週末毎にDAZNやWOWOWオンデマンドなどの配信があり、見られる試合が増加してきて、嬉しい限りなのですが、日曜日、観戦に出かけるとなると、それがライブでは見られなくなることもあり、悩ましくもある今日この頃です。
また、日曜の新人王戦は見に行ったものの、月曜祝日の興行までは手が出せず。
しかしこれまた、後日配信という形なれど、我らがBoxingRaiseにて見られました。
そんなことで、簡単に各試合の感想などを書かせていただきます。覚え書きという意味合いでもありますが。
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14日土曜、DAZNにてWBCライト級暫定王座決定戦、
デビン・ヘイニーvsザウル・アブドラエフ。
この日はマガジン、ビート両誌を買いに書店に行き、帰ってきたらちょうどメインという具合でした。
アブドラエフもまずまず実績ある選手のはずですが、スピードで圧倒、相手に打つタイミングを与えないヘイニーが、ワンサイドに打ちまくり、4回終了後にアブドラエフが棄権しました。
記事によると、アゴの骨折の疑いあり、ということです。昨今の趨勢がどう、という以前に、棄権はやむなし。
ライアン・ガルシア、テオフィモ・ロペスと共に、ライト級3大ホープと言われるヘイニー、王座云々は置いといて、まず何より「よう似とるなー」という印象が強烈でした。
メイウェザー似、という選手はいくらでもいるでしょうが、スタイルのみならず身体つきや顔まで、同一系統、という感じ。
左を下げた構えで、広い視野で相手を見て、距離と目で外す、という「基本設計」はもとより、身体を回して外した後、身体を戻す動作と同時に右カウンターを打つところなんか、本当にメイウェザーそっくりでした。
ただ、若い頃のメイウェザーより若干パワーが全面に出ているというか、攻めに比重かけたらこうなる、という風。
本家よりも「打ちたい」風情が残る印象。
情緒の面で、今のところは、ちょっと違いも感じました。
この辺が今後のキャリアにどう出るか、或いはどう変わって行くのか...興味深いところですね。
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15日、日曜はDAZNで、
ハイメ・ムンギアvsパトリック・アロッティ。
WOWOWオンデマンドで、
タイソン・フューリーvsオットー・ワリン戦。
ムンギアは体格の差ありあり、パワーで圧倒。ボディ攻撃を軸に打ちまくり、4回TKO勝ち。
アロッティは一度だけ、右ショートがガードを通過した場面がありましたが、ムンギア、さっぱり堪えず前進。
まあ、実力差もありましたが、そろそろミドル級に上げた方が、という印象も残りました。
で、WOWOWの方は、皆様ご覧のとおり、フューリーが大流血、TKO負けもあるか、という試練の一戦となりました。
カットの瞬間というのは、ワリンがそんなに強打したとも見えず、ちょっと意外なほどの傷でした。
ワリンはその傷を狙って打ち、時にはバックハンドまで出しましたが、フューリーが粘って突き放しました。
米国でも人気上昇のフューリー、その個性派ぶりをボブ・アラムが、アリに準えて称えていたりして、正直「何を寝言抜かしとる」と思ってたんですが、この日の苦境における奮戦、苦しいときこそ闘志を奮い立たせて闘う様、そして試合後のツボを押さえたインタビューなどを見ると、アラムが言うのはこういうところか、と納得させられました。
アラムの言うことに納得なんかしたくないんですが(笑)本当に「えらい奴や」としか言いようがありません。
傷の治癒がどうなるか、ちょっと心配ですが、ヘビー級戦線における貴重な、個性的タレントです。
どの王者と闘っても、大いに「ええ仕事」をして、盛り上げてくれることでしょうね。
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アンダーでは、将来、井上尚弥のライバルにもなりうる?エマヌエル・ナバレッテが、日本ボクシングの歴史にとっても重要人物である、フィリピンの英雄フラッシュ・エロルデの孫、ファン・ミゲール・エロルデを4回早々、右アッパーでぐらつかせてストップ勝ちしました。
一見、バランス悪そうだけど、実は、ここぞいうときの身体の軸がバシッと決まっているし、パンチの振り幅の調整、「寸法」合わせが抜群に上手い。
この手の選手、メキシカンの先達にもけっこういまして、近いとこならビクトル・ラバナレスだったり、宮崎亮に惜敗したヘスス・シルベストレだったり。
古いとこならバズーカ・リモンとかですが、まあそれらの先達の良さ、怖さを引き継いでいて、なおかつタイミングが良く、攻防における判断が洗練されてもいる。
もし、フェザーでも世界上位で通じた強打のベテラン、ノニト・ドネアとの一戦を、井上尚弥が問題なくクリアするとなると、その後の対戦相手候補の中で、そのスタイルの特異さという面では、ゾラニ・テテと並んで、突出した個性を持っています。
この階級は、この程度のカードでは難しかろう、と思ったような統一戦が実現したりと、意外に賑やかなクラスではありますが、所属がトップランクということもあり、将来的に、井上尚弥が階級を上げたら、対戦の可能性は高いのかも、と思ったりします。
もちろん怖さもありますが、その上で、見てみたいなと思うカードですね。
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さて、16日の月曜祝日は、関西で二興行、中部で一興行あり。
BoxingRaiseで見ることが出来ました。
府立地下の
野中悠樹vsヤン・ヒョンミンは、2-1で野中の勝利。
序盤に好打してひと山作る、という野中のベストパターンにはならず、動いて外す野中が散発的にヒット、という立ち上がり。
ヤンはもうひとつ物足らないスタートながら、6回に野中が打ってきたところに右をカウンター。
その前から小さい傷が出来ていたのか、この一発で、なのかわかりませんが、野中の鼻梁が切れて、けっこうな量の出血。
ヤンが追撃し、この回は野中打たれる。鼻梁のみならず、鼻血もその後出ていたのか、ちょっと画像では確認しにくいところでしたが、何しろ少し打たれると鼻や口の周りに血が流れるのが...もちろん普通に苦しくもあるでしょうが、それ以上に、見た目に劣勢ぽく見えてしまうのも困りモノだったか。
8、9回、野中はローブローを一度ずつ打って、9回には減点1を課せられる。
11回はクリアに取ったが、それ以外は微妙な印象もあり、全体を見るとドローか、若干野中か、と見えました。
しかし対するヤンが、終盤はすっかり自分の勝ちと見たものか、最終回なども最後の方までほとんど手を出さない。
完全に勝っている選手の振る舞い。それは甘いやろー、と。
野中はベストスタートとはいかず、打たれて切って出血と、苦しい状況で、それを乗り越えて勝ちました。
まるで前日のフューリーのような試合でもありましたが、その条件を取っ払ったとしても、切る前の試合ぶり自体、あまり好調とも見えず。
また、先の細川チャーリー忍戦に続き、試合終盤に減点される行為があったことも、不安要素、というか...良いものではないな、と。
41歳でなお、足から外す防御とカウンターを軸に闘うスタイルは、それ自体が畏敬の対象ではありますが、同時に、当然ながら色々苦しくなってもくるのだろうな、と思わされた一戦でもありました。
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府立地下のアンダーでは、クドゥラ金子の日本ユース王座に挑み、KO負けした安達陸虎が再起戦。
相手は噛ませさんではなく、西部地区の元気印ジムとして知られる、関門JAPANのチェンジ濱島。
こちらもクドゥラ金子に敗れた選手ですが、二度闘って、一度は判定まで持ち込み、内容的にも奮闘しています。
ウェルター級若手対決の8回戦、両者鋭いジャブの応酬から始まり、緊迫の攻防を繰り広げる。
濱島が肩を入れた、突き上げ加減のジャブをズバリと決めれば、安達も右を返す。
2回、濱島の右ストレートで、安達少し後退。しかし安達、ジャブから右ストレートをボディ、次は上。
安達が左で入って、また右ストレートが続くか、というところで、今度は右アッパー。
濱島にとっては「見えないパンチ」だったか、まともに決まって濱島、身体を伸ばしたままダウン。
レフェリーがカウントを止め、ストップを宣告する、強烈なKOでした。
短いながらも濃密な攻防、そして強烈なフィニッシュでした。
安達は見事な勝利で再起。濱島も好選手ぶりを見せました。両者に拍手、そして今後に期待です。
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同日、堺の興行では、ミツキジムの冨田大樹と、三迫ジムの山口隼人が、WBOアジアパシフィックのライトフライ級王座を争い、冨田が判定勝ち。
両者、積極的に打ち合いましたが、スピードと正確さで、終始冨田がまさる展開。
初回早々、冨田の右ストレートで頬骨のあたりが変色した山口、手数では互角に渡り合うが、冨田の右、左ボディ、そして連打の後に打ち返そうというところで、冨田が「追加」してくるジャブに苦しめられる。
終盤、果敢に出て冨田にロープを背負わせる場面もあったが、そこでも巧みに身体を翻し、冨田が正確にカウンターを当てていました。
冨田大樹はミニマム級で小浦翼に敗れたのち、連勝でタイトル獲得。
何かとあれこれつべこべとやかく言われるタイトルでもありますが、試合内容を見ると、非常に充実したものが伝わってくるというか、期待以上に良かったです。
クラスを上げてコンディションが良好なのか、きっと練習段階から、自信を持ってスピード豊かなスタイルを作れている、という実感があったのでしょう。
正直言って、試合の映像を見ていなかったら「ああ、またこんなタイトルで」とか思って、それでおしまいだったかもしれませんが、とんでもない。
日本王者の堀川謙一や、矢吹正道と芝力人の勝者あたりと闘っても、充分やれる、好カードとして見られるでしょう。
数年前まで、関西リングに上位ランカーや個性派が目白押しだった108ポンド級ですが、国内上位にまた、楽しみな選手が出てきた、という感じです。
嬉しい驚きをもらった一戦でした。
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さらにこの日、
愛知県は刈谷にて、緑ジムの興行。
ライト級の長身サウスポー、力石政法が、ニカラグアのフレディ・フォンセカに判定勝ち。
初回に力石が、フォンセカの右を外して左をカウンター、見事にダウンを奪う。
こちらも長身、痩身のサウスポー、フォンセカは元気がなく、2回にも力石の右フックでガクッと膝をつくダウン。
いずれもタイミングが良いパンチで、力石は痩身の中南米選手相手に、離れた距離で落ち着いた試合運びを見せました。
割と、攻めたい打ちたい、という風な印象もありましたが、今回はその辺が違って見えました。
反面、試合全体としては平坦な印象も。浅いキャリアで、格上相手の試合を重ねている選手ですから、仕方ない部分もあるとわかってはいますが。
何でも今回、試合契約が成立したときには、WBAの15位以内に入っていたフォンセカのランクが、試合直前になって落ちてしまったそうで、力石にとっては残念な、というか、そんなんありか、という感じもあったのでしょう。
他人事ながら、酷い話ではあります。この辺、いったい何がどうなっているものやら...。
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ということで、覚え書きを兼ねた感想文でした。
今日はまた、
BoxingRaiseで18時ごろからライブ配信あり。
久我勇作の防衛戦はもちろん、アンダーにもDANGAN興行ならではの注目カードがあり、楽しみです。
村地翼という選手は、見たことがないんですが、4戦のキャリアでフローイラン・サルダールに挑むというのは、率直に言って驚きです。
じっくり構えて狙われたら、なかなか大変だと思いますが、そういう想像を覆すような試合を見せてくれたら、ニューヒーロー誕生でもありますね。
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ということで、一曲。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「世界の終わり」。