻撃のみで、相手の身体の芯を打てない。
時にリング中央に陣取って突き放し、時に大きく旋回しながら放つ
佐藤の左リード中心の、ロングレンジの展開に引き込まれてしまった赤穂は、
懸命に食い下がるものの、ヒット、手数とも及ばず、敗れました。


佐藤については、一般的な評価はどうなのか知らないですけど、
私はたくさん見所のある、見ていて楽しいボクシングだった、と思います。

相手の視線を左右に散らすフェイント、スタンスを変えて距離の長短を切り替え、
身体の向きを変えてパンチの出所を隠す、等々の細かい技を、
休み休みではなく、試合開始から終了まで、間断なく見せてくれました。
決して強打の赤穂相手に逃げ腰になったという印象がなく、
技と力の対決を真っ向から挑んだ上での「巧さ勝ち」でした。見事だったと思います。

これで昨年、スリヤン、シルベスター・ロペス、赤穂と、東洋圏内の強豪を連破した佐藤ですが、
今年は米大陸の強豪クラスとの対戦を期待したいところですね。
今後、4団体認可となれば、オマール・ナルバエスとの統一戦とか、
フライ級最強のブライアン・ビロリアといった名前も上がってきて欲しいです。
次が指名試合となれば、WBC1位カルロス・クァデュラスが有力なんでしょうが。

様々な技を駆使しつつ、決してボクシングの攻防の密度を薄める闘いには走らない、
密度の高い技巧派ボクシングを見せてくれる、異形のアウトボクサー、佐藤洋太は、
今現在、もっとも「見もの」なボクサーのひとりです。
これほど、誰とやっても面白そう、と思えるボクサーは、そうそう出るものではないでしょう。
興行面での苦戦が漏れ伝わってくることも多いですが、彼のボクシングの魅力は、
強豪相手であればあるほど発揮され、多くに伝わるものだと信じます。


敗れた赤穂亮ですが、残念ながら大敗だったものの、こちらの闘いも立派だったと思います。
過去の数試合における闘いぶりは、ラフというのを通り越した無理押し、
力ずくのごまかし、としか言いようのないものが散見されて、
私は赤穂亮に対し、率直に言って、悪い印象、感情を持っていました。

しかし今回、赤穂はあくまで、技と力で佐藤洋太に挑み、及ばず敗れました。
その技量についての批評は置いて、彼は一度も試合を壊そうとはせず、
正々堂々と闘って敗れました。

佐藤の正確で鋭い左リードに距離を支配されても、それを突破せんと挑み続け、
しかし、体当たりまがいの突進などは一切せず、試合の品位を落とさなかったし、
初回終了間際の連打や、時折佐藤の打ち終わりを捉えた単発の左フックなど、
及ばずながらも見せ場を作って、終始緊張感のある闘いを見せました。

当たり前ですが、ボクサーは拳と拳で闘う者です。
そして、時にその原則を忘れたか、或いはハナから理解していない手合いが、
のこのこと10回戦クラスのメインイベントに出てきたり、
果ては世界戦と称する試合のリングに立ったりすることに、
いちいち腹を立てていてはキリがない昨今、なのですが。

しかし、私の、そういう懸念、疑念の対象であった赤穂亮が、これほど真っ当に、
相手の良さを削ぎ落とし、揺さぶり、苛立たせる技巧派、佐藤相手に
クリーンな試合ぶりを見せてくれるとは、失礼ながら想像していませんでした。
悪くすると、試合を壊して自分が勝とう、というような試合展開の末、
勝ち負け以前に不快感が先に来る、酷い試合を見せられる羽目になるのでは、とさえ思っていました。
そんな自分の悪い先入観を、今はひたすら恥じています。

赤穂にとり、辛く苦しい12ラウンズだったでしょうが、それでも彼は、
大舞台で自分の、ファイターとしての意地と誇りを見せてくれたと思います。
互いに認め合った宿敵に完敗して、今は落胆のさなかにいることでしょうが、
この近辺クラスの誰と闘っても、今回の闘いぶりならば、きっと好試合が期待出来るでしょう。
佐藤洋太の飛躍と共に、赤穂亮の再起にも、大いに期待します。



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盤石の王者に感謝・大晦日5大世界戦 3/5

2013-01-03 19:13:49 | 関東ボクシング

内山高志またも盤石、という試合でした。

コスタリカ初の世界王者(暫定ですが)ブライアン・バスケスは
思った以上に強く、巧者だったと思います。

ガードはやや低めの設定なれど、リズミカルな動きで的を絞らせない柔軟な防御。
距離の測定とパンチの選別を間違わず、ジャブ、フックと左リードが多彩。
要所にしっかり右を狙うが、一番の威力はスリーパンチの最後に打つ左ボディ。
時折見せたスイッチもバランスがよく、左ストレートも好打でした。

例として持ち出すのも何ですが、粟生隆寛を攻略したガマリエル・ディアスより、
実力的には上に見えました。
4団体全部合わせた世界ランキングがあると仮定しても、
トップ10に入れて問題がない、という感じです。

しかし内山高志は、難敵相手に動じることなく、いつものように闘い、勝ちました。
この人の、無駄に打たず、安易に打たせず、という丁寧な心がけが見えるボクシングは、
デビュー当初から、本当に変わりません。
強靱な肉体、並外れた強打を持ちながら、易きに流れず築き上げられたスタイルは、
見る者を敬服させ、対戦相手を屈服させ続けてきました。今回もまた...でした。

よく動くバスケスに対し、丁寧なジャブ、左ボディで叩く。
時に左を控えて、相手を逃がしておいて、追うように右ストレートで狙う。
懸命の応対もむなしく、間断なく圧力をかけ続けられたバスケスが
目に見えて失速してきてもなお、強打を狙って大振りになることもなく。
右が数多く当たるようになった7回、フィニッシュした8回に至っても、
小さく振る右で追い込み、とうとう打つときに前にのめってしまった
バスケスの数少ないミスを、左アッパーのカウンターで捉え、猛攻してストップ、でした。


試合後のインタビューで「まだまだ強くなることが第一」とコメントしていましたが
ええ、まだですか、と、見てるこちらとしては感心するより呆れてしまいましたね(^^)

私はこの試合のプレビューで、内山にはWBAのベルトじゃなく、他のベルトを巻いて欲しい、と
ファンの勝手は承知の上で書きましたけど、本人の「ベルトは形だけのもの、強さが大事」という
極めて説得力のある正論の前には、何の意味もない戯言だったと思い知らされた感じです。

強い、巧い、頼もしい。しかしそれだけでは収まらない、王者の風格。
大晦日、ふたつのTV局による複数世界戦イベントに関しては、
さまざまな是非論があることでしょうが、内山高志の存在あればこそ、
ボクシングの持つ威厳、尊厳が守られている、と改めて思いました。

そして内山高志には、大晦日の看板、重しというにはとどまらない、さらなる飛躍を期待したいですね。
とりあえず、ユリオルキス・ガンボアとの一戦、どうにか実現してもらいたいものです。
ここまでの実績と試合内容、対戦相手の質からいっても、
かつてのクリス・ジョンと同等か、それ以上のものがあると思いますし、
米大陸のリングから、ある水準を越えたオファーがあっても良いと思いますね。


いや、とにかく見事でした。内山高志の存在に感謝、です!






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魅力とバランスの置き所・大晦日5大世界戦 2/5

2013-01-02 16:22:14 | 関西ボクシング

カウンターが得意で、受け身になりながら好打を狙う頻度が高いボクサーの試合を見るとき、
いつも思うことと同じことを思わされたのが、宮崎亮の試合でした。


目が良く、上体を柔軟に使い、相手の攻めの逆を取るのが巧い、小柄な強打者。
宮崎亮のボクシングは、試合によって出来不出来が激しい点は心配なれど、
見方によっては友にしてライバルと目される井岡一翔を上回る、と見る向きもあるほど、
良いときのひらめき、切れ味、破壊力は目を見張るものがあります。
そしてその魅力は、今回の試合にも、時に発揮されました。

しかし、初めてミニマム級に落としての試合で、そのような宮崎の長所が
存分に発揮され続けるものなのか心配でした。
序盤、思った以上に、これまでと大きくは変わらない体つきと動きを視認して安堵した反面、
この好調さが突然消え失せるような失速があるのではないかと。


そして対戦相手のポンサワン、スローな反面、その並外れた強靱さと執拗さは、
宮崎を応援する者にとり、さらなる不安でした。
その飽くなき前進と攻勢に対し、宮崎は基本、受け身で見て、外してはカウンター。
時に好打を端緒にコンビネーションを繰り出し、終始有効打で上回りました。

逆に好打され、攻め込まれる場面もあり、スコアは割れ、競ったものもありました。
相手の攻めの裏を取るカウンターが得意な宮崎が、もう少し左リードで相手を止めて、
その上でカウンターを取れれば、より正確に強く打てるのでしょうが、
それは3回序盤などに実現されたものの、回数としては少なかったと思います。


このあたり、カウンターパンチャーとしての良さを生かすための、
攻防のバランスをどこに置くかという難しさが見えた試合でした。

タフなポンサワンがカウンターの好打で倒れてくれない以上、
より強く、数多く当てるために、より左リードを強く打つ攻撃的姿勢を強めるか。
しかしそれにより、減量苦を抱える宮崎の体力が消耗されるでしょうし、
ポンサワンの強打を浴びるリスクも増すことになります。

今回の試合は、そのあたりのバランスに苦心した末の勝利だったと見えました。
心配だった失速は、あからさまな形では起こらなかったし、
3回や11回の左フックの好打と、その前後の崩し、追撃は見事なものでした。

今後、転級せずにこの王座を防衛していくのなら、
もっとスピードがある相手に対したとき、果たして今日の調子で防御し、迎撃出来るものかどうか。
もう少し、受け身になる頻度を下げて闘う必要があるかもしれませんし、
その場合の体力面での不安も解消していかなければならないでしょう。


しかし、その魅力が十全に発揮されたかどうかは意見の分かれるところでしょうが、
この柔軟、自在、時に冷徹、時に奔放な、魅力に溢れたこの小柄なボクサーが
大晦日の舞台で、普段とは比べものにならないほど多くの注目を浴びて闘い、勝ったことは
それ自体がとても喜ばしいことです。

これをきっかけに、宮崎亮が新たなスターとして認知されてほしいし、
彼にはそうなるだけの魅力があると思います。
今後、どのような展開があるのかわかりませんが、
同級の強豪たち相手に、その実力を見せつけるような試合を期待します。


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井岡一翔なればこその期待・大晦日5大世界戦 1/5

2013-01-01 02:15:56 | 井岡一翔

先ほどTV東京系の地元UHF局によるディレイ中継が無事?終わりました。

いやー、実際にいちんち5試合の世界戦をTVで結果知らずに見ると、
お腹いっぱい、どどっと疲れましたね。
何せこんなことは、生まれてこの方初めてですんで。

それに、変な話、見所のない「スカ」な試合がひとつもなく、
どれもこれも集中して、楽しく見られたんで、見終えた後の脱力感のようなものが
思った以上に大きかった感じです。心地よいことでもあるんですが。

そういうことで、以下、5試合もいっぺんに書くと、
タダでさえグダグダと長いアホの感想文がさらに長くなりますので、
5回にわけて書かせていただき、この拙ブログをご覧いただいている皆様への、
年末年始のご挨拶に代えさせていただきます。

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年末の試合の中で、その成立過程がもっとも心にひっかかるものだったのが、
井岡一翔vsホセ・ロドリゲス戦です。

正規王者ローマン・ゴンサレス、暫定王者アルベルト・ロッセルの存在を無視し、
ロマゴンのスーパー王者昇格により、正規王座決定戦開催、という流れ自体、
亀田興毅vsムニョス戦の成立経緯と、びた一文変わらないもので、
この話を最初に聞いたときは、本当にがっかりし、嫌な気持ちになったものです。

TV局、ことにTBSが絡むと、ボクシングかくあれかしというファンの思いが
あらゆる形で蹴たぐりにされてしまうとは覚悟していたつもりでしたが、
あの井岡一翔が...オーレドンを倒した直後のリング上で、
亀田興毅の「さんかいきゅうせいは」に対して反発するかのように、
将来、四階級制覇をしてみせる、と叫んだ彼が、
こんな形でその階段をひとつ上るのか、と考えると、本当にやりきれない思いでした。


しかし、いざ試合が始まってみると、そういう思いは、
完全にとはいかなくても、かなりの部分、消し飛ばされました。
井岡一翔の佇まい、闘いぶりは、それだけの力をもって、私の心に迫ってくるものでした。

左リードを中心に、常にロドリゲスに圧力をかけて繰り広げる、密度の濃い攻防。
初回早々、鋭く踏み込み、左右のアッパーを上下に打ち分けて奪った見事なダウン。
反撃を試みる相手に、じわじわと攻め手を積み重ねて打ち崩し、
多彩な左でしっかり崩しておいて、6回に右で叩いての、確実なフィニッシュ。

まるで全盛期のデラホーヤを彷彿とさせる、構えた時点で強い、と感じさせる
正攻法の攻撃的ボクシングは、試合以外の「とやかく」「あれこれ」にまつわる
負の感情の大半を無意味なものにする、説得力に満ちた強さを感じさせるものでした。

TBSの実況が言うことなど、普段なら全然耳に残らないものですが、
今日はひとつだけ、良い表現がありました。
「日本のゴールデンボーイ」という形容は、誰より今の井岡一翔に相応しいものです。
ひょっとしたら今までも言ってたのかもしれませんが、今日は珍しく
「お、TBS、ええこと言うた」と素直に思いましたね。


しかし、やはり心の片隅に、確かに残る、消えることのない引っかかりは、
きっとボクシングファンなら誰もが思っていることだろうと思います。
史上最短、11戦目での二階級制覇、という「記録」は、
額面通りに受け取れるものではなく、このタイトル獲得ををうたうならば、
ローマン・ゴンサレス攻略という大仕事が必須である、ということです。

WBAが90日以内に対戦を義務づけた、という報道がありましたが、
その義務づけというのが、どういう内実のあるものかどうかはともかくとして、
やはりというかなんというか、よく躾けられたTBSの放送席から、
その事実についての言及は一切なく、試合後の井岡のインタビューでも、
新王者・宮崎亮との友情や、ファンへの感謝が語られる一方、
井岡一翔の口からも、ロマゴンの「ロ」の字も出ませんでした。


年明け早々、文句から始まるのも何ですが、はっきり言って、非常に不満です。
それじゃ、あの屁っ放り腰のコソドロと、どこがどう違うんや、って話です。

調整期間が足りたかどうかわからないとはいえ、現役選手で元暫定王者、
今も上位にランクされるメキシコ人の世界ランカーを相手に、
あれだけ正攻法のボクシングをして、圧倒的に勝つ力を持つ井岡一翔が、
そんな振る舞いをしていてはいけない。そう、声を大にして言いたいです。

ボクシング業界が置かれる経済的状況の厳しさや、その他の「大人の事情」が
厳然とあることは、ある程度までは想像は出来ます。
しかし、それに理解を示したり、妥協して受け入れる諦念だけをもって、
ボクシングファンでいようとは、私は思いません。

何の意味もない拙ブログでの申し立てではありますが、
井岡一翔には、次戦、或いは近い将来における
ローマン・ゴンサレスとの、或いは、それに準ずる108ポンドクラスの
強豪選手との対戦を、強く希望します。

もちろん、井岡一翔が語る、この試合は通過点という意味のコメントの底意が、
次なる、或いは近い将来の「打倒ロマゴン」にあると信じるがこそ、です。

今日の試合は、王座がどう、記録がどう、という意味では、
残念ながらあまり意味を感じられないものでした。
しかし、先日のプレビューにも書いたとおり、ライトフライ級復帰初戦としては、
考え得る中で、なかなか良い試合だったと思います。
本来のクラスに戻して、今日の試合ぶりに続く、さらなる成長と、
真の王座奪取を、井岡一翔に期待しつつ、新年最初の投稿とします。


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昨年もまた、皆様には、この拙くも怠惰な風下ブロガーにお付き合いいただき、
心より感謝しております。
本年も広い心でお付き合いいただけたら幸いです。よろしくお願いします<(_ _)>



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