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穴にハマったアリスたち

生きてれば楽しい事がいっぱいある!の証明の為のページ。ぴちぴちピッチを大応援。第三期をぜひ!
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映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち:「ハートキャッチの見た夢」

2014年03月18日 | プリキュア映画シリーズ
昨日桃園さんのことを書いたら、続けて他のプリキュアさんのことも書きたくなった。

夢のシーンで謎だったことの一つが、花咲さんが花を育てている夢を見ていたこと。
「憧れの未来」を見せるのであれば、宇宙空間にいないと本編ラストと一致しません。
この件に関し、先日コメントで「宇宙飛行士といっても学者でもあるのだから、植物学をやっていても不思議ではない」との旨のご指摘を貰いました。納得。
私は「NASAの裏庭でヒマワリ育ててたのか?」とかで飲み込んでいたのですけど、「植物学を本業として、宇宙にも行く」の方が確かに自然です。
彼女は星間旅行したいのではなく、宇宙でお花を育てたいのですし。

ただ気になるのが、彼女のやった夢破りが「花が枯れないのは変だ」だったこと。
他の皆様はシリーズのテーマに沿った形で夢から覚めているのに、なんだか普通に推理で気付いている。
夢だと気づくのが早かっただけに、これはなんだかとても奇妙だ。

「ハートキャッチ」さんのテーマは概ね二つ。
一つは「チェンジしていこう」。これだと「ヒマワリが枯れない=チェンジしないのはおかしい」で破ったことになる。
それほど変な解釈ではないですが、じゃあ来海さんたちはどうやって破ったのかが良く分からなくなる。

もう一つは「人の事情は分からない(しかしお手伝いならできる)」。
こっちの方が個人的に面白かったので、その路線で考えてみる。

花咲さんはバク母によって夢を見せられた。
しかし「人の事情は分からない」バリアにより、見せられた夢が本質から外れたものだったんじゃなかろうか。
つまり彼女の夢は宇宙飛行士なのに、花を育てる夢を見せられたんです。お花が好きな子だから、という安直な理由で。



同様に来海さんも安易に「モデルになる夢」を見せられたんじゃないかと勝手に考えてみる。
もちろん彼女の夢はモデルではないので、早々に夢だと気付いて衣装作成に励んだんじゃないかな。
これを支える根拠は、同じデザイナー系の夢を見ていた夏木さんが「何度もデザインしては破り捨てている(見た感じでは問題ないデザインを描いているのに破いている。おそらく夢の力で補完されて勝手にデザインが出来上がっていくので「そうじゃない!」と猛ってたんだと思う)のに、来海さんは爽やかに制作していること。
もはやあの時点で、バク母の用意した規定の夢を放棄し、勝手に服を作っていたからだと思えば納得できます。来海さん、すげぇ。

そう考えると、劇中では出てこなかった月光さん・陽光さんの夢も予測がつきます。
月光さんはコロンや父が復活する夢、陽光さんは男装でびしっと道場を継ぐ夢とかでしょうか。
どちらも表面的には彼女らの「夢」のようだけど、本質的には外してるので、そこから夢だと気づいたとか。

ついでに「人の事情は分からない。しかしお手伝いならできる」の後ろ部分でいえば、「見たかった夢としては外しているけど、それはそれで役に立った」んじゃないかな。
来海さんはとても楽しそうですし。夢だから無尽蔵に服作れる!楽しい!とか思ってそう。
あの一瞬の時間で、新しいデザインアイデアとか着想を得ていそうです。

月光さんも「たとえ偽りの幻であっても、また会えて良かった。だからもう現実に戻る」とばかりに帰還してきたのかもしれないし、陽光さんも「こういう男装の人生も良かったのかもしれないし、僕のやってきたことは無意味ではなかった。おかげで踏ん切りがついたよ」と爽やかに笑ってたのかもしれない。

発端の花咲さんでいえば、「そもそもこれが憧れの将来を見せる夢である」と気づかないまま、普通に過ごしてたのかもしれません。
そして、「あれ、お花が枯れません」とぼんやりと気づいたと。
なまじ普段の生活と変わらないものを見せられたので、ああいうリアクションになったんじゃないかしら。
うん、他の3人と比べると微妙なノリだ。そこは花咲さんですしね…。


何せ「人の事情は分からない」の人たちなので(「どうしてパリにいたのか」を劇中で説明しないような人たちだ)、夢の詳細が描かれなかったのはかえって熱いです。
何かの特典とかインタビューで語られたりしないのかな。

(映画本編の感想はこちら

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映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち:「桃園さんの見た夢」

2014年03月18日 | プリキュア映画シリーズ
【前置】

「NS3」を思い返していて、ふと考えた。
この手のオールスターズものでは、「誰それは優遇されている」「誰それは不遇だった」といった話題がどうしても出ます。
で、「NS」シリーズで最も不遇なのは?と考えると、私としては桃園さんだと思う。

不遇かどうかは、出番の多さや台詞の有無ではないと思うんです。
「NS3」でいえば、喋っていないけれどビートさんは存在感があったし、リズムさんも端々で愉快なたおやかポーズを決めてて印象に残った。
対ロボ戦の月光さんも、無言だからこそ、かえって怖さが増してて良い。
同じ場面に出ていたエースさんには台詞がありましたが、むしろ喋ったことで相対的に小者に見えましたし。(もっともエースさんの性格的には勝利宣言する方が、らしいとは思いますが)

それよりも、本来のキャラクターを否定するような出番の仕方をする方が、マイナスだと思う。
その意味で桃園さんは辛い。
例えば「NS1」でいえば、「DX1」で因縁があるはずのフュージョンに(その機会はあるにも関わらず)何のコメントもないだとか、同じ新人なのに闇雲に殴るしかなかったフレッシュ組と比べ、きっちり解決して見せたスマイル組との差を感じるとか、まぁ色々。
特に「フュージョンから逃げる人々」のシーンに、桃園母が混ざってるのが切ない。
娘がプリキュアであることを知っているはずなのに、応援もせずに逃げるんですよ。これは違和感がもりもり湧いてくる。

そして今回の「NS3」。個人的にはこのシーンが非常にひっかかった。



桃園さん:
 「失敗しても何度でもやり直せばいい!」

このシーンでの桃園さんの台詞はおかしい。
だって彼女が見ている「いつもの3人と一緒にダンスコンテストで優勝する」は、決して叶わない夢だから。
実際、他の3人は(少なくともmktnとブッキーは)違う夢を見ている。それぞれ夢の形が違うので、桃園さんの夢は努力したところで不可能なんです。

まずいことに、「努力してもやり直せないことがある」は「おもちゃの国」でも語られた最大の障壁です。
「楽しいことはいっぱいあったはずだよ」⇒「でも僕たちは捨てられたんだ」と語る玩具達には、やり直すとか努力するとかの余地がない。
人生山あり谷あり、されど辿り着く先は一つなんです。

もしも桃園さんが見ていた夢が、自分一人で優勝しているだとか、ミユキさん達と踊っているだとかなら、問題なかったのに。
故に「扱いが悪い」し、「不遇だ」と思った。
出番自体は決して少なくはないのだけど。

【本題】

ですが、そこで終わってもネガティブな気持ちにしかならないので、「劇中で描写されていることは全て正しく、制作陣は意図して行っている」というスタンスに基づき、この違和感の謎を考えてみる。
違和感があるということは、それだけ特殊な状況にあるということ。
ぶっちゃけ制作側にそこまでの意図はないのでしょうけれど、それをあれやこれや考えるのが考察の醍醐味なので、「どうして桃園さんの夢がああだったのか」を考えてみた。

で、結論を書いてしまえば、「おもちゃの国」と同じ回答だったのだろうと思う。
つまり「世代を越えて転生する」の発想。
捨てられた玩具はもう元の楽しい生活には戻れないけれど、新しい持ち主の元で新しい思い出を作ることならできる。

桃園さんにとっての夢はあの3人と一緒にダンスコンテストで優勝すること。
だけど3人にはそれぞれの夢があるので、おそらくはすぐには叶わない。
では夢は不可能かというとそうでもない。

例えば余暇の時間に集まって、懐かしの地域イベントでダンスをするでもいい。
数十年後、家庭や仕事が落ち着いてから再びみんなで集まって、シニアの部で優勝を目指すでもいい。
今のこの若い時分に叶えられなくても、第二の人生で実現することはできる。

思うに彼女が見た夢は「いつもの3人と優勝する」⇒「それは無理だ(夢だと気付く)」⇒「でも何度でもやり直せる」⇒「数十年後に再結成したフレッシュ組が優勝する」であり、「そこに至るまでには人生の様々な苦労を乗り越える必要がある」と考えていたから「何度でもやり直そう」と発言したのではないでしょうか。
これから先、友人たちと離れてしまうことは避けられないが、それでも諦めずに努力してまた皆で会おうという決意の表れですね。
夢の中の桃園さんは見た目はお若いですが、バクの力では年齢操作はできないということなので、特には矛盾はないはず。

そう思うと、山のような絆創膏は、友と離れていた間にも頑張り続けた心の傷。さらりと言った「何度でもやり直せる」には熱い決意が込められていた。
「おもちゃの国」では再起不能になりかけたのに、今回は自力で笑顔で乗り越えておられる。
まぁ先にも書いたように、ぶっちゃけそこまで考えた上での演出ではないでしょうけれど、桃園さんの魅力が前にも増して深まったような気がします。
一時期はすぐに落ち込んでいたのに、強くなられたなぁ…。

【蛇足】

こうして考えると「不遇」な娘さんは原理的に存在しない気がする。
不遇に見えるということは、他の娘さんと比べて何か特徴があるわけで。
それこそ考察のし甲斐があるんじゃなかろうか。

(映画本編の感想はこちら

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感想:映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち

2014年03月15日 | プリキュア映画シリーズ
この映画を見るために、これまでプリキュアを見てきたのかもな、と割と本気で思った。

■映画 プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち

舞台は妖精学校。NS2の戦犯・エンエンとグレルは、今日もお勉強に励んでいました。
かつて世界を壊滅させかけた罪も償い、品行方正に「プリキュアのパートナーになる」の夢を目指して頑張っています。
その努力を認められ、新しいプリキュア「ハピネスチャージ」の取材を言いつけられました。
戦地の最前線での取材です。油断したら命がない。栄光と恐怖に身が引き締まる。

そこで二匹は、馴染みのドキドキチームを訪ねることに。
いきなりハピネスチャージチームを探すのではなく、プリキュアの応援を求めるところが賢いですね。
最前線に行くんです。護衛がいなきゃ無理だ。

幸いにしてドキドキ妖精はハピネス妖精と知り合いだったようで。
とんとん拍子に話が進み、ハピネスチームと落ち合うことになりました。
だけど約束の時間を過ぎても彼女たちはやってこない。

折しも街は謎の奇病の話題で持ち切り。
そこにようやくやってきたドキドキ生物が言うには、ハピネスさんもこの眠り続ける謎の病にかかってしまったそうです。
ハピネスチーム、戦わずしていきなり敗れる。

不甲斐ないとか何とか以前に、これが本当にプリキュアなのか。
あられもない姿で(主に姫さんのせいです)眠り続ける愛乃さんを見ながら、ドキドキさんらはしばし呆然。
とはいえ見捨てるわけにもいきません。神を名乗る謎の生き物の力を借りて、彼女の夢の中に乗り込んでみました。

辿り着いた先は、それはそれは楽しい夢の世界。
お目当ての愛乃さんも無邪気に遊びまくっていました。うん、これは良い世界だ。
そして遊び回る子供たちに混ざって、謎の生き物の姿が。

グレルらが言うには、彼の名前はユメタ。悪夢を食べるバクの妖精だそうです。
諸々の情報を総合するに、子供の見た悪夢をバクが捕食⇒そのまま子供たちを夢の世界へ⇒現実の子供たちは眠り続ける…という流れのようです。
よし、敵はあのバクか。殴ろう。

しかしながらドキドキさんの殺気に反応したか、突如風景が切り替わる。
楽しい楽しい夢の世界の、ほんの外側にある荒涼とした絶望の世界。そこに現れたのはバクの成体・ユメタのお母さん。
曰く、子のユメタくんを幸せにするために、子供たちを連れて来たとのこと。
どんなに楽しく夢の世界で遊んでも、目が覚めたら忘れられてしまい、そのたびにユメタ君は涙する。だから子供たちをずっと夢の世界に閉じ込めた。
従ってこの夢を破壊しようとするドキドキさんは許せない。即刻、お帰り願おう。

もちろんそこで引き下がる相田さんらではない。
こうして交渉は決裂し、武力行使が実行されました。
身構えるドキドキチームに対し、バクはこれまで捕えてきた悪夢を解放し、けしかけます。

悪夢。すなわちナイトメア。
否応なしにプリキュア史上に残る最悪の敵、あのブラック企業が思い起こされます。
絶望の権化たるその悪夢に、ドキドキさんらは果敢に立ち向かいます。恐ろしいまでの戦闘力で。

姫さん:
 「……これは私らの出番はないな」

もはや変身しない方がマシです。足手まといになるだけだ。。

だけど楽観視するハピネスさんをよそに、嫌な空気が漂い始める。
恐ろしいまでの戦闘力で悪夢を圧倒するドキドキさんですが、どういうわけか決着がつかない。
どうにかこうにか蒸発させましたが、すぐに復活・再生してきました。

バク親:
 「悪夢を消せるのは、バクの力だけ」

ここは夢の世界。プリキュアさんの力は、通用しない。

こうしてドキドキ&ハピネス組は追い払われてしまいました。無念。
でも私たちにはまだ仲間がいる!
相田さんは即座に次の策を立てました。よし、他のプリキュアにも連絡するよ!!

エンエン&グレル:
 「え…」
 「ま、待ってくれ!」
 「プリキュア皆でユメタをやっつけるのか…!?」

魂からの悲鳴が木霊します。
かつてオールスターズを敵に回した男だからこその言葉の重みです。
頼む、許してくれ。あいつは友達なんだ!

この嘆願に相田さんは鷹揚にうなづきます。
うん、とりあえず話をするだけだよ。
その後どうするかは、まぁユメタくんの出方次第ってことで。

神様:
 「今日はもう遅い」
 「明日、皆で夢の世界に行こう」

…え?

まさかの神様の発言に、一同は深く考えず、本日は解散されました。
いや、それはまずいだろう。
夢を操る敵を相手に、一晩待ってから攻め込む???

バク親:
 「おやすみなさい、プリキュア」
 「永遠に、夢の世界で」

案の定。
眠りにつくプリキュアの皆々様は夜襲を受け、敵の存在に気付く間もなく夢に捕らわれてしまいました。
相田さんの大失策。なんてことしてくれたんだ神様。

こうして大幅な戦力ダウンの中、唯一残ったハピネス組だけで夢の世界に乗り込むことに。
幸か不幸か、彼女たちはまだプリキュアと認知されておらず、難を逃れたようです。
昨日の戦いで変身しなくて良かったですね。

とはいえそこは経験の浅い新人さん。すぐに敵に捕捉され、交戦することに。
唸れプリチェンミラー!
今こそ降臨、ハピネスチャージ・プリキュア!!

 (中略)

戦いに負けたハピネスさんは虜囚の身となりました。
エンエンとグレルの視線が痛いです。
まぁこういうプリキュアもいる。これが現実だ。

そこにユメタくんがやってくる。
呼びかけるエンエン&グレル。だけどユメタくんは頭を振る。
彼も分かってる。母のやってることが間違っていると。
でも現実は怖いんです。立派なバクになろうと悪夢に立ち向かい、そして敗れた過去がフラッシュバックする。
こんなに怖いんだから、楽しい夢の世界にずっといればいいじゃないか。

夢に捕えられたプリキュアさん達も幸せいっぱい。
夢原さんは教師になった。桃園さんはダンスコンテストで優勝した。
実家のパン屋は大盛況で、ピアノだって超満員。嗚呼、こたつも暖かい。

だけど、彼女たちはやがて気づく。これが夢の世界であると。

夢原先生:
 「これは先生の実力ではありません。都合の良い夢ですね」
 「素敵な夢をありがとう」
 「夢はただ叶えばいいのではありません」
 「なりたい自分になるために、先生はもっともっと頑張ります」

最初に突破口を開いたのは、ナイトメアハンターたる夢原さんでした。
続いて「5」の面々が夢の幻影に立ち向かっていく。
当然だ。だってそれこそがまさに、プリキュア5の戦いだったんだから。

続いて「スマイル」さんらも目を覚ましていく。メルヘンと現実は違うし、メルヘンを現実にするのは自分たちだと自覚している娘さんなんだから。
他の皆様も、それぞれがそれぞれの理屈に基づいて悪夢から目覚めていきます。
桃園さんは「失敗してもやり直せる」と。北条さんは「みんなでハーモニーを響かせよう」と。
そして我らの美翔さん。とんでもない破り方をしやがった。
あまりにとんでもないので、とりあえず後述。

こうして続々と夢から脱出しようとするプリキュア娘を見て、ユメタくんも呆然。
そこに帰ってきたバク母。最愛の息子をたぶらかす娘っ子に大激怒。
うちの息子に何を吹き込んだ…!!

たちまち召喚された悪夢に対し、愛乃さんらは変身能力を起動。
お待たせしました!これからハピネスさんの格好いい大活躍が始まるよ!
ですが、相手は恐怖の悪夢ども。これまで単体でも大苦戦していたのに、それが群れを成して襲ってきた。

他のプリキュアは壊滅。こちらの技は通用しない。その上、敵は大量に襲ってくる。
まさしく「ハピネス」さんのサイアークとの戦いを髣髴するような、絶望を絵に描いたかのような状況。
ラブリーさんらは奮闘します。でもこれは無理だ。なんといっても、プリキュアの力が通用しないんだから。

そこで発動するミラクルライト。夢の檻を破ろうとするプリキュアさんらを手助けし、彼女らを見事召喚します。
戦地に駆け付けた一同は、それはそれはとんでもない勢いで悪夢に応戦します。
強いです。素敵です。格好いいです。でもどうしてだろう。全く勝てる気がしないのは。

プリキュアさん:
 「私たちの力では、浄化できない…?」
 「まさしく悪夢ね」

吐き気をもよおすほどの絶望。
楽園を守るべく、周囲の荒涼とした大地で溢れ出る悪夢とプリキュアさんたちは戦う。
でもプリキュアさんでは通用しない。ミラクルライトすらも決定打にならない。
悪夢を倒せるのはバクの力だけ。
楽しい夢に浸っていた「彼」が戦わなければ、この悪夢は払えない。

この展開は、あまりにも残酷だ。私たちの頼るプリキュアさんが通用しないんです。
そして彼女たちは、『こちらを見て』語り掛ける。楽しいだけの夢に耽っていても駄目だと。
各シリーズの様々な文法で、『こちらを見て』戦うことを訴える。夢から抜け出して、現実に立ち向かえと。
そしてプリキュアでも、ミラクルライトでもない、謎の第三の力「バクの能力」が必要だと訴える。

「夢の世界」=「プリキュア」からのダイレクトなメッセージ。
バクの力、すなわち私らの固有の何がしかの力を発揮しないと、この悪夢は突破できない。
この楽しい楽しい夢の世界「プリキュア」に埋没していても先に進めないんだ。

ユメタくん:
 「怖い。でもプリキュアがいる」
 「友達もいる」
 「僕は、一人じゃない」

現実は過酷だ。目が覚めたら夢を忘れてしまうように、大人になったら「プリキュア」のことだって忘れてしまうかもしれない。
でもそこから伝えられた愛と勇気は忘れないで。
私たちの背中には、プリキュアさんたちがついている。私たちは、一人じゃない。

戦うプリキュアさんらの姿を見て、ユメタくんも戦うことを決意。
疲労で倒れた母の後を継ぎ、暴走状態に陥った悪夢の群れに挑みます。
戦う少年の気持ちに、プリキュアさんとミラクルライトが応え、悪夢を打ち砕いていく。

でもそれでも悪夢は終わらない。プリキュアさんを隔離し、合体・巨大化して襲い掛かります。
プリキュア能力だけでは倒せない以上、この状況は詰んでいる。
そこに唐突に光が差し込むと、謎の娘さんがやってきました。

???:
 「私は坂上あゆみ。プリキュアよ」

うん、嘘は言ってないよね。例えるなら「ゼットンは私が倒した」的な。いや、あれは完全に嘘か。
って、ああ何かエンエンとグレルがキラキラした目をして坂上さん見てる。
なんか「俺たちのプリキュアだ」とか言ってますよ。大丈夫か坂上さん。後で誇大広告とかで訴えられないか、これ。

何やらよく分からない内に降臨したエコーさんにより、想いが届けられ、とりあえずプリキュアさんは窮地を脱しました。
便利ですねエコーさん。要するに通信機器ですね。
分断作戦とかされても、エコーさんがいれば大丈夫。

いよいよ追い詰められた悪夢たちは、最後の力で再度合体。
今度は巨大なタコの姿になります。
ただでさえデカくて強い上に、生半可な手段では浄化できない強敵です。
こういう時、役に立つのが美翔さんですね。彼女たちは射出&結界型の浄化技を持っていますから。
他のプリキュアさんも心得たもので、敵さんを引き付けては隙を作り出します。さあ、止めを刺すんだキュアイーグレット!

日向さん&鳥:
 「プリキュア・ツインストリー…」

…?

一瞬の間の後、周囲が凍り付く。
ちょっと待って、美翔さん!
貴女、なんでスパイラルリング装着してないの!?

日向さん&鳥:
 「ツインストリーム・スプラッシュ!!」

この正念場で、まさかの初期技ですか。
何考えてるんだかさっぱりわかりませんが、案の定あっさりと破られました。
そして当然の如くカウンター。

鳥:
 「ゎきゃー!」

そのまま他のプリキュアさんたちも捕縛されてしまいました。
何を…、やってるんだ…、美翔さん…。。
最後の出番になるかもしれないこの大一番で、美翔さんはやっぱり美翔さんだった。

そんな大失態はあったものの、とりあえず大型悪夢を押さえつけ、最後はハピネスさんの天に還れ技で浄化。
なんだかチラリと謎の黄色い生物が見えましたが、なんだかよく分からないので見なかったことにしよう。
こうして恐るべき悪夢は粉砕されました。まさしく総力戦だった…。

戦いが終わり、プリキュアさんたちは元の現実へ。
眠っていた子供たちも帰っていきます。
夢の世界は安心で楽しいけれど、私たちにはそれぞれの現実があるのだから。

そしてユメタくんも、夢の世界で頑張ります。たとえ目覚めた人たちが、自分のことを忘れてしまおうとも。
そんな彼に、エンエン&グレルは約束する。夢の世界を守るユメタのことを、プリキュア教科書に書くと。
楽しい夢から覚めたとしても、私たちは永遠のともだちだ。


(左画像)
プリキュア~永遠のともだち~(2014ver.)

(右画像)
映画プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち オリジナル・サウンドトラック

Twitterアカウント:http://twitter.com/RubyGillis


時間はいつもと変わらないはずなのに、いつも以上に密度が濃かった気がする。
トリックとしては、場転や視点移動がほとんどなく、同じところで戦って時間のロスを防いだことでしょうか。
普通だと平坦な展開になってしまうところですが、人数が多いこともあってそうは感じませんでした。むしろ「多すぎる」ことを上手く利用した印象。

【今年のオールスターズ】

「NS1」が自分との戦い、「NS2」が道を間違えた友との戦い、そして「NS3」は誤った母の愛が敵。
「母」という時点で嫌でも「制作者」を連想します。
楽しい夢を提供するバク母は、楽しい「プリキュア」を提供する制作サイドに諸に被る。

夢から覚めたら、夢のことは忘れてしまう。
成長すると共に、やがてプリキュアからも卒業していくだろう。
歴代メンバーで唄う、ED「プリキュアメモリ」の歌詞が染み渡ります。

プリキュアさん:
 『いつか大人になった時も』
 『忘れないでね、愛と勇気』

 『MaxHeartでSplashStar』
 『Yes!フレッシュGoGo』
 『ハートキャッチよ スイートな』
 『スマイル!ドキドキ!』
 『ハピネスチャージ』

例年、春映画はその年のシリーズの予告編のような位置にあります。
その流れでいえば、今年の「ハピネス」さんのテーマは、つまりはそういうことなのでしょう。
劇中の愛乃さんらの立ち位置は、テレビ本編と酷似していますし。

来年度以降もプリキュアさんがあるのかどうかは定かではありません。
ですが、物語としては一つの節目を迎えたなと思います。
これまでの10年が、ここで一つ終わる。

【全員がプリキュア】

ドキドキさんだけでは勝てない⇒オールスターズを呼ぼう。
オールスターズでも勝てない⇒最新のハピネスさん登場。
ハピネスさん弱すぎ⇒オールスターズ降臨。
オールスターズでもやっぱり勝てない⇒エコーさん再臨。
それでもやっぱり勝てない⇒ハニーさんも追加だ!

という、プリキュア教科書を超えまくる援軍の連打が熱かったです。
もはやプリキュアになるなんて当たり前。私たちは誰だってプリキュアになれる。
そして今や、なった後どうするのかのフェーズだ。

【今年の暴虐】

同系統の技持ちの連携が目立ちました。
桃園さんと北条さんのロッドつながりは、ちょっと予想外だった。
言われてみれば武器タイプが同じなのか。

原点たる「DX1」の決戦のオマージュらしき戦闘も良かった。
地面をぶん殴るミルクさん。大砲発射するSS。
まぁ後者はおかげで危機に陥ったのですけれど。

【未来のともだち】

OPの最後のカットで、唐突にエコーさんが中央にいる集合写真が出てくる。それを見て、良く分からない内に涙が出た。
その後、病院で眠り続ける子供たちの描写で察して、本編でエコーさんが合流していく下りで泣けた理由に納得しました。
エコーさんがオールスターズに混ざっているのは、夢に埋没していた状況を抜け出して、あの領域に達したからなんだな。
「誰だってプリキュアになれる」と宣言したシリーズのプリキュアさんが成長し、2年後にここにまで来たんだ。
「同時間軸に存在する別のプリキュア」という、非常に特殊な立ち位置のエコーさんだからこその感慨ですね。

【対ナイトメア】

プリキュアさんたちが見た夢の世界。
夢に突っ込むのも野暮ですが、なんだかおかしな人たちがいるのも事実。

花咲さんはなんでヒマワリの面倒なんて見てるんでしょうか。
この娘、宇宙飛行士になりたいって言ってたのに。
いくら「他人の事情は分からない」が売りのハートキャッチさんとはいえ、唐突に夢を変更されても困るんですよ。

桃園さんの夢はダンスコンテストで優勝すること。
それはいいんですが、横にいる蒼い人っぽい生き物は誰でしょうか。
蒼い人は「モデルになる」という夢を見ていたようなので、桃園さんの夢に出ていたのは別の何かですね。
ブッキーさんっぽい生き物も同様。

見落としたのかもしれませんが、九条さんの夢は出てこなかったような?
一応あれでも光のクイーンなので、夢の世界では巨大化して園を治めてるはず。前提知識ない人が見たら意味不明の光景ですね。
これで普通にたこ焼き焼いてる夢見てたら、それはそれで意味不明ですが。

また、夢のシーンではこれまでに登場した様々な人たちがちらほらと。
ドロドロンさんも念願かなって遂に出演を果たされました。
これでフィフスエレメントは全員オールスターズに参加ですね。

【最速上映】

今年もTジョイ大泉様で、最速上映に参加してきました。
いつもありがとうございます、Tジョイ様。
展示品や開始前の挨拶、半券に記載された「ありがとう」のメッセージ等々、端々から愛が伝わってきます。

上映中は、場面場面で笑い声も上がり、終始穏やかに賑やかな感じでした。盗撮防止のカウントダウンも元気よく、上映後は自然と拍手に満ちていた。
ただ今回の映画は、笑うところか泣くところか、判断に悩む場面が多かった気も。
とりあえず月光&エースさんに戦いを挑む場面では、笑いながら泣きましたが。恐怖で。

【今年の美翔さん】

夢から目覚める順番は、それぞれのシリーズのテーマとの親和性にも依存してるように見えました。
最初に破ったのが夢原さんだったりとか。
そんな中、SSチームたる美翔さんはかなり早い段階で、夢から覚めました。

SSのテーマは「全てのものに命は宿る」。このテーマでは夢を破る動機は薄いです。
まぁ「NSシリーズ3作で全キャラ喋らせる」方針だとのことでしたので、数合わせかな…と一瞬思ったのですが。
直後、彼女が夢の中で絵を描いていたことに思い至って震えました。

美翔さん:
 「自分の夢は、自分の力で描きたい」

美翔さんにとって、完璧な絵を描くことは夢ではない。

それはSS本編で否定された、マイナスの要素です。(以前に書いた記事)
つまり「湖のそばで、一人で絵を描き続ける」というあの夢は、美翔さんにとって既に卒業した悪夢なんです。
それは破って当然だ。
全く持って今の今まで想像だにしませんでしたが、美翔さんには悪夢攻撃が通用しないんだ。
彼女は人知れず、そこを既に突破してるんだから。

更に言えば「楽しい夢=プリキュア」とするならば、「一人で絵を描く美翔さん」は「一人でプリキュアに没頭する私たち」そのもの。
ということはSSは、架空世界にのめりこむ私たちが、命宿る周囲の自然に気付き、他者との関係を築く物語だと再解釈できます。
まさか番組終了後から7年が経過した今になって、SSの新しい発見があるとは。何なんだこの映画は。

これは「美翔さんにも台詞があった」とかそんな次元の話ではない。
実際のところ、台詞があったのは順番に従っただけのことだとは思います。
が、ここでの使われ方は秀逸すぎる。
「NS1」での見せ場も凄いものがありましたが、今回の「NS3」もまたとんでもない。
割と真剣に「オールスターズシリーズで最も優遇されているのはSSだ」と言いたい気分。

元から「NS」シリーズは3部作構想だったそうですが、それぞれできっちりと意味のある出番を用意してくれたのが心底嬉しいです。

【追記:日向さん】

同様のことは日向さんにも言えそう。

日向さん:
 「おかしい。失敗したパンが一つもない」
 「毎日お客さんもたくさん来てくれる」
 「嬉しいけど、何か変」

彼女の口癖は「絶好調なり」なのに、「絶好調すぎる」ことに異常を感じ取っておられる。
mktnの「アタシ完璧」が、完璧でないからこそ自分を奮い立たせるために言っていることは有名ですが、もしや「絶好調なり」もそういう意図があったのかも。
SS本編では特に描写はされていなかったけれども、状況が苦しいからこそ「絶好調なり」と叫んでいたのかもしれません。
ほら、たとえば「チクタク」でどう考えても絶好調じゃないのに、絶好調と言ってみたりとか。
横で聞いてた人にとっては軽くイラつきますけどね。何せ美翔さんがキレるレベル。

【追記:菱川さん】

相田さんと愛乃さんが合流し、ユメタくんと遭遇したシーン。
心なしか菱川さんの目線が、ユメタくんではなく、横にいる相田さんと愛乃さんに向いているように見えます。
何らかの嫉妬的なものだろうか。

また今回の戦闘ではなかなかに豪快な肉弾戦を披露。
あの子、地味に性格が好戦的ですよね。
言葉づかいも、青キュアにしては結構激しい。島で亀ドラゴンと戦った時の「どうよ」とか。

【追記:レモネ】

OPではいそいそと集合写真の撮影役をしてるのが、大変にレモネだと思いました。
小学生二人はそういうのしそうにないし、先輩へのポイント稼ぎに率先してやったんでしょう。
もう一人の中学1年生の九条さんも気配りしそうですけど、レモネの方が機動力で優ったんだ。

ピースさんとの共闘シーンでは、お互いに似た行動をしています、が。
バリアを潜り抜けたミサイル群に対し、わたわたしていたピースさんに対し、レモネは迎撃の態勢をとっていますね。
結果的に技を繰り出すことはありませんでしたが、細かいところで違いが出た感じ。

【追記:美翔さん】

夢から目覚めるシーン、本編と同じく寝癖が。
上北さんのコミックスのコメントによれば、「(本編の寝起きシーンで変な髪型になっていたので)普段の髪型で癖がついてるのかと思って確認したら、『ただの寝癖です』との回答があった」とのこと。
テレビ本編に引き続き、銀幕でまで恥をさらす羽目になるとは…。

【追記:ドキドキ】

プリキュアさんが夢の世界に捕えられた後、愛乃さんは迷わず「じゃあ本当に喜んでいるか見てみよう」とおっしゃった。
愛乃さんは他のプリキュアさんと直接の交流はありません。おそらく具体的にどうやって彼女らが夢を破るかなんて、思いつきもしなかったでしょう。
ですが憧れのプリキュアたちなら、ここで終わるわけがないと思ったに違いない。
これ、愛乃さんがプリキュア好きだからというのもあるでしょうけれど、前作「ドキドキ」の「君を信じる。ために戦う」の継承なのかなとも思いました。

一方、一度敗北した相田さんが、すぐに「助けを呼ぼう」と考えたのは良いな。
トランプ王国陥落時のソードさんの教訓が生きている。
リソースの追加は大事だ。

【追記:オールスターズ】

以前の「DX3」の時は、仲良しのパートナー以外とはパニックに陥っていたのに、今回はしっかり連携していたところに成長を感じました。
黒キュアさんの指示も相変わらず適当ですが、ちゃんと皆分かって動いてるんですよね。
あの時に見られなかったシリーズ間交流を、ようやくたっぷり見られた気分。

【追記:緑川さん】

彼女の夢だけ、見た目は現実世界とさして変わらず。

緑川さんが見ていたのは、「家族とずっと一緒に過ごす夢」だったのかなと思います。
スマイル本編で「家族はいつかいなくなる」(そして一番最初に去っていくのは、長女である自分だろうから、最初に家族を「壊す」のは自分である)は、緑川さんの個人回の総決算。
おそらく「いつまでも成長しない自分たち」で、「これは夢だ」と気づいたんだろうな。

【追記:ミューズさん・ミルクさん】

今回のテーマと最も相性が悪かったと思われる娘さん。
ミューズさんもある意味で親離れを扱っていましたが、方向性ががらりと違うので、下手に前面に出ると複雑なことになりそう。

同様にミルクさんも難しかった気が。
彼女の夢は「GoGo」ラストを見る限り、お世話役を極めるというよりも、パルミエやローズガーデンの橋渡しをするような方向に自立しつつあるように見えます。
よって夢の中で「ココナツにお仕えする」だと疑問がわくし、かといっていきなり違うことやっても理解が追い付かない。どちらのパターンでも厳しかったのかなと。

【追記:桃園さん】

長くなったので別記事で。

【追記:ハートキャッチ】

こちらも長くなったので別記事で。

【追記:星空さん】

また長くなったので別記事で。

【追記:ユメタくん】

これも別記事で。

【追記:MaxHeart】

別記事に分けました。

【追記:スイート】

別記事に。

【追記:エンディング】

後ろで街の人たちも思い思いに踊ってるのが凄い。ここまではっきりと描いたのは、何気に初の試みじゃないか。

また一番最後では「ありがとう」と大人の声が。
「ハートキャッチ」前期OPもそうでしたが、あれはスタッフ様であり、私たちでしょう。
本当に、心からの「ありがとう」を言いたい。

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映画「ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス!」

2013年10月26日 | プリキュア映画シリーズ
【今年のプリキュアさん】

例年通りTジョイ大泉さんで、最速上映を見てきました。
本日はちょうど「まどか」さんの公開日。いつも以上に人がごった返す様子に、普段以上にお祭り感を感じました。
私たちは、ひとりじゃない。

■映画「ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス!」

ある日のこと。
相田さんはお母様の結婚式のドレスと対面しました。
聞けば、お婆様も同じドレスを着用されたとか。
相田さんも夢を膨らませます。
親子三代続いたこのドレス、自分も結婚式で着てみたい…。

あくる日。
そのことを学校で話したりして茶化されたりしつつ。
いつものプリキュアメンバーで、思い出話に花を咲かせます。

が。

話題は自然とお婆様や、以前に飼っていた犬のことに。
お祖母さんは随分と前に他界され、飼っていた犬ともお別れしたそうです。
そこで相田さんはおっしゃった。

相田さん:
 「昔の話じゃなくて、未来の話をしよう」

微妙に話しづらそうな相田さんの心情を察したか、一同は取り留めもない未来のお話へ。
まぁそんなに変なことじゃない。
ちょっとばかり、相田さんの話題の転換の仕方が気にはかかるけれど。

だけどその夜。

街の片隅の閉館した映画館を起点にして。
不意にやってきた謎の集団が、街を制圧しつつ、相田邸へ。
一団を率いる謎の男・マシューさんのクラリネットの音色に合わせ、街中の古品が宙に舞う。

相田さんの件のウェディングドレスも逃亡を試みますが、彼女の「あたしが着るんだから」の声にひとまず静止。
そこまでは良かったものの、慌てて外に飛び出てみれば、マシューさんが迫ってきていた。
よく分かりませんが、彼の狙いは相田さんのご様子。だけど相田さんには全く思い当たるものがない。

マシューさん:
 「そうか。覚えていないのか」

それは憎しみか悲しみか。
相田さんの無反応ぶりに、マシューさんの戦意が高まる。
そこにちょうどやってきた菱川さんら。相田さん、早速応戦に入ります。唸れ!ラブリンク!

この様子にマシューさんはやや動揺。なんだあいつらは。
どうも「相田さん=プリキュア」という認識はなかったようです。
なんてこった。無垢な一般人を襲撃してきたのか。たまたま相田さんがプリキュアで本当に良かった。

応戦に出たプリキュアさんですが、当初こそ優勢に戦況を進めるものの、マシューさんの力の前に屈してしまいました。
助けに入ったセバスの奮闘も虚しく、プリキュアさんは敗退。
家族も街の人も謎光線に囚われ、プリキュアさんもまた「過去の思い出」とやらに捕獲されてしまいます。

捕らわれた相田さんが見たのは、数年前の世界。
そこには亡くなったはずのお婆様も、大好きだった犬もいる。
今では決して戻らない夏休みが、ずっとずっと続く世界。

現実世界ではレギュラー謎生物+ゲスト謎生物が奮闘するけれど、でも相田さんは過去の世界に埋没していく。
終わらない夏休み。楽しかったあの日々。
それが架空のまやかしであることは、相田さんも分かってる。
だけどこれはあまりに卑怯だ。
ずっと会いたかったあの人たちとの再会と、未来に訪れる別れが、相田さんの心を溶かしていく。

このまま放っておいても、相田さんは復帰不能に思われましたが、マシューさんは油断しない。

マシューさん:
 「あいつらはプリキュアだ」
 「万が一がある。とどめをさそう」

極めて賢明です。奴ら、理不尽極まるイカサマで復活してくるし。

そして実際、四葉さんや菱川さんは夢の中で意識を取り戻しました。
この世界は幸せだ。だけど相田さんがそこにはいない。
失っていた自我を取り戻し、お二人は現実に向かい歩きだす。

一方、まこぴー。
腐ってました。
完膚なきまでに爛れて腐ってました。

思い起こされるのは、誉れ高いプリキュアの拝命式。
王女様から任命され国民一同に祝福されたあの日。
敗戦の責任を負わされることもなく、「唄ってただけ?王女様が行方不明だったのに唄ってただけ?それ、何の役に立ったの?え、聞こえないんだけど?どう役に立ったの?はっきり答えてよ」とか囲まれて糾弾されることもなかった、あの日。
胸が震えます。もういっそこのまま夢の世界に永住したい…。

しかしながらその夢は、乱入してきたダビィに破られます。
ああいいわよ。戦えばいいんでしょ、戦えば!
若干、逆ギレの様子を漂わせながらも、まこぴー奮起。

だけど菱川さん&四葉さん、および、まこぴーと脈絡なく乱入してきたエースさん。
襲ってきた敵は撃破したものの、力尽き、倒れてしまいました。
結局のところ、相田さんが立ち上がらないことには始まらない。

その相田さん。
大切な人たちの死を突き付けられ、更に深く、思い出の中に埋没。
未来には悲しいことが待っている。努力や根性で回避できるものじゃない。
それは必ずやってくる悲しい事実。
だったら、いっそ、このままでも…。

シャルル:
 「そっちに行っちゃ駄目シャル!!」

謎生物の悲鳴が響く。
苦しい未来よりも、楽しかった過去。
失う事を恐れた相田さんの物語は、ここで終わりを迎えた。

そんな相田さんを呼びとめたのは、思い出の中のお祖母さんその人でした。

お祖母さん:
 「耳を澄まして御覧」
 「何が聞こえる?」

言われたとおりにしてみれば、耳に届くのは友の呼ぶ声。
思い出は美しい。だけど、ここには彼女たちはいない。
過去にとどまる限り、未来には進めない。

前を向きだした相田さんを、お祖母さんも優しく見送ってくれる。
いつかどこかでまた会える。
この「過去」は、相田さんがい続ける場所じゃない。

戻ってきた相田さんを見て、マシューさんは狂乱。
どうしてあの楽しい日々を捨てるのか。時間が止まってしまった者を置いて、先に進んで行ってしまうのか。
彼の正体は、あの思い出の日々の犬。
映画冒頭で、相田さんが「そんなことよりも」と話を遮った、あの犬でした。
置いていかれる者にとっては、どんな綺麗事も悲しく響く。

その犬の悲しい叫びは、相田さんの身を呈した行動により止められました。
流血というかつてないほどの大怪我を負いながらの語りかけに、マシューさん改めマシュマロさんも正気に。
過去には戻れない。確かに切り捨ててしまうものもある。だけど私たちは前に進むしかないんだ。

これを見て、マシュマロさんをそそのかしていた謎の黒幕ことクラリネットは未来への侵攻を開始。
ぶっちゃけクラリネットが黒幕だとか、それで何でいきなり未来を狙うのかは分かりませんが、まぁそういうものなんだろう。
直接「目の前にいるプリキュアを倒そう」とか考えなかったあたり、クラリネットさんも賢明というか、プリキュアさんの恐怖が浸透しているというか。

さて敵は未来に旅立った。それは分かったが、追撃手段がない。
そこで円さんはおっしゃった。なんだか良く分からないけれど、ミラクルライトを振れば奇跡が起こるらしい。
よしじゃあ振れ。力の限りに。

毎年毎年、ミラクルライトの演出には唸ってばかりですが今年もまた凄い。
「未来に送るため」ではあるけれど、今の相田さんらは未来において忘れられる側に回ります。
だって未来では、現在は過去なんだから。
実際、未来世界で出会った成長した相田さんらは、プリキュア能力を失っているように思えます。
謎生物たちは存在するようですが、クラリネットさんの襲撃を察知してる様子は全く見られません。

アイちゃんによって支給されたのも、未来を創る存在が赤ちゃんであることを思うと、ちゃんと筋は通ってます。
映画館でライトを振るのが基本的にお子様であることも効いてる。

大好きだったお祖母さん達と別れたように、中学時代の相田さんらは未来には存在できない。
そのまた未来の子供世代や孫世代になったら、相田さんが別れを告げられる側になる。
未来を守る行為は、いわばお祖母さんが行った「おまじないを伝える」ことと同等の行為。

覚悟を元に未来に乗り込んだ一行は、相田さんの結婚式をバックに最後の決戦へ。
その過程で、マシュマロさんは再び倒れ、天に召されてしまいます。
二度目の別れ。とてもとても悲しいことだけど、でもいつまでも過去とともにはいられない。
本当に、とても悲しいことなのだけれど。
そこまでしてどうして未来に進まなければいけないのかと、本当に心の底から嘆きたくはなるけれど。

でも前に進むしかない。

クラリネット:
 「私は蘇る。忘れられたものがいる限り」
相田さん:
 「でも」
 「あたしは」
 「負けない」

大切な人たちから注がれた愛は、私たちの中に残っている。
その愛を受け止めて、今度は次の世代に伝えていこう。
愛とウェディングドレスを残して旅立っていった、ゲスト謎生物やマシュマロくんのように。
私たちはひとりじゃない。
たとえ別れてしまっても。自分が別れを告げられる側になったとしても。


(左画像)
映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス テーマソング

(右画像)
映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス オリジナル・サウンドトラック


【今年のプリキュアさん】

一言でいえば「幸福の王子 VS ドキドキプリキュア」。

楽しい思い出を提供して、後にボロボロになった王子を、街の人たちは切り捨てた。
それと同じことを、相田さんも私たちもやっている。
その「幸福の王子」からの復讐を描いた物語。

言うまでもなく、本編では相田さんが「幸福の王子」に喩えられています。
映画ではちょうど逆の立ち位置なのが面白い。
襲ってきたのはマシュマロさんでしたが、同じように、相田さんもいずれは(あんなに努力して貢献したにも関わらず)忘れられる日がやってくる。報われない「幸福の王子」。

本編ではちょうど、愛を受け取った人たちからの承認のフィードバックが描かれてます。
それを受けて、以前に感想で「幸福の王子から受け取った金箔で、豊かになった街の人たちが、再び王子像を再建する未来があっても良かったのかも」と書きましたが、映画を見た感じだと、この考えは間違ってそう。
受けとった愛を返すべきは、過去の王子ではなく、未来の子供たちだ。
ボロボロの王子像を、ただの感慨で無理に維持することよりも、未来に投資して次の世代へとつなげていく方が、多分王子の意思にも沿っている。
それなら結末が焼却炉行きだったとしても、あの物語はバッドエンドじゃない。

【今年のプリキュアさん2】

今年のプリキュアさんは、「ディケイド」よろしく各シリーズのエッセンスがあるかと思ってました。
その流れであえて言えば、今回の映画は「ディケイド VS ドキドキさん」でにあった。

・お祖母さん&犬:MH
・永遠に止まった未来:SS
・悪夢への埋没と、会いに行く人々:GoGo
・忘れられた思い出が敵:フレッシュ
・大切な過去が後悔の檻に:スイート
・メルヘンを継承する:スマイル

ハートキャッチさんがよく分からないですが、「目的や正体が不明のクラリネット」でしょうか。
詳しい事情は全く分からない。でも、せめてそうすれば救われるんじゃないか。
クラリネットさんの問題は、何も解決してないのだけど、でも確かに何かは変わったんだと思いたい。

【今年のプリキュアさん3】

二段変身は「エンゲージモード」。
何とのエンゲージなのか。
そのまんまで考えると、未来とのエンゲージかなと思った。

結婚は一人の相手を選ぶ行為。逆にいえば、それ以外の可能性を切り捨てる行為です。
未来を選んだ相田さんは、過去と別れることを選んだ。とても悲しくて寂しいけれど。
過去の象徴たるクラリネットさんに対し、未来とエンゲージした相田さんが対峙するシーンは、なかなか胸にくるものがありました。

【今年のプリキュアさん4】

意地でも岡田さんを出さないのは、敵が「忘れられた者たち」なのも相まって、もはや様式美の域。

ジコチューの皆さまはOPに友情出演。
ゴリラも出るよ!

【来年のプリキュアさん】

もはや恒例となった次回作。
来年春に「NS」の最終章が放映されるようです。
サブタイトルは「永遠のともだち」。ついに来たか。

再来年は更なる新シリーズがあるのか、それともこれが正真正銘の最終章かは分かりませんが、心してみたいです。

【今年の大泉学園】

今回、上映の前に「カウントダウンを行う」とのアナウンスが。
何かと思ったら、「盗撮防止のため」だそうで。
流出した場合に出所を特定するため?不要な音声を紛れ込ませることで価値を低下させる(そして結果的に流出を防ぐ)ため?
よく分かりませんが、その発想は全くなかったので、ちょっとした発見でした。
そうか、カウントダウンには、そういう意味もあるのか。

あと例年通り、Tジョイ大泉さんでは特設展が開催されてます。
同日、「まどか」さんも深夜上映を行っていましたが、そこはさすがに東映アニメ様のお膝元。
館内BGM等もプリキュアさんで、かなり力を入れてくれてました。次回にも期待しています。

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感想:映画プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち

2013年03月16日 | プリキュア映画シリーズ
今年もTジョイ大泉さんの最速上映に行ってきました。



その正面にある東映アニメ様。
例年通り、上映終了後も電気がついてた。
制作者様の奮闘に感謝。

■映画プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち

どこかの国のどこかの場所にある妖精たちの学校にて。
今日も戦略兵器・プリキュアに関する講義が熱心に行われていました。
当事者たちの知らぬところで、義務教育が進んでく。

そして本日は、歴戦の英雄にして救国の勇者、タルトさんがゲスト講師としてやってきてくれました。
これには生徒一同大歓喜。
そうか、タルトさんたちはこうやって生活費を稼いでいたのか。

タルトさん:
 「このプリキュアはんの名前が分かるかな?」

教室の大画面に映し出されたのは、ピンクの神っぽい娘さん。

生徒一同:
 「「「キュアドリーム!!」」」

大変によく教育されています。
妖精たちの憧れ、搭乗してみたいプリキュアさんNo.1。
夢原さんの御威光はこんなところにまで届いてる。

タルトさん:
 「ではこのプリキュアはんは?」

っ!!

私:
 「キュアイーグレット!!」

おぉ…。美翔さんが単独でこんなに大画面に!
これはあれですか。美翔さんは夢原さんと同格だと公式に認めてもらえたと思っていいんでしょうか。
まさかタルトさん、「ドリームじゃ簡単すぎたから、知名度低い難しい問題だそう」とか、そんなんじゃないですよね。
やったぜ美翔さん!超格好いいです。
もう思わずミラクルライトをぶんぶん振り回しちゃいますよ。がんばれー!がんばれ美翔さん!!

生徒一同:
 「………。。。」

しかし生徒の皆さまの反応はいまいち暗く。
せっかくの講義が無意味に中断してしまいました。
そんな感じで講義を妨害してしまった妖精・グレル、周囲から睨まれ、教室を飛び出していきました。

誰も自分を分かってくれない。
プリキュアプリキュアとちやほやしてるけど、玩具がなければただの猫背な女の子じゃないか。
グレルくん、途中で見かけたエンエンと合流すると愚痴をひとしきり。
そこに声が響いてきた。
そうだ、プリキュアなんて変身できなければただの女の子じゃないか。

謎の声に呼ばれるまま行ったところには、封印された水晶が。
そこから出てきた『影』にそそのかされ、グレルくんは野望を抱きます。
プリキュアオールスターズを壊滅させてみよう。そうしよう。

こうして始まった対オールスターズ。
はっきり言って正気の沙汰とは思えません。
何が楽しくてそんな命の綱渡りをするのか。かの学校では生命の尊さとか教えていないのか。

だけどグレルくんおよび『影』は極めて狡猾でした。
「プリキュアパーティ」なるイベントをでっちあげ、のこのこやってきた娘さん達を騙し打ちに。
完全に気を抜いているところを、不意打ちで急襲し、わき目もふらずに真っ先に玩具を狙い撃つ。
この戦法はハマる。
なんとMH、SS、GoGo、フレッシュ、ハートキャッチにスイートの錚々たる面々を撃破してしまった。

あまりといえばあまりの展開に、恐れおののくエンエンくん。
でもグレルくんたちを止める勇気は湧いてこない。
そこに少し遅れてスマイルチームがやってきた。

グレルくんたちにけしかけられ、エンエンくんがパクト奪取に向かいますが失敗。
痺れを切らした「影」が動きますが、これも失敗。
そして星空さんたちは臨戦態勢へ。なんだかよく分からないけれど、敵がいることは分かった!

星空さん:
 「プリキュア・スマイルチャージ!!」
グレル:
 「どうするんだ、変身しちゃったじゃないか!?」

パニックに陥るグレルくんが妙にリアル。
やばいですね。プリキュアさんが変身してしまいました。
何も知らない人が見たら、ただのコスプレしてる愉快な娘さんですが、彼らは非常によく彼女たちの恐怖を知っています。
真正面から戦ったら殴られる。それはそれはこっぴどく殴られる。
さあ、どうしよう。

普通に考えて逃げるしかない場面、だけど『影』は果敢に戦闘を挑み始めました。
愚かです。知らないんでしょうか、そこにいる娘さん達は化けものだという事を。
スマイルチームの属性攻撃の嵐に身を焼かれるがいい。

影:
 「キュアサニーは炎のボール。火には水」
 「キュアマーチは直球勝負」

ところが影は強かった。
単純戦力はそれほどでもありませんが、プリキュアさんに関する知識が半端ない。
しかもよりにもよって戦ってるのはスマイルさん。属性攻撃は対策が容易すぎる。

結果、大方の予想を裏切り、『影』はハッピーさんらを圧倒。義務教育って凄いな。プリキュアさんだって倒せちゃう。
なおハッピーさんの追加攻撃「ハッピーエンド」は、発動しさえすればこの手の敵は即滅させられます。
が、残念ながら起動する前にパクトを奪われてしまいました。敵さんの狙いは徹底的に玩具狙い。

玩具がなければただの人。
変身解除された星空さんたちは、他のプリキュア娘と同様に、全身を水晶化され封印状態。
徐々に動けなくなっていく中、ふと星空さんの目に泣くじゃくる謎生物の姿が。

エンエン:
 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

どうしてあの子は泣いているのか。
詳しい状況は分からないものの、星空さんは察しました。
そこで微笑むと、エンエンに語りかけてみた。

星空さん:
 「ドキドキプリキュアに伝えて欲しいな」
 「ちょっとピンチ。助っ人をお願いって」

メルヘンに救われ、メルヘンに憧れて育ち、メルヘンと現実は違うと知った星空さん。
悲鳴をあげるメルヘンを救うため、ならばメルヘンを体現するのは自分自身だと悟った星空さん。
そんな彼女が、今度はメルヘンの側として、次の世代に助けを求める。
「スマイル」さんからのこの流れは呻くほど綺麗。

こうして既知のプリキュア全てを倒した『影』は、更に暴れて周囲を破壊しまくり。
ここにきてようやく、グレルくんも事の深刻さに気が付いた。
あれ?ちょっとヒーローになりたくてプリキュアさんにちょっかい出したはずなのに、どうしてこんな世界存亡の危機に直面してるんだ?

途方に暮れるグレル・エンエン両名は、『影』に追われて逃げる中、呑気にやってきた相田さんたちと遭遇。
まだ教科書にも載ってない最新鋭プリキュアさんの登場に、『影』はひとまず退散していきました。
とはいえ、事態が何か変わったわけでもない。
あまりの悲惨な状況に、エンエンは泣きじゃくり、グレルは怒りまくる。
もはやどうしようもない。

相田さん:
 「それで、君はどうしたいのかな?」

そもそも、どうしてプリキュアを倒そうなんて考えたのか。
別にプリキュアさんが憎かったわけじゃない。
ただ羨ましかったんだ。自分だってヒーローになれるのに、プリキュアさんばかりが褒めそやされてて。
でも周囲の要望を無視して自分をアピールしても、そんな自己中では伝わらない。
根本的なところがプリキュアさんと違ってた。

相田さんからの問いかけに、グレルもエンエンも問題に立ち向かう決意をしました。
ここで相田さんが「どうしたいのか」と、本人たちに回答を考えさせたのは良いこと。
どうすべきかではなく、どうありたいのか。
他人の幸せを勝手に決めつけて、勝手に黄金を配って回った「幸福の王子」と違い、相田さんはちゃんと相手のご都合を考えられた。
「NS2」の彼女は、テレビ本編よりもちょっとだけ大人。

一方その頃、謎のプリキュアの存在を知った『影』は、奪い集めた変身アイテム一式を、滝壺に投棄。
力を合わせられたら厄介です。つくづく対プリキュアを学習しておられる。
これでは歴代の先輩方を復活させることができ…

シャルル:
 「もしもし、メップルどこにいるシャル?」
メポ:
 「妖精の滝メポ!」

完璧なはずの分断工作は、最新鋭の通信機器の前に敗れた。
現代は女子中学生様にもスマホが支給される時代。

居場所が分かれば、後はそこに行くだけ。
相田さんらとグレルくんらは駆けだしますが、そこに『影』が襲ってくる。
やむなく妖精どもを先に行かせて、ドキドキさん達は応戦開始。

妖精の滝を目指すグレルとエンエンは、ピンチに遭遇しながらも助け合う。
思えば辛い時、一人じゃなかった。
どうして今こうして頑張れるのか。それは大切な君のため。

救援に来てくれたポップ兄らのおかげもあり、奪われてた変身アイテム一式は回収できました。
が、謎の檻が砕けない。
そこでふと見れば、グレルの腰にひと振りの剣が。

エンエン:
 「その剣を使おうよ」
グレル:
 「これは玩具の剣だぞ」

でも何故か、この剣なら割れそうな気がする。
思いが込められた時、玩具は伝説の武器となる。
プリキュアさん達の数多のアイテムもそうだった。

こうして無事に取り出せた玩具を持って、救出された謎生物たちはプリキュアさんの元へ。
その光景を見たタルトさんらも応援を開始。
気合いをこめると、何もない空間からミラクルライトが出現。

この一連の描写を見る限り、おそらくプリキュアさんらは、本物の変身玩具がなくても、精霊たちがいたら変身できてたんじゃないかな。
序盤の教室の場面で「これは本物の玩具じゃないから変身できない」と説明されてましたが、多分あれでも変身できた。
肝心なのは玩具そのものの真贋ではなく、プリキュア娘と妖精たちの気合いや気持ちの方。

ミポメポらはともかく、ハミィたちのことも「変身アイテム」と呼んでるんですよね。
ハミィがいなくても、くどまゆとモジューレがあれば変身できるはずですが、上記の文脈でいえば無理。

結局のところ、プリキュア娘だとか玩具だとか、そんなものは形の一つに過ぎない。
プリキュアさんではなくったって、頑張ってる人は頑張ってるし、凄い人は凄い。
自分がプリキュアになること自体が目的なのではなく、大切な人たちを守ることが目的なんだから、形式的にプリキュアではないことを、嘆く必要はない。
そして逆説的ですが、プリキュアになることに拘るのではなく、仲間を守ろうとするために戦うのなら、それがつまりはプリキュア的生き方。
私たちは一人じゃない。お互いに助け合い、つながってプリキュアになっている。たった一人ではプリキュアは成立しない。

何人もの人たちの努力と、いくつもの困難を経て、パートーナーを得た娘さんらは、次々とプリキュア兵装を整えて行く。
もうこうなっては勝ち目はありません。各地で『影』たちの断末魔があがる。
妖精を狙うとプリキュアさんが横合いから殴ってくるし、プリキュアさんを狙うと後方からライト支援が飛んでくる。
プリキュアさんは一人で戦ってるわけじゃない。そのことが物理的によく分かる。
どうすればいいんだ、これ。どうしようもないですね、これ。

やがて『影』は吹き飛ばされ、残ったのは元の小さなサイズのみ。
じろりと睨むプリキュアの群れ相手に、もはや万事休す。
特にミルミルさんが怖いです。あの方、ご自分の境遇もあってこういうのに容赦なさそう。

しかしグレルくんはそこに割って入ると、自分の中の影を受け入れました。
プリキュアを倒したかったんじゃない。みんなに受け入れて欲しかったんだ。
そして受け入れてくれた友を、守りたい。

こうしてわずか一匹の謎生物による未曾有の惨劇は終結しました。
瓦礫の後片付けが残ってるけど、それは皆で頑張ろう。
そして瓦礫の中から数々のプリキュア教科書を見つけ、プライバシーについて真剣に悩むプリキュアさんらを見てみたい。


(左画像)
映画プリキュアオールスターズ New Stage2 こころのともだち オリジナル・サウンドトラック

(右画像)
「映画プリキュアオールスターズ New Stage2 こころのともだち 」主題歌シングル

映画プリキュアオールスターズDX Blu-ray DXBOX (完全初回生産限定)


ゴリラ勢力の浸食が止まらない。東映アニメ様は、何かゴリラに弱みでも握られてるんだろうか。

【今春の鳥】



今回の美翔さんのクローズアップぶりは何なんでしょうか。

冒頭の教室でのシーンで、GoGoとSSから選ばれたのは、両シリーズが他に目立つ場面がなかったからと思われます。
そしてGoGoから夢原さんなのは分かる。やっぱりそこは神キュアですよね。
しかしながら、何故にSSが美翔さん。
いくらダブルヒロイン制とはいえ、普段ならば日向さんの方が前面に使われるのに。
もうあのシーンだけで元をとったも同然ですよ。良いものを見させてもらった。

おまけにラストシーンでは、ふよふよ浮かんで柱持ってるわ、微妙に端っこでお茶飲んでるわ。
何やってるんでしょうか、この子。

それとOPでは実に久々に絵を描いておられました。
絵画能力はデメリット能力としても扱われ、ここ最近はあまり強調されてなかったのに。
やっぱり「人の心が読める」とか「料理が得意」キャラで売るのは無理だったんですね。。

【今春の敵】

ありそうでなかった不意打ち&玩具狙い戦略。
ただ、テレビ本編の敵さんがやってこないのは、一応理由が推測できます。
(あくまで「傾向」なので、例外ケースはありますが)

初代・MH:
 闇の戦士の生き様的に、そんなことしない。
SS:
 日向さんの超頭脳戦により「太陽の泉はプリキュアと精霊(しか)知らない」と誤認していたため、不意打ちで仕留められなかった。
5:
 ピンキーを集めてもらった方が手間が省けるので、必ずしも途中で倒す必要性が低かった。
GoGo:
 「あなたに会いに行く」の夢原さんに対し、交渉拒絶の館長。故に携帯電話型玩具に価値を見出したりしない。
フレッシュ:
 実行したけど失敗しました。
ハートキャッチ:
 敵方の詳しい事情は存じません。
スイート:
 実行したけど失敗しました。
スマイル:
 …何でだろう?元が童話キャラなので様式美から逃れられなかった?

【今春のオールスターズ】

前回、賛否両論巻き起こした声の出演。
どうするかと思いきや、ギャグに昇華してきました。
これは予想しなかった。さすがスタッフ様たちは分かっておられる。

MHのふたりの出番が多かったのは、今回のテーマを考えると納得。
なんだかんだいっても、「妖精と協力してプリキュア」は黒白先輩のイメージが強いです。
ああほら美翔さん、落ち込まない。誰も「まぁ美翔さんらは二番煎じだしね」とかそんなこと言ってませんから。

パッション&ビートさんの裏切りコンビに出番があったのも、状況からして必然の流れ。
グレルが悪さをしたのは事実なので、このフォローは良かったと思います。
裏切りつながりでいえば、もしも美翔さんがウィンディ服を貸してあげてたら、霧生さんにもチャンスがあったかもしれない。どうせフォームチェンジしないのに、独り占めしたりするから…。

出番に関して、一番のラッキーガールは花咲さん。
来海さんはムードメーカー役としてライトが当たったんでしょうけど、花咲さんは必然性がよく分かりません。
天然悪女のあの方のことなので、上手いこと色仕掛けでもなされたのかしら。

陽光さん・月光さんが「太陽と月の力を持つプリキュア」と呼ばれ、汚染された太陽の回復を担当したのは、ちょっと意外でした。
確かに太陽の絵面がサンフラワーでしたので、連想はしましたけど、今まであんまり名前つながりでこういう演出はしてこなかったのに。
ということは、不死鳥的生き物がピンチだったりしたら、美翔さんにお鉢が回ってくるんでしょうか。
「安心してください。鳥の力を持つプリキュアがいます。さ、この子をお食べ」な感じで。
ひなたとかルミナスのことは忘れた。

【今春のオールスターズ2】

「NS1」や「スマイル」さんは、プリキュア(メルヘン)に憧れ、自分もまたプリキュア(メルヘン)になるお話。
「NS2」はそこから一歩進んで、何のためにプリキュアになりたかったのかを問う。
既に「ドキドキ」さん本編でも、プリキュア=暴力なのか?や、自己中と紙一重の相田さんのポジティブ行動が出てきてます。

今回のお話は、「NS1」のフュージョン視点とも言えますね。
ただ「NS1」の心をえぐられるインパクトと比べると、「NS2」は随分と柔らかく感じました。演じてるのが謎生物だからだろうか。
「初めての映画」キャンペーンもそうですが、今回は優しい演出を心がけたのかも。

総じて満足の映画でした。
昨年からの路線が継続されてたのは嬉しかった。
せっかく変えたんだもの、その道を進んで欲しい。

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感想:映画「スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」

2012年10月27日 | プリキュア映画シリーズ
【今秋のプリキュアさん】

今回も大泉学園にて、最速上映を見てきました。
映画を観終わっての感想は、ただ一言「やられた」でした。
プリキュアさん凄い。改めて思い知った。



暗くて何の画像か分かり難いですが、大泉にある東映アニメ様の社屋です。
相も変わらず誇らしげに灯りがついてる。あの方たちはいつ寝ておられるのだろう…。
このエネルギーが、あの作品を生み出してるんだろうな。

■映画「スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」

【0】

今からおよそ9年前。奇しくも黒白先輩がブラウン管で殴り合っていたその頃。
星空さんは寂しい幼女時代を送っておられました。
どうも人見知りなさるようで、いまいち社交デビューできないようです。

そんな折に巡り合った1冊の絵本。
「笑顔」がテーマのそのお話を読んで、星空さんも笑顔を浮かべてみました。
するとどうでしょう。お友達ができたではないですか。

星空さん:
 「すごい!すごい!」

大喜びの星空さん、齢5歳にして人生の転機となった絵本を、それはそれは大好きになりました。
だけどこの本、最後の数ページが千切れてなくなってます。ヒロインが魔王に誘拐されたところで途切れてる。
これではお話がちゃんと終わらない。

そこで星空さんは思いました。

星空さん:
 「あたしが続きを描いてあげる!」

【1】

時は流れて現在。
笑顔の大切さを学んだ星空さんは、人見知りどころか笑顔で殴打戦が出来るほどに成長なさりました。
あの可愛かった幼女は、もういない。

その星空さん、今日は世界の絵本イベントにお出かけです。
なんでも世界中の絵本が見られるそうです。アトラクションもいっぱい。
地味なジャンルなのに、壮大に金がかかってるイベントだ。

そこでふらりと入った上映アトラクション。
呑気に映画を眺めていたら、スクリーンから女の子が飛び出してきた。
その子を追いかけて、悪役っぽいのもやってきた。

事情は分からないものの、悪役っぽいのが金角・銀角と見抜いたスマイルさん達。
悪いオオカミさん達と同類と判断し、颯爽と宣戦布告。
とりあえず殴る。誤爆だったら後で謝ろう。

見かけと違い、なんでも吸いこむ瓢箪を駆使して戦う金角さんたち。なかなかテクニカル。
対するスマイルさんは属性攻撃の嵐。
それはもう執拗なまでにエレメントアタックですよ。
かつては技一発撃っただけで息が上がっていたスマイルさんですが、対フュージョン戦での醜態を反省したんでしょうね…。
至った結論は、必殺技を捨て、通常攻撃の全てに属性効果を練りこむことだった。

【2】

助け出した娘さんの名はニコさん。
曰く絵本の国の住人だそうです。
そうと聞いては星空さんは黙っていられない。早速、その魅惑の国に押し掛けることに。

絵本の国。そこは世界中の全ての絵本が集まった、まさに夢の国でした。
メルヘンランドの存在意義に亀裂が走る。
どういうことだこれ。ちょっと説明してくれキャンディ。

キャンディ:
 「こんな国があったなんて知らなかったクル」

もはやこの仔豚に期待するのは止めよう。

絵本の国では、そこの登場人物になり切ることもできるとのこと。
もちろん星空さんはアクティブに挙手。はい!あたし、それやりたい!
よろしい。では何の絵本の、何の役をやりますか?

星空さん:
 「あたしシンデレラがいい!」

そうですか。
「ピーターパンとウェンディ」でも「赤毛のアン」でもなく、「シンデレラ」を選択。
まぁ妥当な判断でしょう。楽しいですものね、「シンデレ…

ニコさん:
 「…そう。『シンデレラ』が好きなのね」

ひぃっ!
めぐ姉が悪いめぐ姉の声出してる!
ほ、星空さん、ちょっと考えなお…

星空さん:
 「うん!シンデレラ大好き!!」

あ、嗚呼。
何かよく分からないが、よくない回答をしてしまった気がする。
だけどそんなことには全く気付かず、星空さんは望み通りに「シンデレラ」の世界へ。
他の4人もそれぞれチョイスした物語へと飛んで行きました。
一人残されたのはニコさんは、ぼそりと呟く。

ニコさん:
 「………うそつき」

【3】

念願かなって「シンデレラ」に参加した星空さんですが…。
コキ使われてるところにやってきたのは、魔女ではなく桃太郎でした。
はて?

同じく別の絵本で遊んでいた青木さんたちも、本来とは違った物語が展開していきます。
竜宮城には孫悟空。鬼が島に一寸法師。青木さんより浦島太郎を選ぶ犬・猿・雉。
何でしょうかこれは。しかも何故か唐突に襲ってきた。

豹変した桃太郎やシンデレラから身を守るため、有耶無耶の内に交戦開始。
そこに牛魔王や鬼らが助けに割って入ってきた。
偶然にも悪役ばかりのその助っ人さんは、暴れる浦島太郎らに呼び掛ける。
自分たちの物語に戻って、話を進めてくれ。
そうしないと、いつまでたっても物語が終わらないじゃないか。

ニコさん:
 「それでいいんだよ」

やってきたニコさんは言う。
ハッピーエンドもバッドエンドもいらない。
ずっと終わらない物語をやっていればいい。
エンディングが破られてた、ニコさんの物語のように。

ここに来て、ようやく星空さんも思い出しました。
あ。あの子、子供の頃に読んでた絵本の子だ。
懐かしいな~。元気してた~?

ニコさん:
 「………。」

元気なわけがありません。
何故なら星空さんが約束を破り、続きを書いてあげなかったから。
おかげでエンディングを迎えることができなかったニコさんは、延々と魔王に苦しめられることに。
許すまじ、星空みゆき。
今回の犯行は、その一念によって為されたものでした。

【4】

状況を飲み込んだ星空さんは顔面蒼白。
しまった。確かに忘れてた。いや、続きを書こうと、頑張るには頑張ったんだよ?
でもですね。5歳児の画力は、イメージを具現化するにはちょっと足りませんでした。

しかしてそれがこんな事態を招くとは。
今度の敵の狙いは、不思議世界でも不思議アイテムでもプリキュアでもなく、単なる一個人としての「星空みゆき」。
たまたま偶然、プリキュア能力持ってて良かった。本当に良かった。

さしあたり命の危機は脱したものの、とにもかくにも謝らないと。
落ち込んでいてもスマイルが逃げるばかりなのです。
そこで一行は、ニコさんの待つ魔王の城へ。

ニコさんは無論、逃げも隠れもせず、正面から迎撃に出ます。
当然だ。彼女の主たる狙いは世界征服でもなんでもなく、星空さんを撃破すること。
ここまで私的な理由で戦ったプリキュアが、かつていただろうか。

【5】

ニコさんの魔王パワーで操られた孫悟空らは、青木さんらが応戦。
例によって属性攻撃が唸りを上げる。接触したその瞬間に、炎や雷撃や風圧や氷が叩きこまれます。
プリキュアVSプリキュアやったら、案外スマイルさんが相性的に上位に行くんじゃなかろうか。

戦線はニコさん側が優勢になるものの、プリキュアさん達は倒しても倒しても立ち上がってくる。
星空さんもズタボロになりながらもニコさんの所に辿りつきました。
そして謝ろう。ごめんなさい!ぶっちゃけ忘れてました!本当にごめんなさい!

星空さん:
 「ありがとう」
 「あのとき笑顔を教えてくれて」

確かに忘れてしまってた。
ですが、あの時笑顔の大事さを学んだおかげで、今の星空さんはある。
星空さんが笑顔満載娘に育ったこと自体が、彼女がニコさんを真に忘れてたのではないことを物語ってます。

こうも直球に謝られると、ニコさんとしても怒りのやり場がない。
まぁ冷静になってみれば、5歳児に無茶な要求をしすぎてたのかもしれない。
ちょっとニコさんに迷いが出始めた。

だけどそこに真打ちの魔王様が降臨。
彼曰く、ニコさんの憎悪エネルギーにより力を増幅し、終りのない絶望の世界を作るそうです。
どんだけ憎まれてたんでしょうか星空さん。記憶にないだけで、実はページ破ったの星空さんだったりしないでしょうね。

【6】

表に出てきた魔王により、ニコさんは閉じ込められてしまいました。
その彼女を助けようと、先ほどの牛魔王さんたちも奮闘。
彼らの行動は奇妙と言えば奇妙。だって彼らは悪役です。正しく物語が進行したら、倒されてしまう役回り。
でも物語が終わらないよりは、ずっといい。
終わらせるために、彼らはニコさんを救出に向かう。

そんな彼らを見て、ニコさんも動き出した。
終わらせよう、この物語を。
いつまでも終わらないメルヘンなんて、ないんです。

ニコさん:
 「待ってるだけじゃダメなんだ」
 「わたし、ここから出なきゃ!」

ニコさんらの行動を受けて、プリキュアさん達も総攻撃態勢。
プリンセスフォームが起動し、ペガサスとフェニックスが爆裂アタック。
しかし魔王様の砲撃の前に、割とあっさりと打ち負けてしまいました。

辛うじてプリンセス形態は維持したものの、星空さんらは戦闘不能に。
これでは物語が終わりません。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、宙ぶらりんが続いてしまう。
だからニコさんは呼び掛けた。
ミラクルライトを振ってくれと。
この「スマイルプリキュア」の物語を終わらせるために。

【7】

ここで選択肢が発生する。
ずっと星空さんの活躍が見たければ、ライトを振らなければいい。
戦闘には負けるでしょうけど、それはそれでお話は続きます。
敗退した星空さんのその後を描いた「スマイルプリキュア セカンドシーズン」が見られるかも。
リベンジフォームを身にまとい、かつて失ったスマイルを取り戻すために戦う星空さんとか。見たい。

でも物語は終わらせないといけない。
いつまでもいつまでも苦しい戦いを続けさせるのは気の毒なのです。
だからライトを振る。星空さんとお別れすることになると分かっていても。

星空さん:
 「笑顔で包む愛の光・ウルトラキュアハッピー!」

ただでさえゴージャスなプリンセスフォームから、更に多段変身したせいで、全身の羽毛がとんでもないことに。
性能もケタ違いです。接触面から属性攻撃を叩きこむわけですが、星空さんのそれは「ハッピー」。
触れたそばからハッピーエンドに追い込まれていく。終わりをもたらす究極天使が、そこにいた。

立っているだけで大地に花咲かせ、ハッピーエンド空間を作り出す超ハッピー様は、魔王様の攻撃も歯牙にもかけずに強制終了。
無事に元の魔王様の姿に戻すことができました。
思えば彼も被害者です。
物語が終わらないせいで悪役としての仕事をし続けた結果、こんな暴走を招いた。
5歳児の星空さん、つくづくとんでもないことをしてくれたもんだ。

【8】

立ち往生してしまったニコさんの物語は、こうして終わりを迎えました。
破られたページは復活。だけどそこには何も描かれていません。
未来にあるのは白紙のページ。

メルヘンにはいつかは終わりがきます。ページは無限じゃない。
だけどそこにエンディングを書き込むのは、他ならぬ自分自身。
それは辛くて勇気がいるのかもしれないけれど、笑顔があれば突破できる。
そして終わらせることで、次の物語に続いて行くんだ。


(左画像)
映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! オリジナル・サウンドトラック

(右画像)
映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! テーマ曲収録シングル


牛魔王さん達を見る限り、ウルフルンさん達も倒されることを望んでるのかも。
悪役が仕事を放棄したら、お話が進みません。
悪には悪の矜持がある。

【エンディング】

スイートさんと同じくイメージソング+ダンスEDの構成。
イメージソングは破壊的です。
歌詞の詳細は覚えてませんが、こんな感じ。

 『心に描いてみて 自分だけの物語』
 『不安に負けないで みんなここにいるから』

「スマイル」さんのテーマを見事に表現してたように思う。

【感想】

これまでに、ごちゃごちゃとやっていた考察は、概ね間違ってなかった、と思う。
メルヘンはいつか終わる。しかし楽しかった時間は無駄じゃない。
でもこれじゃ解答としては道半分だった。

「メルヘンはいつか終わる」じゃない。
「メルヘンはいつかは自分で終わらせる」だった。

言われてみれば。
ウェンディはネバーランドを追い出されたのではないし、アンはケイティと引き離されたのではない(厳密に言えば戸棚を撤去されてますが、本質はそこじゃない)。
彼女らは、自分で選んでメルヘンを終わらせてる。その気になれば、ずっとメルヘン世界にも居られたのに。

毎年、ミラクルライト演出は本編にがっちりハマってます。
「スイート」さんでは共通体験を表現していたし、「ハートキャッチ」さんでは「事情を知らない通りすがりにもできることがある」(何せ観客は、何故花咲さんらがパリにいるのかすら知らない)を体現してた。
じゃあ今回の「スマイル」さんは…と思っていたのですが。

ミラクルライトを振ると、お話が終わっちゃうんですよね。
メルヘンを終わらせるのは、自分たち自身なわけだ。
「メルヘンはいつかは終わる」ではなく、「私ら自身が終わらせている」。

極論を言えばバッドエンドでもいいんでしょう。ちゃんとお話が終われば。
(実際、「ハッピーエンドもバッドエンドもない」との説明に、星空さんは衝撃を受けていた)
話が終わりさえすれば、次の白紙のお話を始めることができます。

緑川さん問題の「家族はいつかバラバラになる」も。
「バラバラになる」ではなく、「自らバラバラにする」が回答なんでしょう。
最初に独立して巣立っていくのは、自分だ。
それがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは白紙ですが、何はともあれ次のお話に進められる。
いつまでも子供時代の家族のままで過ごす方が、よほど苦しい。

「エンド」を恐れるのは、確かに「プリキュア」的じゃなかった。
永久に続く物語よりも、終わりと始まりを繰り返すことを選んだのが「プリキュア」さん。
「メルヘンはいつかは終わる」と落ち込むのは筋違いだった。「終わらせる」んだ、むしろ。

【公演終了後】

自然と拍手が沸き起こってた。

と、思ったら、次回作の予告。
正直言って、完全に忘れてた。

予告されたのは「NewStage2」。
前作「NS」は「オールスターズ」ものとして完璧すぎたので、次回が作れるか不安に思っていたのですが、そのまんま「NS2」のようです。
内容が気になる。これで来年の春まで頑張る理由ができた。

【大泉学園】

会場はTジョイ大泉さん。恒例の展示も行われてました。



開演前は台本の中身は公開されてなかったのですが、終演後、即行で再セッティングされてました。
遅い時間だと言うのに、スタッフ様の対応が機敏。ありがとうございます。

東映アニメ様のミュージアムにも展示があるようでしたけど、さすがに今日は閉館。
冒頭に書いたとおり、働いている方々は普通にいるようでしたが。ありがとうございます。


…といったところで、引き続き舞台挨拶回に行ってみる。

(追記)→行ってきた。舞台挨拶&ちょっとだけ感想2周目

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感想:映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(4周目)

2012年07月21日 | プリキュア映画シリーズ
みんな大好きエコーさんが帰ってきた!



というわけで、もう一度感想を。

■感想:映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(4周目)

自分の中で一番興奮したのは「DX1」で、一番燃えたのが「DX2」。
「DX3」は震災直後という時期と、扱っていたテーマが「卒業」ということもあって、盛り上がると言うよりはしんみり見た。
そして今回の「NS」。
これぞ今の「プリキュア」に求めていたものだと思う。
この映画が見れただけでも、今までファンをやってきて良かった。

「私たちはプリキュアになれるのか?」

これは直面したが最後、誤魔化すことができなくなる大問題。
かつての「セーラームーン」先輩も「どれみ」先輩も、この問題には答えてくれません。

女の子の変身ものは男の子のそれと比べ、「変身する」行為に「ままならぬ日常をぶち壊す何か」の意味が強い。
故に「成長」だの「変装」といった要素が表に出されがちだし、事が終わったら能力は手放されがちです。

「私たちはウルトラマンになれるのか?」や「仮面ライダーになれるのか?」といった問いは成立しようがありません。(彼らは異形の特殊な存在というのが前提にある。例外や発展形もいっぱいるあるけれど)
でも「セーラームーンになれるのか?」は、「平凡な女の子が変身して…」のフォーマットをとっている以上(実際には月野先輩は平凡でもなんでもない特殊な存在であっても)、無視できません。

が、無視せずに直面すると、どうしても厳しい現実が立ちはだかる。
「プリキュア」さんの「絶対に諦めない!」の言葉に感動してるのに、実際に自分が辛い状況に陥ったら、あっさりと諦めたりする。
ミラクルライトを振って応援するのはとても楽しいけれど、やがて気がつく。
私たちはこちら側だ。あっちのプリキュアさんの側にはいけない。
ライトで応援するばかりで、プリキュアさん達と並んで戦うことはできない。

改めてOPを視聴し、やっぱり物凄いと再実感しました。
冒頭のキャラ紹介から戦闘、ありがたい演説からの大技発射。そして平和がやってくる。
プリキュアさんの全てが詰まってます。あの美翔さんすら格好いい。
そして物凄いからこそ、悟る。
あの横に、自分たちは並べない。

歌に被せられて無声なのが、この効果を非常に際立たせてます。
と、同時に主題歌は「永遠のともだち」。
絶望と希望が同時に襲ってくるような、物凄い演出。このOP、本当に凄い。

「プリキュアになれるのか」というテーマに対する問いの答えは、坂上さんの奮闘の通り。
本編でライトを振るシーンは、冒頭の物とは決定的に違います。
あの場には、視聴者の側である坂上さんがいる。
その坂上さんを、同じ視聴者がライトで導くとか。素晴らしい。
OPと同じことをやってるのに、意味合いが全く違います。「オールスターズ」に私たちも含まれてる。

…というようなことを人に話たところ、「『最強伝説黒沢』みたいだ」と言われた。
多分、間違ってない。(「黒沢」読んだのは「NS」見た後だったけれど)

【スマイルさん】

街でぶつかった女の子と再会した坂上さんは、彼女が友だちいっぱいなのを見てしょんぼり。
そこでふーちゃんが襲いかかりますが、相手の正体は謎のコスプレ戦士・プリキュア。

この時の応戦に出る星空さんのシーンが好き。
スマイルさんの名乗りには、妙な気迫を感じます。現実を分かった上で、それでも祈りを込めて叫ぶ的な。
突然やってきた危機的状況にも、猛然と抵抗。怖い。

逆にふーちゃん側からしたら、軽く呑み込めるはずの娘さんらが、実は恐怖のプリキュア。
「誰だってプリキュアになれる」を、違う意味で思い知らされます。
妙齢の娘を見たらプリキュアと思え。街を行く一見普通の子らも、正体はプリキュアなんです。舐めちゃいかん。

【映像特典】

念願のメイキングがつきました。
美翔さんのあられもない姿を拝めます。
撮影中は、あんな風に頑張っておられたのですね…。
そしていかにして化粧や照明で誤魔化されてるのかも、よく分かります。
エフェクト抜きの素の美翔さんの、オーラの無さと言ったら…。

アクターの方たちも紹介されてたら尚嬉しかったですが、そこは別の機会に期待。


(左画像)
映画プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち 特装版 【Blu-ray】

(右画像)
映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち アニメコミック


今回の映画を見て、いわゆる「大友」についても思うところが。

ジョークとして「大友」なる層はしばしば想定はされますが、実際のところ色んな人がいるわけで。
放送が始まって10年です。
当時学生だった人も、今では社会人になったり家庭を持ったりしてる。
一方で、10代20代の新規層もいる。
これらを全部ひっくるめて「大友」なのだから、価値観や見方はそれぞれ違って当たり前。

よく言われる「いい年してプリキュアを見てるなんて…」といったネタも、あくまでネタであって現実はもっと緩い。
私の場合も普通に家族も知ってるけど、特に何ということもない。
何せ社会人にもなれば、中には仕事で関わってる人もいます。

何と言うか、世の中広いというか、色んな選択や可能性があるんですよね。
(それ故に一体感が持ちづらく「スイート」さんのテーマとかにもつながるんですけど)
「こうあるべきだ」「皆もそう思っている」と思い込むのは、分かった上でのネタとしてならいいけど、ハマりすぎて抜け出せなくなると自らの可能性を縮めちゃうんじゃなかろうか、とか思ってみた。

感想1周目
感想2周目
感想3周目

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感想:映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(3周目)

2012年04月12日 | プリキュア映画シリーズ
せっかくなので、最後にもう1回くらい感想。

■映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(3周目)

何度見ても、プリキュアさんが駆け付けてくるOPシーンは泣けます。
前にも書いたように、すこぶるに格好いい。
この9年間、プリキュアさんを見続けて良かったと、本当に思った。

と、同時に、とんでもなく悲しくもなった。
前回は書けなかったので、今回はそちら方面のことを書いてみる。

あのシーン、私達視点では、プリキュアさんを地上から見上げている。
伝説の戦士たる彼女達の正体は分からないものの、助けが来たことは分かるので、とにかく応援する。
頑張れプリキュアさん!頑張れ…!

…でも、結局は応援してるだけ。

最近仕事をしていて、とても疑問に思うことがあります。
お偉いさんはよく、著名なビジネス書や業界人の名言を引き合いに出し、「かくあるべきだ」論を唱えてくる。
でもその度に不思議です。

 「その立派な思想には誰も反対しない」
 「貴方もそれが大事だと認識している」
 「では、どうして実践しないのか?」

「嵐の伝説」という漫画の中で、こんな一節が出てきます。

 「あの不良は、どうしてカツアゲした金で、(仁義溢れる)ヤンキー漫画を買えるんだろう?」

言ってることとやってることが違う。意味が分からない。

例えば、熱血サラリーマン漫画を読んだ翌日、「面倒くせーな」とボヤきながら仕事をしたり。
古き良きノスタルジー映画を見た次の日、レトロな不便さに文句を言ったり。
悪に立ち向かうヒーロー番組に感動してるのに、不正や横暴に下を向いたり。

どう考えてもおかしい。
現実には実行できないからこそ、フィクションで代替している面は確かにある。その言いわけはできる。
でも疑問は沸きます。

 『私達はプリキュアになれないのか?』

ミラクルライトを振って、プリキュアさんを応援するのは結構。
プリキュアさんだって、それが力になってる。
でも「感動したね~」「凄いね~」と言ってる私ら自身はどうなのか?

ちょうど「MaxHeart」が再放送をやってますけど、今見るとそれなりに粗が目立ちます。
もちろん「つまらない」という意味でも、今の「スマイル」の方が優れてると言いたいわけでもないです。
10年近く前のことなのだから、商品レベルに差があるのは当然のこと。

EDの3D技術を初め、毎回毎回プリキュアさんには驚かされます。
進化のスピードが凄まじい。
でも振り返ってみれば、じゃあ自分は同じ期間にどれだけの成長をしたのか。

思えばプリキュアさんが始まって約10年ですよ。
初代を見ていた幼稚園児が、プリキュア適齢期になるほどの時間です。
そんな長い間、では自分は何をしていて、どう成長したのか。

「プリキュア」シリーズは、根底のテーマに「変化」があると思う。
基本的に「永遠不変」よりも、「世代交代」や「過去からの変化」を肯定してる。
(故にたまに出てくる「永遠」ワードは熱い)

で、変化を肯定しようとすると、当然出てくる疑問がある。

「どうして変わらないといけないのか?」

変わるにはエネルギーがいるし、ずっと同じことをしてても楽しいじゃないか。
それなのに、どうして苦労して変わろうとするのか。
劇中で色んな形で回答がされてるけど、一番好きなのは「鏡の国」のレモネの言葉。



レモネ:
 「私、そろそろ失礼します。ドリームが呼んでいますから」

「どうして苦労してまで夢を叶えようとするのか」という闇檸檬に対するこの返答。
「そんなことすら分からない人の相手をしている暇は無い」。
だって夢が呼んでいる。くだらないことを言ってる人たちの相手をしてやる義理はない。

問答無用です。ぐうの音も出ない。

「プリキュア」さんは毎年毎年、物凄い勢いで成長して変化していく。
変化が早すぎて、もはや完全に置いていかれてる感がする。
じゃあそこで「別に変わる必要なんてないよ」と言えるかというと…。

クラスメイトに話しかける勇気が持てず、後ろ向きな逃避をしてしまう坂上さんの姿は、見ていて非常につらい。
確かに、ミラクルライトを振って応援するのは楽しいし、それで多分、プリキュアさんは敵を倒してくれる。
でもそれでいいのか?

「二次元の世界に行きたい」的なネタはたまに見ます。
だけどいざ二次元に行ったところで、多分、憧れているような展開にはならない。
何せ今この現実を見る限り、プリキュアさん側どころか、むしろナイトメアや砂漠の使徒側ですよ。

だから坂上さんの台詞は、とても胸に突き刺さる。

坂上さん:
 「どうしよう。私、プリキュアの敵になっちゃった」

どうしてこうなった。
プリキュアさんのことが好きで、プリキュアさんに憧れてるのに、どうして敵になってんだ。
全くもって分からない。だけど、現実に、自分がプリキュア側の生活を送れているとは、到底思えない。

冒頭のシーンは、そんなことが去来して、むちゃくちゃに胸が締め付けられます。
私はプリキュアさんを応援したいわけでも、仲良しのお友達になりたいのでもないんです。
一緒に!あのゴンドラの上に並んで!「絶対に諦めない」とか叫びながら共に戦いたいんですよ!

プリキュアさんの「普段は愉快な娘さんだけど、いざとなったら決めるときは決める」姿は、おそらく多くの人が思い描く「格好いい社会人」と同じだろうと思います。
文字通りプリキュアにはなれないだろうし(なってどうする)、プリキュア関連の仕事をしたいわけでもない。
そういった表面的なことではなく、自分自身の仕事や領分において、ああいう姿勢で戦えていないことが、どうにももどかしい。

「仕事なんて所詮はそんなものだ」「現実とフィクションは違う」と嘯くことはできる。
でも、あの素晴らしい「プリキュア」シリーズを作っている人たちは、現実に存在している。
いちごをもしゃもしゃ食べながら、夜を徹して「プリキュア」さんを作りあげている人たちが、いるわけですよ。

自分自身が「プリキュア」さんに感動しているだけに、この部分は否定できない。
実際に、あんな凄い仕事が出来る人たちがいて、実際に、その人たちを凄いと認めている。
それなのに、どうして自分は同じように戦おうとしないのか。

前の感想で「プリキュアさんが喋らない」ことについてポジティブに書きましたけど。
全く同じ理由で、物凄く悲しいことだとも思った。2回目の視聴以降、台詞がないことを認識してからは特に。
あの「伝説の戦士」たちの声は、こちら側には届いてこない。私たちは所詮、部外者だから。
友達だと思っていた人が、いつの間にか自分をぶっちぎって、遠くに行ってしまったような感覚。
誇らしいと同時に、とてもとても寂しい。

「スイート」映画で、心の音楽を聴きながら立ちあがるシーンがある。
その時の感想にも書きましたが、感動すると共に、軽い恐怖を覚えます。
もしもあの時自分があの場にいたとして、自分にも「心の音楽」が聴こえるのか…?

プリキュアさんは決して優しいだけのお話ではないと思う。
自分から前に進もうとしない相手は、とことんにリジェクトされてきた。
ブンビーさんがいつまでも名前で呼んでもらえなかったように、今回の坂上さんも自分からやってこなければ、おそらく無視されてた。

「私達はプリキュアになれるのか?」の問いに対する答えは、「なれる」。
これはある意味で非常に残酷です。「なれる」可能性がある以上、なれなければ、それはその人の責任です。
いっそ生まれ持った一部の人間しか「プリキュア」になれないのなら、「あの子たちは神」と割り切れるのに。
遠くから、名もない群衆の中の一人としてミラクルライトを振ってるだけで満足なのか。
「諦めない精神に感動した」と言いつつ、翌日の会社では「やってらんないよ」と愚痴る自己矛盾に目を伏せるのか。

「ハートキャッチ」のお披露目カーニバルで、初めてEDを見た時、感動しすぎて絶望しました。
これは勝てない。
同業他社でも近隣産業でもないので単純比較はしないですけど、そういったものを越えて、とにかく勝てる気がしない。

確かその当時に、スタッフさんの誰かが語っておられた。
「番組が始まったら、裏方に出来ることは無い。だから始まる前に、ありったけの武器を持たせるんだ」。
そして始まったら「後は任せた」と応援する。生活をかけて戦ってるプリキュアさんを。あの「ハートキャッチ」EDのように。

同じくその頃の(東映アニメーション様かバンダイ様だったか忘れましたが)年初挨拶で語られてたことも印象的だった。

 「不景気により、我が社は苦しい戦いを強いられている」
 「だが今までにもピンチはあった」
 「しかしそのたびに、戦隊ヒーローが、仮面ライダーが、そしてプリキュアが助けてくれた」
 「ヒーローは必ず助けに来てくれる」
 「だから我々も、全力で戦おう」

名演説だと思う。
これに賛同できない奴は、会社を辞めろと言いたい。
こんなとんでもないマインドに支えられて「プリキュア」さんは作られてる。

そして思う。じゃあ、自分はどうなのか?
自分の仕事に対し、そこまでの熱意をもって取り組めるのか?

「現実は違う」と言うのは簡単なんです。
でも、現実にあんなとんでもない境地で戦ってる人たちがいる。
それに対し、「そこまでして変化や成長をする必要があるの?」と言うことはできる。
でも、「鏡の国」のレモネの言葉が聞こえてくる。

もちろん彼らも、実際には様々な愚痴を言ったり、手を抜いたりもしてはいるのだろうとは思う。
だけど「プリキュア」さんという番組の存在が、有無を言わさぬ説得力を持ってる。
世の中には、あんなすごい物を作れる人たちがいる。では、自分はどうなのか?

今回の映画は「オールスターズ」の名に恥じない、「オールスターズ」だからこそ出来た映画だと思う。
観覧車のゴンドラを見上げる人たち。聴こえぬ声を上げて、圧倒的な力で戦うプリキュアさんたち。
それだけといえばそれだけの場面だけど、これまでの9年があるからこそ、様々なことが思い浮かぶ。

感動するからこそ絶望する中、流れる主題歌は「永遠のともだち」。
変化を是とするプリキュアさんにおいて、凄まじく重い意味のある「永遠」。
サブタイトルの「未来のともだち」と併せて、最後の最後の一線での優しさに泣けます。

 『私達はプリキュアになれないのか?』

「プリキュア」になれる気は全くしないけど、「別になれなくてもいいよ」とは言えない。
だから結局のところ、あれこれ悩んでいても仕方がない。
「永遠のともだち」が「未来」に待っていてくれるのなら、せめてあの人たちに対して恥じない程度には、まともな人生を送りたい。


(左画像)
小説 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち (つばさ文庫)

(右画像)
映画プリキュアオールスターズ New Stage みらいのともだち 主題歌シングル


【蛇足】

一つだけ、今回の映画で納得いかない部分があります。

坂上さんがフュージョンの元に行くために、逃げる群衆の流れに逆らって走ってくシーン。
私的には、「逃げるしかない多くの人」と「立ち向かえる人」の差=ただの人とプリキュアさんの分かれ目のように感じました。
だからあの「逃げる人」の中に、フレッシュさん達のゲストキャラがいるのは、どうにも落ちつかない。

例えば桃園母とか蒼乃弟とか、身内がプリキュアなことを知ってるのだから、娘や姉が化け物相手に特攻していくだろうことも分かってるはず。
それなのに、自分たちだけ我先にと逃げるんだろうか?
「DX2」や「DX3」では、遠巻きに見守り続けてるだけに、妙に引っかかります。この場面に関しては、「無理に登場させる必要はないんじゃ」と思った。

まぁ残っていたところで足手まといにしかならないのだから、正しいと言えば正しい行動なのだけど。
上に書いたようなことは、ある意味、他人だからこそ感じることなのかもしれない。
警察官の身内がわざわざ大げさに心配したりしないように、プリキュアさんの御家族は、それはそれで違う心境に到達してるんだ、きっと。

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感想:映画スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪(2周目+3周目)

2011年11月03日 | プリキュア映画シリーズ
追加で2回見てきた。
見れば見た分だけ書きたいことも増えるので、雑多に追記。

■映画スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪(2周目+3周目)

【メロディさん万歳その1】

舞台挨拶でも言われていましたが、今回は敵さんが非常に強い。
部下扱いのメイジャー3ですら、今までの劇場版ボス並の強さに見えます。
しかも彼らはノイズ様の部下でしかない。もっと上がいる絶望感。

スイート組は戦闘能力的には決して弱くはないと思うんですよ。むしろ強い。
特にメロディさんの対応能力がとても高いので、それだけに敵の強さが際立ちます。
あのメロディさんですら、押され気味なんて…。

「完全に一方的に負けてる」わけではない、ところがリアルに生々しくピンチです。
ぜぇはぁ息を荒らげながら善戦してるメロディさんが、大変に艶めかしくて困る。
普通に負けてるリズムさんにも困りますが。

【もう昔には戻れない】

スイートさんのテーマである「壊れてしまった関係が復旧する」。
だけど「元通り昔のまま」には戻ってない。

アコさんがミューズ兵装で出撃するシーンで、スズさんがそれを見送ってるところが何気に好きです。
昔の友はプリキュアになった。
もう以前と同じように、遊んでただけの関係には戻れない。

ラストシーンでも、メフィスト様とアフロディテ様は和解したけれど、「家族三人で仲良く過ごす」は実現しない。
アコさんは人間界に戻って行くし、後にメイジャーランドに帰還したとしても、やっぱり前と同じにはならないはず。

あの楽しかった子供時代には、もう戻れない。
現実問題として、あの「夏の向日葵畑を走り回った楽しい日々」は遠くになったままで、全く同じにはなれない。
でもだからといって不幸かといえば、そうではない。
形は変わったけれど、それでもあの日々の思い出は残ってるし、共に過ごした人々と再び歩んではいける。
失われたものを悔やんでいても仕方がない。

兵器・プリキュアとして最前線に向かうアコさんを見て、スズさんも「私も戦う」と決意する。
共に前線に並ぶことはできないし、前みたいに遊ぶこともできない。でも彼女には彼女にできる戦い方がある。
別々の道を歩むことになっても、バラバラというわけじゃないし、全てを失ったわけでもない。
当時持っていた大事なものはそのままだし、無くしたものもあるけれど、代わりに「プリキュア」という新しいものが手に入ってる。
変化が不可避である以上、前向きに進んでいくしかないんだ。

【止まらない演奏】

今回の災害は「音楽を奪われた」。
それと同時に「鳴らない音楽を弾かされ続ける」。
二つ目の方は、ストーリー的にはあんまり意味はないと思う。
別に「音楽を奪われて凍りついてしまった」とかでも大差ない。
ハウリング的には、演奏を続けさせる意味がないですし。

ただ現実世界を思うと、「鳴らないのに音楽を続けさせられる」は実感できます。
意味があるかどうかも分からず、実際に何のアウトプットも出てこないのに、続けなきゃいけないことがある。
誰だって組曲したいのに、音が出ないので組曲もできない。既にぶっ壊れた楽器を延々弾かされ続けるのは、凄い苦痛。
そこで「楽器や声を捨て、心で演じる」にまで昇華できれば素敵なのでしょうけれど。
なかなか難しいところが哀しい…。

【聴こえない音楽】

対メイジャー3戦にて。

メロディさん:
 「ええ、あんたたちには聴こえないでしょうね」
 「あたしたちの心を繋ぐメロディは…!」

鳴り響く「心の音楽」は、メイジャー3の耳には聞こえていない。
展開的には、「な、なんだこの音楽は!」→「これが心の音楽よ云々」→「力が出ない!」とかそんなのも有り得そうですが、「聞こえない」。
同様に音楽をクライマックスに持ってきた「ふしぎ星のふたご姫」や「おねがいマイメロディ」は、「聞こえて苦しむ」パターン。
「ぴちぴちピッチ」も「相手にも音楽が届く」方式です。
でも「プリキュア」では聞こえない。

共通のものがあれば、たとえ遮断されたり失われても繋がることが出来る。
が、逆に言えば共通項がなければ絶対的に分かり合えない。
シリーズ通じて「誰しもが無条件に分かり合える」とは持っていかないのがプリキュアさん。
理解し合えあえないものもある。

ただそうすると、次回放送でノイズ様らしきものがアコさんのところにやってくるのが不可解です。
劇場版の展開がこうだった以上、安易な和解エンドはなさそうに思えるのだけど…。

それと「音楽が聴こえない相手がいる」というのはかなりの恐怖。
あのシーン、見ていると感動しますけど、実際の現場に自分がいたとして果たして本当に音楽が聴こえるのか。
他の人たちが涙を流して共鳴している中、自分には音楽が聴こえなかったとしたら…。
「聴こえるよね?」とこちらを向いたメロディさんの顔が、数瞬後に「?」になり、やがて無言でファイティングポーズに変わるわけです。
ま、待って!聴こえてる!聴こえてるよ!ほら、えぇと、いや「じゃあ唄ってみて」とかそういうのはナシで、ぎゃ、ぎゃあ!

「夢原さんのことは崇拝するけれど、現実には絶対にお会いしたくない」と同じ理論ですね…。
まぁ夢原さんが「現在から未来」へと向かう方なのに対し、北条さんは「過去から現在」を繋ぐ方なので、恐怖度合いは多少は薄いですけれど…。
だ、大丈夫。共通の思い的なものなら私にもあるから、多分「音楽」は聴こえる、はず…。

【進化し続ける映画】

どのシリーズが好きかとか、面白さについては好みの問題なので置いておくとして。
商品としての性能面は、年を追うごとに凶悪になっていってるように思う。
テーマの詰め込み方とか、ライトの組み込み方とか、エンターテイメントとして面白く、ぎっちり構成されてる。

例えば「鏡の国」でいえば、もちろんお話としてはとても面白いのだけど、ミラクルライトがあまり機能してない。
もしも今作られたら、ライトは闇キュアさんとの戦闘シーンで発動するんじゃないかな。
「最終的に夢に向かう時、人は一人だ。しかしそうやって共に戦ってる仲間がいるのなら、物理的には一人でも一人じゃない。表面的にはバラバラでも繋がってる」の演出で。

【玩具】

スイート組の強さを象徴する「技の豊富さ」は映画でも。
ガンガンぶっ放します。
アルペジオやらパッショナートやらトーンのリングやらその他諸々。

メロディさん達は戦闘面でとても優秀で、躊躇なく玩具も振りまわします。
ハウリング戦でもゴリゴリとぶつける。
が、残念ながら通じない。

捕えられたリズムさんの手からファンタスティックベルティエが零れ落ちる。
めきりと殴られたメロディさんは、ミラクルベルティエを取り落とす。
最新鋭玩具が通じない。

それを踏まえた上での、「己のビートを聴け」。
構造としては「歌を唄えないメフィスト様が、物理的な音声ではなく心で唄う」と同じ。
どんなに玩具で武装しても、最後は肉弾戦ですよ。心の玩具を喰らえ!

色んな価値観とか、違う物の見方とか、もうそんなのはどうでもいいわけですよ。
震災とか不景気とか円高とか、そんな外部要因ももう十分だ。
最終的には「自分がどう考えているか」。だから殴れ!

【メロディさん万歳その2】

メロディさんって「腰に手を当てる」が癖なんでしょうか。
やたらに今回の映画で目だった気がします。
そういえばおへそも出してますよ。何か腰回りに拘りがおありなんでしょうか。

そういう性癖的なものがプリキュアコスチュームにも反映されるとしたら、色々と面白そう。
(サンシャインさんの前例も踏まえると、いたって普通にありえそうです)
あんだけ派手なコスプレですから、性向と違う格好に変身したら悲劇ですし。へそ出し美翔さんとか。

その理論に基づけば、「GoGo」で衣装デザインが統一されたのも理解できます。
「5」の頃にはバラバラだった人たちが、「GoGo」では精神面でも一致をみた。夢原さんの洗脳力すげぇ。
いや待て、夢原さんは関係ない。気が付いたら夢原さんの話ばかりになってしまう。

今回の映画、時期的にミューズさん万歳映画になるかと思ってたのですが、意外とそうでもなかった印象。
というかメロディさんが艶やかで艶やかなのがとても困る。
歴代プリキュアで最も色香にまみれてるのは夢原さんだと思ってますが、北条さんも違う方向から爛れてます。
ヤバイですあの二人。夢原さんは非現実的なまでの破滅的な色香なのに対し、北条さんは現実的に生々しい色香というか…。
そしてまた夢原さんの話題になってしまった。どうにかしてください、あの方。

感想1周目

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感想:映画スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪

2011年10月29日 | プリキュア映画シリーズ
【全国で組曲】

Tジョイ大泉さんの最速公演を見てきました。
開始時間は29日の0時0分。
終演が2時前なので、終電もなく取り残されるスケジュール。

私は自転車で向かった組でしたが、道中、明らかに同じ目的の自転車や徒歩の方々と結構な頻度で合流していきました。
何この組曲感。
大泉以外でも、今年は例年にない勢いで最速公演が企画されまくってます。
きっと全国各地でこうやって映画館に向かってる人がいっぱいいるんだ。
劇外までも演出に組み込まれてます。このスイートぶりは熱すぎる。

■映画スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪

【前提】

昔はあんなに楽しかった。
皆で遊び、皆で笑い、同じものを共有してとてもとても楽しかった。
それがどうしてこうなった。

以前と比べ、価値観が多様化した。それはいいことかもしれないけれど、おかげで皆バラバラだ。
見方によって同じものでも色々な面がある。なるほど確かにそうだ。そして、何が正しいのか、誰にも分からなくなった。
かといって、今更無理やり同じ価値で統一されるなんて嫌だし、固定観念を押し付けられるのも御免こうむる。
つまり、もう皆で笑うことも、泣くこともできない。私達は孤独で、分かり合えない。
その上、不景気や自然災害も容赦なく襲ってくる。

そんな徹底した不安定なテーマを色濃く反映してる「スイート」さん。
毎年プリキュアさんの映画は、その年のシリーズテーマの集大成。
凄まじいです。色々と予想はして行ったけど、そんなものを遥かに超えてた。

【本編】

メフィスト様、女子中学生への破廉恥行為により、通報される。

そんな衝撃のOPの今回。
ガチで逮捕されたメフィスト様の身元引き受けから始まり、「それは突っ込まないお約束じゃなかったのか」的な展開がガシガシと。
物には色んな見方があるとはいえ、節度ってものがある。

偽物のヒーリングチェストに、姿を変えるメイジャー3、同じアフロディテ様のことなのに全く噛み合わないアコさんとスズさん等々。
真実が何か分からない展開も、これでもかと続きます。
もう誰も信用できない。

ノイズさんの呪縛から解放され、正気に返ったメフィスト様だけど、アコさんとの距離は微妙に開いたまま。
アコさんも御年頃です。難しい年齢なのです。
そこで気を引くために、彼女が昔好きだったお歌を唄ってみようと思い立ってみた。
だけど今回の敵・ハウリングにより、唄うこともできない。
楽器は凍りつき、歌声も消えた。

そして捕えられるアコさん。
苦しんでる彼女に対し、メフィスト様には助ける手立てがない。
唯一の手段のはずの音楽パワーも、根こそぎ音が消えている。だけど。

メフィスト様:
 「声が出なくても、心で唄うことが出来る」

この発想は思いつかなかった。そして泣いた。
ホモサピエンスは長い歴史の中、歌を唄って己を鼓舞しながら、過酷な環境を乗り越えてきました。
音楽はいつだって、私達を救ってくれた。
でも必ずしも「音」そのものを鳴らす必要は無い。
心で唄えば、通じる。

クレッシェンドトーンも言った。音楽はなくならない。それは私達の心の中にある。
私達一人一人が音楽を捨てない限り、誰にも奪うことはできない。
確かに私達は今バラバラで、直接通じ合う手段はないのかもしれない。
でも過去に楽しかった思い出は心の中にあり、なくなることはない。
たとえ直接の手段が無くても、私たちは通じ合える。

今回の敵・ハウリングは、実体のない謎の気体。
「漠然とした不安」を象徴するかのような相手です。
それを打ち破ったのは、一人一人の心の音楽。
劇中では「音楽」と表現されてますが、これは「希望」と同義でしょう。

強大な敵の前に倒れたメロディさん。その時に響いたのは己の鼓動の音。
音が消え、お互いの言葉が届かなくなっても、心の中の音楽は消えない。
音楽は、私達そのものから生まれてる。

今回の映画はプリキュア史上初となる、フォームチェンジなしでラスボスを倒した映画です。
あ、何か美翔さんがムスっとしてますけど、貴女は風モードを使ったじゃないですか。
メロディさんなんて、それすらなしですよ。
切り札のはずのクレッシェンドモードから、ご丁寧にもわざわざノーマルに戻っておられる。

ライトを振ってもスペシャルフォームに変わらなかったので、今回は随分とスパルタだと思ったのですが、テーマ的には納得いきます。
他人から貰った何か特別な力で戦う訳じゃない。自分自身の鼓動と、それに呼応した仲間とで打ち破ることに、意味があるんだと思う。
クレッシェンドトーンが頻繁に「自分で答えを見つけなさい」的な指導をするのも、「各自の心の中に音楽がある」から。

その一方で、メロディさん達は戦闘中に「音楽を取り戻す!」と発言されてます。
クレッシェンドトーンがはっきりと「取り戻すという表現は不適切」「だって奪われないのだから」と言っているのにも関わらずです。
嗚呼、相変わらずプリキュアさんは人の話を聞かない…と呆れかけましたが、落ち着いて考えてみれば、プリキュアさんとスズさん(観客代表)では立場が違う。

「音楽」が「希望」の象徴であるように、プリキュアさんも「希望」の象徴。
つまりは、プリキュアさんが敵に負けるということは、「希望」が敗れ「音楽」が奪われている。
だからメロディさん達は負けるわけにはいかない。
多くの人の「音楽」を背負って戦っている以上、「音楽」は負けないことを証明して見せないといけない。
勝つことが「音楽」を取り戻すことにつながります。

ライト直後のシーンで、メロディさん達が完全にカメラ目線で宣言する箇所があります。

メロディさん:
 「私達は、絶対に諦めない」

価値観が違ったり、物の見方が色々だったりする。
でもプリキュアさんは負けない。問答無用でそこは信用できる。
メガとかギガとかの物質的なものにも、コミュニケーションの遮断といった現象にも、プリキュアさんは負けない。
だから希望も音楽も負けないし、それらは確かに存在すると信じられる。

彼女達の決め台詞が「絶対に許さない」ではなく、「絶対に許せない」なのも、無理やりながら同じ理由だと思ってます。
「悪」を許すわけにはいかない。だって彼女達がそこでブレたら、もう何を信じていいか分からなくなってしまう。

どう言ったところで、私達の価値観は一人一人違うし、強引に埋めることができるわけでもないと思う。
例えば同じ映画館で映画を見てても、隣に座ってる人が何者なのかは全く知らないし、完全に分かりあうのも無理。
とはいえ、わざわざ最速視聴をするために、深夜0時から同じ場所に集まってるんです。
同じようにプリキュアさんを見て、同じように感動してるのも事実。
確かに価値観は違う。でも「プリキュア」さんを通じて、同じものを共有してる。

声援を受けながら戦うメロディさんの姿は、非常に神々しかったです。
皆で声援を送って、絶対的に信じることが出来るものが、まだ私達にはある。
私達は、絶対に孤独なんかじゃない。


(左画像)
映画スイートプリキュア♪とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪ オリジナル・サウンドトラック

(右画像)
プリキュアぴあ (ぴあMOOK)


Tジョイ大泉さんでは、設定集や台本、玩具の展示を行っておられます。
館内アナウンスで「今後も東映アニメーションと協力していく」と放送されてたのが格好良かった。
恵まれた立地をフルに活用して、組曲していらっしゃる。

【今回のオールスターズ】

本編終了後に流れた告知。

「プリキュアオールスターズDX」(ばん!)
同じく「DX2」(ばばん!)
そして「DX3」(ばばばん!!)

期待を煽りに煽ってから、北条さんから一言。
来年3月、新生「オールスターズ」の上映決定だそうです。
「新しく生まれ変わる」とのことなので、以前のような全員集合型ではないかもしれませんが、続いてくれただけで大満足です。
果たして美翔さんにお仕事はやってくるのか。
これで来年の春まで生きていける。

【今回のオールスターズ2】

歴代シリーズのエッセンスも感じました。

「ふたり」ペアがとにかく強調されてるあたり「MaxHeart」。
敵の目的が音の否定なのは「SplashStar」。
プリキュアさんが夢や希望の象徴として描かれてるのは「GoGo」。
日常的な私達の心の中に答えがあるのは「フレッシュ」で、変わっても変わらないものがあるのは「ハートキャッチ」。

まぁどれもこれもこじつけようと思えばできることですが、タイトルが「スイート」なだけに狙ってるのだと思いたい。

【今回のライト】

毎回それぞれ違う意味合いを持たせてくるライト。
「ハートキャッチ」さんでは「詳しい事情は分からなくても、手助けならできる」の象徴(何せ観客は花咲さん達が何故パリにいるのかすら知らない)。
「フレッシュ」さんでは、言葉にできない「幸せ」の象徴。
そして今回は、皆の心の中にある「音楽」。
希望や音譜を抱えているのは、「プリキュア」世界の人たちだけじゃない。私達の心の中にだってあるんだ。

【手なれた人々】

当初メフィスト様とアコさんだけでメイジャーに行こうとしてたけど、即座に「残りの3人も連れていけ」と勧めた音吉さんはさすがです。
プリキュアさんは国防の要。兵器はちゃんと持っていこう。

また出発にあたり、ビートさんも「ヒーリングチェストも持っていこう」と発言。
戦い慣れてます。兵器はちゃんと持っていこう。

一方、防衛兵器が不在のタイミングを襲われたメイジャーランド。
即座に敗北を悟り、「プリキュアに私ごと始末させよう」と打開策を練るアフロディテ様が怖い。
プリキュアさんがあらゆる戦略の中心に据えられてる…。

【開演前】



Tジョイ大泉のロビーでは、延々と真・エンディングダンスが流れていました。
ミューズさんの破壊力が半端ない。
「最年少」という肩書きだけでも最強なのに、あんなに頑張って踊らせるなんて大人気なさすぎます。
これじゃ他の年少系プリキュアさんの立場がありません。
舞台袖で、ギリギリと歯噛みしながら睨んでるレモネの姿が見えるよう。

【終了後】

延々と流されてたエンディングダンスが、実際に映画の後にも流れた。
さっきまではミューズさんの破壊力に慄いていたのに、映画を見た後だと全く印象が変わりました。
もちろんダンスは愛らしいのだけど、歌詞が胸に突き刺さる。
音色、希望、負けない心に響き合うオーケストラ、そしてプリキュア!

【今回の北】

「物は試しでベルティエしてみよう」とか言い出すのがアグレッシブで素敵。
あの子、一人で練習とか研究とかしてるタイプですよ、絶対。
きっと自室ではプリキュアコスに変身してから筋トレとか、そういうのもやってるんだ。

【今回の3人目】

若干割を食ってた感のあるビートさん。
まぁあの方は、テレビ本編で「回答」に行きついています。
色んな見方があったり、辛いことや苦しいこともあるけれど、私は私のビートを鳴らす!
そんなわけで、ビートさん的には今更なことだったのかもしれない。

あと映画恒例のコスプレは、ビートさんが頑張っておられました。

【閉演後】



上映が終わったのは午前2時前。
映画館横の東映アニメ様の本社には、当たり前のように電気がついていました。
プリキュアさん達が残業を頑張っておられる。。頭が下がります。

【追記】

感想2周目+3周目

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