さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

いろいろと「がっかり」な再戦 ウォード、反則打でコバレフをTKO

2017-06-18 18:10:46 | 海外ボクシング



そういうことで今日は午前中からWOWOWオンデマンドを見ておりました。
前座からKO続出で、わりとサクッと見られた感じでした。
簡単に感想を。


メインのアンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフ再戦は、楽しみにしてはいたんですが、
色んな意味でがっかり、な一戦となってしまいました。

前回は、初回からコバレフが厳しくジャブで突き放し、ウォードを威圧しましたが、
ウォードがその轍を踏まなかった印象。
圧されて揉み合い、という場面が多いのは変わらずですが、左フックや右のヒットがあり、
一方的に圧されはしなかった。

2回、コバレフがローブローをアピール。
コバレフ、徐々に動きが重くなっていったが、思えばこれがそのきっかけだった?

3回まではジャブや逆ワンツーなどで、コバレフが取っていると見たが、
ウォードの巧さを過大に見れば逆もある、という程度のリードでしかない、という印象。
もっとも、過大に見る、という仮定自体が、そもそもおかしいですが。

4回、コバレフの攻める流れを、ウォードが断ち切り始める。
単発のヒットを取り、コバレフのジャブを食うが右は外す。
打ち合いは少しだけあるが、すぐクリンチ。打ってクリンチ、外してクリンチ。
毎度毎度、ご苦労さんです、という感じ。

まあ、そもそもパンチがない上に、下のクラスから上げてきて、コバレフと闘っているのだから、
ある程度までは仕方ないと見るべきなんでしょうが。

5、6回はコバレフミス増加、ウォードが単発ヒットとクリンチで、ポイントを取る、というより、拾う。
7回、コバレフまたローブロー主張。
8回、ウォードのボディ攻撃、コバレフ止まり右喰う。
見るからにローブローくさい左の連打でコバレフ身体を折り、レフェリーストップ、TKO。


この辺の流れは、率直に言って、あらゆる面でがっかりでした。
コバレフは、ウォードの機動力と当て勘、クリンチを厭わない試合運びに対する対策、
或いは備えのようなものが何も見えず、ずるずるとペースを落としてしまったし、
ウォードのポイント収集の手管もまた、技巧の冴えというには、余りに貧相なものに見えました。

挙げ句に終わり方が意味不明。角度的に見て、けっこう露骨にローブローに見えたし、
正面からのスロー映像を見ると、そのとおりの反則打。しかも数発まとめて。
しかしレフェリーはでんでん虫。その上、即座にストップしてしまうんですから、酷い話です。


まず、コバレフを気の毒に思います。しっかり突き放せなかった試合運び自体、良くなかったのも確かですが、
だからといって「ローブローがなくても結果は同じだった」という仮定で、
こういう酷い裁定をされた敗者を語るべきだとも思いません。

試合前から、陣営絡みで妙な話が飛び交っていたりしたことも含め、
試合後の様子を見ると、精神面から揺さぶられていた印象でもありました。
正統派の技巧と、図抜けたパンチ力を持つ貴重な存在だけに、捲土重来に期待したいところですが。


ウォードについては、あの体格とパワーの差がありながら...という点は認めますが、
それにしたってなぁ、という風にしか思えません。
ローブローについてはどこまで意図的か否かはわかりませんし、その技巧は紛れもなく本物でしょうが、
同時に、ここまで露骨な「乳母日傘」がアメリカでも成立するのか、という驚きが先に立ちます。

そして、相変わらず魅力に乏しい試合ぶり。レフェリー、ジャッジ全員米国人を揃え、
こんな裁定をしてまで、護ってやるほどの「タマ」なのかね、という疑問もまた、同様でした。

前座に出たWBA暫定チャンピオン、ディミトリ・ビボルや、アルツール・ベテルビエフのような
強いロシア勢あたりが、コバレフの仇討ちを果たしてくれれば、私はきっと快哉を叫んでしまうことでしょう。
今のところ、そういう思いが強く残った、残念な再戦でした。


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ギジェルモ・リゴンドー様の試合は、これまたすっきりしないというか、ごちゃごちゃした感じで終わりました。

相手の選手が、なんやら吠えながら打ってきて、変な感じでしたが、初回終盤、打ち合いになって、
リゴンドーが右手で首を押さえつつ、左三発くらい打って、最後のがゴングの後でした。
間の悪いことに、それで相手が倒れ、すったもんだの挙げ句に、やっぱりKO勝ち、という裁定。

右手で押さえて打ったこと、ゴング後だったこと、どちらも事実ではありました。
一連の流れだったから、打ち合いの最中だったから、ゴング後に打ったことは仕方ないのでしょうが、
やはり最後のパンチは、動作自体がゴングの後から始まっていたように見えましたし、
あれをKOとして認めるのはどうかなぁ、という印象ではありました。
反則負けだとは思いませんが、やはりこういう場合は、無効試合なんじゃないかなぁ、とか。


昔、ハグラー対レナード戦で、初回終了時、ハグラーがゴングと当時に手を止めてガードを上げ、
その構えのままコーナーに去ったシーンがありましたが、ああいう格好良さを、今の選手は知らないんでしょうかね。
レフェリーが割って入るまでは打って良い、打つべきだ、という勝負論を、
ラウンド終了時の場面に持ち込むことにも疑問を感じますが、
それ以前に、そういう理屈を越えた何かを表現出来るボクサーを、たまには見たいと思ったりもします。

リゴンドーくらいレベルが高ければ、打ち合いの最中でもゴングを聞き分け、最後の一発は止める、
くらいの余裕というか、粋なところを見せてもらいたいなぁ、とも。
まあ、そんな情緒的な話とは、別世界に生きている人なんだろうな、ということも、重々分かってはいますが。



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当然の再起/タイホだ逮捕だ/こちらも大舞台/盛り上がらず?

2017-06-10 16:41:20 | 話題あれこれ



村田諒太、正式に再起表明

あの判定負けを受けて、複数のTV番組でインタビューやら密着ドキュメントやらが放送されていました。
結果が残念で、どう見ても「不運」「悲運」であったことが、却って村田への注目度を上げた、
そんな印象でもありました。

事がなんであれ、ボクシングが世の広範な注目を集めることは、まずは嬉しいことです。
そして、その注目の中心にあって、村田諒太の言動は、概ねそつがなく、当世風なものに見えました。

あくまで冷静で、知的で、自分について、試合について、客観的に語っていて、
我々が思い描く、エゴイズムやナルシズムを隠しきれないボクサー、ファイターの姿とは、
だいぶ違って見えた、というのが、正直なところです。

しかしその中でも、ところどころに、彼の立場から来るプライドというか、発想の原点が見えたな、という部分もありました。
「一番怖いのは、負けたような試合を勝ちにされること」という発言は、その最たるものでした。

確かに、そういう事例は過去にもけっこうあって、そのたびに世間は、ボクシングというものに冷たい目を向け、
何とも見下げたものだ、という認識を強めていった。これが近年の日本ボクシングの、一面の真実です。

しかし今回、皮肉にも、その真逆のことが起こったが故に、村田諒太は世の注目を集めることになりました。
その悲劇性故に、今後の彼には、これまで以上に多くの声援が集まることでしょう。

そうした状況で、ボクシング界を代表する存在となった村田諒太が、どのような闘いを見せるのか、見せうるのか。
正直、期待よりも、心配の方が若干強めではありますが...。


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その村田絡みというか、WBOミドル級のタイトルマッチを巡って、こんな話が。
暫定王者が逮捕され、王者サンダースがまた試合出来ず。なんとも気の毒な話です。

村田の今後のマッチメイクがどうなるか、という話になると、WBAとは遺恨が出来たから他へ、
いやエンダムへの雪辱戦があって当然だ、WBCやWBOからも「オファー」がある、などなど、
知らない人が読んだら、まるで世界のミドル級シーンが、村田を中心に回っているかのような記事だらけで、
呆れるやらげんなりするやらです。
直近ではWBCでも3位になったそうで、なんだろうな、という感じですが。

色々考えれば、エンダムとの再戦を日本で、というのが基本だろうなとは思います。
試合自体の勝算も、その他諸々の事情にかなうのも、この試合が一番であろうと。

もし、そういう枠から逸脱したレベルの道を、村田諒太が行くのなら、
ボクシングファンとしての、村田への思いは今より強まるかもしれません。
仮にタイトルがかかっていなくても、真に「世界」の中心に近づくための試合に
村田が挑むようなことがあれば、と言い換えてもいいでしょう。

...まあ、たぶんそうはならないだろう、と思いはしますが。


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さて、日本のボクサーが海外で闘う大試合が続きますが、帝里木下の試合も決定
マックジョー・アローヨとのIBFイリミネーションバウトが流れ、
どうなるのかと思っていたら、タイトルへの挑戦権が認められたとのことです。

舞台は豪州、パッキャオvsジェフ・ホーン戦のアンダーに入るとのこと。
パッキャオの試合にしては、メインがカード的に弱いのは事実でしょうが、やはり大舞台ではありましょう。

挑む相手はIBF王者ジェルウィン・アンカハス。
以前、井上尚弥の相手に名前が挙がった際、記事を書きましたが、その後初防衛戦も快勝して、
御大パッキャオと同一興行で闘うとなれば、きっと万全、気合い充分でしょう。

帝里は大柄なサウスポーで、減量苦もあるかも知れませんが、
身体の力、バネには本来、相当なものがあり、相手に合わせず攻め込んでいきたいところです。
ゾラニ・テテ戦では、スパーで切った傷が悪く、序盤を凌ごうとしたらペースを取られてしまい、
挽回できなかった、という悔いがある、という話を聞きました。
結果どうあれ、まずは万全の状態で、悔いなく闘い抜いてもらいたいものです。

で、当然、この試合は、WOWOWの生中継に入るんでしょうね。
「いけず」をせずに、気持ちよく放送してもらいたいものでありますが...(笑)


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こちらもう明日、ではなくて来週日曜日(^^;)
まずはWOWOWオンデマンドにて生中継配信。
イニシャルなしの「世界ライトヘビー級タイトルマッチ」、直接の再戦となります。

しかし、杉浦大介記者の記事によると、どうも盛り上がってないのだとか。

うーん...要因は記事中にも色々書かれてますが、やっぱり前回の試合内容、
というよりも判定の是非が、って話なんでしょうかね。

私は現行の採点基準が、ボクシングファンやマニア以外の、一般のスポーツファンには難しい、
周知が足りず、理解されていない、という現実を認めた上で、ある程度は容認せざるを得ないものだ、
と考えているクチではあります。

前回のウォード勝利の判定については、微妙な感想を持ちましたが、現行の採点ではありうる、と思う反面、
あの程度の「反撃」を評価しない、という見方の方が「一般的」であるのも事実かな、と思います。
デラホーヤvsメイウェザー戦の際、ジョー小泉氏が書いた記事と同様の危惧を抱きもします。

ウォードの人気がどう、という部分は確かにあるでしょうが、
今回の再戦が不人気だというのは、もっと根本的な欠陥、欠落こそが、
その理由であり、原因なのかもしれません。

この再戦を、生中継で見られるのはありがたい、是非見よう、と個人的には思うんですが...。
で、とりあえず、個人的な好みでいくと、コバレフ頑張れ、ですね(^^)



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山中慎介13度目発表 左右の「強連打」者、ルイス・ネリーを迎える

2017-06-08 01:28:53 | 関西ボクシング



ということで、山中慎介13度目の防衛戦は、かねてから噂のルイス・ネリーに決定。
お盆の京都で世界戦とは、なんとも意表を突くスケジュールで、
観戦しに行くか否かは正直、迷うところではあります。
同じ「府立」でも、大阪にしてくれたら簡単なのに...と思いますが。


さて、ネリーについては三浦勝夫氏による、この記事が今のところ一番詳しいと思われます。
直近のマルティネス戦前に、計量パスに四苦八苦していたこと、
相手のランキングが直前に急上昇したことなどは、事実として知っておくべきことですね。

しかし、試合ぶりをいくつか見ると、山中にとり手強い部分を確実に持つ相手である、
それもまた、間違いないなと思わざるを得ません。
動画を探すと直近4試合がすぐ見つかります。ざっと見た感想などを。



まず2016年7月30日、ダビ・サンチェス戦。サウスポーがネリー、右がサンチェス。
WBC米大陸バンタム級タイトルマッチ。





初回、サンチェスの右フック、ガードの外を巻く一発を喰う。
しかし左強打をねじ込んで反撃。左ショート、次にアッパー気味のパンチで追撃。

2回、打ち合いで左ボディアッパーを決め、攻勢。
3回、連打から左でサンチェスをロープ際へよろめかせる。ダウンではなし。
4回、L字ガードで誘い左アッパー。対角線のコンビを重ねて攻勢、ボディ連打で倒す。
この回終了後、サンチェスが棄権。

元WBA暫定王者相手に、ネリーがその攻撃力を存分に見せた一戦。



2016年10月22日、リッチー・メプラナム戦。
黒トランクス、白ラインがネリー。青地に赤ラインがメプラナム。
サウスポー同士の対戦。この辺から本格的に山中挑戦を見据えていた?





初回、柔軟なメプラナムが、頭の位置を変える防御で外し、攻め込む。
しかしネリーが左一発合わせる。メプラナム、威圧され、前に出られなくなる。
ネリーが重い右ボディを連発して左へ繋げ、攻勢。

2回早々ネリーが出て連打。左アッパーで転がるようにダウン。
立ったがネリー左一発、二度目のダウンでストップ。

体格で勝る相手とはいえ、サウスポー相手にも違和感なく攻め、圧勝。



2016年12月17日、レイモンド・タブゴン戦。
金髪の右構え、タブゴンはこの前の試合で、ファン・エストラーダ相手に判定まで粘った選手。





初回、タブゴンがジャブを突く。ネリー少し見て立ったかと思ったら、
スリーパンチから左右の重いパンチをあれこれ打ちまくる。強引も強引。
この攻めで威圧しておいて両手を下げ、さらに出る。毎度のパターン。
しかし連打の最中、タブゴンの右を合わされ、不覚のダウン。

2回、正対しての攻防で、タブゴンのジャブ、右も入るが、ネリー強引に攻める。
左右ボディ、ワンツー、上にフック連打、ロープに突き飛ばしてボディ攻撃。
3回、タブゴン勇敢に打ち返すが、4回ネリーが左のレバーパンチから右フックを上に。
連打で詰めて、ストップ。

果敢に打ち返すタブゴンにやや手こずった印象。
正対しての攻防における防御勘、または意識の低さという、ネリーの弱点が見えた一戦。



そしてこちらが、三浦勝夫氏の記事にもあった、直近の試合。
今年3月11日、ヘスス・マルティネス戦。サウスポー同士の一戦。
白地に水色のサイドラインがマルティネス。映像は初回30秒くらいから。





初回、ネリーが右リードを多く出す。当然、後続の連打もスムース。確かに4分くらい闘っている。
2回、低い構えの肩越しに、マルティネスの左ヒット。ネリー少し間を置くが、連打で反撃。

3回、ネリーじりじり出て、ボディから左を上に返す。じっくり見てまた同じパンチを決める。
4回、L字ガードからジャブでセットアップ、左ヒットして連打で追撃。
ゴングと同時に左、マルティネス跪く。ゴングに救われた形だが、この回で棄権。

まだまだ荒いが、ネリーなりに攻防が整ってきたとも言える一戦ではあるか。


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ということで、まずは防御から。
ガードの構えは普通の高さだが、あまり繊細な感覚での防御はない。
普通に構えているときは、足はあまり動かさない。
この時のポジショニングは避ける意識より、打てる位置取りの方に意識が傾いている印象。

試合が進むと、両手を下げて前に出たり、足を使う場面が頻繁にある。
低い構えから上下左右に、自在に強いパンチを連打する。
いわば攻撃の威力で威圧することを、防御の代用にしている面がある。
L字ガードから右ジャブを突いたり、左アッパーをカウンターする構えも見せる。

しかし連打の際、防御に穴が開いている。攻めて相手の手を封じているときは良いが
相手に打てる余地が残っているとき、単発ながら好打され(サンチェス戦)、
ダウンを奪われたりする(タブゴン戦)。


攻撃には、総じて威力があり、厚みがある。
ストレート、フック、アッパー、どの種類のパンチも、割と遠くから打てる印象。

攻める展開になると、連打が切れ目なく続く。「ワンツー止まり」を嫌う風。
大抵三発、或いは四発目まで返す。しかもパンチが左右共に重い。
身体の回転、腕の力、遠心力をフルに生かす打ち方で、当て際が強く、威力がある。的中率もけっこう高い。

この連打の組み合わせは、遠くから左右フックのボディを「散らして」おいて、
ストレートないしはアッパーを上、なおかつインサイドに狙い、続いて左右フックを上、アウトサイドから、
というパターンが基本のように見える。

だが、その連打の繋ぎにおいて、どこまで意識してかは不明なれど、右ボディ→左フック上とか、
左ボディ(レバーパンチの場合もあり)→右フック上など、相手にとって防御しにくい、
いわゆる「対角線のコンビネーション」が多数含まれる。
そうかと思えば左アッパー顔面へカウンター→左ボディストレートとか、
こんなんやられたら相手は辛いなぁ、と思うようなパターンの連打も。


ということで、全体的に見ると、パンチの威力を前提に試合を組み立て、回すタイプ、というところです。
強打で相手を威圧出来る展開においては、無類の強さを発揮しています。

反面、展開によっては雑な、理屈に合わないボクシングをしていて、
力づくでその無理を抑え込めない場合は、意外に脆さを、或いはその兆候を見せてもいます。


で、山中慎介がどう対するべきか、ですが...。
相手の構えの違いによって、展開を想像してみました。

まず立ち上がり、普通に構えている時、右ジャブや左ストレートで叩いておきたいですね。
ネリーのパンチは、フックもストレートの距離で飛んでくるような印象もあるので、
距離には十分、気をつけて欲しいですが、このギャップが山中を苦しめることもありそうです。

L字ガードのときは、ジャブによるセットアップを心がけているか、左アッパー狙いか、です。
右肩のショルダーブロックは、上手いのかどうか、なんとも言いにくいですが、
山中の左が当たりそうな気はします。相手の狙いを外して打ちたいところ。

両手を下げたときは、ネリーが好打の手応えを得たときがほとんどです。
つまり山中が劣勢、ピンチの時ということになります。
ただ、山中がリードする展開で、強引に攻めてくる場合は、打ち時、狙い時でもありましょう。


はっきり言えば、この防御で山中の左を防げるとは思えない、それが結論だったりします。
しかし、最近の試合で、再三ダウンしたり、好打を浴びたりしている山中の姿を考えると、
やはり一度や二度は、何らかの形で、ネリーに好機を与えてしまうのでは、と危惧もします。

右ジャブや足捌きを徹底するより、左ストレートの威力で相手を止める、という風なところは、
物凄く大ざっぱに「大別」すれば、山中もネリーと同様...というのは躊躇しますが、
似ていなくもない...ような気もしなくない...と思ったりします。

ことに「最近の」という条件付きで、山中がネリーと同じ「土俵」に上がる、というような場面が
長く続くようだと、ネリーの強打連打に巻き込まれ...という想像が、現実になるかも知れません。


長きに渡る防衛ロードの果てに、具志堅用高の記録と並ぶ一戦において、
山中慎介の心技体が、高い集中を保ち、研ぎ澄まされたものであれば、充分攻略しえる相手だと思います。

ルイス・エスタバの記録を抜く、12度防衛がかかった一戦において、具志堅がマルチン・バルガスに
快勝した試合は、新記録達成への高い意欲がリングで爆発したかのような、見事な勝利でした。
山中慎介が、次の試合で、同じような姿を見せ、快勝することを、まずは何をおいても期待します。


しかし、この挑戦者は、ひとつ間違った方へ展開が転んだら、全てを力づくで破壊してしまう、
理屈では計れない、爆発的な力を持った相手でもあります。
アンセルモ・モレノのような「格」には遠い、と思う反面、キャリアの上昇期にある選手、
という面も含めて、ある部分ではモレノ以上の脅威ではないか、とも。

当日、会場にて、或いはTVの前にて、我々は極めて高い緊張を強いられることになるのでしょう。
単に、試合が楽しみ、待ち遠しい、というだけでない心境に、今はあります。
もちろん、そのような緊張を、鮮やかに打ち砕いて勝利する、山中慎介の姿を見たいものですが...。


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エクアドルの「強振男」を撃退 大沢宏晋、再起戦に完勝

2017-06-05 19:10:12 | 関西ボクシング



ということで昨日は堺にて観戦してきました。
大沢宏晋が、エクアドルからやってきたWBA15位、フリオ・コルテスに判定勝利。
オスカル・バルデス戦以来の、再起戦でしたが、充実した試合内容でした。


コルテスは大沢と比べて若干小柄。デビューはライト級だった大沢が大柄だとも言えますが。
開始早々から、低い姿勢で出て、左フックのダブルを強振。
一発ずつ力込めて振るので、これで保つのかと早々に思いましたが、威力はなかなかありそう。

対する大沢は、スタンス広めに設定、足使うよりは、ジャブをしっかり打って突き放す構え。
2回には早々に大沢ペース。ジャブで突き放し、右、左ボディをフォロー。

3回、コーナーから大沢に「頭左に出して左ボディ」「左に出ろ」と指示。
その通りに動ける大沢、好調かつ冷静。
ベガスでの世界戦では、相手どう以前に、大沢自身が不調に見えて仕方なかったが、
今回はそういう印象は全くありませんでした。

コルテスは苦しい展開ながら、呻き声を上げつつ左を強振。単発ながらヒットもある。
4回大沢右を肩越しに当てるが、コルテス前進。ボディフックからアッパー。
基本、フックかアッパーしか出ない感じだが、果敢に打ってくるので怖い。

中盤、コルテスの強振が続くが、大沢がしっかり構えてジャブを打つと入れない。
さらに、大沢左ボディ、右などのヒットで、コルテスが少し後退する場面も。
7回は大沢が左右のボディ連打、右を決め、はっきり攻勢。
8回も大沢出る。コルテスは空振りしてはクリンチ。
大沢好打を重ねるが、好機の詰めが甘く、緩急がなく、フォローが足りない。この辺は課題。

9回も大沢が上下のパンチをヒットさせ、コルテスはホールドを重ね減点される。
大沢がボディから右、ゴングと同時にコルテスが倒れるが、判定はスリップ。ダメージありあり。

棄権してもいいと思ったが最終回、コルテス出て左右を振る。
大沢の右アッパー、コルテス前にのめる。大沢攻めるがコルテス前に。
大沢ロープを背負うも、左フックをカウンター、右から連打で追うが、コルテス耐えて判定へ。

採点はほぼフルマークな上に、減点もあって、大差でした。
さうぽん採点はひとつイーブンか逆があるとしても、9-1で大沢。
9回のスリップはダウンに見えたが、それがなくても10-8つけていいか、と思う内容でした。


相手のコルテスは、フック強振がベースの「スインガー」で、非常に偏ったボクシングでしたが、
一発の威力はなかなかのものに見え、気を抜いたら危ない、という緊迫感は最後までありました。
再起戦の相手としてはまずまずの強敵だったと思いますが、大沢が高い集中を維持して、
しっかり突き放し、好打を重ねて打ち込み、クリアに勝ちました。

試合後の大沢は、しきりに反省の弁を語り「不細工な試合ですみません」「倒せなくてすいません」と
すみませんを連呼していました。確かに好機での詰めに課題があったかもしれないですが、
しっかり構えて突き放し、ジャブとストレートの距離をベースにした展開を崩さなかったことは、
今後に向けての好材料だったと思います。

あのスタンスの広さで構えつつ、なおかつ足で捌いて外す場面も散見されました。
これが安定して出来れば、それこそ徳山昌守や薬師寺保栄のレベルに行ってしまいますが、
まずは好感触、という印象がこのあたりから見えた、上々の再起戦だった、と見ました。

今後は世界ランカー、さらに上位との対戦を、という陣営のコメントも出たようですが、
この日会場に来ていた、かつて対戦した坂晃典との再戦などがあれば、勇んで観戦に行くところです。
その辺はどうなるんでしょうかね。国内上位との対戦なども期待したいところです。
そういう話に前向きになって然るべき、と思わされる、充実の再起戦でした。


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アンダーカードでは日タイ対抗戦が三試合。
いずれも日本勢の「楽勝」でした。

とはいえ、矢田良太、一発だけタイのおじさんの右ショートをまともにもらい、
場内がどよめく場面がありました。
タイのおじさんにも最低限の意地があるのやな、と知った瞬間でありました。


4回戦では、バンタム級新人王予選、すでに4勝1分の戦績を持つ、
六島ジムの原優奈が登場。サウスポー岸根知也(堺東ミツキ)と対戦。

原は六島ジムの興行で何度か見ていて、好選手だと知っていたので、
たぶん今年の西では有力だろうと思っていたんですが、この日は対サウスポーに
若干不慣れなところも見えて、岸根の右フックを再三打たれる、悪いスタート。

それでもアッパー気味の右が段々決まりだし、3回には攻勢に出たのですが、
打ち合いの中、岸根の右フックを食い、微妙な感じながらダウンを取られてしまう。
原は逆転を狙って出て、最終回を抑えるが、ダウンの分だけ及ばず、という採点。
2-0で、岸根が勝利しました。

原にしたら悔やまれる敗戦でしょうが、好選手だし、自主興行を打てるジムの選手ですから、
再起への道は早々に用意されることでしょう。まだまだ今後に期待です。
岸根はサウスポーの優位性、右フックという「当たるパンチ」をしっかり狙ったこと、
そして終始消えなかった果敢さで、強敵相手に勝利しました。好ファイトでした。




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