老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

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「香川1区」面白い。お勧めです!

2022-01-08 08:50:57 | 選挙
「香川1区」の映画を観てきました。

2021年秋の第49回衆議院議員総選挙の小川淳也氏と、同じ香川一区の自民党の平井卓也氏との選挙戦を追った、大島新監督のドキュメンタリーです。小川氏の初出馬からの17年間の「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編ともいえます。私は、こちらは見損ねました。

この2人がどういう人か、ご本人の発言を引いておきます。
「「心豊かな暮らし」、「持続可能な環境、社会、経済」(略)これは、今で言う「SDGs」そのものであり、当時は情報格差があり実現する事が難しかった構想も、デジタル技術で多くの課題が克服できる時代になっているのです。この国の将来を考えると今が最後のチャンスであり、この強い思いを持って、引き続き改革に取り組んでまいります。」(平井卓也氏ブログhttps://www.hirataku.com/blog
平井氏は、四国新聞と西日本放送のオーナー一族、三世議員で、菅政権の初代デジタル改革担当大臣。2000年以来7回の当選続き。

「今の日本では、結婚や子育て、医療、教育、福祉、介護…人生のあらゆるステージで”自助”が強調され、自己責任が叫ばれます。(略)変わらなければいけないのは政治と社会。生活の基盤を再建して、個人ではどうにもならないことを社会で背負うことのできる枠組をつくりたい。それを国民と、日本に暮らす人々とともに、実現したい。」(小川淳也氏https://www.junbo.org/
小川氏は、2003年の初出馬は落選、その後も2009年以外は平井氏に5敗、比例区復活当選の薄氷を踏んできました。

映画は、選挙戦もまだ始まらない6月、小川氏、平井氏のインタビューから始まり、平井氏と小川氏の選挙に向き合う姿勢や支援者の姿も明らかになってきます。

一目瞭然だったのは、集まる人々が黒い背広姿で、新聞社や企業が支える選挙の姿がよく見える平井氏に対し、普段着姿の男女と、家族ぐるみで旗を立てて自転車で走り回る手作り感満載の小川氏の選挙運動の違いでした。

最初の6月頃のインタビューでは、平井氏もなかなか良いことを話しているなと思います。
しかしデジタル庁の立ち上げで選挙戦に出遅れ、関連業者への恫喝がマスコミにすっぱ抜かれるなど表面化して、徐々に小川氏が差を詰めてくると、攻撃に回ってしまうのです。

相手陣営の悪口、「前作はPR映画だから政治家は映画を作ればいい(支持者以外は見ないと思うよ~)」とか、聞き苦しい演説が増え、焦る支持者もいるらしく、女性プロデューサーを警察に追い払わせようとして相手にされないと恫喝する姿や、応援の岸田首相との講演会に現れた監督の入場を「報道機関ではないから」と追い払う関係者の姿もあって、その苛立ちが分かってしまいます。

驚いたのは、パーティ券を各企業に10枚ずつ割り振り、10枚分の費用を受取りながら、「出席者は3名」と名前を書く場所まで指定。あとの7名分は寄付になるのに、パーティ券扱いにするインチキなお金集めの実態。そして極め付きは、企業が投票相手を社員に指示し、期日前投票をさせ、それをチェックする場所を設けているという企業ぐるみ選挙の実態です。

「企業ぐるみ選挙」「パーティ券」という話は聞いていましたが、実態は知らず、これが本当だということに大ショック。企業ぐるみ選挙の体験者は、日本国憲法15条の4項に「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」を知っているのかしら?

この映画は、平井氏を悪役に仕立てるつもりで撮り始めたものではないことは明らかでしょう。何しろ最初は、私も「なるほど、しっかりした政治家なんだ」と思ったのに…結果として、追い詰められた彼は、まさに悪役を演じてしまった感じがします。

小川氏も、突然出て来た維新の候補者に、取り下げろと声をかけ、政治評論家の良くなかったという批評に食って掛かるシーンがありました。「野党一致」ということだったのにという気持ちからでしょうが、やはり新聞に書かれて非難を浴びます。

維新は、立候補者を立てることで何をしたかったのか、どちらかの陣営の票を減らす気だったのか。それとも激戦と評判になっている区で、維新の名を売っておきたかったのか。
それはともかく、小川氏の取り下げ要請は、立候補前なら分かりますが、立候補表明後にそれは無いだろうと誰しも思うでしょうし、青臭いような未熟さを呈した出来事でした。

彼の「公平・誠実・実直」という姿も、理想は言えるけれど…とも思わせられます。しかし、「でも、この人は本気だと思ったから」と別の議員の秘書から大川氏の秘書になった男性同様に、映画を観ているうちに、小川氏が本気で政治を良くしたいと取り組む気だと信じられます。

「父はアンチの声もしっかり聞く人」という娘さんの言葉通り、誰に対しても、聞く姿勢を変えず、名刺を放り込むだけでなく、きちんとメッセージを書いて、マンションの郵便受けを探し回って相手に届けようとする姿。こうした誠実さは政治家の基本だと思わされます。

私達はいつ、根回しや二枚舌を使い分け、酸いも甘いも清濁も併せのむ人物を「政治家らしい大人物」だなんて思うようになっていったのかと反省させられました。今、世界では若い政治家、女性政治家が増えてきました。オジサンやオジイサンばかりが政治家という国も、そろそろ変化があって良いのかもしれません。

最後の娘さんの挨拶「お父さんが負けるたびに私たちは、大人になって社会に出たら、正直者がバカを見る世界なんだと思っていました。でも今回、正直者の言葉も、いつかみんなに届くって感じられました」に、こういう社会にしなくてはと。

公文書を書き換えたり、公開は真黒けの黒塗り文書にしたり、キックバックを貰うために、業者に口利きして税金を無駄遣いする、寄付額をごまかして政治資金をインチキするなんてヘン。政治家や公務員として普通じゃないよねと、普通の人なら思う…。自殺された赤木さんのことを思うと、ホントに正直者にこんな思いをさせる政治家って何なのだろうと。

『出たい人より出したい人を! 市川房枝たちの理想選挙:実践と手引き』という本があります。より良い政治家を見極めて支えることは大事だとつくづく思った次第です。

映画館を出たら、外は真っ白の雪景色になっていました。政治も真っ白になればいいのにな。

この映画、皆さんにお勧めです。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より

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