さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

追い求めるものはまだ、この先に? 田中恒成、宿敵田口良一に判定勝ち

2019-03-16 18:31:27 | 中部ボクシング



ということで今日は、岐阜の会場には行かず、TV観戦となりました。
いろいろあって自重しましたが、前回までのように、関西でTV中継がなかったら、
無理してでも行かねば後悔していた、と思う、「またしても」な試合でした。
簡単に感想文です。


想像ですが、立ち上がり、田口良一はもっと攻めて、先制をしたかったのだと思います。
右ロングが一発、ヒットしましたが、あのようなパンチで先手を取り、
突き放しつつ押し込む、という、よく考えたら理にかなっているのかどうかわからない、
いつも通りの攻め口で、田中恒成を捉えたかったのだろうと。


しかし、田中恒成は、もっと動いて外せるはずなのに、やや止まり加減の対応。
速い左を突き刺し、上下の連打で打ち合い、正確さでははっきりとまさりました。

この辺の出方は、やはりというか予想通りというか。
前回の木村翔戦と同じく、理よりも情を優先した闘い方の選択、と見えました。
田中恒成はまたしても、単なる勝利以上の何事かを求めて闘うのだな、と。


対する田口は右アッパーを多く出し、連打で攻めていく。
3回早々、そのパンチに目が行っていた?田中の左ガードを、外から巻くように打った
田口の右フックが、田中の耳のあたり?に入り、田中が腰を落とす。
ダウンはしませんでしたが、これをきっかけに田口がさらに攻め込むかと見えました。

しかしここからの回復が、見たとおり早々になされたのか、見た以上に時間がかかったのを
田中が上手くごまかしたのかは不明ですが、田中が立て直し、逆襲。
速く多彩な左を繰り出し、速い連打に左ボディを組み込む。

田口はボディを攻められ、見るからに失速。表情も苦しそうに見え、自分からのクリンチも。
過去の多くの試合で、自分がやっていたことを、逆にやられた格好。
井上尚弥でも、田口相手にここまで攻め、痛めつけることが出来たかどうか、という感じでした。


5回あたりまで、打ち合いの展開ではあるが、正確さと威力で田中が圧倒。
しかし田口が倒れそうな感じもしない。却って心配なパターン。
このあたりで、これは青コーナー陣営に、厳しい決断が求められる試合になるか、とさえ思ったが、
終わってみれば、そういう局面に至る前に、ことごとく田口が粘って打ち返す、という繰り返しでした。

中盤も田中の右ストレートで田口の顔が跳ね上がり、左フック、右ストレートのボディブローが入り、
上下に速いコンビを打ち分け、という具合で、田中が優勢に進める。
田口は耐えて粘り打ち返すが、打ったあとに身体の軸を左右にずらしては、また打ってくる田中を
芯で捉えることは出来ず、ブレイクの後に下がり、足下が少し乱れ、足が揃いかけ、と
今までの試合ではあまり見た覚えのない、苦しい様子も。

しかし「その先」への展開、田中が倒しきる展開だけは、断じて許さない。
今までの試合のように、打たれても耐えて反撃するというのでなく、
明らかにボディを効かされた上で打ち負けているのに、それでもなお粘り抜く。
ほんまかいな、という感じ。その姿は、こちらの想像を超えた部分がありました。

9回は田口も右を二発ヒット。11回は田中が右クロス、左ボディを再三決める。
最終回は田中がさらに攻め込むが、田口が応じて打ち合い。粘り抜いて試合が終わりました。


採点は117-111×2、119-109の3-0。
私も似たようなものでした。3回、田口の右ヒットはあったが、振れるかどうか。
それ以外に田口に振れる回は、あったとしてもふたつまで、という印象でした。



双方、持てる力を出し切っての闘いだったと思います。
その点は、試合前からの想像、期待どおりの試合でしたし、
田中恒成と田口良一、それぞれの闘い方、試合展開、振る舞い、局面毎の選択肢もまた、
見ていて意外な感じはほとんどありませんでした。

そして、両者の実力差が、はっきり内容と結果で示されたのも事実だと思います。
心情的にはともかく、田中恒成の完勝としか言えない試合でした。
にもかかわらず、試合後、インタビュー前に打ち切られたTV中継の最後に映った、
田中恒成の表情は、喜びに満ちたものとは、とても言えない、険しいものに見えました。


試合後、彼が何を語ったかは、これを書いている時点では不明ですが、
出てくる言葉は、田口良一に敬意を表し、礼を尽くしたものであろう一方、
あの闘いぶり、敢えて効率性を半ば捨て、打ち勝って、その先の打倒を求めたであろう姿からして、
この試合、この勝利は、彼の心を完全に満足させるものではなかったのでしょう。

ジェイク・ラモッタや六車卓也もかくや、というべき闘志、タフネス、粘り強さを示した
田口良一を倒せなかったとて、明確な差をつけて打ち勝ったのだから、これは堂々たる勝利です。
誰にも異論なきことだと思います。

しかし、試合を見終えて思うのは、田中恒成の心が今、どのようなものなのだろうか、ということです。
運命、宿命、という言葉で語られ、飾られた一戦を終えて、彼は、自らの心が求めるものを、
今後の、どのような闘いにおいて掴み取るのだろうか。それがかなう日は来るのだろうか。
その闘いはまたしても、このような熱いものになるのか、なりうるのだろうか、と。



とにかく、またしても、見ている者の心を揺さぶり、熱くさせる試合でした。
それを闘ったふたりの戦士に、感謝と拍手を送りたいと思います。

うーん、やっぱり会場で見たかったなぁ...。



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フライ級での対戦は、誰にとっても幸いかもしれない 田中恒成、田口良一ついに激突!

2019-03-14 15:52:08 | 中部ボクシング



ということで、なんやかやと言うてる間に明後日です。
岐阜メモリアルセンターにおいて、田中恒成が田口良一と対戦します。

一度、ライトフライ級時代に、実際に組まれるはずだった試合が流れ、
田中が田口に謝罪した、という話は広く知られるところです。こちらの記事にも詳しいです
しかし田中がフライ級に転じ、ライトフライでWBA、IBFの二冠を失った田口も、
フライ級に上げて、今回の試合が実現する運びとなりました。

指名挑戦者としてWBO王座を獲得した田中ですから、初防衛は自由選択試合となり、
それこそランク10何位、安上がりかつ弱い相手を選んで、地元岐阜で凱旋試合、
というような流れになっていても、何の不思議もないところです。

ところが国内に、一階級下でダブルタイトルを持っていた元王者、
しかも「闘わざるライバル」としてのストーリーまである相手がいる。
当然、対戦せんでどうする、とファンが思う通りに、実際に対戦する。
珍しく、というか、田中恒成ならではの話の流れとも言えましょうか。
とにかく、田中恒成、田口良一、及び両陣営に、まずは感謝と拍手ですね。


以前からちょこちょこ書いていますが、フライ級転向初戦で、田中に挑むというのは、
田口良一にとってあまりに厳しい条件ではなかろうか、という見方もあります。
しかし、田口は格下相手の調整試合より、強い相手との闘いで光るタイプですし、
そもそもブドラー戦でも、序盤の立ち後れから追い上げ、最後はダウンも奪っています。
特に「勢い」が失われているかというと、そうでもないと見ていいでしょうし、
余計な試合を挟む必要もなかろう、とも。


勝敗については、予想しろと言われれば、田中有利かとは思います。
別個に「品評」すれば、スピード、テクニックの冴えで、
きっと多くが田中の方に、天性の輝きを見出すことでしょう。
その上、巧さや速さで相手を翻弄しつつ、時に理(利)を捨てて、
より明白に打ち勝ち、相手を打倒しようとする姿には、蠱惑的な魅力があります。

しかし、一見すると不器用に見える田口良一も、並の元タイトルホルダーの枠に
収まらない強み、怖さを秘めた選手です。
抜群の体格、強靱な心身、スロースターター気味ながら、追い上げの流れで見せる
並外れた執拗さ、長距離のジャブや、ボディ攻撃などは、過去に巧さや速さで
田口を上回る対戦相手を疲弊させ、打ち崩してきました。

そして、田口良一が、フライ級に転じて減量苦から解放され、
より良いコンディションでリングに上がってきたら、
明後日の試合において、普通に予想する以上に、こうした彼の強みが、怖さが
十全に発揮されるのではないか、と期待してしまいます。

かつては田中恒成も同様の状況にあり、そのセンスを生かせず苦闘していましたが、
フライ級に転じる過程において、見違えるような好調ぶりを見せたものです。
同様のことが、形を変えて田口良一に起こるとしたら、
両者の対戦が下の階級でなく、伝統階級たるフライ級で闘われることになって、
結果的に「良かった」と言えるように思います。

単に勝ち負け、有利不利の話ではありません。
メジャータイトルを複数、または階級をまたいで獲得する選手が
同時代にいて、せっかく対戦することになったのだから、
双方が持てる力を、かなう限り発揮する試合になってほしい。
その一点においては、誰の思いも同じだろう、というだけのことです。

そして、明後日の試合は、そうなる条件が十分に整った一戦ではないだろうか、と思います。
その上で出る内容と結果が、いかなるものになろうとも、
それ以前の話として、そういう試合の存在自体が、まずは喜びなのだ、と。


今回は、会場に足を運びはしませんが、ありがたいことに関西でも生中継があります。
やっと、こういう当たり前の話になってくれたこともまた、大いに喜びであります(^^)


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日曜日にはWOWOWが、エロール・スペンスvsマイキー・ガルシア戦を
オンデマンドでライブ配信します。こちらも楽しみですね(^^)

先日、DAZNでも会見の様子が配信されていましたが、ゴロフキンも「獲得」して、
カネロもゴロフキンも、他のあれこれも、けっこうな数の試合がDAZNにて、
日本時間の早朝や午前、正午頃にライブ配信されるようになって、
WOWOWエキサイトマッチの行く末や如何に、と思ったりもしましたが、
今のところ、負けじと?生中継やオンデマンドライブ配信を増やして対抗、という流れのようです。
我々視聴者にとっては、有り難い限りです。色々大変そうやなあ、と想像もしますが。


今月はスペンス、マイキー戦。
4月は13日(土曜ですね)、ロマチェンコvsクロラ。
21日(日曜)クロフォードvsアミール・カーン。
28日はWBSS準決勝、あちらの山のテテvsドネア。
これはDAZNかと思っていたらWOWOWです。この辺は色々複雑そう...。

そして5月は、なんと井上尚弥vsロドリゲスと、伊藤雅雪V2戦。こちらの記事にて。

今月はBoxingRaiseでも、27日に三代大訓、31日に小浦翼の試合がライブ配信されます。

4月6日の細川バレンタインvs井上浩樹も、G+で生中継されますし
(巨人はこの日、ビジター試合の模様)、春に向けて、色々楽しみが増えてきましたね。
もっとも、この試合は会場で見る予定ですので、TVはまあ、関係ないのですが...(^^;)


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ということで、一曲。
Hound Dog の ROCKS です。

曲自体はこちら。




ドキュメンタリー?風のビデオクリップ。
懐かしいなあ...。






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来春の楽しみ/こちらも来春?/すでに帰国/明日、ライブ配信あり

2018-11-09 21:42:44 | 中部ボクシング



当初、来春、岐阜で、選択試合という話だった、田中恒成のフライ級初防衛戦ですが、
条件からして、あまり良いカードにはならないのだろうなあ、と思っていたら、
来春、名古屋で、相手が田口良一とのこと。珍しく、良い方向に話が転んでいる模様です。

一度は実現に向けて、具体的に動いていながら、田中の負傷で流れた一戦ですが、
階級を上げて再起する田口にしても、早々に、単に王座挑戦というに留まらない
やりがいのあるカードでしょう。これは何とか、実現してもらいたいものですね。

で、その際は、TVの放送も中部のみなんてことはないように、どうかひとつ...。


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来年のチャンピオンカーニバルに向けて、指名挑戦者が各階級、揃いました

ライトフライは久田、堀川4度目の対戦が実現するか。
しかし、3度目ならラバーマッチですが、4度目は何ていうんでしょう?

フライ級、黒田vs中谷は、黒田の世界戦交渉次第ですね。見てみたいカードですが。

他にも見てみたい試合が並びますが、スーパーバンタム、和氣慎吾は王座返上ですね。
先日は、中川勇太とフェイスオフ?的なこともやってましたが、その後、情勢が変わったのでしょうか。

年末に世界戦かと思っていましたが、結局それはまとまらず、来春あたりに目処が立った、
という話なら良いですが、どうなりますやら。楽しみに待ちたいところです。


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関西のヒーロー、と言って良い活躍ぶりだったマーク・ジョン・ヤップですが、
先の井上拓真戦後、帰国、引退という話
です。
まあ、帰国は事実にせよ、引退かどうかはわかりません。
六島ジムとの契約が切れた、終わった、いずれかは事実としても。

ジム会長さんコメントにもあるとおり、井上拓真戦は、むろん相手が巧かったにせよ、
それ以前に、ヤップの方に覇気が感じられなかった、という印象を持ちました。
何が原因だったかは不明ですが...連勝中に色々語られていた夢が、
たったひとつの敗北を機に、ひとまず無に帰してしまったような形です。
ボクシングにおける、一勝一敗の意味の深さ、重さを感じさせられる話です。

実際のところなど、傍目に知れようはずもないですが、残念です。
また元気に復帰して、再来日して、日本の上位陣と渡り合ってほしい、と思いますが。

ところで空位決定戦は12月24日、住吉とのことです
マレーシアでKO勝ちのストロング小林祐樹、一皮むけたところが見られるか。
対する栗原慶太はまた、来阪しての試合なんですね。
また、栗原目当てに会場に足を運...びたいところなんですが、はてさて(困)


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良いことも悪いことも含め、DAZNのことばっかり書いてますが、
我らがBoxingRaiseは、月イチペースのライブ配信で頑張ってくれています。
明日、この興行がホールからライブ配信されます

今、日本のスーパーフライ級で、もっともアクティブに、強敵相手に闘っている点で、
トップと位置づけて問題なしと見る、WBOアジアパシフィック王者の船井龍一ですが、
明日はIBFの指名挑戦者決定戦に出ます。

元WBO1位ワレリト・パレナス戦に続いて、今度は現役の世界ランカー相手。
ただ、実力のほどは若干疑問も?という評判もあるようですね。
この辺は、実際動いてるとこ見てみんと、という感じですが...。
見た感じは小柄で、下の階級の選手だったらしいですが、初のメキシカンということもあり、
慣れない感じは多少あるかも知れません。

いずれにせよ、世界への大きなチャンスですから、落とせない試合ですね。
せっかくのライブ配信、ありがたく、楽しみに見ようと思います(^^)


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誇り高き天才が追い求めたもの 田中恒成三冠達成、木村翔を下す(動画追加)

2018-09-24 21:26:10 | 中部ボクシング




ということで、今日は名古屋にて観戦してきました。
WBOフライ級タイトルマッチ、木村翔vs田中恒成戦は、
事前の期待以上に、双方が持てる力を出し切った、大激戦となりました。

TV放送はCBC、つまり中部地域のみ。関西では完全に放送の見込みなし。
関東ローカルは当日、深夜録画...と思っていたら、二日遅れだとか。
なにこの「いらん子」扱いは、と嘆くのも、正直、諦めの方が勝っています。

そういうことなんで、簡単に経過から。
とはいえ、終始目まぐるしく攻防が展開され、非常に密度の濃い12ラウンズで、
毎度の通り、まとまらない上に長くなります。自分で書く前からわかっております。
どうかご了承を。


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初回、木村翔は両ガードを高く上げて構え、前進しようとするが、
田中恒成はあまり足を使わず、最初からパンチの交換に応じる。
左ジャブから、小さいフック気味、アッパー気味の左を交えて崩し、右クロス。
対する木村は、その前後に右から左フックの返しをヒット。ボディも攻める。

立ち上がりから、探り合いはほぼ無しで、いきなり「持ち手」を見せ合う。
こらまた、えらい試合に当たったぞ、という感じ。
もちろん、それを期待して見に来たわけではありますが。

初回、ポイントは迷ったが、ヒットは互いにあり、田中はジャブをよく当てていたが、
大きなパンチのヒットは木村か?
この辺は、スタンド席からなので、TVや見る場所によって、違うかも、と思うところです。


いきなり盛り上がった初回ですが、2回はそれ以上。
田中が速い左から右ヒット。木村返すがミス。田中ペースかと思いきや、木村右から左フック。
田中が少し下がる。しかし打ち合いで田中が左フックを合わせ、今後は木村がぐらつく。
田中追撃、ボディを攻める。木村も返す。田中の回。

序盤から、田中は左ボディを中心に、意識して木村のボディを攻めている印象。
長丁場になることを想定して、木村の粘る力を削ごうという狙いか。


3回、田中の左が多彩。ワンツー、コンパクトな右。木村左ダブル、ボディ連打。
田中のヒットが上回る。4回、田中左フックヒット、右も小さいのを当てる。

5回、木村手数を増やし、左右ボディ連打から、上にフックの連打を飛ばす。
田中は左ボディを決めるが、木村が手数で取る。
6回、田中が少しサイドステップを踏み始める。悪くはないが疲れもあるか?
木村が果敢に出て、ボディから攻め、攻勢。木村。


7回、両者ボディブローの打ち合い。田中の右が好打するが、木村打ち返す。
最後の方で、田中スリップダウン。互いにヒットがあった直後。ちょっと微妙。
両者間断なく攻めて守って、の繰り返し。
両者なかなか譲らない、意地の張り合い。速いパンチのヒットで田中か。

8回、田中の右左右のスリーパンチ。動いて足で外そうとするが、
木村も執拗に追い、ヒットあり。田中。
9回、木村の右目周辺、けっこう腫れている。田中が左をよく当てているせいか。
田中少しスピード落ち加減?ながらワンツー、右。木村出るが外される回数が増える。
田中回り込んで、またスリーパンチ。田中。

さすがの木村も、そろそろ参ってくるころか、と思いながら見ていましたが、
10回、木村が左右ボディ、右のボディストレートで攻め立てる。
田中、少し止まっていたが、外して右ヒット。ちょっと迷う回、やや木村?

11回、両者、頭つけての打ち合い。驚いたことに、田中の方が押している。
ここで打ち勝たないといけない方の木村が、時に下がり、回る。
速い左を数多く当てられ、ボディも打たれ、さすがに堪えたか...と見えたが、
田中の速い連打に対し、なお打ち返す。田中。


最終回、田中が外して、捌いて終われば勝ち、と思っていたら、またひと山。
間断なく打ち合った両者、疲労困憊ながら、ファイターである木村の方が押され気味な
終盤の展開から、田中が押し切るかと思いきや、木村が最後の最後に奮起する。

両者いきなり、右ダイレクトを相打ち気味に応酬。
木村の右の軌道が鋭い。田中は上体が倒れている。
身体を逃がして、というよりも、疲れから?と見える。

この相打ちを3度、4度と繰り返し、場内騒然となる中、木村がボディ攻撃。
田中、数回に渡って攻め込まれ、足が完全に止まる。
減量苦に悩まされたミニマム級時代に、何度か見た光景。
まさか、ここに来て逆転か?と思ったほどですが、何とか打ち返して試合終了、でした。


採点は114-114が一人、あとは115-113、116-112で田中。
私の採点は、木田田田、木木田田、田木田木、というところ。
迷った回も含めてですが、田中勝利は問題なし、というのが、会場スタンド席からの印象でした。


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それにしても、両者ともに、持てる力を全て出し切った、物凄い試合でした。
見終えて、何よりもまず、両者に惜しみない拍手を、と思った次第、です。


木村翔は、調整期間の短さが厳しいところだったでしょうが、
高く掲げた両ガードを押し立てて、執拗に前進し、田中恒成の速いパンチに対抗。
左ジャブを防ぎきることは難しくても、追撃の右や、左フックの返しは、
かなりの回数をブロックして、腕にバウンドさせつつ、攻め返す。

しかし、攻撃面では、執拗なアタックも結果的に、田中を捉え、仕留めるには至らず。
これは田中恒成が、意外に足を使わず、速い連打で攻めてくるという選択をし、
それがかなりの部分、奏功した、という面がありました。
また、序盤の好機の際、田中が上に追撃を狙い、詰めようというより、
ボディを打って、木村の反発力を削ごうとした、その効果もあったと思います。

しかし、それでもなお、最終回にあの攻勢を見せるのだから、一言、畏るべし、です。
激しく、厳しい闘いの中で、見ているこちらとしては、何度、感嘆させられたかしれません。
もうええ加減、参ってしまって不思議ない、と思う場面でも、
彼の闘志は衰えず、その姿は最後まで、勇猛果敢としか言えないものでした。

私が一昨年に見たとき、木村翔が、これほど攻防ともに厚みのある、
一級品のファイターになるとは、まったく想像できませんでした。
まあ、元々、人より見る目があるわけでもないですが、
それでも改めて、木村翔に脱帽し、拍手したいと思います。


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そして、田中恒成。こちらは試合開始早々から、思った以上に足を使わず、
木村翔のパワーや手数に対し、捌くのでなく、スピードと切れで打ち勝とう、という風に見えました。

タイプとしては、動いて外して、ポイントアウトを狙うべきはずの田中ですが、
先手で、一度か二度はどこかで叩いておいて、その上で捌く、という闘い方ではなく、
思った以上に、打ち合って勝とうとしているように見える時間帯が、長くありました。

セコンドがどういう指示をしていたものか、会場ではわかりませんでしたが、
結局のところは、田中恒成本人の意志があっての「敢えてこそ」の選択だったのでしょう。
その分、かなり被弾もしたし、木村を完全に打ち崩すとはいかなかったものの、
速くて切れ、鋭く多彩な攻撃は、勝利を掴むに充分なものだった、と見えました。


その闘いぶりは、もちろん地元だから、というのもありましょうが、
場内から途切れることない歓声(と、悲鳴も)を引き出し続けました。
そのただ中に身を置いて、試合を見終えて思ったことは、
この人は、理よりも情が勝つ天才なのだな、ということでした。

試合後のインタビューでも、木村翔の調整期間について言及し、
たった今、下したばかりの相手を、自分より上に置くような言葉さえ発する。
自身の才能に対して、本当に誇りを持っているからこそ、
対する相手についてもまた、敬意を払う言葉が出てくる。

何も、ボクシングに限った話ではなく、どのような世界においても、
「本物」とは、そういう心のありようを、当然、自然のこととして、持っているものです。

真に誇り高い「天才」だからこそ、自分の目指すものの価値を、誰よりも強く信じているからこそ、
その闘いぶりや言葉が、時に多くの理解を得られない部分もあるかもしれません。
世代的にも、そのボクサーとしての経歴からも、井上尚弥に次ぐ「新時代の旗手」と見える
田中恒成ですが、同時に、どこか今時やないな、肩肘張って生きてるなあ、とも感じていました。

そして、今日の試合を直に見て、その印象が、思いが、はっきりと確信に変わったような気がします。


その心のありようが、彼の、ボクサー田中恒成の今後を見るとき、
必ずしも正しく、良い方向にのみ働くのかというと、そうではないのかも知れません。

何よりも、優勝劣敗、酷薄無情の世界、それがボクシングです。
時には情を捨て、光を追わずに立ち回ることが、正しい選択とされることもあるでしょう。

それをわかった上で、それでも、今日の田中恒成(と木村翔)のように、
誇りうる勝利を追い求め、持てる力の全てを出し切って闘って見せてくれる、
そんなボクサーの姿こそ、私たちの求めるものではないでしょうか。
まあ、あれやこれやと、常日頃、賢しらに書き綴っている身で、勝手この上なし、ですが。


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今日は、見終えて本当に、心が満ちた観戦でした。
見たいと思うものを、充分過ぎるほどに、しっかりと見せてもらえた。そんな試合でした。
改めて、両者に拍手、そして感謝、です。



※動画をご紹介。
数日、或いは一日で消します。お早めに。

※他に海外に配信されたもの?などが複数あるようですので、
そちらに貼り替えておきます。
場内音声のみのですが、これはこれで良いものですね。





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手の内見せずに闘うも、仕留め損ねは誤算? 田中恒成、強振バルドナドをTKO

2018-04-04 10:32:44 | 中部ボクシング



中部在住の友人の厚意により、田中恒成フライ級転向初戦の映像を見ることができました。
簡単に感想。

立ち上がりから、スピードの差は歴然。田中は速いジャブ、右から左ボディへと当てていく。
中国は北京での連続KO勝ちも含め、10勝7KO無敗のスインガー、ロニー・バルドナドは
当たれば威力十分と見せる右を振るが、田中が躱す。

田中は左フックのボディ(外から)、左アッパーを上に返し、右クロスという攻めが見られる。
スピード充分で、WBOオリエンタル王者のフィリピン人は、思うに任せぬ展開。

3回、バルドナドは攻めも空振り、ブロックに遭うことがほとんど。
田中が連打で攻めると、わざとガード下げる?場面あり。

4回、田中が左ボディでダウンをマーク。ダメージありありだったが、
闘志十分のバルドナドが生き延びる。

このあたりから7回まで、田中はバルドナドの攻撃を、足で外すだけでなく、
敢えて止まって、ガード、ブロックで受けておいて攻める型。
故に単発のヒットを喫する場面もあるが、大半は防いでいる。

8回あたりから、田中はリズムを取り、動きで外す方向にシフト。
バルドナド苦しくなり、後退が目立ち始める。
9回、右をヒットされ、明らかに動きがおかしくなり、田中が攻めたところで
福地レフェリーがストップ。妥当な、良いストップだったと見ます。


眼窩底骨折による王座返上と転級を経ての初戦にしては、
ランクも実績もまずまずあり、闘志は十分すぎるほどの相手でしたが、
田中恒成は冷静な闘いぶりで、勝利を収めました。

試合運び自体は、相手の強振にも冷静に対処し、動いて外すのは当然、
止まって受ける防御においても、一定の余裕を持っていて、
CBCの放送席に招かれたWBO王者、木村翔の目を意識してか?
ギアを上げきらずに闘っていたようにも感じられました。

4回のチャンスに仕留めていれば完璧だったのでしょうが、
相手の闘志とタフネスが予想以上だったか、生き延びさせてしまったのが誤算だったかもしれません。
それは自身の手応えと同時に、木村との対戦を意識した部分においても。

いざ対戦すれば、田中は今回のように止まり加減ではなく、
ギアを上げて動き、より鋭く攻めては外すことでしょう。
木村の波状攻撃は、バルドナドよりも正確で、テンポも速いですから、
当然そうなる、ならざるを得ない、ということでもありますが。


王者でありながら上昇期のど真ん中、木村翔と、
挑戦者でありながらその才能をすでに認められた逸材、田中恒成。

比嘉大吾や、WBA新王者ダラキアンの台頭もあり、
ようやく上位陣が整ってきたフライ級にあっても、なかなかの好カードです。
また、日本人同士、という枠を外して見ても、楽しみな一戦と言えるでしょうね。


TV局の系列のことも考えるに、今後、具体的に対戦への構想が伝わってくると思われます。
木村がゾウ・シミンに挑戦した際につけられたオプションの問題があり、
それをクリアにできるか否かで、対戦の時期も変わってくることでしょうが。


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そういうことで動画貼っておきます。

※ひとつにまとまったのがありますので、そちらに貼り替えておきます。


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楽な相手かと思ったら、未知の強敵だった 田中恒成、パランポンを逆転KO

2017-09-14 21:07:25 | 中部ボクシング



ということで昨日のセミファイナル他、感想。

田中恒成はWBO13位パランポンに初回にダウンされ、9回逆転TKO勝ちでした。

初の全国生中継(おかしな話ですが)、WBA王者田口との対戦が喧伝される中、
ランク13位の相手ということもあり、格下相手の楽な防衛戦なんだろう、と思っていました。
カードが発表された際は、アコスタの次に上位とやれとまでは言わずとも、
もうちょっとマシな感じの相手にしてもらわんと、却って調子狂ったりせんやろか、とまで。

実際、会場に行くと決めた理由は、あくまでメインがお目当てであり、
この試合は、前座に組まれた他の日タイ戦同様、というのは言い過ぎにしても、
緊張感を持って見るような試合だとは思っていませんでした。


ところが試合当日が近づいてきた頃、この挑戦者について、さる筋から意外な話を聞かされました。

パランポンはムエタイの二大殿堂、ラジャとルンピニーの両方で王座を獲得しており、
WBCが設けた...のではなく、タイ政府が推しているWPMFムエタイ世界王座も獲得している、
ムエタイの一流選手であるとのこと(情報、ご教示いただきましたので訂正します)。
国際式では、強いのとはやっておらず、来日して板垣幸司に負けているが、
タイの大物プロモーター、ウィラット氏が持つ選手であり、今回世界戦に出すということは、
それなりに期待し、勝負を賭けての決断のはずだ、という話でした。

事実、セミの試合の際に、タイ陣営のコーナー下に、見覚えのある七三分けの、
白いジャケットを着た、大柄なウィラット氏の姿が見えました。
タイの最高傑作ボクサーのひとり、ポンサクレック来日の際、何度も見たお姿でした。

あの大物が直々に来日しているということは、つまりはそういうことなのだろう。
パノムルングレックの試合ももちろん大事だろうけど、それだけでわざわざ来るだろうか?
どうやら、パランポンは我々が勝手に思っていたような「お相手」ではないのかもしれない。


そんな風に思いながら、見始めた試合は、ご覧の通りの激戦となりました。

立ち上がり、田中恒成の左目のあたりに、パランポンのジャブが綺麗に入る。
右ストレートも飛ぶ。初回終了間際、振りの小さい右で田中がダウン。

2回以降、田中は徐々に反撃するが、パランポンのシャープなパンチが怖い。
打ち出しが小さく、当て際で切れるパンチは、精度も高く、田中を脅かす。

中盤、田中は速いコンビネーション、ボディ攻撃を見せるが、パワーショットを狙うと、
微妙に外され、パランポンのカウンターが飛んでくる。
田中は出血にも悩まされ、ジャブで傷のあたりを打たれるなど、苦しい場面も。

8回に田中が攻め、9回、速いワンツーが決まってパランポン、ダウン。
追撃でストップになりましたが、格下相手の楽勝防衛、と思っていた想像とは
かけ離れた熱戦、見応え充分の好ファイトになりました。


勝ち負けが逆になるかどうか、というと、初回のダウンシーン以降は、
田中が確実に立て直し、出血に悩まされながらも、ポイントは取り返していました。
このあたりは、パランポンのような好選手相手でも、田中の確かな実力が見えた試合でした。

おそらく、映像資料も僅かだったでしょうし、聞こえてくる世評もまた、
田中を油断させるに充分な?ものだったでしょうが、そういう状況で、実はけっこう強かった相手に、
苦しみながらも「間違い」は起こさせない、それはやはり、田中恒成ならでは、だと。


しかし、試合後の報道では、頭痛を訴えて救急車で搬送され、今朝の会見では
眼窩底骨折の疑いありで、年内に試合を出来る状況ではない、とのことです。

田口良一との統一戦を、両陣営がどの程度本気で実現させようとしていたのかどうか、
確かなことは何もわかりませんが、両選手は本気でそれを希望していたようですし、
ことに田中の方は、自身の苦戦と負傷でそれを流してしまったことを、残念に思っていることでしょう。

しかし、畑中清詞会長が言うとおり、何よりも選手の体調が第一です。
TV局の年末に向けた目論見などより、まずは負傷を癒やし、苦戦を省みて、
さらなる次への大きな闘いに目を向けてほしいと思います。


それにしてもパランポン、本当に、思った以上に手強く、良い選手でした。
構えが締まっていて、かつ力みがない。スタンスの調整も程よく、バランス良し。
ジャブ、右ストレートはコンパクトでシャープ、ガードの戻りも速い。
何よりムエタイの強豪選手でありながら、その癖がほぼ見えない。

ポンサクレックを見ても思ったことですが、よほど良いトレーナーに指導されているのでしょうね。
今回は残念でしたが、また日本で見てみたい、とさえ思うほどでした。


...しかし、一体誰がこういう挑戦者を選んで、今回の田中に当てたんですかねえ。
わかってやってたんだとしたら、ちょっとした「罠」ですが、何も知らんとやったことなら、
それはそれで如何なものかなと...。

最近は、挑戦者の「厳選」に血道を上げているようなところもよく目にしますが、
それと比較すると、ちょっと珍しいな、こういうの、とも思った次第でありました。


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そのウィラット氏が、こちらもまたコーナー下に鎮座される中、行われたセミセミは、
和氣慎吾が、久高寛之との二試合などで知られる、元世界フライ級1位で、今はWBAバンタム級7位という
パノムルングレックと対戦しました。

3回、小柄なパノムルングレックを、よくボクシング漫画でも紹介される
「コークスクリュー」ぽい、左のショートカウンターでダウンさせる。
このパンチは振りが小さく、しかし驚くほど鋭く切れる一打。
和氣の迎え打ちの巧さと、強打者ぶりが存分に出ました。
これを直に見られただけで、会場に足を運んで良かった、と思うほどの、お値打ちな一発でした(^^)

しかし小柄なパノムルングレックは、偉いさんの眼前で、序盤から気合い充分。
体格差をものともせず攻め込み、ダウンさせられても怯まず、攻め込む場面再三。

この試合、8回戦でしたが、もし10回戦だったらポイント挽回される余地ありかな、と
見ている最中に思うほどでした。
しかしラスト8回、和氣が意地を見せて左を連発、ダウンを奪ってTKOに持ち込みました。

和氣は3回、8回に見せた攻撃力、破壊力はさすがでしたが、やはり相変わらず構えが甘く、
相手のパンチの「通り道」がぽっかりと空いてしまっているのが、見ていて不安でした。
相手がそこに来たところを、強打で捉えるセンスと力も見えますが、それがかなわないときは、
小柄なパノムルングレックに攻勢を許してもいて、良くも悪くも、スリルある試合ぶり。

しかし、全体的に一発の切れ、威力が少し落ちているのかな、絶好調時と比べると少し...
と見える場面も、中盤にはありました。再起二戦目ですから、まだまだこれから、と見るべきなんでしょうが。


それにしても、なんだかんだ言ってこの人、パッと見てインパクト強いというのもありますが、
やっぱり試合ぶり自体が、良いとこも悪いとこも含めて派手というか、華やかなんですね。
スターの素養があるというか。見ていて、理屈抜きに楽しいというか。
ボクシングの作り自体には、ちょっと納得出来ないところもあるんですが、世界戦二つに加えて、
この人の試合も見られて、やっぱりお得な興行だったなぁ、と思っております。


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先日に「見る者に試練を与える興行」になりそう、と書きましたが、私が間違っていました。
結果として長時間の休憩連発、ということにはならず、試合内容も、セミとセミセミが期待以上に
見応えのあるものになったことで、見終えて満足感が高い興行でした。

井岡ジムの4選手が、タイ人軍団と闘って4勝した試合は、改めて語るようなものではなかったですが、
全員序盤で倒れるということもなく(別に大健闘というのもなかったですが)、
おかげで、二階席で酒盛りを始めたり、トランプで遊んだりすることもなく(当たり前や)、
時間としたら長いですが、間延びした印象はあまりなかったです。


やっぱり、前評判と違い、大健闘したパランポン、そして体格差をものともせず食い下がった
パノムルングレックのように、良い相手と組めば、良い試合になるし、見てるこちらも、
結果がどう、内容の細かいところがどう、というより先に、得心がいくというものです。

MJヤップに敗れたときの山本隆寛だって、そうだったのです。
この日、井岡ジムの選手が、そういうところに一切関与していなかったのは、少々残念に思いました。


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統一戦不要の強さを自ら証明 痛快なる矛盾、田中恒成激闘制す!

2017-05-24 17:15:00 | 中部ボクシング




20日の有明にて、この試合は、出来れば結果知らずに見たいものだと、身構えつつ観戦しておりました。
前座開始の時間が、ちょうど名古屋ではメインの開始時間。
場内で結果がアナウンスされるようなことがあれば、それはもう仕方ないが、
そうでないなら...と思っていました。

ところがロペスvs拳四朗の前に「この試合に日本人による四団体独占がかかる...」という
余計な、実に余計なアナウンスがあり、どうやら田中勝ったみたいやな、とわかってしまいました。
なんだかもやもやした気分ではありましたが、KOか判定か、詳細は一切知らずに、
当日夜遅く、友人宅で録画したものを見ることが出来ました。


試合展開としては、田中恒成がもっと動いて、アンヘル・アコスタが追うのかと思っていました。
しかし実際は、中間距離、というよりやや近めの攻防が続いた印象でした。

序盤はアコスタのパワーが目につきました。
2回の捻るような右ストレートのヒットは、よく田中が倒れなかったなと感心する迫力。
左フックやアッパーも良く出て、ガードの上から田中の頭が揺れる場面も。

しかし3回、田中の左ボディが文字通り「突き刺さり」、アコスタ失速。
田中はボディで下がらせておいて、左右をガードの外から打ち、またボディを内外から、
という具合に、空いたところを打ち分ける、センス抜群の反撃。

5回、アッパーから右打ち下ろしで倒す。ところが立ったアコスタの猛攻が凄い。
そしてまた、それを凌いだ田中がまた、左ボディを決め、アコスタを止める。

この日のベストラウンドと言える3分。まさに最強王者と、最強挑戦者の一戦に相応しい攻防でした。

試合の流れは田中が握ったものの、アコスタも重くて正確な左フックを中心に攻める。
田中はボディを打ち、或いは見せかけては、速い右をバチッと決める。
アコスタは自分も手を出せる距離なのに、緩急をつけて打ってくる田中に、徐々に打ち負けていきました。

終盤、アコスタも意地の反撃を見せるが、田中はボディからの連打で突き放す。
手数とパワーではアコスタも負けていませんでしたが、より速く、多彩な田中が、クリアに勝ちました。

期待通り、いや、期待以上の、高いレベルでの大熱戦でした。
日本とプエルトリコの軽量級、最強のボクサー同士が、キャリアの上昇期に
まともにぶつかった、希有なる好カード。

そして試合内容もまた、技巧と強打を共に発揮しあった攻防の数々が、
最初から最後まで間断なく続く、濃密なものでした。
こんな素晴らしい試合は、そうそう見られるものではありません。
両者に拍手を送り、そして感謝します。


以前も少し書いたことがあるのですが、田中恒成は早々にこのクラスを去り、
フライ級でも同級最強の存在を目指すべきではないか、と改めて思わされました。

試合後、田口良一とリング上で統一戦アピールをしていましたが、
この試合内容でもって、田中恒成は他団体王者との統一戦などやるまでもなく、
彼自身が同級最強、最高のチャンピオンであることを、自ら証明してしまいました。
この自己矛盾、なんとも可笑しく、痛快なるバラドックスであることか。


翌日、IBF王座がミラン・メリンドの手に渡りましたが、
田中恒成がもし、次もこのクラスで闘うとしたら、その一番手はやはり、田口よりもメリンドでしょう。

そして、さらなるファンの勝手な希望を言えば、メリンドよりも、一階級上のIBF王者であり、
少し前までライトフライ最強を謳われた、あのドニー・ニエテスこそが、彼の標的であるべきだと思います。
聞けば小柄ながら、減量も厳しいらしいですし、遠からず、フライ級進出が実現してほしいです。



この試合、中部のみならず、関東で放送があり、現時点でYouTubeにも多数、動画があります。
海外で?TV放送されたもの、どなたかが撮影されたもの、とりあえずふたつ。
まあ、皆さん大抵、もうご覧になっておられるでしょうが。








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オマケというと何ですが、ロペスvs拳四朗戦もありました。
メキシコで放送されたものみたいですね。生中継だったのかなぁ。それはないか。





あと、試合当日朝に放送された番組です。拳四朗親子が取り上げられています。
数日で消します。
しかしラウンドガールのことは気づかなかったですなー。









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一分の隙も緩みもない「自己ベスト」に期待 田中恒成、強打アコスタと初防衛戦

2017-03-29 16:22:32 | 中部ボクシング



ということで、4月から5月にかけて、年末世界戦ラッシュの余波からくる
世界戦の日程集中傾向が顕著になっている、日本ボクシング界ですが、
4月の大阪ダブルに続き、5月にもとんでもない事態が起こるらしい...と
話題になっている中、中部の星、田中恒成の防衛戦が決まりました


相手はプエルトリコ期待の新星、16戦16勝16KOのアンヘル・アコスタ。
当時世界1位のウトニを最終回TKOに下した試合のハイライトは、
以前動画を貼りましたが、それに加え、フルラウンドの試合やら、
相手の名前が記載されていない短い動画やら、ちょこちょこ見ておりまして、
正式に試合が決まれば、紹介しようと思っておりました。
そんなことで以下、簡単に見た感想を。


2015年3月14日、プエルトリコのカグアスで、アルマンド・ベラスケスバスケスと8回戦。
紺のトランクスがアコスタ。赤のベルトラインに緑地がバスケス。
フルラウンドの動画です。ありがたや。





初回、左突くアコスタ。しかし小柄なバスケス、右から左の返しを決めぐらつかせる。
アコスタ乱れ、露骨にワイドオープンになる場面もあるが、早々に回復。
右アッパーから左フックのパターンで挽回。3回、右決めて攻勢。

4回くらいから、距離を取って突き放す。この展開で攻め、または迎え打ち。
バスケスも粘るが、7回、左ダブルから右アッパー、右ショートで攻め、
最後は右アッパーから左フックで倒す。タフそうな相手をきっちり詰め、仕留めた。



続いて、以前も貼った動画ですが、今年2月11日、サンファンでの試合。
当時WBO1位のジャフェ・ウトニを10回TKOした試合のハイライト。





これだけでは、試合展開がどうとは言えませんが、見た範囲では、
果敢に打ってくる、自分より長身の相手をボディ攻撃で崩し、
打ち合いに持ち込んで、最後に仕留めた、という風です。


これ以外の動画もちょこちょことあります。
まずはハイライト。練習風景や、試合の様子。
4回戦の映像のようですが、最初のはひょっとするとデビュー戦?





バット使ってバッグ打ってますね。昔はこんな練習も散見したものですが。
この辺は野球王国プエルトリコならでは?


続いて対戦相手不明の動画。
動画アップの日時から推測すると、2016年4月23日のエリクソン・マーテル戦でしょうか。




サウスポーの相手が右振って来たところに、見事なタイミングで左カウンター。
怖いのはもう一発、追撃して効かせ、倒しているところですね。
相手の体勢が崩れたところを、間を置かず即座に打てる選手って、そうそういるものではないです。



対戦相手記載無しの動画、もひとつ。
これは2016年11月12日のルイス・セハ戦でしょうか?




最後は左アッパー気味(に見える)のパンチ一発です。
カメラの角度のせいでわかりにくいですが。
「現世に甦ったウィルフレド・ゴメス」との惹句は、この場面を見ると、
ちょっと説得力があるような気もしてきました。


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ということで、まず攻撃面から、ですが。
まず、全てのパンチが、身体の回転を効かせた強打になっている。
この前提がある上に、センスの良さが光っていて、攻撃面ではどこを見ても脅威だらけ。

左ジャブは普通に数が出る。
左フックはダブルが速く強い。好機にはさらに出る。
そして、無理な姿勢で突っ込んできた相手には、非常に敏捷に、
正確に、カウンターを決められる。

右は外からフックを叩き、インサイドには鋭いショートストレートを決める。
どちらも威力、角度とも抜群。
アッパーカットは攻め込み、迎え打ち、両方を兼備している。

これだけ揃った上に、好機の連打、詰めが鋭く、強い。
立ち位置を左右に変えながら、相手のガードの上を叩き、外から巻き、内を鋭く射貫く。
これが自然に出来ている。なるほど「ゴメス」風です。
これは巧さ以上に「天性」だと見えます。


続いて防御ですが、こちらは勘の良さが見えるかと思えば、穴もあり、という印象。

ガードは左右の設定が多少違う。
左は高低ともに、ヒジの角度を決めずに、ゆったりとした構え。
右は高低ともに、ヒジの角度を決めている。打つぞ、という威嚇の意図が見える。

しかし、このガードは展開によっては両方とも下がる場面もある。
優勢の時はいいが、劣勢のとき、膠着のときはどうなのか。
この辺はベラスケス戦以外に、資料となる映像が無いので、判断に困る。

あと、試合展開によって、防御への集中力が目に見えて違う。
良いときは目の良さが冴えるが、悪い展開のときは、打ち返そうと焦るせいか、
露骨にワイドオープンになって、見ている方が驚くくらい。

上体が立ったまま相手の距離にいて、相手のパンチをガードで防がなければならない場面で、
ケアレスミスとでもいうか、ガードが雑なせいで好打されている(バスケス戦、初回)。
また、接近戦で止まると、ガードを絞ってそのまま。少々稚拙、とさえ。



ということで総合的に見ると、若さと勢い、天性の攻撃力と勘を持つ強敵です。
防御面では欠点も見えましたが、それが映像で確認出来たのは2年前の試合であり、
この若さであれば、大幅に改善されているかもしれません。
その後の試合ぶりは、ハイライト映像ばかりなので、悪いところはほとんど出ていませんから、
実際どうかは何とも言えませんが...。

田中恒成からすれば、まずはあの強打を、とりわけボディ攻撃を外すことが肝心でしょう。
上のパンチは、しっかり動いて、いきなり食うようなことはない(もしあれば大変です)としても、
やはりウトニ戦などは、ボディで止め、力を削ぎ、打ち込んで倒す、という流れが見えました。
この流れに巻き込まれたら、そこからは力勝負です。良い展開とは到底言えません。

昨年末のフェンテス戦でも、ほぼ完勝のなか、2回の前半のみですが、
相手に攻め込まれる時間帯がありました。
あのような展開を許したら、攻め口の鋭さではフェンテス以上のアコスタが好打し、
それをきっかけに攻め込んでくるだろう、と思います。


田中恒成には、そうした隙、緩み一切なく、ミスが許されない一戦であることを前提に、
心身共にベストのコンディションを作って欲しいですね。
ことに防御面において、過去の試合の全てを越えた「自己ベスト」のものを期待したいと思います。
心配なのは、転級してなお囁かれている減量苦ですが...。

また、相手との相性やスタイルからすると、KOは狙わずに闘った方が良いのかも、と。
そういう方針で闘って、結果がそうなる場合もあれば幸い、というくらいで良い、とも。


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それにしても、改めて、初防衛戦から、なかなか燃える相手との対戦になったものです。

もちろん、王座決定戦で勝ったのだから、その次が最上位との対戦になるのは当然なれど、
その当然すら実現しない事例が散見される現状、すんなりその通りに話が進み、
しかも相手がこんな選手です。
田中恒成に対するファンの期待、仮託したい思いが燃え上がる、そんな試合になるでしょう。

また、本人が語る、統一戦や将来の展望はなかなか強気で、なおかつボクシングファンの思いにも
真っ正面から応えるものでもあります。
現実に、国内の統一戦が実現するとも思えない現状において、考え得る中で最強の相手と闘う
この一戦の内容と結果を受けて、その先にどんな未来が、情景が見えるのでしょうか。

田中恒成の未来は、井上尚弥とそれと並び、日本ボクシング界の未来そのものでもあります。
その先に、彼自身が持つ、才能への自信と誇りに相応しいものが見出せるように、
この強敵に対する、田中恒成の勝利を、ファンとして切に願います。


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しかし、冒頭にも書いたとおり、またしても壮絶なる日程バッティングが起こるのやも?という話ですね。
またしても関西では(関東も?)放送がないらしく、中部ローカルというかオンリーというか、
本当に、アタマを掻きむしりたくなるような事態になっておる上に、
「ほなら、久々に名古屋乗り込んだろか!」と思ったら、他の大試合と丸被り?という。

もはや「度し難い」という他ないレベルの「てんでばらばら」「好き勝手」ですが...
本当に、ボクシング業界の皆様、ことにプロモーターライセンスをお持ちで、
大試合を興行することの多い方々には、ファンの都合に影響する事案について、
もうちょっと横のつながりといいますか、何か話し合う機会を持っていただけないものですかね。

こんだけ携帯やスマホやなにやらで、SNSやLINEやとコミュニケーションツールも山ほどある中、
未だに黒電話使うてはるんですか、と訊きたいくらい、肝心な話がバラバラに進み過ぎです。

まあ、そういう「ファン」よりも、他に重きを置く対象がおありで、
結局はそっちの方だけを向いてはるんやろうなぁ、とは容易に想像がつきますが...。



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一躍、同級世界最強に躍り出た 田中恒成縦横無尽、元王者フエンテスを圧倒

2017-01-03 00:19:36 | 中部ボクシング


モイセス・フエンテスvs田中恒成戦は、大晦日当日、
CBCがネットでライブ配信したものを見ることが出来ました。

このあと、観戦のために向かった大田区総合体育館で、関東在住の方に聞いたところでは、
驚いたことに関東でも放送がなかったとのこと。
確か昨年末は中部と関東で放送、関西では放送無しだったと思うんですが、
今年はそこから一歩後退というか、より状況が悪くなっています。
(ちなみに関西では今年も放送無し。その時間は漫才の特番でした)

この手の話になると
「そういえば、畑中清詞vsペドロ・デシマの時は、関東は綱引き選手権だったなぁ」と
関東の方は必ずといっていいほど言います。
それに対して関西人は「チャナ・ポーパオインに新井田豊が挑んだとき、
関西ではハイヒールモモコ一家のハワイ旅行だったんですよ」と返し、対抗するのが常です。
お互いに自慢にも何にもならん話ですが...。

脱線しましたが、田中恒成のような逸材に、そのようなTV放送の取り扱いは相応しくない。
それを示した、田中恒成の圧倒的な勝利でした。


モイセス・フエンテスは長身、大柄なスラッガーで、スピードに欠けるが
打ち合いに持ち込んで右の強打を生かし、その駆け引きにも秀でた実戦派、という感じの選手です。
あのドニー・ニエテスと一分一敗、それ以外にもイバン・カルデロンに引導を渡した試合や、
来日もしたルイス・デラローサを初回で仕留めた試合など、あれこれ見たことがあります。
ひとたび好機を掴んだら怒濤、という、いかにもメキシコの強打者、というイメージがあり、
田中恒成がペースを渡したり、好打されて攻め込まれたりしたら危ないかも、と思っていました。

しかし実際は、田中恒成のスピードと強打が、フエンテスを圧倒し続けました。

初回からジャブ、右から左と好打。3回は右ストレート上下を突き刺す。
打っては鋭くバックステップ、フエンテスの反撃をほぼ外しきる。

4回はもう縦横無尽。左右に出ては多彩なパンチを上下に散らす。
5回、右にシフトした田中の左ボディが決まる。
フエンテスはロープに詰められ、右で崩れかけ、こらえたが容赦ない追撃にさらされ、ダウン。
レフェリーはそれまでの展開も考慮したか、カウントせずにすぐTKOを宣しました。

50キロ契約で闘ったノンタイトルのレネ・パティラノ戦と同様の、
或いはそれ以上のワンサイドマッチでした。
フエンテスが何らかの事情で不調だったにしても(前日3度計量オーバーしたそうですが)、
ここまで一方的な内容になったのは、田中恒成の圧倒的な強さによるものだと見えました。

凄いな、怖いな、とさえ思うのは、見た印象でしかないですけど、
田中恒成はまだ、テンポを完全に上げ、打つ手を出し切ったわけではないように見えることです。
スピードも手数も、パンチングパワーも、もっと出そうと思えば出せる。
しかしそこまで行かずとも、この日のフエンテスなら充分に攻め落とせてしまえた。

試合序盤から好調でしたが、それでも最初から力を振り絞り、手の内をさらしてはいない。
まだ余力はある。どの程度かまでは不明なれど、他にもまだ攻め口が残っている。
汲めども尽きぬ、とは言い過ぎかも知れませんが、田中恒成は強豪に圧勝してなお、
その膨大な才能を見る者に感じさせる、スケールの大きな逸材であることを、改めて示しました。

田中恒成は試合前日までは無冠の身でしたが、この試合内容とタイトル獲得により、
ドニー・ニエテス転級後の、108ポンド世界最強の座を手に入れてしまった。
そんな印象すら持ってしまいます。八重樫東、田口良一、ガニガン・ロペスという面々を
一気に追い越してしまった、と。

日本ボクシング界の未来は、井上尚弥と共に、この田中恒成の拳にかかっている。
そう評するべきかもしれません。
むろん、今後に様々な困難が待ち受けるにせよ、それに負けずに成長し、乗り越えていってもらいたい。
遠くない将来のフライ級進出も含め、その圧倒的な技量力量で、より開かれた「世界」の舞台で
その才能を解き放ち、闘ってほしい。そんな、壮大な夢を見てしまいます。


中部在住の友人の厚意により、放送された動画も見ることが出来ました。
以下、紹介しておきます。数日で消しますのでお早めに。


その1。



その2。




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この大晦日、岐阜の会場ではもうひとつ、注目の日本フェザー級タイトルマッチ、
林翔太vs下田昭文戦も、CBCによるライブ配信が行われていました。
これ、告知も何も見たことがなく、当日たまたまPCを開いたらやっていて、
慌てて見始めたようなことです。
TV放送は、中部で後日あるんでしょうかね。当日はなかったはずですが...。

試合展開は、序盤は下田リードで、5回終了の途中採点は、4対1で下田が二者、
あと一人は48-48でイーブン。2-0で下田。

まあ、ひとりは地元有利のジャッジがいても仕方なく(と言っていいのかは置くとして)、
あと二人の、まともな方々の支持をしっかり取り付ければいいだけのことですが、
6回くらいから林がペースを上げ、下田がヒットにより左右瞼を切ってしまうなど、
ちょっと展開が変わってきます。

下田は片方の出血がそれなりにあり、またヒットによるカットなので(実際そうだったと見えました)、
ドクターストップがかかると、負傷判定ではなくTKO負けになるということで、
ちょっとナーバスになったか、打ち込みにかかるかと思えば、足を使って捌く、という感じで、
ちょっと闘い方に迷いが見えました。そこへ林が果敢に打っていき、林が取る回が増え、
あとは微妙なのもあるが、林に流れるかな、という感じの回もあり、という具合。

そういう後半戦、9回終盤、微妙な感じだったところ、林にとっては良いタイミングで、
下田にとっては悪いタイミングで、林の右がヒットし、下田が尻餅をつくようなダウン。
足もかかっておらず、押されてもない、ヒットによるダウンでした。

林は勢い込んで最終回も出て、試合終了。
採点は正直微妙、前半の4対1、3ポイント差が覆るかどうか、でしたが、
その二者の判定が95-94、ダウンの分だけ林、と出て、あとひとりも当然、林。
3-0で林翔太の防衛となりました。

前半戦の劣勢をものともせず、諦めずに打ちかかっていった林の果敢さが、
際どい勝利を彼に与えました。
見方は様々にあるかも知れませんが、その健闘を称えないわけにはいかない、
そういう闘いぶりだったと思います。


昨年の細野悟戦に続き、下田昭文はまたも、際どく微妙な試合を落としました。
ことさら無茶苦茶な不当裁定、判定に出くわした、というのではない。
試合ぶりはどこが悪いというでなく、体調も悪くなさそうでしたが、
負傷などから展開を悪くしてしまい、僅かに及ばず、という負け方でした。
はっきり言えるのは、あまりに痛い、痛すぎる結果だ、ということだけです。

まだまだ老け込む歳でもなく、実力が衰えているとも見えませんが、
下田昭文は、またもそのキャリアにおける重大な岐路に立たされてしまいました。
彼の今後は、いったいどのようなものになるのか。注目でもあり、心配でもありますね。



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これなら、フライ級でも世界を狙える 新生・田中恒成強し 転級初戦で圧巻の勝利!

2016-05-30 18:17:06 | 中部ボクシング



ということで、中部在住の友人の厚意により、田中恒成の転級初戦を見ることが出来ました。

契約ウェイトは50キロ、相手はIBF10位のレネ・パティラノ。
体型はスラリとしたボクサー風。ダウン経験がなく、あのランディ・ペタルコリンと引き分けの経験あり。
実際、なかなか地力のありそうな選手でした。
しかし、試合は一方的な内容、ワンサイドマッチになりました。


初回、パティラノはゆったり構え、リーチを生かし、左を伸ばす。
田中は足を止め、正面に位置。単発ながらジャブをもらうが、距離を外さず「詰めた」位置取り。
右クロスを決め、リターンが来たら目で外す。右ボディ当てる。

2回、田中、少し身体を振り始める。肩を入れた左で突き放し、首振り防御も見せる。
見るからに好調。打つパンチは切れ、威力充分。打ったあとのステップも速く、バランスも安定。
これまでの試合で時々あった、困ったら止まってガード一辺倒、という苦しい姿は影もない。

3回、パティラノが手数を増す。しかし田中落ち着き払っている。
パティラノの攻勢をジャブで「切り」ワンツー、左右ボディ。
好調故か、ぎりぎりの見切りに走るところがあり、スリーパンチのあと右一発だけもらう。

4回、連打で攻め、締めに左アッパー。見事に決まる。
少しショートで打ち合う。パティラノ右アッパーを見せるが、田中左トリプル、また左アッパー。

5回、田中ますます好調、ボディ、左フック、左ジャブのダブル、トリプルがびしびし決まる。
6回、パティラノも果敢に打ってくるが、田中は少し「やらせて」おいてから反撃。
右クロスから左ボディの対角線コンビが決まり、パティラノさすがに手が止まり、後退。
ロープからロープへと追い回し、最後は左ボディから右でダウン。KOとなりました。


過去の苦しい減量が、ことに無理なミニマム級での試合が、いかに彼の才能を削り、
全体的なスピードやバランス、集中力を低下させていたのか、ということがよくわかる試合でした。
そして同時に、ベストコンディションの田中恒成が、どれほど優れた才能の持ち主か、
ということも、まざまざと見せつけられた試合でもありました。


いやー、今回はホントに驚かされました。
良い選手だ、逸材だ、とは初めて見たときから思っていましたが、いざそれが好調な状態で
これほど十全に見られると、改めてその才能の膨大さに圧倒されました。

スピードがあり、目が良く、攻防の繋ぎが滑らか。
左がよく出て、それ故か、いつ何を打つべきかの選択に、無理や間違いが少ない。
相手はけっして弱い選手ではないはずですが、単発のヒットを許した以外、ほぼ圧倒していました。
本人の自信満々なコメントの数々も、むべなるかなと。参りました、お見事です、という感じでした。

軽量級に多くのタイトルホルダーがいる日本ですが、今は無冠の、この田中恒成こそが、
日本のフライ級以下で、最高のボクサーではないか。そんな風にさえ思います。
その実力は全階級通じても、いずれは井上尚弥に次ぐレベルに到達するのではないか、とさえ。


今回、多少、自らの好調ぶりに勢い余った?ところがあって、防御面で多少、無理をしたかな、
もう少しセーフティな選択があって良いかな、という部分がありましたが、
それを除けば、ほぼパーフェクトな転級初戦だったと思います。

八重樫、田口、拳四朗といった面々にとっても、その存在は正しく脅威でしょう。
田口良一への挑戦をアピールするコメントがありましたが、相当自信がある風でした。
私の感想を率直に言えば、こんな試合してしまうと逃げられるよ、というところですが。


そして、今回の契約体重は、ライトフライよりもフライ級のそれに近い設定でした。
今年、成人式に出たばかりの若さを考えれば、当然、将来はフライ級での活動が、視野に入ってきます。
そして、田中恒成にとり、真の勝負はそこから、なのかもしれません。

伝統階級であるフライ級において、肩書きとは釣り合わない「タイトルホルダー」ではなく
真の意味を持ちうる「チャンピオン」を攻略すること。
田中恒成は、そういう真っ当な夢を託すに相応しい逸材であると、改めて思い知りました。
陣営の皆さんには、単に東海、名古屋ではなく、日本全体にとっても正しく「星」である
田中恒成の今後を、より広がりのある世界へと展開してもらいたい、とお願いしたいものです。



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そういうことで、こっそり動画紹介します。
数日で消えますので、お早めに。


1~3回。



4回~試合終了まで。






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