ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

小さな恋の物語

2007年05月31日 | チーズの話

Photo_341 雨がやみ、陽が差してきた。遠くの雲はすでに夏の雲。
クロタン、可愛い名前の小さなチーズ。ロワール河流域で山羊乳から作られるシェーブル・チーズ。このチーズを軽く焼いてバケットに乗せて、「サン・セール」という白ワインを合わせる。今宵のような、爽やかな初夏にいただこうものなら、最高に幸せだ。クアトロでは、クロタンにサン・セールご用意しました。初夏の幸せを体験しませんか。
子供の頃、ずうっと子供の頃、おばあちゃんに聞かされた話。
「森を歩いていると道に迷った。いくら歩いても同じ道をぐるぐる回っているようだ。すっかりお腹も空いた。すると、切り株に湯気のたった饅頭が置いてある。むしゃぶりついて食べたその饅頭の美味しいこと、すっかり満足していつのまにか寝てしまう。朝露で目覚めると片手には、馬糞が握られている」
昔の子供がよく聞かされたタヌキに騙される話。目覚めなければ、とても美味しい饅頭だった。
クロタンは、フランス語で小さな糞という意味だとか。しかしクロタンの美味しさは、目覚めても変わりませんよ。

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手紙

2007年05月30日 | 映画の話

Photo_340 クアトロでのある日。それぞれのテーブルで食事を楽しみながら会話も弾んでるのだが、一瞬そんな喧噪がとぎれる時がある。BGMにゴッドファーザー「愛のテーマ」が流れる時だ。「ファミリーの血はワインより濃い」というシチリア人のテーマだ。クアトロ・ファミリーにこのテーマ曲は似合うのか、不思議とこの曲がクアトロで流れるとお客様の会話がとぎれる。
音楽の力は強い。映画の大事なところを全て持っていってしまうことも多い。
今日は、東野圭吾原作の映画「手紙」を観た。原作のせつなさは充分に描き切れていなかったのは残念だが、ラストの“せつなくて、せつなくて、言葉にできない”と小田和正の曲が流れるところは良かった。2時間かけて積み上げてきたものをこの数秒のメロディーで全て消化してしまう。美味しいところを全て小田和正に持って行かれたような作品だった。
ゴッドファーサーのように映画の内容も良かったが音楽も長く心に残る作品は少ない。

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カツオ

2007年05月29日 | 魚の話

Photo_338 カツオやマグロはきれいな流線型をしている。背びれ、腹びれも胴体に格納され、弾丸のように海の中を高速で突き進む。何千キロという旅は、休むことを許されない。泳ぎながら、餌を得る。眠ることさえ知らないのだろうか。
クアトロの父もカツオのように、何かに追い立てられるように忙しく人生をおくっているような気がする。カツオくんとクアトロの父は同類相哀れむといった感がある。
春になるとカツオが日本にやってくる。春を告げる初カツオは、女房を質に入れても食べろというほどに愛されてきた。まだ餌を充分に食べていない春先の初カツオは脂が少なくあっさりとした味だが、ゴールデンウィークが過ぎ、梅雨が近づくとカツオもしっかりと餌を摂って脂も程よく乗って美味しい。
クアトロにも美味しいカツオが入荷してきた。若くて筋肉質ながら、程よく脂の乗っているこの時期のカツオはお奨め、合わせるワインは果実味のある赤ワインなどいかがでしょうか。
ところで余談ですが、磯野カツオくんといえば、日本では万年小学校5年生なのですが、イタリアでは18禁扱いの名前だそうです。

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硫黄島からの手紙

2007年05月28日 | 映画の話

Photo_337 クアトロの父は、山岡荘八の歴史小説が好きで、昔に講談社の全集100冊を読み始めた。順調に進んで、最後は「小説太平洋戦争」。著者は従軍記者だったので、その内容はリアルで重く暗い。結局98冊まで読んで最後の2冊がどうしても進まなくて読めなかった。やはり舞台が武士の時代に置き換えて貰うと物語として理解しやすいが、第二次大戦となるとあまりにリアルすぎる。
クリント・イーストウッドの「父親達の星条旗」と「硫黄島からの手紙」を続けて観た。これもやたらに重く暗い。戦闘シーンのリアルさは、目を覆いたくなるほど。糸を引いて落ちてくる爆弾、炸裂する爆音などのリアルさはとにかくすごい。グレーにまとめた映像も素晴らしい。しかし、山岡荘八の小説のようにあまりにもリアルで、消化しきれないものがある。気分がすっかり重くなった。
「父親達の星条旗」では、「我等の生涯の最良の日」の映画を思い出した。こちらも暗かったが、救いがあった。
「硫黄島からの手紙」では、「西部戦線異状なし」を思わせるシーンがあった。「西部戦線異状なし」は詩情のある映像が素晴らしいが、クリント・イーストウッド監督も意識的にその点も配慮してあった。

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ハモ

2007年05月27日 | 魚の話

Photo_336 クアトロ・シェフのこの夏の売りはハモである。関西では夏の風物詩だが、関東ではあまり馴染みがない。ましてや、イタリアンでハモというのも珍しい。
関東では、市場にも生きたものは少なく、すでにさばかれて湯引きされているハモが多く流通している。クアトロでは生きたハモを市場の水槽から引き上げ、朝にしめて持ってきている。梅を使ったソースで召し上がっていただくハモ料理はこのところ裏メニューで活躍している。
ハモはどう猛な魚だ。生命力も強く、クアトロでも朝にしめてあるのに、夜さばくとき、筋肉はピクピクと動く。シェフは恐がりなので、「オッ」と悲鳴を上げることさえある。この生命力が旨みと滋養のもとだろう。これからの暑い夏には、イタリアンでハモもありですよ。

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