老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

トランプ訪日狂騒曲異聞

2017-11-08 21:18:21 | 安全・外交
トランプ大統領が来日。訪日前に、パール・ハーバーを訪問。「リメンバー パール・ハーバー」と声高らかに語った。

そして、歴代米大統領として初めて「横田基地」に降り立った。多くの人が、厚木飛行場に降りたったパイプを咥えたマッカサー元帥を思い出したに相違ない。(これに対して正面から批判したのは吉永小百合。彼女の気概に感動しました。)

米国大統領の公式訪問に「横田基地」を使用する、というのは、歴代大統領が慎重に避けてきた。理由は明快。このようなやり口は、日本の属国化、植民地化を印象付け、反米感情を増幅させるだけで、百害あって一利なしと認識していたからである。先に書いた「覇権」の上手なやり方ではない、と言う事である。

以前にも指摘したが、わたしたちは、自問自答しなければならない。自国の首都のすぐ近くに、他国の軍隊を常駐させる基地を提供している独立国家があるのか。しかも、首都圏の空の管制圏も米軍優先。こんな独立国家があるのか。完全な植民地国家ではないのか。これを称して、【横田幕府】と呼ぶ評論家もいる。

米国もそのあたりの事情は百も承知。だから、日米両政府とも、大統領の公式訪問に「横田基地」を使用することは、慎重に避けてきた。

トランプ大統領はそんなことはお構いなし。マッカーサーよろしく、横田基地に降り立ち、自国の兵士の前で演説をする事を優先した。「お前たち日本は米国の属国だ」と行動で宣言したのと同じである。

さらに矢部氏が指摘するように、トランプ大統領の移動経路を点検してみれば、日本の国民の大半が知らないであろう不都合な真実が見えてくる。

※現代ブジネス; http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53435
・・・・
「トランプの移動経路」
ハワイ→ 横田基地(東京都福生市)→ 霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)→ 六本木へリポート(東京都港区)

このほとんどが、在日米軍の専用空域である「横田空域」に含まれている。そのためトランプは、いつのまにか日本に「入国」し、国内を動きまわり、都心部までやってきているのだが、この間、日本の法令によるコントロールはいっさい受けていない。・・・・(略)・・・・とくに日本の基地については、米軍はいつでもどこにでも着陸し、そこからまた飛び立って他国を攻撃する条約上の権利をもっている。そんな国は、ほかに世界のどこにも存在しないのである。

横田空域の存在は、最近かなり有名になってきたが、ここで注意してほしいのは、米軍がそのように自由に空を飛べるのは、けっして「横田空域」や「岩国空域」といった米軍専用空域のなかだけでない。日本の上空すべてだということだ。
・・・・・

これが日本の現実。トランプ大統領だから、多くのメディアの関心を引いたが、これが他の者なら全く誰も知らないで、日本に入国し、都心まで何の障害もなく来られる。米国人は悪いことはしない、という前提でしかこのような事はあり得ない。これでテロ対策だとか安全を守るなどとよく言えたものだ。

口を開けば、「米国のお仕着せ憲法は嫌だ」と叫ぶ自称愛国者の右派連中が、マッカーサーよろしく颯爽と「横田基地」に降り立ったトランプ大統領を大歓迎するのだから、信じられない。彼らが一番怒らなければならないはず。これでは、彼らの愛国心なるものは、弱者に向けられたもので、強者には向けられない、ご都合主義だと言う事になる。

メディアの酷さがこれに輪をかけている。NHKなどトランプ大統領が「横田基地」に降り立った問題点など何一つ報道しなかった。テレビ各局は、イバンカの服装だとか食事だとか、どうでもよい情報を根掘り葉掘り詳細に伝えるが、肝心の「横田基地」に象徴される日本の問題点など何一つ伝えない。

コメンテーターは、米国の意向以外の選択肢を語るなどもってのほかという隷属意識丸出しの論調で、韓国文政権の対応を批判する。大統領をもてなす晩餐会で、独島エビが出たとか、従軍慰安婦の女性を出席さえたとか、それこそどうでもよいことをあげつらい、韓国批判をする。

今回のトランプ大統領訪日、アジア歴訪の最大の目的は、日本・韓国には武器の売り付け。北朝鮮問題など添え物。それと中国との共存をどう図るかが最大の課題。習主席との会談が最大の焦点だ。

案の定、日本にも韓国にも相当額の武器を売り付けた。会談後の記者会見でも、米国の武器を買えば、防衛にも役立つし、米国の軍事産業が潤い、米国の雇用に役立つと述べていた。米国大統領は、「死の商人」の代弁者かという話だ。そのために、北朝鮮危機を煽り立てたと言ってよいくらいである。

同時に、青息吐息だった安倍政権を、北朝鮮危機を煽り立てることにより、衆院選の勝利に導いた。失言大王、麻生太郎が、「選挙の勝利は北朝鮮危機」だと正直に語り、物議をかもしたが言いえて妙。ただし、そのつけは、高くつきそうである。

前の投稿で、「覇権」について語った。その中で米国は覇権衰退期で、以前のような間接的支配を行う余裕がなくなっている、と書いたが、今回のトランプ大統領の訪日で、証明されたと思う。過去の米大統領でここまであからさまな商売をしたり、米国の内政事情を優先させた会見をした人はいない。

一言で言えば、あまりに傲慢で、あからさま過ぎて、開いた口がふさがらない。ただし、こんな事を繰り返していては、誰も米国を尊敬しなくなることは確かである。米国の落日を象徴する大統領の言動だと思う。

トランプ個人のキャラクターもあるが、成田や羽田でなく「横田基地」だ、というところに、もはやなりふり構っていられない米国の現状が表れていると読まなければ、世界情勢など理解できない。

そして、属国根性丸出しで、イバンカ礼賛、トランプ礼賛を繰り返す安倍首相やメディアの現状を恥とも思わないこの国のありように疑問を抱かないようなら、自分自身の知性を疑った方が良い。いまの日本は、オーウェルの「1984」の世界の峠口に立っていると読まなければ、知識人の看板を下ろした方が良い。

それほど今回のトランプ訪日騒動は、日本の政治家、メディアと日本人の劣化を象徴的に示したものだと思う。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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