老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「国より先に、やりました」(保坂展人著・東京新聞出版)

2024-05-22 16:49:29 | 政治
92万都市・世田谷区の区長、保坂展人さんは、2011年に区長に就任した際、行政幹部を前に「5%改革」を提示。
「役所には、法で決められた仕事、定番となっている仕事がたくさんある。それは間違いなくやってほしいし、仕事全体の95%はこれまでやってきたことを継続することで構わない。ただ、100%継続では何も変化が起こらず、よどみが生まれてしまう。だから、残りの5%は大胆に変えて行ってほしい」と語ったそうです。

『「5%」とは小さな数字のように見えるが、1年目で5%を変える、翌年、変わっていない95%のうちの5%をまた変える、これを繰り返していくと、8年で3割以上、12年で半分近くが変わる計算になる。目指すのは、旧来のものを破壊して組み立て直すのではなく、らせん階段のようにだんだんと、着実に改革をしていくというやり方だ』と、保坂さんは言います。

こうして、保坂さんは、地元住民や区職員と対話を重ね、「参加と協同」のボトムアップの形で、「エネルギーの地域間連携」「保育の質を落とさない待機児童対策」「構想ビルを建てない下北沢再開発」「同性パートナーシップ制度」「自然の力を生かすインフラ整備」等々、住民の暮らしをよくするための政策を積み重ねていきます。

そして今、保坂さんは世田谷区内の実践に止まらず、自治体同士が政策を共有し、ときに連携して課題解決に取り組めるようにと、政治学者の中島岳志さん、杉並区長の岸本聡子さん、多摩市長の阿部裕行さんらと共に、全国の首長や地方議員をつなぐネットワーク「LIN・Net」をたちあげ、「地域主権と民主主義」の実現を目指した活動を進めています。

著書「国よりさきに、やりました」は、そんな保坂さんが、『この時代を覆っている「無力感」を吹き飛ばして、道は険しくとも到達できる複数のルートがある、政治は変えられる、社会も動きだす、という「希望」を読者に共有してほしい』と願って、これまで実践してきた、こうした具体的な政策を紹介したものです。

コロナウィルスの蔓延、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区攻撃、裏金問題に揺れる国内政治、等々、ともすれば「絶望」しそうな時代に生きる私たちにとって、今読んでおきたい、背中を押してくれる著書でした。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
笹井明子

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 政治への参加は「無理ゲー」... | トップ | 何故にパプアニューギニアで... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治」カテゴリの最新記事