さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

着実な成長と、適切な転級による実り 京口紘人二冠達成、ブドラーを完全攻略

2019-01-04 08:55:12 | 海外ボクシング



なんかもう、最近は世界戦が全国に流れないことを嘆きこそすれ、驚きはしないものですが、
さすがに大晦日、TBSが放送しながら、関西に流れないとは...と思った一戦、
ヘッキー・ブドラーvs京口紘人戦を、関東在住の友人の厚意により、見ることが出来ました。


初回こそ、ブドラーの旋回、アッパーやスリーパンチの数が目につきましたが、
そこでも京口の左ボディが早速ヒットしてもいて、この後、再三再四繰り出されたこのパンチが、
ブドラーを削り、止め、苦しめることになりました。

2回、京口の左ボディでブドラーの方から、下がって離れる場面あり。トランクス下げる仕草も。
3回、ブドラー右カウンター取って、連打。京口は左のみならず、右ボディストレートも返す。
4回も京口。ブドラー、リターンの連打の数が、5、6発から3発程度に減る。

5回はブドラー奮起、手数出す。京口スタートから飛ばしてきて、少し疲れか。でもボディはしっかり打っている。
6回、ブドラー左右に動いて手数を出すが、京口が肉薄、左アッパー連打、左ボディ、右クロス。
7回さらに京口出る。打ち合いでまさり、右でブドラーのけぞる。もう一押しで10-8つけられそうな優勢。
8回京口攻め続ける。ブドラー最後20秒くらいで、左ボディを外からではなく内側に受け、後退。

9回、京口左アッパーダブル、ブドラー小さく腰落とし後退。
10回、京口落ち着いてジャブから崩す。ブドラーボディ打たれ、苦しいか横を向く場面も。
さあ倒せるか、と思った11回は始まらず、王者コーナーが棄権、TKOとなりました。



試合前半は、ブドラーのサイドステップ、角度をつけた連打と、
やや前傾した姿勢から、左ボディを軸にした京口の攻撃ボクシングが、
まだ均衡した展開を保っていた、と言えますが、6回くらいからは、はっきりと京口が
試合のペースを掌握していたと思います。

よく動き、手数によるポイント相殺、ないしは奪取の術に長けた、老練な南アフリカ人は、
田口良一戦同様、彼自身の持ち味をしっかり出して闘っていました。
しかし転級2戦目、減量苦から解放され、コンディションに自信を持つ、若く無敗の「元王者」は、
スピードやパワーのみならず、攻防動作の切れ、継続性で圧倒的にまさりました。

ブドラーのようなタイプを攻略するなら、ボディを打って動きを止めて、とは
誰でも考えることでしょうが、あれほどよく動き、執拗に手が出て、心身共にタフな相手を、
その言葉通りに「止め」て、仕留める、棄権に追い込むだけの、攻防の質量というのは、
それこそ膨大なものが求められます。


しかし大晦日、京口紘人は、二階級制覇がかかった大一番で、その持ち合わせを存分に見せました。


往年の辰吉丈一郎風に、やや前傾、左足加重のスタイルで、しかしガードの設定だけは高め。
左から切り込み、上体を傾けて、上下に打ち分け、アグレッシブに攻め続けました。

若さ故の体力、一階級上げたことによる良好なコンディションに加え、
デビュー1年3ヶ月でミニマム級IBFタイトルを獲り、アルグメド、ブイトラゴを下し、
転級初戦も充実した内容でKO勝ち、そしてこのブドラーを攻略した過程で見せた、
着実な、着実過ぎる成長ぶりは、まさしく驚異です。目を見張るしかありません。

これは選手本人の素質と努力、指導者の力に加え、陣営が転級のタイミングを誤らず、
適切な判断をしたことも非常に大きかった、と見えました。
それらが全て相まって、新チャンピオン京口紘人という、大いなる「実り」が得られたのだ、と。


試合翌日の報道には「まるで別人」という見出しをつけたものが散見されました。
スタイル自体は何も変わらず、京口の良さが発揮されたに過ぎない、と思うものの、
確かにミニマム最後のパラス戦と比べ、「好不調」という物差しで見れば、その通り、でした。

攻撃の積み重ねで相手を攻め落とすスタイルが、今後、タイプの違う相手、
距離の外し方に長けた選手、または、一打の決め手を持つ選手と当たった場合はどうか、と
あれこれ言えば言えるでしょうが、今回の試合に関しては、満額回答、と言える内容でした。
そして今後も、危惧はあれど、期待感の方が大きく膨らむ、というのが正直なところです。



年末に集中した世界戦の中、今回の白眉、メインイベントと見なすべきは、
間違いなくこの一戦でした。
出来れば大田区でやってくれていれば...と繰り言も出ようかというものです(笑)
あんなお寒い雰囲気の会場でやるには勿体ない、と。
まあそれは、その次の試合も同様でしたが。

あれやこれやあるのでしょうが、このような試合には、もっと別なロケーションが用意されるべきです。
次回以降は、こういう妙なことは無しでお願いしたいものですね。


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数年遅かった大物技巧派対決、されど 井岡一翔、ニエテスに惜敗

2019-01-02 18:06:42 | 井岡一翔



皆様、あけましておめでとうございます。
広い心で拙ブログを読んでいただき、あれこれとコメント欄で語り合えることは、
これからも変わることなく、喜びです。
本年もどうか、よろしくお願いします。


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大晦日は井岡一翔、ドニー・ニエテスの、東洋軽量級の名選手同士の試合があり、
京口紘人二階級制覇への挑戦があり、坂本真宏の世界挑戦もあり、しかし会場がマカオという、
さまざまな事情のせいで、妙なことになってしまいました。
もしこの三試合が国内で開催されていたら、場所が東京であれ大阪であれ、当然会場に足を運んだところです。
もし二カ所に分散されていても、どちらかを選んで、観戦していたことでしょう。

TVの生中継は井岡、ニエテス戦のみ全国放送でした。
えらく競った試合内容だったので、ラウンドごとの採点から。


初回、井岡はアローヨ戦同様、やや前傾し、ジャブ、ボディ打ち。ニエテス見たのち、右クロス、ボディ。ジャブのぶん井岡。
2回、ニエテス右ショート。両者左ダブルの応酬。井岡、危機を避けるため肩から身体寄せる。ニエテス。
3回、井岡右ボディアッパー。ニエテス左右アッパー、小さく下がって空間作り右クロス。井岡ボディ、ジャブ、回る。井岡。
4回、ニエテス右アッパーから右クロス。井岡は左右ボディ。ヒットの応酬ながら、井岡のそれは地味に映る。ニエテスか。

5回、両者打ち合っては得がないと見たのか、揃って距離を取る。ジャブ応酬。ニエテスのヒットが上回る。ニエテス。
6回、ワンツー互いにガード。井岡右ボディ、ジャブ、またボディ。ニエテス右ヒットも少ない。井岡。
7回、ニエテスワンツーなどで攻める。井岡は変わらず、ジャブとボディ。ワンツー浅いがニエテス下がる。微妙な回。ニエテス?
8回、井岡の足捌きが、外す方向にシフトした印象。そうかと思えば身体寄せてボディ狙う。ニエテス手数減る。
最後打ち合い、ニエテス右フック、井岡も返す。井岡。

9回、井岡、距離遠目の設定に変わっているか。ジャブ、ワンツー、軽いが。ニエテス、少し井岡が遠いのでリターンが減る。
微妙ながら井岡?
10回、井岡最初の一分、ほぼ手出さず足使う。ニエテス右クロスもブロック。井岡、ボディ攻めておいて左フック上に。
井岡上手くニエテスの集中を削いだか。井岡。
11回、詰めた打ち合いになり、ニエテスが右、左フック、アッパーなどを強く決めて打ち勝つ。
井岡のヒットは数で劣り、軽い。ニエテス。
12回、前の流れを引きずった印象。井岡出ない。読み合い、外し合いながらニエテスのジャブ、ボディ攻撃。ニエテス。


公式採点は116-112で割れ、一人が118ー110と大差でニエテス。
さうぽん採点は114-114でドローですが、井岡にやや甘いかと自分で思うところ。

井岡のこまめな足捌き、接近してのボディ打ちと、ダッキングしてサイドに出る動きなどは、
強豪ニエテスを充分苦しめていましたし、互いに細心の注意を払って、打たせず外し、狙い合う攻防は、
派手な展開こそなかったものの、見応えあり、味わい深いものでした。

内容的には、採点がどちらに転んでも納得、という類いの試合だったと思います。
微妙な回の採点が、井岡の技巧より、一打のインパクトにまさったニエテスに流れれば、
数字的にもっと競っていてもいい、と思わぬでもない公式採点にも、まあ納得です。
8点差はさすがに...と思いはしますが。


井岡一翔、4冠制覇ならず敗れましたが、ライトフライ級時代から並立して王者だった、
強豪王者ドニー・ニエテスを相手に、その技巧派としてのレベルを、改めて見せた一戦でした。

しかし、この試合がライトフライ級時代に、統一戦として行われていれば、
試合展開の読みや、防御の巧みさのみならず、攻撃面での鋭さは、もっと出ただろうにな、と
見ていて思ったのも確かです。
やはり、強者同士のカードとは、双方のベスト(ウェイト)を外さずに実現されるべきだと
改めて思わされた一戦でもありました。

今回の試合内容は、結果の明暗とは別に、双方のボクサーとしての評価、価値を
落とすものではなかった。ならばこそ、より良い時期に、こうした試合を闘う機会を、
この両者に与えてほしかった。

そして「遅まきながら」と言い表すのは厳し過ぎるかもしれませんが、
それを阻む要因、事情から解き放たれ、この一戦を闘った井岡一翔には、
結果以前の感情として「良かったなぁ」と、改めて思います。
今後の活動については、スーパーフライ級におけるパワー、決め手の不足が課題となりましょうが、
それでもまだ、この先にある、闘える試合に挑むであろう、井岡一翔を応援したい気持ちでいます。



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