なんと云うこともないひなびた町・豊四季にある「クアトロ・スタジオーネ」は、とんでもないホットスポットだった。
そのホットスポット・クアトロでは、ある秘密が・・・。
「あの実は、こんどの日曜日にイチゴパフェが限定販売されるんですよ」
「あんまり人に云ってほしくないんだけどね」
「大丈夫?」
「あっ、云っちゃいそうだな」
「だめだよ、なんせ限定販売であんまり数を用意してないし、予約だけだからね」
「たのむよ」
そのクアトロのイチゴパフェは、どのようなものだろうか。
アイスクリームは、ミルク素材のもので、生クリームは使われていない。
イチゴのフレッシュのソースと完熟のイチゴだけのパフェだ。
あまりにもシンプルなパフェでその美味しさは信じられないかもしれない。
それでも、食べたい人は、必ず予約をしよう。
晩秋の候
食欲の秋とはよく云ったもので、色々と食べた後でも、何か甘い物が欲しくなる。
人間の本能として、冬に備えて栄養を蓄えたいのだろうか。
クアトロのママの作る伝説のデザート“スイートポテト”が食欲の秋に復活。
原料は、若手作り手森田農園が造る甘く濃厚な美味しさのサツマイモを使う。
さて、クアトロのママのスイートポテトを、本能の赴くままに食べよう。
クアトロの甥は、パティシエの大会で焼き菓子部門で日本一になった。
彼が日本一になった作品が“レモンケーキ”。
その“レモンケーキ”を、本日からクアトロで特別販売。
昨年もクアトロに並ぶと、すぐに売れ切れてしまう人気だった。
表面がサクッとして中がしっとり。
レモンの香りと爽やかな酸味と甘みがとても美味しい。
紅茶でも淹れていただくのも良いかも。
クアトロの密かな人気デザートに「アフォガード」なるものがある。
注文するとアイスクリームとエスプレッソコーヒーが運ばれてくる。
後は自分で、アイスクリームにエスプレッソをかけて食べる。
アフォガードとは溺れるという意味だが、冷たいアイスクリームに熱いエスプレッソをかけた状態は、甘くてほろ苦く生ぬるいその味わいは恋に溺れたような大人の味わいなのだ。
さらに、クアトロの父は黒い液体が入ったビンを持ってくる。
この液体をアイスクリームにちょっとかける。
さらに恋に溺れる媚薬なのだろうか。
クアトロの父は得意げに、これは私が作ったコーヒーリキュールだと告白する。
恋の媚薬のようにうっとりとする美味しさになるのだろうか。
クアトロで試してみよう。
イタリア映画「イル・ポスティーノ」は、クアトロの父お気に入りの映画だ。
風光明媚なカプリ島を舞台に、島の青年が郵便配達とてし、亡命中の詩人と交流するうちに、文学や芸術の世界を知り、自己に目覚めていく。
詩の世界と同様にとても奥行きのある心に染みる作品。
クアトロの食事の後に、カプリ島名産のリモンチェッロがおすすめだ。
リモン・チェッロとは、空いっぱいのレモンという意味。
日本の夏みかんのように大きいカプリ島名産のレモンの皮だけを使い、リキュールに漬け込む。
ちょっと甘くて酸っぱい、食後に楽しむおしゃれなお酒だ。
このリモンチェッロをアイスクリームにかけてもとても美味しい。
クアトロの食事の後にリモンチェッロを味わうと、その満足感からグルメな世界に目覚めていくだろう。