ということで、あれこれ試合決定の合間を縫って話題あれこれ。
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シーサケット・ソールンビサイ、凱旋。
代替わりした国王ではなく、首相を表敬訪問。一躍国家的ヒーローに、とのこと。
試合内容は、採点の是非はさておき、大舞台で自分の力を出し切った、といえるものでした。
やることはけっこう荒い、きつい、えぐい、と思うところもあったりしますが。
次は再戦という情勢のようですが、米国で活動していく意向のようだ、とのこと。
契約関係や再戦条項やらが絡んだ話かもしれませんが、それでも感心せざるを得ません。
仮に、日本の選手が同じことやったら、次はどうでも日本で、という一心で、
それこそ選手本人の得べかりし利益を削ってまで、あれこれ無理をすることでしょう。
もちろん、一部に例外がないこともないでしょうが。
あのナショナリズムというのを通り越した、様々な壁、異様にぐるり取り囲まれた...
と常日頃見て、時に見下げてもいたタイから、こんな選手が(突発的にせよ)出たというのに、
翻って我が国のボクシング界は...相も変わらず以下略、ですね。
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さて、今年一発目の会場生観戦は、あれこれとあって4月にずれ込んでしまいます。
2日の府立地下は、拳四朗vs久田哲也の京阪ダービー!
盛り上がっていくで~!と思っていたら、つい先日、拳四朗が王座返上。
ぎりぎりまで引きつけての一打で、驚くやら悲しいやら。
ことの是非はまあ、今後の推移を見るしかないですが、その代わりにというか、
当然、久田はチャンピオンカーニバルの一環における、空位決定戦に出場。
で、相手は誰かと思えば、なんと堀川謙一が名乗りを上げました。
もちろん、傍目に思うほど単純な話ではないでしょうが、
過去二度、堀川に敗れ、日本王座挑戦への道を断たれている久田にしてみれば、
拳四朗挑戦が流れた空白を埋めるに余りある、宿敵との対決ではないでしょうか。
ファンとしては、思わぬ形で実現した三度目の対戦。
片方が二勝している以上、本来なら、滅多にありえない対決です。
これは何とか、会場に行かねばならんと思っております。
日程的にはそうとう厳しいですが、それでもなんとか...と。
どうでもいいけど、これまた京都、大阪の対決ですね。
最近は京都勢の健闘が目立ちますが、その一環ですね、これも。
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BoxingRaiseの動画配信において、関西バンタム級の若手ホープふたりの試合が見られました。
一人目はWBCユース王者、痩身、長身、美男のボクサータイプ、丸田陽七太。
インドネシアのハムソン・タイガー・ラマンダウを6回にKO。
デビュー5連勝、4つめのKOを決めました。
初回から、長くて強い丸田のジャブが目につく。これが上にも、ボディにも突き刺さる。
続いて右のストレートが来て、小柄なラマンダウは遠い位置に貼り付け。
しかし2回、闘志を見せるラマンダウ、強引に左右を強振して攻め込んでくる。
数発ヒットを取り、さらに追撃。
丸田は少し打たれたのち、思い直したかのように距離を取る。
ラマンダウも散発的に攻めるが、丸田はジャブで突き放し、右。
左ボディーフック、左右アッパーをびしびし決め、距離はジャブで維持。
着実に攻めていく。3回以降はワンサイド。
6回、鼻血も痛々しいながら、頑張っていたラマンダウだが、
ジャブから右、左ボディー、最後にまた右を食い、さすがに戦意喪失、ダウン。
そのままKOとなりました。
デビュー戦の世界ランカー相手がどう、ユース王座がどう、という括りを抜きにして、
ここまで見てきた感想では、新人王戦に出ない、世に言う「独自路線」の選手としては
考え得る中で、割と厳しい部類の対戦相手を選択しているな、と見えます。
バンタムとしては図抜けた長身とリーチを持ち、それを存分に生かした、
ストレートパンチ中心のボクシングのみならず、遠くからボディも打てるし、
インファイトになっても、よりインサイドから打てるので、至近距離に長居しない限りは打ち負けない。
デビュー5戦の時点で、全日本新人王を獲得し、上位に勝ち残った選手と同等か、それ以上か、
その時々の比較対象にもよりましょうが、そのあたりの実力は、充分示している、と言えそうです。
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そしてもう一人、BoxingRaiseの動画配信で見たのが、一昨年の全日本新人王決勝で、
サウスポー武田航に敗れたのち、連勝を続けている姫路木下のボクサーファイター、清瀬天太です。
こちらは真正ジムの東泰誠と対戦。7勝9敗1分と、負け越しレコードですが、
戦績以上に良い選手で、きびきびした動きと連打が持ち味のサウスポー。
初回から清瀬が良い踏み込みで、右ストレートからリード。
この回終了直前、右を決めて追撃。
東は正対して連打で対抗するが、清瀬は左も多彩に繰り出す。
左フック、アッパー、ボディ打ちも出て、東はサイドに出られない。
東は左アッパーを返すが、コンビネーションに繋げられず。
清瀬は4回から左ボディーから右を返す攻撃。
5回、優勢ののち、6回に連打で攻めたところで、レフェリーが止めました。
こちらも武田戦後は5連勝。新人王西軍代表決定戦で、名古屋のホープ水野卓哉を
僅差で下した星が光りますが、その後も着実に伸びていると見ます。
派手さはないが安定していて、攻撃も多彩さが見え、パンチ力がついてきたようにも。
さて、丸田と清瀬の両者は、独自路線と新人王戦経由という、違う路線でデビューしてきましたが、
この辺で一度、若手同士の好カードとして、対戦を見てみたいなぁ、と思ったりもします。
たまたま近い日程で試合があり、動画配信を続けて見たから、というだけではなく、
順調にキャリアを重ねている途上、しかし日本や東洋や、というタイトルにはまだ少し遠い、
位置づけとしては似通っているような気もします。良い組み合わせじゃないかなぁと。
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で、何故そんなことを思うかという、もう一つの理由がこの記事です。
日本ユース、初代王座決定トーナメント開催、とのこと。
最近、WBOアジアや、WBAも新しいの作るやの、日本国内でもユースやのと
あれこれ新規のタイトル設立が話題になっています。
ご多分に漏れず私も「何ソレ」と思っていたのですが、この発表されたカードを見て
「アレ、意外と...」と思ってしまいました。
いろいろな「余計」を取っ払って見れば、出場選手やカード自体は、けっこう目を引くというか。
新人王や、その上位進出者、素質や実力故にマッチメイクに苦労しそうな?
地方のジムの若手選手なんかが名を連ねている。
これらの若手同士が、直接対戦する場としての「日本ユース」タイトルには、
それなりに存在意義があったりするのかも知れないな、と。
もちろん「日本」と称するタイトルを、安易に増やすのはどうかと思います。
かつてのA級、ないしはB級トーナメントのようなもの、
つまり「ユース・トーナメント」として、若手選手同士の好カードが実現すれば、
それが一番良いのかもしれません。
しかしあのような大会も、様々な事情があってか、今は「最強後楽園」として残るものの、
残念ながら規模としては縮小の一途です。
承服しがたいものはあるものの、若手選手の出場資格などが明確になり、
より公正に、開かれた大会になりうるのであれば、タイトル新設、その運営も、
ひとつの方法としては、あっていいのではないか、と。
ファンの要望としては、ユースのランキングを作るのか、そうでないなら従来の日本ランキングから、
選びうる最上位の挑戦者との対戦を常に義務づける、くらいの縛りが欲しいところです。
現実味のある話で無いことは承知ですが。
さて、出場選手の顔ぶれですが、知っている限りでも、目を引く名前が多いですね。
ユーリ阿久井など、試合枯れが他人事ながら心配だったのですが、来月16日、
地元岡山での自主興行のあと、こうした試合に出られるのは、素晴らしいことですね。
バンタムの武田航も、先日再起した試合をG+で見ましたが、闘志を全面に出す風に変わっていました。
ここに上記の丸田、清瀬らが絡んできたら、好カードになると思います。
Sバンタムは水野卓哉に注目ですね。攻撃には上位を狙えるだけの威力が、すでにあります。
他にもあれこれありますが、Sライトでは、広島にいた池田竜司が、昨年の全日本新人王、吉開と対戦。
共に全日本新人王で輝いた選手同士です。
こういうカードが次々と実現するなら、改めて、タイトル認可でなくトーナメント大会が良いとは思いますが、
日本ユースにも、一定以上の存在意義があるかもしれない、と思います。
例えば、スーパーフライ級の若き強打者、梶颯なんかも、帝拳という大手ジムにありながら、
その強さ故、マッチメイクに困っているのか、最新の試合は、何とも表現しようのないタイ人が相手でした。
ああいう選手のキャリア構築を助けるための機能として、ユースの試合、という発想は、
それなりに意味があるのではないか、と。
実際に見てみると、色々問題も出てくるはずですが、それでも今回の記事を見て、
単純に「面白そう」と思ったのも確かです。
良い形で運営され、好カードが恒常的に実現されるように期待します。