老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

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慶べぬ、世銀基金トップ人事

2012-06-10 21:10:59 | 政治
8日のNHKニュースは、「世銀基金トップに邦人女性官僚」と題し、『地球環境の保全などに取り組む世界銀行グループの基金「地球環境ファシリティ」のトップに、日本の財務省の石井菜穂子副財務官が就任することが正式に決まりました。』と報じている。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120608/k10015688561000.html

本来日本女性が国際機関のトップに就任する人事であれば慶事であるが、俄にそのような気分には成れない。彼女がどのような経緯で起用されたか分からぬが、財務省はこれまで国内の金融機関にも人を送り込み天下りさせているが、今回の世銀人事をこれの国際版と見ても、当たらずと言えども遠からずではなかろうか。

そして今回の場合、「国際援助」という美名の下に日本国民の税金を世銀へ融資したり、何らかの資金援助が期待されているのではなかろうか。世界の中で日本ほど外国に金をばらまく国はないとの前提である。後進国の要人が来日したと思いきや、必ず円借款や適当な名目での援助が報道されている。しかし今の日本の財政事情や貿易収支を見ればそのような余裕はない。今財務省は消費税増税に躍起であり、消費税をアップして国際援助資金に余裕ができたではブラックジョークである。

先般フランス人のラガルド女史がIMFの専務理事に就任したが、真っ先に訪れたのは日本の財務省であり、その目的は日本からIMFへの資金拠出要請であった。安住財務相はラガルド専務理事が日本の消費税増税を支持してくれた見返りのような形でIMFへの資金拠出を約束した事は記憶に新しい。ラガルド専務理事のしたたかなところは、母国フランスに資金拠出を求めるのではなく、国際通貨基金(IMF)の名を利用して、他国に資金拠出を要請して、その裏で母国の国益を守っていることである。

NHKの取材に世銀基金トップに就任内定の石井副財務官は、「地道に環境分野で貢献を続けてきた日本の努力が認められた。各国の財政状況の厳しさもあり、環境保全への取り組みに対しては逆風も強いが、投資効果の高いプロジェクトに集中的に資源を投じるなど知恵を絞りたい」と述べ、その言には国際機関のポスト争いに勝った誇りが感じられる。

しかし自身が述べているとおり、「各国の財政状況は厳しい」のであり、日本人を就任させれば日本から資金を拠出させやすいとの世銀幹部の思惑も見え隠れし、今の日本国民には決して手放しで慶べぬ人事である。石井氏にはIMFラガルド専務理事のように、他国に資金を拠出させ目的を果たすしたたかさを期待したい。そうであってこそ喜ぶべき人事と言えよう。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年


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1 コメント

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そうかなぁ? (Unknown)
2012-06-10 23:20:38
彼女が世銀の基金のトップになってもならなくても、今まで通り日本は世銀へじゃぶじゃぶ出資する。
だったらポストの1つや2つ貰っても何らおかしくないし、国内民間企業へ天下りされるよりも、むしろ『天上り』して頂く方がいいのではなかろうか。
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