そんなことで昨日は、あれこれ用事があってDAZNは見逃し配信ですが見ました。
土曜日のparaviライブ配信と共に、簡単に感想。
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三代大訓は、一階級下の元王者、竹中良を相手に、OPBFスーパーフェザー級王座を防衛。
竹中が果敢に出て、上下の連打を再三決め、三代ガードしきれず、時に打たれてもいるが、さっぱり堪える様子がない。
三代はジャブ、ワンツーで脅かし、4回に左ボディ好打。竹中失速。
竹中、ここからは、試合展開をどうこうではなく、繰り出す攻めは全て、ペース配分度外視の反撃、という形になる。
それでも竹中、奮戦。5回に浅く当たった右クロスは、良いところに決まっていれば、三代といえども大ピンチだったでしょうが、惜しかった。
竹中は懸命に「反撃」を繰り返すが、ボディのダメージか、止まり加減になり、防御動作が小さくなったところを、三代が軽打と強打を織り交ぜ、攻め落とす。
7回に、かすめた右アッパーから右クロスを当て、堪える竹中に追撃。
試合序盤は肩の捻りで当てていた右クロスを、力を入れて強打するようになり、8回、竹中捨て身の反撃をやりすごして、後頭部に近い側頭部に右強打。
竹中一転してダウン、カウント中にタオルが入って、TKOでした。
三代大訓は、出世試合の正木脩人戦以降、全部映像で見ていますが、筋の良いボクサータイプ、ジャブが良く出る、粘り強い、ガードは堅く見えるが結構打たせる、ボディ打って接戦から抜け出す、という試合ぶりが多く見られます。
末吉大と引き分けた王者対決なども、そういう流れでした。
しかし、日本上位や、比国の本気選手(カルロス・マガレ)らとの一連の試合を経て、徐々にですが、堅牢な技巧派、という形で、けっこう出来上がってきたなあ、という印象です。
華奢に見えて頑丈で、ボディを打たれていても、見えている範囲内なら耐えられるものか、動きが落ちない(マガレ戦除く)。
上記したように、右クロスひとつとっても、軽打して当てていたものを、強打すべき時には、しっかり打ち込む、その判断、切り替えに迷いがない。
好打され、場内が沸く場面でも、顔色一つ変えず、冷静に対処できる。
もちろん、まだ甘さもあり、そもそも天才的な選手というわけではありません。
また、内山高志、三浦隆司、粟生隆寛(好調時)のような、同じクラスの先達ほど、日本のレベルを超越した何かがある、ということでもありません。
将来、世界タイトルが獲れるかどうか、と言われると、現時点では...ゴニョゴニョ、という感じです。
しかし、そういうの抜きにして、見ていて色々なところに「妙味」があり、見どころの多い、見ていて面白い技巧派です。
TVやネット配信の映像を通じて見て、こういう印象を持てるのだから、会場で直に見たら、さらなる「発見」があるかもしれないなあ、と。
これまで、本当に充実したキャリアを積んできていますし、今後も良いカードに出るのなら、そのうち一度くらい...と、そんなことを思わせてくれる、見応えのある試合ぶりでした。
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セミは日本バンタム級タイトルマッチ、齋藤裕太vs鈴木悠介は、サウスポー鈴木が消耗戦をしのいで判定勝ち、王座獲得。
立ち上がり、鈴木のワンツー、左ストレートが齋藤を捉える。4回は齋藤の右が好打、鈴木がぐらつく。
徐々に鈴木の足が止まっていき、インファイトで力が出せる齋藤が有利かと見えたが、鈴木が踏ん張って有効打でややまさる。
終盤、鈴木の左ボディが齋藤に突き刺さり、鈴木が追撃。最終回は齋藤が踏ん張ったが、鈴木が競り勝ちました。
両者果敢に打ち合い、消耗戦ともいうべき展開でしたが、その合間に、再三再四バッティングが起こってもいて、それはもう、見ていて気になる、というレベルを超えていました。
齋藤は、新人王決勝の試合からそうでしたが、本当に、アタマの位置に関して無頓着というか、当たったとて是非も無い、という風情。
鈴木に関しては、試合の数をあまり見ていないので不明なれど、こちらも、アタマの位置に関して、繊細に考えているようには見えず。
当然、ゴチゴチとアタマが当たり続け、鈴木の左頬は、最近なかなか見ないほど、腫れて膨れあがっていました。
「左右対決」だから仕方ない、という面もあるにせよ、もうちょっとどうにか、その辺を考えた上で闘えないものか、と言いたくもなります。
真剣勝負の最中に、そんなこと気にしてられるか、というのも事実でしょうが、ボクシングの試合とは、拳で相手を打って争う勝負であり、しかもタイトルマッチとつく試合で、そんなレベルの話は聞きたくない、というのが、正直な気持ちです。
結果として、ヒットでまさった鈴木が勝者として残ったのは幸いでしたが。
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重岡銀次朗は、また初回KO。WBOアジアパシフィック王座獲得となりました。
初回早々、左のレバーパンチ、一発。
15勝2敗1分というレコードを持つ、クライデ・アザルコンは苦悶の表情でうずくまる。
カウント10がどうとかいう話ではなく、なかなか立てず。
数分後にやっと椅子に座れたが、まだ身体をよじらせて、苦しそうでした。
paravi、つまりTBSの実況は、田中恒成に並ぶ5戦目での世界獲得、ビック・サルダール挑戦も視野に、と、勝ち名乗りの様子に被せて言いました。
たぶん、事前にそう言うように、用意していたんでしょう。
それが関係者から出た、具体性のある話なのか、あくまで実況の独自見解なのか、その中間なのか...報道では、ジム会長はそれを否定したようですが、妥当なところでしょう。
4戦全勝とはいえ、相手は正直、名のある選手はおらず。強いなあ、と見えた選手もいませんでしたし。
しかし、相手どうという話は別にして、重岡銀次朗、これは相当強いな、とも見えました。
今回の相手にせよ、過去3戦の相手にせよ、文字通り一蹴続きですが、小柄ながら鋭く強い踏み込みで、さほど力まず打つパンチで、あっさり倒してしまう様を見ると、世界どうというなら別にしても、相手が少々強かろうが、結局同じ事が起こるだけの話ではないのか、と思ってしまう。
単に格下?を倒した、というだけに収まらない、強烈な印象をもたらす選手です。
アマでも実質無敗、プロで4連勝と、公式戦実質無敗というのも、むべなるかな、というところです。
童顔で小柄なせいもあり、見た目の迫力には欠けますが、その強打、試合ぶりは、順調に伸びたら...と期待してしまいますね。
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さて、日曜はホセ・カルロス・ラミレスvsモーリス・フッカーの、WBC、WBO王者対決。
これを生中継で見られるのだから、有り難い限りです。
初回、早々にファイターのラミレスが左のジャブ、フックで切り込み、フッカーがロープへ後退。
ジャブを外したフッカーが、足を踏まれて尻餅。レフェリー、これをダウンと裁定。
これに苛立ったフッカー、離れて突き放す意識が乏しくなった感もあり。
しかしこちらも、長いジャブ、ワンツー、ボディを鋭く返す。見応えある攻防。
2回、ラミレスは左ジャブを伸び上がるように打ち、入っては左右のダブルを上下、または下上と打ち分け。
フッカーをロープに釘付け、左ボディと右クロスの、対角線のコンビ。
フック、アッパーで攻めて、時にインサイドへ右ストレート。迫力充分。
しかし3回、リング中央で、フッカーが右を強打。左フックが下→上と返り、次に右ボディストレート、さらに右から左フック。
こちらも攻めると迫力満点、しかも多彩で鋭い。
ラミレスしかし怯まず返す。ゴング後、互いに右を応酬。フッカー、攻勢は良いが、やはり少し熱くなっている?
4回、フッカーがジャブを突くが、ラミレスもジャブの距離で、ジャブ、ボディ、フック(上)の左トリプル。ボディが好打。
離れていればフッカー、というものでもなく、ラミレスこの距離でも充分やれる。
5回、ロープに詰め、ラミレス左ボディ決める。リング中央で打ち合い、フッカーも鋭く返すが、ラミレス優勢。
さすが王者同士、と見ていて感嘆するばかりの、激しく鋭い攻防が続く。
スローで見ると、ラミレスの右は、フッカーのガードした右腕をへし折りそうな迫力。
6回、ラミレスがワンツーから返しの左フック好打。いわゆる「目つぶし効果」で決まった左。
ロープへぐらついたフッカーに、左右ショートの連打。驚異的なほどの鋭い詰めでストップとなりました。
試合後、敗れたフッカーの腕を掲げて称えたラミレス、その実力と振る舞いは、王座統一に相応しいものでした。
優勢ではあったが、けっして楽ではない展開において、好機を逃さず、一瞬で仕留めた。お見事でした。
敗れたフッカーも、終始鋭い攻撃を見せていて、これぞ「世界」戦、というものだ、という納得感のある試合でした。
このレベルの試合を、生中継で見られて、改めて有り難いことだったなぁ、と思います。
今月のDAZNは、この一試合で充分黒字、元取れた、と言えるでしょう(^^)
カード的には、ファンは注目しても、広く一般の視聴者層にとってのビッグカードとはいえず、WOWOWで生中継や配信などはされなかったでしょうから、やはりDAZNのボクシング配信は、ファンとしては有り難いものだと言えます。
競争原理が働いている、とシンプルに言える状況かどうかは別にして、やはりなんだかんだと、見られる試合が増えているのは事実ですので。
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ということで、一曲。
Bird Bear Hare and Fish の「ページ」です。