老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

9条の会;小森陽一講演(報告)

2015-07-14 21:00:34 | 集団的自衛権
7月11日、伏見9条の会の結成記念講演会に出席。以下小森陽一氏の講演の報告を今週のコラムとします。なお、主観的な視聴に傾いていることもご容赦のほど。

小森さんは漱石の研究家でもあり、最初の話は漱石論も。草枕の主人公が画家であることと、ナポレオンの遠征も従軍画家が活躍したこととは重なる。また、フランス革命が立憲主義の革命だったのに、ナポレオンの登場で侵略戦争になっていくことは、逆説的でもあるが、現在の状況と重なってくると言う。

続いて本題に。現在、憲法の破壊が進行中であるが、特に9条の破壊は深刻であり、人類の宝である9条を残さなければ、大変なことになる。今こそ、正念場である。東京大学でも1万5千人が決起した。

安保法制は10本(従来からの法制)と1本(新規)からなる、海外派兵のための法制。いつでも・どこでも・どんな戦闘行為にも世界中で自衛隊を米軍の戦争に参加させることができる法案作り。安倍内閣は「国際平和」のためと言うが、それは「たばかっている」(謀る)ことだ。

歴史的に振り返れば、9・11テロでアルカイーダ;首謀者オサマ・ビン・ラディンを匿っているとして、2001年、アメリカはアフガニスタンを攻撃。日本はインド洋で給油活動。特措法という。

2003年3月20日、テロリスト支援国家としてイラクを攻撃。国連で「先制攻撃」は禁止されている(国連憲章第2条)が、英米は大量破壊兵器を所有しているとして攻撃した。アメリカがイギリスを誘ったのには理由があった。イラクの兵器では技術的にアメリカに攻撃できない。(ドーバー海峡しか越えられない。)国連のルールでは「単独行動主義」はできない。反撃は許可されている(個別的自衛権)。

日本国憲法9条1項(戦争の放棄)は国際基準であるが、2項(戦力の不保持・交戦権の否認)は日本の独自な規定である。

どこでも(ANYWHERE)の意味:
1999年、橋本政権下で、周辺事態法の成立。このとき、極東地域では紛争が起こらない(冷戦構造の終焉で)という事情から、「日米安保」は不要化したはずであった。そこで「必要性」を発見;北朝鮮の存在である。イレギュラーな法律である。2003年の小泉答弁、「武力攻撃が予想される場合も武力攻撃だ。」

今度の安保法制の新規定の追加では、新3要件の一つに「日本と密接な関係にある外国に起こった場合」に集団的自衛権の行使が可能とする。

衆院通過は来週(7月16日)を狙っている。衆院での再可決(憲法:60日間の条項)の悪用である。

なぜ、「戦後70年の年に」ここまで(*)やるのか。
(*)1、立憲主義の否定 2、強行採決 3、法治国家ということも投げ出そうとしている。

この安倍政権の策謀をグラスルーツ(草の根)から阻止する必要がある。

ここで、(小森氏は)歴史的な経緯に立ち返る。

9条の危機の開始は「朝鮮戦争」に始まる。(とはいえ、ポツダム宣言の歴史にも言及。)朝鮮戦争の只中で、日本の再軍備(1951年4月)。
サンフランシスコ講和条約+日米安保(1951年9月)GHQ最高司令官(マッカーサー)の更迭を決める。
日本は朝鮮併合の責任を問われないことと、米国の手先として再利用する。
沖縄の永久(?)基地化。現在、辺野古に米軍基地を移転する。最悪のシナリオ。

この1954年、自衛隊の誕生。(それから60年後の2014年7月1日(自衛隊の60歳の誕生日)に「集団的自衛権の容認」。それは安倍の「歴史的使命」だという。)
公職追放されていた鳩山一郎の解除、A級戦犯容疑の岸信介が巣鴨プリズンから出所。
1955年に保守合同で1955年体制の確立。ここに安倍晋三の歴史的使命があるというが。

また、歴史を振り返れば、第1次湾岸戦争では、国連平和協力法で多国籍軍の一員として参加するかどうかで、日本は出ないことに(海部内閣)。米国は怒った。(「旗を示せ」。)ここから、アメリカが日本の立場を徐々に変えていくきっかけができて、今日に及ぶわけである。

また小森氏は、世襲政治の問題性に強く言及。鳩山兄弟、安倍晋三と来て、3代目であるが、企業などなら3代目に継がせないという暗黙の約束があるが、日本の政治は結局のところ、世襲政治に深く浸透されているので政治がよくならないどころか、ファシズム政権にまでなってしまうのである。

講演内容を大分端折りましたが、小森氏は最後に、「会場にいる60歳以上の方が戦争に出るという危機ではない、62歳の自分も関係ない。しかし、70年も続いた平和主義を否定して戦争に出ていくという時代を息子や孫たちに残していいのか。私はここが正念場であると思います。どうか、講演の内容を伝播させてください。」と言って講演の結びとしました。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵

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