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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「前田建設ファンタジー営業部」(著:前田建設工業株式会社)

2013-02-08 20:12:38 | 【書物】1点集中型
 表紙のかわいさに惹かれて「いつか読むリスト」に入れておいたものの、リストに入れただけで満足していてずっと放置になっていた(笑)のをやっと借りてみた次第。

 実在するゼネコン「前田建設工業株式会社」が、「マンガ、アニメ、映画の世界との対話を可能にする機械」である、その名も「空想世界対話装置」を介してかの世界から依頼を受ける部署である「ファンタジー営業部」を設立した(という設定)。で、そのファンタジー営業部の初仕事が「マジンガーZ格納庫」なのである。それがそもそものこの本の出自。

 ベタに言えば「空想科学を実現する読本」というところか? まあ実際には建ててないので、「実現をめざす」が正確なところかもしれないが、でも図面上、計画上では実現可能なところまでたどり着いちゃうのである。
 キューピー人形のような(笑)4名の部員さんたちが、放映されたアニメだけでなく(ある意味当然かもしれないが)設定資料に至るまで検証して仕様を固め、同社内のさまざまな部署のあらゆるエキスパートたちの知見を吸収し、さらに取引先の機械メーカーも巻き込んで自体はどんどん具体化していく。その過程が、建物を建てるために建設会社はこんな仕事をしていくのだな、というのが素人にもとてもわかりやすく解説されている。
 技術論だけでなく具体的な見積例が見せてもらえるのもいいし、模型もできちゃうし、ある程度プロジェクトが蓄積されていったらいつか展覧会とかやってもらいたい。

 以前、ゼネコン勤めの知り合いが業界のことを「まさに『鉄の骨』の世界」と言っていた。が、こうして現場が動くさまを見ると、相当落差のある世界だなぁと(笑)。
 でもこういう、どこまでも真面目に取り組む「遊び」が、いわゆる「コラボ」といった実務においての新しいつながりを呼んで、それがほんとに会社の業績や、建設業界をめざす人材の発掘という形で跳ね返ってくるのなら、社内的にも社会的にも素晴らしいプロジェクトであることは間違いないと思う。実際にやる方は大変だろうけど(笑)
 建設の実務って部外者には本当に全くと言っていいほど想像も見当もつかないものだったので、知的好奇心を充分に刺激してくれる本だった。キャラクターもかわいいし(笑)。続編も是非読んでおきたい。って、もうプロジェクトは第5弾まで進んでるのか。←気づくのが相当遅いのがアレですが(笑)