さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

絵に描いたような立ち後れ 内山高志、暫定王者コラレスにKO負け

2016-04-28 00:49:03 | 関東ボクシング



今夜の、まさかまさかの結末をどう振り返るべきか、それは人により様々だと思います。
しかしまずは、試合自体、闘われた「拳譜」そのものを語るべきであろう、と。
それが、僅か2ラウンズの中に、ボクシングの持つ明暗を鮮やかに描いてみせた二人のボクサー、
内山高志とジェスレル・コラレスに対する礼儀であろう、と。

ですので、記事タイトルは、試合内容についてどう見えたか、ということを優先しました。
試合を見ながら、そして見終えてから、私が一番最初に思ったことは「遂に糸が切れた」
ということでしたが、それを語るのは、後回しでもいいでしょう。


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初回の展開は、これほど悪い立ち上がりがあるのか、と驚くようなものでした。
タイトルのとおり、思い描く中で最悪の「立ち後れ」という感じ。

コラレスは広いスタンスで、遠目に位置し、実に良い案配で上体に角度をつけて構える。
足はそんなに使わない感じながら、手と身体のスピードは抜群。
右アッパー気味のリードから左ストレート、という先制打、そして左フックの好打。

この辺までは「おお、さすが1位というだけあって、やるなあ」くらいに思っていたんですが、
内山がジャブで追い、重心を落として構えようとしたタイミングをワンツーで狙う段になると、
「うわ、こらいかん」と、一気に不安になりました。

何せ、自在に動けるし、しっかり見てるし、当て勘はいいし、常に先手を抑えている。
内山は自分の流れをまったく掴めず、ロープに詰めたと思ったらダックから左フックを食う。
外からフック、内からストレートの連打でコラレスがヒットを取り、最後は足使ってエスケープ。

あの内山高志が、三分間ほぼ何もなし、「手ぶら」で取られた、衝撃の1ラウンド。
しかしそれを上回る衝撃がすぐにやってきました。

2回、コラレス左フック、アッパー。内山も攻め返すが、右の上から左のクロスが決まって、内山ダウン。
コラレス追撃。内山崩れて二度目。

この好機に、コラレスはスイッチを繰り返して攻める。この辺は内山から見れば実に難儀。
右はややラフに捨てて、左でしっかり打つ感じ。内山はクリンチに行く。手はほぼ出ていない。
コラレスは見たあとで出て、内山の手を出させ、右から左。内山三度目のダウン。
スリーダウンKOで試合が終わりました。


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TV東京は毎度のとおり、ディレイでの放送でした。
やはり内山の試合が最後で、残り時間が「これだと、3ラウンドくらいしか放送する時間が無い」という
いつものパターンを踏襲していたので「1位や暫定やといっても、またそんなに早く仕留めてしまうのか。
まさかの逆なんてないやろうしな」と思いながら見ていたら、TVの前でひっくり返ってしまいました。

正直に言いますが、今回の試合については、相手の動画を見ることもせず、漫然と試合の日を迎えました。
相手が弱いと思ったのでは無くむしろ逆で、多分これまでの挑戦者の中でも上位のグレードを持った
巧い選手なんだろうな、と思っていました。
しかし、これまでの内山高志は、どんな相手であろうと揺るぎなく強く、余計な心配無用という試合を
何度も繰り返してきたわけです。

そして、今日もまた世界は変わるまい、と思っていたのですが、そうではありませんでした。
見終えて、ついにこの日が来たのだ、世界というのは突然変わってしまうものなのだ、というか。
ひとことで言えば喪失感が大きすぎて、なかなか気持ちの整理が付かない感じです。
そして、その喪失感の大きさこそが、そのまま内山高志の偉大さでもあるわけですが。


それは新王者ジェスレル・コラレスの実感でもあったのでしょう。
予想不利を受けた1位の暫定王者は、試合が終わると長くキャンバスに伏し、内山の方から
歩み寄って言葉を掛けに行くまで、そのまま立ちませんでした。
その後、陣営の皆様と抱擁を繰り返し、JBCの理事から認定書をもらう際にもまた跪き、という有様。

彼にとってこの勝利がいかに大きなものであったか、それは試合後の様子を見ればわかりました。
試合前日までには、あれやこれやと賑やかな話題を振りまいていましたが、全ては些事に過ぎなかったのでしょう。
全身全霊を込めて闘った末に、彼は偉大な勝利を手にした。
そこにもまた、内山高志の偉大さが証されているように感じました。



ついに、長きに渡る王朝が終わりました。

日本ボクシング界の狭い枠内に押し込めておいていい人材では無い、と誰もが認める強い王者でしたが、
今に至るまで、結局はその枠内での活動を強いられ続けたことは、実に残念です。

しかし、彼の見事な強さ、盤石を絵に描いたような技量、名横綱の如き風格、いずれも史上有数のものでしたし、
それを長きに渡って余すところなく見せてもらえたことには、ただただ感謝しかありません。

今後については、また色々と思うことも含めて「充分」ですよ、と労いたい気持ちです。
敗北という現実を前に、内山高志自身の心がどう動くのかは、凡百の身に知れようはずもありませんが。



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事実上の統一戦も大差で制す ロマゴン、幻の王者アローヨに判定勝ち

2016-04-24 15:11:48 | 海外ボクシング



そういうことで、毎度ありがたく鑑賞した生中継について簡単に。

ローマン・ゴンサレスは、ライトフライ級のエストラーダ戦以来の判定勝ち。
予想は圧倒的有利、WOWOW実況解説陣も序盤KOだと思っていた、とのことでしたが、
現状、対戦候補となり得る、或いは名前が出た選手の中では、実のところ一番手強い相手だと見た
マックウィリアムス・アローヨが、そういう予想を上回る力を見せました。

一発の強打ならロマゴンに引けを取らないアローヨは、序盤、下がらずにしっかり構えて迎え撃ち。
探りの段階だったとはいえ、ロマゴン相手にこれが出来るだけで、やはり只者ではない。

徐々にペースアップしてきたロマゴンの連打、ボディ攻撃が増えると、撥ね付けるとはいかず、
3回あたりから、下がって動いて、という回数が増え、失点を重ねはしたものの、
時に返す左フックのヒットなどで、いずれ詰めようというロマゴンの狙いを阻み、抵抗する。

ロマゴンは7回あたりから表情の険しさが目に付く。目尻や頬のあたりも少し腫れていたか。
攻めても攻めても相手が決定的には弱ってくれず、いつまで経っても強いパンチが死なずに返ってくる。
採点上は優勢でも、心身共にきつい試合だったのでしょう。

結果、多くが期待したロマゴンのKO勝ちとはならず、判定となりました。
しかし、実に見応えのある強者同士の一戦でした。


言ってみれば、これは事実上、WBCとIBF王者による統一戦のようなものだったのでしょう。
一昨年のアムナット対アローヨ戦は、タイ以外のどこでやってもアローヨの勝ちになった試合でしたから。

今現在、フライ級の「世界王者」をロマゴンと見れば、アローヨは間違いなく上位のコンテンダーでしたし、
他団体のタイトルホルダーの中には、残念ながら、彼より力の劣る者もいると思います。
そういう相手との試合よりも、この試合こそは間違いなく「世界フライ級タイトルマッチ」の真実を見られた、
そういう試合ではなかったでしょうか。
いいものを、生中継で見せてもらえた。そういう満足感がある試合でした。


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ゲンナジー・ゴロフキンの試合は、順当なら順当に終わる...というのを少し通り越した試合でした。

対戦相手の方については、海外メディアもその力量不足を早々に指摘していましたが、
私はこのへんの選手についてまで詳しいような、きちんとしたファンでもマニアでもないので、
まあ世界挑戦権がある選手なら、そう滅多なこともないでしょう、くらいに思っていたんですが。

そりゃ、ゴロフキンが強いから、仕方ないという納得もありえるんでしょうけど、
ロマゴンがアローヨ相手に険しい表情で闘い続けたのを見た後で、ゴロフキンの表情を見ると、どうも...。

なんというか「酷いことにならんような形で倒してやらんといかんな」というような。
時々、バラエティ番組やなんかで、ボクサーがタレントさんや素人相手にスパーリングまがいのことをやる
企画がありますが、その時にボクサーが見せる表情と、どこか通じるものがあるようにさえ見えました。

勝ち負けは動かずとも、今後、ミドル級完全制覇へ向けて、ゴロフキンの調子はどうかというのを見たかったですが、
彼の出来自体をどうというような試合にはなりませんでした。
いくら力の差があるからって、肩のとこ打たれて倒れちゃいかんですよね...。


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明日生中継/南アで勝利/と言えばこの人/LF級、西が充実/陽七太動画

2016-04-23 19:00:17 | 話題あれこれ



ということで試合の立て込み具合がまた爆発的になってきている連休前。
話題あれこれです。


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明日はWOWOWでお昼の生中継。ゴロフキン&ロマゴン、強打共演は三度目

ゴロフキンは歴戦の疲弊が感じられない強さを見せていますが、そろそろそういう影のようなものが
ちらほら見えてきても不思議では無い頃だ、と思ったりもします。
相手はちょっと格落ちだとか言われていますが、そういう時に何事かが見えたり、起こったりするものでもあるかなと。
まあ、順当なら、それは順当に終わるんでしょうけどもね。

ロマゴンはマックウィリアムス・アローヨと。
これまた強打と強打の激突ですね。軽量級らしからぬ迫力ある一戦になるでしょう。

再来週にはカネロvsカーン戦も生中継(井上、八重樫の試合の日の昼間)です。
先日のパッキャオ戦といい、毎度ありがたいことですね。明日は楽しみです。
しかもまた、終わったら夕方からGPですわ...。


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石田匠の前のチャンピオン、戸部洋平が南アフリカでKO勝ち
その他にも溜田、切間といったランカーが海外で試合に挑んでいます。

南アフリカで勝つというのはなかなかの快挙ですね。高山勝成以来でしょうか。
相手もまずまずの戦績を持つ選手で、タイトルもかかっていて、ですから。
この勝利が戸部の今後にどういう展望を開くのか、要注目ですね。


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南アで勝利といえばこの人、高山勝成再起表明
次にも直接、世界戦へという記事になっています。
おそらく、段取りというか、まあ前王者なんですからそういうことがあってもおかしくはないでしょうが、
何らかの形で、そういうお話が進んでいるのでしょう。

出来れば、人もあろうに高山がそんなことすんの、という感じの、内向きな話が繰り返されないように
お願いしたいところではありますが...どうなりますやら。


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久田哲也KO勝ち。拳四朗への挑戦希望とのこと。

最近、関西はこのへんのクラスが充実しています。
王者の拳四朗、引退撤回をした前王者の堀川謙一、先日拳四朗に敗れた1位の角谷敦志。
再起三連勝の大内淳雅、最近負けが込んでいるが強打の油田京士、若手の上久保タケルなど。

久田陣営は日時を決めての具体的なオファーを出しているようですね。
実現するかどうかというと、近々ジョナサン・タコニングがWBCの王座に挑戦するため、
空位になる見込みのOPBF王座の絡みもあり、事態は流動的なようですが...。

上記したこれらの顔ぶれなら、どの組み合わせになっても面白そうです。
過去に実現した試合の結果でいけば、この中では堀川が抜けていて、それを拳四朗が攻略し...というのが現状です。
今後、初の顔合わせもあれば、再戦もあるのでしょうが、どの組み合わせも面白そうです。
出来れば、関西のリングでやってくれれば、見に行くの楽で良いんですが。どうなりますやら。


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最後に動画紹介。丸田陽七太の二戦目です。リンクはこちら

最近、ボクシングモバイルの動画が、スポーツナビの動画コーナーにて見られるようになっています。
公開練習や計量の様子などが多いですが、このように試合映像も。

相手が強いわけじゃないから、というのを割引いても、新人としてはなかなかのものと言えそうですね。
二度倒した右クロスの軌道は、いずれもかなり鋭いもので、感心しました。
天与の体格を生かして、順調に伸びていけたら、楽しみな素材ですね。

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突き放さずとも切れ味は抜群 岡田博喜、返り討ちでV4

2016-04-20 18:58:31 | 関東ボクシング




昨夜はホールで角海老宝石興行を見てきました。
岡田博喜と麻生興一の第一戦は、物凄い激戦だったと聞いていましたが、
残念ながら見られず、TVもなく、動画も見当たらず。
ですので初戦との比較は出来ませんが、簡単に感想を。


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初回から、麻生興一が高くて締まったガードを掲げ、ぐいぐい出る。
岡田博喜はジャブで突き放したり、動いて距離を作るのでなく、けっこう引きつける感じ。
そこから速い左の連打、ショートアッパーなどを混ぜて麻生のガードの内側からヒットを取る。

麻生のガードは、普通の選手なら、そうそう打ち崩せるようなものではなさそう。
しかし岡田のパンチは速くて切れ味抜群。もちろん、全部ヒットというのではなく、
けっこう防がれているものの、要所で小さく速い左アッパーの連打が入る。

2回、3回と麻生が続けてカット、腫れと出血がはっきりわかる。もちろん、いずれもヒッティング。
麻生は苦しい展開の中、ガードを締め直して前進を繰り返す。ボディ攻撃や右フックで反撃。
これが岡田を捉え、応援団から大歓声が上がるが、その都度、岡田の速いパンチが返ってくる。

岡田は力を込めて打つより、速さ優先の打ち方だったか。
中盤少し力まざるを得ないシーンもあったように見えましたが、自分の優位な部分をまずは生かした印象。
少し迷う回もあったものの、総じて岡田のペース。

5回くらいからは、最初の1分くらい麻生が押すが、その後岡田がヒットを重ねるパターン。
7回、この試合二度目のドクターチェック、傷の悪化のためストップとなりました。

話に聞いた前回ほど劇的な展開ではなかったかもしれませんが、両者の持ち味、気迫が見られた一戦でした。
初めて直に見た岡田博喜は、ここ二試合の爆発力は見られなかったものの、タフで押しの強い相手に、
ほぼ動じず、揺らぐこともなくペースを維持し、差を付けていたのはさすがでした。
外園隼人や中澤将信との試合で見せた、拳を先に相手のガードの真ん中にスッと割り込ませてから
肩を入れ、肘を回してパワーをかける、独特の右ストレートをもっと見たかったですが、それは先のお楽しみですね。

麻生興一の闘志にも拍手したいと思います。苦しい展開を承知の上で、もっとも岡田に迫り、
苦しめる闘い方を定めて、懸命にそれを貫いた。負傷は無念でしょうが致し方なしか。
こちらも初めて見ましたが、何と凄いファイターか、と驚かされました。


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この興行を見ると決めた時点では知らなかったのですが、セミには小國以載が登場。
ほぼ一年ぶりに小國の試合を見ることが出来ました。これは嬉しいことでした(^^)

和氣慎吾戦ほか、来日試合も多いというマイク・タワッチャイ。IBF8位に名前が「残って」いたそうです。
しかしこの選手、体格からして、小國のように遠くから打てる選手相手は苦手なよう。

初回早々、長い距離、ここから来るとは思ってなかった、という遠いところから
小國が左のボディフック、右ボディストレートを打ち込むと、こらまずい、と思ったのでしょう。
まともに行っても無理ということか、初回終盤に小國の腕をホールドし、ねじ上げようとする。
けっこうタチ悪い。これは減点かと思ったがレフェリー注意のみ。

しかし3回、ラフに来るタワッチャイに、小國が左ボディから右ストレートを上に決める。
たまらずタワッチャイ、ダウン。
小國は相手のインサイドを打てるストレートパンチや、ロングで打てるボディ攻撃の多彩さが健在。
上下ともにヒットを重ねた小國が5回、タワッチャイの顔面を右で「内角」から打ち込み、二度目のダウン。
タワッチャイ大の字となり、KOで小國が快勝しました。

タイの噛ませさんとやっている試合ぶりは見ていないのでわかりませんが、強敵相手にダウンをとっても
なかなか倒しきれない、という印象からすれば、一定の力はある相手をきっちり倒した
この日の小國には少々、驚かされました。やや緩急に欠けるものの、個々のパンチの切れ味を見れば、
こういうKOがこれまでにもあってよかったはずですが、今回はそれが実際に見られました。

正直「世界ランカーをKO」という表現をするには、相手の技量力量と肩書きの釣り合いに
若干の疑問を感じたりもしますが、この勝ち方自体は実に良かったと思います。
今後は国内ライバル対決の実現を経ての「その先」への挑戦を期待したいですが、
そういう方向に舵を切っても充分やれる、と思える、良い勝ち方でした。


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この日は前座も好試合、興味深い試合が沢山。
ヘビー級4回戦は、角海老宝石の大谷広忠という選手が、思った以上に良い動きで手が出る。
右の打ち方が少し甘い代わりに、左ジャブはしっかり打てて、切れもあり。面白そうな選手でした。

下田昭文との試合で健闘した関豪介は、長身の太田啓介にクリーンヒットを許しながらも
果敢に攻め込んでダウンを奪い、負傷判定勝ち。お互いに攻めた後の防御に課題ありか。

土屋修平はタイ人を初回ノックアウトしました。
最初のダウンは上、あと二回は左ボディによるもの。相手の耐久力が不足していました。
荒川仁人挑戦をアピールしていたそうですが、実現するか?カードとしては人気を呼ぶかもしれませんが。


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ということで、よくよく考えたら4日間で3興行を観戦です。
しかも場所が京都、大阪、東京。さすがにここまでの馬鹿をやったのは初めてだと思います。

以前は土曜ホール、日曜関西という観戦をよくやったものですが。
あの頃も今も、変わらぬのは馬鹿である、ということだけですね...(^^;)





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突然足が止まり、ジャブが消えた 石田匠、船井龍一に大苦戦のV5

2016-04-18 16:01:31 | 関西ボクシング



そういうことで連日の観戦です。(大阪)府立の地下に行ってきました。

昨日は府立で一部二部、住吉と神戸でも興行がありました。
またも同地域で一日4興行です。とてもじゃないが、というより、物理的に全部見るのは不可能。

しかもこれがまた、それぞれに興味あり、心惹かれる試合があったりするのです。困ったものです。
今回は府立二部のみしか見に行けなかったのですが、一部では野中悠樹が1位と対戦し、上久保タケルも出る。
住吉では太尊康輝、仲村正男が出て、そして何より、久高寛之が進退を賭けたMJヤップとの再戦がある。
久しくお邪魔していない千里馬神戸の興行も行ってみたい。
なんやらかんやらとあって、本当に辛い取捨選択をせねばなりません。

まあしかし、どれかひとつでも見ておこうということで、時間が空いた夕刻に観戦してまいりました。


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日本スーパーフライ級タイトルマッチは、「一翔以上に井岡弘樹を思わせる」(hiroさん)と評判の
長身のグッドジャバー、石田匠が5度目の防衛戦。相手は1位の船井龍一。
私がつべこべ言うまでもなく、たまにいる「トコロテン1位」ではなく、本当に強い実力派の1位です。

日本ランカークラスの試合を多く勝ち抜いている実力者、という表現のみならず、
ロリー松下(或いはマルコム・ツニャカオ)のような強豪外国人ボクサーを「回避」せずに
敢えて挑戦したグループの一員、という面でも「ホンモノ」と見なすべき選手でしょう。

これに勝てば日本王座は卒業、世界に挑むと盛んに喧伝していた石田と陣営の言葉も、
この相手にクリアに勝てるならそれも良しか、と思えるレベルのカードでした。

この試合、たぶん、井岡ジム撮影による動画が近いうちにアップされると思います。
良い機材使って撮影されてはりましたので(笑)
でもまあ一応、メモを元手に試合展開を。


1回、石田がジャブを繰り出し先制。長く速い左。時に探りつつ当て、時に突き抜くように伸ばす。
船井はジャブを見て、ワンツーが来たらその合間に右で割り込もうという風だったが、
距離と速さが想定以上だったか、思うに任せない感じ。左ジャブを返すが、石田の回。

2回、船井が早々に方針変更か、前に出てプレス。左ジャブ、左フック、右をコンパクトに振る。
しかし石田ジャブ、右カウンター。船井ボディを狙うが、石田がボディ連打でやり返す。石田。

序盤、石田はシャープで、元気ハツラツ(古いですね)。大柄で懐の深い石田を、船井が持て余す感じでした。


ところが3回、何故か石田の足が止まり、ジャブも出なくなる。急にクリンチ、揉み合いが増えてくる。
試合の「絵」がガラリと変わってしまう。何かあったか?と不思議な気がするほど。
これで船井が前に出てショートの距離に踏み込み、右をヒット。
しかし石田が長い右を打ち返す。見た目派手なぶん、やや石田か?
石田右瞼から出血、ヒットによるとアナウンス。
切るほどのヒットがあったかどうか、正直よくわかりませんでしたが。


4回、石田さっぱりジャブが出ない。船井が踏み込んでコンパクトなヒットを一発ずつ決めていく。船井。
5回、石田ジャブが出るが少ない。左フック、右ボディストレート。船井。
途中採点は48-47×2、48-48。2-0で石田。


6回、石田は疲れかダメージか、序盤の好調さが遠い昔のように苦しそう。
しかしこの回から奮起、数は少ないものの、ジャブを出し、右クロスを当てては大きく足を使う。
船井が来たら当てて動き、クリンチ。船井も鼻血を出す。
7回も同様。石田軽いヒットと足、クリンチ。船井ショートを打つが、数が少ない。
8回、船井も疲れたか、もっと打ち込みたいところだが。両者苦しみつつ、懸命の攻防続く。

正直いって、この3ラウンドをどう見るか、迷いました。
見た目に派手なヒットを取っているのは石田。場内はその度に大歓声。
だが、いずれも軽く、船井は止まらない。
船井はコンパクトなパンチを返すが数が少なく、押し切れず。
全部石田に「振るしかない」のか、それほどの内容ではないと見るのか。
対する船井の攻勢も少々、物足りない。
ここで見方が割れる試合だったように思いました。


9回、石田きつそうだが右、足を使ってクリンチ。船井が右を決め、左フック返す。やや船井か。
10回、大きく動いて打ち、クリンチの石田。船井が正確に左右を当てる。これも船井か。


採点は96-96、96-94、97-95。石田が2-0判定勝ちとなりました。
採点については、上記のとおり迷うポイントがあって、私は僅差でどちらの勝ちもあり、ドローもあり、という印象。
船井応援団からは不満の声が上がっていましたが、それもわかるなあ、という気がしました。
とはいえ、昔のホームラン級の判定というわけでもなかったように思いますが。とにかく微妙、でした。


試合自体については、序盤の元気だった石田と、3回以降の「急停車」ぶりの落差に驚きました。
我々には見えないところで何か理由があるのかも知れませんが。
試合後、世界を目指すとアピールしていた石田でしたが、正直この試合内容は、
世界へ接近ではなく、一歩後退だったように思います。

抜群の体格、長く伸びるジャブを駆使する、スケールの大きなアウトボクサーとしての石田には
変わらず大きな可能性を感じますが、この日の調子では、世界王座奪取は困難、と言うしかありません。

世界となれば、対する相手は船井以上にパンチが強く、正確で、攻防共に機動力のある選手が相手です。
そういう相手と対したら、これではとてもじゃないが保たない、という印象でした。
ありきたりな見方ですが、コンディションの面に問題があるなら、転級も含めての仕切り直しが必要なのか、と思ったりも。


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この日のメインイベントというか最後の試合は、OPBFライト級タイトルマッチ。
中谷正義が、11位の闘将青木誠を初回早々から打ち込み、TKOで下しました。

青木は開始早々、頭から二度突っ込み、レフェリーに注意される。
そういえば中谷、切った傷あるからなぁ、と少し心配になりましたが、直後に左のクリーンヒットを端緒に
左右のコンビで青木を滅多打ち、ダウンを奪う。青木は見るからにダメージあるが、レフェリー続行を許可。
中谷は厳しく詰めて打ちまくり、ストップを呼び込みました。

場内は石田、船井戦の接戦から一転、速攻のKO劇に大喝采。大いに盛り上がっていました。
率直にいって、両者の過去の試合ぶりから見れば、順当な結果というしかない、そういうカードでしたが、
その通りに圧勝してみせた中谷は見事でした。
前日、王座復帰した荒川仁人と闘いたいとアピールしていましたが、実現してほしいものですね。
今回は圧倒的有利の予想でしたが、加藤善孝や原田門戸に勝っているんですから、
ひさしぶりにそのレベルのカードが組まれてほしいと思います。


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その他の試合について、結果。

フライ級10回戦
○小坂駿(真正) 6回TKO ●山田健太(セレス)

小柄なボクサーファイター同士の対戦。
KO率は低いが、やたら巧いことで知られる小坂のワンサイドマッチ。
ジャブ、肩越しの右、ボディブローを打ちまくり、スウェイ、ブロック、ステップで外す。
以前よりはパンチ力もついてきた印象。6回、ヒットによる山田の出血でストップ。ダウンはなし。


50キロ契約6回戦(女子)
○竹中佳(高砂) 3-0判定 ●ダーオルアン・サックナロン(タイ)

大柄なサウスポーの竹中が攻めるが、ダーオルアンも懸命に反撃。
竹中は終始先手も、時折リターンをもらって詰め切れず。


53キロ契約8回戦
○与那覇勇気(真正) 4回KO ●セーンゲン・サックナロン(タイ)

与那覇が攻め、ボディ攻撃で効かせるが、打った後の防御動作が乏しく、
粘るセーンゲンの反撃をことごとくもらう。右クロスをまともに打たれる場面もあり。
4回、ボディで二度倒しKOしましたが、率直に言って前途多難の一語。


54.5キロ契約4回戦
○杉森太一(真正) 4回TKO ●松嶺陽(Gツダ)

杉森が初回、打ち合いから返しの左フックを決め、ダウンを奪う。
2回以降、両者互いに当たる立ち位置で正対し、ヒットの応酬。場内沸くが、危なっかしい。
4回、松嶺の出血でドクターストップ。


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そういうことで、連日の観戦を終えたばかりですが、何と明日はホールへお邪魔。
そろそろ上京観戦もしとかんとな、ということで、ずいぶん前に立てた予定です。
その後に関西での観戦がこんなに続くとも露知らず、でしたが(汗)

一度、直に見てみたかった岡田博喜、楽しみです。
相手は前回、相当な激戦だったという麻生興一。どんな試合になるでしょうか。
当日は無理にせよ、後日また感想を書きます。






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世界の技巧派、古都で王座復帰 荒川仁人、徳永幸大を二度倒し判定勝ち

2016-04-17 00:25:39 | 関西ボクシング



そういうことで今日は京都にて観戦してきました。

ご存じ島津アリーナは、この興行には器が大きすぎるという問題はありますが、
それでも駆けつけた観客の「熱量」は高く、各選手の応援は濃いめの盛り上がり。
こちらは事情あって途中からの観戦でしたが、セミセミあたりから好ファイトの連続でした。

もったいないことにTV放送はなし。
会場にはTBS系列の大阪ローカル、MBS毎日放送のカメラが一台だけ。
一応試合の様子は記録しておく、というだけでしょう。
そんなことですので、頼りないメモを元に、簡単に試合展開を。


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1回、徳永幸大はいつも通りのスロースタートか。荒川仁人は軽く手を出し、リズムを作る。
荒川、左ロングフック。徳永の右ガードの外から巻くパンチ。
これを打っておいて、左ショートを、今度は徳永の右ガードの内側へ。
きれいに合わせた「巧打」をくらった徳永、ダウン。早々の大ピンチ。

2回、徳永が反撃に出るが、派手に繰り出す右の大半は荒川がいなし、外す。ヒットは浅く、単発。
3回も同様の流れ。

4回、徳永の右ヒットが少し増える。しかし荒川も要所で左を決める。この回は迷いつつ、甘ーくつけて徳永。

5回、開始早々荒川が左。徳永、背中からロープに叩き付けられるダウン。
ロープ際でなかったら、キャンバスに後頭部を打っていたのではないか、と見えるほど痛烈。
荒川じっくり追撃。厳しく詰める風ではなし。これは自信の裏返しか、冷静な判断か。徳永なんとか粘る。

6回、厳しい状況の徳永だが、体格とパワーの差を生かして粘る。荒川要所で連打、左。

7回、荒川ペース続くが、徳永ここでさらに奮起。重そうな右ストレートを惜しみなく連発、
これで入って右アッパーを顔面へ、というパターンを繰り返す。
荒川中盤に打たれて少し止まり、右ボディにも追撃を受ける。初めて、本気のクリンチに出る場面も。
しかし荒川も左ストレートで徳永の顔を跳ね上げる。両者の攻防激しさを増す。この試合のベストラウンドか。

8回、徳永懸命の攻め。場内は徳永のパンチに歓声。しかし徳永の右アッパーミス、荒川左カウンター。
徳永よろめくが、なんとか粘り、また右ストレート、アッパー、ボディの攻め。
9回、徳永は必死の攻めを続ける。荒川は基本軽く連打し、要所で左。徳永の顔を跳ね上げる。

10回、徳永さらに攻め、荒川も少し厳しく「詰め」て出る感じ。
しかし馬力で勝る徳永が、若干押し勝った印象。

公式採点は96-94、95-93、96-92。3-0で荒川でした。
私はもう少し荒川にポイントを与えてもいいくらいの内容だと見ました。
5回終了時の途中採点で、ダウン以外全部徳永の採点があって「たいがいにせえよ」と思いましたが、
終わってみれば結果は順当でした。


やはり、世界の舞台で堂々と闘い抜いた技巧派、さすがは荒川仁人、という試合でした。
強敵相手とはいえ、負けが込んでいる現状が、時に実力だけでは計れない危機を招く場合もありますが、
今回の荒川は、そういう不安をほぼ一掃するだけの闘い振りだったと思います。
移籍後初の戴冠ということもあり、非常に大きな一勝だったことでしょう。
国内にはライバルも多く、雪辱を期したい相手もいますが、この戴冠がそれらの試合への道を
新たに切り拓くきっかけとなることを願いたいです。

徳永幸大は早々に、スロースタートと打たれ脆さを露呈してしまったのが悔やまれました。
しかし、二度ダウンの後も、果敢に、粘り強く闘い、最後まで強い右を振るって荒川に迫り、
試合を壊さなかった闘い振りは、しっかり練習をしてきていると思わせる、堂々たるプロのそれでした。
今まで闘った中では、おそらく最高に巧い選手との対戦から、何かを掴んでもらいたい、と思います。
天与の体格、強靱な心身を持つ、貴重な存在です。まだまだ今後に期待です。

そして、ジムから王者がいなくなってしまったものの、WOZジムの健闘にも。
選手の分母を考えたら、拳四朗と合わせて京都府内から三人の王者がいたことは、奇跡とは言わずとも、まさしく快挙でした。
その中心を担うジムとして、大森や徳永を擁しての「再起路線」を、ささやかながら応援したい気持ちです。
もしかしたら、次の興行は小さめの会場になるのやもですが、こっそり観戦しに行こうと思っております。


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で、セミファイナルは大森将平再起戦。
インドネシアのバンタム級チャンピオン、エスピノス・サブと対戦でした。

1回、バンタム級としては平均的な体格であろうサブ、締まった構えでじりじり出て、右から左の返しを振る。
大森は少し見ている感じで、ちょっと危ないところに踏み込まれている印象。
右ジャブは甘く、左ストレートは戻りが遅い。

重心が後ろに残ったまま左を振り、その後、上体が前に折れる。腰が高い。膝が硬い。
見るからに据わりが悪く、迷いがありあり。正直、見ちゃおれん、という3分間でした。

2回、大森目に見えて右のジャブと、パーリーが増える。執拗に右で相手を探り、止める。
これで徐々に良い「回り」になり、左ストレートも当たり出す。
膝も少しずつ、柔らかく使い出す。
3回、サブが攻めて出る。右から左の返し。しかし大森右から立て直し、左ヒット。

4回、大森じっくり見て右、右、右。さぐって左ストレート。
これを決めて直後に左ボディ一発。まともに入ってサブ、ダウン。立とうとしたがかなわず、KO。


ということで、立ち上がりは大げさに言うなら、目を覆いたくなるような印象でしたが、
場内からの勝負を急かす声にも耳を貸さず?徐々に立て直していった流れは、
終わってみればまずは安心、という試合ではありました。

しかし様々な面で、普通のボクサーにはない、類い希な素質に恵まれた大森将平であるからこそ、
昨年の痛烈な初黒星がもたらした影響もまた、普通の物差しでは計れないほど大きなものだったのだ、
ということを改めて感じた、序盤の姿でもありました。

このままバンタム級で戦い続けるなら、日本ランキングが大きく下がることもないでしょうし、
それこそ、先を急ぐなら次の試合で、何らかのタイトル挑戦や、大きな勝負に出ることも可能でしょう。
しかしそういう試合はもう少し先において、相手を厳しく撥ね付ける右リードや後続の左、
そして柔軟な下肢を生かしたフットワークが、もっと確信を持って使いこなせるようになるまで、
あとひとつかふたつは、調整的な試合を重ねた方が良い、という印象も残りました。


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この日はセミセミ8回戦で、木原涼太(Gツダ)と東泰誠(真正)が対戦。
共に負け越しレコードというのが信じられないほどの好選手で、終始熱戦が繰り広げられました。
空席も多い場内で、セミとメインの前、やや緩慢な空気だった場内の目線を、
徐々にリングに引きつけていく様子は、見ていてけっこう感動的なものがありました。

判定は3-0で木原でしたが、体格では劣りながら左を端緒に連打する東の健闘が光った一戦。
個人的には割れても逆でもアリだと見ましたが、とにかく良い試合でした。
今日は前座含めて全部は見られなかったですが、見所のある試合が多い、満足度の高い観戦でした。


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さて、明日(もう、今日か)は大阪と神戸で、同日4興行開催。
観戦に行けるかどうかは、現時点ではなんとも言えず。

しかし、石田匠vs船井龍一なんて、どうでも見たいですが、久高寛之の応援もしたいし、
野中の防衛戦もあるし、上久保タケルも出るし、他にもあれやこれやと...。
身体がふたつじゃ足りません。どないせえちゅうんでしょうね、ほんまに。





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過不足なき引退試合 パッキャオ、難敵ブラドリーをクリアに下す

2016-04-10 16:15:07 | マニー・パッキャオ



ということで生中継を見ました。

過去二試合では、懸命に動いては打つティモシー・ブラドリーに、好打はあれど強打は決まらず、
時に手こずり、持てあまし、という風だったマニー・パッキャオでしたが、
結果は判定でも、三試合目ではこれまでよりも相手を捉え、攻めきった印象でした。

初回はこんな感じがまた続くのかと思ったのですが、2回から、パッキャオが距離を目に見えて詰め、
狭い空間での攻防がスタートラインになって、そこから踏み込み、打って外す展開。
ブラドリーの速い動きで外され、速い連打を浴びたら、悪い流れになってしまうリスクもありながら、
敢えて遠くから見て闘うのでなく、自らリスクを取って出たように見えました。

ブラドリーも当然ながら、これまで通りに抵抗しましたが、距離が詰まって密度の濃い攻防になれば
パッキャオとの根本的な質の差が徐々に露わになります。

パッキャオの警戒を誘うために高く掲げて振りかざす右も、懸命なボディーワークの繰り返しも、
パッキャオの設定した密な攻防ライン、速いテンポ、狭いスペースでは、余裕を持って展開出来ず、
どうしても隙間が出来、漏れ落ちが見えました。7回のスリップは気の毒ながら、9回の左被弾、
直後の軽い左アッパーでのダウンは、結局は全体敵な質の差が、形になって表れたものでしょう。

ブラドリーはそれでも次の10回に反撃したように、全力を出し切って闘いました。
しかし、選手としての質、格という部分で、明確にパッキャオが差を示した、そういう試合でした。


パッキャオについては、晩年というべき今でもなお、これだけのレベルを示した、流石だと思います。
しかし彼が過去の試合で見せた、階級の壁を破壊し続けた常識外れの爆発力、技術面での質の高さは
それぞれ、確実に一定程度は目減りしてしまっている。それもまた同時に見えた試合でした。


これで引退と本人が改めて明言しましたが、メイウェザー級ならともかく、他の選手となら
誰とやってもまだまだ、興味深い新旧対決が見られるのでは、という気はします。

純正ウェルターの強打、ブルックやサーマン、またはクロフォードのような完成度の高い技巧、
いずれもパッキャオにとり脅威であり、それが敗北へと繋がるのかもしれません。
それでもなお、ボクシングの歴史を彩ってきた、新旧交代なるか否か、というテーマの試合に臨むのは
スーパースターたる者こそが果たすべき、ひとつの責務なのではないか、と思います。賛否あるでしょうが。

しかし、あまり言いたくないことですが、パッキャオ本人がそれを望まず、そういうつもりで
再起してきたわけでもない、というのが現実であり、今日の試合はあくまで、それ以上の意味はない試合でした。
そういうものだ、と思うしかないのでしょう。
その意味では、過不足ない内容であり、引退試合としてはきれいに収まりがついた試合でした。



改めて、過去に彼が見せてくれた数々の驚異的な試合ぶりには、賞賛と感謝しかありません。

そもそも、フライ級時代の大柄な強打者ぶり、タイでの王座強奪、比国での感動的な王座防衛だけで
彼は充分「東洋のヒーロー」だったわけです。
ですから、その後の「労働者」としての渡米を経て、代打出場でのスーパーバンタム級王座奪取は、
それだけで充分「アジアの枠を越えた快挙」でした。

ところがさらに勝ち続け、バレラ、モラレス、マルケスらとのライバル対決に勝ち越す頃になると、
彼は真にワールドワイドなスーパースターとなりました。
東洋の選手が米国のリングで、王国メキシコのフェザー、ライト近辺のトップ選手3人を総なめにするなど、
あの頃(というか、パッキャオを除けば今でも)には、とても思いつかないレベルの「夢」だったのです。

そしてその先、デラホーヤ戦以降のウェルター級進出になると、もはや妄想の域でした。
本当に、振り返れば現実味を感じられない出来事の数々でした。
感動、興奮というものを越えた衝撃的な勝利の数々は、おそらく今後、二度と見られるものではないでしょう。


今後の活動については、報じられているとおりのものになるのでしょうが、
どのような道であれ、つつがなく第二の人生を生きてほしいものだと、それだけを切に願います。
偉大な英雄が、その余生を、幸福なまま生き抜くことは、それもまた、ひとつの闘いかもしれません。
彼がそこでもまた、勝利者であることを信じたい気持ちです。彼への感謝と敬意故に。


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スパー見学/中国で三戦目/安堵の返上/最後かどうかは/これも見たい

2016-04-08 18:57:31 | 井上尚弥



井上尚弥と八重樫東のスパーリングが、報道陣だけでなくファンにも公開されたそうで。

こういうの、調整に支障がない範囲で、どんどんやってほしいです。良い企画だと思いますね。
なんならネット上でも見られるようにするとか。
大橋ジムのツートップは、日本軽量級が世界に誇る新旧のスターなんですから、
少しでも人目に触れ、話題になる機会を増やしてもらいたいものです。

井上は好調だったそうですが、見てる人がいないとこじゃ、もっと派手に打ちまくり、
相手を大の字にしてしまうとか、よく聞きますので、これでもちょっと手控えたのかもですね。
八重樫と粉川は...ホールでやれば満員になるでしょうね(笑)贅沢というか豪華というか。

ご両所の試合は、会場で見る予定でおります。好調のまま、リングに上がってきてほしいです。


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村田諒太の10戦目は、キャリア三度目の中国リング登場。マカオ、上海と来て香港です。

中国リングの現状については、先の9戦目のときにも、専門両誌にあれこれ記事が載っていましたが、
経済の力や、膨大な人口を背景にした市場の大きさ、人材の豊富さが「可能性」として語られるものの、
ボクシングが本当に発展するために必要な素地が、果たしてかの国にあるのか否か、まだ不確かです。

とはいえ、目先の興行事情に汲々とする日本のボクシング界よりもまだ、広がりのある場かもしれません。
ミドル級、金メダル、という看板のある村田にとり、貴重なアピールの場ではありましょう。

なんでも11戦目がベガスで決まっているとのことで、かなう限りのペースで試合をこなしていく一年になりそうです。
課題も残しつつ、倒す展開に持ち込む試合を重ねて、自信や確信の数を増やしていってほしいものですね。

で、TV中継はあるんでしょうか。これが気になるところですが。
前回は苦肉の策としか言いようのない放送形態でしたが、今回も似たような感じでしょうかね。


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田中恒成、WBOミニマム級王座返上、IBFライトフライ級9位と対戦

なんというか、然るべき話になってくれたんで、まずは安堵です。
次の試合についても、なかなかの好選手...というか、かなり手強そうな相手です。
実際やってみてどうかはともかく、今のところ、かなり「然るべき」カードのように思えますね。

世界については「日本人対決」希望だそうですが、個人的には八重樫とやってほしいですね。
WBCはタコニング、ゲバラが挑んで、整理がつくまで時間がかかりそうですし、
WBAは指名試合がどうなるか不明。最強王者、WBOニエテスは負傷ブランクののち、転級しそうですし。

そうなるとやはり一番の王者であり、日本の枠内でも真の意味で「ライトフライ級、新旧交代なるか」を問えるのは、
八重樫東vs田中恒成戦以外にないと思います。
TV局の違いとか、開催地とか、支障はさまざまにありましょうが、それを乗り越えて実現させる価値は
充分にあるカードです。是非に実現希望です。


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週末はラストファイト、と言われる試合ですね。

本当に最後になるのかどうか、そこを怪しむ声もありますが、それはおいといて。
もし本当に最後になるなら、組むべき試合はこれじゃないでしょう、とまず思います。
まあ、昨年のメイウェザーしかり、当世風のスターボクサーならではの振る舞いなんでしょうが。

ただ、最近のブラドリーは、妙にったら失礼ですが、彼なりに充実してるのも確かですね。
この選手、スーパースターの器だとは思いませんが、地味ながら力は確かな一線級だとは思います。
あれで頭突きさえしなきゃ、頭振って前に出さなきゃ、という気はしますが。

パッキャオがもし、緩い感じで来たら、両者の現状の違いがシビアな内容と結果を生むかもしれません。
基本的にはパッキャオに勝ってほしいですが、心の片隅には、そういう結果への期待も僅かにあります。
ボクシングって、そうそうスターやその陣営の思うとおりに運ばないものであってほしい、という気持ちが。


あと、セミが面白そうですね。キング・アーサーことアルツール・アブラハムと、
メキシコ期待の大型サウスポー、ヒルベルト・ラミレス。
当初ドイツ開催に決まったのを、無理から持って来たそうですが、それだけラミレスへの期待が大きいのですね。
当然、これも生中継で見られるわけで、有り難いことです。楽しく観戦したいと思いますです。


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欧州ではIBFヘビー級タイトルマッチ。これは後日放送なんでしょうが、楽しみです。

苦労人チャールズ・マーティンか、スター候補アンソニー・ジョシュアか。
対象的な両者の対戦です。マーティンは石田順裕とスパーメイトで、なかなか好人物なんだとか。
ジョシュアのスター性にも惹かれますが、こういう話を知ると、ちょっと複雑です。

とはいっても、リングの上では力が全て。過去の栄光も、未来への期待も、それがどれだけ大きかろうと、
目の前の相手と対峙して拳を交えたその時に、どれだけ強いか、それだけが問われます。
スーパースターも、大型ホープも、地味な存在の選手も、変わること無く平等に。

そういうことで、週末はじっくりと生中継を楽しむとします。
関係ないですが、この時期はMotoGPの生中継が真夜中なので、辛いです...。


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4戦目は辛勝/水面下/悪名勝り過ぎ/見過ぎというより/試合枯れ/8連続KO

2016-04-06 15:47:56 | 話題あれこれ




ちょっと更新が滞っておりましたが、内外とも試合も増えてくるので、
あれこれと話題を取り上げていきます。


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先々週の大阪帝拳の興行ですが、観戦には行けず。
G+で後日録画放送がありましたが、辰吉寿以輝の試合だけは、当日関西ローカル深夜で放送されました。

感想としては、平均以上の緊張感がある、良い部類の4回戦だった、ということですね。
アマチュア経験がなく、プロでの実戦経験のみの選手ですから、徐々に成長していくしかないでしょう。
左の威力は普通の選手よりありそうですが、手数が出せない、つまり打てば当たるという確信を持てる回数が少ない。
それは単に技量の問題で、まだまだこれからの段階でしょう。

これでB級昇格、次からは6回戦を戦うという件については、何とも言い難いものがありますね。
A級昇格を焦らず、じっくりやっていくしかないでしょうが。


中澤奨、池水達也はそれぞれに手強い相手と闘い、完敗でした。
格や階級が下の選手との試合で勝つより、こういう、本当の勝負と言える試合を闘って見せたことには、
まず敬意を表したいと思います。結果として負けても、こればかりは仕方の無いことです。

そして、テイル渥美やジョナス・スルタンに新たに挑み、勝つ選手の登場にも期待します。
もちろん、中澤や池水自身による雪辱にも。


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入札に勝ったポベトキン陣営、ワイルダー戦のロシア開催を発表

普通の頭で考えたらこれで決まり、なんですが、正式発表?はまだみたいです。
多分、水面下でごしょごしょしてはるんでしょうね。結局アメリカになる?それはないか?

もちろん、場所がアメリカになったとて、今のワイルダーでは、ポベトキン相手となると
相当な苦戦、ないしは敗戦を喫するかも、と予想しますが。

いずれにせよ、最悪、試合自体が立ち消えになったりはしないでほしい、と思います。
場所で揉めるのは、試合自体をやる前提だから、であってほしいと。


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ホントに、何考えてんですかね。ていうか、何も考えてないのか

しかし試合には勝ち視聴者数も多いってんですから、まさしく「悪名は無名に勝る」ですね。
勝り過ぎやろう、って感じもしますが。

まあ、負けるとこ見たい的な注目度も込み、ということかも知れませんけど。
それも含めて、商品価値があるうちはまだなんとか成り立っても、それがなくなればポイ、ですからね。
誰か、その辺について諫言するような人が周囲にいないんですかね。多分、誰ひとりいないんでしょうけど。

時代がどれだけ進んでも、この手の話は本当に、百年一日の如し、ですね。


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さて先週末の試合。尾川堅一初防衛でしたが、けっこう苦戦していました。
奈良ジム初の王座奪取を目指す杉田聖のジャブ、ワンツーを打たれ、後手に回る展開もありました。

パワーとスピードは、国内レベルでは圧倒的ですが、出来ることの数が限られている、という感じ。
本人は苦戦の原因を「見過ぎたせい」と語っていましたが、むしろ相手が何をやろうとしているかを
ちゃんと見ていないから、ああいう試合になってしまう。そんな印象でした。


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ランディ・ペタルコリン、WBCへ方向転換か

以前動画貼ったことのある、中国人挑戦者との試合を最後に試合枯れ状態だったのですね。
これはまったく知りませんでした。そんなことになっていたとは。

どんな事情があるにせよ、こんな良い選手がそんな状態では、路線変更も止む無しでしょうね。
かなうことなら来日しての、田口良一との試合を見てみたかったですが。

そして、田口良一にとり「王者の証明」と言えるような試合が遠のいてしまった、
その点もまた、残念に思います。
と、ランキング表を見るとWBA2位は宮崎亮だったりしますが...。
これはこれで、果たして実現するのかしないのか。
理事会の後、いろいろお話が進んでいたりするんでしょうか?


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最後に動画紹介。
大沢宏晋、8連続KO勝ちはフィリピンでの試合
WBOアジアパシフィック王座獲得とのことです。





まあ、この相手なら、日本でやれば確実に大沢が勝つでしょうが、場所が違うと色々と
ややこしかったり大変だったり、そうでなくても額面通りいかないことも多いものでしょう。
しかしこの通り、実力通りの結果を出しました。

日本上位や世界ランカーとの対戦があれば、もっとインパクトも残るのでしょうが、
そのあたりも含め、今後の展開に注目ですね。



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奥本貴之、健闘も届かず IBF13位エクタワンに判定負け

2016-04-04 13:34:08 | 関西ボクシング



そういうことで昨日は府立の地下にて観戦してきました。

石田順裕の引退、川口裕の王座陥落などもありながら、新鋭や中堅にステップアップの機会を与える
意欲的なカードを並べてきた今回の興行は、グリーンツダジムの強い意欲を感じさせるものでした。
これは見とかないかん、ということで、会場に足を運びましたが、好ファイトが多く、
結果として満足度の高い観戦となりました。


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メインイベントは、日本スーパーフライ級4位のサウスポー、奥本貴之が
一階級下のIBF13位、タイのエクタワン・モークランペットンブリに「挑戦」した一戦でした。

初回、ファイター型の奥本が出て、左ショートを好打。エクタワンは目線を落とし、見て立つ感じ。
しかし2回、奥本が左ボディを軸に連打すると、エクタワンが右リード中心に反撃。
身体を左右に翻しつつ、スナッピーなパンチを連発し、打ち合いになってもヒット数でまさる。

奥本は手を出すも、大半がガードされている印象。徐々に後退させられ、ヒットを喫し、出血。
4回からはエクタワンが再三スイッチ。サウスポーからの右が時にリード、時にカウンターで決まる。

このままいくとワンサイドと見えた6回、奥本が半ば捨て身の攻勢に出る。
左ボディを中心に打ちまくり、カウンターを打たれても構わず前に。手数、ヒットで圧倒。
7回も同様の攻め、しかしエクタワンも強烈な右カウンター。奥本耐えて出る。
8回、エクタワンは脚で捌いて正確なヒットを重ねるが、奥本はなおも攻め立てる。
このあたりはもう、感動的というべき奥本の健闘でした。

判定は2-1でエクタワン。私は奥本に甘くて5対3でエクタワンでしたが、
勝敗は誰の目にも明らかでしたから、逆のスコアには驚き...はしませんが、呆れました。
まあ、勝敗が逆やないだけ、めっけもんかな、という気もしましたが。

真面目な話、昔ならこんな感じでも逆とか、けっこうあったので、だいぶ「マシ」にはなってきたのでしょうね。
これで逆やられると、せっかくの奥本の健闘が台無しになり、何も言いようがなくなってしまいます。
それこそ拙いブログひとつ書くのにも、書きようがなくなってしまうというか。
そういう意味では、試合内容とともに、ひとまず正しかった判定結果も、良かったな、と思えました。


エクタワンは17勝12KO3敗、12連勝中とのことでしたが、小柄ながら動きが良く、
左右ともにシャープなジャブをビシビシ打て、カウンターも取れる、センスの良い選手でした。
時に物凄いタイミングのカウンターも決めていましたが、ダウンは奪えず。
これは奥本のタフネスを称えるべきかもしれません。

また日本上位との試合なんか、見てみたい選手ですね。
今の時点で、例えば井岡一翔を攻略出来るかというと、ちょっとひと味足りないのでしょうが、
けっこう良い試合するかも、と思ったりもしました。

奥本は世界ランク奪取なりませんでしたが、技量に優れた強敵を相手に、全力を出し切りました。
打たせる傾向、古傷などの弱点を露呈しつつ、最後まで勝負を捨てずに奮戦する姿は、
真のプロの闘いを見た、という感じで、大いに称えたいものでした。
敗れたものの、堂々たるメインイベンターの仕事だったと思います。


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セミファイナルは強打の若手、田中一樹がお馴染みデンカオセーンを2回にKO。
初回から鋭いパンチを決め、デンカオセーンをよろめかせる好スタート。
2回、さらに攻め立て、デンカオセーンに見る余裕を与えない。
右を食ったデンカオセーンがムキになって反撃するも、スピードで圧倒、最後は左ボディでフィニッシュでした。

攻撃力はあるが、それ以外の部分が未知数、という印象だった田中ですが、
動き自体は以前よりも落ち着いていて、その上で攻めの鋭さが増していた印象でした。
もちろん、まだ見えない部分もありはしますが。

デンカオセーンはそのあたりをもう少し、炙り出すような闘いを見せてくれるかと期待していましたが、
体つきからして、見るからに急ごしらえ。試合が始まったら意地になって打ち返す場面もありましたが、
その意地というか気概を、練習段階から持っていてほしかったな、という感じでした。


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それ以外の試合も簡単に。

54.5キロ契約8回戦
○川口裕(Gツダ) 2回終了TKO ●エーキィッティ・モークランペットンブリ

2回終盤、川口の右から左でタイ人ダウン。追撃で二度目。
これがゴング後なのでノーダウンという裁定(そうは見えなかったですが)。
しかしタイ人ダメージ甚大、棄権。
ゴング後なら反則になるんやないですか、と思ったりもしましたが、その辺は何も無し。


ウェルター級8回戦
○矢野良太(Gツダ) 7回TKO ●川崎真琴(RK蒲田)

パワーで勝る矢野が攻め、初回右から追撃、川崎がグローブをフロアにタッチ、ダウン。
矢野攻勢も、徐々に単調さが目立つ。4回は川崎がジャブ、ワンツーを決める。
5回、矢野が攻めたところで、レフェリーが川崎から減点。ローダッキングの咎。
7回、矢野が左フックを決めてTKO。

試合後、柳光和博会長が激高、レフェリーに食ってかかり「退場」を宣告される場面がありました。
5回の減点についての不満からか。確かに疑問を感じる裁定でしたし、それ以外にも
あれこれと憤懣があったのかもしれません。
あくまで不満はレフェリーに向け、相手陣営や選手へは礼儀正しく挨拶をしてはいましたが、
相手の勝ち名乗りを妨げる格好になったのは良くありませんでした。

また、矢野良太が冷静に、大人の態度で応対していたのは感心しました。
見た目以上に(失礼)出来た子やな、という印象でした。


スーパーフライ級8回戦
○村井貴裕(Gツダ) 3-0判定 ●住友将吾(RK蒲田)

村井がこつこつとワンツーを当てて先制。住友は反撃も後手に回る感。
両者のタイプからすると、意外に打ち合いが多い印象。ヒット、攻勢とも村井がまさる。


60キロ契約6回戦
○松村智昭(Gツダ) 1回KO ●エーグザッカパン・モーグランペットンブリ

昨年の新人王西軍代表決定戦MVP、松村の強打炸裂。
右から返しの左フックでタイ人をKO。


ライトフライ級6回戦
○谷口将隆(ワタナベ) 1回KO ●ペットサイファー・ルークメーラムボーイジム

神戸出身、龍谷大卒の谷口が関西でプロデビュー。小柄なサウスポーできびきび動き、打つ。
左ボディから最後は左フックを上に返し、KO。


フェザー級4回戦
○澤井剛志(Gツダ) 2回TKO ●星本浩史(進光)

初回星本がダウンを奪うも、2回澤井が二度倒し返してTKO。
澤井はプロ二戦目で劇的な初勝利。


スーパーバンタム級4回戦
○下町俊貴(Gツダ) 3-0判定 ●伊東伸喜(神拳阪神)

長身サウスポー下町が、抜群のリーチを生かしてヒットを重ね勝利。
抜群の体格で、遠目に見ると、姿形は若き亀田昭雄のように見えました(笑)
あのくらい強くなれたら凄いですが、今後に期待、ですね。




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