友人の厚意にすがり、当日、中継映像を見ることが出来ました。
簡単に感想を。
初回、速いジャブ、サイドステップが冴える田中恒成、良い立ち上がり。
2回は連打の最後に、ガードの真ん中を打ち抜く右をクリーンヒット。
3回も引き続き快調、だが手応え故か?少しずつ止まって狙う風も見え始める。
4回、この辺から目に見えて足が止まる。5回、右アッパーから好機、ヒット連発。
ところが6回はまた動きが落ち、イエドラスが手数で勝る。
7回からは、ポイントはさておき、内容的には一進一退。
軽いが正確なヒットの田中、重いパンチを振るうがガードされることも多いイエドラス。
8,9回と田中が好打して攻勢をかける場面もあるが、イエドラス止まらず、攻める。
終盤はイエドラスも好打があり、やや田中が失点したか、という感じで試合終了。
採点は7対5で田中と見ました。甘ければ8対4もあるかなと。
公式採点ではふたり9対3がいましたが、それは少し甘すぎのような。
いずれにせよ、勝ちという結果は明白で、クリアなものでした。
デビューわずか5戦目の若手が、タフなメキシコの上位選手に競り勝った、という事実と共に、
俗に熱戦、好ファイトと言える試合内容もまた、大いに称えられるものでしょう。
課題としては、減量が苦しく、この時期としては暑かった上に、序盤の好機の際、フォローアップの精度を欠き、
ミスブローを重ねてしまい、思った以上に体力を消耗した点でしょうか。
これまでのどの試合よりも「燃費」の悪い試合をしてしまった感があります。
また、動いて回ってジャブから当てて、という立ち上がりだったものが、なまじ序盤から好打できたものだから、
その手応えをもった上の判断で、やや動きを止め加減にして「狙う」型になったことが、
その後の展開を悪いものにした、とも見えました。
全体的に、闘い方自体が、相手の特性を踏まえた上で、動くか狙うか、どちらかに「徹した」ものになっていなかった。
イエドラスの頑強さが、想像以上のものだったこともあり、悪く出れば致命傷になりかねなかった、とも見えました。
しかし、上記したとおり、5戦目の若手の試合としては、大いに称えるべき内容と結果でした。
好機もあれば、劣勢の展開もありましたが、タフな相手を仕留められなかったとはいえ、単に当てるだけで無く
深刻なダメージを与える場面も複数ありましたし、最軽量級では稀な部類の熱戦でした。
井上尚弥のような、常識外の驚異ではなくとも、田中恒成の前途は洋々たるものでしょう。そう言える試合でした。
しかし試合にまつわる「新記録」の話題や、前王者の返上の経緯、そして今後、その前王者との「統一戦」云々、
という話のあれこれについては、曰く言い難い感情がどうしても沸き上がってきます。
事細かにあれこれ、言い募る気にもなりません。「余計」なことばっかりやな、というに尽きます。
あの愛すべき石原英康の指導を受けた、中部ボクシング界の新星が、苦しみながらもまたその才能を輝かせて、勝った。
ただそれだけの試合として、今日の試合を見られたら、どんなに良かったか。
このような良い試合を見られた喜びはかけがえなく、間違いなく、大きなものです。
しかしその心の片隅に、そういう気持ちがあるのも確かですね。
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見られない地域も多かったと思いますので、動画紹介しておきます。
数日で消します。或いは消されます。お早めに。