穴にハマったアリスたち

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和歌山県太地町:くじらの博物館

2009年09月29日 | 映画・コンサート・展示会・テーマパーク
1週間ばかり更新を休んでいたので、その間にやっていたことを書いてみる。(コメント返信が相変わらず遅れていて申し訳ないです)

何度も明言していますが、私はクジラやイルカに代表される海洋性哺乳類が嫌いです。
嫌いと言うか、正確には怖いです。おぞましいです。忌まわしいです。
最近では「マガジン」連載の「波打際のむろみさん」によって、奴らの醜悪さが世に認知されつつありますが、それ以前に幼少時に色々トラウマを負ったせいでとにかく奴らは怖いのです。

そこで連休を利用して、和歌山県のくじらの博物館に行ってみました。

場所は和歌山の太地町。
古くから捕鯨が盛んで、クジラと死闘を繰り広げてきた勇敢な町です。
前々から興味津々だったので、今回のそのそと見学に行ってきました。



平然とシロナガスクジラの全身骨格とか放置してある。恐ろしい話だ。



博物館ではクジラの生態や体について物凄い量の資料が展示されています。
実物大模型、骨、内臓や各部位の標本等々。
更には捕鯨の町らしく、「いかにクジラを倒すか」も克明に解説。勉強になりました。



博物館を抜けると、そこには海。
私は海も怖いのですが、その理由として「何が潜んでいるか分からない」というのがあります。
画像の海も一見すると平和そうですが…



その海の一部分をフォーカスした画像です。
お分かりでしょうか。
画像の中央左に見える、不穏当な影が。



シャチです。
和歌山の海にはシャチが泳いでいる!

想像してみてください。
みんなで和気藹藹と海水浴に出かけましたと。
久方ぶりに見る海に興奮し、「わーい海だー♪」と無防備に飛び込むケースも多いでしょう。
そんなことしたが最後、水の中でシャチとこんにちは。楽しい楽しいお食事タイムの始まりです。
これだから、海は怖いんだ。

このように「くじらの博物館」は入り江を利用した天然の水槽により、シャチやクジラを飼育しています。
やることが豪快です。
平穏そうに見えるこの入り江、実はシャチが1頭&クジラが5頭以上およびイルカが潜んでいる。

ちなみにこのシャチの「水槽」、手すりも何もなく横を通ることができます。



ちょっと出っ張ってるところ、普通の通行路です。
画像には写っていませんが、お客さんも大勢いました。
その足元の海にはシャチが…。

承知の通り、シャチは流氷の上にいるペンギンを襲って食います。
シャチのショーもあったのですが、奴らの跳躍力をもってすれば、余裕で届くことをまざまざと見せつけられました。
暢気に「シャチがジャンプしてるーすごーい」と拍手してる場合ではありません。「やべえ。ここ、届く」と気がつかないと…。

シャチのプールの奥ではクジラが生息しています。
ここでは手漕ぎボートに乗ってプールに乗り込むサービスが開催中。
他の方がやられている画像ですが、こんな感じ。



見辛いでしょうけれど、黄色い小さなものがボート、その横の影がクジラ。恐怖です。
何故か「クジラは優しい生き物」と認識している方もおられますが、奴らは獰猛な肉食獣。
「史上最大の肉食獣」の栄冠を持つのは、ティラノサウルスでもサーベルタイガーでもない。現存するクジラです。
(ちなみに地球の歴史上、最も巨大な背びれを持つ生物はシャチだそうです。ステゴサウルスやディメトロドンを凌駕している。ファンタジーものでは古代生物が強者のように描かれますが、現実には現生生物の方が圧倒してるもんだと思った)

こういう醜悪なイベントは実に不愉快です。
そこで唾棄しながら、いそいそと私も参加することに。
参加料は1000円。公式ページには実施時間が書かれていますが、それとはまったく関係なくフル稼働されていました。

まぁ能書きはいいです。
奴らがいかに危険生物かは、実際にボートの上から撮影した画像を見ていただければ分かります。




食われる!!

意味わかんないですよ、このボートイベント。
人間は犬に噛まれただけでもやばいんです。それが体長5メートルとか、体重1トンとかが相手ですよ。
ボートが転覆したらと思うと泣きそうですし、こんな手漕ぎボート、ちょっと体当たりされれば即ひっくり返ります。
安全のために救命胴着を付けているのですが、それ以前にこの肉食獣を何とかしないと…。

恐怖の時間をどうにか過ごし(時間は1回10分)、岸に上がった時の安心感は素晴らしいものでした。
嗚呼、二本足で立てるって素晴らしい。クジラがいない陸上は素晴らしい。
横で見ていた家族連れの会話がとても印象的でした。

お父さん:
 「あのボート、乗る?」
お子様:
 「怖いからやだ」(半泣き)

クジラが危険であることを伝える、良い情操教育になったと思います。

なお「怯えすぎではないか」「また大げさに曲解して」と思われるかもしれませんが。
後に飼育員の方から解説がありました。
あの、このクジラは一体何を食べてるんですか?

飼育員さん:
 「普段は魚を食べていますが、時には小型のイルカも捕食します」

イルカは人間よりでかい=人くらい食う。
そんな危険生物のいるプールに手漕ぎボートですか。
さすがクジラと激闘を繰り広げた町の人々の発想は違う。



また、このクジラどもによるショーも行われていました。
シャチやイルカのショーは珍しくないですが、クジラは初耳。
一般的なクジラのイメージといえば、ショーどころか「我々はそこに在るというだけで価値があるのだよ。お分かりかね小さき者よ」とか嘯きながら無駄飯を食らってるだけですが、ここの連中は阿漕に稼ぎに出ているようです。



園の奥には屋内水族館もあります。
世にも珍しい「後ろ足のあるイルカ」が飼育されています。(元々これがお目当てで企画しました)
これは「先祖がえり」と捉えるべきか、「一度陸を捨てておいて、また足を生やして陸に戻ろうってのか!」と捉えるべきか。

写真の一つも撮りたいところではあったのですが撮影不可。
機密事項のようです。どんな悪事を企てているのやら…。
実物の「足の生えたイルカ」はなかなか印象的でした。

中はトンネル状になっていて、イルカのいる水槽を潜り抜ける構造になっています。
「足の生えたイルカ」以外にも数匹飼われており、トンネルを通ろうとすると総出でこちらの動きを追尾してきました。
右に行けば右に、左に行けば左に、前に進むと見せかけて後ろに戻っても、しっかりとついてきます。
人によっては「可愛い」と感じるのかもしれません。しかし私は騙されません。
なんというか、「こちらを認識している」感がなかなか恐怖です。奴ら、完全にハンターの目をしてやがった。
(参考までに。イルカの知能は犬程度だそうです。「なんだその程度か」と考えるか、「あの身体サイズで犬並の知能を持つ野生の肉食生物!」と恐怖するかは任せます)

と、このように非常に有意義な時間を過ごすことができました。
片道2日かけて行った甲斐があった…。(どんだけ遠回りを)
戦いに勝つにはまず敵を知ることです。忌まわしきクジラについて、ぐっと知識を得た気分。

最後に、館内に張ってあった「見学に来た小学生の自由研究『くじらの町の町長さんに聞きました』」の展示を紹介します。

小学生:
 「捕鯨が制限されていますが、もしも南極海で許可が出たら捕りに行きますか?」
町長さん:
 「太地町は山がせり出し、海は切り立つ、非常に厳しい土地柄です」
 「この町にはクジラ以外の産業がありません」
 「捕って良いのであれば、南極でも北極でも行きます」

それ以外の質問にはフレンドリーに答えているのに、この質問からは悲壮なまでの気迫を感じました。
捕鯨云々はデリケートな問題なのでここで特には触れませんが、飯を食ってる人たちは覚悟が違う。

そういう部分も含めて、とても刺激的な観光でした。
並の水族館ではできない「くじらの町」ならではの水族館・博物館だと思いました。
海や動物に興味のある方なら、一度は行ってみる価値があります。

(※記事中で散々「怖い」だの「危険」だの書いていますが、私のクジラ恐怖症から来る過敏反応であって、実際はプロの方によりきちんと管理されています。博物館および関わる人々を貶める意図は一切ありません)


【お礼】

今回の旅行、宿の手配を全くしておらず「行けばなんとかなるだろう」と軽い気持ちで行ってみたのですが…。
町に着いた当日は18時半過ぎ。博物館は閉館し、海沿いということもあって周囲は既に真っ暗。
手探りで宿を探したものの、行く先々で満室。連休を舐めてました。

民宿を見つけては空き室を尋ね、悲しく項垂れることを繰り返したのですが、

宿のおばちゃん:
 「この辺の宿はどこも満室だよ」

全滅。
やむなく野宿も覚悟したのですが(私は割と経験ある)、宿のおばちゃんは親切にも、使ってない部屋を無理くり空けてくれました。
おかげで風雨に晒されることもなく、その上食事まで差し入れていただきました。感謝。

せめてもの恩返しにアドレスを書いてみる。
民宿大磯』さん。
次に行く時は正規の客として宿泊したいです。
コメント (2)
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