蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

冬期限定ボンボンショコラ事件

2024年10月16日 | 本の感想
冬期限定ボンボンショコラ事件(米澤穂信 創元推理文庫)

高3の小鳩君は学校帰りに堤防上の道路でひき逃げにあう。小鳩君に突き飛ばされて怪我を逃れた小佐内さんは「犯人をゆるさない」というメモを入院中の小鳩君に残して犯人探しを始める・・・という話。

春期と夏期は、日常の謎風ミステリだったのだが、秋で犯人さがし的ミステリになり、本作では謎がさらに強化され、その謎解きの伏線やロジックがかなり本格的になっていて、季節が進むごとに(あるいは著者の腕前が成熟するにつれ?)読み応えがどんどん増加する仕掛け?になっている。本格化したためか、本来のシリーズテーマであったはずの?小佐内さんのスイーツ談義部分は極小となってしまっているが・・・

それにしても、人間というよりも悪魔に近い小佐内さんに「ゆるさない」と宣言されて生き残ることができる犯人がいるはずもない。恐ろしい。

本作では、小鳩君と小佐内さんの馴れ初め?や「小市民」の由来も紹介されて、シリーズ読者をおおいに満足させてくれるのもいい。小佐内さんが、小鳩君の小市民的アイディアにある意味感心(本当は呆れていた)してしまうシーンはとても印象的だった。(実際、このベタなアイディアが小鳩君を窮地に追い込むことになるという仕掛けも心憎い)
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せかいのおきく

2024年10月16日 | 映画の感想
せかいのおきく

幕末、脱藩した??源兵衛(佐藤浩市)は娘のおきく(黒木華)と長屋住まい。源兵衛と藩?のもめごとに巻き込まれたおきくは首筋を斬られて声がでなくなってしまう。
矢亮(池松壮亮)は汚穢屋(肥溜めから便を回収・運搬して農家に肥料として売る商売)を営んでいた。知り合いの中次(寛一郎)を勧誘?して仲間にする。
おきくは長屋に汲み取りに来た中次に一目惚れするが・・・という話。

というか、それ以上にこみいった話はなくて、過酷な運命に翻弄されているはずのおきくが、それでも日常を楽しんで生きていこうとする姿が、ときにユーモラスに描かれる。

全編モノクロなのは、汚穢屋の実務?場面が多いせいもあるかもしれないが、あまり起伏がないストーリーとマッチして独特のムードをかもしだしている。1カットだけおきくがカラーになるシーンがあって、黒木華がとても美しい。
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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(原作+TV)

2024年10月15日 | 本の感想
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(原作+TV)(岸田奈美 小学館文庫)

著者が中学生の時、父は急死し、弟はダウン症で、母親は難病で大手術の末に下半身不随になり、同居して家事をしてくれていた祖母は認知症になる。
この、世の中の不幸をすべて背負ったような家族を描いたエッセイ。TVシリーズはCMなしの45分で10話なので、本作には収録されていないエピソードも(著者にヒアリングして)追加されているらしい。

著者は父が心臓発作で亡くなる前日に「パパなんか死んでしまえ」と言ってしまい、病気と後遺症に苦しみ死を望む母には「死んでもいいよ」という。
と、書くと不運に取り憑かれた呪われた家族の不幸ぶりを見て「自分はまだまし」と考えさせようとする内容なのかと思われてしまうが、実際は正反対。
エッセイやテレビの画面には怒りや悲しみはほとんどなくて(前述したセリフの場面も湿っぽさや悲惨さは全くない)、ブラジャー選びや甲子園での売り子体験(どちらもTVにはなかったか。。。)などは、爆笑エッセイといってもいいくらいだし、カラッとして明るい。
TVシリーズを見ていると、むしろ「こんな家族っていいなあ」と勘違いしてしまいそうだった。

TVシリーズは主役の河合さんの好演が話題となっていたが、私としては母親役の坂井真紀さんが印象に残った。最近いろいろな所で見かけて、俳優としては全盛期なのかもしれない。
家族を支えなけれがいけないという重圧に耐えて、娘のように時々暴発することもできず、祖母のように現実から逃れることもできない、それでも明るく振る舞おうとして、でもやっぱりくじけてしまう、そんな設定を、あまり重苦しくしすぎずに演じられていたと思った。
 
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きりこについて

2024年10月08日 | 本の感想
きりこについて(西加奈子 角川文庫)

きりこの外見は誰が見てもブスなのだが、本人には全く自覚がなかった。しかし小学5年生のとき、好きになった同級生に指摘されて深く傷つく。きりこは捨て猫だったラムセス二世と部屋に閉じこもるが・・・という話。

私にとって西さんの作品は(あくまで私にとって、だが)当たり外れが非常に大きい。「漁港の肉子ちゃん」なんて我が読書史?の中でも有数の大傑作だと思えたし、賞を得た「サラバ!」も良かった。
一方で世評が高い「きいろいゾウ」なんかは全くピンとこなかった。

申し訳ないけど本作は(ワタシ的には)ハズレ(失礼)の方で、どこがよいのか理解できなかった。
私が読んだ本の奥付を見ると文庫(本作は単行本を文庫化したもの)で35版であるから世間の評価はとても高い、のではあるのだが。。。。

本作を買ったのは、表紙カバーが、くるねこ大和作だったから。中央に大きく描かれたラムセス二世は、兄ィがモデルかな?
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TOKYO MER(映画)

2024年10月08日 | 映画の感想
TOKYO MER(映画)

手術室を備えた救急車を装備して災害現場などに派遣される組織がMERで、東京都知事(石田ゆり子)の肝いりで創設された。そのチーフ格の喜多見幸太(鈴木亮平)は、筋トレを欠かさず、自ら危険な現場(本作では燃え盛る旅客機や高層ビル)に突入する・・・という話。

TV版では、MERを巡り、政治家や官僚の暗闘も主筋になっていたそうだが、本作ではほとんど描かれない。高層ビルはテロリストによって爆破炎上したみたいなのだが、テロリストが活躍?する場面は全くなく、探索したり追跡したりする場面もない。
ひたすら喜多見がマッチョに現場に飛び込み、現場や車載の手術室で手術を行うシーンのみが積み重ねられる。

この思い切った割り切り?が非常によくて、非現実極まりないストーリーを追うヒマがない。
手術シーンは、術野を映したりする野暮なことはせず、喜多見が恐ろしく早口で叫ぶスタッフへの(素人には理解できないが、いかにもそれらしい)指示で埋め尽くされて、これがまた本当の難手術場面をみているようで、楽しめた(といっては不謹慎か)。
やはり、小説でも映像でも医療ドラマは手術シーンがよくないとね。

映画の続編が作られるみたいで、本作と同じようなテンポと内容なら、見てみようかな、と思った。
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外科医、島へ

2024年10月03日 | 本の感想
外科医、島へ(中山祐次郎 幻冬舎文庫)

「泣くな研修医」シリーズ第6弾。

雨野は、三宅島近くの離島の診療所に半年間派遣される。そこには何十年にわたって診療所長を務める瀬戸山と、看護師の半田志真がいた。外科医としては一人前だが、その他の診療科は素人に近い雨野は二人の技術の高さに圧倒されるが・・という話。

本シリーズは著者の半自伝だと思うのだが、著者も離島に赴任したことがあるのだろうか?いくら半年とはいえ、雨野は打診されてその場でYESと言ってしまうのが非現実的と思われたのだが、もしかして著者自身もそうだったのかもしれない。

雨野の医師としての技量を高めたいという意欲は非常に強くて、すでに30歳をすぎているのだが、それ以外のこと(例えば恋愛とか結婚)には興味がない、というのも、ちょっと出来過ぎのようにも思うが、これも著者の正直な気持ちだったのだろうか。

本シリーズの読みどころは、本当の経験に裏打ちされた手術シーンだと思う。本作では麻酔などの準備が十分でないと(腹膜炎の)手術をためらう瀬戸山を押し切って雨野は手術に踏み切るのだが、素人にもわかりやすく?詳細に描写されるシーンは迫力があった。

珍しく最後の方にミステリ風の挿話がある。著者としてはサービス?のつもりなのかもしれないが、ちょっと余計だったかな。
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オッペンハイマー

2024年09月30日 | 映画の感想
オッペンハイマー

原爆開発を指導した理論物理学者のロバート・オッペンハイマーの開発過程と、いわゆる赤狩り時代に秘密の聴聞会でソ連の協力者ではないかと追求された経緯を描く。

オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)がソ連のスパイではないかと疑われて聴聞をうけた事象はオッペンハイマー事件と呼ばれるらしいのだけど、その史実や彼を陥れようとした原子力委員会の長;ストローズとの対立のエピソードは、アメリカでは相当に有名なのだろう。最低限の説明で時系列を無視してストーリーが積み重なるので、事件について全く無知の私は、途中まで筋を追うことができずに往生した。

アメリカ軍は、核兵器の開発を促進するため、オッペンハイマーの意見を受け入れて無人の荒野(ロス・アラモス)に開発研究だけを目的とした街をまるごと一つ作ってしまう。アメリカという国のプロジェクトに関する考え方がよくあらわれているなあ、と思った。実際、理論面でも実証面でもかなり先行していると思われていたドイツよりも先に実用化できたのだから、実際に効果があったのだ。
日本の核兵器開発を描いた映画「太陽の子」をみると(史実通りかどうか不明だが)小さな大学の研究室で、個人頼みで推進しようとしてたのだから、スケールが違いすぎて比べ物にならない。

オッペンハイマーは、原爆による人的被害の深刻さに苦悩していたそうなのだが、本作ではあまりそういう場面は長くなかったし、クライマックスは核実験の成功シーン。割合地味な内容だし3時間という長尺なのにアメリカでは大ヒットしたそうなので、核兵器に関する受け止め方は彼我でかなり差がありそうだ。
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野ブタ。をプロデュース(TV)

2024年09月29日 | 映画の感想
野ブタ。をプロデュース(TV)

木皿泉さんのエッセイが好きで、出版されているものはたいてい読んでいるのだが、脚本した作品を見たことはほとんどなくて、出世作といわれる本作を見てみたいと思っていた。
長年通ったレンタルビデオ店が閉店すると聞いて、なぜか最後に本作4本を借りてみた。多分10年くらい誰も借りていなかったんじゃないかと思う。

東京下町の高校生の桐谷修二(亀梨和也)は、社交性抜群の人気者。学校一の美人でバスケ部のキャプテンのまり子(戸田恵梨香)が毎日弁当を作ってくれるという誰もがうらやむ存在だが、本人は虚しさを抱えている。
同じクラスの草野彰(山下智久)は企業オーナーの息子だが、跡を継がせようとする父と対立し、知り合いの豆腐屋に下宿していた。
転校生の小谷信子(堀北真希)は、クラスの坂東らにいじめられている。修二と彰は、面白半分に小谷を人気者に仕立てようとするが・・という話。

学校の先生などが演じるコメディタッチの部分をたくさん挿入してまぶしているものの、テーマは、アイデンティティの探索という重いもので、信子の最初の友達だった蒼井(柊瑠美)のサイコな正体は、けっこう迫力のある怖さだった。

亀梨和也と山下智久は、今の姿とはかけ離れた見かけで、20年近く前の風俗もあいまってか、有体にいうと山出しにみえる。
しかし、
8話あたりで、人気者だった修二がある事件をきっかけにクラス全員から無視されるあたりの複雑な心象を演じる姿は、一皮むけた?と短期間での成長を感じさせた。
とぼけたキャラだった彰も、信子への恋心が明らかになるころから、人格が確立?して魅力が増した。

キャスティングからして、最後に信子の美貌が花開くという筋に(普通のドラマなら)収束すると思うのだけど、修二や彰と違っていつまでたっても一皮向けなくてうつむいたまま、という意外性に満ちた?展開も木皿脚本ならでは、なんだろうか。っていうか、堀北さんおよび事務所とかがよく了承したもんだなあ。
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文にあたる

2024年09月29日 | 本の感想
文にあたる(牟田都子 亜紀書房)

著者は、司書をやっていたが販売業に転職、その後出版社所属の校正者になったあと、フリーの校正者になったそう。フリーの校正者なんてあるんだ、と初めて知った。

今どきは校正を経ないで出版される本もあるそうで、校正者業界?もなかなか厳しいらしい。そういえば大手出版社から出たものなのに誤字だらけで回収になった本とかあったような。

ジャンルごとに専門の校正者がいる場合もあるそうで、典型的なのはレシピ本。ちゃんと料理ができるのか検証したりするそうである。まあ、塩の分量とかで語字があったりしたら台無しになっちゃうもんね。

出版社などに属する校正者は、最初は校正そのものでなくて著者略歴など(こういうのを「付物」と業界では呼ぶらしい)を書くことから始まるとのこと。著者略歴って著者本人が書くものだと思ってた。

文学作品では、故意に文法的に正しくない表現を行う作家もいるそうで、校正者泣かせだという。
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じゃむパンの日

2024年09月29日 | 本の感想
じゃむパンの日(赤染晶子 PALM BOOKS)

著者は芥川賞受賞者で故人。京都生まれで大学は北海道、その後京都に戻って就職したらしい。それぞれの地における思い出を中心にしたエッセイなのだけど、内容がかなり文学的というかシュールで、ついていくのがけっこうしんどかった。

祖父と祖母の思い出話(苦労して内職?の縫製(ミシンかけ)で一家を支えて祖母の話が特によくて作品化してもよかったのではないかと思った。もしかして既に小説になっているのかもしれないが。。。未確認)が特によかっった。
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カラオケ行こ!(マンガ、映画)

2024年09月29日 | 映画の感想
カラオケ行こ!(マンガ、映画)

原作者(和山やま)を知ったのは「女の園の星」。絵柄と正反対?、かつ、今どき珍しい?ギャグだけ?で構成されたナンセンスな内容が、ほのかな懐かしさもあって素晴らしかった。寡作なので他の作品も全部読んだのだけど、本作は成田狂児のキャラが際立っていた印象があった。

その狂児に綾野剛はちょっとどうかな、と思ったのだが、マンガをそのまま3次元化したような出来栄えで感心した。行動は完全にギャグなのに、ヤクザとしての狂気や迫力がそこはかとなく漂っているのがいい。
さらに本作のキモであるカラオケ歌唱シーンも素晴らしい。

原作ではあまり描かれなかった岡聡実の家庭の様子の描写に相応の時間が割かれていて、母役の坂井真紀がよかった。最近、よく見かけるけど、なんというか若い頃よりキレイに見える。

聡実のもう一つの部活動は原作には全く登場しない映画オリジナルなんだけど、それだけに?練りに練られた?設定で聡実の不可思議さ?を浮き彫りにしていた(ビデオデッキの秘密もよかった)。その聡実は、原作のビビリの泣き虫とは反対のツンツンしたキャラなんだけど、クライマックスのカラオケシーンは同じように盛り上がっていた。
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愚か者の石

2024年09月29日 | 本の感想
愚か者の石(河﨑秋子 小学館)

明治時代、本人としてはあまり身をいれて活動した覚えがないものの政治犯として北海道の監獄で10年以上懲役となった瀬戸内巽を描く。監獄内で瀬戸内と仲がよかった山本大二郎は、石英の小さな石を隠し持ちとても大事にしていた。山本は脱獄し、恩赦により仮放免となった瀬戸内は、山本の過去をさぐるが・・・という話。

瀬戸内と山本が主人公格なのだけれど、キャラクターとして二人以上に魅力的なのが獄卒の中田。獄卒としての務めを忠実に果たし、毎日制服の手入れをして狭い官舎にも満足しているストイックさがかっこいい。瀬戸内と山本を普通の社会的生活になじめない人物として描くことで、中田の生真面目さを際立たせているようにも思えた。

小説としては、出所後に山本の行動の真相をさぐるあたりが読みどころなのだと思うが、明治時代の刑務所の、過酷なようでそれなりに官としての規律も働いていた様子を描いた前半の方が興味深く読めた。
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夜明けを待つ

2024年09月25日 | 本の感想
夜明けを待つ(佐々涼子 集英社インターナショナル)

「エンド・オブ・ライフ」などで有名になったノンフィクション作家のエッセイ・ルポ集。

日経夕刊のコラム欄(プロムナード)に掲載されたものを中心とした前半がいい。新聞連載時に大半を読んでいたが、再読してもう一度そう思った。

母の読み聞かせの思い出を描いた「献身」、長年にわたって介護してきた妻をなくした父を描いた「口福への意志」、母方の祖父の葬儀を描いた「弔いの効用」、長年飼っているクサガメを描いた「冬眠」が特に気に入っている。

本書に限らず、著者の作品の多くに死が色濃くにじんでいる。本書のあとがきは特に衝撃的で、あらかじめ著者の死去を知っていなければ、読んで動揺してしまったと思う。
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審判はつらいよ

2024年09月23日 | 本の感想

審判はつらいよ(鵜飼克郎 小学館新書)

様々な競技の審判にインタビューして、審判の喜びや辛さを描く。サッカー、野球(プロ、アマ)、柔道、ボクシング、飛び込み、ゴルフ、大相撲を取り上げている。

サッカーの審判が体力的に最もキツそう。試合では選手より平均走行距離が長く、22人もの選手の行動をほぼ一人でジャッジしないといけない。少なくともプロの試合では人数増やした方がいいかも。

プロ野球審判は基本単年契約で誤審が多かったりすると1軍の試合に呼ばれなかったり、クビになってしまう厳しい世界とのこと。うーん、その割には誤審が多いことで有名な人が長くやっているような気もする・・・素人の印象なんでしょうね。リクエストで明らかになった誤審の統計は公式には公開されていないような気がするが、あれば見てみたい。

アマ野球の審判の人(内海清さん)の、9回ウラ2死満塁の場面だったら「絶体振ってくれ」と祈る、というのは、なんとも実感のこもった本音だと思えた。

どの競技も、競技経験者が審判になっているケースがほとんどのようで、特に国内における柔道では審判の現役時代の格が問われるそうである。

ボクシングの審判の最大の使命は、選手の命を守るために適切に試合をストップさせられることだという。本作で登場するビニー・マーチンさんは、早めにストップすることが多いという評判なのだが、セコンドから文句は言われるが、選手からは止めてくれたことに感謝されることが多いという。逆かと思ってたので意外だった。

大相撲。審判(行司)としての最高格:木村庄之助はなかなか就位できなくて、空位の時期もしばしばあるという。また行司は番付表を書く人でもあるので、字がうまくないと務まらない、というのも面白かった。
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グラスホッパー

2024年09月23日 | 本の感想
グラスホッパー(伊坂幸太郎 角川文庫)

20年ぶりくらいに再読した。
登場人物で最も魅力的なのは、やはり、会った人を自殺に追い込む殺し屋の鯨。「罪と罰」の文庫本を繰り返し読み、自殺させた被害者?の亡霊に悩まされる(悩んでいないようでもあるが)。本作のテーマは、誰もが死にたい気分になるけど、生きていることも、またいいもんだよ、みたいなことだろうか。

初めて刊行されたのは2004年だけど、ストーリーや登場人物の行動や志向が全く古びていない。携帯電話を初始めとするハイテク系の小道具を極力排除しているように見えるせいだろうか。
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