life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「地雷震」読了。

2005-10-07 23:59:59 | 【書物】1点集中型
 しんどかった~。
 やはり、いい漫画はいい小説以上に読み出すと止まらなくなるから困る。今日はこの1巻だけー! とか思っても、エピソードが次の巻に続いちゃっていると我慢ならなくて結局次の巻も読んでる(笑)。けど、やっぱそれだけの読み応えはあった。
 終わり方が思ったよりは淡白だった気はするけど、その「余白」な感じがね……「地雷震」はそれがいいんだろうなと思う。飯田というキャラクター自体、表面に出てくる部分だけ並べたら余白だらけ。正体がない。でも、飯田には、絶対にぶれない「芯」がある。もちろん、飯田だけじゃなくて、作品全体がそうなんだと思うけど。
 だからむしろ、外側から見て余白があることそのものが飯田のキャラクターなんだと思うし、「地雷震」という作品の個性でもあると思う。で、その余白を、読んでいるこっちが埋めていく。言葉にして埋めるんじゃなくて、飯田の行動のひとつひとつから、事件の転がり方のひとつひとつから、日常では感じ得ない何かを感じることで「読む」。そういう読み方ができる作品じゃないかな、と。

 個人的には、初めて高橋氏の画を見た時にいっぺんでペンタッチが気に入っちゃったのであるが、それがちょうど「地雷震」の真ん中らへん。文庫版だと5~6巻にまたがってる「HUSH(もみ消し)」というエピソードの時です。
 つっても、アフタヌーンはそのあたりの数ヶ月しか読まなかったんで、それ以来全然見てなかった。でも今回改めて通して見て、どんどん飯田がいい男になっていくのが面白かった(笑)。で、最後の高橋氏のネタばらしというか自己解説というかあとがきというか、で「飯田の髪型が嫌いだった」と暴露してあった。でも私この髪型ちょうどいい感じで好きなんだけどなぁ、と思ったら「バランスが難しかった」とのことで、なるほどねぇと思わず笑ってしまった(笑)描き手さんは大変だ。

 しかし、飯田って結局最初から最後まで年齢不詳だったなあ。のっけからハチマキの方が年上に見えるぐらいだもんなぁ(笑)っていうかハチマキがおっさんぽかったからか!←おいおい←いや、あの髪型とか、なんとなく……
 でも最後にはハチマキの子どもが4歳になってて、敦子さんは32歳で、多分飯田の方が敦子さんよかは年上なはずで……ううむ、35くらいにはなっていそうだが……まあ、年齢はどうでもいいんだけど(笑)高橋氏も敢えてそうしてるんだろうから。

 飯田の背負ってきたものは最後にちょっと垣間見えただけだったけど、心はやっぱり熱い奴なんだなって、それは読んでてずっと思ってた。ただ、行動の激烈さに比べると感情表現のなさったらないって感じで、いわゆる「熱血漢」とかいうのとは対極にある。その対比で浮き彫りになる部分がまさに飯田の「余白」で、それこそがたとえようもない魅力だったりする。好きですよ、飯田みたいなキャラクター。他にいないもんね。
 てなわけで、とりあえずもう1回読んでみます。