Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

PERFECT DAYS

2024-01-22 22:26:27 | 映画 は行

2023年/124分/日本 

監督:ヴィム・ヴェンダース 

出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和

ストーリー:東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。

 

トイレ掃除人が主人公だということくらいしか知らずに友人に誘われて観に行ったのだが、これはじわじわと静かに心に満ちてくる、そういう作品だった。

毎朝起きて身支度をして自販機でコーヒーを買い車に乗ってトイレ掃除の仕事をし、帰るといつもの店での一杯を楽しみ、文庫本を読んで寝るという日々を、まさに判で押したような日々を積み重ねている平山が主人公だ。

一見、同じことを積み重ねているようで、その日々に全く同じ日はない。しかし、平山はいつもその日、その一日を精一杯生きていく。

どの一日も、それぞれに愛おしくかけがえのない日々の連なりだ。平山のトイレ掃除を見ているとその丁寧さに感動する。まさにプロフェッショナルなその仕事ぶりに感動を覚える。

気持ちよく公衆トイレが保たれていることは当たり前じゃない、こうして掃除をしてくれる人によって支えられているのだと改めて思う。

そういう日々の中に起こるちょっとした変化、あるいは闖入者によって穏やかな日常にさざ波が立つ。

そうだよなあ、それが人生だよなあ、なんて観ながら思う自分がいる。

映像と音楽に彩られた一編の詩に心揺さぶられた。

今、作品の中で自転車に乗りながら繰り返された、歌のような「こんどはこんど、いまはいま」というフレーズがずうっと心の中に響いている。

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パリタクシー

2023-05-20 19:37:19 | 映画 は行

2022年/フランス/91分

原題:Une belle course

監督:クリスチャン・カリオン
出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズ、ジェレミー・ラユルト

ストーリー:パリのタクシー運転手のシャルルは、人生最大の危機を迎えていた。金なし、休みなし、免停寸前、このままでは最愛の家族にも会わせる顔がない。そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側まで送るという依頼が舞い込む。92歳のマダムの名はマドレーヌ。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていく。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していく!~アップリンク吉祥寺HPより

 

登場人物はタクシー運転手のシャルルとその車の客マドレーヌ。(そして若い頃のマドレーヌ)

狭い車内でのこの二人の会話と距離の縮まりように引き込まれ、同時にマドレーヌの辿ってきた彼女の人生にシャルル同様に懸命に耳を傾けていた。

二人の会話から滲み出るユーモアに思わず笑い、彼女の語る壮絶な人生に愕然とさせられるのだが、そのユーモアにどんなに救われたことだろう。

実年齢94歳のリーヌ・ルノーが演じる92歳のマドレーヌは素敵でとにかくチャーミング。

地に足つけて年齢を重ねてきた女性の魅力に圧倒された。

あんな風に年齢を重ねたいものだと、心から願う。

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浜の朝日と噓つきどもと

2021-10-24 22:20:49 | 映画 は行

2021年/114分/日本

監督:タナダユキ

出演:高畑充希/柳家喬太郎/大久保佳代子/甲本雅裕/佐野弘樹/神尾 佑/竹原ピストル/光石 研/吉行和子

ストーリー:閉館寸前の映画館。小さな“嘘”が、思いもしない“未来”を紡ぐ

100年近くの歴史を持つ福島・南相馬の映画館「朝日座」。
ある日、茂木莉子(高畑充希)と名乗る女性が支配人の森田保造(柳家喬太郎)の前に現れる。
莉子は<経営が傾いた「朝日座」を立て直す>という高校時代の恩師・田中茉莉子(大久保佳代子)との約束のため東京からやってきた。すでに閉館が決まり打つ手がないと諦めていた森田だが、
見ず知らずの莉子の熱意に少しずつ心が動かされていく。果たして「朝日座」の運命やいかに……。~チラシより

9月の終わりから10月初めにかけて、「川越スカラ座」では観たい作品が続いていた。

ここでは上映期間がどれも大抵2週間と短いので、気を付けていないと、それこそあっという間に上映終了ということになってしまう。

予定表と睨み合わせた結果、最終日にようやく観ることができた。

川越スカラ座で「浜の朝日と噓つきどもと」を観られ、クレジットに「川越スカラ座」と記されているのを見て喜び、深い満足感を心に抱いて映画館を後にすることができた。

出演者がそれぞれ個性的で達者で素直に共感でき、この「朝日座」の存続を一緒に応援する気分になっていた。

しかし、今まで芸人でバラエティとかクイズ番組でしか見かけたことのなかった大久保佳代子さんが映画の中で輝き、また異彩を放っていたことが強く印象に残った。素敵だった!!

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ベルヴィル・ランデブー

2021-10-17 22:41:45 | 映画 は行

2002年製作/80分/フランス・ベルギー・カナダ合作
原題:Les triplettes de Belleville

監督・脚本:シルヴァン・ショメ

ストーリー:おばあちゃんと幸せに暮らすシャンピオン。内気な少年が情熱を傾ける自転車レースのためにふたリは特訓を重ね、遂にツールドフランス に出場する。しかし、そこで事件は起きる。マフィアに誘拐された孫を追って、愛犬ブルーノとともにシャンピオン奪還のための大冒険が始まる。協力し てくれるのは伝説の三つ子ミュージシャンの老婆たち。腕力では敵わないが、人生経験と知恵そしてユーモアと愛で数々の難局を乗りきっていく。

制作年を見て、そこに「2002年」とあるのに驚かされた。19年前に作られたとは思えない美しさと斬新さにはっとしっぱなしの80分だった。

その物語の展開の面白さ、またツール・ド・フランスという一大イベントにかける人々の思いの熱さ!

<世界最大の自転車ロードレース大会であり、フランスの7月の風物詩でもあり。選手たちは3週間かけて雄大な野山を駆け巡り、栄光の象徴、黄色いマイヨ・ジョーヌを奪い合う。そのコース上には1000万以上もの観衆が詰めかけ、地球上の190を超える国の熱狂的なファンたちが、連日TVの前で戦いの様子を見守る。>~J SPORTSより

そして、登場人物をはじめとするすべての人、物、場所のデフォルメのされ方が斬新で、呆気にとられつつも感激してしまう。すごいな!と。

観られて幸せ

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83歳のやさしいスパイ

2021-10-11 20:02:41 | 映画 は行

2020年/89分/チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン合作
原題:El agente topo

監督・脚本:マイテ・アルベルディ

出演:セルヒオ・チャミー、ロムロ・エイトケン

物語:本作で驚くべき活躍を見せる主人公は、83歳のごく普通の男性セルヒオ。とある老人ホームの入居者が虐待されているとの疑惑があり、そのターゲットの様子を密かに克明に報告することが彼のミッションだ。携帯電話の扱いひとつさえ不慣れなセルヒオが眼鏡型の隠しカメラを駆使し、暗号を使って老人ホームでの潜入捜査を繰り広げる様子に観客はハラハラしっぱなし。妻を亡くした悲しみの中にある彼は、傷ついている人を放っておけない心優しい性格で、調査を行うかたわら、いつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となってしまう・・・。セルヒオは無事にミッションをやり遂げることが出来るのか!?そして彼が導き出したある真実とは?

探偵の補助として働いた経験のあるマイテ・アルベルディ監督は、老人ホームの内部で調査をしている探偵が存在することを知る。「家族が虐待されていないかを調べてほしい」という入居者の親族からの依頼が多いことに目を向け、ホームの許可を得てセルヒオがスパイであることを明かさずに3ヵ月間撮影。~チラシより

 

スペイン語の映画、久しぶりだ~!と勇んで観に行った作品。

予告は見ていたので、老人ホームを舞台に83歳の新人スパイの話だということは知っていた。

なんか、すったもんだがあって、ドタバタもありの面白い話かと思いきや、いや確かにセルヒオが探偵に選ばれ、老人ホームに送り込まれるまでの話は笑えたのだが、いよいよ本筋に入ると雰囲気は一変する。

私はこれだけの高齢の俳優をよく集めたものだと思ったのだが、実はこの作品『長編ドキュメンタリー』だったのだ。

後で気付いて、あの自然さはドキュメンタリーだったからなのか、と驚かされたのだが、それにしても作品の流れに不自然さがまったくないことに驚かされる。

ホームで面会に来る家族の訪れを待ちわびる入居者の人々のそれぞれのおかれた状況と孤独が胸に迫る。

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走れロム

2021-09-18 22:01:01 | 映画 は行

2019年/ベトナム/79分

原題:Rom

監督・脚本:チャン・タン・フイ

出演:チャン・アン・コア(ロム)、アン・トゥー・ウィルソン(フック)、WOWY(金貸し屋)、カット・フーン(ギーさん)

物語:活気に満ちたサイゴンの路地裏にある古い集合住宅。多額の借金を背負う住民たちは、大金が当たる”闇くじ(デー)”に熱中している。14歳の孤児ロムは、宝くじの当選番号の予想屋として生計を立て、生き別れた両親を捜すための資金稼ぎを心の拠り所にしている。ライバルの予想屋フックは野心家で当選の確率も高く、ロムとフックはいつも競い合っていた。そんな中、地上げ屋から立ち退きを迫られ追い詰められた住民たちは、ひたむきに予想と向き合うロムを信じ、借金をすべて返すために一攫千金の賭けに出る。果たして、ロムは彼らを救うことができるのか――?!~「公式サイト」より

闇くじ「デー」とは:ベトナム政府公認の”正当な”くじの当選番号の末尾2桁を予想する、ハイリスク/ハイリターンな違法くじ。「デー」と呼ばれている。
姿の見えない《胴元》が取り仕切り、《賭け屋》が運営し、その間を《走り屋》が繋いでいるが、実態は誰にも分からない。 ベトナムの労働者階級(人口の7~8割を占める)に尋ねれば、まず間違いなく全員が「デー」を知っているほど浸透しており、急速な都市開発から取り残された人々が、自宅を担保に《賭け屋》に借金を重ね立ち行かなくなるなど深刻な社会問題となっている。
「デー」を賭ける時間帯は早朝から抽選開始の30分前まで。抽選は毎日16:30に発表される。~「公式サイト」より

 

久しぶりの川越スカラ座、「ブックセラーズ」を友人と観たのがはるか昔に思える。

予備知識なく、珍しいベトナム映画だし、題名からしてきっと走り回り爽快感に満ちた作品なのだろうと思っていたが、始まってすぐその予感は打ち砕かれた。

冒頭、闇くじ「デー「に関する説明文が続くのだが、えっ、どういうくじなの?それが深刻な社会問題になっているって、ど・ゆ・こと?と頭の中は疑問符だらけに。

しかも、ホーチミンではなくサイゴン・・・懐かしい名前だけど(Wikiで検索したら、「現地では今なお「サイゴン」という表現が、様々な場面で使われており、都市名としては「ホーチミン市」よりも通じる」とあり、なるほどと納得)

結局、そういう闇くじ「デー」があり、それに人々は人生を左右されているらしい、という見当はついたのだが、作品が展開していくにつれ人生を左右される、どころではなく闇くじ「デー」に振り回される人々の生活のありように苦しくなってくる。

そこにあるのは混沌、狂乱、そして生へのひりひりする情熱と欲望、現実の残酷さ。

登場人物それぞれが夢を抱いている。

主人公の14歳のロムと彼のライバルのフックもそうだ。彼らはとにかく走る、走り回る。その背中を押しているのもそれぞれが描いている夢だ。

きっと今も走っていることだろう。そう思うと切ない、どんなにたくましく見えても・・・。

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ぶあいそうな手紙

2020-09-20 22:48:55 | 映画 は行

2019年/123分/ブラジル

原題:Aos olhos de Ernesto

監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード

出演:ホルヘ・ボラーニ(『ウィスキー』)、ガブリエラ・ポエステル、ホルヘ・デリア(『僕と未来とブエノスアイレス』、ジュリオ・アンドラーヂ(『ゴンザーガ〜父から子へ〜』)

ストーリー:ブラジル南部、ポルトアレグレの街。エルネストは78歳の独居老人。隣国ウルグアイからやって来て46年。頑固で融通がきかず、本が好きでうんちく好き。老境を迎え、ほとんど目が見えなくなった。もうこのまま人生は終わるだけ。そう思っていたある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の友人の妻。エルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。「手紙の読み書き」のため、一人暮らしのエルネストの部屋にビアが出入りするようになるが……それは、エルネストの人生を変える始まりだった。
ワケありのビア、唯一心を許せる隣人ハビエル、昔の友人の妻ルシア、折り合いの悪い息子のラミロ……。 心を正直に伝えられないエルネストが最後に宛てた手紙の相手は?~HPより

 

久しぶりに川越スカラ座でこの『ぶあいそうな手紙』が公開されていることを知り先日出かけた。

このコロナ禍の中、どこも観客数・座席数を減らしての上映だが、川越スカラ座も同様の対応中、そしてそれ以外は検温、手指消毒、マスク着用、飲食禁止など、今はどこでも普通になっていることをしての鑑賞だ。

そうした中で観たこの作品。

ウルグアイからブラジルにやって来て以来、一度もウルグアイを訪れることなく過ごし生活しているエルネスト、その彼の隣人のハビエルとのその丁々発止のやり取りがユーモアに満ちて面白く、そして心にじんわりしみてくる。

若いビアとの出会いによって、エルネストは今までの世界に風穴があけられ、同時に心も解放されてゆく。

作品の中に映し出されるポルトアレグレの風景、暮らし、そして若者が集まり詩を熱く朗読する情景が印象深い。

隣人のハビエルとはスペイン語でやり合い、息子にもスペイン語で話しかけるエルネスト、ポルトガル語を話すビアにスペイン語を教えて欲しいと言われ教えるエルネスト。映画の中ではスペイン語、ポルトガル語、そして二つの言語が混ざり合ったポルトニョールと呼ばれる言葉も聞こえてくる。

一通の手紙から始まる物語は、様々な人間模様を映し出しながら思いがけない手紙を導いていく。

ああ、いいなあ~!!と晴れ晴れした心持ちで席を立った

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ぼくらの家路

2015-12-03 00:02:53 | 映画 は行
          
2014年/ドイツ/103分
原題:Jack
監督:エドワード・ベルガー
出演:イボ・ピッツカー、ゲオルグ・アームズ、ルイーズ・ヘイヤー、ネル・ミュラー=ストフェン、ビンセント・レデツキ
ストーリー:10歳のジャックは、6歳になる弟のマヌエルの世話で毎日大忙し。優しいけれど、まだ若いシングルマザーの母は、恋人との時間や夜遊びを優先していた。ところが、ある事件からジャックは施設に預けられることになる。
 友達もできず、施設になじめないジャック。待ち続げた夏休みがようやく来るが、母から迎えが3日後になると電話が入る。がっかりしたジャックは、施設を飛び出す。
 夜通し歩き続けて家に着くが、母は不在でカギもない。携帯電話は留守番メッセージばかり。ジャックは母に伝言を残すと、預け先までマヌエルを迎えに行く。仕事場、ナイトクラブ、昔の恋人の事務所まで、母を捜してベルリン中を駆け回る兄第。小さな肩を寄せ合う二人は、再び母の腕の中に帰ることが出来るのか-?そして、旅の最後に弟を想うジャックが下す重大な決断とは?~公式サイトより

ベルリンの街を舞台に母を探し回る10歳のジャックとその弟で6歳のマヌエル。
二人の子を持つ母親とはとうてい思えない、子どもより自分の恋と遊びのみに生きるシングルマザーのザンナ。
そんな彼女に代って家事と弟の世話をするジャックのこまねずみのように働く姿と、そんなどうしようもない母親を慕い続けるジャックとマヌエルの姿に胸つかれる。
施設での孤独で辛い生活の中に唯一残されていた夏休みになったらママが迎えに来てくれる、という希望が粉々に打ち砕かれた時、ジャックに残されていたのは、とにかく家に戻って母と弟に会うのだ!という思いのみ。その思いに支えられて着いた家には鍵がなくて入れずその上母はおらず、弟は母の友人に預けられていた。
行方不明になってしまった(と二人が思い込んだ)母をベルリンの街中二人は探し回る。その過程で出会う人々、出来事の数々、そしてようやく会えた母のあまりの調子のよさ、屈託のなさに言葉を失う。それでも彼らにとって大事な母なのである。
弟を連れてベルリンの街をさまよう中で、ジャックは大人への階段を一気に駆け上がることになる。
最後のシーンで彼が見せる表情は子どもの衣を脱ぎ捨て大人に脱皮した少年の強い意志を感じさせ、不思議にすうっとある種のすがすがしい風が吹き抜けたように思えた。
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バクマン。

2015-10-30 22:15:27 | 映画 は行
          
2015年/日本/120分
監督:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
出演:佐藤健、神木隆之介、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文
あらすじ:優れた画力を持ちながら将来の展望もなく毎日を過ごしていた高校生の真城最高(佐藤健)は、漫画原作家を志す高木秋人(神木隆之介)から一緒に漫画家になろうと誘われる。当初は拒否していたものの声優志望のクラスメート亜豆美保への恋心をきっかけに、最高はプロの漫画家になることを決意。コンビを組んだ最高と秋人は週刊少年ジャンプ連載を目標に日々奮闘するが……。~シネマトゥデイ

観たいと思っていた『バクマン。』、シネマクラブ メンバーズカードの更新もついでに済ませてこようと新所沢Let'sシネパークで鑑賞した。
原作は読んでいないのだが、パワフルでスピード感溢れる展開にすっかり心を奪われた。
少年ジャンプの編集部、って勿論行ったことはないけれど、こういう風になっているんだ~、とか漫画家の仕事ってこんなにも大変なんだ~、とか、そして、結局物を創り出す現場というのはなべてこういう真剣勝負の場なんだよなぁ~、なんてことを色々考えてしまった。
キャストも役柄にぴったり、という感じなのですっと感情移入してしまう。そして、ジャンプの編集部にしろ最高と秋人の仕事部屋にしろセットが凝っていてリアリティがあり、そこにVFXが効果的に使われているのも楽しい!!最後の最後、エンドロールまで凝っていて、2時間があっという間に過ぎていた
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2015-04-17 22:51:22 | 映画 は行
               
2014年/アメリカ/120分
原題:BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズブロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、
ナオミ・ワッツ、リンゼイ・ダンカン
ストーリー:かつて主演した大人気スーパーヒーロー映画「バードマン」のイメージが払拭できずに、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送るリーガン。私生活でも離婚に娘サムの薬物中毒と、すっかりどん底に。そこで再起を期してレイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』を原作とする舞台を自ら脚色・演出・主演で製作し、ブロードウェイに打って出ることに。ところが、大ケガをした共演者の代役に起用した実力派俳優マイクの横暴に振り回され、アシスタントに付けた娘サムとの溝も深まるばかり。本番を目前にいよいよ追い詰められていくリーガンだったが…。~allcinemaより

パイの皮を積み重ねていくように幾つもの層が重ねられる。台詞が積み重なり、新しい舞台で再起をかけるリーガンと彼の中に内在するバードマンとのやり取りが重なり、現と幻が交差し積み重ねられ、また舞台と現実と過去の栄光の日々がぎくしゃくと積み上げられ、そして人間関係が重なり、そうした諸々の積み重なりが皮肉とブラック・ユーモアを纏って次々に、それこそ息つく間もない、といった感じで観る側に差し出される。
最後のシーンをどうとるかは観る側に委ねられているのだけれど、空を見上げた娘のサムの明るい表情に私も希望を感じていた



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バグダッド・カフェ@kindle

2015-01-05 22:46:14 | 映画 は行
年末テレビでよく見かけた「kindleで映画を観る」というCM。
家でもやってみたい、と何かのケーブルでテレビとkindleを繋げばよいのだろうと思って探してみた。
kindleにはその差し込み口があるのわかっていたが、はたして家のテレビにその差し込み口があるかどうかが問題だったのだが・・ありました
それで年末に電気屋でそのケーブル:HDMIを購入し、↓
                    
kindleの「ビデオ」というところから1本選んで借りてみた。
それまで全然検索もしたことがなかったのだが、借りようと思って探してみると結構色々な作品があることに気付かされた。
それで初めて借りたのは「バグダッド・カフェ[ニュー・ディレクターズ・カット版]」
        
2008年/ドイツ/108分
監督:パーシー・アドロン
出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCHパウンダー、ジャック・パランス
主題歌:「コーリング・ユー」ジュヴェッタ・スティール

観ている時から心がふわっと温かなもので満たされ、人間捨てたもんじゃない、という思いと同時にしみじみとした情感がいつまでも残る。
いつまでも心の内にとどめて、時にそおっと開いてみたくなる・・・。
最初に「コーリング・ユー」が流れてきただけで、もうじーんとしてくるのだ。

“Calling You”

A desert road from Vegas to nowhere
Some place better than where you've been
A coffee machine that needs some fixing
In a little cafe just around the bend

I am calling you
Can't you hear me
I am calling you

A hot dry wind blows right thru me
Your baby's crying and I can't sleep
But we all know a change is coming
Coming closer sweet release

I am calling you
I know you hear me
I am calling you Oh
(Words and Music by Bob Telson)



以前の記事⇒バグダッド・カフェ[ニュー・ディレクターズ・カット版]
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100歳の華麗なる冒険

2014-12-26 23:03:20 | 映画 は行
             
2013年/スウェーデン/115分
原題:Hundraaringen som klev ut genom fonstret och forsvann
監督:フェリックス・ハーングレン
出演:ロバート・グスタフソン、イバル・ビクランデル、ダビド・ビバーグ、ミア・シュリンゲル、イエンス・フルテン
物語:100歳の誕生日を祝われるはずだったアランは老人ホームから逃げ出し、バスに乗ってあてのない旅に出発。偶然降りた駅の近くに住むユーリウスと酒を酌み交わし意気投合。
しかしその道中、ギャングの闇資金入りのスーツケースをひょんなことから入手したため、警察とギャングに追われる身になってしまう。アランはいかなるトラブルに見舞われようとも、超人的なマイペースぶりを発揮。はたして彼は何者なのか?なんと、スターリン、ゴルバチョフ、レーガンなど歴史上の何人もの要人と親交を持ち、20世紀における国際情勢の大きな節目に居合わせてきた‘重要人物’だったのだ。摩訶不思議な人生をおくってきたアランとその仲間たちとの新たな冒険がはじまる。~チラシより

自分がそうなりたいと願った訳ではないのに、歴史の重要な場面に幾つも立ち会うことになってしまったアランじいさんの人生と、老人ホームを抜け出しての冒険が同時進行で描かれていて、あははっと何度か笑いながら観た。爆破が大好きなアランじいさんがあくまで飄々としいるのがなんとも可笑しいのだが、周りはいつもてんやわんやになってしまい、しかも彼はその事に一向気付かず~可笑しくて、前向きっていえばそうなんだけど、なかなかこう自然体ではいられないよね、とどこかで眺める自分もいる。それこそがアランじいさん、なんだな~

川越スカラ座のロビー風景
       
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2つ目の窓

2014-09-09 23:34:42 | 映画 は行
            
2014年/日本・フランス・スペイン/120分
監督 ・脚本・プロデューサー: 河瀬直美
出演:村上虹郎、吉永淳、杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳、榊英雄、常田富士男
ストーリー:奄美大島で生活している16歳の界人(村上虹郎)と同級生の杏子(吉永淳)。ある日、島の人々の相談を受けるユタ神様として生きてきた杏子の母イサ(松田美由紀)が、難病で余命わずかなことがわかる。杏子を励ましながらも、神と呼ばれる者の命にも限りがあることに動揺する界人。そんな中、恋人のいる母・岬(渡辺真起子)が醸し出す女の性に嫌悪感を抱いた彼は、衝動的に幼少期に別れた父のいる東京へと向かう。久々に父子一緒の時間を過ごして島に戻った界人だが、岬の行方がわからなくなったという知らせが飛び込んでくる。~シネマトゥデイより

初めて映画館で河瀬直美監督作品を観た。
出だしの海、そして波、波頭の情景から一気に作品に引きずり込まれ、別の世界を旅してきたような気持ちになった。
奄美大島って行ったことはないけれど、海と緑濃い深い山々、ガジュマル、マングローブの木々のある風景も全てが大きな一つの自然の中に溶けあっているのが心に残った。
その圧倒的な自然の中に暮らす人々の日々、そこに紡ぎだされる物語。生があるから死があり、死があるから生がある・・・そして2つ目の窓は・・・
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ぼくを探しに

2014-08-15 00:31:24 | 映画 は行
               
2013年/フランス/106分
原題:ATTILA MARCEL
監督:シルヴァン・ショメ
出演:ギョーム・グイ/アンヌ・ル・二/ベルナデッド・ラフォン/エレーヌ・ヴァンサン/ルイス・レゴ/ファニー・トゥーロン/キー・カイング/ジャン・クロード・ドレフュス/ヴィンセント・デナード/シリル・コートン
ストーリー:物語の主人公は、幼い頃に両親を亡くし、そのショックで言葉を話すことができないまま大人になったポール。姉妹の伯母に世界一のピアニストになるよう育てられ、友達もいない孤独な日々を送っていた。そんなある日、ポールは同じアパルトマンに住む謎めいた女性、マダム・プルーストに出会う。
彼女が淹れたハーブティーは、失われた記憶を呼び覚ます不思議な力を持っていた。無くしたはずの過去は固く閉ざされたポールの心を揺さぶり、彼の人生は少しずつ変化していく――。~チラシより

これは素敵だった~
目の前で両親を亡くしたことで言葉を失い、同時に記憶を心の奥に封じ込めて生きてきたピアニストのポールがふとしたきっかけで知り合うことになったマダム・プルーストのハーブティーによって本来の記憶を取り戻し、言い換えれば自分自身を見つける心の軌跡が描かれる。
と言っては、なんだか身も蓋もない感じだが・・・それぞれが個性的な役者たちが、溢れる色彩、そして音楽によってよりくっきり鮮明に語りかけてくる。
今まで見ようとしなかった自分と対峙しようとし、見つけようとしていく過程は、なんだかロードムービーのよう。
おかしさの中に苦さと切なさが混じる・・・。

切り取られた断片がきらきらとガラス片のように輝きながら記憶の中に降ってくる。
何台か登場するピアノ、特に部屋に置かれていたすごい装飾のグランド・ピアノはその存在感で他のピアノを圧倒していた。
また、誕生日プレゼントの中にあった指の訓練器!!
シューマンが指を痛めた、と映画の中でも言っていたけれど、それはこんな器具だったのかと吃驚。見るからにいやな感じの器具だったな。
幾つも目にした食べ物の中で気になったお菓子の「シュケット」!!
シュー生地にあられ糖がまぶされたシンプルなお菓子というけれど食べたことがないので、いつか食べてみたい。
そして、ハーブティーとマドレーヌが出てくる大きな黒い犬がいて森に迷い込んだようなマダム・プルーストの部屋etc.etc.
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ブルージャスミン

2014-05-30 23:21:09 | 映画 は行
                   

2013年/アメリカ/98分
原題:Blue Jasmine
監督・脚本:ウッディ・アレン
出演:ケイト・ブランシェット(ジャスミン)、アレック・ボールドウィン(ハル)、ルイス・C・K(アル)、ボビー・カナヴェイル(チリ)、アンドリュー・ダイス・クレイ(オーギー)、サリー・ホーキンス(ジンジャー)、ピーター・サースガード(ドワイト)、マイケル・スタールバーグ(ドクター・フリッカー)、マックス・カセラ(エディ)、オールデン・エアエンライク(ダニー)
ストーリー:ニューヨークでのセレブ生活が崩壊し、妹の住むサンフランシスコへとやって来たジャスミン。質素な生活を送る妹の厄介になりながらも、虚栄心が捨てられずに周囲にまるで馴染めない。おのずと精神もますます疲弊していく。それでも華やかな生活を諦めることができず、再びセレブな舞台への返り咲きを期して躍起になるジャスミンだったが…。~allcinemaより

バウスシアターで観る最後の作品となった『ブルージャスミン』、素晴らしい作品だった~
全ての登場人物、出来事が残酷でシニカルな視点で捉えられている。その残酷さはじっと観ているのが辛くなるような緊張感と苦さとひりひりするような痛みを伴って観ている側に迫ってくる。
ジャスミンとジンジャー、ジャスミンとハル・・・ジャスミンと対比されるようにその人間関係が描かれ、また時間も過去と現在を行き来することで対比される。
周囲の人間関係の中で浮きっぱなし、噛み合わないジャスミンがその精神を少しずつ蝕まれながらやがて崩壊していく。
ひょっとしたらこういう事って、どこでもありそうな、また起こりそうな・・・いや、あるよきっと、などと友人と「くぐつ草」で一杯の珈琲を飲みながら語り合ったのだった。
コメント
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