老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

誰も「実行行為」をせずとも一網打尽に処罰=「共謀罪」

2017-01-19 15:56:09 | 共謀罪
「「共謀罪」の再浮上に思う」を読みました。重要な指摘です。まず第一に、憲法改悪前から安倍政権はもう改悪が成立したかのごとき違憲立法の数々を矢継ぎ早に強行しています。

カジノ法案に至っては、明治憲法下の刑法とその精神(賭博は違法だ)を受け継ぐ憲法を無視した、アウトローな法律を制定しています。こんな政権は前代未聞です。

前置きはこれくらいにして、問題点の第一は笹井さんも指摘されているように「治安維持法」復活を彷彿させる内容の法令だということです。

現行刑法の基本的な枠組みと基本構造は、犯罪行為として処罰の対象となる行為は「実行行為」であるということです。単なる思想やアメリカ法でいうコンスピラシー(陰謀)は、実行行為ではなく犯罪にならない、という基本的な構造が現在の刑法です。

江戸時代に「蛮社の獄」という事件がありましたが、これはオランダ語の翻訳家を多数捕まえて監獄に送った事件です。有名な人物では高野長英がいます。かれは脱獄して何十年も逃亡しました。この経緯は吉村昭著「長英逃亡」上下巻に詳しく書かれています。単にオランダ語を翻訳して当時の海外情勢を知らせ幕府を批判しただけで、多数の知識人(渡辺崋山は自殺に追い込まれた)を投獄した事件です。

これはアメリカ法のコンスピラシー(陰謀)の日本版ではないでしょうか。つまり、時の政府を批判することも許されなかった封建時代の法律を蘇らせるとでもいうのでしょうか。

市民革命以後ようやく市民が血を流して獲得した近代刑法の基本原理;罪刑法定主義や犯罪行為としての「明確性」の原則や、後の客観主義的な刑法の解釈などを、この「共謀罪」は一気に反故にしてしまいます。

実際に現行刑法でもその前哨は存在しています。刑法の共同正犯という規定で、解釈として容認できにくい「共謀共同正犯」という判例立法(これは三権分立を侵害する裁判による立法)がそれです。概略的にいうと、共謀共同正犯では共犯者の一人が犯罪を実行すれば、「共謀」に加担した者も実行しないでも処罰できるという犯罪類型です。

安倍政権が新しく立法化する法律は、この「共謀共同正犯」をもう一歩進めて、誰も実行行為をせずとも一網打尽にして処罰できるという危険極まりない法律です。この法律は現行刑法と憲法に違反することは必定です。

「護憲+BBS」「コラムの感想」より
名無しの探偵

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