さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

あれこれと長い雑感

2012-06-23 02:33:30 | 井岡一翔
清々しい印象を残した水曜日の試合を終えて、試合自体の感想は書きましたがそれ以外の雑感をいくつか。


TV放送されなかったアンダーカードですが、宮崎亮vsランデロ戦は、宮崎の3-0。
しかし宮崎、いまいちの出来でした。試合がTV放送されてたら、ちょっと評価下がったかも。

この選手については、過去に何度か書きましたが、相手の攻め手の逆を取るボクシングが好きで、
でも相手がじっくり構えて手控えると、それを自分から攻め崩す形がありません。
いや、無いことはないんでしょうが、あまりそういう形を作ろうとしません。

好機に相当効いたカウンターの単打でも決まれば別ですが、そこそこの好打だけでは
その後にどんどん追撃の手を出しません。このへんは減量苦なども一因なのでしょうが、
自分の体力、スタミナに自信を持っていないように見受けられます。

この試合でも、ヒットを取ってポイントはリードしながら、どうも煮え切らない試合ぶりで、
そうこうしているうちに目で外せていた序盤はともかく、終盤には打たれて失点するラウンドもあり、
消化不良のまま試合を終えました、川上ジャッジがフルマークの判定をつけていましたが、
そりゃないでしょうよ、という印象。また先祖返り、元の木阿弥かと、暗い気持ちになったりもしました。

正直言って、今の宮崎に対し「世界戦がなかなか組まれず気の毒」というような感情は、私にはありません。
彼の試合を見て、そこまで「世界」への説得力を感じない、というのが実際のところです。

その才能や可能性には、大きな期待をしているのも事実です。
ただ、上記したとおり、相手の逆を取り、裏を突く彼のボクシングは、例えばローマン・ゴンサレスのような
強力な選手相手に主導権を与えながら、それに対抗していく形でなら、今以上に光るだろうと思う反面、
やはりもう少し能動的に闘う局面を作れないと、善戦はしても勝てはしないのでは、と危惧します。

報道によると挑む先がミニマム級になる?というような話もあって驚きましたが、どうなるのでしょう。
井岡が返上するであろう王座にまつわる何らかの権利を、宮崎の世界挑戦で行使したいという話なのでしょうか。
見ている限りライトフライでも厳しい、フライに上げてもいいのではという印象ですが、
このあたり、選手のコンディションを無視したような話にはなってもらいたくないですね。

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ヘビー級の試合もありました。藤本京太郎の試合は初めて直に見ましたが、
4戦目の選手としては充分なんじゃないでしょうか。
対戦相手はアメリカの黒人選手、大柄でリーチもありましたが、身体はたるたる。
11勝9敗とパンフに書いてありまして、へぇ、アメリカでこんな戦績残してるのなら、
これは今の時点では強敵かと思ったんですが、ここ2~3年はニュージーランドで試合していて、
なるほど、この締まらん身体でも通るんやな、と納得でした。

相手のジャブが少し邪魔そうだった藤本ですが、肩越しの右を執拗に打ち、TKO勝ち。
当面はこのくらいの相手と試合していくしかないでしょう。
とにかく多くリングに上がり、練習と試合で、徐々に本物のヘビー級ボクサーとして、
心身を作っていく段階にある、という風に見えました。

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ひとつ、この興行に苦言を言わせてもらいます。単なる「大入り」ではなく「混雑」だった場内のことです。

私は時間が取れたんで早めに会場に行ったのですが、開場一時間前の時点で、府立正面から建物の角を曲がって
結構先まで行列が出来ていました。正直、ボクシングの会場であんな光景を見るのは久しぶりのことで、唖然としました。
あわてて列に並んだのですが、私の後方にも延々と行列は続き、しまいには体育館の裏側まで行ったそうです。
世界戦では異例でしょうが、府立の二階席を全て自由席として、相当な数の自由席チケット(5000円)を出したようです。
私も自由席のチケットを買っていたので、かなり早めに着いたつもりだったのですが、とんでもない、甘かったですね。

さいわいにして二階席で、座って試合を見られたのですが、続々と観客が詰めかけて、
二階席の手すりや通路は座り見、一階アリーナの壁際には立ち見の方々ですし詰め状態。
通路は両側に人が座っていて、移動する人が対向出来ない。私もトイレに立つことすら出来ませんでした。


そこへメイン前くらいでしょうか、場内にアナウンス。

「二階席手すり付近の皆様、転落しないようにお気をつけください」

...携帯で近所の消防署に通報したろか、と思いましたね、ホント。呑気というか無責任というか。


とにかく、座席数や立ち見スペースの限度を超えた枚数のチケットが販売あるいは配布されていたことは
誰の目にも明らかでした。平日夕方、早くから並ぶなど不可能だった方も大勢おられることでしょう。

そしてあの状態では、いったん会場に入ったはいいが、満足に試合を見られなかった方もいるはずです。
チケットの枚数を常識的な範囲に抑えていれば、そのような事態は防げたはずですが、
そのような配慮はまったくなされていなかったとしか見えませんでした。

史上初の統一戦という大規模興行が、試合内容でも興行面でも成功に終わった、と
主催者は喜んでいるのかも知れませんが、さいわいにして座って観戦出来た私でも、
このような利益第一、観客無視のやり方には怒りを覚え、失望しています。
良い試合だったから、TV視聴率も良かったから、どうせそれ以外のことは考えないのでしょうが、
せっかくボクシング界全体にもさまざまな好影響を及ぼすような、「成功」した試合だったからこそ、
直に会場に足を運んだ、後援関係とは無縁の観客のことにも、気を配ってもらいたかった。残念ですね。

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さて、試合後の話ですが、嬉しかったのは粟生隆寛と内山高志のコメントですね。
両者とも井岡、八重樫に刺激を受けた、是非統一戦をやりたいという主旨を語りました。
これはもう、両陣営の英断に期待するしかありませんね。
ことに業界最大手の方にお願いしたいです。いろいろご都合もおありでしょうが、
ひとつ大きな心をもって、この試合に限らず、広く門戸を開いて、ファンが期待する、
然るべき選手に然るべき好機を作ってやろう、くらいの度量を見せていただけたら嬉しいです。

実際のところがどうかは知りませんけど、このスーパーフェザー級の両雄については、
両者が他の相手に負けたりしなければ、それ以外の障害は、何とか乗り越えられるレベルのものだと思います。
バンタム級に関しては、期待するだけ時間の無駄ですが。

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おまけ

スポーツ報知って、記者がバカなのか、デスクがバカなのか、
それともバカじゃなくてもこういう記事出さないかん理由があるんですかな?

世の中には、私なぞにはわからんことがまだまだたくさんあります。

コメント (3)
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思い切り拍手してきました

2012-06-21 00:26:14 | 井岡一翔
ただいま、府立体育館より帰ってまいりました。

いやはや、あんなに人の多い府立はいつ以来でしょうか。文字通りの超満員でした。
二階席の通路や、一階席の後方は立ち見の観客で埋まり、共に空席はほとんどなし。
ものすごい熱気の中、井岡一翔と八重樫東の激闘を見てきました。


こちらは二階席からの観戦ですので、TVで見た方の印象とは少し違うかも知れません。
私の元にはTV観戦の方から「僅差ではなく大差で井岡」「引き分け」などなど、
異なる意見が聞こえてきました。

私は115-113井岡、と見ました。
一打の威力でまさる八重樫の有効打が抑えた回より、
ラウンド全体でのヒット数、ペース掌握、防御の良さで井岡が取った回の方が多かった。
簡単にいうとそういう見方です。


井岡の左リード、振りの小さい左アッパー、好機に鋭く飛ばす右ストレートに対し、
八重樫は井岡の右ガードの隙間を左フックで叩き、右で追撃し、連打で対抗する。
基本的にはこういう攻防が続いたと思いますが、勝敗を分けたポイントとしては、
なんといっても初回、そして3回、八重樫の両まぶたが腫れ上がったこと。

場内に「八重樫選手のまぶたの腫れはヒッティングによるもの」とアナウンスがされ、
場内のモニタに目をやると、まだ始まったばかりなのに、明らかにわかる酷い腫れでした。
この腫れを確認するためのドクターチェックが6回、7回に二度行われ、試合続行を危ぶんだ八重樫は、
結果として中盤、勝負を急いで猛攻を仕掛けましたが、ここを井岡に乗り切られ、反撃を受けました。
この無理な展開が無ければ、とは、どうしても考えるところです。

そして、この展開の中で、井岡はジャブで突き放す展開を敢えて捨て、
視界、距離感が悪くなった八重樫が期待する打ち合いを挑んだ場面がありました。
これにより井岡は被弾が増え、終盤の失速というか劣勢の場面を招きました。


八重樫の負ったハンデが、井岡の有効打による腫れだったとすれば、
それも勝負のうち、ではあります。
試合終盤、八重樫が、ヒットを取ったにもかかわらずバランスを崩す場面がありましたが、
これは相当、視界が悪いのでは、打つ標的が見えていないまま打っているパンチもあるのではないか、と思いました。

ひとつ繰り言を許していただけるなら、こういう勝負の綾がないまま、
八重樫のもっとダイナミックな仕掛けと、井岡の冷静な対処の末の、最後の選択肢としての打ち合いを見たかった、
という気持ちも若干あったりします。


しかし両者は、こういう勝負の綾、自分にけっして幸いしない状況に直面しても、
ひるむことなく相手に立ち向かいました。
試合を打ち切られるかもしれない恐怖を背負い、退路を断って捨て身で打ち合いを挑んだ八重樫。
勝つために最善とはいえない選択を何度か繰り返し、危険を承知で自らの誇りを満たそうとした井岡。
息をつく間もない、濃密な闘いを思い返すと、私の繰り言など、そもそも何の意味もなさないのだ、とも思います。


大きな会場を埋めた大観衆を、鍛え抜かれた肉体と、圧倒的な技量と、燃えるような闘志と、
そして闘い終えた後の美しいマナーで魅了した、二人の偉大なチャンピオンに、感謝と拍手を送りたいです。



...ていうか、実際、試合終了後の会場では、判定のコールを待たずして
スタンディング・オベーションが沸き起こり、私も当然、その中のひとりとして、
席を立ち、思い切り拍手をさせてもらったわけなんですが(^^)

いや、素晴らしい試合でした。見に行って良かった!


コメント (4)
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勝ち負け以前の期待充分/また完勝/どうなるのでしょうか

2012-06-18 02:21:17 | 話題あれこれ
いよいよ今週水曜日、決戦も間近に迫ってきましたねー(^^)

当然「せやねん」でも取り上げられましたんで、まずご紹介。

この映像でも、また事前のいくつかの特集番組などでも取り上げられてましたが、
井岡、八重樫双方ともに、この大一番に向け、特にフィジカルトレーニングや、
コンディション調整において、万全の体制を取っているようです。
これは好ファイトが期待出来そうです。

予想については以前、試合決定時にとりとめもなく書きましたが、
ピークの爆発力と多彩さで八重樫、強靱さと安定感で井岡、という印象です。
八重樫には歴戦の疲弊と故障、井岡は限界と言われる減量苦という弱味もありますが、
両者の調整段階の様子をあれこれ報じられる範囲で見ていると、
そういう心配は余計なお世話なのかも、というくらい、双方共に充実感があります。

両者が当日、ベストの体調で、それぞれに最高の力を出し合って、
結果おいといて今日は納得や、ええボクシングを見たなー、という思いで
会場を後に出来るような試合になってもらいたいものです。

当然、どのような試合を見に行くときも、大前提として、まずそれを望むわけですが、
今度の試合は、勝ち負けは知らず、そのあたり、大いに期待出来そうです。


TV放送ですが、関西では午後8時から、関東では7時からみたいです。
まあ、前座を放送するにしてもヘビー級の人くらいで、宮崎亮の試合をやることはなさそうです。
毎度の通り、残念な話ですが、そこはもう期待するだけ時間の無駄ですね。

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ついでに動画もうひとつ。
先週のWOWOW生中継で見られるかと思っていた
ギジェルモ・リゴンドーvsティオン・ケネディ戦のハイライトです。

セミファイナルかと思っていたらとんでもなくてセミセミの前にやってしまっていて
WOWOWの放送が始まる前に終わっていたんですね。
おまけにパッキャオがバスケの試合見てたとかで、リングインの時間が遅れ、
メイン終了後の録画放送もありませんでした。


しかし、去年初黒星を喫したとはいえ、ケネディも弱い選手じゃないんですが、
あの左はどうしてもよけられないんですね。
リゴンドーは相手と何度か接触したら、すぐに相手の息を読み、
最短距離で届くパンチの軌道を見出しては、相手の急所、というだけでなく、
相手の出鼻を、バランスの支点を突き崩すようにどんどん強打してしまいます。
この試合でも、相手に立ち直りのきっかけさえ与えないまま、一方的に攻めきりました。

国家のバックアップにより、国内各地に指導施設を持ち、ピラミッド式の強化体制をとる
キューバの膨大な選手層の中においてさえ、比較しうる者がないほどの実力を誇った
アマチュア最強ボクサーだったリゴンドーの実力は、プロの世界でも変わらず脅威です。
この映像を見ると、ノニト・ドネアを筆頭に、マレス、西岡といった面々でも、
その勢いに飲み込まれてしまったら最後、どうしようもないのでは、という気がするほどです。

相手のアタマを右手で抱えるクセがあるのと、相手の力量を認めた際の闘い方が
極端に慎重になるあたりが、アメリカでの評価において気になるところですが、
やはり目の離せない実力者ですね。

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それにしても西岡の試合は本当にどうなるのでしょうか。
古い話ですが、直談判みたいな記事も出てましたね。

確かにドネア戦、実現してほしいですけど、もう9ヶ月も試合してない状態で、
次の試合が五里霧中、選手本人が全面に出て、なんていう話は、何ともかとも。

とにかく、試合組める目処が立たないまま、このままずるずる、というのは最悪のような気がします。
ドネアの次の試合のあと、何らかの進展が見込めないのであれば、他の相手との試合を考えるべきでしょう。
「名誉王者」という肩書きがついてしまった現在、そうでもしないと、
ボクサー西岡利晃の存在意義が、ますますあやふやなものになってしまいます。
それはファンとしては、耐え難いことですし、西岡本人にとってもそうなのではないでしょうか。





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転級確定?/参考/王座とは/ずっと休んでてエエで

2012-06-13 22:39:51 | 話題あれこれ

ちょこちょこと話題を。
こうでもしないと更新頻度が...あああ、姑息ですね。すみません。

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この手のアドバルーンは日頃からいくらでもありますが、
こればかりは本当であってもらいたいです。
ミニマム級は、本当に今度の試合で最後であってもらいたいと。

さらにいうなら、宮崎亮のライトフライ級も、次が最後だったらいいなぁ...。
フライ級の...というか、事実上WBCに限定されるんでしょうが、
タイトルの行方、情勢を考えると、充分可能性アリと思うんですが。

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とはいえ、別にこの人に負けてほしいと本心から思っているワケじゃないんですよ、ええ。本当に。
そりゃ、テイケン嫌いの関西依怙贔屓は事実ですが、選手そのものを無条件に嫌うわけじゃないです(^^;)

ブラドリーの冷静さ、しぶとさは大いに参考にすべし、ですね。
相手の力をフルに発揮させないための戦略を、しっかり練っておくべきです。
ハロ、パンチは底抜けみたいですから。

もっとも、あの試合が「攻略」であったのかどうかは、未だ議論百出なわけですけど...。

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日本ヘビー級王座、ですかぁ。
その昔、作ったはええけど立ち消え、みたいな話は聞いたことありますが。

なんか、いかにもTV局主導の話って感じがするんですがどうなんでしょう。
そもそも、あの選手を売り出したいけど、オセアニア方面から相手呼ぶばかりでは何かとアレで、
さりとて欧米から呼ぶとこれまた何かとアレで、それまでに10~15試合くらいはやらせたいでしょうし。

色々大変なのは事実だと思うんです。
しかし、タイトルって「そのため」に作っちゃうと、ね。
もっとたくさん選手がいると良いんですけどね。
他の格闘技からの転向、解禁になってるんですから、他にももっと人材が来ないもんでしょうか。

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おまけ。といっても古い話題ですが。

まあ、両拳が痛いなら仕方ないですよね。
なんなら一生休養でもええ、かまへんかまへん、という感じですが。

コメント (2)
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意外で残念な失速

2012-06-11 14:37:10 | マニー・パッキャオ

またしてもひさびさの更新であります。どうもすみません。
昨日の試合は色々思うところのある試合となりましたので、あれこれと。


まずあの判定について、自分の感想から言えば、解説のジョーさんとほぼ同じです。
あの12ラウンズのうち、7つをブラドリーが取ったようには見えませんでした。

それでも、思いきりブラドリーに甘くつければ、6対6、ドローまではあるか。
それ以上はどうしても、オマケできるラウンドの数がない、というところです。

しかし同時に、割れる、逆もありうる、そういう判定が出る可能性が皆無とは言い切れない、
自分の見解とは違うが、そう見る人、ジャッジがいてもおかしくはないだろう、とも思いました。

議論の余地がないのは10~12の3ラウンズでしょう。
私はこれを全てブラドリーに振りました。
その上で、それまでの9ラウンズが、5対4でパッキャオという、小差の内容ではなかったと思うのですが、
そういうジャッジがありうる内容だった、というのが現実だったわけですね。


試合内容はパッキャオがいつものワンツー、左ストレートを狙う展開。
ブラドリーはファン・マヌエル・マルケスと同じく、その左を外し、威力を削ぐために
左斜め後方への移動をベースに、右ガードを高く掲げてパッキャオを威圧する構え。
そしてパッキャオの出鼻、或いは打ち終わりに、ガードの上でも構わず手数を出す。

全てはパッキャオへの「対応」に基づいた、格下が番狂わせをかすめ取るための闘い方でした。
体格面で、過去のパッキャオの相手のようなアドバンテージがない代わりに、
そういう小回りの効く闘い方を貫いて、パッキャオの、自分の左足が浮くほどにパワーを乗せた
強烈な左ストレートを決定打とさせず、中盤打たれてバランスを崩しても懸命に立て直しました。

パッキャオはこれまでの相手と違って、体格ではそう変わらないが小回りが利く相手に、
左ストレートを好打はしても強打は出来ず、多少いらついた部分はあったのでしょう。
しかし上記の通り9Rまでは、問題なく勝てる流れでした。
あのラスト3つの失速は、さすがに予想できませんでした。

判定についてはさまざまな議論があるでしょうが、そもそもあの終盤の失速がなく、
普通に取ったり取られたりという展開でさえあれば、そんな議論の余地などない、
パッキャオにとり普通の勝利となっていた試合です。
判定云々以前に、この失速こそが、論議を呼ぶべきものではないか、と思っています。


彼の周辺の環境、練習の密度、年齢、歴戦の疲弊など、色んなことが語られるでしょうが、
もう何年もの間、上のクラスの相手との激戦を見事な内容で勝ち続け、
過去にはなかったさまざまなものを背負って生き、闘っているマニー・パッキャオの強さが
永遠に続くわけではないことは、誰もがわかっていることです。
いずれ彼も、誰かに敗れ、或いは時の流れに抗えずに、リングを去る日が来るわけです、が...。

ただ、それにしてもあの終盤は、きつく言えばひどかった。
そこまで疲労していたようにも見えなかったのですが、出鼻を打たれ、打ち終わりを打たれ、
打てば外され、追えばはぐらかされ、無策を絵に描いたような失点を重ねたパッキャオの姿は
ちょっと信じられないものでした。仮に判定が彼を支持していても、これは無いな、と思っていたでしょう。
ムショの中でPPVの生中継が見られるのかどうか知りませんが(見られるワケないですか...)
これを見たらフロイド・メイウェザーはさっそく対戦したがるんではないか、というほどに。


なんか、片務的な再戦契約があるんだそうで、11月にもということだそうですが、
正直言って、別に名勝負という内容でもないし、そもそも勝ったブラドリーが、
パッキャオに取って代わって、ボクシング界の新たな英雄になった、ということでも全然無いこの試合、
やれ因縁の再戦だ、返り討ちか雪辱か、とか煽られても、もうひとつ乗り切れない感じではあります。
ブラドリーは、試合後のコメントを聞いても、良い試合をする責任が自分にあるとは全く考えていない風でした。
おそらく、次もそれは全く変わらないでしょう。もしそこが変わるのなら、彼を待つのは敗北...の、はずです。

いずれにせよ、誰もが待ちわびているはずの、あの試合への道のりが、またしても遠くなってしまいましたね。
どのみち年内は無理なのだから、再戦興行で盛り上がるならそれで良し、などとプロモーター連中は考えていそうですが。


昨日の試合は、色々なことを考えて、そして何を考えても、何か煮え切らない思いばかりが残る、残念な試合内容と結果でした。
マニー・パッキャオの試合を見て、ただただ感服し、感動してばかりいた日々は、残念ながらもう過去なのかもしれません。


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