さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

諦めきれない夢を追う 大場浩平、奪冠

2013-03-17 18:57:12 | 大場浩平
昨夜は神戸にて、大場浩平vsゼロフィット・ジェロッピ戦を観戦してきました。

シーソーゲームというほどでもないですが、互いの強みと弱みが両方出た、
ちょっと騒々しい、落ち着きのない試合だったという印象です。

簡単に試合展開を。

1回、大場スタンス広く、左低い構え。ジェロッピ右オーバーハンド、浅い。
大場飛び込んで左フックの連打。やや大場。
2回、大場速い左。ジェロッピの右ロングは大場の背中に。やや大場。

3回、ジェロッピの右が大場の左腕の上に当たると、大場がバランスを崩して?後退。
ジェロッピが攻勢。大場しばらく受け身になり、追撃されるがボディブローで反撃。
ジェロッピ右で追撃も、大場がボディから上に連打を決める。前半の攻勢でジェロッピ。

4回、大場逆襲続く。得意のボディブローが再三ジェロッピを捉え、ワンツーも交え攻勢。
大場の、上への右ストレートは、小さいバックステップで外すジェロッピだが、
ボディは防ぎきれずに、ロープ際に詰められ打たれる。大場の回。
5回、大場はガード上げて前進、ジャブは出さず接近、プレス。
ボディ攻撃を中心に攻める。ジェロッピはダメージを引きずっている感あり。大場の回。

6回、このまま攻めきるかと見えた大場、疲れたかミスが増える。ジェロッピ、ひと息つけたか。ジェロッピの回。
7回、ジェロッピが右ストレートを当てる。大場、ボディを攻める。ジェロッピ、再び失速気味。大場。

8回、ジェロッピ奮起、右で攻める。大場が出るも、ジェロッピがカウンターとジャブで抑える。ジェロッピ。
9回、大場出ては打たれる。7回から出血しており、視界が悪いのか。ミスしては軽いカウンターを食う。ジェロッピ。

10回、ジャブの刺し合いで大場負けている、やはり視界不良か。しかしワンツー当てる。
ジェロッピ疲れたか、クリンチ増える。大場ミス多いが強引に攻める。ワンツー、左ボディヒット。
両者疲れた中、大場が攻めきって試合終了。やや大場。

ということで私の採点では一応、96-94で大場の勝利となっていました。
公式採点の中では、一番辛いのと同じ数字でした。


大場は過去の試合ぶりと比べ、よく言えば積極性が出て、悪く言えば強引さが目につく、という感じでした。
得意のボディブローは、相変わらず威力があり、中盤などはこのまま攻め落とせるかな、と思いました。
しかし、上へのワンツー、右ストレートはもうひとつ軌道が緩く、また速い手に足がついてきていない感じで、
上体だけが伸びたフォームになっていて、相手に届かず、当たっても致命傷にはならない感じ。
良いボディ攻撃が出来るのだから、そのあとの攻め手、打ち方に変化が欲しいところです。

ジェロッピは随所に巧さを見せていましたが、大場のボディ攻撃をまともに受けて
明らかに劣勢になった中盤が惜しまれるところです。
大場は過去にも日本上位の相手を、何度もボディ攻撃でKO寸前に追い込んだ試合をしていて、
結果論ですがジェロッピにはもっと警戒が必要だったと思います。
しかしそれでも終盤、小さいステップと正確なジャブでペースを取り戻した回があり、
この辺はジェロッピの地力を感じました。今後については厳しい話も聞きましたが、健闘だったと思います。


ところで、試合後の大場のインタビューは、名古屋時代のとぼけた若者、という印象とは違うものでした。
自分は崖っぷちにいるボクサーだが、まだ諦めたくない、頑張りたい、まだ夢を追いかけたい、と
切実に語る大場の姿は、もう決して若くはない28歳というボクサーとしての年齢と立場の変容を感じさせました。

昨今のボクシング界を見渡せば、まだまだ高齢のボクサーが世界の上位にて活躍してはいますが、
そういう時代の趨勢とはまた別のところで、大場は自身のキャリアを、厳しく捉えているようでした。
以前ほどスピード頼み一辺倒という風ではなくなり、以前以上にボディ攻撃の厳しさ、攻める気持ちが見えた闘いぶりも、
そうした彼の心境の変化の現れなのかもしれません。

同時に、若くて奔放で、常に自在だった彼の姿は過去の物だということも、事実としてわかったような気もします。

かつての大場浩平を見るのとは、また少し違った気持ちで、私はこの異形の技巧派の試合ぶりを、
「最後」の時まで見届けていくのだろうな、と思いました。
昨夜の試合は、そんな試合でありました。



コメント

右ストレート、空転す 小國以載、まさかの大敗

2013-03-10 21:45:47 | 小國以載

小國以載、まさかの完敗、大敗でした。
その原因は、対サウスポー対策の選択ミス、という印象でした。


王者、小國以載は、立ち上がりから右ストレートをリードに使いましたが、
小國以上の長身、リーチ、懐の深さを持つ挑戦者のサウスポー、和氣慎吾を捉えられず。
正面から右リードで入るが届かず、返しの左フックも角度が甘い。

和氣は初回から、小國を左腕の正面に捉え、低めの構えから出す左をヒット。
2回には攻めてきた小國に左を決めて、ダウンを奪う。

小國は5回に角度の良いボディブローを再三決めて和氣を下がらせた以外は、
和氣が繰り出す左を打たれ続け、8回あたりからは猛攻されて、いつ止められるかという状況。
10回終了後、とうとう陣営が棄権を申し出て、TKOで和氣が新王者となりました。
見ていて、全ラウンド、採点を迷うことのない、和氣の完勝でした。
私は5回以外全部和氣でした。


小國は、これまでの試合ぶりからは信じられないほど、良いところなく敗れました。
相手を止める左ジャブはほとんど出せず、毎試合相手をダウンさせてきた右は悉く届かず。
相手の身体を直角に捉えるボディ攻撃も、5回以外はほとんど奏功せず。
サウスポーの和氣が左をすんなり出せる位置から、届かない右を伸ばしては打たれる、の繰り返しで、
コーナーが棄権の意思表示をしたときは、悔しいよりも安堵した、というのが正直なところでした。


初回、小國を上回る長身、リーチを持つ和氣に、小國が右から入っては空転するのを見たとき
「あの立ち位置から右ストレートをリードに使っても当たらない。あそこから当たるのは左ジャブのリードだ」と
真っ先に思いました。

小國の立ち位置は、和氣のほぼ正面にあり、対する和氣は身体を右半分、外に出していて、
低めに構えた左を最短距離で当てられる位置関係になっていました。
あの位置から小國が右を打っても遠回りになる、もし右から入りたいなら、もう少し左側に位置しないと、
右リードから左の返しという展開には成り得ない。

サウスポー相手に正面から踏み込んで左ジャブを槍衾のように繰り出して行く、
往年のクロンク・ジム勢、ハーンズ、マクローリー、ケンティらのような、
長身のボクサータイプによるサウスポー対策を採るのなら、あの立ち位置でも良かったと思います。
しかし実際には、小國は左ジャブをほとんど出さず、右から入るパターンでした。
このギャップ、選択ミスが非常に大きかった、というのが、今日の試合の印象です。


と、技術的なことを気にかけてばかりいたら、小國自身がブログで引退表明した、とのことです。
確かに完敗でしたが、それでも黙々と相手に迫り、挽回を図って懸命に闘い続ける姿には
率直に言って感銘を受けたところでしたので、驚かされました。

ただ、ボクシングを漫然と見ているだけの我が身と違い、我が事として一試合一試合に
自己実現の全てを賭けて闘うボクサーの心に、いつ、どの試合が、消しようの無い爪痕の残すのかは、
結局のところ、傍目には全くわからないものではあります。
またいずれ、心が変わることだってあるのかも知れません。

苦しい試合展開の中、若き王者は苦境を覆そうと、必死に闘っていました。
とにかく今は休養が必要な時です。それだけは確かです。


新王者の和氣慎吾は、その戦績以上の実力者で、黒星も強敵相手の、濃密な試合の末のものだった、と
あちこちから聞いてはいましたが、その黒星をも糧にした、自身のボクシングの到達点を、
敵地神戸のリングで見せてくれたのではないか。初めて見る者の目には、そのように映りました。
好スタートの序盤を経て、5回は小國のボディ攻撃に劣勢となるも、その次、6回から奮起し、
小國追撃の流れをきっちりと断ったあたりも、この一戦に賭ける気合いの現れだったでしょう。

やや接近戦に持ち込まれる展開に弱いかな、動きが激しい分、ペース配分に課題があるのかな、と
序盤のうちは思っていましたが、中盤以降、アドバンテージをきっちり生かして勝利につなげたわけで、
そういう懸念も、あまり必要ないのかもしれません。
今後が楽しみな新チャンピオンでした。上位に多士済々なクラスですし、要注目ですね。






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