さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

何が東洋最強か/採点よりは苦戦/強打には警戒を/また生中継三昧の週末

2018-01-28 17:18:28 | 海外ボクシング



ということでWOWOWの生中継、有り難く見ておりました。

メインのルーカス・マティセは、めでたく?自身初の正規王座獲得。
タイのティーラチャイ(新たな表記はピンとこないのでこれで行きます)を
8回、二度倒してKO勝ちでした。

しかしそれまでの過程は、大柄なティーラチャイのジャブ&クリンチに
強打を封じられ、けっこう苦戦というか、退屈な展開を強いられていました。
見ているこちらも、7回くらいから欠伸が出ていました。

なんだこの試合、このまま12回まで行ったら、果たしてどんな判定になるのやら、
と思っていた8回、いきなりマティセがワンツーでダウンを奪い、
肩を入れた左ジャブのようなパンチでKO、という流れ。
さすがにこの辺は、パチッと目が覚めました(笑)

しかし、ティーラチャイの闘いぶり...これを東洋最強だの、
亀海や小原より強いだの、誰がそんなことを言うたんや、と...(--;)

以前何試合かYouTubeで見たときは、こんなじゃなかったですし、
相手もそこそこの感じだったから、もっとがんがん打って突き放すのかな、と思いましたが、
終始へっぴり腰で、打たれたら心身ともに脆い印象。正直、がっかりしました。
少なくとも亀海や小原は、結果負けでも、こんな試合は絶対にしませんよね。



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ホルヘ・リナレスは、メルシト・ヘスタに3-0判定勝ち。
しかし、採点ほどに圧勝という感じでもなかった印象でした。

ヘスタは単発ながら、思い切り振る右フックで迫り、
序盤から、比較的近い距離で闘う流れを作ったのが良かった。
リナレスはヒットでまさるも、全体的に速いが軽い連打が多く、
芯を食うヒットは単発に終わりました。

10回なんかは、少し疲れが見えたり、序盤から横向いて外す動きがあったり、
英国での自在な動きとは、少し違っていたというか。
どこかコンディションの面で、不安があったのかな、と思ったりもしました。

それでも勝利自体はクリアなものでした。
ヘスタはランキング以上に力のある選手でしたが、それでも。

しかし、この内容で、米国における評価が急上昇、ともいかなさそうですし、
今後はどういうマッチメイクになるんでしょうか。
マイキー・ガルシア戦が組まれれば一番ですが、情勢も変わり、
そもそも勝機自体も目減り傾向かなー、という感じですね。
キャンベルの再挑戦を受けるとか、そういう方向になって「しまう」んですかね...。



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さて来週日曜日は、沖縄にて比嘉大吾の凱旋防衛戦
本人は自信満々で、敵はモイセス・フエンテスよりも減量苦、というところのようです。

しかし、比嘉が序盤から、自信満々で仕掛ける流れで、押しまくって倒せればいいですが、
フエンテスは動いて外す相手は苦手なれど、外すよりも打ってくる相手になら、
持ち前の一発強打を決める可能性を秘めた相手でもあります。

田中恒成戦でも完敗の中、少し田中が攻めを重ねようとした2回の前半、
その怖さを見せて、攻勢を取った時間帯がありました。
田中に完敗したからといって、容易い相手だと思って、動きの乏しい攻め方をしたら、
フエンテスの決定力が高い一発が、予想を覆す可能性ゼロとは言えません。

比嘉が丁寧さを失わずに、なおかつ積極的な、質の高い攻撃ボクシングを実現出来る、
世界王者としてのレベルにあるファイターなのかどうか。
予想は比嘉に大きく傾いて当然の試合なれど、試合展開、内容について、
そのあたり興味深く見られる試合かもしれない、と思っております。



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来週の週末は、日曜が早朝からDAZNのライブ配信で、
前記事に書いた英国のクルーザー級若手対決が見られます。

そして、その前日土曜日夜は、G+で生中継あり。
末吉大vs大里拳の一戦。末吉は初防衛戦です。


つまり、見ようと思えば土曜夜にホールの試合、
日曜早朝に英国の試合、そして夜には沖縄の試合が、ライブで見られるわけです。

なんだか急に、ほぼ毎週末、生中継の波がやってきますね。
ある意味、昭和のTVボクシング黄金時代以上の勢いです。

以前は、リングジャパンのビデオ買ったりしないと見られなかった海外の試合を、
WOWOWで毎週、数週間遅れながら見られるようになったことを喜んでいましたが、
こういう状況になってくると、ライブでないと物足りない、という贅沢を覚えてしまった感じです。
困ったものではありますが。



しかし、例えば3月、神戸のダブル世界戦などは、今のところTVの話が
記事のどこにも見当たらなかったりします。
世界戦としてどう、というのを外せば、日本上位が世界ランカーに挑む試合、という観点で、
一定の興味を持って見られるチャレンジマッチではあるのですが、ライブで見ようと思うと、
会場に足を運ぶ以外、方法がない、ということになるのかもしれません。

真正ジムお得意の、民放BS放送がディレイでもあればいいですが、
果たして二試合分の枠が取れるものかどうか。
海外の試合がどんどんライブで見られるというのに、関西地方の試合では無理かもしれない。
このあたりの状況が、きれいに整理されるには、もう少し時間が必要なのでしょう...かね。




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WOWOW生中継増加/次はDAZNも/早速再起?/「然るべき」/引退

2018-01-26 15:39:54 | 話題あれこれ



次の日曜日、来週、というべきなのでしょうか。WOWOWで生中継があります
ホルヘ・リナレスの防衛戦は、以前パッキャオ二世と期待されたメルシト・ゲスタと。

そしてアルゼンチンの強打ルーカス・マティセと、東洋ウェルター級最強の男ティーラチャイ。
別名テワ・キワム、というらしいですが、初めて知りました。これが本名なのでしょうか?
亀海や小原よりも強いのでは、と思う強打者ですが、ついにタイトルマッチの舞台に立ちます。
亀海の欠場は残念ですが、パッキャオ以外に、ウェルターで世界タイトルを獲った
東洋の選手はいないはずですので、要注目の試合ですね。



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昨年9月の三週連続を含め、オンデマンドを加えると、
WOWOWの生中継は、回数がずいぶん増えた印象です。

WOWOWエキサイトマッチは、ボクシングファン以外の層にも
かなり視聴されているらしく、年末に出るマガジン増刊「パーフェクトガイド」も、
そういう視聴者層にけっこう売れるらしいです。

基本的に安定した人気を持ち、なおかつ支持が広がっているという状況故でしょうが、
それにしても、例えばモラレスvsバレラのような好カードが、一度も生中継されなかった頃を思うと、
だいぶ事情が変わってきているのかもしれません。

その一因として、やはりDAZNの存在もあるのかな、と思います。
先日はエロール・スペンスの試合をライブ配信しましたが、
来週のWOWOWに続き?その次の日曜、2月4日午前4時半から、またライブ配信の予定が出ています。

リオ五輪ヘビー級英国代表のローレンス・オコーリーvsアイザック・チェンバレンの一戦。
WBAコンチネンタル・クルーザー級王座決定戦です。
英国のクルーザー級、若手対決。勝った方がWBA下位に入るのでしょう。

この日は確か、トップランク興行、ESPN放送の試合、
ヒルベルト・ラミレス、ジェルウィン・アンカハスの防衛戦があるはずですが、
さすがにその放送はないようです。やっぱり欲張りすぎですね、それは(笑)

早朝ですから、見られない(=起きられない、寝てしまう)可能性もありますが、
見逃し配信もありますから、せっかくだし遅れてでも、見ようとは思います。


ちなみにDAZN、村田諒太のスポンサーにもなっているようです。
昨年の国技館では、パンフレットに広告が挟んでありました。
結局、国内のボクシングに関わるとしたら、窓口はそこから、なのでしょうか。
出来ればもう少し、業界全体でまとまった上で...以下同文、です、ハイ。



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セルゲイ・コバレフに連勝したのち、引退表明をしたアンドレ・ウォードですが、
今度はヘビー級進出を目指しているのでは、という話題です。

もし彼が、ヘビー級最強の王者と目される相手に挑むというなら、
勝算の有無やその是非とは別に、大いに称え、応援したい気持ちになるかもしれません。

かつてマイケル・スピンクスは、当時最強と目されたラリー・ホームズを、僅差とはいえ攻略し、
ロイ・ジョーンズは、残念ながら「穴王者」と言わざるを得ないジョン・ルイスに完勝しました。
どちらも体重の壁を乗り越えた勝利でしたが、私はやはり、見栄えが少々悪くとも、
スピンクスの勝利の方に、より大きな価値がある、と見る側です。

現状、ヘビー級はジョシュア、ワイルダーの2強で、どちらも相当手強いでしょう。
第三の王者パーカーはジョシュア戦が決まり、たぶん勝てないと思いますので、
ウォードが本当にヘビー級でタイトルを獲ろうというなら、スピンクスの再現を求められるわけです。

しかし、スピンクスやジョーンズよりも、ウォードはだいぶ小さく見えますけどね。
ライトヘビーでも小さい方かと思って見ていました。相当な困難だと思えますが...。



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米国を拠点に活動するライター、お二人による、尾川堅一にまつわる記事。

まず、三浦勝夫氏による情勢分析
そうであったら良いが...という感じですが、どうなりますか。

こちらは杉浦大介氏による、ファーマーへのインタビュー
そうなって然るべき、という考えを率直に語り、余計なことは全て切り捨てている印象です。

裁定はまだ先ですが、それぞれに興味深い部分あり、です。



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ボクシング漫画の主人公の進退が、記事になるんですから、
「はじめの一歩」って、やっぱり大したものですね。

作者がボクシングジムのオーナーだったり、この作品に触発されて
ボクサーを志した人が大勢いたり、近年のボクシングにとって、
非常に大きな価値をもつ作品であることは、誰もが認めるところでしょう。

私も以前、よく読んでいましたが、主人公が日本チャンピオンになって以降、
なんだか迷走気味というか、テーマを見失ってしまっているというか...
それ以前に、描かないといけない試合がいつまで経っても始まらないので、
そのうち読むのを止めてしまいました。もうずいぶん前の話ですが。

その後はちらほら聞くに、どうもようわからん展開になっていたらしく、
その末にとうとう主人公が引退すると。

まあ、読んでいないものをどうこう言えるわけもないですが...
筆の置き所、グローブを吊す時、いずれも正しく見つけるのは、難しいものなんでしょうね。





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さらなる挑戦への一歩、と見做せる試合か、否か 村田諒太、初防衛は欧州王者と

2018-01-24 18:53:38 | 関東ボクシング




ということで今頃ですが、村田諒太初防衛戦が発表されました。
4月15日横浜アリーナ、相手はイタリアのエマヌエーレ・ブランダムラ。
WBA10位、欧州王者とのことです。戦績は27勝(5KO)2敗。
マガジンの最新号で確認すると、WBA13位ですが、直近で上がったのでしょう。
他は、WBC9位、IBF7位。WBOはノーランク。


誰の思いも同じでしょうが、考え得る中で、かなり下の方から選んだなぁ、と、
思わず苦笑してしまいました。
まあ、大方こんなものだろう、と思ってはいましたが、
やはり心中、挑戦者の名前を聞いて「おお!」と思いたい、という気持ちもあり。


何も上位陣といきなり組め、とは言いませんし、実際組めもしないでしょうが、
組めそうな顔ぶれのうち、もう少し上の方と組めへんか、と言いたくもなります。
実際、元王者であるアッサン・エンダムに事実上、連勝して、その次なんだから...という。

しかし、村田を世界チャンピオンとして見ず、上位陣に食い込む前の
「セカンド・グループ」の一員として見るしかない現状、
それも日本開催である時点で、この辺になるのは当然なんでしょう。

IBFのランキング表を見ると、王者ゴロフキンの下、
デレビャンチェンコ、2位空位、ジェイコブス、チャーロ、カネロ、アンドレイドときて
その次に名前があるので、セカンドグループの中では上の方、という形ではあります。
ただ、試合映像見ると、戦績相応、実際はもっと下、としか言えませんが。

この次がベガスで、五輪決勝の相手ファルカンだという構想があるようですが、
せめてそのくらいのカードを今回、やってほしかったと思います。
これとて話題性先行のカードで、村田を世界王者として見るなら、不足ではありますが。



エンダムに勝ったリング上で「自分より強い王者」への挑戦を宣言した村田ですから、
タイトル獲得という「お題目」は、あくまで彼の周辺事情をひとまず満たすものに過ぎず、
村田諒太というボクサーの現状、立ち位置はそれとは別、違うもの、と認めた上で、
今後のキャリアを、真の頂点に挑む過程だ、という目で見ているこちらとしては、
残念ながら、改めて、歩幅の狭い一歩やなあ、と思ってしまいます。


もっとも、KO率の低さや年齢はともかく、欧州上位のイタリア人ミドル級というのは、
日本人のミドル級ボクサーにとり、充分、というべきかどうか迷いますが、
それなりに手強かったりするものでもありましょう。
村田が序盤から打ち込めればともかく、逃したり、絡まれたりしたら、
色々面倒な、難しい展開があったとて、驚きではないでしょう。

少しだけ映像を見ましたが、据わりの悪い、どたばたした印象で、
悪いことに揉み合いの多い選手でもあります。
勝ったとしても、見目鮮やかにはいかんかもしれんなぁ、とも思います。

しかし、この辺の相手に手こずっているようでは、この上、さらなる高み、
真の世界王者への挑戦など覚束ないでしょう。
快勝、完勝したとて、諸手を挙げて賞賛するわけにもいかないのでしょうが、
さりとて苦戦や、まして敗戦など許されないところに、村田諒太は来ています。

実質は挑戦者でありながら、肩書き上、王者としての責務も負う、
村田諒太の微妙な立場を、ある意味炙り出すような試合ですが、
さらなる挑戦に繋げる、着実な一歩だと、見終えて思える勝利を期待します。



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ちなみにその昔、輪島さんのときも、初防衛はイタリアやったなぁ、あれよりは強そうな...
と言ったところ、輪島ファンというか、ワジマ原理主義みたいな友人から
「あの頃は世界ランカーったら、AとC二団体で、ほぼ被ってたから、
一階級に12~13人くらいしかいなかったのです。値打ちが違うのです、値打ちが」と反論されました。

まあ、確かにそうかもしれませんが...そうかもしれませんが...(^^)



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横浜アリーナは以前、何度か行きましたが、最近は興行自体がないので、ご無沙汰です。
田舎から行く者には、新幹線停車駅から近いし、遠征観戦としては楽な部類なんですが、
正直、自分一人ででも行くで!という気合いは、どこからも沸いてきません。

アンダーに興味あるカードが組まれれば別ですが、今のところは、柄にもないですが、
TVで充分かな、と思っていたりします。

というか、よくこのカードで横アリ使おうなんて思うものですね。
横アリでやると先に聞いたとしたら、おお、どんなカード持ってくるんやろう?と
期待してしまうところですが、これですから。
この辺のちぐはぐさというのもまた、何だろうなぁ、と思うところですね。




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DAZN、SHOWTIMEの試合もライブ配信 エロール・スペンス完勝で初防衛

2018-01-21 16:11:33 | 海外ボクシング



ということで土曜日はG+、日曜はDAZNと、またも二日連続で生中継の週末。
簡単に感想を。


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土曜日は日本バンタム級タイトルマッチが中止となりましたが、
前座には注目の若手、千葉開と中谷潤人が登場するなど、割と見応えある興行でした。


しかしこの二人、結果は明暗を分けました。

千葉開はバンタム級の選手ですが、相手はOPBFのSバンタム10位とのこと。
比国のブライアン・ロベターニャは、バンタム級契約の試合ではあるが、
やはり体格で、少なくとも千葉に劣りはしていない様子。
この手のカードで、はっきり階級が違い、体格が劣る相手との試合というのは
残念ながらざらに見ますが、そういう甘いカードではありませんでした。

とはいえ3回までは千葉がはっきり優勢。冷静に外しては当て、無理もせず、という風。
ところが3回終盤、ほぼ垂直に振り下ろすロベターニャの右を食ってしまい、
4回、ダメージ甚大なまま打たれてダウン、TKO負けを喫しました。

特に油断とかは見えませんでしたが、体調面で何かあったのかも知れません。
攻撃は後から思えばやや不足気味だった、とも。



日本ユースのフライ級王者、中谷潤人は比国のジェロニル・ボレスを初回KO。
余裕で外して打ち込み、左ボディアッパーで沈めました。こちらは圧勝。

スーパーフライを超える体重での試合でしたが、将来的にはバンタムくらいまで
視野に入れた方がいいような体格ですし、着実に伸びたら楽しみな逸材ですね。
技巧派パンチャーとしての大成を期待します。



メインはチャールズ・ベラミーがタイのチャイラック・トーシラチャイという選手を
2回に右で倒し、担架送りに。
しかし初回終盤、タイ人のコンビネーションを立て続けにもらい、ピンチの場面があり、
見ていてちょっとびっくりしました。
別府優樹戦以来、一年ぶりの試合だったとのことで、勘が戻っていなかったのでしょうが、
ベテランの域に来てから、ウェルターに落としての試合ということも影響しているのかも。
日本の上位陣にとり、変わらず脅威ではありましょうが、今後に少し不安も感じる試合ぶりでした。



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日付変わって日本時間の午前10時から、DAZNの生中継。
メインはケル・ブルックを破ってIBF王者となったエロール・スペンスの初防衛戦。
相手は歴戦のラモント・ピーターソンですが、内容的にはほぼ完勝でした。

堅牢なピーターソンのガードを、右ジャブ、左ショートで叩き、右フックのボディ打ち。
このパターンを基本として、正面からぐいぐい打ち、攻めていく。
あれこれ派手なことはするでなく、多彩さはまだ見えないが、基本パターンをしっかり持つ、
「幹」の強さを感じさせる闘いぶりでした。


5回、スペンスのコンビが決まる。
右ジャブ2発、左ショートと続き、ピーターソンのガードが
僅かに真ん中に寄ったところへ、右フックから左フックと追撃。
懸命に防ぎ、反撃もしていたピーターソンだが、ついに打ち崩されダウン。

6回、7回と、攻められながら耐え、果敢に打ち返す場面も作った
ピーターソンだが、両瞼とも腫れ、視界が悪くなっていたからか、
ドクターチェックが入り、8回開始前にストップでした。


若い王者の初防衛戦にしては、きつい部類の挑戦者かもと思ってましたが、
終わってみれば圧勝でした。
ウェルターの対抗王者たち、またはテレンス・クロフォードとも充分伍して闘える、
というよりも、若さや将来性を加味すれば、本命に近い力量を持っているのではないか、とも。
ちょっと甘めですが、今後大いに楽しみな選手ですね。



ライト級のロバート・イースターは、体重超過のハビエル・フォルトゥナに判定勝ち。
序盤にラフ・ファイトで挑発され、ちょっとバランスを乱したまま闘ってしまった印象。
5回だったか、打って出て前にのめったところ、フォルトゥナに左を好打されるなど、
普段の試合ぶりとは、少し様子が違って、よろしくありませんでした。

判定は割れましたが、正直「どちらとも言えません」な感じ。
フォルトゥナの「やり口」に感心はしませんでしたが、それはそれ、として見れば。



ちなみにこの興行、PBC主催、SHOWTIME放送でした。
DAZNはHBOのみならず、SHOWTIMEの試合も配信しているのですね。
ろくに確認もせず、ええ加減なことを書いてしまいました。すみません m(_ _)m

しかし、以前は英国の試合もやってましたし、DAZNのボクシング中継は、
思っていた以上に回数があるようですね。
HBO、SHOWTIMEに加え、トップランクと契約し、充実したカード実現に
期待が集まるESPNの試合も配信されたら、言うことなしですが。

まあ、その場合、パッキャオなどの大物の試合は、WOWOWがやるのかも知れません。
その辺の兼ね合いがちょっと心配ですが。
海外サッカーなどは、局やリーグによっては、並行して放送しているようですね。
ボクシングは果たしてどうなっていくのでしょうか。


長年にわたり、世界のボクシングを「安定供給」してくれている、WOWOWと帝拳の功績は
多大なものがあり、ファンの一人として感謝しています。
しかし、ネットの普及による映像コンテンツビジネスの台頭により、
かつて地上波TVの海外ボクシング中継を、エキサイトマッチが「駆逐」したのと
同様のことがこれから起こるのかも知れませんね。

一番良いのは、双方の競争から、WOWOWも週末の生中継が増えて、
ボクシング中継の人気が高まり、その流れから国内のボクシングも取り扱われるようになり、
ファンが増加し、ボクシング界が盛り上がる、という形ですが、
まあなかなか、そんなめでたいことにはならんのでしょうね...(^^;)





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関西「唯一人」/SW新旧対決/引退色々/急病/またライブ配信/追記

2018-01-19 07:08:00 | 話題あれこれ


年明けから更新が滞っておりますが、あれこれ春先に向け試合も決まり、
海外試合の生中継も続くので、ぼちぼちその辺の話題などから。



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居並ぶ世界王者の中で、関西出身者は多いものの、関西をホームリングにする王者は
残念ながらただ一人、この山中竜也のみです。
長谷川が去り、井岡一翔が去り、拳四郎は関東で世界戦を行うのみ。
ちょっと寂しい話ではあります。

その山中竜也、初防衛戦は前王者、福原辰弥と接戦だったモイセス・カジェロス。
離れて捌ければ山中でしょうが、インファイトに巻き込まれずに済むとも思えず、
問題はその頻度をどれだけ抑えられるか、というところなのでしょうが...。

ちなみに会場は神戸のポートピアホテル。
あのゾラニ・テテが帝里木下と闘った会場です。
TV放送については記事では言及されていませんが、関西ローカルでも難しいのでしょうかね。



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村田諒太の活躍のみならず、ウェルターやミドル近辺、世界でいう「中量級」の
日本人ボクサーも、長いスパンで見れば、徐々にレベルアップしてきている、と
実感することも多いですが、スーパーウェルター国内トップの井上岳志と、
長らく国内上位を牽引してきた野中悠樹の、新旧対決が決まったとのことです。

昨年、豪州で敗れた野中は、さすがにそろそろ引退の時かと思っていましたが、
捲土重来を期して、もう一度勝負を賭けることになりました。
予想をすれば井上に傾くのは当然なれど、野中が大きく落ちているというのでなければ、
タイプ的に、相性は悪くない...というか、井上の側から見れば、
足の速い長身のサウスポーとの対戦というのは、ひとつの試練でもありましょう。

こういうカードは、どちらも黒星のない時期に組むべきだと、それだけはやや不満ですが、
記事にもあるように、互いに意義を見出せる試合であることも確かですね。



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年末年始にかけて、山中慎介の再起が正式に決まりましたが、
その他にも引退や再起や、とあれこれ話題がありました。

山中のネリー戦決定については、過去記事に書いたとおり、付け足すことはありません。

井岡の引退発表は、田口良一の試合のあと、TBSで放送されたそうで、
ネットでその記事を見たときは、さすがに呆れました。

そりゃ、いろいろご都合もありましょうが、あんな大試合のあった日に、いくらなんでも...。
さすがに馬鹿馬鹿しくて、録画は見ずに消しました。ようやりますね、ホンマに。



さて、引退と言えば石本康隆も、とのこと。
この人の試合はG+やWOWOWで何度も、直にも数回見てると思いますが、
誰とやってもただでは引き下がらない、見応えある試合ばかりでした。

直近の試合で勝っていながらの引退表明、驚きでしたが、
ボクサーとして存在し続ける自分自身に、厳格な態度で向き合ってきたからこそ、
こういう決断を下すことになったのでしょうね。

見目鮮やかな、才能に満ち溢れたボクサーではなかったかも知れませんが、
物静かな佇まいと、果敢な試合ぶりは、常に印象的なものでした。



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今年最初のG+は、野球がオフシーズンなので、当然生中継でしたが、
メインの日本バンタム級タイトルマッチが、飛んでしまいました

赤穂亮の試合キャンセルは、過去にも一度あり、今回は二度目ということですが、
やれ救急搬送だなんだと、物々しいお話です。
よくわからないというか、ファンの目には見えない部分ですが、
何かよほど、急激な、負担の大きい体重調整方法を採ってたりするんでしょうかね。

基本的には、興行事情よりも選手の体調が優先されてほしい、
過度に選手を責めるべき話ではない、と、一般論としては思いますが...。
もし、そういう普通の話とは違う何事かがあるのだとしたら、
赤穂個人のこの先のみならず、いろいろ心配なことですね。



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生中継と言えば、エロール・スペンス初防衛戦は、日曜にDAZNでライブ配信とのことです。
HBO放送のイベントは、全てかどうか不明ですが、かなりの頻度でDAZNが配信するようです。
もしかしたら、井上尚弥が出ない2月の Superfly2 も、なのでしょうか。

次の日曜、21日がDAZNで、翌週のリナレス、亀海出場の興行はWOWOWが生中継。
こちらはオンデマンドのみならず、プライムで放送だそうです。

今のところ、帝拳が噛んだり、大イベントだったりすればWOWOWが放送し、
それ以外のものをDAZNが配信する、という状況のようです。

けっしてWOWOW=帝拳が独占する、というわけでもなさそうで、
今後どういう風に棲み分けられていくのかどうか...今は過渡期なのでしょう。
トップランクと契約したESPNの興行も配信してくれたら嬉しいですが...
さすがにそれは、欲張りすぎでしょうか。

とりあえず日曜、楽しみに見ようと思っております(^^)




※亀海喜寛は肩の負傷のため、欠場とのことです。残念。


あと、今日になって、尾川堅一ドーピングテストで陽性反応、というニュース。

帝拳としては、使用薬品の申告漏れとかいう主張をしているらしいですが、
結果として薬物が検出された以上、その効果をもって試合をした、と見なすしかない。
ドーピングが禁止され、処分の対象となる理由は、その一点のはずです。

もっとも、ネリーがお咎め無しになり、その流れ?でルイス・オルティスも試合出場を許可される。
こういう異常なことがまかり通る、それがボクシングの世界でもあります。


試合の勝敗により、酷薄無情に運命が切り分けられる世界において、
こういう物事を根底から揺るがす話は、様々な不信感を呼び覚まさせる、嫌な話ですね。
そういう「嫌」なものをひとたびなりとも忘れ、そこから遠ざかりたいがために、人はボクシングを見る。
それなのに...というのは、もはや甘い感傷でしかないのでしょうかね。



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有意義な快勝か否か、答えは次戦に出る 拳四郎、格下を一蹴

2018-01-03 13:47:31 | 関東ボクシング




ということで先月30日、横浜文化体育館のセミ以下、簡単に。



セミ格の拳四郎vsヒルベルト・ペドロサは、柔軟性と技巧をもって
多くの日本人ボクサーを苦しめてきたパナマの選手。
しかし体つきもまだ未完成で、拳四郎よりさらに小さめに見える。
被っていた羽根飾りを取ると、ますますその印象が増しました。


初回、拳四郎見て立つ。ペドロサが手数で上回る。
2回、拳四郎、見るものはもう見た、という感じか、動き出す。
ジャブと足で捌きつつ、ボディブローも散らす。
3回も動いて外し、ワンツー、左右ボディ。

4回、左から右をヒット、ラッシュしたあと、力を溜めた左ボディ。
腰が落ちたペドロサに右二発、ダウン。
再開後、ボディにパンチを集めて、TKOでした。


拳四郎には、好機に出る決断をし、詰め切って仕留める力がある。
その力を初めて、世界戦で出せた試合となりました。

TVの実況は、今までに無い拳四郎、と言っていましたが、
日本や東洋の試合で、こういうシーンは何度もありました。
ガニガン・ロペスやペドロ・ゲバラといった世界上位との対戦を、
戴冠試合や初防衛で迎え、その力が出せなかっただけのことです。
この日の相手との差を考えれば、こういう勝ち方は充分ありえること、でした。


上位相手の苦闘のあと、ロペスとの再戦の前に、
下位相手とはいえ、期待通りに鮮やかな形で勝ったことは、
本人も周囲にとっても、気持ちの部分では大きいと思います。

しかし、悪いですけどのこの挑戦者、実力で言えば、
堀川謙一や大内淳雅あたりの方が上やなぁ、と思う選手でした。
もちろん拳四郎も成長し、強くなっているのでしょうが。

この勝利が、単にひとつKOが欲しい、という目的達成「のみ」に終わるか、
或いは今後のさらなる飛躍に向け、有意義な快勝だった、と言えるものになるか。
その答えは、次の試合、またはそれ以降に見えてくることでしょう。


と、若干辛めの印象でしたが、拳四郎の機動力、繊細に動いて間合いを作り、
多彩で精度の高い左リードを軸に、展開を回していく質の高さは、
この試合でも充分出ていました。
左で探り、作り、崩した上での右や、ボディブローには見た目以上の威力もあります。

そして、単に巧いだけでなく、好機には相手が倒れる寸前まで打ち続けるという、
強烈な打倒の意志、さらにいうなら「殺傷本能」を持ってもいます。


勝利者コールにダブルピースを決めたり、とにかく傍目にはすっぽ抜けが過ぎるというか、
見ていて、何とも言えない気持ちになってしまうキャラクターではありますが、
そのボクサーとしての内実は、見た目以上に鋭利で、獰猛です。


翌日の田口良一統一王者、という大仕事と比べると、過大に評価は出来ない勝利とはいえ、
その実力は、田中恒成に代わり、田口の新ライバルと言っていいでしょう。
互いに指名試合クリアなどが前提とはいえ、今年の年末あたり、どうかなあ、と期待もしてしまいますね。



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前座では要注目の好カード、井上拓真vs益田健太郎戦も行われました。

序盤は、井上拓真が好スタート。スピードの差を見せつける。
多彩な左、右から返し、左右アッパーの連打でリード。
4回、益田右を当て、突進するがいなされる。井上またアッパー決める。

ここまでは井上の動きや反応の速さが際立ち、益田は「ついていけない」風。
届かず、前にのめり、という繰り返しで、こんなに違うか、と驚いていました。

しかし5回あたりから風向きが変わり、益田が右を当てて出る。
6回、益田右ダブル、井上足の動きが乏しくなり、距離が近づく。

7回井上が立て直そうとし、益田が迫る。8回バッティングで益田が切り、
9回ドクターチェック二度。そこまでの出血か、遠目には不明。
最後は益田が圧すが、井上が捌いて、判定へ。

さうぽん採点は6対4で井上、となっていましたが、
前半の好スタートからすれば、若干物足りないという印象でした。


これで再起後、久高寛之に続き、ベテランの強敵を破った井上拓真は、
その相手や試合内容からして、日本バンタム級チャンピオン並の「仕事」をしています。
ただ、全体的に質が高く、安定していますが、同時に爆発力には欠け、
相手の粘りを断ち切る鋭さも、今後は求めたいところですね。


世界世界というばかりでなく、赤穂亮やMJヤップに挑むとか、そういう試合を経た上で、
じっくり構えてチャンスを待つのが良いかな、と思います。
そうして成長を促し、期待するに足る選手だ、とも思いますので。




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ロンドン五輪銅メダリスト、清水聡はエドワード・マンシートに7回TKO勝ちでした。

初回、右フックを決めてダウンを奪うが、その後は頭を下げて出るマンシートを
なかなか仕留められない。

下向いて出てくる相手の側頭部や耳のあたりに、上手くパンチを当てているが、
マンシートは打たれながらも、一番きつい左アッパーのレバーパンチだけは防ぎつつ粘る。
清水は徐々に動きが硬く、重くなりだすが、5回に二度、7回に一度、右フックで倒し、詰めてTKOでした。

試合展開が今ひとつで、前の試合に続いて、アタマから来る相手に苦闘でしたが、
試合後のインタビューでは笑いを取り、何とか挽回?を図っていました。

一発の重さ、当てる巧さ、相手の体の回転を見て、良いタイミングで当てるところなど、
相変わらず普通の選手にはない力を見せた反面、
徐々に重く、硬くなっていく動きや、変化のつけられない試合運びなどは、
アマチュアの長い名選手の、悪い方の面が出ているな、とも思いました。


それと、相手選びですが...この手の選手とやらしてもあまり意味が無いなというか。
どうしたって少なめの試合数で、上位とやっていくことになるのでしょうから、
こんな「アタマさん」との試合、やってもしょうがないような気もします。

国内なら阿部麗也、東洋ならマグサヨが強敵でしょうが、
そういうのを避けて通るとしたら、どういう「ヤマ」を作って、いざ世界へ、という話を作れるか。
ひょっとしたらWBOアジアとの対戦、なんていうのがそれに相当するのでしょうか。

これから相手が強くなり、或いは粘ってくるとして、これまでとはひとつ違う難しさに、
そろそろ直面することが増えてくるでしょう。
清水聡、今年はひとつの正念場なのかもしれません。



スーパーライト級の井上浩樹は、韓国のキム・ドンヒを4回TKO。
スピード、切れ味抜群のサウスポー井上、左ストレート、右フックを決めリード。
3回、左ボディストレートで倒し、4回、ボディで倒した後、右フックでばっさり。

キムは先日、めでたく5つめの国内コミッションが発足した、という韓国の
「KBF」韓国スーパーライト級チャンピオン、とコールされていましたが、
果たしてこれが何番目のコミッションなのかは知らず、そんなに悪い選手でもありませんでした。
しかし井上、ほぼ寄せ付けず、と言っていい内容での勝利でした。

大橋ジムは、最近途切れることなく好選手が出てきますが、この井上浩樹もまた、
今年、要注目のホープと言えるでしょうね。

デビュー戦から、井上尚弥の前座などで何度も見ていますが、
そのうち後楽園ホールのメインイベンターとして、何らかのタイトルに挑むことになるのでしょう。
その相手が岡田博喜であったらば、それこそまた、馬鹿をやる羽目になるかもしれません。
是非、そうであってほしいと願いますが、はてさて...。



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質の差縮め、量では圧倒 木村翔、元WBC王者五十嵐をTKO

2018-01-02 15:56:41 | 関東ボクシング



二日間連続観戦で、世界とつくタイトルマッチを5試合見たので、
どんどん感想文を書いていきます...忘れないうちに(笑)

そういうことでとりあえず大晦日、大田区の方から。



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中国でゾウ・シミンを倒しての戴冠、日本より中国で有名、
王座獲得後も、初防衛戦までは配達のバイト、家賃5万ワンルーム住まい...
いかにもTV局、それもTBSが好んで取り上げそうな横顔の王者、木村翔に挑むは、
妻子に再起を誓う、崖っぷちの元王者、というこれまたTV局好みの?五十嵐俊幸でした。

カードとしては、五十嵐が日本王者を争奪していた頃にやった試合のいくつかと、
果たしてどちらがグレードとして上なのかなと、試合前には思ったりもしました。

しかし木村が王者として自信をつけ、密度の濃い練習をその上に積み上げる、という
上昇期のサイクルのまっただ中にある、それが如実に見える試合になりました。



序盤から木村が積極的に攻め、五十嵐は左ヒットも単発。
両者疲れもダメージもない段階では、五十嵐の質の高さも見えるが、いかんせん数が乏しい。
2回も右ジャブと足で捌くが、木村の攻める印象が強いか。

3回、懸念していた負傷が起こる。五十嵐左目上カット。
五十嵐は古傷を持ち、木村は試合が進むにつれて、体が前にのめる選手。
それがサウスポーとオーソドックスで対するのだから...と心配していました。

しかしこれは木村のヒットによるもの。
五十嵐は足と右で捌くか、左でインサイドを打って攻め込むか、どちらかに徹することなく、
中途半端に見えましたが、その傾向がこの負傷で強まった印象でした。

五十嵐は基本、もっと木村から遠ざかって動くべきかと思いましたが、そうならず。
4回以降、さらに木村の攻勢、ヒットが支配していく。五十嵐が遠いときはミスもあるが。
五十嵐はジャブが良いが、続かず。

6回は五十嵐も左を当てるが、手数では木村。五十嵐にすれば取りたい回。
この回また五十嵐、右目上カット。これはバッティング。
これで五十嵐、いよいよ動きが乏しくなり、木村がさらに攻め込んでくる。

7回木村もカットがあるが、右から左の返しを決めて攻める。
8回木村の左フックが決まり、9回猛攻、コーナーで乱打してTKOとなりました。



「質」と「量」で言うなら、散発的には五十嵐が質の高さを見せるも、
木村の質も、以前見た試合より高まっていた、そんな印象でした。
さすれば量の比較ですが、これはもう圧倒的に木村。
そこで勝負が決まった、という試合でした。


木村は自分の持ち味を出して攻め続け、五十嵐が遠いときはミスもありましたが、
徐々に近づき、好打を重ねて、最後は捉えました。
もしこの両者が、数年前に後楽園ホールで闘っていれば、
果たしてこのような試合になったかどうか、と思うと、
木村の現状は、驚異の大躍進、というべきでしょう。

率直に言って、その試合ぶりは、まだ攻撃面での良さだけが見えるもので、
世界上位のボクサーとして、今後違う展開を強いられたときにどうなのか、
という疑問は残っています。
ゾウとの再戦、転級してきた田中恒成ほか、上位陣との対戦において、
そのあたりはシビアに問われるだろうと思います。


しかし、1位挑戦者としての現状に不足あれど、元WBC王者のサウスポーを
初防衛戦から攻め落とした試合ぶりは、観客にもTV視聴者にも印象的なものだったでしょう。
強豪がまとめて去り、ひとつの転換期にあるフライ級において、
今後さらなる成長があれば、台風の目にもなりうるファイターかもしれません。

闘志、スタミナ、手数が相まって、積極果敢に攻め続け、好機を逃さぬ試合ぶりは
今後、思う以上に注目され、人気が出る可能性もあるでしょうね。



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TVの生中継前に行われた、京口紘人vsカルロス・ブイトラゴは、
そんなに悪い試合でもないのに、なぜか場内があまり沸かないのが不思議でした。

序盤から京口が出る。ブイトラゴはあまり動かず防ぎ、微妙に芯を外して返す、という流れ。
初回左ダブル、2回はトリプルと京口が左のコンビを押し立てて出る。
ブイトラゴ、リターンを当てるが押し込まれ、少しずつ下がる。

京口は意欲的に攻め手を繰り出す。
3回ダイレクトの右。左ボディを効かせるが、右はミス。
4回ワンツー、右フックから左ボディ。

ブイトラゴは5回、京口に攻められながら左右フックを好打。
京口、休みなく攻めようとするが、微妙に外され、仕留められない。


というより、最初から探り、崩しを半ば省略したような攻め口で、
仕留めにかかっていること自体に無理がある。
一打のハードヒッターというより、それこそ辰吉丈一郎同様の、
コンビネーションパンチャーなのだから...と、この段階で少し不安も。


しかし6回、たぶんセコンドが言ったのでしょうが、目に見えて左ジャブが増える。
無理な突っ込みがなくなり、リズムが出て、後続打が出る。
右フック、右アッパー、連打で攻め込む。ブイトラゴ外しきれず、押される。

7回京口左ボディ、ブイトラゴ両手を挙げてノーダメージをアピール。
しかしこういうときは大抵...ということで、京口さらに出る。
上下にパンチを散らし、対角線のコンビも。ブイトラゴ懸命にしのぐが、
8回、反撃もかなわず、TKOとなりました。



なんか、見ていて、いろいろ見所ありというか、京口が若者らしく攻め立て、
世界上位に長いブイトラゴがそれをきわどく外して返す、という攻防は
悪いものではけっして無かったと思うんですが、場内いまいち盛り上がっていませんでした。

メインとの比較は酷なれど、セミと比べてグレードの劣る試合ではなかったのですが。
この試合だけ切り取って、別日にホールへ持ってったら良かったのに、なんて思ったりも。


何にせよ、京口紘人は、かつて辰吉丈一郎が敗れ、名城信男がけっこう苦戦した
「9戦目での初防衛」という難関に、果敢に挑んで突破したわけです。
序盤から積極的に攻め、それが難しくなったら、ジャブから仕切り直して、
悪くなりつつあった展開を変えたあたり、並の若手ボクサーとはひと味違う、と思います。

しかしそこまでの途上では、まだまだ経験不足やなあ、と見えたのも事実です。
だからこそ、爆発的なものはないにせよ、世界上位のベテラン、技巧派のブイトラゴと、
9戦目で闘って、勝った上で、今後に向けての反省も出来る、というのは、
非常に良いキャリアとして積み重なった、有意義な一戦でした。



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この日の前座は、和氣慎吾を筆頭に、谷口将隆、松本晋太郎といったメインクラスが
続々登場、揃ってタイ人を倒しました。
試合としては、特に語るところもないですが、知った選手が見られる、というのは
アンダーカードとしては悪くはなし。

和氣は「来年の大晦日は自分が世界戦を」と意欲を語っていました。
たぶん、TBSや陣営としては、今回ダニエル・ローマンに挑ませたかったのでしょうが、
まあその辺は仕方ないとして、本人の言どおり「来年(もう今年です)の大晦日」を目指すなら、
そこに至る過程が大事かなと。

松本亮はひとまず置かざるをえないとして、同級には間の良いことに?
大竹秀典や大森将平といった「TBS系」のボクサーがいるわけです。
次の大晦日、世界戦に辿り着くのはどっちだ!とかいって、盛り上がれるカードを
是非とも組んでもらいたいものです。ていうか、組むべき、です。

年末世界戦ラッシュは、日程集中のしわ寄せなど、多々問題がありはしますが、
その年末、大晦日を目指して、その課程をさらに楽しめるような流れがあれば、
ファンとしては、問題点にも目を瞑れようというものですしね。



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精度が上がり、変わらず果敢、そして冷静 田口良一、メリンド下し統一王者に

2018-01-01 01:23:31 | 関東ボクシング



もう、昨夜、そして昨年になりますが、大田区総合体育館にて観戦してきました。
とりあえずメインの観戦記を、いつも拙いブログに広いお心でお付き合いくださった皆様への
新年の挨拶に代えさせていただきます。



ということで田口良一、IBF王者ミラン・メリンドを3-0判定で下し、
保持するWBA王座と合わせ、二つ目のタイトルを獲得しました。


以前、簡単に予想めいたことを書いたときには、普通なら不利、
しかし勝機はきっとある、と思っていました。
ただ、その内容が、想像していたのとは、少し違っていた。そんな試合でした。



初回は両者、正対してジャブの応酬。追撃の手は互いにまだ控えめ。
しかし巧者メリンドが、最後の10秒くらいで連打を出し、ラウンドを「まとめ」にかかる。
どっちか迷う回を、あっさり取ってしまう、いかにも手練れ、という感じでした。

ところが田口は、2回以降、ラウンド終了間際の攻防を、ほとんどメリンドに譲りませんでした。
自分が出るか、相手が来てもしっかり集中して外すか。そのあたりは、明確な意図が見えました。


2回、メリンドは後退しながらカウンターを狙う。これが彼の本来の型か。
ところが、その後退で距離が出来たところを、田口が遠くからジャブで捉える。

このロングでの精度の高さは、今まであまり見ていないような気が。
しかもジャブを「多用」と表現すべきなくらい、数を出す。

このレベルのボクサーが、これだけ左を出せば、当てれば、当然追撃にも繋がり、
ワンツー、右フック、左ボディフックなどが出て、ポイント連取。


4回にはメリンドが迎撃を止めて、踏ん張って出る構えになるが、
田口がダッキングとバックステップで体を逃しつつ打つ右フックを食う。

メリンド、このあたりから中盤にかけ、少し迷いが見られました。
5回は左フックを当てて出る。6回はボディに的を定めたかに見えましたが、
この回終盤、打ち合いで田口に対角線の上下コンビを打たれ、7回はまた足を使いだす。
ところがそれをまた田口に長いジャブで追われ...という具合。


微妙な回もあり、競っているかなと見えた中盤まででしたが、
8回に田口がまたジャブを多用。
ボクシングの会場で、よく「左から、左から!」と声が飛びますが、
その声どおり、いや、それ以上に左が良く出て、精度も高い。

見ていて驚き、そして感心しました。
以前から、その鬼気迫る闘いぶりに畏敬の念を持っていたボクサーですが、
それにしてもあれこれ無理をし、相手の力をほぼ全部受け止めて闘っている。
あの体格を生かし、遠くから打てるジャブがあれば、だいぶ違うのに...
というようなことを思い、書いた記憶があります。


眼前で闘っている田口良一は、その「だいぶ違う」姿、そのものでした。
終盤、その彼に、ミラン・メリンドが苦しめられる展開が続くことになりました。

田口のジャブ、右から左ボディのコンビ、ワンツーが8回に決まる。
9回メリンド奮起するが、両者とも、疲労の色を隠せない10回、田口が右ヒット。
メリンドをロープに追い、追撃。左右上下のヒットが重なり、場内大歓声。
11回、ラストに攻め込み、最終回もラッシュ。

ドクターチェックやバッティングも多い、若干荒いほうの試合でしたが、
田口の左の精度が、メリンドを迷わせ、苦しめての、クリアな勝利でした。
さうぽん採点は、メ田田田 メメ田田 メ田田田 というところで、8対4。
公式採点も同じか、9対3になっていました。



内山高志引退を受けて、年末世界戦ラッシュの「トリ」を務めた田口でしたが、
その果敢さ、頑健さのみならず、技術面での成長、そして冷静さが光りました。

もちろん楽ではなく、メリンドのカウンター、ボディ攻撃に苦しみもしましたが、
自分の体格を生かしたロングでの精度が上がったジャブ、打った後の逃しが巧い右、
毎回終盤を取られないように意図し、集中した闘いぶりなどなどが相まって、
「勝てたとしても、また壮絶な内容の末、僅差で競り勝つのだろう」という
こちらの勝手な思い込みを、ほぼ完全に打ち砕かれました。


田口良一については、世界王者としての技量力量にはまだ疑問が...と
再三これまで書いてきましたが、今回はもう、素直に脱帽するしかありません。
7度防衛、IBFも獲得、という結果以上に、その内容が、想像を超えて良かったです。



場内は、セミ格の木村翔vs五十嵐俊幸戦を見終えて、そこそこの数の観客が
会場を去る光景が見られ、ちょっとがっかりでした。
中にはメイン開始が9時15分では、帰宅が遅くなりすぎるという方もおられたのでしょうが、
それにしても、二人のタイトルホルダー同士の激突なのだし...と。

しかし、終わってみれば、見逃して損、というべき試合になりました。
TVの視聴率なども、例えば昨年までの井岡一翔メインの試合などと比べると
劣る数字が出るのかもしれませんが、ひとまず、それはそれ、これはこれ、でしょう。

果敢に、時には「鬼気迫る」ほど、愚直な闘いを見せてきた田口良一というボクサーが、
その歴戦の、激戦の果てに、さらに成長し、完全とは言えないまでも成熟し、
強敵ミラン・メリンドを下し、二本のベルトを手に入れた。
ボクシングファンとして、素直に素晴らしい、と言える試合だったと思います。


一昨日の井上尚弥、昨日の田口、かつて拳を交えた両者は、階級こそ違えど、
今や日本ボクシング界のメインキャストとして、それぞれに健闘を続けています。
ボクシングファンとして、心から誇りに思える両雄に、改めて拍手を送りたいです。



年末、無茶をやって連日観戦を敢行しましたが、終わってみればなかなか良い決断でした。
今年も、変わらずこんな調子で、喜んだり嘆いたり、の繰り返しになるのでしょうが、
少なくとも年を超えたばかりの今は、非常に機嫌の良い状態にあります(笑)。
本当に、良い年越しとなりました!




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