パルミジャーノのペンネの美味しさの秘訣はふたつあります。
その1は、食べる前からやたら期待をさせるということ。
その2は、期待を裏切らないということ。
期待をさせる要因として、目の前でチーズを削りパスタを和えるというパフォーマンスもさることながら、お味見という儀式こそが重要な要因。
大きなお皿に、ちょっとだけ盛られたパスタが運ばれる。
「え、これだけなの」よくある反応だ。
「お味見をお願いします」
「チーズの濃さをみていただきけたら」
いやにじらすなと思いつつも、これで終わりでなかったと安堵するお客様は、笑顔で試食に同意する。
「もう少し濃くてもいいかしら」どうせじらされたらならという訳ではないのだろうが、8割方のお客様はさらにチーズを濃くする。
試食してチーズの濃さを決めたお客様は、その味に苦情は云えない。
実際にも美味しいのだから、満足度は高まるのである。
実は、この作業こそがワインのテイスティングの極意でもある。
目の前でチーズを削るのは、目の前で注文されたワインを抜栓することと同じ、グラスにちょっとだけ注がれたワインが出され「お味見をお願いします」と云われる。
ワインのお味見で見るのはワインの濃さではなく、ワインの温度。
好みの温度で持ってきてくれたかを見るのである。
じらされたからといって、「もっと冷たくして」とはほとんどのお客様は云わないが、もっと冷たい方が良いとか思ったら申し出るべきである。
パルミジャーノをより美味しく見せる秘訣は、ワインのテイスティングの知恵を盗んでいた。
※4月2日の土曜日は、クアトロの父の甥の結婚式に家族でおよばれのため、営業を休ませていただきます。