老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

安全保障は軍事問題なのか

2023-03-11 14:33:32 | 安全・外交
1,前回のコラムで、「軍事問題の安全保障」という日本政府のスタンスへの疑問を提示したが、今回も、「経済安保」とりわけ「食の安全保障」という視点から、戦後の再検証を考えていきたい。

何故か。現代史家が隠蔽してきた、敗戦直後の食料管理法下で「食糧難」に直面した都市住民の置かれた状況は、現在においても再考するべきだと思うからである。

ロシアのウクライナ侵攻で、日本はアメリカに追随して、経済制裁やウクライナへの援助を大々的に行っているが、物価や光熱費の値上がりはとてつもない状況である。

これは、70年代から本格化した、世界経済のグローバリゼーションの帰結であり、日米が恣意的に宣伝する「共産主義圏は除外する」という虚構の言説とは異なり、グローバリゼーションはロシアや中国を素通りする、と言うプロパガンダ問題ではありえない。

2,時間軸を少し遡って、日本の「食料自給率40パーセント」(現在は37パーセント)という驚異的な数値に焦点を当てたい。私が危惧するのは、何故、日本は食料自給率を40パーセントにして、安心しているのか、ということだ。

結論から先に言うと、この自給率の低迷は、日本の戦後の「食糧難の時期」に遡る問題であり、おそらくこの時期に、アメリカの食料援助と同時に、小麦粉や大豆の輸出(日本なら輸入)が「戦略」として入って来たからに他ならない。

平賀緑さんの著書「食べものから学ぶ世界史」(岩波ジュニア新書)では、アメリカからの植物油と小麦粉の食事転換への誘導があった、という。この時代以降、日本人の食生活は和食中心から転換し、小麦粉の需要が多くなる。具体的には、インスタントラーメンなどの需要が普及した。

また、「和食」と言っても、その実体は輸入食品がほとんどであり、「和食」ということ自体がレッテル詐欺に近い。

3,食料自給率37パーセントの大きな問題点

最後に、何故食料自給率が低いと問題なのか。それは、最初に述べたように、敗戦直後の「食糧難」時代の再現になる可能性が高いからである。

何故か。一番の危機は、日米政府が躍起になっている、中国などへの敵視政策と軍事増強が、単なる防衛問題を越えて、東アジア有事へと一歩踏み出していると思えるからである。

特に、過去の中国の内戦期に、蒋介石が指導した国軍が台湾に移り、台湾政府を樹立して政治的に独立したが、現在、アメリカ政府は、中国が台湾に侵攻すると称して、再び「台湾有事」へと寝た子を起こす戦略を構想している。

これに日本が巻き込まれると、日本列島は隣国であるだけに戦場になる危険性は高い。そうなると、食料自給率の低い日本では、兵站が間に合わず、軍事的な武力の面でなく、食料難が押し寄せると予測できる。

これが、私の危惧する「敗戦直後の食糧難」の再現ということなのである。

次回は、この食糧自給率の低迷を脱却する処方箋の問題を解明する、というテーマに移行したい。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵

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