さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

「戦友」への思い、消えず 西岡利晃、ドネアを見て語った3分間

2019-11-21 17:31:21 | 西岡利晃




今頃ですが、月曜に放送されたWOWOWエキサイトマッチ、解説はジョーさんと西岡利晃でした。
番組冒頭、井上、ドネア戦のハイライトや、ポストファイトインタビューが流れました。
ハイライトは、時間として正味3分ちょっとくらいだったでしょうか。


この大一番が決まって以降、試合までの間には、ネットはもちろん、様々なメディアが予想や展望などを取り上げました。
元王者や評論家、現役選手その他、芸能人なども含め、多くがこの一戦について語っていたものです。

しかし、その中に西岡利晃のコメントを見ることはなかったように思います。
ひょっとしたらどこかにあったのかも知れませんが、私が知る限り、では。


ご存じの通り、西岡利晃のラストファイトは、ドネアへの挑戦試合でした。
バンタム級での挫折を経て、Sバンタムで世界の王座に到達するに留まらず、海外に雄飛し「早熟の天才にして、大器晩成」というべき成功を手にし、海外で残した戦績、そのインパクトから、後継の世代にあたる長谷川穂積、山中慎介以上に、国際的に評価された西岡が、ボクサー人生の集大成として臨み、そして打ち砕かれた、あの一戦。

当時、フライ級からSバンタムまでの軽量級ゾーンで、各階級において最強の王者を悉く打ち破っていたノニト・ドネアに挑み、敗れたことは、西岡利晃の心中において、誇りでもあるが、当然のこと、痛みでもあったはずです。


今回、井上尚弥と対するノニト・ドネアについて、西岡利晃の心中はどういうものだったのでしょう。
そこには、単に「健闘を祈る」というに留まらない、語り尽くせぬ思いがあったのかもしれません。

具体的に言えば「自分と闘ったドネアと、今のドネアは違う」という思いだったのではないか、と下世話に推測することも出来ます。
仮にそうだとして、それをそのまま口にすれば、何が起こるかということも、これまた容易です。
そして、それが対する井上尚弥への敬意を欠くことにもなる、と見做されるかもしれない。それとこれとは別の話、であっても。


実際のところがどうだったのかなど、知る由もありません。
ただ、一向に目に付かない西岡利晃の言葉、届かない声のことを、試合前に何度か思った次第です。



そしてこの月曜日、ほんの短い時間ですが、西岡はほとんど、ドネアのことだけを語っていました。


「ドネアは36歳で、バンタム級に落として、コンディションしっかり作ってくるのは、厳しかったと思うんですけど、まあ、良いコンディションでしたね。」
「(2回の映像を見て)良い左フックですね。」
「(5回の映像を見て)普通の選手だったらね、もう倒れてると思うんですね。ドネアだからこそ判定まで...こういう、良い試合が出来たと思いますし...。」
「(9回の映像を見て)ドネア、右も左も一発ありますからね。」
「(10回の映像を見て)この辺、よく頑張ってますよね。ドネアだからこそ、こういう激しい試合、面白い試合が出来た、っていうのが言えますね。」
「(試合終了後)本当にドネアが良く頑張って、こういう良い試合を、ドネアが作ってくれましたね。」


試合が終わって時を経て(初めて?)この試合について語った彼の声は、言葉は、軽量級最強を謳われたノニト・ドネアと闘ったことの誇りと、痛みと、それ故に抱く「戦友」への思いが、じわりと伝わってくるものでした。
その声色は、労いの穏やかさを湛え、同時に、自身の誇りをも託す対象としての、ドネアへの称賛に満ちたものでもありました。


もちろん、若き王者、井上尚弥への称賛、敬意も心中に秘めているはずですし、そもそも番組の構成者が、ドネアについて語る役割を、西岡に割り振っただけなのかもしれません。
しかし、闘い終えて時を経て、短い時間であっても、彼の声を、言葉を聞けて、見る側のこちらとしては、やっとこの試合が「完結」したかな、というか、一段落ついた、という気持ちです。

この辺は、やはりWOWOWエキサイトマッチならでは、というところでもありますね。感謝。


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西岡利晃について、一番最近書かれた記事についても、ご紹介。
Number webに掲載された、二宮寿朗氏による「井上尚弥にバトンを渡した人がいる。西岡利晃の「不滅のジョニゴン戦」」です。

先頃発売されたNumber誌において、事前に取材をした上で、こういう記事が載るのだろうな、と想像していた、ほぼそのままの内容です。
記事の半分以上が再録だから、Web上のみの掲載になったのでしょうが、長きに渡り西岡利晃の拳歴を見つめてきたファンにとっては、じわりと「来る」内容です。

すべては「つながっている」のです。そのはずです。
そう信じて、長きに渡ってボクシングを見てきましたし、これからも同じことを続けるのでしょう。







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ということで、一曲。
amazarashi「未来になれなかったあの夜に」。





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「素敵な続編」に感謝

2012-10-14 17:33:45 | 西岡利晃

結果も内容も、非常に残念な試合だったと感じました。

西岡利晃の偉大さが、この一試合で変わることはないと思う反面、
この国際的に大きな注目を集めた一戦が、こういう試合になったことは、
何よりもまず、残念に思えます。まずはその気持ちから書きます。


立ち上がりからの、右ガードをこれまで以上に高く上げる代わりに、
右のリードをほぼ放棄したかのような闘い方は、あまりにも防御に偏りすぎと感じました。

試合後のコメントで、前半しのいで後半勝負、という狙いがあったとありましたが、
率直に言って、今時の世界戦でそんなファイトプランは成り立ちません。

12回戦制が導入されて約30年、短いラウンドの中にどれだけ濃密な攻防を詰め込むか、
そのテーマの元に、攻撃技術、コンビネーションの多様化、パワーショットの強化が進み、
昔日の「探り針」のために序盤の数ラウンドを放棄するボクサーなど、ほぼ皆無です。

そして序盤から相手にほぼ無償でペースを与え、リズムに乗せてしまったら、
12ラウンドなんてあっという間です。右向いて左向いたら終わり、の世界でしょう。

私は、序盤から積極的に右リードと左強打で攻めて出て、
ドネアに脅威を与えれば、その脅威を軸にドネアの速さを削り落とし、減じさせて、
試合を作れるだけの力が、現状の西岡には充分あると思っていました。

しかし現実には、西岡はそれとはほぼ正反対のアプローチをしました。
そのアプローチがいかにして無力化され、結果として破局を招いたか、
その過程は皆さんがご覧になった通りです。


結果論でなく、あくまで一般的に、ですが、あれだけ防御に偏り、重心を後ろに置いて構える型は、
自分が優位に立つ時なら、あれで良いのかもしれません。
しかし、自分より若く、速く、強いとされる相手に対して採る闘い方では無かったと思います。


あれこれ考えると、上記のような残念さが残る試合でした。
それは率直に、ファンの気持ちとして書かせていただきます。



しかし、仮に私が戦前に想像したような展開になっていたとしても、
それでも結果が変わることはなかっただろう、とも思っています。
その意味では、納得感のある試合でもありました。

ノニト・ドネアが、122ポンド級三試合目にして、ついにベストフィットした状態であったこと。
西岡の堅いガードを見て、左フックの強打に固執せず、サイドに出て多彩な攻撃を仕掛けてきたこと。
そして何より、西岡の頼みの綱である左を、徹底して外しきり、リターンやカウンターで抑え込んだこと。

これらの面で、ドネアは最近の西岡の試合をつぶさに見て、徹底的に研究してきたことが伺えました。
パウンド・フォー・パウンドで上位につけ、軽量級では最強と目されるボクサーに、
これほどまでにしっかりと見られ、水漏れ無しの完璧な仕上げで迎撃された日本のボクサーが、
果たして過去にどの程度存在したでしょうか。

例えばエデル・ジョフレを破ったファイティング原田は、これほどまでにジョフレに警戒されていたでしょうか。
もしこのレベルの対応を試合前からされていたら、原田はジョフレを破り得たでしょうか。
答えはそれぞれにありましょうが、私は否だと思います。


西岡利晃が挑んだ最高峰の闘いは、最強のノニト・ドネアとの試合前からの関係性において、
日本のボクサーが過去に挑んだどの試合よりも困難なものだったと、終わってみて思います。



そして、上記の見解と矛盾するかもしれませんが、その困難な闘いに赴いた西岡が、
すでに昔日の力を失っていたのかな、とも感じました。

もちろん、ドネアの圧倒的な速さ、多彩さ、肉体面での優位性(これほど西岡より大きく見えるとは
想像していませんでした)などが、西岡を圧倒したのは事実だと思います。
しかし西岡が防御偏重の構えを取らざるを得なかったのは、西岡自身がすでにこれまでの試合で見せた、
攻撃を仕掛けながら、相手の攻撃をガードだけでなく、柔軟で立体的な動きで外してきたボクシングを
実現できなくなっていたからだ、とも言えるのではないかと。



いずれにせよ、言えることは、西岡利晃の「素敵な続編」に、ついに幕が下りる日が来たということです。
私なぞがつべこべ言うてみたところで、その事実は変わりません。
結果として、西岡利晃はノニト・ドネアに、力で、技で、負かされたのです。
残念ですが、仕方のないことです。何せ、今まで自分だって大勢を負かして来て、今日は負かされた。
言ってみればだたそれだけのことに過ぎないのですから。


数年前、無冠時代の西岡の試合を、後楽園ホールまで見に行ったことがありました。
時は長谷川穂積台頭の時期で、世界戦の目処など全然立たず、ファンからの注目もされなくなった西岡が、
目の前の現実に懸命に抗い、闘っている姿に、悲しみさえ覚えたものです。

しかし彼は孤独な闘いから這い上がり、最後には、全世界注目のビッグマッチのリングに立ちました。
残念な結果に終わりましたが、その道程において、多くのボクシングファンが、
彼の戴冠に涙し、世界への飛躍に驚愕し、壮大な夢を抱き、希望を与えられてきました。
その過程はアラサーファンさんが「素敵な続編」と名付けられた通り、本当に素敵なものでした。



加古川の天才少年は、本人すら改めて振り返れば驚くであろうほど、長きに渡り闘い続け、
様々な希望や絶望、歓喜や悲嘆と共に存在し続けてきました。
そして、その日々も、今日、終わります。


西岡利晃というボクサーが与えてくれた壮大な夢に、感謝と拍手を送りたいと思います。
長きに渡り、数々の試合を楽しませてもらいました。本当にありがとう。お疲れ様でした。



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衝撃の予感

2012-10-11 05:30:51 | 西岡利晃

いよいよ迫ってきましたね、世紀の一戦...というか、
少なくとも今月、世界中で行われる数多のタイトルマッチの中でも、
はっきりとこの試合がナンバーワンのビッグマッチです。
そういう試合に、あの西岡利晃が出るのですから、これはもう大変なことです。

「せやねん」前日動画紹介しておきます。


まあ、試合が迫ってきたので予想というか、思うところをつらつらと書きます。

西岡ですが、まず昨年秋からほぼ一年のブランクがあり、その面では不安がありますね。
年齢、歴戦の疲弊、拳の状態などもまた、同じくです。

ただ、ムンロー戦やラファエル戦で見せた安定感、左強打という武器を持ちつつ、
布石の部分が充実し、展開がどうなっても適応して闘えるボクシングは、
これまでノニト・ドネアが闘ってきた122ポンド級の相手には無かったものです。

試合展開としては、西岡の左がどの程度、ドネアに脅威を与えられるかで、
だいたいの流れが決まってくるような気がします。
ガードの上からでも、西岡の、相手の急所に鋭く角度やタイミングの「合わせ」をする
左ストレートの威力を実感させることができれば、その左を軸に、展開が作れます。


で、問題なのはドネアが、その左に対して、どう応対するのかですね。

ドネアが、西岡の強打を警戒して足を使うことは、普通にあるでしょうが、
さりとてドネアがセーフティにポイントアウトを狙うのか、というと
どうもこの人、そういう風な考え方はしなさそうに思えて仕方ないんですね。

この試合、ここからが何より怖い話になってくるんですが(^^;)
ドネアというボクサーは、ベタに左回りなんかして、こつこつ当ててポイント取って、
あわよくば終盤に攻めて詰めて、みたいな、普通の発想を持っているのでしょうか。
私には、この辺がどうにも疑問に思えてしまうのです。

そもそも、フライ級であのビック・ダルチニアンに勝ったときの、あの倒し方からして、
普通の発想から遙かに遠いもののように思います。
軽量級最高の強打者であるダルチニアンに対し、左のガードを下げて構え、
相手が強打を振るタイミングを見極めて、左フックをカウンターして倒した。
ほんのわずかでもタイミングが狂い、立ち位置を間違えれば、
一打でキャンパスに沈んだのはドネアの方だったでしょう。

まあ、何もそこまで遡らずとも、122ポンドで闘った二試合を見ると、
フライ級から数えて4階級目の試合にも関わらず、これまでと同じように、
攻めて攻めて、相手の手を出させて、そこにカウンター決めて、さらに攻める、という型です。


この試合は、普通の世界トップクラスの発想を超えた、
セーフティな考え方がある程度排除された試合になるのではないかという予感がします。
究極の力、技、速さを、真っ向から競い合おうとする、シンプルでスリリングな試合。
ノニト・ドネアの「フラッシュレフト」と、西岡利晃の「モンスターレフト」、
いったいどちらが先に決まるのか。結局はそれだけを見る試合になるのではないかと。
ことに、早い勝負になった場合は。


もちろん、この強打の応酬が、試合を決しなかった場合、その後の展開は、
ドネアの若さと、西岡の経験、どちらが優るのか、ということになりましょう。
私は、ドネアの若さ、速さが優るだろうと思う反面、様々な苦境を乗り越えて
このビッグマッチまで闘い続けて来た西岡の経験が生きる場面も、必ずあると見ます。
あと、122ポンドクラスにおいては、かつて全てを思いのままに支配してきた
ドネアの絶対的な強さが発揮されるには至っていない、という気もします。



つらつらと書いてみて、自分でも全然予想になっていないことに呆れていますが(^^;)
とにかくこの試合は、単に楽しみというより、むしろ見るのが怖いという気さえしますね。
この試合はそれほどに、勝ち負けを越えた衝撃を、我々に与える試合になりそうです。


実は先の週末、風邪ひいて寝込んでたんですが、治りかけにこの試合のプレビュー番組を見て、
あれこれと思いを巡らせていたら、また大汗をかいてしまい、シャツを二枚も着替えました。
エエ歳こいて何やっとるんですかねぇ...己のバカさ加減に、ほとほと嫌気がさします(--;)


...まあ、そんなどうでもいい話はおいといてですね、
いよいよ週末、決戦です。
西岡利晃の長きに渡る闘いの到達点となる一戦。しかと見ましょう。








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西岡vsドネア、実現へ

2012-08-06 09:38:34 | 西岡利晃

半ば諦めていた話でしたが、今朝、いきなりこんなニュースが目に飛び込んで来ました。

昨日ボブ・アラムがコメントしたとのことで、
10月13日、ロサンゼルスのホーム・デポ・センターにて
西岡利晃がノニト・ドネアと対戦するとのこと。
ブランドン・リオスvsマイク・アルバラード戦と同時開催だそうです。

まだ帝拳側から正式な発表などが一切無いので、
決定!と言い切っていいのかどうか、ちょっと躊躇しますけど、
何かにつけて面倒な(失礼)ボブ・アラムが出したコメントですから、
おそらくこのまま決定という流れになるのでしょう。

西岡にとっては、約一年のブランクということになりますが、
まさかこのままずるずると...なんてことになるのでは、と思っていたくらいですから、
とにかく試合が決まったこと自体が朗報です。
まして相手が相手ですから、何の不足も無いでしょう。
いろいろ不安もありましたが、ついに決まってくれそうですね。


西岡利晃は、これまでも、誰もが諦めていたはずの夢を、たくさん見せてくれました。
勝負の世界ですから、あまり言い過ぎてはいけないことかもしれませんが、
ノニト・ドネアとの対決というのは、勝敗以前に、闘うことが決まった時点で、
これまで以上の大きな、夢の実現だと言っていいものだと思います。


まずは正式な発表を待ちたいところです。
しかし、まず大丈夫でしょう...という前提で書きますが、これは本当に楽しみですね。
10月13日、待ち遠しいです。













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残念な名誉

2012-03-17 21:31:28 | 西岡利晃
西岡利晃、WBC名誉王者認定、ということです。

なにやら目出度い話みたいに書いてある記事もあって、苦笑しておりますが、
さりとてWBCやプロモーターの思惑で、同一階級、同一団体で複数の王座が認定されることの是非を、
今更声高に論じる気力もすでにありません。
しかし、私はそれとはまた別の意味で、この話を知って、残念に思っています。


まず、何故、西岡はシンピウェ・ベチェカとの対戦をそこまでして忌避せねばならないのか、です。
カードとして魅力がない、興行的にうまみがない、西岡のモチベーション(←この言葉、嫌いなんですが)が
高まらない、という想像が出来ますが、私はそれ以上に、本田会長が西岡のコンディションに
極めて深刻な危惧を抱いているのではないか、と見ます。
今回の名誉王者認定は、帝拳側の申請によってなされたそうですが、それならなおさら、です。

そして、この122ポンドクラスにおいて、王者は西岡でもホルヘ・アルセでもリゴンドーでもなく、
あくまでノニト・ドネアであり、新規参入のアブネル・マレスも加えた「挑戦者たち」は、
様々な形で挑戦実現に近づこうとしている、というのが、情勢分析として正しいのでしょう。
その挑戦実現への努力の一環が、西岡のベチェカ戦忌避=名誉王者認定申請であり、
マレスの転級即WBC王座決定戦出場であり、アルセの無理矢理五階級制覇である、ということです。

ドネアの次戦がクリスチャン・ミハレス戦、と聞いてちょっと驚きましたが、
ドネア陣営はこの試合で快勝し、二試合続いた判定勝利でやや下落した?評価を取り戻したあと、
その時々の情勢や条件に応じて、候補者たる彼らの中から、挑戦者を選んでいくのでしょう。


前記事コメント欄にてNeoさんが言われたように、

①ドネア戦以外の試合に西岡を出したくない帝拳
②ドネア戦を睨んで122ポンド級でタイトルが欲しいアブネル・マレス陣営とプロモーター
③双方の顔を立て、なお双方から承認料が取れるので何も損は無いWBCプレジデント

以上、三者の利害が綺麗に一致した結果、こういう話になったんでしょうが、
この話から見えてくるのは、残念ながら、上記したとおり、西岡はドネアとの関係において、
上位の王者ではなく、対等の王者同士でもなく、あくまで「挑戦者」の地位にいるのだ、という現実です。
その現実が、一見わかりにくい形で突きつけられた、それが今回の「名誉王者」認定なのでしょう。

もし西岡および陣営がその位置づけに甘んじないと示すためには、ベチェカなり、ビクトル・テラサスなり、
或いは他の強豪と目されるボクサー相手に、粛々と防衛戦を行い、勝ち続けるしか道はないはずです。
しかし、理由はどうあれ、西岡と陣営は、それとは正反対の道を選びました。


致し方ないこと、なのかも知れません。
そう理解すべき話なのかも知れません。
しかし、ファンの勝手なのかも知れないとわかっていても、やはり、残念に思います。



しかし、こうなると、本当に一日も早く、相手に選んでもらいたいものですね。
仮にドネアがミハレスに快勝しても、西岡がドネアと闘えるのは早くて秋頃になります。
しかし米国における知名度、興行価値でアルセが西岡を上回る現実があり、後回しという結果もありえます。
それまで誰とも試合せずに、ブランクを作ったあとにドネアに挑むというのは、また心配な話ですね。




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「素敵な続編」はまだ続く

2011-10-02 19:14:12 | 西岡利晃
試合見終えて数時間。TVでボクシングを見てこれだけ「消耗」したのは久しぶりです。
何か書こうと思ったのですがままならず、しばし休息をとった後書き始めましたが
毎度の通り、まとまったことを書けそうにはありませんのでとりとめもなく行きます(笑)


まず採点。大中小、3種類の採点が揃いましたが、私は厳しくつけて小です(笑)
115-113、西岡でした。しかしきわどい回を全部譲ってこの数字ですので、
これ以上の譲歩はありません(笑)。


ラファエル・マルケスは何度か書いたとおり、全盛は過ぎてはいるのでしょうが、
長いリーチ、高いガード、サウスポーを苦にしないことなど、西岡から見て、
いまだに一定の脅威を持つボクサーでした。ただ、そのマルケスが、これほどに
西岡の動きを研究し、慎重に闘うとは予想していませんでした。

じっくり構えてジャブで突き放し、前足の位置取りでは壮絶な足踏み合戦。
攻撃の手を減らして、距離を長く保ち、西岡の左ストレートを出させない作戦。
ヒットは長い右リードで取り、左フックを返すことはしない。
西岡の右回りからの左フック、アッパーの切り返しを警戒して、速い後退でかわす。

自分の強さを押し出して攻めてくる、今までのマルケスの姿は、ほとんど見られませんでした。
ジョニー・ゴンサレス戦で発揮された左の一発強打への警戒という以上に、
レンドール・ムンロー戦のように、序盤に左強打でリズムに乗り、そのまま最終回まで
間断なく多彩な攻撃を続けた西岡に対する研究の跡の方が、より強く見えたように思います。


正直、序盤の数ラウンドを見て、これ今日は負ける流れかな、とさえ思っていました。
これだけの強打、攻撃力を持つ選手がじっくり構える堅陣を、西岡はいかに崩すのか。
試合はすでに中盤へと進み、今から巻き返すといってもこれはなかなか...と。

しかし西岡利晃は、マルケスの僅かな隙をうかがい、徐々に左から切り崩します。
5回、左好打。6回、さらに左。7回以降、左をきっかけに右の返しが出始めます。
そして8回、左3連打、攻勢に出た際のバッティングで出血も、何事もなく乗り切る。
10回、11回、そして最終回をクリアに連取。上記のとおり、辛めの私の採点も、
終わってみればめでたく西岡の勝利となっておりました(^^)


西岡、本当に強くなったな、と(偉そうですが)改めて感じさせてくれる試合でした。
若き日の西岡利晃ならば、瞬発的に出る攻撃の力は今よりも上でしょうが、
これだけ高い水準の攻防をフルラウンドに渡って実現する力量はありませんでした。
必ずどこかに谷が出来る。抑えねばならぬ回を落とし、勝てた試合を失う。
あのウィラポンとの試合、ことに惜しかった二戦目などは、そういう試合でした。

しかし今日の西岡利晃は、今更ですがあの日の自分自身を、完全に越えて見せた。
世界のボクシングマーケットの頂点、ラスベガスのリングでの王座防衛という快挙と共に、
今日の試合はそういう印象もまた、私に与えてくれた試合でした。


インタビューでの立派なコメントにもありましたが、さらに言うなら帝拳のみならず、
いずれ日本のボクサー全てが、このリングを目指して闘うことが常態化してもらいたいです。
真に優れたボクサーが求める栄光と富が国内に無いのなら、それがある場所へと赴き、闘う。
実に自然なことです。何も帝拳所属の選手のみがやることではありません。

いつの日か、ラスベガスで勝つことが快挙ともてはやされなくなり、然るべき勝利、成功だと
誰もが思う日が来るときが来て欲しい。そんな時代が来たときにこそ、我々が誇るべき、
西岡利晃と共に誇るべき今日の勝利が、改めて千金の輝きを放つことでしょう。

西岡利晃、おめでとう、そしてありがとう、です。


で、西岡次戦で引退という報ですが、本田会長のコメントがちょっと拡大解釈されたようですね。
まあ次のノニト・ドネア戦実現を目指す、というのは規定でしょうが。
本田会長は、間近で西岡を見ていて、彼がこの年齢でこの強さを維持するために払う
膨大な労苦と犠牲を知るからこそ、心情的に心配しているということなのでしょう。


いずれにせよ、ボクサーは、一戦一戦が後のない闘いのようなものです。
西岡利晃のさらなる闘い...そう「素敵な続編」を見られる幸福は、まだ続きます。


ただ、リングサイドでちょっと気になるもの見てしまいましたねぇ...。
ノニト・ドネアとホルヘ・アルセのツーショットです。
馴れ馴れしく肩に手回して、スマートフォンですかね、あれ、なんかいじくってましたね。
アドレスの交換とかしてるような風情でしたねー。

まだ目の前の試合終わってへんのに、もう争奪戦開始かと、ちょっと気になってしまいました。

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西岡、マルケス戦決定

2011-07-26 22:04:22 | 西岡利晃
海外ではもう決定と言われていたラスベガス開催の
西岡利晃vsラファエル・マルケス戦、
今日、正式発表があったそうです。
待望の一戦、ついに決まりましたね。

相手のラファエル・マルケスは昨年のファンマ・ロペスとの死闘に敗れて、
先に行われた再起戦でもちょっと不安定だったそうですが、
やはり歴戦の勇士、たった一度でも相手がミスをすれば、
それをモノにして勝ちを掴んでしまうレベルにあるでしょう。

4月の試合で痛めた左拳も含め、西岡にも歴戦の疲弊がないわけではないでしょうが、
この相手にそんなことを言ってはいられないでしょう。
早熟の天才にして大器晩成、西岡利晃にはジョニー・ゴンサレス戦、レンドール・ムンロー戦に続く、
彼のベストパフォーマンスを期待したいですね。

http://www.wowow.co.jp/kaikyoku/#/lineup/index.html

ちなみにこの一戦、10月1日からデジタル放送を3チャンネルで行うWOWOWが
生中継してくれるそうです(^^)

ついでに10月からエキサイトマッチの放送時間が日曜日夜に変わるそうで。
つまり、アメリカで行われる現地時間土曜日夜のビッグマッチを、
数時間の情報シャットアウトで結果知らずに見る機会が増えるということであります。
これこそ本当の意味での「タイムリーオンエア」になりますね。
もちろん、生中継が一番ではありますが、これは大変良い報せですね(^^)

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文句なしの「世界」戦

2010-10-24 20:54:54 | 西岡利晃
個人的なこだわりというか、私なんぞが何をどうこだわったところで意味がないんですが、
私は、拙ブログや他のサイトにボクシングについて書くとき、統括団体のアルファベット三文字のあとに
「世界」の文字を書きません。例えば「WBA世界タイトルマッチ」という書き方をしないことに決めています。

チャンピオンが4人おって、何がどう「世界」なのか、という根本的な疑問は当然あります。
ただ、故・白井義男先生の時代や、原田・海老原時代がすべからく、かくあれかしという
タイトルマッチばかりだったわけでもありません。
WBAの前身であるNBA時代にも、欧州連盟や、ニューヨーク州、ペンシルバニア州認定とか、その他諸々、
王者並立の事例はありました。

とはいえ、昨今の世界的なボクシング業界の荒廃は目に余り、単なるローカルファイトに毛が三本生えたような
試合までもが「世界タイトルマッチ」を名乗って、世界各地で挙行されています。
こんなもの「ご近所タイトル」やないか、と罵りたくなるようなものも、ざらに見ます。

一階級一王者はもちろん理想です。何もそれを今すぐ現実に求めるというほど、固いことを言うわけでもないのですが、
せめて一昔...いや、二昔前の二団体時代にもこういう試合はあったよな、と思わせてくれるようなものでないと、
やはり「世界」はつけたくないなぁ、という気持ちがあるわけです。
とはいえ、やはり便宜上「世界挑戦」「世界戦」という言葉の使い方をしてしまっているという矛盾もあるわけですが...。


しょうもない前置きが長くなりました。
今日の試合について、ですが...世界戦でしたね(^^)
心技体、どれを取ってもケチのつけようがない、素晴らしい「世界」を見たと実感出来る一戦でした。
西岡利晃、レンドール・ムンローの両者に、あらん限りの拍手と感謝を届けたい気持ちでいっぱいです。


サウスポー同士の対戦は右リードの巧拙がカギ、なんて言い尽くされたことですけど、
今日の西岡の立ち上がり、右リードの何と素晴らしかったことでしょうか。
長いリーチのムンローが伸ばすロングのパンチの大半を、ボディワークとフットワークで外しきり、
右リードで突き放してはまた動く。攻防一体の見事なボクシングで、これ以上ない好スタートでした。

4Rにちょっと攻め込まれたかな?と思ったら5Rに左を好打、7Rは右フックをみぞおちに決め、
タフなムンローにはっきりとダメージを与える。その後も懸命に粘るムンローを抑えて最終回、
逃げ切りどころか逆に連打で追い込んで試合終了。ジャッジ三者が10点差で揃う大差の勝利で、
欧州最強の指名挑戦者に完勝、5度目の防衛となりました。


今日の西岡は、持って生まれた才能と、長年の経験をフルに生かし切った、最高の試合を見せてくれました。
的確な右リードから、堅固なムンローのガードを左で貫き、接近しても上下の打ち分けを決め、
守っては頭の位置を変えながらサイドに出て、出入りを繰り返す。
左の強打を警戒していたであろうムンローにとり、西岡の総合力の高さは予想以上だったのでしょう。

足を使って離れてもまだ届くムンローのロングパンチや、フェザー級並に見えた体格とパワー、
いったんきっかけを与えたら止まらない連打攻撃は、充分西岡を脅かしうるものに見えましたが、
西岡は常に適切な攻防の取捨選択を行い、ムンローの力を封じきりました。

それにしても、ウィラポンとの4度の対戦が2敗2分に終わったあの頃、今の西岡を想像し得た人は
おそらく彼自身を除けば、そんなにはいないことでしょうね。
私もご多分に漏れないクチで、このブログでも読み返すのも恥ずかしいような感傷を書き連ねたことがありますが(^^;)
今となっては、本当にいい笑いものです...とても嬉しいことです(^^)


そして敗れてなお、尊敬に値する真の戦士、レンドール・ムンローについて。
彼が今日、我々に見せたもの...彼のボクサーとしてのキャリアのみならず、彼の人生、生き様に支えられた、
真の勇気、誇りを、私はけっして忘れることはないでしょう。心から拍手を送りたいと思います。
ボクシングファンなら誰もが、似た気持ちを持つことでしょうね。

まあ私なんか根が軟弱なもんで、終盤なんか「もうええから、自分から座っても、マイッタしても、誰も文句言わんから~」と
思わずTV画面に向かって泣き言が出ましたけど(^^;)



さて、アンダーも凄いカードが揃って、減量苦が無くなったローマン・ゴンサレスは、一度苦戦した相手の
フランシスコ・ロサスを2回にスリーダウンKOで退け、暫定王座とはいえ二階級制覇。
亀海喜寛は元世界王者ホセ・アルファロを6回KO。終わり方がちょっと?でしたが、亀海のボクシング自体は「良」でした。
ホルヘ・リナレスはヘスス・チャベスの棄権によりTKO勝ち。去年の悪夢を振り払ったというところでしょか。
山中慎介も相手があと1回ってとこで棄権してTKO勝ちでした。一応(ってこともないですか)7連続KOとなりました。


今回は生観戦とはいきませんでしたが、WOWOW様による生中継のおかげで、存分に好ファイトの数々を堪能しました。
昨年の同じイベントでは、榎vs細野の新旧強打対決を尻目に、ダブルメインの煽り映像とトークを延々流す、という
ファンにとってはあまりにもあまりな「仕打ち」に、私も文句を書いた次第ですが、今回はそういうことが一切なく、
好カードの数々をかなう限りフルに放送しようという方針だったようです。今日は本当に、何の文句もありません。
WOWOW様、ばんざい(^^)であります。こちらにも感謝、また感謝ですね。

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硬いかなと思った矢先でした

2009-10-10 22:04:36 | 西岡利晃
後から何を言っても、しょうがないんですが、立ち上がり、硬そうに見えたのです。
肩の辺りがいかにも力みがちで、或いは膝から下のバネが効いてないな、とか。
いかにもしなやかで、ひらりひらりと舞うように立ち上がった挑戦者と比べると、
ますます重いな、硬いな、と見えました。
しかしそれは言ってみればいつものことで、と思った矢先に、
挑戦者の左フックらしきものが飛び、リナレスが倒れていました。

こんな試合見たことあるぞ、WOWOWの生中継世界戦で、帝拳の選手といえば...
と思う暇もなく、かつての葛西裕一よりもあっさりと詰め切られてしまったホルヘ・リナレス、
初回73秒で試合は終わり、王座を失いました。

体調不良でもあったのか、さんざん繰り返されたVTRを見ると、
明らかに身体が重そうでしたし、再開後にいたっては相手が詰めてくる姿が
見えていない様子でした。

まさかまさかの結果で、本当に驚きました。
リナレスの今後はいったいどうなるのでしょうか。
当然、再戦すると思うのですが、昨年同じく痛烈な初回ノックアウトを喫した
アミール・カーンのように、慎重なカムバック路線が必要になるかもしれません。


新チャンピオンのファン・カルロス・サルガド、風貌といい体つきといい、
しなやかでキレのあるボクシングといい、短い試合でしたが、なかなかの実力者に見えました。
まあ、初回ノックアウト勝ちで弱く見えるボクサーもいないでしょうけど、
それを割引いても、ナックルを立てたまま打つロングの左フック一発で、
あのリナレスを倒したのですから、その一点だけ取っても見事です。
いずれまた、試合を見る機会がありそうですので、じっくり見ていきたいですね。


メインの西岡利晃は、イバン・エルナンデスに3回終了TKO勝ち。
アゴの負傷による挑戦者の棄権、という、ある意味本場っぽい終わり方でした(^^;)

試合自体はロングのストレートパンチで西岡を切り崩そうというエルナンデスに、
右を当てて左は下、要所で左強打を上に決められるか、という緊迫した攻防が繰り広げられました。
エルナンデスは打ったあと、身体が前にのめってしまう場面が多く、ややボクシングが崩れてるかな、と
思いはしましたが、それでも西岡が攻めきるのは容易ではない感じでした。
それだけに、あっさり棄権で驚きましたが、左は相当効いてたんでしょう。

西岡は相手の長いリーチを克服して左を決める場面も多々あり、自信持って闘っていました。
仕上がりも良さそうでしたし、次はビッグマッチになるかもと言われていますが、
この感じで行けば、ジョニー・ゴンサレス戦に続く大仕事、期待してよさそうです(^^)



さて、WOWOWの無料放送ということで、きっと普段のエキサイトマッチ以上に、
多くに視聴されたであろう3時間生中継でしたが、ちょっと不満もありました。

まず、最初のほぼ1時間が、そして早く終わったメインの後が、無為に解説やら紹介VTRに費やされたこと。
ゲストや解説がリングに背を向けてトークをしている最中に、背後で細野と榎が闘っている姿が
小さく見えたときは、本当に驚きました。ずんだおじさん...じゃなくて香川照之さんなんか、
しゃべりながら試合見たそうにしてた...ように見えましたが。

ハイライトで流れたこの試合、なかなかの好ファイトとなったようでした。
フルに見ていないのでなんとも言えませんが、細野の若さが榎を押し切った、という感じでしょうか。

あと、下田vsセーンヒランと、三浦vs小口など、ハイライトでいいから流して欲しかったですね。
どっちも普通ならメインで通じるカードなのに、もったいない限りです。


結果的には、リナレスの痛烈な敗北、西岡もちょっと唐突な終幕で、好カードを揃えた興行が
必ずハッピーエンドになるとは限らない、というボクシングの厳しさが出た印象でした。
しかしこういう魅力ある興行を実現した帝拳には、ファンとして敬意を払いたいと思います。
地上波放送が厳しい状況であるならば、出来れば年に1回くらい、WOWOWの枠でこういうイベントを
やってもらえたら嬉しいところなんですが、いかな帝拳といえど、楽ではないのでしょうね。


しかしリナレスがなぁ...誰や知らんようなのに(←私が無知なだけなのでしょうか)
一発でやられてしまうとは。ボクシングって怖ろしいです。
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決まりも歯止めも何もなく

2009-08-13 23:12:23 | 西岡利晃
西岡利晃、三度目の防衛戦の相手が決定しました。

イバン・エルナンデス、元WBOスーパーフライ級チャンピオンで、
以前マーク・ジョンソンを破った試合はWOWOWで見て、
まだ若いのに強いのが出て来たなー、と思った記憶があります。

しかし初防衛戦で王座陥落、二階級上げてイスラエル・バスケスに敗れ、
その後、ケガもあって、ブランク作ってランク圏外。
それが、今年に入って格下相手に2試合したら、それでいきなりWBC6位。
直後、西岡挑戦が発表されました。

敵地メキシコで、ジョニー・ゴンサレスを倒す大仕事のあと、
西岡の次の挑戦者が下位の方から選ばれること自体を批判するつもりはありません。
しかし「下位」と言ったって、それはルール上で決められている15位までを指すはず、と
考えるのが普通じゃないでしょうか。

もっとも、川嶋勝重や越本隆志の初防衛戦で、15位に入っていなかった20位台の挑戦者が
王者側に選ばれて挑戦した例があり、最近では長谷川に挑んだネストール・ロチャが
挑戦決定と前後して、何故か11位から4位に上がったばかりです。

こういう経緯を知ってか知らずか、あるTV番組では、長谷川のロチャ戦初回ノックアウトを
「世界の上位ランカーをも寄せ付けない強さ」と表現していました。
まあ、確かに誰であっても寄せ付けない強さなんで、間違ってはいないんですが、
やっぱり「ええのかねコレ」と思わざるをえませんでした。

今年に入ってからさらに加速した感のある暫定王座乱発にしてもそうですが、最近の統括団体って、
有力プロモーターやマネージャーの要望があれば、それこそどんなことでもやってしまう感じです。
ただ、川嶋や越本の時も「誰もこれを批判しないのか、だからボクシングは駄目なんだ」と思ったものですが、
今回はなんと、40位まで広げたランキングの、さらにその下から引っ張り上げるというのですから、
少々のことでは驚かなくなってきた私も、さすがに驚きました。


かつて見たスーパーフライ級時代のイバン・エルナンデスは、素晴らしいボクサーでしたし、
二階級上げても一定の実力を維持しているかもしれません。
西岡との試合は、好試合になるかもしれませんし、西岡が敗れることだってあるかもしれません。

しかし、エルナンデスの実力が、現状がどうこう、ということとはまた別に、
プロモーターの都合と、統括団体の運営というのは、ある部分では相反するはずのものなのに、
これほど、何もかもについて折り合いがついてしまい、都合の良いところに収まるのを続けて見せられると、
いったいどうなっとんのかね、という感じです。
ボクシング「業界」の商業主義への迎合は、どこまで行けば歯止めがかかるんでしょうか。


あと、本来、こうした動きをチェックする役割の専門誌もマスコミも、こういう話は全部パスなんでしょうね。
批判も指摘も許されないし、エルナンデスが普通に試合をすれば、ランクへの疑問と選手への評価を
ごちゃ混ぜにして「やはりエルナンデスは実力者だったので問題なし」と書くのでしょう。

私は、西岡のファンであるからこそ、こういうのは勘弁してほしいな、と率直に思います。
なんか、最近のボクシング界には、人に聞かれて説明に困るような話が多すぎます。

以前「西岡には暫定王座など相応しくない」として、西岡の世界戦の相手をWBA暫定王者エイディ・モーヤから
一度敗れたWBC王者ウィラポンへと切り替えた時は「なんと厳しい、しかしさすが帝拳」と
素直に感心したものですが、そういう気概はすでに過去であり、時代は変わったということなのでしょうか。


最後に、アタマの古い私の個人的な思いを言えば、世界戦はせめて10位以内の選手とやってほしいです。
15位まで挑戦可能という現在のルール自体に対しては、言葉は悪いですが「アホか」と思っております。
このへんの感覚は、いつ頃ボクシングファンになったか、が関係してくる話に過ぎないのかも知れませんが...。

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