Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

マグダラのマリア

2011-05-30 23:01:42 | 音楽
杉本ゆり氏による『ラウダを歌う会(11)』を受講するのも3回目となった。今回はAdoro te devote(聖体賛歌)とラウダはMagdalena degna da laudare(マグダラのマリア賛歌/コルトナ・ラウダ39番)の2曲だった。トマス・アクィナスの話からその歌に込められた中世の聖歌の解説、そして聖体賛歌の話。私などほんと何にも知らないので、トマス・アクィナスと聞くとやはり哲学者、神学者としてのイメージしか持っていなかったのだけれど、随分多くの賛歌を作っていたということを伺って驚いた。聖体賛歌の大部分は彼の作ではないかというお話だった。中世人ってある特定の分野だけに秀でるだけではなく、幅広いんだ~!!歌ったAdoro te devoteはヘ長調ぽさを感じさせる曲で、オリジナル譜を見ながら(私はラテン語を、またまたわにゃわにゃもぐもぐなりながら)歌った。参加者の方々、みんなすらすら歌われるので、それにくっついていると、あらま、なんとか歌えてる!(気がしてくる
そしてこの日のラウダはマグダラのマリア賛歌だった。マグダラのマリアについて、その当時どれくらい人々が彼女を崇敬していたかという話を含め、講義を聞いているとなんだかわくわくしてくる。トゥッティで歌い、女声・男声で歌い、ドローンを付けて歌いと様々な形で歌ってこの日の講座は終了。心が朗らかになっていたなぁ~!


ところで「マグダラのマリア」というと、私にとっては時代は17世紀になってしまうのだけれど、カラバッジョ(1571-1610)の描いた『マグダラのマリアの法悦』(1606年)がぱっと浮かぶ。光と影に彩られ、圧倒的な存在感を発するこの絵・・・。
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梅雨入り、早っ!!

2011-05-27 23:53:29 | 自然
ご近所の方と、未だ5月だけれどこのまま梅雨になってしまったりしてね、なんて冗談交じりに話していたのが、今日東海・関東甲信越地方が梅雨入りしたとニュースで報じられているではないか。あらまっ

気象庁に寄ればこれは『平年より12日早く、昨年より17日も早い梅雨入り』で『関東甲信地方の梅雨入りの早さとしては、観測史上2番目に早い梅雨入りになります。』とのこと。
何なんだろう、この天候。やはり、地球というこの星がどうかなってる、ってことなんだろうなぁ。

梅雨入り直前の稲荷山公園の木々たち。
写真に撮った場所は緑が瑞々しく美しいのだが、公園内を歩いていて今年特に目につくのは立ち枯れている松の木の姿だ。松くい虫にやられているのだろうか。とにかく相当大きな松の木たちが赤茶色に変色して無残な姿を晒している。
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歌の玉手箱

2011-05-25 23:28:58 | 音楽会
先日、伴奏させていただいているバロック時代の歌を歌うというその名もズバリ『バロック研究会』で『イタリア歌曲集:第一巻』(全音楽譜出版社)36曲全曲を演奏する音楽会が開かれた。
しかし、イタリア歌曲集とはいうものの、表紙にはイタリア語表記で"Arie antiche Italiane"とあるように「作品のオリジナルはほとんどが17、18世紀のオペラや宗教曲のアリアであり、歌曲ではない」(Wikipedia)のに「歌曲」と呼ばれているある意味、不思議な曲集である。しかし、声楽の学習者の殆どはこの曲集を一度は手にし、歌っているというほど、日本ではポピュラーなものだ。(かくいう私も高校時代から通わせてもらった声楽のレッスンでイタリア歌曲を歌えるようになった時は、そりゃあ嬉しかった、それまではひたすら練習曲の積み重ねをしていたのだ。しかし、その頃に習った歌の歌詞は今でもすらすら出てくるんだなあ。逆に最近、覚えたものは直ぐに忘れてしまうのは何故?)
そんなわけで身近にありながら、全曲を一日で演奏するという機会に恵まれたのは今回が初めてだった。36曲を18曲ずつ一部・二部に分け途中15分の休憩を挟み7人のメンバーが歌い継いでいくというこの音楽会。どの曲も知っていたようでいて、今回初めて弾いた作品もあり、知っていた作品でも歌い手によって全然違う表情を見せるのも面白く、実に新鮮で興味深かった。こうして全曲弾く機会に恵まれて、その一つ一つの曲の持つ音楽の底の深さ、そしてしなやかさをつくづく思い知らされたというか再確認できたというか。歌い手の思い、解釈の仕方によって軽やかにも重くも、甘くも辛くも清らかにも自在に変化し全く違う表情を見せることに、そしてバラエティー豊かな作品が集められ散りばめられているこの一冊はまるで歌の玉手箱を開けたようだ!とどっきどきしたのだ。
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睡蓮の咲く

2011-05-21 00:02:56 | 自然
春らしい春を感じる間もなく、一気に初夏になっているという、何だか荒い季節の移り変わりに今年の異常さを思ってしまう。
と汗を拭き拭きそんなことをつらつら考えながら歩いていたら、バス通りに面したお宅の前庭にしつらえられたコンクリートの池に睡蓮が咲いているのに出会った。

寒い時期に水の中を覗き込むと底の方に茶色に枯れて沈んでいる葉の間を金魚がすうすう泳いでいるのが見えていたのだが、今は水面全体を緑の葉が覆っているではないか。何の気なしに通り過ぎて、その緑の中にたった一輪咲いている睡蓮の花のピンクに気付いた。
もう少し近くに寄ってしげしげ眺めた。
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東北太平洋沖地震被災者のためのチャリティーコンサートのご案内

2011-05-19 00:30:12 | 音楽
杉本ゆり氏から、主宰されている『ラウデージ東京』による「東北太平洋沖地震被災者のためのチャリティーコンサート」のご案内をいただきました。
          
時:7月24日(日) 午後1時より
所:カトリック田園調布教会(東急東横線・目黒線・多摩川線「多摩川」駅より線路沿いを徒歩5分)、聖クララ聖堂(信徒会館の方から入る小聖堂)
出演:ラウデージ東京(監修・指揮:杉本ゆり)
主催:フランシスコ会田園調布教会内、ベヴァーニャの会
連絡先:(090-4940-9726 赤尾泰子)
曲目:ビクトリアの受難モテット、中世のマリア賛歌、復活コラールなどを
たどり、苦難から復活の栄光への希望を見出します。
入場無料です。献金をお願いいたします。

杉本ゆり氏からのメッセージ
~このたびの震災の被災者支援のため、カトリック田園調布教会の聖クララ聖堂でラウデージによるチャリティコンサートの依頼をいただき、お受けしました。微力ながら精一杯がんばりますので皆様にご案内する次第です。お誘い合わせのうえ、是非お出かけください。入場は無料です(献金箱が置かれると思います)。特に予約の必要はありませんが小聖堂ですので席に限りがありますのでお越しくださる方はお早めにご来場ください。
よろしくお願いいたします。杉本ゆり~
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ブラック・スワン

2011-05-16 23:31:02 | 映画 は行
             
2010年/アメリカ/108分
監督:ダーレン・アロノフスキー
キャスト:ナタリー・ポートマン、バンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー

大抵の作品の場合、エンド・ロールが流れている時に立ち上がって席を後にする観客が必ずいるのが、この作品に関しては珍しくも劇場に灯りが入るまで立ち上がった観客の姿はなかった。見事に全員が座っていたのだった・・・みんな、動けなくなっちゃったのかな?など思ったり。
現と幻の境界が次第次第に曖昧になり、自分を追い詰め、追いこんでいく二ナの鬼気迫るというか狂気の世界に幻惑された。バレリーナ・ニナを演じたナタリー・ポートマンを始め、二ナの母親、ライバルのリリーも素晴らしかった。そして映像の美しさ、怖さが一体となった「白鳥の湖」の舞台の初日は圧巻だった。しかし、なんでだろう?作品全体を振り返った時、私は映像のインパクトの強さの割に感動が深まらなかった気がする・・・不思議。        
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風に吹かれて

2011-05-14 23:59:57 | 自然
   
旅立ちを待つタンポポの種。
もう一吹きの風がやって来たなら、その時こそが旅立つ時。

仰げば緑の影。はるか上方に緑を透かして空がある。
石垣の石と石の間から白い花<タツナミソウ>はこぼれ咲き
 
誰かが丹精しているポピーが華やかに開いている。
            
緑の風に吹かれながら歩いていると、何が現実なのかふとわからなくなる。
しかしまぎれもなくこれも現実、そして福島原発のメルトダウン(炉心熔解)も現実なのだ。
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お散歩日和

2011-05-07 00:02:57 | 自然
のんびりカルガモたちが並んで川岸を散歩してました。

「おっ!!」
「なんだろ!」
と後ろの2羽が川面を気にして頻りに振り返り、振り返りしてました。
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SOMEWHERE

2011-05-06 00:22:33 | 映画 さ行
             
2010年/アメリカ/98分
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポンティアス
ストーリー:ハリウッドの人気俳優、ジョニー・マルコは、かつて伝説のスターたちも暮らしていたホテル“シャトー・マーモント”で暮らしている。享楽的で華やかだが、空虚な日々だ。腕を骨折し、ギプスを余儀なくされたジョニーのところに、11歳の娘・クレオがやって来た。前妻・レイラが「しばらく家を空ける」と出て行ったため、彼女を預かる事になったのだ。ジョニーとクレオはシャトー・マーモントで穏やかな親子らしい日々を過ごす…。~goo映画より

ソフィア・コッポラ監督の最新作という『SOMEWHERE』、終了日間近ということでバウスシアター(2)はほぼ満席。観終わって劇場を出たら次の回を待っている観客が列をなしていた。観られて満足~
“シャトー・マーモント”で暮しているジョニーの華やかな日常がとにかく丹念に描かれる。それは華やかで刹那的なのだけれど、それも彼にとって「生活」の一つの形であることに気付かされる。そして、どうしようもないほどの深い孤独と虚無を内に抱え込んで生きているということにも。そうした孤独と虚無を大なり小なり持たずに生きている人間がいるだろうか、とも。だからこそ、深いところで共感を呼ぶのではないだろうか、と思う。そんな出口のない毎日の中に飛び込んできたジョニーの娘クレオとの生活は特別なことがあるわけではなく、二人の生活は何気ない仕草と会話とで紡がれ織りだされていく。ジョニーがゴルトベルグ変奏曲のアリアを椅子にくったりして眠っているクレオを背中にして一心にとつとつと弾いているシーン、よかったな~♪(それにしても、クレオの透明な妖精のような美しさ)そうして紡ぎだされた一つ一つが心にもたらす意味、大きさに気付いた時・・・観終わって心に残るのは「希望」だった。
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子どもの日点描

2011-05-05 22:36:37 | 日々の雑感・近況
5月5日は子どもの日。駅までで見かけた鯉のぼりは児童館横の駐輪場の自転車の上のこちら(↓)だけだった。こんなに鯉のぼりを上げている所って少なかったかしらん?と思いつつ写真に収めてみた。
風をはらんで雄大に空を泳ぐ鯉のぼりが見たいな、なんてひそかに夢みる私。
   
道端に咲いていた鮮やかな色の矢車草。調べてみると、ヤグルマギクというのが正しい名前なんだそうだ。
この花を見るとああ鯉のぼりの季節が巡ってきたと思う。
 
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100,000年後の安全

2011-05-04 22:10:43 | 映画 さ行
                 
2009年/79分/デンマーク・フィンランド・スウェーデン・イタリア
監督:マイケル・マドセン
出演:T・アイカス、C・R・ブロケンハイム、M・イェンセン

これは22世紀の完成を目指してフィンランドで建設中のウラン燃料のゴミ捨て場、それはヘルシンキから西に241kmの島、オルキルト島に作られているフィンランド語で「隠れた場所」を意味する「オンカロ」と呼ばれる放射性廃棄物処理場についてのドキュメンタリー作品だ。実際にオンカロが完成すればもうその姿をこのように見られる機会は永久になくなり、地下深く放射性廃棄物はその放射能の半減期100,000年眠り続けるのだ。映像は淡々と関係者の話とオンカロの映像を積み重ねていく。放射能の扱いの大変さ、怖さを改めて考えるとともに、その徹底した情報公開のあり方に、福島原発事故が起こっている今、改めて求めているのはきちんとした情報なのだと、「大丈夫」としか言わない日本の政府、東電そしてそれをただ伝えるだけの報道にオンカロとの際立った違いに愕然とする。
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まほろ駅前多田便利軒

2011-05-02 22:42:46 | 映画 ま行
                
    <お困りごとは アフターケアも 万全の 多田便利軒へ。>
2011年/日本/123分
監督・脚本:大森立嗣
原作:三浦しをん
音楽:岸田繁
出演:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、横山幸汰、梅沢昌代、大森南朋、松尾スズキ、麿赤児、高良健吾、岸部一徳
ストーリー:東京郊外の地方都市“まほろ市“で便利屋を営むバツイチ男・多田のもとに、ある年の正月、高校の同級生・行天が転がり込んでくる。多田の手伝いをするのを条件に行天は彼の家に住み着き始めるが、そんなふたりの店には曲者の依頼人が次々と訪れるのだった。~「ぴあ映画生活」より

久しぶりに邦画を観た。瑛太と松田龍平が便利屋の看板を横にして佇んでいるチラシを見た時から、二人の表情と視線が気になっていた作品だった。
これ以上一言でも多くても、逆に少なくても成り立たないような台詞と、そこにある「間」とが独特の空気を醸し出していて、それを観ている私も自然にその世界に引き込まれていた。一見、世捨て人のように見えてでも決して投げやりでなく生きている多田と、まるでどこかからふいっと舞い降りてきた天使のような、天使というにははなはだひねているのだが私にはそう思えた行天とのコンビが絶妙で、生真面目さとユーモア、緊張と弛緩に翻弄されていた。二人も興味深いが、二人をを巡る登場人物もみんな一癖も二癖もあって面白いのだ。
「多田便利軒」が近くにあったらいいのにな~
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