老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

悪党たちの宴(2)―深刻な公のモラルハザードは国家の崩壊を招くー

2019-12-02 11:13:35 | 安倍内閣
🔷タガ(司法機関のモラル)を喪失した日本

「西遊記」という物語がある。シルクロードを旅し、仏の教えを学びに出かけた三蔵法師と共をした孫悟空、猪八戒、沙悟浄などの活躍を描いた作品。

三蔵法師は、従者の中で一番荒くれ者の孫悟空の頭に「タガ」をはめた。孫悟空が道を外れたわがままをするたびに、頭にはめた【タガ】が締め付けるのである。何度か【タガ】を締め付けられた孫悟空は、そのうち次第に道を外れた行いをしないようになっていく。

現代社会で【タガ】にあたるのが法。この法を執行するのが警察や検察。それを裁くのが裁判所。この三つ合わせて司法機関という。この司法機関が、人によって「法」の執行を変えるのでは、【法の下の平等】は実現できない。

森友事件の籠池氏夫妻は、300日以上拘禁をされ、公での発言を封じられた。おまけに、詐欺罪で懲役7年を求刑されている。先日、安倍晋三のポスターを刃物で切りつけた80過ぎの老人が逮捕されたようだ。彼は「安倍晋三の権力の私物化」が許せなかったと供述しているようだ。

これが現在の日本の状況。繰り返される安倍晋三一派の非違行為には、全く手つかず。参議院選挙で安倍晋三に野次を浴びせた聴衆は、警察が排除する。ポスターを傷つけた人間は即逮捕。二人も轢き殺した経産省の元NO2は、逮捕もされず、書類送検でお茶を濁す。

これだけ露骨な差別的法の適用を見せられると、もはやこの国は、将軍様の独裁国家と何がどう違うのか、という疑念を拭いきれない。

🔷文書改竄、文書廃棄、証拠隠滅が常態化した国家

日刊ゲンダイに言わせると、この政権の常套手段は、【消しゴム】手法。

・・・・・・福井県の高浜原発に絡んで高浜町の元助役が関西電力幹部に巨額の現金や商品券、小判まで配っていた一件は、政治家の関与も疑われたのに、関電の問題に矮小化してフェードアウト。メロンやカニを選挙区の有権者に贈っていた経産相は、国会でヤリ玉に挙げられ、秘書が経産相名で香典を渡していたことが報じられると、スピード更迭。そのわずか1週間後、法相の妻である参院議員の選挙事務所がウグイス嬢に法定額の2倍の報酬を支払っていたことが報じられると、今度は国会での追及すらされないまま、法相を即座に更迭した。

 来年度から導入予定だった大学入試の英語民間試験を延期したのも、消しゴム手法だ。民間試験に問題があることは1年以上前から関係者が声を上げていたのに、文科省は「決定事項」として一切見直す姿勢を見せなかった。それが、萩生田文科相の「身の丈」発言で一転。安倍の最側近とされる萩生田を守るため、つまりは政権維持のために萩生田ではなく、試験をリセットしたのである。

 そして桜を見る会の中止。今回も常套手段のリセットで窮地から逃れるつもりだろうが、これまでと根本的に異なるのは、安倍の後援会の問題なのだから、安倍本人しか説明できないことだ。中止したって、追及はやまず、国民の不信感は消えない。・・・・・

今回の花見疑惑。あきれ果てて声も出ない。集めも集めたり。山口県から約850人。徳山空港から羽田空港。そこから貸し切りバスで東京都内見物。ホテル、ニューオオタニに宿泊。夜は、大広間で懇親会(立食パーテイ)。翌早朝貸し切りバス17台で新宿御苑。開門前(受付前)に入園。安倍夫妻と写真撮影。

これで税金の私物化がないなど良く言えたものだ。要するに、選挙活動を国費で賄っている。850人一人一人の功績などを出してみろ。個人情報だから言えない、など、どの面下げて言えるのか。

「桜を見る会」の前夜行われた懇親会(前夜祭)の費用が一人5千円で済むわけがない。最低でも1万円以上はする。(まして、ニューオオタニ)たしか、マツコがニューオオタニ内部を見学する企画があった。その時、前夜祭の大広間が紹介されていた。マツコが冗談に「わたしの結婚式をここで挙げようかしら」と言うと、ホテルの広報らしき人が「会場費は900万円です」と言っていた。

これが正しいとすると、850人×5000円=425万円。会場費の半額にも満たない。これに飲み物、食事などを含めると、どれだけの額が足りないか。小学生でもできる計算。この差額がどこから捻出されたか。安倍事務所の連中はその辺りはプロだろう。(親族一同、政治家一家。公職選挙法違反になるようなへまはしない)

報道によると、この問題が公になって以降、安倍首相はニューオオタニの今井氏(元経団連会長)と二回会っている。その他、ニューオオタニの幹部とも会っている。常識的に考えれば、口裏合わせができている、と考えるのが至当。

さらに安倍首相とニューオオタニの幹部はある宗教を信仰している仲間だとの報道もある。ニューオオタニと安倍政権の関係は思ったより深いのだろう。

🔷地元の事情

全国紙やTVなどでは、あまり指摘されないが、山口県(特に下関市近辺)の連中が東京まで出かけるとなると大散財。発表された金額と小遣いを含めると軽く10万円以上になるはず。その金額を850人以上の人間が捻出して東京まで出かけたというのは信じられない。

そんなに山口県(下関市近辺)の連中は裕福なのか。同じ中国地方だからある程度山口県の県民性は理解できるが、金銭にはかなり堅実な県民性。ありていに言えば倹約家。そんなに簡単に政治家が主催するイベントに10万円以上出して参加するような県民性ではない。絶対何らかのからくりがあるはず。

下の山口県出身のブログの筆者は以下のように書いている。

・・山口県民の850名もの人間が、この程度のツアーに10万円も出すのでしょうか、ほんとうに信じられません。
むしろ、タダに近いカネで行けたから850人も集まったと観るのが自然です。
ちなみに、筆者も山口県出身なので、山口県民の金銭感覚はよくわかります。普通の山口県民にとって、東京に行くだけで、大出費なのです。・・・・・・・新ベンチャー革命 
http://www.asyura2.com/19/senkyo267/msg/435.html

上のブログの筆者は、ニューオオタニの前夜祭の5000円だけ払ったのではないか、と推測している。

どうもこの憶測は当たらずと言えども遠からずだったようで、今週号の週刊文春がスクープを書いている。

・・・安倍首相は参加者は全て自己負担だと釈明していたが、どうも釈明とは違う資料がでたようだ。
これは、自由民主党山口県第四選挙区支部(以下第四支部)の収支報告書に添付された領収書で、第四支部が約89万円を「サンデン旅行」(山口県下関市)に支出したことを示している。

サンデン旅行は安倍事務所と協力して「桜を見る会」ツアーを組んだ旅行会社であり、但し書きに記載された日付は、2015年の「桜を見る会」および「前夜祭」が行われた日付と符合している。ツアー参加者らの証言からは、参加者の接待のために地元事務所の秘書やスタッフがこぞって上京していたことが判明しており、この「89万710円」は、彼らが上京する際の旅費だったと見られる。・・・
安倍首相が代表の選挙区支部 「桜を見る会」に旅費支出の疑い
https://bunshun.jp/articles/amp/15834?page=1
11/27(水) 16:00「週刊文春」編集部 文春オンライン 

東京新聞には、この事実を首相側が認めたという記事が出ている。
・・・首相側、スタッフ旅費支出認める 15年桜見る会巡る週刊誌報道
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019112801002335.html
2019年11月28日 21時17分 東京新聞

・・・・ 2015年の「桜を見る会」を巡り、安倍晋三首相の地元事務所が、地元支援者らのツアーに同行するスタッフの旅費を支出したとする週刊文春報道について、事務所は28日、旅費の支出を認めた。スタッフは会に合わせて上京したとして「桜を見る会を含め、必要な業務を行うため」としている。野党追及本部の公開質問状に回答した。

 ツアーは事務所が募集し、後援会関係者が多数参加していた。「必要な業務」には、ツアー関連も含まれる可能性があり、首相はさらに説明を求められそうだ。

 首相は、全費用が参加者の自己負担のため事務所などには収支が発生していないなどと説明している。・・・・

このサンデン旅行を含むサンデン交通は、安倍氏のライバル・林参議院議員の実家が所有している企業であり、林氏本人もかつて、そこに勤務していた。

安倍首相と林参議院銀の勢力争いは、地元では有名で、下関市市長選などでしばしば対立している。林自身は、東大・ハーバード大卒の超エリート。できれば、衆議院に鞍替えしたいが、安倍首相と同じ選挙区。これが彼の悩みの種。今回の領収書が出たのにも多くの含みがあるようだ。

内閣府が「桜を見る会」の招待者名簿を廃棄したことなどを、27日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)が呆れた調子で報じている。

同紙は、自衛隊の日報問題、モリカケ問題などにおける隠蔽体質ムキ出しの安倍政権の文書の扱いも紹介。

「桜を見る会」名簿をめぐる内閣府の苦しい説明と、実地で文書をシュレッダーで廃棄する野党の追及を説明したうえで、「報道によると、シュレッダーは『ナカバヤシNSC-7510Mark3』で、日本政府の隠蔽工作のシンボルになっている」と揶揄している。
(27日付)https://www.washingtonpost.com/world/asia-pacific/the-strange-tale-of-japans-prime-minister-official-documents-and-a-very-large-shredder/2019/11/27/f5cf5276-10e8-11ea-924c-b34d09bbc948_

こういう記事は、日本と言う国家の地盤沈下を加速する。欧米では「公の場面で平気で嘘をつく」人間や組織は、全く信用されない。わたしたちは、この影響を深刻に考えた方が良い。

🔷「桜を見る会」で反社会勢力が参加しており、菅官房長官との二ショットの写真が出された問題。

・・問題になった芸能人が反社勢力に利用されたのに対し、『桜を見る会』の場合は、政府が反社勢力を招待し、税金で接待しているのですから、闇営業より悪質と言えます。菅官房長官は、反社の出席を知らなかったと言っていますが、反社の宴会との認識がなかった芸能人は厳しく処分されています。首相主催の宴会なら反社の参加は許されるのか。そんなことがまかり通れば、社会のモラルは崩壊してしまいます」・・・

桜を見る会で反社と撮影…闇営業より悪質も菅氏は開き直り
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/265421
2019/11/28 日刊ゲンダイ

この問題。日刊ゲンダイは追及の手を緩めない。
・・・・・
 週刊誌「フライデー」(講談社・12月6日号)によると、元暴力団員の奈良県高取町議が昨年の「桜を見る会」に出席。経緯について「自民党系の代議士などが集まる勉強会に参加したら、そのメンバーに誘われたんです。招待状を持っていなかったんですが、受付に行ったら何のチェックもなく入れました」と語っていた。つまり、受付で「自民党関係者」と言えば、簡単に入場できる可能性があったのだ。

「週刊朝日」(朝日新聞出版社・11月29日号)は、暴力団に詳しい人物のコメントとして、「数年前、会場で、暴力団系の団体の幹部を見ました。【中略】彼は20人くらい引き連れていて、中には高級クラブのホステスが3~4人いました」という証言を掲載していた。・・・・・・
「桜を見る会」は“フリーパス” 反社勢力が大挙の驚愕実態
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/265486
2019/11/29 日刊ゲンダイ

かっての自民党党人派の中には、暴力団との関係の深い人物が何人かいたと言われている。東映の任侠映画でもしばしば政治家が登場する。ただ、山口組と警察組織の対立が鮮明になってからは、そういう議員は姿を消したとされていたが、どうやらそうではなかったようである。闇世界とのつながりが云々されるようでは、何の進歩もないと言われても仕方がない。

🔷ジャパンライフ問題

さらに重大な問題は、詐欺的商法に捜査のメスが入った【ジャパン ライフ】の元会長山口隆祥氏が2015年の「桜を見る会」に出席していた問題である。山口隆祥氏を推薦したのは誰か、が大問題になり、11月30日になってようやく総理・官邸推薦枠である事を内閣府が認めた。

ジャパンライフのマルチ商法は、たびたび社会問題化してきた。結果、ジャパンライフは、2400億円超の負債を抱えて破産、債権者集会が開催された。しかし債権者への返済はほぼ絶望的な状況になっている。ジャパンライフをめぐっては警察当局も特定商取引法違反や詐欺容疑を視野に本格捜査が開始している。

問題はこのジャパンライフの広告塔に多くの政治家や言論人などが名を連ねている事である。

安倍首相の側近の加藤勝信厚生労働大臣。二階俊博幹事長。御用ジャーナリスト田崎史郎、NHKの島田敏雄など。その他、芹川洋一・日本経済新聞社論説主幹(当時)。元読売新聞社東京本社編集局長の浅海保、元朝日新聞政治部長の橘優、毎日新聞社の亡くなった岸井成格・特別編集委員と倉重篤郎・専門編集委員、『報道ステーション』(テレビ朝日)コメンテーターでもある後藤謙次など。・・・

(リテラ)ついに家宅捜索「ジャパンライフ」と安倍政権の黒い関係! 首相の最側近や田崎史郎らメシ友記者が広告塔に
https://lite-ra.com/2019/04/post-4678.html

🔷ジャパンライフ会長 山口隆祥氏を【桜を見る会】に招待

・・・そして極め付けが2015年に開催された安倍首相主催「桜を見る会」だろう。2014年9月にジャパンライフは消費者庁から文書で行政指導を受けていたにもかかわらず、この首相主催の会にジャパンライフ創業者の山口会長本人が招待されているのだ。しかも、ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せ大々的にアピール、また勧誘や説明会で「招待状」を顧客に見せ、その関係を利用しようとしていた。つまり側近政治家だけでなく安倍首相もまた“広告塔”としての役割を果たしていたと言っていい。・・・リテラ、前掲ブログ

産経新聞などは、口角泡を飛ばして、「桜を見る会」問題など、天下国家の問題に比べれば大した問題ではないと論じているが、この展開を見ていれば、産経新聞などの論は全く的外れである事は明らか。

🔷【神は細部に宿る】

今回の「桜を見る会」問題はこの定義に典型的に当てはまる。この国の文化など様々な分野の進展に功績や貢献のあった人物を招待するのが本来の「桜を見る会」の趣旨。

これを6000人にも及ぶ人員を与党(自民・公明)の推薦枠に取る。1000人を総理枠。1000人を副総理、官房長、副官房長枠。

●上記の事実から言えることは、税金を使って行う「桜を見る会」の本来の趣旨から大きく逸脱している。実質的には、政権与党の選挙区民の慰労の儀式に堕している。⇒税金の私物化

●反社会的人物やジャパンライフの元会長のような犯罪者が招待されている事実から言えること。

①推薦の基準があいまい②推薦された人物に対する事前のチエックがなされていない③当日の入場チエックもきわめて杜撰。(NO1キャバクラ嬢などは、招待状を偽造したなどと言っている)
(金属探知機検査なども行われていない。安倍後援会などは開門前に入れている)⇒セキュリテイの強化で金がかかったなどと言う言い訳は、「寝言は寝て言え」のレベル。これが日本国の警備のレベルと考えると、あまりのお粗末さに声も出ない。

●内閣府の名簿破棄とその後の言い訳:公文書に対する意識の低さ

まず、「公文書」に対する意識の希薄さに唖然とする。【公文書】というものは、国民の共通の財産。公文書を見れば、過去の政策決定の過程、議論の推移。政策決定の意図、目的などを検証できる。正確な検証ができれば、次の政策決定の重要な資料になる。大きく言えば、過去の歴史の正確な検証無くして、未来への正確な道筋は描けない。その為の最重要な資料が公文書である。歴史学で言えば、一級資料そのもの。これを平然と破棄する行為は、おおげさに言えば、歴史に対する冒涜であり、国民に対する「反逆行為」だと思う。

第二に、「公文書」は官僚たちの身を守る武器にもなる。政策決定の正確な記録の保管は、もし、その政策が失敗に終わった場合でも、論議の過程を検証できれば、誤解による責任追及を避ける事ができる。

多少大袈裟に言うなら、公文書は、歴史の検証に耐えうる正確さと緻密さを備えておかねばならない。政治家も官僚もそれぞれの審議会や懇談会の出席者も歴史の審判に耐えうるように真剣に取り組まねばならない。

公文書を重要視し、公文書は細部にいたるまで正確で緻密にきちんと書かれるべき、という文化を確立すれば、公文書を改竄したり、公文書を破棄したりする輩は、犯罪者で国民に対する反逆者であるという認識が形成される。

自らの犯罪的行為や知性に欠けた言動が後世に残ると思えば、そのような行為を躊躇する。これが、政治の公正さと品位を保つことになる。その意味で、公文書管理は、国家の品位そのものと言って良い。

【公文書】をないがしろにする政権や官僚は、もはや国家経営に携わる資格がない、と断言できる。

🔷政治家・選挙区・選挙民の関係(日本の民主主義の成熟度が問われる)

山口県の地元長州新聞は、「桜を見る会」問題について、地元の実情を踏まえた厳しい批判を行っている。

・・「首相お膝元の下関ではいきなり安倍事務所から招待状が届き、「なぜ自分に?」と首をかしげている人も少なくない。安倍後援会の晋友会から招待が届いたと思ったらライオンズクラブからも届くといった調子で、さらに市議からも誘われたとかの話はざらなのである。安倍事務所及び安倍後援会が思い切り呼び込みをしたために、850人もの人人が10万円近い出費をして東京に出向くこととなった。「私も行きたい!」と支持者が押し寄せて安倍事務所が困っていたのではなく、「オマエたち(安倍事務所)が呼んだんだろうが!」と、今になって850人は恥ずかしい思いもしながら心情を吐露している。そして東京から押し寄せる新聞社やテレビ局、週刊誌の記者たちに取材攻めにされることを恐れ、口を堅くしてダンマリを貫いているのである。「領収書や資料を出したら、この街では生きていけない…」などといっているのである。・・・・・
二転三転する桜を見る会を巡る釈明 私物化し詰んでいるのに逃げ回る
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/14420
2019年11月28日 長周新聞

下関市は山口県では県庁所在地の山口市に次ぐ第二の都市。玄界灘、瀬戸内海、日本海の三つの海域から魚が採れ、ふぐで有名な漁業の町。幕末、高杉晋作が奇兵隊を挙兵した赤間神社がある維新ゆかりの地でもある。いまだ、古い人間関係が支配している町でもあり、権力者には逆らえない体質が色濃く残っているようだ。

「領収書や資料を出したらこの町で生きてゆけない・・」というのは、大げさでなく地方都市の住人(特に建設業や自営業など)にとっては真実。政治権力と対立してしまえば、仕事が激減し、それこそ生きてゆけなくなる。選挙の時、出陣式や選挙事務所に顔を出さなかったら、たちまち仕事がなくなるという厳しい世界。

自民党が選挙に強い要因の一つにこの種の【鞭の恐怖】がある。山口県はいまだその傾向が強いようだ。

🔷権力の私物化の行きつく先 (日本人の公と公共の認識の低さが大問題)

今回の問題を一言で言えば、安倍首相の「権力の私物化」に尽きる。安倍晋三首相の「権力行使の私物化、危うさ」は、彼の【公】意識の低さに原因がある。公私の区別をつけず、ただただ「権力行使」の心地よさに酔いしれているとしか思えない。

以前、【権力のデーモン】という話をした。「権力」を握ると言う事は、「悪魔」と手を握る事を意味する。「悪魔」とは、自分自身の心の中に棲みつくもの。この「悪魔」をどう制御するかに、権力者個人の政治理念や道徳観、倫理観、人間性などすべてが問われる。この認識のない人間に権力を持たせてはならない。

儒教の教えである【修身 斉家 治国 平天下】とは、身を修め(知的にも道徳的にも自分自身を磨き)家を斉め(家族間の争いをなくし、家庭内を円満にする)た後に、 治国(国を統治する・・この場合の国は地方国家と考えたほうが良い。中国は広い)を行い平天下(天下を統治する)

中国で言う【天】とは、万物を生じる意味で古代では信仰の対象になっていた。【天】とは天空とともに天帝の意味を持っている。そこから、政治と結びついた。つまり、人の中から智徳に優れたものを選び、これに政教の実権を与え、民を導くという考え方である。同時に、民の向背によって君主の政治責任を問う。これが「天命」という考え方である。

だから、君主は常に天の意思を伺いながら政治を行う必要がある。
【祭り】=天を祭る 
【亀卜】=亀の甲羅の割れ方で占うなどがそうである。

大嘗祭で天皇が行った【祭り】や【亀卜】を見れば、上記の【天】の意味が良く分かる。日本の天皇制は、朝鮮半島の高句麗や百済の影響を強く受けており、朝鮮半島は、中国思想(儒教)の影響を強く受けている。大嘗祭前の【亀卜】占いは古代中国の占いそのものである。

西欧流近代的政治意識を分かりやすく考えると、儒教が【修身 斉家 治国 平天下】を一連のつながりとして考えるのに対して、【修身 斉家】と【治国 平天下】の二つに分けて考えるところにある。つまり、【修身 斉家】の能力と【治国 平天下】の能力とは別物だという乾いたプラグマティックな考え方に基づいている。

戦後、民主主義が導入されたが、日本政治は、【修身 斉家 治国 平天下】を一連のつながりとして考える思想が主流を占めていた。その理由は、戦後政治を担った自民党の政治家の大半は、戦前型教育を受けたエリートが大半であり、戦後教育を受けた世代が育つまでに4~50年かかったからである。

ところが、戦後教育でも、【修身 斉家 治国 平天下】を【修身 斉家】と【治国 平天下】は全く別物の才能がいるという発想は主流にはならなかった。

もし、この乾いたプラグマティズムが主流になっていたなら、教育現場で「政治教育」が盛んに行われ、主権者としての子供の育成こそが、【治国 平天下】の能力の育成の要である事が理解されたはずである。

ところが、教育現場での政治教育を行う事は、自民党と社会党の政治(イデオロギー)対立を教育に持ち込むものだと猛反発を受け、その重要性は国民に認識されなかった。

それに反して、義務教育での道徳教育は、正式教科ではなかったが、教育の右傾化と共に比重が高くなり、ついには正式教科になってしまった。

それほど儒教的な【修身 斉家 治国 平天下】を一連のつながりとして認識するのなら、自らが実践すれば良いのだが、自らの【修身】【斉家】はなおざりにしておいて、国民にだけ求める。

それなら、【治国】【平天下】の能力だけは抜群なのか、と問えば、漢字の読みすら危うい。自らの言動の矛盾など平気の平左。哲学者適菜某などに言わせると【それでも馬鹿と戦え】と完全な無能力者扱い。

一言で言えば、儒教的一元論もダメ、西欧的二元論もダメ。そう言う認識すらない。こういう連中が権力を握って、国家の運営を壟断している。この行く末は、国家崩壊以外ない。

これが白昼にさらされているのが、今回の「桜を見る会」の疑惑。現在の日本政治の救いようのない腐敗と堕落を象徴的に示している。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水

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