Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

灼熱のタランテッラ カンツォニエーレ・グレカニコ・サレンティーノ

2023-09-29 23:43:20 | 音楽

”地中海の眩いばかりの太陽 

毒グモ、タランチュラの解毒のために踊り続ける伝説の音楽、タランテッラ”

ピアノ曲で「タランテラ」といえばブルクミュラーの作品をはじめ激しいまた情熱的な踊りの曲という印象を持っている。

Wikipediaには「3/8または6/8拍子のテンポの速い曲である。曲名は、タラントという町の名前に由来するという。また、同じ町の名を由来とする毒蜘蛛のタランチュラに噛まれると、その毒を抜くために踊り続けなければならないとする話から付けられたという説もあるほか、その毒の苦しさゆえに踊り狂って死に、それを表現したという説もある。」とある。

私が最初に弾いた「タランテラ」で当時習っていたピアノの先生が”毒の苦しさに踊り狂って死んでしまう様を表した”と話してくださったのを、幼心に「なんて怖い!踊り死ぬなんて!」と驚愕したのを今でも鮮明に覚えている。

余談だが、その印象、タランテラという毒蜘蛛を想像すると怖くて怖くて、その当時はやっていた楳図かずおと古賀新一のホラー漫画で蜘蛛女とかページに踊っているのを見ると戦慄したものだ。

それはともかく、戦慄のタランテラではなく、この度は「灼熱のタランテッラ」である。

解毒のために激しく踊って汗と共に毒を排出するためのダンスだというタランテッラ、これは聴いてみたい!

楽器、歌、踊りが舞台上に溢れ、その音楽の中にいる観客もその中に自然に取り込まれ、気が付けば音楽の渦の中に飛び込んでいた。

今回が初来日だという「カンツォニエーレ・グレカニコ・サレンティーノ:CGS」、強烈で熱狂的、そして魅力的だった。

プロフィール:カンツォニエーレ・グレカニコ・サレンティーノ Canzoniere Grecanico Salentino
イタリア南部に伝わる民俗音楽/舞踊「タランテッラ」(の特にピッツィカ)を代表する最重要フォーク・バンド。失われつつあったプーリア州サレント地方の伝統文化をよみがえらせるべく1975年に結成され、タランテッラ/ピッツィカの復興とモダニゼイションの運動を牽引してきた。古来より様々な民族が去来する地中海の十字路プーリア州は、いくつもの文明/文化(ギリシャ、ローマ、トルコ、アラブ、ノルマン等々)が堆積、混交してきた地域であり、C.G.S.の音楽はその結晶とも言える。2007年にバンド・リーダーはダニエーレ・ドゥランテから、タンブレッロの名手である息子マウロ・ドゥランテに引き継がれ、メンバーも世代交代。現在は女性ダンサーを含む7人編成。タンブレッロ(大型タンバリン)、アコーディオン、ヴァイオリン、バグパイプ、ギターなどが用いられ、曲によってはメンバー5人がタンブレッロなどパーカッションを叩き、歌う。

マウロ・ドゥランテ Mauro Durante :タンブレッロ(大型タンバリン)、ヴォーカル、ヴァイオリン
アレッシア・トンド Alessia Tondo:ヴォーカル、パーカッション
ジュリオ・ビアンコ Giulio Bianco :イタリアン・バグパイプ(サンポーニャ)、ハーモニカ、リコーダー
マッシミリアーノ・モラビト Massimiliano Morabito :ダイアトニック式アコーディオン
エマヌエーレ・リッチ Emanuele Licci :ヴォーカル、ギター、ブズーキ
ジャンカルロ・パリャルンガ Giancarlo Paglialunga :ヴォーカル、タンブレッロ(大型タンバリン)
シルヴィア・ペッローネ Silvia Perrone :ダンス   ~チラシより

カーテンコール以降は写真撮影OKということで撮った2枚。

 

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金曜コンサート『歌はいつも穏やかで優しい』@武蔵ホール

2023-09-23 22:20:03 | 音楽会

昨夜、武蔵藤沢の「武蔵ホール」で開催されました金曜コンサート『歌はいつも穏やかで優しい』(ソプラノ:いとうたつこ、ピアノ:守谷としえ)終了いたしました。

夕方から雨になるという生憎の天気の中、たくさんのお客様にご来場いただきましたこと、心から感謝申し上げます。

ピアノはベヒシュタイン、とても弾きやすいピアノでした。

響きのよいホールで、リハーサルの時には逆に響き過ぎて心配になるほどでしたが、本番はお客様が入られて響きの具合が丁度よくなったように感じました。

終演後、ロビーでお越しいただいたお客様とお会いし少しではありましたがお話しできたことは、ここ3年くらいはできなかったことでしたので本当に嬉しく、少しずつ、こうしてコロナ前は当たり前にできていたことが今ようやく戻りつつあるのだと感慨深いものがありました。

またお会いいたしましょう!

ありがとうございました。

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2023 所沢市民合唱祭

2023-09-18 22:19:38 | 音楽会

昨日9月17日(日)、所沢市民文化センター ミューズ・アークホールにて『2023 所沢市民合唱祭』が開催されました。

去年は会場の改修そしてコロナ禍で4年ぶりに開催された『所沢市民合唱祭』、1年後の今年はどうか以前のような「普通」の合唱祭に戻っていて欲しいと願っていたことを思い出します。

コロナがなくなったわけではないですし、用心そして予防はしなければなりませんが、それでも今年は通常の形に取り戻しつつあることを強く感じることができた合唱祭でした。

マスクは舞台上ではどの団も外して演奏をしていたように見受けられましたし、客席ではマスクを着けてはいても一般のお客様も入場可能となって随分合唱祭らしくなっていました。

どの団もこの日ミューズの大ホールに集い、この舞台で歌える喜びに満ち、歌うのもそれを聴くのも幸せでした。

合唱っていいなあ~♪としみじみ感じました。

この日私が伴奏をいたしました合唱団とプログラムはこちらでした。↓

合唱団『所沢「ねむの会」』(指揮:奥村さゆり、ピアノ:守谷としえ)

女声合唱とピアノのための組曲「みやこわすれ」より みやこわすれ 詩・野呂昶、作曲・千原英喜

女声合唱組曲「花々の記憶」より 紫陽花 詩・みなづきみのり、作曲・北川昇

合唱団「せせらぎ」(指揮:南宗興、ピアノ:守谷としえ)

見上げてごらん夜の星を 作詞・永六輔、作曲・いずみたく、編曲・今村康

時無草 詩・室生犀星、作曲・磯部俶

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テノール!人生はハーモニー

2023-09-10 22:05:12 | 映画 た行

2022年/101分/フランス

原題:TÉNOR

監督:クロード・ジディ・Jr.

出演:ミシェル・ラロック、MB14、ギヨーム・デュエーム、ロベルト・アラーニャ

ストーリー:芸術の中心地パリ、オペラ座・ガルニエ宮。スシ屋の出前でやってきた青年がエリートレッスン生に見下され仕返しに歌ったオペラの歌真似がプロも驚くまさかの超美声!?彼の名はアントワーヌ。ラップが趣味のその日暮らしのフリーターだ。そんな彼の才能にほれ込んだオペラ教師マリーはバイト先にも押しかけ猛スカウト!次第にオペラに興味を持ちはじめるアントワーヌは、“オペラ座とは住む世界が違う”と思いながらも、内緒でマリーとふたりのオペラ猛レッスンを始めるがー。

音楽オーディション番組「THE VOICE」で注目されたビートボクサーのMB14が主演を務め、自らオペラ歌唱にも挑戦。「100歳の少年と12通の手紙」のミシェル・ラロックがオペラ教師マリーを演じ、世界的テノール歌手ロベルト・アラーニャが本人役で出演。~映画.comより

たまたま訪れたオペラ座で出会うスシ屋のデリバリーの青年アントワーヌとオペラ教師マリー。

話の展開の予測はつくのだが、その予想がどうかあたっていますように!と願いつつ画面を見つめていた。

”何年もかけてオペラ座を説得し撮影に成功した絢爛豪華なガルニエ宮、グラン・ホワイエ(大広間)も必見”

ということで、パリのオペラ座の内部もたくさん見ることができて、美しい!と感嘆しながら楽しんだ。

とにかくアントワーヌ(演じたのはビートボクサーのMB14)がオペラに傾倒していく様子が、わかる!いいよね~♪と共感しながら、そして彼が段々オペラ歌手となっていく姿に感動する。

アントワーヌ:MB14もすごいが、アラーニャはすごかった。

ちょこっと歌うだけなのだが、ああ、オペラ歌手だ~!とすうっととその歌声が心に響いてくる。

観終わって、歌っていいなあ~!と改めてしみじみ思う。

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EOイーオー

2023-09-09 23:05:35 | 映画 あ行

2022年/88分/ポーランド・イタリア合作

原題:EO

監督:イエジー・スコリモフスキ

出演:サンドル・ジマルスカ(カサンドラ)、ロレンツォ・ズルゾロ(ヴィトー)、マテウシュ・コシチュキェビチ(マテオ)、イザベル・ユペール(伯爵夫人)

ストーリー:愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人らさまざまな善人や悪人との出会いを通し、EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく。

 

酷暑の続く今夏、あまりの暑さに”映画館へ行きたしと思へども 映画館はあまりに遠し・・”

ほんとは近場の映画館しか行かないくせに、外に一歩出ると真っ白にかっと照りつける太陽に気持ちが萎えていた。

しかし、この『EO』は友人からのお勧め作品だったので、川越スカラ座でこの夏公開されたので元気に出かけた。

ロバのEOがのんびり旅するロードムービー、という作品かなと思って出かけたのだが、まるで違っていた。

確かにEOの黒々とした大きな目を通して世界が映し出され、いつの間にかその目に魅入られ、その目になってしまって一緒に旅をしていた。

旅というとそこに何かを期待させるが、旅の間ずうっと悲しみが通奏低音のように鳴っているのに気付かされて苦しくなる。

壮大な映像詩、そして流れる音楽にこんなにも心が揺り動かされるかとその力に圧倒された。

 

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