さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

当然!/イタリア師弟物語/強い暫定さん/当然その2

2011-11-29 23:26:55 | 話題あれこれ


清水智信、金子ジム、抗議の会見
普通、こんな目にあったトップアスリートがいれば、能動的に会見を開かずとも
マスコミの方が連日話題にするもんだと思いますが、実際はどうかといえば、
例の兄弟周辺の話題を拾って見出しにする、中身のない記事ばかり。

まあ、この辺の「営業努力」に関しては本当に見事なもので、
タイ焼き食ったり(次男)、賑やかしの著名セコンド呼んだり(長男)、
二十歳のうちに世界と言ってみたり(三男)と、まあいかにもスポーツ新聞を
作っているやっつけな記者さんたちが楽を出来るような、適当な見出しを
自分たちからかいがいしく提供するその姿勢、健気で涙が出そうですが。

まあ、人様の王座に泥を塗るような真似をして商売にいそしむ連中に対し、
7日の試合の位置づけを正せという抗議は、なされて当然のものですね。
マスコミもこういう正式な形での会見なら、無視も出来ないでしょう。
結果がどうなるかはさておいて、当然のことがやっと行われたな、という印象です。

しかし、JBCは「当事者同士の話し合いを」という態度だったそうですが、
このような問題に介入しないのならば、AとCだけ認可、王座の価値を守るため、
などと言うて抜かす口は、お前らのいったいどこについとるんじゃボケ、
と言いたいですね。
黙って試合運営管理に特化したアスレチック・コミッションに衣替えせいダボ、
とも言い添えておきます。

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6日代々木で粟生隆寛に惜敗したデビス・ボスキエロについての記事
イタリアではあの試合を非常に問題ある判定だったと捉えているようです。
確かに、あの試合を青コーナーからの視点で見れば、そう見られうるものでした。

まあ、それとは別にこの記事ですが、ボスキエロが世界挑戦に辿り着くまでには
このようなインサイドストーリーがあったのですね。
けっしてボクシング強国とはいえないイタリアの片田舎から這い上がり、
自らの過ちをも乗り越えて来た上での健闘だったわけです。
単に粗いだけのお兄ちゃんではなかったわけですね。

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WBAバンタム級タイトルマッチといえば、日本で近々行われるものなど、
世界では(日本でも、ですか)誰も本気で、まともなタイトルマッチとは
思っていないわけですが、次の週末にアメリカで行われるものは、
全世界のボクシングファンが認めるまっとうな試合です。
王者アンセルモ・モレノvsビック・ダルチニアン、出来れば生中継見たいですねえ。
ニューヨークMSGでのコットvsマルガリートと同日だから、
やったーWOWOWで生中継見られる、と思っていたら別の興行なんだとか。
残念無念であります。

それはさておき、当然、この試合こそがWBAバンタム級王者を争奪する試合であり、
他の諸々は全部無意味、と思っていました。
ナニワのはりぼて君は言うに及ばず、もうひとりおるという暫定さんについても、
もはやWBAのアホさ加減にはようついていかん、という心境で、まったく興味がありませんでした。

しかし先日のWOWOWエキサイトマッチでやっていたもので、初めて見たんですね、
形としてはナニワンハリボテの下に位置する暫定王者ウーゴ・ルイスさん。

びっくりしました。正直に書きますが、私、こんなん大好きです(笑)
長身、懐深く、カウンターを狙う嗜好が強く、相手を懐に入れ過ぎ、ちょっと危ない。
完璧でもセーフティでもない、あちこちに隙間があるボクシング。
でもツボにはまったら、一打で相手を倒せる決め手の持ち主。
見ていてわくわくして、でも心配なところもある。いいですね(^^)

また見てみたい選手ですね。この選手とやるなら、ハリボテ君の試合も、
ひっさびさに見てあげてもいいですね。まあ、やんないでしょうけど。

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先日ぐちぐち書いたJBCの、チャリティーオークション放棄の件ですが、
どうやら改めて、きちんと行うという話です。
それで当然なのですが、まともな話になって良かったです。安心しました。
復興支援はまだまだ先の長い話なのですから、地道に続けていきたいですね。

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定義も何も/不覚の見逃し/刈屋行きか/辞任せよ

2011-11-24 10:09:41 | 話題あれこれ


この問題については、こういう話がありますが、定義ったって、そんなもの何も無いから
こういう不細工な話になっておるんでしょうにね。
それより、陣営や協会絡みの、型通りの話がかろうじて記事になるだけで、
清水本人の動静や、そこで語られる心情などがほぼ伝わってこない、報じられていないというのは、
実に気持ちの悪い話ですね。
改めて、ボクシング業界の閉鎖性と、マスコミとの癒着ぶりを見せつけられたような気がします。

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何と、20日の日曜日、名古屋で川瀬昭二vs小出大貴戦があったんですね。
不覚にも全然知りませんでした。
知っていたら当然見に行っていました。なんたることか...。
どうも最近気が緩んどるなぁ。こんなことではいかん。
最近ちょっと体調が悪いこともあって、行けたかどうかは、実のところわからなかったのですが、
それでも試合があったことすら知らんかったというのは、不覚の一語。気合い入れ直します。

で、TV放送は無いんですかね、この試合。
それもまた残念な。

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小國以載の初防衛戦は来年3月18日、刈谷市にて、元王者大橋弘政と

刈谷って行ったことないんですが、名古屋からちょっと行ったとこで、会場も駅のすぐ近く。
これは当然、観戦したいところではありますね。

しかし記事中にて高嶋会長が率直に語っているとおり、初防衛戦で即大橋と、というのは、
実に厳しい試練です。
若い小國が、王者となって自信をつけ、ぐんと伸びていれば勝機はありましょうが。

関西の若き王者と、中部の歴戦の勇士。今から楽しみです。

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JBCなんぞ、いちいち当てにならん、しょせん形だけの張りぼて、とはわかっていても、
いくらなんでもこれはないのでは。

国内だけの話なら、しょせんは以下同文、で済みますけど、世界中から寄せられた善意に対して、
こんな無様な話がありますか。こっちまで恥ずかしいです。

森田健事務局長、この記事にあるコメントが事実なら、もう辞任してもらいたいです。
そもそも単なるお飾り、一時的な重し、その場しのぎの担ぎ出しに過ぎんとはいえ、
あまりにもレベルが低すぎます...情けない、本当に情けないですね。




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手を切りましょう/虚構は消えるが偉業は消えず/R.I.P/目をつけられた所以

2011-11-15 22:30:06 | 話題あれこれ


清水智信、事実上の王座剥奪により、テーパリット正規王者昇格、亀田大毅挑戦決定。
JBCも協会も、WBAの決定を受諾。
この一連の流れは、少し前の記事やコメントにも書いたとおり、想像してはいました。
しかしまだまだ甘かったですね。WBAまだまだやります。
今日、WBAが、テーパリット正規昇格で空位になった暫定王座の決定戦を承認したと
BOXING MASTERさんにて知りました。
また、バンコク愚連隊さんのブログでは、あのデンカオセーンがもうひとつの
暫定王座決定戦に出場する旨、自ら語ったのだとか。


正直言って、怒りはとうの昔に通り越し、批判の言葉も底をついています。
おそらく今後、ファンが納得する形で、清水智信の権益が守られることはないでしょう。

ここにいたって、改めて関係者諸氏、業界首脳の皆さん、或いは特定の方にに対して
言わずにおられません。もう、さすがにこれは切った方が良いでしょう、と。
確かに長きに渡り関わりを持ち、利害もしがらみもあり、これまでの多大な投資、援助も
無に帰すかもしれません。また、さまざまな悪評も立ってしまうかもしれません。

でも、もう本当にこれは駄目でしょう。今すぐには無理かもしれませんし、
或いはすでにそういう方向に舵は切られているのかも知れませんが、
少なくとも今回、無念の涙を流さねばならなかった清水智信の悲劇を、
二度と繰り返さないために、長きに渡る関わりを精算してもらいたい。
是非とも、勇気を持って決断していただきたい。ファンとして、心からそう願います。

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内藤大助、引退。
先のエドガル・ソーサ戦を例に引くまでもなく、いまだ強豪王者たる
あのポンサクレックに世界戦唯一の黒星をつけた偉業は、日本のボクシング史に
長く語られる「大仕事」のひとつでありましょう。
あの、誰も越えられないと思っていた壁のような存在だった王者を破る、
そこに辿り着くまでの過程もまた。

最後の敗戦となった試合には、さまざまな論議も意見も疑いもありましたが、
内藤大助の偉大なファイターとしての軌跡を、誰も疑うことはありません。
長い間、お疲れ様でした。

今から思えばこの人の試合を京橋のIMPで見られたのはお得だったなぁ。
何でああいうマッチメイクが行われたのか、未だに謎ですが。

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モハメド・アリがフレイジャーの葬儀に参列した、とのこと。
詳しく様子を報じた記事を読みたいですね。

専門誌を今日買いに行けなかったのですが、何か記事載ってないかなぁ。
追悼記事となると世代的に前田衷さんとか、津江章二さんとかの独壇場ですかね。
リング・ジャパンのメールサービスで読んだ、粂川麻里生さんの投稿は良かったなぁ。
世代的には違う私の心にも、迫ってくるものがありました。

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話は戻ってWBAスーパーフライ級。
テーパリット・シンワンチャーの動画って、何故か今までチェックしていませんでした。
探せば簡単に見つかったんですけど、強打ドリアン・フランシスコをダウンさせ判定勝ち、
という結果だけ見て、どんなに強いのだろうと思っていたら、意外に微妙な感じです。
(とりあえずドリアン戦のハイライトがコレ

昨年暮れのムニョス戦から、亀田絡みの試合は一切見ていなかったんですが、
テーパリットという選手が強ければ、相手が亀田であっても見てみよかな、と
ぼんやり思っていたんですが、やっぱ止めといた方がええな、という感じですね。
少なくとも、亀田主催興行のリングで勝ちきるだけの爆発的な何かは感じられません。
ちょっと残念です。まあ、だからこそ目を付けられたんでしょうけどね...。

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三度目も僅差

2011-11-13 20:39:08 | マニー・パッキャオ


今日はちょっと体調を崩してしまいまして、横になりながらのTV観戦でした。
簡単に雑感を。

最初に採点ですが、さうぽん採点は115-113でマルケス。
迷った回がふたつあったので、それが逆ならドローか、同じ数字でパッキャオでも納得ですが。
ただ、WOWOW解説陣の、ほいほいパッキャオに振っていく採点は、それはどうすかね、という感じ。


マルケスは距離を厳しく維持し、パッキャオの左を、左斜め後方へのバックステップで外し、
来たら右カウンター、アッパーを混ぜた右左右のスリーパンチで叩くというボクシングでしたが、
過去二試合でも同じことはやってました。今回はより集中して、一度もミスも絶対にしない、と
自分に言い聞かせているかのようでした。

こういうボクシングをマルケスにやられてしまうとパッキャオは過去二戦と同じく、
どこかで爆発的な攻撃を仕掛けて、いわゆる「ひと山」を作らないと、厳しいわけです。
しかし今回のパッキャオは、そういうひと山、ビッグラウンドは作れなかった代わりに、
過去の二戦ではなかった、振りの小さい右フック、左アッパーなどでマルケスを脅かし、
足りない分のポイントを稼いでいました。

マルケスの堅陣を、パッキャオが懸命に崩そうとする展開だったわけですが、
繰り返しますが以前のパッキャオだったら、おそらく明白に判定負けを喫していたでしょう。
初戦は初回の三度ダウン奪取、二戦目の3回ダウン奪取があって、それでもドローと僅差だった
両者の技量力量の関係で言えば、パッキャオがその後の試合で見せた技術的成長がなくば、
今日の試合はそういう結果になっていたはずです。

そういう意味で、今日の試合は、38歳になってなお、自身の集大成を見せたマルケス、
自身の成長ぶりを発揮して、過去二試合よりもマルケスの堅陣に迫ったパッキャオ、
両者の激しい攻防が存分に見られて、判定とはいえ、大いに興奮されられました。

結果はパッキャオの勝利となりましたが、どちらにも拍手という試合でした。
判定に関する論議はさまざまでしょうが、本当に良い試合を見せてくれたことに感謝ですね。



さて、両者の今後ですが、パッキャオが誰かとの試合で明白に弱みを見せでもしない限り、
対戦には応じるまい、というところまで評判を落としているフロイド・メイウェザーが、
今日の試合内容を見て、どういう意思表示をするかに、ちょっと興味があります。
マルケスが見せた、右リード、カウンターと左旋回のステップワーク中心のボクシングが、
思いの外パッキャオの力のベクトルを外せたこと、これは彼にとって示唆に富むものだったでしょう。
もっとも、単純に同じような発想でパッキャオと対峙して、メイウェザーがハンドスピードと
右リードでパッキャオを抑えられるかというと、また別の話なのでしょうが。


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前々日の雑感

2011-11-11 10:53:12 | マニー・パッキャオ
いよいよこの週末は、毎年好例、11月第二土曜日(日本時間日曜日)のビッグファイトの日ですね。
5月第一土曜日と、この日に米国のビッグファイトでメインを張る人が、その時々における
ボクシング界ナンバーワンのボクサーであると言えましょうが、ここ数年その地位を独占している
マニー・パッキャオ大先生がやはり今回も登場です。

相手は、パッキャオが米国進出後、最も彼を苦しめた男、ファン・マヌエル・マルケス。
初戦フェザー級でドロー、二戦目スーパーフェザー級で僅差パッキャオ、という結果を受けての第三戦です。


さてこの試合、よく言われているのが、ウェルター級で強豪相手に圧勝続きのパッキャオに比べ、
マルケスはウェルター級ではパワーが足りない、従ってパッキャオ有利、という見方です。

確かにその通りなんですけど、マルケスがウェルター級で闘った試合は、メイウェザー戦だけであり、
あの選手は言ってみれば異次元の世界の人で、あれに完敗したからマルケスはウェルターでは駄目、と
言い切れるものかどうか、私は疑問に思ったりもします。

メイウェザーは傍目に見る以上に、差し向かいで闘うボクサーの能力を削ってしまう巧さがあり、
仮にパッキャオがメイウェザーと闘ったとして、今までの試合のように滑り足よく攻めていけるかどうかは
何とも言えないでしょう。
マルケスがメイウェザーに完敗したことをもって、ウェルターでのマルケスを軽く見ていいのかどうか。
私は、そんな簡単にはいかんでしょうあのお方は、という見方をしています。


むしろ、体格やパワーよりも、マルケスから見て脅威なのは、パッキャオの技術面の成長ではないでしょうか。

過去二試合、パッキャオは瞬発的な攻撃の凄さでマルケスを脅かしましたが、
防御を含む総合的な力量では、どちらの試合でもマルケスが上、という印象を持ちました。
初戦はパッキャオが初回三度のダウンを奪いながら巻き返しを許し、
二戦目はマルケスがサウスポーの左強打を受けずに済む位置取りをしているところを、
常識外れの肩のひねりを効かせた左でダウンを奪っておきながら、
またも巻き返しを許して僅差の判定に持ち込まれています。

ところがこの二戦目の次、ライト級に転じてデビッド・ディアスに圧勝した試合から、
パッキャオは目に見えて防御技術が向上し、右リードも多彩になり、
総合的に一段上のボクサーになりました。
頭の位置を立体的に変え、細かいステップによる繊細な位置取りをし、右リードが多彩になり、
コンビネーションパンチの緩急、強弱のつけ方が抜群に巧くなりました。
それまでのややもすると左強打に頼りがちだった彼とは別人のような、
それまでのスピードとパワーだけでなく、決め手を持ちながら布石の部分が充実した、
時代の最先端を行く、質の高い攻防一体のボクサーになりました。

今回の試合は、この技術面で成長したパッキャオが、かつて自分を苦しめたマルケスとぶつかった時、
以前の二試合とはまた違った形での激しいせめぎ合いが見られるのではないか、という期待があります。
大袈裟に言えば師匠と弟子のようだった両者の技術的な面で、弟子が師と肩を並べるのか、越えるのか。
或いは師が、まだまだ劣らぬというところを見せるのか。見所の多い試合になりそうです。



後は、この一戦に賭ける、マルケスの闘志にも注目でしょうね。

過去二試合の、いずれも僅差で勝利を逃した結果に、マルケスは納得していない旨を
再三語っているようですが、彼には、自分自身のボクシングに対する揺るぎない誇りがあり、
それが現在の彼を支えているのでしょう。
年齢的に、もう若くはなく、メイウェザー戦ではひたすら苦境に耐え続け、
カツディス戦でも激闘を繰り広げ、この二試合で続けてダウンしている現状は、
けっして明るいとは言えません。

それでもなお、このパッキャオ戦に賭ける意気込みがあるからこそ、
彼は闘い続けていられるのでしょう。
この一戦において、ここまで彼を支えてきた誇り、闘志がどのような形で表現されるのか。
そして、どのような結末が待っているのか。

ひとつだけ確かなことは、この試合の内容と結果がどうあろうと、この試合は真に世界の頂点を争う
数少ない真の王者、英雄同士の激突であり、闘われずには済まない、
闘われなければならないものである、ということです。
過去の二試合の内容を見るだけでそれは充分に証されている、と私は思っています。

現在、ライト級最強と目されるメキシカンと、
米大陸のボクシングマーケット史上初のアジア人スーパースター。
126ポンド、130ポンドで闘ったこの両者の、3度目の対決。
過去に類例無き、比較する事例の無いマッチアップです。



こういう試合をまたまた生中継で見られる、毎度同じことを繰り返しますが
有り難いことであります(^^)日曜日が楽しみですね。




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スモーキン・ジョー死す/今後あれこれ

2011-11-09 10:11:58 | 話題あれこれ


スモーキン・ジョー・フレイジャー死去。

彼については以前書いたこちらの記事に書き加えることはありません。
彼はアリと同じく、いや、ことリング上での姿に限れば、アリ以上に偉大な選手だったかも知れません。
時代が下るにつれて、アリが社会的評価と共に、それこそ雪だるま式にその人気を高めるのと反対に、
彼は不当に低く、軽く見られるようになっていった感がありますが、
実際に彼が闘っていた時代の評価、人気は、後の我々が思う以上に絶大なものがありました。

偉大なる王者、ファイターの中のファイター、スモーキン・ジョーのご冥福を祈ります。

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年末、来年にかけてのチャンピオン達の今後について、あれこれと。

先日勝利した山中慎介の王座について、返上したと言われていた前王者ノニト・ドネアが
自分は王座を返上などしていないと、フェイスブックにて抗議の意を表明したとかいう話ですね。
本人が公式に会見も何もしていないのに返上とみなして空位決定戦て、後で揉めやせんのかな、と
思ってはいましたが案の定ですね。
この辺は契約問題で揉めたトップランクとの駆け引きも込みの話かもしれませんが。

かと言って先日の山中の勝利の価値が貶められるべきではない、とも感じます。
先の試合を山中が王者、エスキベルが挑戦者と仮定した場合、山中は十分、世界王者と見なしうる
仕事をした、あの試合内容を私はそういう観点で評価します
(もちろん、ドネアのレベルと比較するとまた違う話ではありますが)。
それだけに、この辺の話はクリアにしておいてほしかった、しておくべきだった、
という思いがあります。
さらにいうなら、あの試合が挑戦者決定戦のままであっても、それはそれで充分、
千金の価値があった、とも。

しかしWBC1位にIBF王者がいて、来年にも対戦というと、指名試合兼統一戦ということになるのでしょうか。
WBAとWBCが一時、王者統一を掲げて互いの王者を世界1位に掲載した時期が
過去にありましたが、何故か今、バンタム級だけでこういうことが起こっているんですね。
何やら特定のプロモーター同士が、互いの契約選手のための便宜を図っているような印象です。
まあ、事情はどうあれ、少しでも統一の機運があるなら、是非やってもらいたいとは思います。

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井岡一翔はやはり大晦日、大阪府立で防衛戦。相手は9位ヨードグンという選手。
オプションを持つタイのプロモーター傘下の選手みたいですが、これより上位の選手も
いるはずなのに、どっちにしても井岡には勝てないからこの選手にした、みたいな雰囲気ですね。

あと、この記事には大晦日の生中継ということで、ダブル世界戦の話もあり、と書いてあります。
記事には佐藤洋太の名前も上がっていますが、私が小耳に挟んだ話では、
別の選手の可能性もあるようです。
で、その別の選手が誰をターゲットにしているのかというと、
来日経験も豊富なあの名王者とのことで。
まあ、実現するかどうかわからないのでここまでにしますが...(^^;)

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今日は11月9日。当初発表のとおりなら、久高寛之4度目の世界挑戦が行われるはずでしたが、
中止と発表。洪水の影響という話ですが、誰もそれを信じてはいません。
1位亀田大毅陣営の要請を受けたWBAが、暫定王者テーパリット陣営に大毅との対戦を
突如義務づけたから、というのが実際のところなんでしょう。

このタイトルにまつわる話には、本当にげんなりさせられますね。
王座を獲得したばかりの清水智信がいるというのに、どこからどう見ても無理な話ばかりで。
まあ、以前ならどんな横車でも通っていたものが、こうして通らなくなった様子を見ていると、
さすがに日本の業界首脳も、多少は反省しているというか、懲りているんだろうなぁ、と思えて、
それだけが僅かに救いではあるんですけど。

久高については、関西依怙贔屓の本性丸出しで言えばちょっと気の毒ですが、
やはりこういう形でばかり勝負を賭けるやり方では、そりゃあファンから文句も出ますよ、と言いたいです。
日本や東洋の王座に挑んでから、ということでも良いですし、関東のジムの興行で
安く、軽く使われるのが嫌なら、再起の意思表明をしたという名城信男との関西対決というのも
良いんじゃないでしょうかね。
いずれにせよ、世界戦以外で、何かひとつ高い山を越えようという姿勢があれば、
4度目は今回と違って、もっと真っ当な形で、ファンにも祝福されつつ挑める試合に
なると思うし、是非そうあってほしいのですけど。

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熱戦・苦戦・凡戦・停電  山中慎介新王者に!

2011-11-06 21:55:53 | 関東ボクシング


ただいま国立代々木競技場第二体育館より帰ってまいりました。
今日は激闘あり凡戦ありヒヤヒヤあり、おまけに停電あり、
なんとも起伏の激しい大変な興行に当たってしまいました。
ファンとして、その場にいたことを自慢げに語れるような試合が、
同時にきわめて珍しい話の種でもある、というのも珍しいことです。

私が個人的に「この日のメインはコレ」と認定していた
山中慎介vsクリスチャン・エスキベルは、予想以上の激戦となりました。
関東以外放送がなく、G+の録画放送も翌週末という今回の興行ですが、
ことこの試合だけはそんな扱いはあり得ん、と思ってはいたものの、
実際には期待以上のスリリングな攻防が切れ目なく続き、
きわめて満足度の高い試合でした。
以下、興奮しつつなんとか取ったメモで、展開を記します。
細かいところ間違いもあるやもしれませんがご容赦を。まあ毎度のことですが(^^;)


初回、山中はいつも通りバランスの良い構えから左ストレート。右リードも出す。
2回、エスキバルの右に山中が左を返し、エスキバルが一瞬ぐらり。
場内一気に沸くも、直後に右アッパーが来て山中がダウン、と見えたがスリップの判定。
場内一気に静まる。エスキベル、只者ではないことを一瞬で示しました。
3回も山中。4回はエスキベルが右から攻め、山中は少し見ていた感。
途中採点は39-37×3で山中リード。

5回、若干、両者が踏み込みを深くし、距離が縮まった印象。
山中のスリーパンチがヒット。左ストレートも決まる。
6回、山中の強い左が二度決まり、場内が沸いた直後、エスキバルが強烈な右。
両者激しい攻防を繰り広げた終了間際、山中の左から右でエスキバルが尻餅。
スリップ気味にも見えたが山中のパンチが当たっていて、ダウンの裁定。
7回、疲労の見えるエスキベル。山中の左カウンター、追撃で攻勢。
山中の左が再三決まり、これはいよいよ倒せるか、と思ったのですが
しかしまたも粘るエスキベル、攻め立てる山中が足を滑り加減のところに右。
これまたパンチが当たっていて、ダウンの宣告。
8回は山中が足を使って省エネ。明白に優勢だが楽ではない。
途中採点は78-73×2、79-72で山中。
最後の採点は、7回、山中がダウンするまでを10-8でリードと見た数字のよう。

9回、山中はリズム重視で動き、要所で左右左のスリーパンチ。
10回、山中が左で突き放す展開。上下に左ストレートを散らす。
エスキベルは見るからにきつそうだが、右のカウンターは鋭く重い。
採点とは別問題で、試合の緊張が切れない闘いが続く。

そして11回、開始直後にとんでもないトラブル。なんと照明が突如消える。
数分中断、ニュートラルコーナーに分かれた両者、山中は屈伸運動をし、
エスキバルはというと腰を下ろして座り込んでしまう。
ダメージのあるエスキバルにとり、もう休憩できるからどうとかいう段階ではなかったか。
私は、休憩を取ってしまったエスキバルを今から攻め直して倒すのは無理か、と思ったのですが、
連打で山中が攻勢、エスキバルが右目を押さえてダウン。
再開に応じるも山中が厳しく詰めて、左がまたエスキバルの右目に当たる。
エスキバル、目だけではないダメージに耐えかねてとうとう座り込み、レフェリーストップ。
場内大歓声の中、山中が見事な王座獲得となりました。


いや、本当にこれは素晴らしい試合でした。
世界バンタム級の上位同士にふさわしい熱戦と決着に、山中応援団だけではなく、
場内から「万歳」コールが上がりましたが、それも納得の試合内容でした。
これが関東のみ放送とはいかにも勿体ない。山中の故郷滋賀県に是非中継してほしかった。
もちろん関西全域にも、いや、全国津々浦々にも。そう思わずにいられない試合でした。

この試合が空位の王座決定戦になった件については、批判的な見解が聞かれ、
私もそれはひとつの意見として正しいとは思います。
日本のボクシング界にはこうした疑問を、時に業界との摩擦を覚悟してでも論じる
ジャーナリズムの不備という問題がありますが、しかしそれとはまた別の話として、
このカードのレベルと、実際終わってみて振り返った試合内容の素晴らしさは、
リング外で渦巻く「とやかく」「あれこれ」の意味を無に帰してしまうものだった。
それもまた、確かな事実でした。山中慎介には本当におめでとうと言いたいです。

最後にちょっとだけ自己満足。いやあ、見に行って良かったです(^^)



さて、この他の試合について。
前座で帝拳の若手ホープ鈴木武蔵が9戦目で初黒星を喫しました。ちとびっくり。
相手は10勝(6KO)3敗1分の久保幸平という好選手で、6回終了間際に
まともに打たれた鈴木がダウン寸前に陥ったところでゴングに救われたのですが、
ダメージ甚大な様子を見て帝拳陣営が即座に棄権しました。適切な判断でした。
これ、私が知らんだけで、若手同士の好カードだったのかもしれませんね。
一進一退の熱戦で、どっちも拍手、という感じの試合でした。



フライ級の世界挑戦者決定戦はWBC2位の五十嵐俊幸が同1位ウィルベルト・ウィカブに
3-0の判定勝ち。先日ポンサクレックに敗れたエドガル・ソーサのランクが落ちたらしく、
こういう順位になったわけですが、両者ともその肩書きに、そして次期指名挑戦者として
相応しい試合をしたとは、とても言えない内容でした。
これでも一応、節穴目玉を見開いて試合を見、メモを取りつつ懸命に振り分け採点に
取り組んでいたりもするんですが、正直「採点?わしゃ知らん」と言いたくなる回が散見されました。
かの名優香川照之さんの「この世にはイーブンラウンドなど存在しない」という格言は、
必ずしもというか、やっぱ試合によっては正しくないんやないですか、という心境です。

五十嵐が指名挑戦者として目指すというポンサクレック攻略ですが、現時点では、
かなり厳しい予想をせざるを得ません。
対戦相手のウィカブは、悪いですが凡庸の一語でした。
あれならOPBF王者ロッキー・フェンテスの方が強いでしょう。



形式上のメインイベント、粟生隆寛vsデビス・ボスキエロは、
山中の激闘を見終えて、まあ楽勝防衛を気楽に見せてくれるのかな、という
あくまでこちらの勝手な想像を、豪快に裏切る、ある意味凄まじい試合になりました。

あとから思えば、初回、粟生が厳しく叩くか撥ね付けるか、またはじっくり見るかという
厳しい選択をせずに、割とふわっと、何となく立ち上がってしまったような気がしました。
筋骨隆々のボスキエロは、ガードを高く上げて、というかそこで固めて、
右から打ってきては前にのめってクリンチ、というか組み打ち、という、
いかにも下位のランカー、という風情のボクシングしか出来ないのですが、
粟生が右リートで突き放せず、左はガードされ、ボディを叩いて少し食い止めても
体ごとぶつかってくるボスキエロがまた右を振って押してくる、という繰り返し。
試合展開がクリンチでぶつぶつ切れ、明らかに技術やセンスで上回る粟生が、
荒い相手と「手が合わない」感じの凡戦が延々と続きました。

粟生はこういう下手なのとやらしたらいかんな、業種が違うもんなー、と
ぼんやり思っていたのですが、試合はそういう話では収まりませんでした。
8回終了時点では77-75、79-73,77-76と三者粟生リード。
僅差もありましたが、このイタリアの筋肉お兄さんが終盤落ちるに決まってる、
けっこうボディも入ってるし、と思いきや、そのラスト4ラウンズで
先に落ちてきたのは粟生の方。ボスキエロの右を食い、返しの左も食い、
クリンチに逃れたり、ふらつくような場面が増え、見ていて「うわわ」「危ない」と
何度も叫んでしまいました。
最終回は左を返したが、最後4つのうち、3つはボスキエロが押さえたか?という感じ。
採点は115-113×2粟生、116-113ボスキエロの2-1で
粟生の判定防衛となりました。ついでにさうぽん採点は114-114でした。

粟生が何か負傷でもしてたのならまた違う話になるかもしれませんが、
タイベルト、グティレスという王者クラスを連破した粟生から、立ち上がり、
厳しく相手を撥ね付けるような意志の力をようなものを感じませんでした。
その構えの弱さというか心の隙間に、なりもふりも構わぬ、捨て身の挑戦者が突進してきて、
粟生の一番いやな展開が否応なく続いてしまった、というところでしょうか。

いずれにせよ、この試合は、今朝報じられた米国からのオファーを受諾して
勇躍ラスベガス進出だ、というような景気づけにはほど遠い内容でした。
まあ、粟生は試合による出来不出来の差が激しいタイプなのかも知れませんが。



ということであれこれ賑やかな興行を見終え、満足して帰ってまいりました。
繰り返しますが、やはり山中慎介ですね、今日は。
長谷川穂積以来の、黄金のバンタム級世界王者誕生をこの目で見られて、
非常に満足です。ハッピーです(^^)
改めて拍手を送り、今後のさらなる好試合実現に期待します。

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惜敗に見えましたが/直前の変更/海外遠征の話またひとつ

2011-11-04 22:15:06 | 話題あれこれ
今日はネットで試合を見たいと思っていましたが、平日の午後では無理、と
完全に諦めていました。
バンコク愚連隊さんのブログによると、興行全体の二試合目とのことでしたし。
しかし用事を済ませてPCの前に座ると、ちょうど始まるところでした。
何だかわかりませんが、予定が変わったのか、時間が押したのか。
何にせよ、生中継で見ることが出来ました。

名城信男、0-3判定で王座奪取ならずでしたが、私は惜しい試合だと見ました。
ネットの画像ですから細かいところはわからないという前提がありますが、
スリヤンの速い左ジャブと、出入りのステップに苦しめられながらも、
左ボディブローでスリヤンの動きを落とし、ワンツーも時折決めていました。
7回にもっと押し込みたいところで右アッパーを好打されたのが痛かったですが、
10回などはワンサイドに打ちまくりました。
ポンサクレックを苦しめ、ロハスを下した王者スリヤンに対し、
初防衛戦にしてはきつい相手を選んだものだ、と思わせるだけの強さを、
名城信男は充分見せてくれました。
クリアな映像を見てみないと、判断しにくい面もありますが、
この王者を日本に呼んで挑戦していたら、勝てたのではないか、と思うほどに。

ただ、試合展開とは別に、採点のずいぶんな数字に象徴されるとおり、
判定では勝ち目がないとされる敵地タイで王座奪取を果たすための、あと一手がなかった。
それもまた厳しいですが現実として残ったように思います。
もうひとつ、相手の闘う意志を断ち切るほどの威力あるパンチがあれば。
若手時代の柔軟な動きと執拗さがあれば。
そういうもどかしさも、やはり感じてしまいました。

キャリア初期から現在に至るまで、矢継ぎ早に大きな試合を闘ってきた
名城信男の心身には、我々が思う以上に疲弊があることでしょう。
今日もそうだったように、彼ほど「よく闘ってきた」ボクサーは滅多にいません。
今は、ひとまず、お疲れ様でしたというしかないのでしょう。

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山中慎介vsクリスチャン・エスキバル戦は、当初の挑戦者決定戦から
ノニト・ドネア王座返上のため、空位の王座決定戦に変更とのことです。

試合直前にタイトルマッチに変更とは、選手もちょっと複雑かも知れませんが、
ドネアの返上が事実なら、そうなって然るべき試合ではありますね。
両者の実力、実績、試合内容から言って、むしろタイトルがかからない方が、
ちょっとそれはどうかいな、という気もしていました。
個人的にはまあそれで良いかな、というところです。

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最近海外リングでの試合が多くなった日本のボクシング界ですが、
千里馬神戸の玉越強平にも、12月10日にメキシコ遠征の話があると、
千里馬神戸ジム関連のブログに出ていました。
相手はWBCのスーパーフェザー級最新ランキングで1位のメキシカン、
20戦19勝(17KO)1敗のダンテ・ハルドンです。
Youtubeでいくつか動画を見てみましたが、やや細身でリーチがあり、
しかしスタイルはえらく好戦的で、パンチもけっこうありそう。
ニックネームは「クレイジー」。ちょっとワルそうな風体です(^^;)

フェザー級に戻して再起路線を歩む玉越にとっては、
なかなか厳しい闘いになりそうですが、その反面、これに勝てば
一気にランキング上昇が見込める大きな挑戦ですね。
まだ正式な発表ではないようですが、なんとか実現してほしいものです。

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予想外の堅陣、小國以載王座奪取

2011-11-03 20:16:35 | 小國以載
神戸サンボーホールにて観戦してきました。

OPBFスーパーバンタム級タイトルマッチ、
ロリ・ガスカvs小國以載(おぐにゆきのり、と読みます)は、
僅か7戦目の挑戦者小國が二度のダウンを奪ってクリアな3-0判定勝ち。
15位の挑戦者がまさかの王座奪取を成し遂げました。

当ブログでも動画紹介したり、コメント欄でも質問いただいたりと
関西リング注目の若手だった小國ですが、私はスカイA放送の試合を
ひとつかふたつ見ただけで、正直言って、今すぐ何らかのタイトルに挑み、
王座奪取を成し遂げる段階の選手だとは思っていませんでした。

長身、リーチに恵まれ、筋の良いアウトボクシングをしますが、
経験不足、線が細い、という、いかにもな不安を感じましたし、
相手は初防衛戦とは言え、あの大橋弘政とフルラウンド闘って競り勝った王者です。
小國には厳しい試合だけど、これも後々のために良い経験になればなぁ、と
こうして書くと我ながら冷たい心境で試合を見ていました。
結果として、とんでもない見当違いでした。


初回、低い姿勢から伸び上がるように左を突くガスカ。
小國は立ち上がり見ていましたが、徐々に長いジャブ、右のボディストレート。
2回、セコンドのVADYジム高嶋会長から「(立ち位置を)右へ」と指示が飛ぶ。
ガスカの左も来るが、それをガードしてジャブ、右。
3~4回、ガスカの左フック、小國のジャブ、逆ワンツーの応酬。
打ち合いではガスカの叩き付けるようなフックの連打が怖いが、
距離が空くと小國のストレートが時折ヒット、という展開。
ここまでは微妙な感じで、私は38-38、というところで逃げました(^^;)

5回、まったく予想外のビッグラウンド。
低いダッキングをして左を伸ばすガスカの打ち終わりに、
鋭い小國の右がクリーンヒット、当たった!と思うより先にもう一発。
ガスカが背中からダウン。相当効いていて、これでストップかと思うほど。
しかしタイ人レフェリーがえらく長い時間をかけてガスカの目を覗き込み、続行。
小國が打ちまくるがガスカ懸命のクリンチ...さえままならず、
ずるずるとキャンバスに膝をつく。TKOにしても不思議のない状態。
レフェリーはこれを二度、スリップと判定して続行。場内騒然。
小國はやっとガスカを振りほどいて右アッパーで二度目のダウンを奪う。
ガスカ立ち上がり、何故止めないかと場内が?マークに覆われたところでゴング。

6回以降はダメージのあるガスカが足を使って回復を図るが、
小國は焦って攻めず、じっくりと見ては散発的にワンツー、ボディでポイント連取。
8回まで小國が押さえたが、9回あたりからもう一押し出来なかったせいで
ガスカが徐々に甦ってきて、左フックや右アッパーで小國を脅かす。
終盤4ラウンズはややガスカか、という印象でした。


このあたり、あれだけのビッグラウンドがあったのだから、
中盤もっと追撃が欲しかったというのが正直なところでした。
しかし終盤失点はしたものの、同時にやや劣勢の中でも、小國の良さも見えました。
ガスカが必死で打ってくる連打を、かなり堅いガードで封じていましたし、
少しヒットをされても慌てず、長いジャブやストレートを当て返し、
前にのめって叩かれるようなことが全くありませんでした。
攻めにもう少し厚みが欲しい反面、バランスを崩さない確かさも感じました。
この辺の是非論は、今後の試合を見ていく中で、語る機会がありそうですが...。


判定は115-111、116-111、119-109。
5回のビッグラウンドで、小國に不利な?レフェリングをして、
場内から罵声を浴びていたレフェリーが一番大差をつける意外なおまけもあり、
3-0の判定で小國以載が新チャンピオンとなりました。
ついでにさうぽん採点は115-111でありました。


正直言って意外な内容と結果でした。嬉しい驚きをもらった一戦です。
小國は自分の長所である長身、リーチを生かし、じっくり構えてバランスを保ち、
短躯の王者ガスカの打ち終わり、止まる瞬間を良く見て、長いストレート中心に
ヒットを取り、5回の好機には鋭い追撃でダウンまで奪って、終盤のガスカの逆襲にも
慌てることなく、堅陣を崩しませんでした。
上記したとおり、6回以降の攻めにもっと厚みがあれば、とは思うところですが、
そのあたりはまだ7戦目、今後の課題というところでしょう。

この選手の試合を直に見たのは初めてなのですが、見た目以上に、
なんというか「しっかりした選手」だと思いました。
セコンドの高嶋会長の出す、端的ながら的確な指示をよく聞いて闘っていて、
「右に動け」「そこ来るで」「次、右打ってみよう」というような指示を、
特に中盤までは無理なく実行に移し、その通りにヒットを奪っていました。
ぱっと見れば地味な闘い方が基本の選手でしょうが、直に見ると、
あれこれ見所のある面白い選手でありました。
俗な言い方をしますと「これはなかなかのタマかもしれん」というところでしょうか(^^)
もちろん不足もある段階の若手ではありますが、ならば伸びて行くところも
楽しみつつじっくり見ていきたいな、と思っております。


前座では井岡一翔初防衛戦のセミで、土屋修平と激闘を繰り広げた
江見ジムの福原寛人が、グリーンツダの岡島広和を初回ノックアウト。
開始早々ワンツーで倒し、逆襲に出た岡島に右をカウンターで合わせフィニッシュ。
最後はノーカウントでレフェリーが試合を終わらせる痛烈なエンディングでした。

セミは戎岡淳一と有富康人のランカー対決。
フライ級7位(とアナウンスされました)有富がスピードと正確さで上回るも、
ライトフライ級8位の戎岡が打たれつつも強打で対抗。
初回、左ジャブがカウンター気味に入り有富ダウン。
2回以降有富が反撃、戎岡は徐々に打たれだし、3回以降は防御の甘さを露呈。
より正確で打たせない有富が逆転するかと思ったのですが、
そこが普通の理屈では計れないえびじゅんの真骨頂(とか言ってていいのか)、
5回終盤、左フックの強打一発で有富をふらつかせ、追撃で二度目のダウンを奪い、
6回、右から連打で打ち込んでストップ勝ち。強打者ぶりを見せました。

この選手は若いときから何度も見ていて、最初はKOの少ないスピード系の選手でしたが、
その後の起伏の激しいキャリアを経て、危なっかしいけど相手にとっても怖い、という、
ちょっと普通の概念とは違う、ベテランらしからぬ選手になりました。
長いこと見てるせいもありましょうが、どうあっても応援したい選手ですね。
あまり派手な試合ばっかりせん方が...と心配でもありますが(^^;)

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