ということで昨日は、住吉区民センターにて観戦してきました。
試合順でいうとセミ、しかし実質メイン、お目当ての試合は、早々からエキサイティングな試合でした。
日本のリングで当初は連敗スタートだったものの、岩佐亮佑戦の健闘など、
徐々に試合内容の良さが注目され、14年に六島ジム所属となり、翌年から連戦連勝。
久高寛之を2度破り、ランダエタを下し、山本隆寛を強烈に倒してOPBF王者に。
マーク・ジョン・ヤップは気がつけば、堂々たるWBCランカーとなっています。
そのヤップのタイトル初防衛戦は、なかなか挑戦に名乗りを上げる選手がいなくて、
実際、王座獲得後の次戦はノンタイトルになったりもしましたが、
その後、二度日本王座獲得の益田健太朗が挑戦者に決まりました。
益田が赤穂亮との対戦をせず、日本王座を返上した際は、つまらん話やなと思いましたが、
その先に強敵ヤップへの挑戦があるとなると、話は違ってきます。
このカードは是非見ないといかん、しかも有り難いことに、場所が大阪ですから、
喜び勇んで見に行くことにしました。
試合は開始早々、両者意欲に満ちたスタート。
いきなり、ヤップが右クロスから左アッパーを上に返すコンビで、益田を脅かす。
しかし、早々の鋭い攻撃を受け、少しバランスを崩したかに見えた益田が、すぐ立て直す。
前にのめったかと思った姿勢を戻し、ぐいと踏み込んで、強烈な右フック。
これがヤップを捉え、いきなりのダウン奪取。
立ったヤップだが相当効いている。ロープに追われ、また右食ってダウン。二度目。
また益田が攻め、三度目のダウン。ヤップ立つが益田左フックで飛び込み、追撃。
ヤップ何とか外すが、体勢崩してスリップダウン。ここでゴング。
益田がこの一戦に賭ける、並々ならぬ闘志を見せつけた初回。
ところが2回、益田がやや手控え気味、手数が少ない。
ヤップはまだ腰が据わっておらず、踏ん張れないまま少しずつワンツーを出す程度だが、
益田はそれでも要警戒と見たのか、それともヤップの手を引き出す作戦だったのか?
右単発、終盤は少し攻めたが、もっと行かないと、と思ったのが正直なところ。
3回、ヤップが少しずつだが落ち着いてきた印象。益田は右ロングを決めるが、
ヤップが右アッパーをヒット。このパンチに手応えを感じたか、ヤップはコンビネーションに
この右アッパーを組み込んで攻める。
4回、ジャブの応酬から打ち合いになり、ヤップが出て益田が足を使う。
ヤップが右クロスを決め攻勢。ロープ際に追い、右から左、連打で攻め立て、ダウン奪い返す。
益田立つがヤップがまた右アッパーを組み込んだコンビネーション。
益田がまた後退、ヤップ追って打ちまくる。最後は右、右、また右、左も返り、
益田がロープの下に崩れ落ち、大の字。大逆転のKOとなりました。
4回の2分59秒に試合が終わるまで、時間としては短い間でしたが、
一瞬たりとも目の離せない、濃密でスリル溢れる、物凄い試合でした。
場内は歓声と悲鳴が飛び交い、最後は大歓声に包まれました。
勝ち負け云々はまず置いて、とにかく両者に拍手です。
敗れた益田健太朗の落胆たるや、相当なものがあるかと思います。
昔のスリーダウンKOルールなら、初回で王座奪取だったわけですし、
傍目にはちょっと疑問もあった2回の自重も、理由どうあれ、結果として悔やまれるでしょう。
しかし、大阪のリング(二回目でしたっけ)でも堂々たる闘いぶりだったと思います。
この選手の試合は、大森将平や川口裕との試合などもあり、関東の選手としては
よく見る機会がありますが、いつも厳しい鍛錬の跡が見え、果敢さが伝わってきます。
今回、結果は残念でしたが、強敵相手にその力はしっかり見せてくれました。
そして勝者マーク・ジョン・ヤップ。日本の上位陣にとって脅威の「輸入ボクサー」と、
俗に言えばそういう表現になっていたかもしれません。
しかし、その試合ぶりは、つまらない逃げがなく、力と技で、相手と真っ向から切り結ぶ、
魅力溢れるものばかりです。
これほど続けて、ボクシングファンの心を惹き付け、揺さぶり、見事な闘いを見せる
この選手は、もはや関西リングのヒーローである、と言ってもいい、と思います。
さらには、日本のボクシングファンにとっても、と言うところまで進んでもいいのかも、と。
試合後、インタビュアーに対する第一声を「おめでとうございます」と返し(笑)
その後も日本語で何か語ろうと試みるも、すぐにモゴモゴ、となってしまう。
その人柄が滲み出るユーモラスな姿に、場内からは暖かい笑いが起こっていました。
その実力とキャラクターは、広く知られれば、人気を集めるだろうと思いますし、
何しろ試合ぶりが魅力的です。また次の試合も見に行きたい、と今から思っています。
日本の上位陣からも、どんどん挑戦に名乗りを上げてほしいと思います。
その辺はなかなか難しいかもしれませんが。
しかし、改めて、素晴らしい試合でした。
互いに強敵と知る相手でありながらも、さらなる高みを目指すが故に、
避けることなく拳を交え、結果、このような素晴らしい闘いが生まれた。
それを運良く見ることが出来ました。会場に足を運んだ甲斐があったというものです。
見に行ったこと自体を「勝った」な、と思える(笑)、そんな試合でした。
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動画発見。ご紹介します。
うーん、4回に右アッパーは出てへんなー...まあ、ええか(^^;)