さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

4試合目は余計でした

2010-05-25 10:37:53 | 海外ボクシング
昨日見ました、イスラエル・バスケスvsラファエル・マルケス、4戦目。
3試合やって2勝1敗、決着はついているんだから、4戦目やる意味あるのかなぁ、と疑問でした。
しかし、4度目やるからには、双方共にまだまだやる気で、元気で、自信あるからやるんだろう、と思ってもいました。

結果、やる意味無かったですね。やっぱ、3試合で打ち切るべきでした。
タイトルがかかっていない試合だから余計に、内容が問われるはずなんですが、
両者共にすっかり疲弊していて、試合始まった時点で動きが切れず、
のそのそ動いて打ち合うのを見て、思わずめまいがしました。何じゃこれ、と。

もちろん、やれば儲かる、稼ぎになる、だからやる、というのもひとつのプロの生き様ではあります。
しかし、それを踏まえた上で、甘いと言われるのも承知で...ボクシングというものは、
そういう割り切りを超越した別の何かを、見る者に感じさせるものであって欲しい、と言っておきます。

少なくとも昨日見た試合は、私を含め多くのボクシングファンの記憶に残るであろう
イスラエル・バスケスvsラファエル・マルケスの3試合とはまた別のカテゴリーにある試合でした。
少なくとも、私にとっては出来る限り記憶から消し去りたい試合でした。残念です。
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順当に勝てる凄さ

2010-05-17 23:15:39 | 関東ボクシング
悪い流れがひとまず止まってくれました。

長谷川、名城と王者の敗戦が続き、昭和40年代の「雪崩現象」を引き合いに出す向きもあったりしましたが、
とりあえず内山はいつも通りに丁寧で、冷静で、しかし勇敢で、つまりは盤石でした。
身長、リーチでまさる挑戦者グラナドスに対し、ジャブを外せるぎりぎりの距離を取ってプレッシャーをかけ、
繊細にパンチを外しては的確に決める強打で脅かし続け、6Rに右クロスでダウンさせ、
さあこれからと思ったらレフェリーとグラナドスの認識違いでそのまま試合は終わりました。

内山高志、確かに技量に差のある挑戦者でしたが、あの体格差をものともせずに「順当勝ち」とは
初防衛としては充分、合格点の試合だと言えましょう。
丁寧に外して、要所を見極めて打ち、相手に楽をさせずに一手ずつきっちり詰めていく。
その揺るぎなさ、頼もしさは、逸材が持てる才能を開花させた幸福を、ボクシングファンに感じさせてくれますね。
長谷川、名城が王座を失ってなお、こういう王者がいることは、ファンにとってとても嬉しいことです。

これから対戦相手のレベルが上がってきて、そこで苦しむこともあるでしょうけど、
彼は少なくとも、自分の力量の全てを出し切って、然るべき内容と結果を見せてくれることでしょう。
元王者リナレスか、暫定王者ソリスか、或いは他の強敵かわかりませんが、
さらに上のレベルで内山がどこまで行けるか、早く次を見てみたいところですね。


しかし最後の終わり方だけは、ちょっとどうかなぁ、と思いますね。
スペイン語でカウントしてたら違ったのかな、と最初に思ったのですが、
考えたら当然、ルールミーティングで英語でカウント、って確認されているわけでしょうし。
ただ、立てるなら早めに立てばいいのに、と思う反面、レフェリーも杓子定規に打ち切ることはない、とも。
何にせよ、ちょっと締まらない終幕ではありました。
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名城陥落

2010-05-08 22:31:23 | 名城信男
名城信男、3-0判定負けで陥落。ウーゴ・カサレスが再戦を制しました。


ちょっと辛口ですが、名城があまりに単調で、緩急に欠けました。
サイドに出ず真正面に立ち、重心も高く、踏み込みの速さもない。
左ジャブを出していた序盤はともかく、それを嫌ったカサレスが
アウトサイドから重い右を多用してジャブを抑え込みにかかった4R以降、
ほぼ完封されたという印象です。かなり打たれてもいましたし。

名城は歴戦の疲れか、減量苦か、はたまた噂される腰痛の影響か、
相手にとって闘いにくいファイターだった頃の面影が見られませんでした。
これでは巧者カサレスにさばかれたとて、致し方あるまい、という印象です。
有効打で劣って、かなりきつかったはずですが最後まで意地を見せましたね。
私は116-112、カサレスと見ましたが、これでも名城に甘いかな、とさえ思います。

もちろん、ベタベタの名城ファンである私ですので、負けという結果は残念ですが、
名城は現状での力を出し切って闘ってくれたわけですから、
それで結果がこうなら仕方ない、という感じもしますね。


対するカサレスは巧みなスイッチと、ロングの右を巧く使って名城のジャブを封じ込んだように、
3Rまでの悪い展開を変えられる巧さがありました。
前回の反省を生かして、終盤も安易に引かず、名城を懐に入れないよう、懸命に突き放してました。
敵ながらあっぱれという感じで、見事な王座奪取でした。


名城にはまず休養が必要だと思いますが、もし再起するならば、
少ない試合数で大試合を闘ってきたキャリアをそろそろ省みて、上のクラスで転級し、
しっかり地固めをしてから、さらに上を目指してもらいたいものですね。
このあたりは色々事情もあり、他人が言うほど簡単な話ではないようですが。

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9年後の敗北

2010-05-01 00:44:03 | 長谷川穂積
9年前、初めて長谷川穂積の試合を直に見た日、彼は敗者としてリングを降りました。
5年前、ところも同じ武道館で、彼は世界チャンピオンになりました。
そして今日、久々に直に見た長谷川穂積は、フェルナンド・モンティエルに敗れました。


9年前の彼については、拙サイトに観戦記を書いたことがあります。
私はその時、才能ある若者が、ボクシングの持つ残酷な宿命に飲み込まれ、その才能を花開かせることなく去ってゆくのだろう、という諦観と、しかし自分の目に焼きついた才能の煌きに心が揺らぎ、どうにも整理のつかない思いを抱いていたものです。

9年後の今日、王国メキシコの軽量級を代表する名手、フェルナンド・モンティエルと相対する長谷川穂積を見て、試合開始直前「信じられんなぁ、ホンマにやるんや...」と思わず呟いてしまった自分がいました。


試合については皆様ご覧のとおりです。
長谷川の右リード&パーリング、そして速く重い左は、モンティエルを苦しめ、その力を封じつつありました。
しかし、序盤、懐に入れず苦しんでいたモンティエルは、右リードと同時に右足をはっきり前に出し、スイッチして体をひねり、パワーをためた左フックを狙い出し、長谷川を脅かしていきます。

4R残り10秒、右リードから左フック、その繰り返し、結果として4連打。
長谷川穂積は完璧に打ち込まれ、己の身体を支えられず、さらなる追撃を受け、試合はこの回残り1秒で終わりました。
ボクシングは誰の目にも止まらぬうちに、取り返しのつかない形で、勝敗、優劣、明暗が切り分けられてしまう闘いです。
これまで、幾多の強者を打ち破ってきた長谷川に、敗北が与えられる姿を、9年ぶりに見ました。


しかし、私の心中に、9年前の諦観、哀しみを見てしまった悲観はありません。
彼がこの9年の間に重ねてきた数々の勝利、それによって打ち立てられた天才の証、慢心することなく成長し続けてきた姿は、たったひとつの敗北によって、無になるような不確かなものではありません。

この敗北をも、さらなる力に変えてさらに飛躍しうる、それが長谷川穂積なのだと。
さらに偉大な王者となって、再び起ち上がってくる、長谷川穂積になら、それを期待しても大丈夫なのだと。
私は、そう信じています。

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