さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

落日

2005-11-28 23:50:09 | 話題あれこれ
ロイ・ジョーンズとアントニオ・ターバーのラバーマッチを
WOWOWでやってました。

かつて、リングの中で全てを支配し、とてつもない速さ巧さ強さで、
何もかもを自分の思い通りに操り、常にやりたい放題だった人間が、
今やジャブひとつ思うに任せず、怯えて闘っている姿に愕然となりました。
まあ、グレンコフィ・ジョンソン戦でも、同じことを思ったのですが。


私はジョーンズが大嫌いでした。
理由は、彼が自分の強さのみを表現しようとせず、遊ぶからです。

倒せる奴は全て倒す、即座に倒す、つまらなくてもいいから倒す。
誰をも寄せ付けない強さを見せて、孤高の頂に立つ。

それが一番かっこいいこと、称えられるべきことだと思うし、
彼ならそれが出来たはずなのに、彼は一度たりともそういう
私の期待に応えてくれませんでした。

彼はきっと、強さだけでなく「優秀さ」を見せたかったのでしょう。
私には、そういう彼の姿がまったく魅力的には見えませんでした。


しかし、その彼も、今や何もかもを失い、怯えた顔を観衆の目前にさらし、
惨めな試合をして敗れました。

ジョーンズ大嫌いの私の心中に、しかし、快哉はありません。
こんな「むごい」話があるのか、と思うばかりです。
時の流れか、ヘビー級からのUターン失敗か、
理由はなんであれ、もはや意味がありません。


どんな強いボクサーでも、どれだけ勝ち続けていても、いつか敗れる日が来ます。
ボクサーとは、常に敗れる日に向かって戦い続ける英雄たちです。
その敗北が落とす影の長さを見て、人は、そのボクサーの強さを、偉大さを知るのでしょう。

私は、やはりジョーンズが嫌いなままです。
しかし、ジョーンズはやはり偉大なボクサーだった、と、しみじみ思っています。

レジー・ジョンソンをダウンさせた、文字通り稲妻のようだったワンツーパンチと、
しかしその後、遊んで試合を長引かせたジョーンズに心底腹を立てて、
TV画面を罵っていた日は、もう二度と、戻りません。
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府立トリプル、カメなどなど

2005-11-27 10:00:02 | 話題あれこれ
遅まきながら22日の府立トリプルタイトルマッチについて。
入場演出は凝っていたし、いろんなプレゼント企画もあったり、
総じて意欲的な興行であったと思います。
客入りは4千人を超えるくらいだったそうですが、
ああいうのを年に何度かやって、うまく宣伝できれば、
徐々にボクシングファンを増やせるんじゃないでしょうか。

名城×松浦戦は本当に良い試合でした。
名城の技巧と馬力、松浦の鬼気迫る闘志がぶつかり合い、
見ていて息の抜けない試合でした。
二階席から見てた限りじゃ接戦ながら名城の勝利は動かない、
というイメージでした。

名城は次、世界戦だそうです。
是非論はさまざまにありましょうが、キャリア11戦の相手を32秒で倒したデビュー戦をはじめ、
彼が組まれた試合全てにほぼ「満額回答」を出し続けているさまを見てきた者としては、
名城だけはちょっと違うぞ、という思いもあります。

しかし
「あれだけの逸材なんだから、世界獲るだけじゃなく、
長く防衛出来る選手にならないといけない、そう思うとやはり拙速はいかん」
という意見にも、うんうん、と頷いてしまいます。

ファン心理としてはちょいと複雑ではあります。
しかし乗りかかった船や、どうなろうと応援するで名城!というのが
いかにもありがちな私の結論ではありますが(^^;)


小松×カツバイは、前半、小松がよく動いては当てて、
という感じだったのですが、後半失速して苦戦。
2-1判定でした。
小松はOPBFタイトルを最初に獲った頃のフットワークや
コンビネーションのスピードがよみがえってきたと思わせたのですが、
途中からがくっと落ちました。
試合後には内藤戦を希望するコメントが出ましたが、
前半の良さが出れば面白いと思います。
ベストの力を出し切ってもらいたいです。

サキオ・ビカ×荒木戦は、
ビカの左ジャブに突き放されて動きが止まってしまった
荒木の完敗に終わりました。
雪辱を期した荒木でしたが、無念であります。

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ということで昨日は亀田×アランブレット戦をTVで見ました。

なんというか、あんなにタダ同然で攻勢を取れてしまう試合を、
どう見たらいいのかな、というのがまず疑問です。
そういうお膳立て込みのマッチメイクである、という前提なしに見れば、
亀田がすごく強く見えるんでしょうが。

自分と同じフライ級の標準的なパワーを持った選手が相手でも、
あんな調子で押し出せるんなら大したもんなのですが、そこがわからない。
冷静に闘っていましたけど、それは何故かというと、
やはりいざ身体が当たったら自分の方が押せる、故にさほど強いパンチも来ない、
という前提がありゃこそなので。
 
実際、右リードなしで中途半端に左肩を前に出して、近づいてから左を先に打っていきますが、
あそこで打ち返されても大丈夫なパワーしかない、そんな相手ばかりですしね。
アラン然り、今までのタイ人しかり。

ただ、子供の頃からの鍛錬、副業なしの練習環境、そして伸び盛りの若さ、
これらが相まってすごい成長をしているのは確かですね。
他の選手にはないものを持っています。

しかし、たとえば名城信男や大場浩平を見ると、一目見るだけで、
ボクシングの全体像、あるいは攻防両面において、大きな可能性を感じるのですが、
亀田の試合をいくら見ても、良い面だけ、片面だけしか見えないように感じます。
つまり「そういう試合」しか組まれていない、ということなのでしょう。
そこを抜きにしての絶賛、礼賛はどうかなあ、ってところです。


で、アランブレット戦の試合自体についていえば、本当につまらない試合でした。
予定調和というか、あんなもんかな、こんなもんかな、としか感じることがなかったです。
眠気を感じつつTVを見ていて思うことは、

「こんなつまらん試合を全国に流すなら、大場とか名城とかを映したってくださいよTV屋さん」

ってことばかりでした、ハイ。
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アヌワット・ゲオサムリット

2005-11-13 23:38:04 | タイ国ボクシング
先日深夜、関西ローカル(だと思う)の雨上がり決死隊司会「雨スポ!」を
見るともなしに見ていると、男前の人気キックボクサー、小野寺力の引退試合の
様子が流れていました。

相手が、ムエタイの最優秀選手賞、いわゆる全階級通じてのMVPみたいなのを
2年連続で獲っているという、アヌワット・ゲオサムリット。
現代最強のムエタイ選手...というだけでは収まらないらしく、
テロップには「ムエタイ800年の最高傑作」。

ひええ。

と、何もそんなのと引退試合なんて、と思うところですが、
小野寺には小野寺のこだわりというかけじめがあったのでしょう。

試合は小野寺のいいコンビネーションも当たりましたが、
2Rに左フック一発で倒され、立ち上がったものの、
右ストレートを連続して喰い、壮絶なKO負けとなりました。

ちょっと小柄にも見えたアヌワットですが、パンチはかなりのものがあり、
それをなかなか、いい角度で当てていました。
短い映像からも、タダ者ではないことがよーわかりました。

この選手、あまりに強すぎてムエタイじゃ敵がおらず、
もう国際式にでも転向せなしゃーない、みたいなお話も聞いたことが。

そのうち、世界タイトルマッチのリングに上がっていたりするんでしょうか。
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小島英次引退

2005-11-07 00:14:24 | 関西ボクシング
ショッキングなニュースでした。
デビュー戦から惚れ込んで、良いときも悪いときも変わらず、
影ながら応援してきた選手です。
デビュー戦での思い切りの良い踏み込みから放つ左ストレートが目に焼き付いています。
相手に恵まれる運があれば、世界獲れた選手だと勝手に信じています。

一度だけ、名古屋の会場で写真撮らせてもらって、少し話したことがあります。
試合前にもかかわらず、すごく朗らかな笑顔だったのが印象的でした。

仲宣明戦の見事な勝利で、ようやく多くのファンから高く評価されるようになり、
これから再浮上というときになって網膜剥離とは、あまりに無念です。

今日はエリック・ロペス戦が予定されていたわけですが、
仕事で見に行けませんでした。
それが引退式に変わったそうですが、どんな風だったんでしょうか。
試合と同じくらい、いや、それ以上に、この目で見たかったです。
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名古屋行きました。

2005-11-06 23:40:42 | 大場浩平
3日の祝日に大場浩平を見てきました。
WBC14位のホセ・アンヘル・ベランサにボディ打ちを再三決めて勝利。
また良い経験を積み、さらなる成長を期待できそうです。

ネット上ではあの試合を地元判定であると言ってるのがおるそうです。
あの試合見て、そんな意見が出てくるはずはないので、明らかに嘘なのですが。

しかし、会場は超満員、とまでは行かず、せいぜい7~8割の入り。
TVも東海地方のみ、深夜録画。

試合自体の意義、価値、そして実際の試合内容に、試合の周辺の状況が釣り合っていない。
つまり、実際にリアル・タイムで試合を見ている人間が数少ないが故に、
そんなデマ、ガセが成り立つ余地があるわけです。
そういうことをいう連中の馬鹿さ加減をとやかくいう以前に、そのような現状を
ちょっと寂しく思ったりもします。
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中岸風太

2005-11-03 01:04:17 | 新人王戦
先週の土曜日、新人王西軍代表決定戦を見てきました。

小・中学生のころに、プロの興行で少年同士のエキシビジョンに出たことを理由に
高校生になってから出場停止を受けるという「ヤカラ」な目に遭った、
金沢の天才少年ボクサー、中岸風太(カシミ)が登場しました。

彼が中学生時代、石井広三の試合の前座で、彼のエキシビジョンを見たことがあります。
ロイ・ジョーンズばりのボクシングを平然とこなす、恐るべき少年の姿に唖然となり、
同道した識者の方ともども、そのセンスを絶賛したものです。

あれから4年が経ち、彼はくだらない大人たちのヤカラにも負けず、
プロ入りして中日本新人王となり、大阪にやってきました。

リングに上がった彼は、足馴らしのためにリングをさーっと一周しました。
その姿はまさに彼の名の通り、一陣の風のようでした。

試合が始まっても、その印象は同じでした。
彼は風のように舞い続け、見る者の反射神経を超えた
タイミングと速さを持つパンチを次から次へと繰り出し、
強打の社長ボクサー高野愛を完封しました。

若さとセンス、そして冷静な闘いぶりの中に時折覗かせる、若者ゆえの激情。
何もかもがきらきらと輝いていて、目に眩しかったです。

彼の今後がいかなるものになるのか、私にはそれを断じる見識はありません。
長所短所を語り、評論をすれば、もちろん誰もがそのセンスを認めると同時に、
まだまだボクサーとして「不備」な点があることを語ることもできましょう。

しかし、彼がこの日、私の目の前で放ってくれた輝きは、
そうした言葉とはまた別の価値を持って、私の記憶に残り続けることでしょう。
彼が様々な問題にも負けず、おのが才能をここまでまっすぐに伸ばしてきたことに、
言いしれぬ感動を覚えました。


ボクサーの人生には、いつもリボンがかけられているわけではないが、
自身の才能を、可能性をもって、掴めるだけの夢を掴んでほしい。
心からそう願います。

中岸風太、とりあえずおめでとう。そして次も頑張れ。
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