さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

真の頂点を決める一戦 ラミレスvsテイラー、5月実現へ

2021-01-31 20:02:30 | 海外ボクシング




2シーズンを終え、我らが井上尚弥にとっても資するところの大きかったWBSSですが、基本的に、米国のマーケットで重要視され、大スターがいるクラスは取り扱えない、という限界も抱えた大会でもありました。

しかし、その中で唯一、中量級で大会が実現したのがスーパーライト級。
タータンチェックの竜巻、ケン・ブキャナン以来?のスコッティッシュ・ヒーロー、ジョシュ・テイラーがWBA、IBFの二冠を手にして、大会が終わりました。

そして、折良く?WBCとWBOの王者対決で、ホセ・カルロス・ラミレスがモーリス・フッカーを下して、残りふたつのタイトルを手に。

この両者が、ついに4冠統一、つまり真の世界統一王座を賭けて、5月8日、ベガスはMGMで対戦するとのことです。
トップランクのボブ・アラムがコメントし、記事を書いているのがESPNの記者ですから、少なくともトップランク陣営の都合としては、本当の話なのでしょう。

このクラスは、数年前に一度、あのテレンス・クロフォードの手により4冠統一が実現したばかりです。
今回、またこういう運びになるのは、層の厚い人気クラスではあるけども、ウェルターやミドルよりは、経済的な面も込みで言って「軽い」が故、というのも事実でしょう。
とはいえ、好選手、レベルの高い王者が途絶えた試しのないクラス、見るこちらとしては、楽しく有り難く見させていただきます、というのみですね(^^)

ここに至るまでの「準決勝」のテイラーvsレジス・プログレイス戦(WBSSの決勝)、そしてラミレスvsフッカー戦は、どちらも緊迫の度合いが普通の試合とは段違いで、さすが世界の一流同士を組むと、全てにおいて「違う」なあ、と感嘆するしかない試合でした。
あとはこの両者が「決勝戦」をやるだけ、というところでしたが、昨今の情勢を抜きにしても、長年に渡り複数の王者が存在するボクシング界に慣れた身、そこまで望むのは贅沢なのかも、なんていう気持ちでもあったり。

しかし、テイラーのトップランク契約という報を受け、これはホンマにやる流れやなと。
そして今回、コロナ渦もまだ収束とはいかないながら、5月にも、という話です。


これは本当に楽しみな一戦です。
トップランク興行だから、日本ではWOWOWで見られそうです。
名称から「メンバーズ」が取れ、オンデマンドのみの視聴契約も可能になったWOWOWオンデマンドにて、きっと生中継してくださることでしょう(^^)
DAZNにあれこれカードを取られ?最近じゃ、以前では放送しなかったようなカードも放送しているWOWOWエキサイトマッチですが、この辺をきっちりとカバーして、これまでとはまた違う形で頑張ってほしいところです。



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ということで、一曲。
Iggy Pop “Livin' On The Edge Of The Night” です。








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会長同席で会見/勝手&欲目/次の次の話/計量と検査を病院で

2021-01-29 20:12:29 | 話題あれこれ


ご多分に漏れずオンラインで、という形ですが、京口紘人の米国デビュー戦について、ジム会長と同席しての会見がありました。
まあ、これがいわゆる「正式」発表、ってやつなんでしょうね。

相手について、正式な契約はまだ、とのことですが、まあ変わることはないでしょうね。
この辺の大雑把な話も、いかにも海外での試合、という感じがします。
ちなみにタノンサック・シムシー側、つまりグリーンツダジムにも「了承」は得ている、ということのようです。

練習環境も、前回のコロナ感染を経て、より厳しく対策するとのことです。
もっともこればかりは、どうなるものか知れたものではないのが怖いところですが...。
なんとか事無く、無事試合をして、勝って帰ってきてもらいたいものですね。



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少し前に、マニー・パッキャオとライアン・ガルシアが対戦する話があるとかないとか、ちらっと見たんですが、ガルシアの父親が、色々と語っている記事

内容は、身内の勝手と親の欲目を煮詰めたようなもので、ようもまあ...と呆れるしかありません。
それでも大半は読み飛ばせばええわ、いざ向かい合えば、傍の者がどうであれ関係あれへん...と思うのですが、エキシビションで、という点だけは見過ごせません。

タイトルがかかろうが、かかるまいが別に良いですが、公式試合じゃないと。
スターとスターが相まみえて、それがお金になれば幸いと。突き詰めればそれ「だけ」の話です。
本当に誰も彼も、見事なまでに脇目も振らず、どんなことでもしよるなあ、と...。

しかし、もし本当にエキシビションとして行われるとして、それが大興行になるものなんですかね。
過去のグレート同士とか、チャリティー目的とかいうのでない、現役選手同士による、しかし「勝負」ではないものを、10ラウンズに渡って...これがもし、新旧のスター故に色々と「成立」してしまうとなると、その後にまた、馬鹿な話を次々と見聞きせねばならんのかもしれません。

まあ、こんな勝手な話が全部、そのまま現実になるとは...普通なら思いませんが、最近のご時世だと、どんなことでも起こり得るんやないか、と、ちょっと怖くもあります。はてさて...。



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来月末に、WBC1位アブニ・イルディリムと対戦するカネロ・アルバレスが、次の次も決めた、という話。
ジ・アスレティック、マイク・コッピンガー記者のツイートによる
、とのこと。

ビリージョー・サンダースは、このクラスにおける上質のアウトボクサーであり、サウスポーであることも含め、簡単ではない選手だと思います。
ただ、ミドル級においてゴロフキン、カネロ、或いはジェイコブスのような王者、上位陣とは闘っていないので、もう一段上の話になるとよくわからないまま、というところでもありますね。

カネロの相手選びについては、ゴロフキンとはクラス違い、本当の難敵ベナビデスやプラントではなく、当面はこのサンダースが「上限」なんでしょう。
まあ、詰めた日程で試合をするつもりらしい、という点だけは、好意的に取れますが。



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JBC、蒲田の牧田総合病院というところで、今後の計量、及びPCR検査を行うと発表
場所が蒲田ということで、ホールより大田区総合体育館の方が近いですが...。

当面、計量と同時に、PCR検査を継続せねばならない現状、こういう形を取らねば、いざというとき色々大変なのでしょう。
2月11日の日本フェザー級タイトルマッチから、選手はここで計量と検査を受けるわけですね。

従来の、水道橋で何もかも全部済む、という形も、否応無しに変わることになります。
物事何でも良し悪しありますが、否応無し、でないと変わらないものがまたひとつ...まあ、色々と思うところあり、な話題ですね。



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ということで、一曲。
amazarashi「世界の解像度」。









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今後の「相手」は誰だ 井上尚弥MVP、井岡一翔は技能・最高試合

2021-01-28 16:06:52 | 井上尚弥



井上尚弥の「今後」についてちょこっと書こう、と思ったんですが、今日、年間表彰の受賞者発表があったので、それについて先に。
井上尚弥がMVP、井岡一翔が技能賞と、年間最高試合賞、ということになりました。

この両者の比較、今年は一試合ずつで、ベガスでモロニーに完勝の井上、三冠王田中恒成を撃退した井岡一翔、さてどちらが...というのは、意見の分かれるところでしょうね。
A-Sign動画では、石井一太郎会長が「井岡」と断言していました。







私も、対戦相手の質の違いを見て、僅差で井岡かと思うところです。
ジェイソン・モロニーは今後、タイトルホルダーになるかもしれない強豪でしたが、何と言っても田中恒成は無敗の三冠王だったのですし。
しかし、井上の勝利は、ラスベガスのリングで、というのが加味されるので、難しいのは確かです。

ただ、もし田中恒成の国籍が、アメリカや中南米のどこかだったとしたら、三階級制覇の強豪、軽量級のスーパースター候補を見事撃退した!というバリューをもって、井岡一翔が受賞していたのかもしれない、と思います。
どうも国内の新旧対決、という括りで見られてしまったところがあって(というか、他ならぬ私自身もそういうところがありました)、その分、ちょっと井岡は損をしたのかもですね。



さて、井上の今後ですが、2月11日のイベント“LEGEND”にて、誰と対するのかというのが、まず先に来る話題です。
Twitterで募集、という話は今時で良いですが、期日まで二週間かそこらで、新たな名前が挙がったところでどうにもならないのも現実です。
内々にオファーしといて伏せてある、というようなことがあればともかく、今のところ、井岡一翔の参戦は現実的ではないようですしね。
話題性という意味では、井岡が無理なら、次に来るのはボクサーではなく、例えば那須川天心だったりするのでしょうが。


で、その次の「試合」については、IBF返上の話はなくなり、カシメロ(WBO)はリゴンドー戦へ向かい、ウーバーリ(WBC)は選択試合やってドネアとやって、暫定は再戦決定、という紆余曲折への入口にある。
ならば、マイケル・ダスマリナス戦か、というところですが、大橋会長が「基本的にはその線」と言うも、井上本人は未定を強調、という記述が
想像でしかないですが、ダスマリナス戦は、やはり本人の望むところとは違うのかもしれませんね。


今回の“LEGEND”は、PCR検査の機器メーカー主導によるもの、とのことで、短時間でPCR検査を行い、大勢の観客を集めるイベントの感染リスクを下げられる事例作りとして成功すれば、今後の大イベント開催を後押しするものになるかもしれません。
そのような目論見が、誰にあるのかないのかはわかりませんが、格闘技イベントの予定が複数ある東京ドームで、ボクシング界も何かやれることはないのか、という要望が仮にあったとしたら、村田諒太と井上尚弥の同時出場が求められるだろう、というのは、容易に想像がつきます。

そして、そこでふたつの「大試合」が並ぶのか、或いはひとつが「普通の試合」で、ひとつが「大試合」になるのか、というと、なかなか二つ揃いはしないだろうなあ、とも思います。
例えば井上がカシメロとやるなら、村田はゴロフキンではなく「他」になる、と。
或いは村田とゴロフキンがやるなら、井上はダスマリナスで、とか。

悪いパターンは二つとも「普通」になってしまうことですが、さすがにそれでは済まない、と...そう思いたいところです。

何にせよ、いかに井上尚弥の話とはいえ、国内でやる試合には、過度な期待はしないほうがいいのかもしれません。
ナルバエス戦、ドネア戦のような「大ヒット」がそうそう続きはしないだろう、と。
出来れば井上の希望?が通って欲しい、とは思いますが。


と、MVP受賞を受けて、井上尚弥コメント動画がありました。
やっぱり、本人の希望は、少なくとも年内に、ベルトの数を増やしたい、ということですね。







しかし、見る度に「エエ顔」になっていきますねー。
単に男前やとかいう話じゃなくて。



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あと、海外記事では、相変わらず数の内に入れる気になれんルイス・ネリーも何か言っているらしいですが、それよりも、先日WBOスーパーバンタム級王座を奪取したステファン・フルトンについての記事が目に止まりました。
Sバンタム級はムロジョン・アフマダリエフがとりあえず頂点で、岩佐亮佑の挑戦(統一戦)なるか、というのも気になるクラスで、ブランドン・フィゲロア、ダニエル・ローマンもいますが、フルトンの評価もかなり高いようです。

王座獲得のアンジェロ・レオ戦は、2月8日にWOWOWで放送されるので、またじっくり見てみようと思います。
いずれ井上との対戦があるかも、と思って見れば、普通とは違った楽しみ方が出来そうですね。



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ということで、一曲。
Green Day “Still Breathing” です。









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王者引退/復帰かと/すぐに決まるみたいに/4Kだジョー

2021-01-27 10:21:41 | 話題あれこれ




大きな試合の話までしばらく空く感じの今日この頃、ちょっと話題あれこれと。



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井上尚弥が世界の頂点に立ち、一文字じゃなくて井上拓真が実質、国内最強を証明し、比嘉大吾が転級してきたバンタム級。
先日の拓真、栗原戦で盛り上がっているさなか、そういえばこの人はどうしているんだろう、いつ澤田京介戦が行われるのか...と思っていた日本チャンピオン、鈴木悠介が引退表明しました。

「目の怪我」とはまた、ざっくりとした話やな、と思ったのですが、網膜剥離に悩まされていたとのこと。
チャンピオンになったものの、防衛戦のリングに立てず引退することになってしまいました。
国内ランカーも上記以外に、堤聖也や中嶋一輝、石井渡士也ら若手が強く、元王者となった栗原慶太もいて、石田匠もバンタム級でやるなら、それこそ充実のクラスなんですが、その中で王者の実力を証明したい、という思いだったろうに...無念でしょうね。



バンタム級で王者といえば、こちらは比嘉大吾に敗れたストロング小林佑樹も、少し前ですが引退表明。
試合ぶりは若手の頃から何度も、住吉の会場などで見ましたが、タイトルマッチに出るようになる前から、その闘いぶりは果敢、懸命そのものでした。
武市晃輔トレーナーが、ブログにてその壮絶な闘いの道のりを振り返っています
比較的、さらりと書いてありますが、トレーナーとしては一番、思い入れのある選手なのでしょうね。
行間から、隠しきれない愛情が読み取れるような気がします(笑)。



バンタムではないですが、これまた先日敗れた長濱陸も引退表明とのこと。
YouTuberとしても活躍しつつ、王者として勝ち続けていければ、「間口」を広げる存在のひとりとしての大成があったかもしれませんが、選手としては引退するとのことです。
重いクラスの選手ですが、ぱっと見た印象よりも、ここぞという時は俊敏で、巧さも見せてくれる貴重なタレントでした。



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大橋ジム勢、清水聡、平岡アンディ、桑原拓らが合宿で走り込み、という記事

三人とも、それぞれ注目を集める試合が控えていますし、中嶋一輝や、ボクシング転向初戦の武居由樹もいるのですが、最初の写真見ると、八重樫東が再起するのかと思っちゃいますね(笑)。

冗談抜きで、存在感が大きすぎます。
八重樫東の偉大は、井上尚弥とはまた違った意味で、居並ぶ現役選手たちにとり、遙か遠い領域だと言えるでしょう。
本人は一切、そういう風情を醸し出そうとはしていないようですが、それでも。



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DAZNニュースにて、ボブ・アラムがタイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアの対戦についてコメントした記事が紹介されていました。

なんか、すぐにでも決まりそう、みたいに書いてありますが、読む限り、もうちょっとかかりそうやなあ、という印象です。
この試合の話に限らずですが、アラムが楽観的な見通しを語っても、他の人にとり、そうではないというのは、本当によくある話でして...。

あと、最初から二試合やる契約、みたいな話は止めてもらいたいですね。
プロレスやあるまいし、ただただ冷めます。
もちろん、結果は当然、内容次第で保証の限りではないわけですが。

この試合が実現すれば、細かいのはおいといて、ヘビー級王者が事実上一本化されるわけですから、当然実現を願います。
記事にもある通り、英国では当面、無理みたいですが。



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当初、昨年12月予定だったという、WOWOWの4Kチャンネルが、3月1日から放送開始。
アンテナも古くなってきたことだし、ケーブルもいつのものやら記憶にない、という有様だったので、いわゆる「左旋」の4K対応アンテナの設置工事を先日、済ませたところです。

これでいつ放送が始まってもOK、準備万端なのですが、そのWOWOWが、最初に放送決定、と出してきたコンテンツが「あしたのジョー」。
TV放送版の4Kリマスター、とのことです。
いやまあ、そりゃあ画質が良くなるのは確かでしょうが...他に何か無かったんすか、という(笑)
WOWOW視聴者のニーズというか、世代ターゲットは本当に「ここ」なのか、という疑問もあり、もし本当にそうなのだとしたら、という不安もあり...。


「あしたのジョー」についてはともかくも、今後のコンテンツについては、エキサイトマッチの画質が急に良くなることもないでしょうし(海外の興行で4Kカメラ使うことってあるんでしょうか?)、映画も古いものはアップコンバート?するだけのことで、限界は当然ありましょうね。
これから新たに撮られるものは違うんでしょうが。
まあ、そもそも高画質の映画見るために、アンテナなんか設置せんでも、FireStickの4KのやつをTVに刺せば充分、というのが世の趨勢なんでしょうけど(笑)。


WOWOWはそうした現状を踏まえてか、4K開始に加え、オンデマンドのみの契約視聴が出来るようになり、サッカーのUEFAチャンピオンズリーグ放映権を獲るなど「逆襲」に出ている感もあります。
視聴者としては、NETFLIXやDAZNとの競争原理が働いて、コンテンツの充実や高画質化が進んでくれたら有り難いですが...放送、配信ビジネスは、今後ますます競争が激化し、淘汰されるところが当然出てくるでしょう。
その中で、長年親しみ、楽しんで来たWOWOWエキサイトマッチも、徐々に形を変えていかざるを得ないのかもしれませんね。




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ということで、一曲。
MUSE “Something Human” です。








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熱狂の声上がらずも、拍手の音は鳴り止まず 古橋岳也、久我勇作を劇的KO

2021-01-25 08:52:04 | 関東ボクシング





ということで、金曜日のダブル日本タイトルマッチ感想に戻ります。
メインイベントはスーパーバンタム級、強打の久我勇作に、三度目の日本王座挑戦となる古橋岳也が挑んだ一戦は、想像を超えた大激戦になりました。

一昨年の大晦日、ジュンリエル・ラモナルに敗れた久我にとっては再起戦が即、指名試合。
その敗戦を「ネタ」に挑発コメントを出した古橋は、相手を揶揄するというより、自ら退路を絶った印象。
そこへもってきてコロナ渦により、試合から遠ざけられたボクサー同士の、闘志のぶつかり合いが見られるだろう、と思ってはいたのですが...。



初回は久我が打ち抜きの利いた強打をコンビで放ち、優勢。
ただ、攻めるスタイルの久我は、どうしても防御が甘い傾向にあり、それは相手との距離が近いときでも、あまり変わらない。
以前から不安視され、それ故に試合ぶりがスリリングなものにもなる、久我勇作の姿は、ブランクを経ても変わっていませんでした。

対する古橋岳也は、ガードを高く、締めて構えつつ前進、ボディブローを返していく。
パワーでは見劣りするが、防御の堅さでは上。久我の強打を耐え凌ぎ、果敢に打ち返し続け、久我に楽をさせない闘いぶり。


2回、3回も久我が連打。しかし、一発二発はヒットしても、その後は古橋が懸命にガードする。
左ガードはことに意識しているようで、久我の右強打をかなり防いでもいる。

ハイペースで、かつクリンチをよしとしない者同士による、途切れることのない打ち合いが続き、声援自粛を呼びかけられた場内からは、断続的に拍手が沸き起こる。

4回、久我の右アッパー、右クロス迎え撃ちに怯まず、古橋がボディ攻撃。打ち合いの中、古橋が左右フックの連打をヒット。
久我、初めて?自分からクリンチに行く。ダメージあった模様。初めて古橋が取った回。
5回も古橋が手数と攻勢、そして左フックのヒットで取ったように。


途中採点は3対2が二者、4対1が一者で、いずれも久我リード。
久我のパンチ力のぶんだけ優勢、という感じではあるが、内容的にはまだまだわからんぞ、というところ。

6回、久我が左右アッパーを増やす。右アッパー上、左フック下のコンビが良い。
7回も久我の右クロス決まる。古橋左右フックで打ち合うが、カウンター気味のタイミングで久我の右を食う。

8回も久我の右が良いタイミングで入るが、古橋、怯まず打ち返す。
ここまで、継続的にヒットしてきたボディブローをさらに増やし、10発以上連打して前進、さらに攻める。

場内、拍手が鳴り止まない。ことに、手を止めるタイミングがない古橋の攻めに、好打を重ねている久我が後退を強いられる。

この回終了前、それこそラスト5秒くらいか。久我の連打が決まったが、直後に古橋が左フック、続いて右クロスを打ち返す。
これがヒットして久我、止まる。ここでゴング。
このダメージがどれほどのものか、見た感じでは測りかねたのですが...。


9回、開始から古橋が出る。インサイドからボディ、顔面へ連打し、久我が一歩下がったのを追うような右ストレート。
久我が、糸の切れた人形のように真下に崩れかけ、踏ん張ろうとしたがコーナーの方によろけていく。
即座にレフェリーストップがかかって、TKOとなりました。



勝敗については、もう、紙一重のものだったと言えるでしょう。

試合後の古橋は、勝者とは思えない疲弊した様子で、セコンドが椅子を出す前に、コーナーに座り込んでしまうほどでした。
毎ラウンド、開始前に両手を広げて天を見上げるポーズをとっていた古橋は、何ごとかメンタル面での指導でも受けていたのでしょうか。
詳しいことは分かりませんが、久我の強打に耐え抜き、懸命に攻めて、好機を逃さず、終盤に勝負をして倒しきった闘いぶりは、その「心の構え」あればこそ、と認めざるを得ません。


強打を再三再四決め、それでも倒しきれずに逆襲を受け「決壊」してしまった久我は、試合後、古橋の右手を掲げて、新王者を祝福していました。
当然、結果は残念でしょうが、今の自分自身を全て出し切った結果、というところでしょうか。
敗れてもなお、その強打と攻撃力が提供するスリルには、蠱惑的な魅力があったと思います。



それにしても、まるで昭和の後楽園ホール、伝説的に語られる激闘の令和版、というような試合でした。
両者とも、激しく打ち合いながらもクリンチは僅か。
クリーンかつ激しい打ち合いが終始続き、これぞプロボクシング、という、それこそ昭和的な感慨を持ちました。

その上で、新型コロナに揺れる令和の時代ならばこそ、これほどの試合になったのでは、という気もします。
様々な苦境、不条理とも言える形でリングから遠ざかった多くのボクサー、その思いを代表するかのような、熱い闘い。
普段なら熱狂の声が渦を巻いていただろう後楽園ホールには、声援の代用としての拍手が鳴り響いていました。

本当に、凄い試合を見せてもらいました。
久我勇作、古橋岳也の両選手に、モニタのこちら側からも、拍手を送りたいと思います。



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ということで、一曲。
the pillows “LITTLE BUSTERS” です。








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相手の名前だけが残念 京口紘人、米国デビュー決定

2021-01-24 11:43:07 | 海外ボクシング


マッチルームと契約を結んだ京口紘人、米国デビュー決定とのこと
3月13日、世界注目の軽量級ビッグマッチ、ファン・エストラーダvsローマン・ゴンサレスのアンダーで、場所はテキサス、ダラスのアメリカン・エアラインズ・センター。
ライアン・ガルシアvsルーク・キャンベル戦と同じ会場とのこと。

そういえば場内、客数制限してるわりには大いに盛り上がってましたね。
もちろん、ライアン人気は特別なものでもありましょうが。
普段はバスケなどに使われていて、1万8000人くらい入る大会場だそうです。


メインがスーパーフライ級のメキシコvsニカラグア、ラテンのスター再戦であり、その集客のことがあるのでしょう、京口の相手はメキシカンのアクセル・アラゴン・ベガという選手になりました。
20歳と若いながら、ミニマム級で二度、世界挑戦経験があるとのこと。

ブイトラゴやブトラーといった世界的な選手に勝っていても、日本のマーケットにおいては好待遇を得られなかった京口が、こういう舞台に打って出ることはファンとして嬉しいですし、画期的なことだと思いますが、相手選びについてだけは、やはり思うとおりにはいかなかったようです。
タノンサック・シムシーの挑戦も、この次あたりになんとか...と思うのですが、コロナの影響はまだまだ続いていますし、難しいのでしょうか。


いずれにせよ京口、内容と結果を、良いもので揃えてほしいですね。
これまで、格下相手、ないしは有利予想の試合では、色々つっかえるというか、引っかかるというか、苦戦してしまうところがあります。
反面、格上、強敵相手と見做される試合では、本当に勝負に没頭していて、集中の高い試合ぶりで勝っている選手でもあるのですが。

今回の相手、強豪という選手ではないのが、却って不安です。
しかしあちらさんにしてみれば、若くして地元で三度目のタイトル挑戦、意気込みも勢いも相当ある、と見るべきでしょう。
それを堂々と撥ね付けて勝つ、といくかどうか。
京口の新たな挑戦、その一歩に注目ですね。


で、これは当然、DAZNでライブ配信でしょうね。
DAZNが、徐々に国内のボクサーを前面に押し出してキャンペーンをするようになるのだとしたら、その行く末も注目です。
京口同様の境遇にある?他の選手にも、このような展開があり得るのか否か。
京口が「好例」を残すことで、今後の展開も変わってくるのでは...と期待します。



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ということで、一曲。
Simple Minds “Don't You” です。








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「左には左」で流れを掴む 坂晃典、歴戦の難敵を倒し「初」防衛

2021-01-23 12:57:25 | 関東ボクシング



ということで、昨夜のダブル日本タイトルマッチ、BoxingRaiseのライブ配信を見た感想を。
まずはスーパーフェザー級、坂晃典vs渡邊卓也から。

フェザー級では初防衛戦で敗れている坂晃典、今度こそ初防衛といきたいところなれど、相手は歴戦の雄、渡邊卓也。
日本上位のみならず、海外での(不利な条件下における)試合でも、その粘り強さを発揮している難敵です。


初回、立ち上がりから坂が手数を出して攻める。力まず打ってもパンチ力を感じさせる攻撃。
しかし打っていくバランスになったところ、渡邊の左ジャブを外せず、続けてもらう。
ポイントは坂に行くだろうが、内容的には「簡単にはいかんやろうなあ」と思うスタート。

2回、坂の右が数回ヒット。渡邊、最後に一発右返す。この回はクリアに坂。
3回、渡邊は深呼吸してから出る。左ジャブが冴え、坂を再三ヒット、突き放す。
坂、鼻血が見える。クリアに渡邊の回。渡邊カット、ヒットによるとアナウンス。


序盤の内に叩いて効かすなり倒すなり出来れば坂だが、長引けば渡邊の良さが出る一方になるだろう、という展開。
坂は打っていくときは当然、離れても渡邊の左を高い確率で当てられ、外せない。
これはどうしたものか、右クロスで抑え込む、というのも難しいだろう、となると...と思っていた4回、坂が左ジャブを増やして、ジャブの応酬が繰り広げられる。

渡邊の伸びるジャブも良いが、坂は足を使って動きつつ、威力ではまさるジャブで対抗。
これでリズムが良くなり、後続の右、ボディブローにも繋がる。
考え得る中で、一番良い打開策がハマり、坂が流れを取り戻す。
坂はバッディングでカット、とアナウンス。

5回、両者奮起。坂が上下のコンビ、渡邊も良いジャブ見せる。
坂、打ち気のときは外せないが、手数出して攻める。坂。

途中採点のアナウンスは、4対1で三者揃って坂。
6回、劣勢を意識したか、渡邊が左ジャブを決めて攻めるが、坂はしのいで、足を動かして外し、右ストレート。
渡邊がぐらついたところに坂追撃、最後は側頭部のあたりに右が入って、渡邊ダウン、即座にレフェリーが止めました。



カットもして、左ジャブもかなりもらうなど、やはり歴戦の難敵、渡邊に苦しめられた坂でしたが、最後は見事にパンチ力を見せて「初」の防衛を果たしました。
やはり渡邊の正確なジャブに対し、力ずくで抑えにかかるのでなく、左で対抗して流れを引き戻した4回の闘いぶりが良かった、と思います。
それが中盤の強打によるTKOに繋がったのでしょう。
フェザー級のときは、ゴング聞き違えにより打たれた場面ばかりが話題になりましたが、劣勢の場面で冷静な対応が出来ず、ダメージを貯めた結果の出来事であって、その過程にこそ問題がありました。
しかし今回は、一階級上げたコンディションの改善も含め、ありがちな表現ですが、辛い経験を経たことによる成長が見えた、という意味で、終わってみれば、必然の初防衛だった、という試合ぶりでした。


渡邊卓也、三度目の挑戦も実りませんでしたが、無駄な動きがなく、地味ながら正確な左ジャブで組み立てるボクシングは、強敵相手だとますます冴えていました。
パワーでまさる相手に、適切な対応をされ、途中採点を受けての反転攻勢、「勝負」に出た結果のTKO負けとなりましたが、最上位挑戦者としてのグレードは、しっかり示した試合だったと思います。


最近は一階級上が色々と盛り上がっていますが、このクラスも世界王者が続けて出たりするなど、近年のボリュームゾーンといえるでしょう。
その中で、果敢な強打者であり、また冷静に闘える坂晃典は、やはり貴重で、魅力的なタレントです。

今後は、尾川堅一らとの上位対決などで、どんどん盛り上げてほしいところですね。
個人的には、大沢宏晋との雪辱戦なんかもいいなぁ、と思ったり。
そしたら関西で見られそうですしね(^^)



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ということで、一曲。
くるり「坂道」。








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神戸の衝撃から8年 和氣慎吾ー小國以載再戦は4月28日

2021-01-22 20:04:12 | 小國以載




先ほどまでBoxingRaiseのライブ配信を見ておりました。
ダブル日本タイトルマッチは、どちらもコロナなんか吹っ飛ばせ、という勢いの熱戦、激戦と劇的決着でした。
しかし感想はまた後日、ということで。


メイン前に、和氣慎吾vs小國以載8年ぶりの再戦決定、という発表がありました。
神戸サンボーホールでの、小國初黒星、和氣急浮上の明暗分かれたあの一戦から、もう8年が経つのか...と、思わず遠い目になってしまいました。
8年の間に、両者ともいろいろあって、世界戦では直接対決の結果とは逆の明暗があったりもしたわけですが。

これまた、コロナ渦ゆえに組まれたカード、なのかどうかは知りませんが、以前もBoxingRaise配信の試合に小國が出たことはありますし、その流れで、ということなのでしょう。
やっぱり、入ってて良かったBoxingRaise、ということで、これもライブ配信あることでしょうから、有り難く視聴しようと思います。

と、収まったことを言っていますが、このカードばかりはそんなことでは気が済まん(←それはお前の勝手や)かも、というところでもあり...(笑)
また色々と考えないかんところです(何をや)。


とりあえず8年前の観戦記はこちら
小國は和氣戦のみならず、岩佐亮佑戦でも同様でしたが、対サウスポーでは良い結果が出ていませんので、その辺、今度こそ改善というか、変化が必要かな、とまずはそこが気になりますね...。



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ということで、一曲。
米津玄師「フローライト」。








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井上尚弥ら王者クラスが一堂に会す? 代々木第一でチャリティーイベント開催

2021-01-21 20:49:41 | 井上尚弥

井上尚弥、京口紘人、木村翔の三人が記者会見に出席し、チャリティー目的の大イベントが発表されました
2月11日、木曜ですが祝日に“LEGEND”と銘打ったエキシビションマッチの大会が行われるとのこと。
代々木第一体育館(第二ではなく)という大箱で、上限5000人、観客全員に、記事にもある形でのPCR検査実施、という話です。

かつて、阪神大震災のチャリティー目的で、元世界王者を中心にしたイベントが行われたことがありますが、時期が時期だけに、こういう動きがあるにせよ、もう少し暖かくなってきてからかなあ、と漠然と思っていました。
ちょっと早いかな、と思うし、当日夜、ホールで行われる日本フェザー級タイトルマッチのことも、気にかかるところです。

興行の都合というのは簡単ではないにせよ、どうせなら同じ会場でやれれば、注目度も上がって良いのでは、と思いますが、当然ながら今からじゃ無理ですし、そもそも、そういう広い視野に立った周到さを期待出来る業界ではない、というのも、よくわかってはいます。残念なことですが。

これも記事にあるとおり、祝日のことなので、時間調整を行うことになりそうですね。
今のところ、ホールの方は17時半に第一試合開始と、ボクシングモバイルのスケジュール一覧に出ています。
それまでにイベントが終わるとすれば、昼間か夕方、というところでしょうね。


イベント自体は、時期のことはおいといて、基本的に意義のある、良いことだと思います。
どの程度「集客」出来るものか、そして記者会見に出た以外のタイトルホルダー、トップボクサーたちがどの程度「出場」するのか。
また、井上尚弥と井岡一翔がエキシビションであろうともグローブを交えるとなれば、話題性はぐっと上がるんでしょうけど、どうなりますかね。

引退した元王者についてですが、最近は、引退しても、ぱっと見た感じ、体型が見るからに変わっている、という風ではない人がけっこう多いですから、どんな組み合わせでも、皆さんそこそこやってくれるんではないか、と思います。
例えば、闘わざるサウスポーの名手三人、西岡利晃、長谷川穂積、山中慎介は、どう組み合わせても良いですね。
長谷川の闘わざるライバルといえばもう一人、徳山昌守ですが、少し前にYouTubeで見たところ、まあまあ「成長」されているご様子で、ちょっと厳しいか(笑)。


何にせよ、良い形でイベントが行われ、盛り上がってほしいものです。
しかし、こっそりと色々企んでいるまさにその日に、こういうことが行われるとは驚きました...モゴモゴ。


スポーツ新聞系のチャンネルで、動画がいくつかあるようです。
とりあえずひとつ、貼っておきます。







コメント (6)
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厳しい話が表面化してきた 全日本新人王も無観客で

2021-01-20 19:37:34 | 関東ボクシング


東日本協会の定例理事会(オンラインだそうです)が行われ、色々と厳しい話が出てきました


会場キャンセル料の補填終了、というのは、現実問題として、際限なく続くはずもないですね。
広範なワクチン接種の実現により、新型コロナが通常の感染症として扱われるようになるまで、この状況は続くのでしょう。
当面、興行もより慎重に予定しないといけないし、二の足を踏む興行者も多いのでしょうね。


今岡ジム退会、というのもちと驚きです。
というか、以前渋谷に行ったとき、本当に駅からほど近いビル内にあるのを見て、こんな「ええトコ」にあるのか、と驚いたことがありまして。
あの立地で、当然盛況だったでしょうに...いや、それがコロナ渦では災いしたのでしょうか。


全日本新人王は、やはり無観客になるとのことで、これも残念です。
緊急事態宣言は2月7日まで、と一応なっていますが、季節柄、感染症の陽性者数が激減するとも思えず、延長はほぼ確実ではないかと。
2月21日の開催ですが、先の話だからこそ、先手を打って?こういう決定が出来たともいえます。
もうすでに、チケット販売している興行では、そういうわけにもいかないでしょうしね。

東西の決勝(西は代表決定戦)はG+で録画放送され、有り難く見ましたが、東は全体的にレベルが高く、西もSバンタムの福永宇宙のような、大器の予感を抱かせる選手がいて、出来れば有観客で見たかったですね。
幸いなことに、全日本は例年通り、G+さん(こんなときだけ「さん」が付きます)が生中継してくれるので、しっかり見ようと思っております。
実況の皆様には、是非、右と左の区別をしっかりとお願いしたいです...(^^;)



で、関西はというと、真正ジム山下会長が3月28日、久保隼の試合を皮切りに、月1回の興行を目指すと語ったそうです。
誠に頼もしい限りですが、やはり年内に試合が続いたこともあって、少し間が空きます。
まあこれは、コロナ渦だからどうというより、例年そういう感じではあるのですが。

久保の相手は、中野幹士に敗れたものの、ダウンを奪って苦しめた佐伯瑠壱斗。大柄でやりにくそうなスタイルだし、簡単じゃなさそうです。
しかし、そういう苦しい部分もあるのが、本当の勝負というものでしょうね。
厳しい状況の中、組まれた試合ですし、大事に闘ってほしいと、差し出がましいようですが思います。



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ということで、一曲。
U2 “Invisible” です。








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