老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

佐川証人喚問と貴乃花処分

2018-03-29 16:05:31 | 社会問題
佐川前国税局長官に対する証人喚問が行われた。大方の人の予測通り、「刑事告発の恐れがあるため証言を拒否する」の台詞のオンパレード。佐川前長官にも一片の良心があるだろうと期待した国民や野党のわずかな望みも断ち切られた。

佐川氏自身は、証言通り、官邸や財務省幹部と接触はしていないだろうが、補佐役としてついていた熊川弁護士(元特捜検事)は、現政権ときわめて近しい関係にあるのは周知の事実。(甘利氏や小渕優子氏などについていた。)彼を通じて官邸や財務省側と綿密な打ち合わせができていた、と推測できる。

特に自民党の丸川氏の質問など聞くに堪えないもので、【出来レース】と言われても仕方がない。佐川氏も自らの意志で【とかげの尻尾】になると決めていたようだ。まあ、これからの人生について何らかの好条件が提示されたのかも知れない。

その後の幹部たちの発言を聞くと、全てを【財務省】に押し付け、一件落着としようという意図が透けて見える。しかし、こういう見え見えの小芝居が通用すると思っている現政権の幹部たちの神経が狂っている。

・・自民党幹部がそろって「これで疑いが晴れた」とコメント。凄まじい。大丈夫か。公文書改ざんと長期にわたる国会冒涜について、官僚だけ悪いのであって、自分達は無関係だと。今や国内どころか国際的にも日本の政府は信用されなくなっている。自らの醜悪さにまだ気付いていないとしたら「重症」である・・(小沢一郎事務所)

以前にも指摘したが、【権力】というものは、【何のために】、【誰のために】、【どう使うか】が問題。自らの権力維持のために権力を使うという事は、民主主義国家の権力者はやってはならない。自らの権力維持のためにだけ【権力】を使う姿は、醜悪以外の何物でもない。安倍政権は自らの政権の【醜悪な姿】に気が付いていない。こういう政権をファッショ政権と言うのである。

さて、証人喚問と機を一にして、貴乃花親方が白旗を掲げ相撲協会に全面降伏した。TVメディアも証人喚問一色の報道から、多少なりとも、国民の目をそらすことができるので、詳細に報道している。

まあ、【貴ノ乱】の主役はたしかに貴乃花だろうが、共犯はTVメディア。しかし、その反省の色などほとんど見られない。ただ、貴乃花を支援したコメンテーター連中は、その後始末コメントに苦労していた。

わたしは、【貴ノ乱】について三回書いた。この乱は、ファッショ体制下の報道姿勢がきわめて象徴的に示されていると考えたからである。

2月9日に書いた【貴ノ乱異聞;見るに耐えないメディアの劣化】の中で指摘した過去の貴乃花部屋のあった暴力的体質が今回顕在化し、貴乃花の全面降伏につながったのである。

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貴乃花部屋の引退力士・貴斗志が貴乃花親方に無理やり引退届を出されたとして、2015年3月、相撲協会を相手取り「地位確認等請求」「報酬の支払い」などを求めて東京地裁に提訴。この裁判の過程で、貴斗志は、なんと今回の日馬富士暴行事件の被害者・貴ノ岩から暴行を受けたと主張。さらに2人の元貴乃花部屋の元力士が証言台に立ち、貴ノ岩や同じく貴乃花部屋の現世話人である嵐望などから暴行を受けたと証言している。

さらに、資料を当たればすぐにわかることだが、2012年に「週刊新潮」(2012年5月3・10日号)は、貴乃花親方からくり返し暴行を受けたという18歳の元弟子の告発を掲載している。このときは、当時、協会の危機管理委員会副委員長を務めていた八角親方が「貴乃花親方に事情を聴いたが、暴行の事実は否定していた。いまの状況で協会が介入することはない」として幕引きをしている。
『衝撃!貴ノ岩にも暴行容疑 元貴乃花部屋力士の訴訟で発覚「逃げ回る力士にエアガン」』(2017年12月28日 zakzak by 夕刊フジ)」
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つまり、今回の暴力問題だけではなく、以前から、貴乃花部屋にもこのような暴力問題はあった。それを一切報道せず、「非暴力の権化」のように貴乃花を神格化し、相撲協会を責め立てたのがTVメディア。その嵐のような暴力的報道姿勢は、多くの国民の眉を顰めさせた。

貴の乱異聞;見るに耐えないメディアの劣化】でも指摘した事が、今回の佐川喚問と貴乃花全面降伏で証明されたと考えている。

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人間なんて奴は、真面目だけでは生きていけない。遊びだけでも生きていけない。要するに【ほどほどが良いのよ】という事である。

どちらかに振りきれた人間ほど御しがたい奴はいない。貴乃花の言動を見ていると、どうやら、その「振り切れた」人間だと言う事になる。ところが、相撲協会の親方連中は、「ほどほどがいいのよ」と言っている。だから、貴乃花は孤立した。この人心の機微が分かっていないと貴乃花の復活は難しい。

今の世の中、なぜ生き辛いかというと、「そこそこ」では駄目で、「振り切れ」なくては評価されないからである。これが「新自由主義」の社会。

よく観察してみるとよくわかる。安倍首相や自民党連中、経団連などの経営者連中、日本会議などの右派連中、TV朝日などのメディア連中なども「振り切れた」人間が大好きだと言う事だろう。「ほどほど」が良い庶民など必要がない。

ところが、全てに「振り切れる」ことなど人間には不可能。それを振り切れたように見せようとすると、「いんちき」「偽装」以外に方法はない。安倍首相や官僚の偽装、経済界の偽装。「ほどほどが良い」人間が多数派だった時代なら、このような問題は起きなかった。

「ほどほど」が良い人間だからこそ、極端な不正義は決して許さない、という逆説が理解できないのだろう。
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佐川前国税局長官は、「振り切れた人間」の犠牲になり、貴乃花騒動は、振り切れた人間の末路の象徴。どちらも、現在の世相を見事に映し出した事件だったと思う。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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中朝会談の意味 (竹内春一)
2018-03-30 07:08:00
自然界には危険な生物が溢れている。エボラ出血熱、鳥インフルエンザなどである。もともと地上にあったものが、自然の中では封印されている。人間の遺体も地上に放置すれば危険な疫病の原因になる。焼くか地下に埋めて、病原体を封印している。毒は毒を持って制するという言い方もある。毒を他の毒と掛け合わせると封印される原理は漢方薬にもある。劇薬トリカブトが漢方薬に使われているのもそのためである。名古屋市立大学薬学部漢方園を見学したらトリカブトが栽培されていた。漢方の原理は中庸である。それは自然の中で実証されてきた。

中庸が中朝会談の肝である。中国が恐れるのは日本の核兵器である。核兵器も政治家の心が中庸であれば心配はいらない。しかし、日本の政治家の心は民になく、やりたい放題である。日本の将来の毒を、北朝鮮の毒で制するのが中国の中庸の考え方である。

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