公式採点を見ると、思った以上に黒田にポイントが行ってました。
辛く見たらフルマークもあるか、思い切り甘く見ても黒田の取った回はふたつまで、と見ましたが。
いずれにせよ、予想を覆すことのない完敗でした。
黒田雅之のボクシングは、若手の頃から好きでした。
大柄で、強打者で、型の決まったスタイルで、順調に伸びてくれば
スケールの大きな選手になってくれるのではと期待していました。
しかし、同時に融通の利かなさ、リズムがスローなことなどの弱点も抱えていて、
今回、急に(という見方をせざるを得ませんでした)決まった世界戦において、
その弱点が露骨に出てしまいました。
ファン・カルロス・レベコは、言っちゃなんですがやれ暫定や正規や、
他の王者のスーパー昇格や、という話ばかりがついて回る、
いかにも「当世風」なタイトルホルダーに過ぎず、けっして超一流とは言えないですが、
それでも、黒田の身体の軸をしっかり見て、サイドに回っては黒田のパワーを外し、
打ち終わりに黒田が止まったところに、リズミカルで多彩な左を当て続けました。
正直、世界戦として見るには、あらゆる意味で不足の多い試合ではありました。
しかし、こうした南米の技巧派との接点が、客観的に見れば無理があるにせよ、
タイトルマッチの形態を取らないと実現しないことに、納得はしないにせよ、
黒田雅之のような選手にとり、良い経験にはなったという意味付けはあってほしいものです。
そしてその意味の有無は、黒田の今後のキャリアが証していくことでしょう。
厳しいレッスンではあったでしょうが、今後の糧としてほしい一戦でした。